説明

ヤーン、高耐摩耗性ファブリック、およびそれから製造される物品

本発明は、ナイロンステープルファイバーおよび高強度人造セルロース系ステープルファイバーを含むヤーンおよびファブリック、ならびにそれから製造される衣類に関し、特に、高い快適さレベルを維持しながら高い耐摩耗性を有するファブリックに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイロンステープルファイバーと高強度(high−tenacity)人造セルロース系ステープルファイバーとを含むヤーンおよびファブリック、ならびに、それから製造される衣類、寝具類、室内装飾用品(upholstery)等の物品に関し、特に、高いレベルの快適さを維持しながら高い耐摩耗性を有するファブリックに関する。
【背景技術】
【0002】
高摩擦条件で使用するためのものを含む特定の形態の作業服は非常に早く摩耗することが分かっている。これは、砂地条件での使用を意図した作業服に特に当てはまる。コットン、ビスコースレーヨン、またはリヨセル等のセルロース系繊維から、高レベルの快適さを有する衣類が製造できることが知られている。これは、そのような衣類が湿気を吸収し、涼しい快適な手触りを有するためである。しかし、純粋なセルロースの衣類の耐摩擦性はあまり高くない。
【0003】
ファブリックおよび衣類の耐摩擦性はマーチンデール試験により測定され、本特許出願では常に、2本スレッドが切れるまでの摩擦回数である。これは標準的なファブリック用試験であり、詳細はASTM D4966−98およびISO 12947に記載されている。
【0004】
50%/50% コットン/ポリエステルのファブリックは良好な快適レベルを有するが、耐摩擦性は、例えばファブリックの構成、重量等に応じて摩擦回数20,000〜50,000回である。しかし、これでも砂漠のような非常に過酷な条件には不十分である。コットンを含むファブリックの耐摩擦性を、コットン/ナイロンファブリックを製造することで増大できることも知られている。米陸軍が砂漠用迷彩服として使用しているファブリックは、50%/50% コットン/ナイロンのファブリックであり、これはNyCoとして知られ、マーチンデール法で測定される耐性は摩擦回数80,000回を超える。
【0005】
更に、ファブリックは十分な引裂強さを有している必要がある。引裂強さとは、特定の条件下でファブリックの引裂きを開始させるか続けさせるために必要な力である。引裂強さ試験の詳細はASTM D−2261、ASTM D−2262、およびBS EN ISO 13937に記載されている。
【0006】
規格は、必要とされる性能により決定される。例えば、英国の規格に従った2×1の綾織物ポリエステル/コットン製戦闘服では、経糸で28N、緯糸で20Nの引裂強さが要求される。いわゆるリップストップファブリックは、例えば経糸25N、緯糸60Nといった異なる要件を有し得る。
【0007】
リヨセルは、セルロースを水性有機化合物、通常N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)に溶かした溶液から誘導体を形成することなく製造される人造セルロース系繊維の一般名である。リヨセルは、通常のビスコースよりもはるかに高強度である。調整された状態のリヨセルは通常約37cN/texの破断強度(tenacity at break)を示すのに対し、一般的なビスコースは同じ条件下で25未満の破断強度を示すが、これは個々の製造プロセスに大きく依存する。
【0008】
比較のために、ナイロン−6,6の破断強度(break tenacity)は約56cN/texであり、コットンでは約25cN/texである。
【0009】
米陸軍に使用されているコットンおよびナイロンのファブリックに加えて、特定のナイロン/リヨセルファブリックが実験ベースで製造されてきた。これらのナイロン/リヨセルファブリックは、リヨセル緯糸を連続するフィラメントナイロン経糸に織りこむことで製造されてきた。リヨセルは、ステープルファイバーとして製造された後、ヤーンに紡績され、織るまたは編むことで衣類を製造することができるようになるが、ナイロンの場合は異なる。多くのナイロンは、連続フィラメント材料として製造され、これから経糸が作られる。経糸は事実上、製織が始まる前にシリンダーに巻かれて織機に配置される1組のスレッドである。緯糸スレッドは、しばしばシャットルを用いて、経糸の表側および裏側に通される。製織を始めることができるようになる前に経糸が製造される必要があり、連続ナイロンフィラメントの経糸が利用可能であった。連続フィラメントナイロンの経糸に緯糸としてリヨセルのスレッド(tread)を織ることで実験的なファブリックが製造された。そのようなファブリックは如何なるスケールでも商業的には使用されておらず、純粋に実験として製造されたものである。ナイロンステープルファイバー、すなわち押出後に一定の長さに切断してヤーンに紡績した繊維がこの用途に用いられたことはない。
【0010】
リヨセルの他の人造セルロース系繊維にモダールがある。これは、変形ビスコースプロセスにより製造される。モダールも高強度人造セルロース系繊維であり、調整された状態で約35cN/texの破断強度を示す。BISFAの定義によれば、モダール繊維は、高い破断力および高ウェットモジュラスを有するセルロース繊維である。調整された状態におけるモダール繊維の破断力(Bc)は
【0011】
【数1】

【0012】
である。湿潤状態のモダール繊維を5%伸長させるために必要な力(Bm)は、
【0013】
【数2】

【0014】
である。Tは、デシテックスで表した平均線密度である。
【0015】
リヨセルとモダールの混紡糸(mixture)も市場で公知であるが、これまでのところ、大量に販売されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、ファブリックから製造された衣類を着用する者の快適さと良好な耐摩擦性および耐引裂性とのバランスが良いファブリックを提供することである。快適さまたは耐摩耗性および耐引裂性のいずれかを良好なレベルで得ることは容易である。しかし、1つのファブリック中にその両方を得ることははるかに困難である。なぜなら、良好な快適さに要求されるファブリック特性および良好な耐摩耗性および耐引裂性に要求されるファブリック特性がしばしば相反するためである。
【0017】
更に好ましい目的は、特に、軍服の染色に一般的に用いられる染料で均一に染色できるファブリックを製造することであり、そのような染料は赤外(IR)反射特性を有し、これは軍服に適用される迷彩の性質に適合させることができる。
【0018】
公知のFR仕上げは通常、セルロース系繊維を含むファブリックの機械的特性を大幅に低下させる。したがって、更に好ましい目的は、強さおよび耐摩擦性を過度に失うことなく、難燃加工(「FR」)仕上げ、例えばプロバン(登録商標)で処理することのできるファブリックを製造することである。
【0019】
本発明の更なる目的は、前述の特性を有するファブリックの製造に用いることのできるヤーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ナイロンステープルファイバーと高強度人造セルロース系ステープルファイバーの密接ブレンド(intimate blend)で形成されるヤーンおよび前記ヤーンを含むファブリックを提供する。高強度人造セルロース系ステープルファイバーは、調整された状態で32cN/texを超える破断強度を示すことが好ましい。
【0021】
このヤーンは、10〜75%のナイロンを含んでよく、ファブリックは10〜50%のナイロンを含んでよい。いずれの場合も残りの部分は高強度人造セルロース系繊維であることが好ましいが、如何なる場合も、このヤーンから製造したファブリックは少なくとも50%の高強度人造セルロース系繊維を含まなければならない。
【0022】
本明細書においてナイロンという用語は、ポリアミドとして知られるプラスチックのグループを指す。ナイロンは、アミド基(CONH)を特徴とし、例えばナイロン4.6;ナイロン6;ナイロン6.6;ナイロン12;ナイロン6.12等の幅広い材料種を包含する。全て好適であるが、ナイロン6およびナイロン6.6が好ましい。
【0023】
ナイロンおよび高強度人造セルロース系繊維はどちらも、デシテックス(dtex)で表した平均線密度(「タイター」)が同じか非常に近いことが更に好ましい。例えば、1.7dtexまたは1.4dtexのリヨセル繊維を1.7または2.0dtexのナイロン繊維とブレンドすることができる。一般的に、平均線密度が近いとは、2つの繊維間で差が50%以下であることを意味する。
【0024】
ナイロンおよび高強度人造セルロース系繊維のステープルファイバーの長さも同じか非常に近い。例えば、38mmのステープルリヨセルファイバーを、35〜40mmのナイロンステープルファイバー、より好ましくは38mmのナイロンステープルファイバーとブレンドすることができる。一般的に、繊維長が近いとは、2つの繊維間で長さの差が15%以下であることを意味する。
【0025】
高強度人造セルロース系繊維は、リヨセルステープルファイバー、モダールステープルファイバー、またはその混紡糸であることが好ましい。
【0026】
リヨセルおよびモダールは、コットン等のその他のセルロース系繊維よりも大きな破断強度を有する。これらはまた、高い湿潤強さを有する。したがって、ファブリックの耐引裂性に対する大きな効果が期待できる。しかし、ナイロンは更に大きな破断強度を有するので、当業者は、ナイロンの量が少なくなればナイロンおよび高強度人造セルロース系繊維の両方を含むファブリックの耐引裂性は低下すると予想するであろう。したがって、当業者は、着用者に十分な快適さを生み出すのに必要な量のセルロース系繊維のみを導入するであろう。
【0027】
しかし、驚くべきことに、導入する高強度人造セルロース系繊維の量を増やしても、得られたファブリックの耐引裂性は増大することが見出された。したがって、高強度人造セルロース系ステープルファイバーとナイロンステープルファイバーのブレンドヤーンから形成したファブリックは、高い引張強さを有し、ナイロン繊維および高強度人造セルロース系繊維の両方から強さを得る。
【0028】
更に、この利点を得るためにはステープルナイロンとステープル高強度人造セルロース系繊維の両方を用いてヤーンを製造する必要があることが見出された。
【0029】
高強度人造セルロース系繊維をナイロンとブレンドする場合、ナイロンが20%を超えても何の利点もない。耐摩擦性、引張強さ、および引裂強さは全て、高性能用途に適したレベルにほぼ到達していた。
【0030】
高強度人造セルロース系繊維は艶のない繊維であってよく、すなわち、TiO2等の艶消し剤を含む人造セルロース系繊維であってよい。これは、砂漠地域で使用するための太陽光線保護の向上等の特定の利点を付与し得る。
【0031】
高強度人造セルロース系繊維は鮮やかな繊維であってもよく、すなわち、艶消し剤を含まない高強度人造セルロース系繊維であってよい。
【0032】
本発明は、前述のヤーンを含むファブリックも提供する。
【0033】
更に、本発明は、ナイロンステープルファイバーと高強度人造セルロース系ステープルファイバーの密接ブレンドで形成されるヤーンを含むファブリックも提供する。本発明に係るファブリックは、10〜50%のナイロンを含んでよい。好ましくは、前記ファブリックは織物であり、経糸および緯糸の両方に前記ヤーンを含む。
【0034】
ファブリックのこの領域の坪量(basis weight)は100〜500g/m2、好ましくは120〜300g/m2、更に好ましくは180〜250g/m2であってよい。
【0035】
ファブリックは、綾織物ファブリックであってよく、2×1の綾織物であってよい。また、平織物等の別の作り(construction)であってもよい。
【0036】
好ましくは、ファブリックのマーチンデール法による耐摩擦性は少なくとも摩擦回数60,000回、好ましくは少なくとも摩擦回数100,000回、耐引裂性は少なくとも20ニュートン、好ましくは少なくとも30ニュートンである。
【0037】
本発明に係るファブリックは主に軍事用途および作業服に用いられるため、プリント染色、FR仕上げ、IR反射仕上げ等の複数の仕上げで処理され得る。一般的な実験によれば、これらの仕上げは繊維またはヤーンの本来の特性に影響を与え得る。しかし、例えばプロバン(登録商標)FR仕上げを本発明に係るファブリックの上に適用した場合、強さはほとんど維持され、引張強さおよび引裂強さはどちらも約10〜15%低下するが、摩擦は100,000超のままである。
【0038】
プロバン(登録商標)加工は、THPC(テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムクロリド)と尿素の塗布による前縮合物(pre−condensate)の生成に基づく。この前縮合物をファブリックにパディングし、ファブリックを含水量が約15%になるまで乾燥させる。次いで、特別な反応室中でファブリックをアンモニア蒸気に曝し、その後過酸化水素で酸化する。このプロセスは当業者に周知である。化学物質および手順書はローディア社(Rhodia)から入手可能である。
【0039】
同様な好適なFR仕上げはピロバテックス(登録商標)仕上げであり、これもモダールやリヨセル等のセルロース系繊維に適用できることが知られている。ピロバテックス(登録商標)は、パッド−ドライ−キュア処理で触媒としてのリン酸およびトリメチロールメラミンと組み合わせてN−メチロールジメチルホスホノプロピオンアミドを用いて作製される耐久性リン含有仕上げである。化学物質および手順書はハンツマン社(Huntsman)から入手可能である。
【0040】
その意図する用途のため、本発明に係るヤーンは編物(knit)にも用いることができ、得られる編まれたファブリックは、優れた着心地と非常に高い破裂強さ(burst strength)を示す。編まれたファブリックの耐摩擦性は、織られたファブリックの場合よりも、セルロース/ナイロンの交織比と同じ傾向を示す。編まれたファブリックの作りはより開放的であるため、マーチンデール試験により測定できる耐摩擦性は一般的に、織られたファブリックよりも低くなる。しかし、多くの用途、特に、例えば団体服のように、着心地および伸縮性が強く要求されるが一定の耐久性要件をも兼ね備えていなければならない場合、編まれた作りが必要とされる。これらの用途では、耐摩擦性は少なくとも摩擦回数25,000回で十分であろう。
【0041】
本発明に係るファブリックは、作業服、団体服、またはユニフォームの製造に使用することができる。これらは耐摩擦性が良好であるので、車、客車(coach)、電車、飛行機等の運搬用車両の座席、家具、または事務用椅子用の室内装飾用品ファブリックの製造にも使用することができる。本発明に係る室内装飾用品ファブリックにFR仕上げを適用することもできる。そのような目的のために、ホウ酸とホウ砂または強酸、特にリン酸のアンモニウム塩、例えば、リン酸二アンモニウム、又はスルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウムとの混合物等の当業者に周知の非耐久性FR化学物質も適用可能である。本発明に係るファブリックの更なる使用分野としては、特に洗濯に産業的クリーニング店が使用される病院およびホテル用の寝具類の製造が挙げられる。
【0042】
本発明に係る製品の良い特性を更に向上させるための可能性の1つは、キトサンが組み込まれたリヨセル繊維の使用であり、これは国際公開第2004/007818号およびオーストリア実用新案AT 008 388 U2で既に公知である。これにより、向上された肌への優しさだけでなく、抗菌機能がファブリックに付与される。
【0043】
キトサン導入リヨセル繊維を前述の仕上げ、特にプロバン(登録商標)、ピロバテックス(登録商標)等のFR仕上げと組み合わせることも可能である。これは、特にファブリックが両方の有利な特性を有するべき用途で行われる。
【0044】
本発明の更に別の目的は、前述のファブリックを含む衣類である。そのような衣類は、作業服、団体服、またはユニフォームであることが好ましいが、前記ファブリックの典型的な特性が有益である如何なるその他の種類の衣類であってもよい。
【0045】
本発明の別の目的は、このファブリックを含む室内装飾用品または寝具類および前記室内装飾用品を含む家具である。
【0046】
ここで本発明を実施例により説明する。これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1、3、4、および5のファブリックに、着用者の身体から汗を逃がす速度と同じ効果が得られるGATS試験を行った結果である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0048】
実施例1〜6
タイターが2.0dtexで切断長38mmの市販のPA−6.6ステープルファイバーを、タイターが1.4dtex、切断長38mmの市販のテンセル(登録商標)ステープルファイバーと表1に記載の比率で混紡してNm1/26のヤーンに紡糸した(Ne1/15)。
【0049】
このヤーンを、32エンド×24ピックで重量249g/m2の2×1の綾織物を織ることで更に加工した。次いで、織られたファブリックの表面を焼き(singe)、糊抜きし、洗浄し、乾燥させ、205℃で熱固定し、軍によるIR反射規定を満たすようにプリントし、FC撥水仕上げを施す。これらの方法は当業者に周知である。
【0050】
経糸および緯糸方向の引裂強さを測定し、以上のように仕上げたファブリックのそれぞれにマーチンデール試験を行った。
【0051】
【表1】

【0052】
表1は、ナイロン含量を0%から20%に増やした時にファブリックの機械的特性が最も向上することを明確に示している。次に、実際的見地から重要な値が得られ、ナイロンの量を更に増やしても向上はわずかである。経済的な理由から、マーチンデール試験は摩擦回数100,000回のレベルに達した時点で中止した。
【0053】
実施例1、3、4、および5のファブリックに、着用者の身体から汗を逃がす速度と同じ効果が得られるGATS試験を行った。グラフを図1に示す。指摘すべき傾向は、一般にテンセル含量が高いほど水の取込速度(グラフの傾き)が早く、保持される体積が大きい(グラフの高さ)ということである。この速度が重要な点である。
【0054】
実施例7〜9:
実施例1に係る繊維のテンセル/PA−6.6の70%/30%(w/w)混紡糸を含むNe1/15ヤーンから2×1の綾織物を作製した。重量および仕上げを表2のように変えたが、加工工程は実施例1〜6と同じである。
【0055】
実施例8では従来のプロバン(登録商標)処理を後から適用した。実施例9では、異なる作りのファブリックを作製したが、実施例7と同じヤーンを用いた。
【0056】
【表2】

【0057】
本発明に係る3種類のファブリック全てが英軍用規格である28cN(経糸)、20cN(緯糸)、およびマーチンデール法での摩擦回数45,000回を満たしていることが分かる。実施例8のファブリックはEN532の難燃性試験もクリアしている。
【0058】
実施例10:
実施例4の70/30のヤーンから、30エンド/22ピック、180g/m2の2×1リップストップ綾織物を製造した。但し、9ピック毎に350f/136ナイロンフィラメントリップストップスレッドを用いた。表3に、リップストップファブリックに対する英軍用規格との比較を示す。
【0059】
【表3】

【0060】
実施例11〜13:
実施例2〜6で用いたのと同じ繊維を表4に記載の種々の組成で含むリングヤーンNm50/1を用いて単一のジャージーを編んだ。編んだファブリックを一般的な反応性染料で染色した。
【0061】
【表4】

【0062】
織られたファブリック同様、ナイロンを少量添加することで耐摩擦性が大きく上昇することが観察された。
【0063】
実施例14:
一般的なテンセル繊維の代わりに1.4dtexのキトサン含有リヨセル繊維(レンチングAG社(Lenzing AG)製の、繊維中に0.5%(w/w)キトサンを含む「テンセルC」)を用いたこと以外は実施例3と同様にヤーンを製造した。テンセルC:PA 6.6の比は80%/20%(w/w)とした。このヤーンを、重量203g/m2の2×1の綾織物に加工した。測定した特性を表5に示す。
【0064】
実施例15:
テンセル繊維の代わりにレンチングAG社製の1.4dtexのモダール繊維を用いたこと以外は実施例3と同様にヤーンを製造した。モダール:PA 6.6の比は80%/20%(w/w)とした。このヤーンを、重量212g/m2の2×1の綾織物に加工した。測定した特性を表5に示す。
【0065】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロンステープルファイバーと高強度人造セルロース系ステープルファイバーの密接ブレンドで形成されるヤーン。
【請求項2】
前記高強度人造セルロース系ステープルファイバーが、調整された状態で32cN/texを超える破断強度を示す、請求項1に記載のヤーン。
【請求項3】
10〜75%のナイロンを含む、請求項1に記載のヤーン。
【請求項4】
前記ナイロンおよび前記セルロース系繊維のステープルファイバーの長さが同じまたは非常に近い、請求項1に記載のヤーン。
【請求項5】
前記セルロース系ステープルファイバーがリヨセルステープルファイバー、モダールステープルファイバー、またはその混紡糸である、請求項1に記載のヤーン。
【請求項6】
前記ナイロン材料が、ナイロン−4.6、ナイロン−6、ナイロン−6.6、ナイロン−12、およびナイロン−6.12からなる群から選択される、請求項1に記載のヤーン。
【請求項7】
前記ナイロン材料がナイロン−6またはナイロン−6.6である、請求項1に記載のヤーン。
【請求項8】
ファブリックが少なくとも50%の高強度人造セルロース系ステープルファイバーを含むことを特徴とする、ファブリックの製造における、上記いずれかの請求項に記載のヤーンの使用。
【請求項9】
ナイロンステープルファイバーおよび高強度人造セルロース系ステープルファイバーを含むファブリック。
【請求項10】
上記いずれかの請求項に記載のヤーンを含むファブリック。
【請求項11】
前記ファブリックが10〜50%のナイロンを含む、上記いずれかの請求項に記載のファブリック。
【請求項12】
前記ファブリックが、経糸および緯糸の両方に前記ヤーンを含む織物である、請求項10に記載のファブリック。
【請求項13】
マーチンデール法で測定される耐摩擦性が少なくとも摩擦回数60,000回である、請求項9〜12のいずれか一項に記載のファブリック。
【請求項14】
耐引裂性が少なくとも20ニュートンである、請求項9〜13のいずれか一項に記載のファブリック。
【請求項15】
前記ファブリックが100〜500g/m2の坪量を有する、請求項9〜14のいずれか一項に記載のファブリック。
【請求項16】
前記ファブリックが編まれたファブリックである、請求項9〜11のいずれか一項に記載のファブリック。
【請求項17】
マーチンデール法で測定される耐摩擦性が少なくとも摩擦回数25,000回である、請求項16に記載のファブリック。
【請求項18】
FR仕上げを含む、上記いずれかの請求項に記載のファブリック。
【請求項19】
作業服、団体服、またはユニフォームの製造における、上記いずれかの請求項に記載のファブリックの使用。
【請求項20】
車、電車、もしくは飛行機の座席、家具、または事務用椅子用の室内装飾用品ファブリックの製造における、上記いずれかの請求項に記載のファブリックの使用。
【請求項21】
病院およびホテルの寝具類の製造における、上記いずれかの請求項に記載のファブリックの使用。
【請求項22】
上記いずれかの請求項に記載のファブリックを含む衣類。
【請求項23】
上記いずれかの請求項に記載のファブリックを含む寝具類。
【請求項24】
室内装飾用品ファブリックとして上記いずれかの請求項に記載のファブリックを含む室内装飾用品を含む、家具、事務用椅子、または運搬用車両に用いられる座席。

【図1】
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【公表番号】特表2011−509353(P2011−509353A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538261(P2010−538261)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000440
【国際公開番号】WO2009/079674
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500077889)レンツィング アクチェンゲゼルシャフト (20)
【Fターム(参考)】