説明

ユーザインタフェース装置、カメラ、ユーザインタフェース方法およびユーザインタフェース用プログラム

【課題】小型の携帯機器への適用に好適で優れた操作環境を実現することができるユーザインタフェース装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル14付きの表示部18の画面に、撮影画像であるライブビュー画像31の画質調整用の調整項目をピース32a〜32eとして複数表示させ、タッチパネル14に対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従いドラッグ操作の対象となった調整項目、例えばピース32dのシャッター速を画質調整の項目に設定し、さらにこのピース32dがこのドラッグ操作の始点Dsである場合にはこのシャッター速の条件を増加させるように設定し、逆に、ドラッグ操作の終点である場合にはこのシャッター速の条件を減少させるように設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の小型の携帯機器用に適したユーザインタフェース装置、カメラ、ユーザインタフェース方法およびユーザインタフェース用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器においては、快適な環境を提供し、間違いのない操作を実現するためのユーザインタフェースの役割は非常に重要である。ユーザインタフェースのためのデバイスの中でも、近年、タッチパネルは多方面に利用されている。
【0003】
小型の携帯機器、特にデジタルカメラのように設定や選択可能な項目の豊富な機器では、ユーザインタフェースには色々工夫が凝らされている。そして、近年のデジタルカメラは、背面にLCD等による大型の表示部が搭載されることが多く、タッチパネルを重ねて搭載するに適した形態となってきている。実際に、タッチパネルが搭載された機種も市販されている。そして、このようなタッチパネルの操作に関する提案も多くある。一例として、撮影画像の周囲に選択用のアイコンを配列して表示させるカメラの提案例もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−228608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デジタルカメラのような小型の携帯機器のタッチパネルのサイズには、自ずと制限があり、やたらに大きくすることはできない。また、メニュー画面を開いて条件を設定するような操作では、ユーザの負担が大きく、理解も容易でない。よって、小型の携帯機器に搭載されるサイズの小さなタッチパネルに対する操作であっても、設定する項目の選択や、選択した項目にパラメータを設定する操作を、わかりやすく行うことができるユーザインタフェースの実現が望まれる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型の携帯機器への適用に好適で優れた操作環境を実現することができるユーザインタフェース装置、カメラ、ユーザインタフェース方法およびユーザインタフェース用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、画像を表示する表示部と、該表示部に重なるように配設されたタッチパネルと、前記表示部の画面に取扱い対象となるコンテンツの品質調整用の調整項目を複数表示させる表示制御部と、前記タッチパネルに対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い前記品質調整用の調整項目の条件を設定する品質調整制御部と、を備え、前記品質調整制御部は、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目を前記品質調整の項目に設定し、さらに該調整項目が該ドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって該調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記品質調整制御部は、前記ドラッグ操作の始点における押圧継続時間に応じて増加または減少させる前記条件の変化量を設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記品質調整制御部は、前記ドラッグ操作の始点における押圧力に応じて増加または減少させる前記条件の変化量を設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記表示制御部は、前記コンテンツとして撮影画像が表示される画面の一部に前記品質調整用として画質調整用の調整項目を表示させ、前記品質調整制御部は、前記表示部に表示されている画像に対して、前記画質調整用の調整項目の条件を設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記品質調整制御部は、前記画質調整を行う画像の範囲として、前記ドラッグ操作の始点または終点となった前記撮影画像中の特定領域を設定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記特定領域を識別して表示させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記表示制御部は、前記撮影画像として被写体視認用のライブビュー画像を表示させる場合には、前記画質調整用の調整項目として撮影用の調整項目を表示させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記表示制御部は、前記撮影画像として記録済みの撮影画像を表示させる場合には、前記画質調整用の調整項目として再生用の調整項目を表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記品質調整制御部は、前記調整項目として、コントラスト、明るさ、周辺光量、アウトフォーカスおよび色の各項目のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるユーザインタフェース装置は、上記発明において、前記表示制御部は、前記調整項目中で、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目をアイコンの形態に変更して表示させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるカメラは、上記いずれかの発明に記載のユーザインタフェース装置を搭載したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるユーザインタフェース方法は、画像を表示する表示部と、該表示部に重なるように配設されたタッチパネルと、を有するユーザインタフェース装置を用い、前記表示部の画面に取扱い対象となるコンテンツの品質調整用の調整項目を複数表示させる表示制御ステップと、前記タッチパネルに対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い前記品質調整用の調整項目の条件を設定する品質調整制御ステップと、を含み、前記品質調整制御ステップは、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目を前記品質調整の項目に設定し、さらに該調整項目が該ドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって該調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかるユーザインタフェース用プログラムは、画像を表示する表示部と、該表示部に重なるように配設されたタッチパネルと、を有するユーザインタフェース装置に、前記表示部の画面に取扱い対象となるコンテンツの品質調整用の調整項目を複数表示させる表示制御機能と、前記タッチパネルに対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い前記品質調整用の調整項目の条件を設定する品質調整制御機能と、を実行させ、前記品質調整制御機能は、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目を前記品質調整の項目に設定し、さらに該調整項目が該ドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって該調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型の携帯機器への適用に好適で優れた操作環境を実現することができるユーザインタフェース装置、カメラ、ユーザインタフェース方法およびユーザインタフェース用プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明のユーザインタフェース装置、カメラ、ユーザインタフェース方法およびユーザインタフェース用プログラムを実施するための最良の形態について説明する。本実施の形態は、取扱い対象となるコンテンツが撮影画像であり、品質調整用の調整項目が撮影画像の画質調整用の調整項目であるデジタルカメラへの適用例として説明する。
【0022】
図1は、本発明のカメラであるデジタルカメラの概略構成例を示す背面図であり、図2は、その持ち方や操作の態様の一例を示す背面図である。本実施の形態のデジタルカメラ1は、カメラ本体の上面に配設されたレリーズボタン13aや、特に図示しないがパワースイッチ等の操作ボタン・スイッチ類を備えている。レリーズボタン13aは、押下操作により撮影動作を指示するためのボタンである。このレリーズボタン13a等により操作部13(図3参照)が構成されている。
【0023】
また、デジタルカメラ1は、カメラ本体の背面のほぼ全域を占める表示部18を備えている。この表示部18は、撮影画像として被写体視認用のライブビュー画像や記録済みの撮影画像を表示する他、画質調整のためのパレット付き画像を含め、各種設定情報等を表示するためのものである。この表示部18は、LCDやELD(Electro Luminescence Display)等の薄型表示装置で実現されている。この表示部18には、後述するようにタッチパネル14が全面的に配設されている。また、デジタルカメラ1は、特に図示しないが、カメラ本体の前面側に撮影レンズ等の撮像光学系を備え、カメラ本体に内蔵の撮像素子に被写体像を結像可能に構成されている。
【0024】
このようなデジタルカメラ1は、左手で持ってタッチパネル14に対して右手で操作指示を行うことが可能な他、例えば、図2に示すように、ゲーム機器感覚で、両手で持ってタッチパネル14に対して親指で操作することも可能な携帯機器である。
【0025】
図3は、本実施の形態のデジタルカメラ1のシステム構成例を示すブロック図である。本実施の形態のデジタルカメラ1は、制御部11を備える。制御部11は、デジタルカメラ1を構成する各部に対する指示やデータ転送等を行い、デジタルカメラ1の動作を統括的に制御するためのCPUを備える。また、デジタルカメラ1は、プログラムデータ記憶部12、撮像部15、SDRAM16、表示駆動部17、画像処理部19、圧縮伸長部20、記録・再生部21の各部を備える。これら各部は、制御部11に対してバスライン30によって接続されている。ここに、デジタルカメラ1に搭載された本実施のユーザインタフェース装置は、主に、制御部11、プログラムデータ記憶部12、操作部13、タッチパネル14、表示駆動部17および表示部18により構成される。
【0026】
プログラムデータ記憶部12は、例えばフラッシュメモリ等の電気的に書換えが可能な不揮発性メモリである。このプログラムデータ記憶部12は、デジタルカメラ1を動作させ、このデジタルカメラ1が備える種々の機能を実現するためのCPU用のプログラム(例えば、ユーザインタフェース用プログラム)や、このプログラムの実行中に使用されるデータ、例えば、後述するパレット付き画像の画面に表示させるパレットやアイコン等のデータが予め格納されている。また、このプログラムデータ記憶部12には、画質調整用の調整項目毎のパラメータ(条件)の変化量に関するテーブルが予め格納されている。このテーブルについては後述する。
【0027】
撮像部15は、デジタルカメラ1が画像(被写体像)を撮像するためのものであり、カメラ部と撮像処理部とからなる。カメラ部は、デジタルカメラ1が被写体像を撮像するためのものであり、撮影レンズ、撮像素子、絞り、シャッター、AF機構、AF駆動回路、ズーム機構、ズーム駆動機構等からなる。ここで、撮像素子は、例えばCCDやCMOSセンサ等の2次元固体撮像素子からなり、撮影レンズを含む撮影光学系を通して入射する被写体像を光電変換し、アナログ電気信号として出力する。この撮像部15は、後述するように画質調整用の調整項目に含まれるシャッター速のパラメータが増加または減少するように設定された場合には、設定されたシャッター速で撮影動作を行うように制御される。また、撮像処理部は、撮像素子駆動回路を含む他、撮像素子から出力されるアナログ電気信号に対してAGC、CDS等のアナログ信号処理を施した後、A/Dコンバータでデジタル電気信号に変換して出力させるためのものである。
【0028】
SDRAM16は、一時記憶メモリや各種画像処理用のワーキングエリアとして利用されるメモリである。具体的には、SDRAM16は、撮像部15から出力されるデジタル電気信号や、画像処理部19による処理中の画像データ等を一時的に記憶する。このSDRAM16は、後述の表示制御部11bが各種表示画像を作成する際にも使用される。また、表示駆動部17は、エンコーダやD/Aコンバータ等を有して、後述の表示制御部11bにより作成された各種表示画像、その他の各種情報を表示部18に表示させるためのドライバである。
【0029】
画像処理部19は、撮像部15から出力されるデジタル電気信号に対して画素補間処理、色補正処理、ガンマ処理等の各種の画像処理を施すとともに、記録用、表示用等に適した画像データに変換する処理を行う。この画像処理部19は、後述するように画質調整用の調整項目に含まれるコントラスト、明るさ、周辺光量、アウトフォーカス、色等のパラメータが増加または減少するように設定された場合には、設定されたパラメータに従い対応する画像処理を行うように制御される。圧縮伸長部20は、撮影画像の画像データを画像記憶部22に記録する際、あるいは画像記憶部22に記録されている画像データを表示する際等において、周知のJPEG方式等に基づく画像データの圧縮処理や伸長処理を行う。
【0030】
記録・再生部21は、画像記憶部22に対する画像データの書き込みや画像記憶部22からの画像データの読出しを行うためのものであり、画像記憶部22の種類に応じたものが用いられる。ここで、画像記憶部22は、例えばxD−ピクチャーカード(登録商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等のカメラ本体に着脱自在な記録媒体や、HDDである。
【0031】
ここで、本実施の形態の制御部11は、ユーザインタフェース用プログラムにより実行される機能として、画質調整制御部11aと表示制御部11bと操作検出部11cとの各機能部を備える。操作検出部11cは、ユーザによる操作入力を検出するための機能部である。特に、本実施の形態では、表示部18に重ねて配設されたタッチパネル14を備えている。このタッチパネル14は、ユーザによるドラッグ操作等を含むタッチ操作を受けてそのタッチ箇所を特定することで、各種の指示入力を行わせるための周知のユーザインタフェースデバイスである。よって、操作検出部11cは、このタッチパネル14に対するユーザのタッチ操作や操作部13に対するユーザの操作を検出する。また、本実施の形態の操作検出部11cは、タッチパネル14との組み合わせにおいて、タッチパネル14に対するタッチ箇所での押圧継続時間あるいは押圧力の検出も可能に構成されている。
【0032】
また、表示制御部11bは、表示部18に表示させる画像を作成するための機能部である。すなわち、表示制御部11bは、撮影モードにあっては撮影画像としてライブビュー画像を作成し、再生モードにあっては記録済みの撮影画像を用いて再生画像を作成する。加えて、表示制御部11bは、詳細は後述するが、表示部18の画面に取扱い対象となるコンテンツである撮影画像の画質調整用の調整項目を複数表示させるパレット付き画像を作成するためのものである。
【0033】
また、画質調整制御部11aは、タッチパネル14に対するユーザのドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い画質調整用の調整項目のパラメータ(条件)を設定するための品質調整制御部として機能する機能部である。この画質調整制御部11aは、詳細は後述するが、タッチパネル14上でドラッグ操作の対象となった調整項目を画質調整の項目に設定し、さらにこの調整項目がドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定する機能を実行する。
【0034】
ここで、表示部18の画面に表示される撮影画像を対象とする本実施の形態の画質調整用の調整項目について説明する。本実施の形態では、撮影画像の画質調整用の調整項目として、明るさ、コントラスト、アウトフォーカス、シャッター速、周辺光量、色(赤)、色(緑)、色(青)の各項目が用意されている。このうち、シャッター速は、撮像部15におけるシャッター速度を規定するパラメータであり、撮影時に撮像部15が対応する処理を行うため、撮影モード専用の調整項目とされている。このシャッター速のパラメータにおいては、「増加」はシャッター速度がより低速に設定され、「減少」はシャッター速度がより高速に設定される。
【0035】
また、シャッター速以外の調整項目は、いずれも画像処理部19が対応する処理を行うものであり、撮影モード、再生モードのいずれにも共用の調整項目とされている。このうち、明るさのパラメータは、増加させるほど明るくなるように設定されている。また、コントラストのパラメータは、増加させるほどコントラストが強くなるように設定されている。周辺光量のパラメータは、増加させるほど画面周辺が暗くなるように設定されている。アウトフォーカスの処理は、例えば、合焦領域以外の領域に関して隣接する画素を加算することで意図的に解像度を低下させるような処理である。このアウトフォーカスのパラメータは、増加させるほどボケるように設定されている。さらに、色(赤)、色(緑)、色(青)は、いわゆるRGBの3原色に関する項目であり、このパラメータは、増加させるほど各色成分の割合が増加するように設定されている。
【0036】
また、これらの調整項目に関して、アウトフォーカス、シャッター速、周辺光量は、撮影画像の全体を対象とする全体調整用の調整項目である。一方、明るさ、コントラスト、色(赤)、色(緑)、色(青)は、撮影画像中で指定された特定領域の画像を対象とする部分調整用の調整項目である。
【0037】
また、これらの調整項目に関するユーザ操作に伴う増加または減少のパラメータ変化量は、プログラムデータ記憶部12中のテーブル12aに予め設定されている。図4は、テーブル12aに設定されている調整項目毎のパラメータ(条件)の変化量の一例を示す説明図である。すなわち、ユーザ操作に伴う1ステップ分の変化量は、シャッター速、明るさ、周辺光量に関しては0.5EV、色、コントラストに関しては2dB、アウトフォーカスに関しては1絞り分ずつ(F8→F5.6→F4→F2.8→F2)の如く設定されている。
【0038】
また、ユーザの1回のドラッグ操作によるパラメータ変化量は、基本的には、1ステップ分に設定されているが、本実施の形態で、ドラッグ操作の始点における押圧継続時間または押圧力に応じてユーザの1回のドラッグ操作によるパラメータ変化量が2ステップ分や3ステップ分に拡大されるように設定されている。すなわち、図4のテーブル12aに示すように、ユーザの1回のドラッグ操作によるパラメータ変化量は、押圧継続時間が0.5sec以下の場合には1ステップ、0.5〜1.0secの場合には2ステップ、1.0sec以上の場合には3ステップ分ずつとなるように設定されている。あるいは、ユーザの1回のドラッグ操作によるパラメータ変化量は、押圧力が0.5N以下の場合には1ステップ、0.5〜2Nの場合には2ステップ、2N以上の場合には3ステップ分ずつとなるように設定されている。なお、上記押圧力の変化によるパラメータ設定は、搭載されるタッチパネル14が押圧力検出可能なタイプである場合に有効となる。
【0039】
つぎに、本実施の形態における画質調整制御部11a、表示制御部11bおよび操作検出部11cによる表示部18の表示制御および操作例を説明する。なお、本実施の形態においては、表示部18の画面の右上にモード切換えボタン14aが常に表示され、このモード切換えボタン14aを押下すると図示しないメニュー画面が表示され、所望のモードの選択設定が可能とされている。そして、選択設定されたモード画面においては、モード切換えボタン14a部分に現在のモード名が表示されるとともに、この状態でモード切換えボタン14aを押下すると再びメニュー画面の表示に戻り、モードの選択切換えが可能とされている。
【0040】
ここで、本実施の形態に関係するモードとしては、パレット表示モード、パレット非表示モード、撮影モード、再生モード等が予め用意されている。前述の図1の表示部18の画面表示例は、パレット非表示の通常の撮影モード時を示し、ライブビュー画像が表示されている。
【0041】
ついで、図5は、パレット表示モードにおいて撮影モードに設定された場合の表示部18の画面表示例を示す模式図である。表示部18の画面に表示される、調整項目の集合をパレット(palette)と呼ぶ。このモードにおいては、表示制御部11bは、表示部18に撮影用パレット付きライブビュー画像を表示させる。すなわち、表示制御部11bは、撮影モードの設定に従い、表示部18に撮影画像として被写体視認用のライブビュー画像31を全面的に表示させる。なお、モード切換えボタン14aの表示は、撮影モードを示す「REC」となる。同時に、表示制御部11bは、パレット表示モードの設定に従い、表示されているライブビュー画像31の画質調整用の調整項目として撮影用の調整項目をライブビュー画像31の一部に重畳させて撮影用パレット32により複数表示させる。
【0042】
この撮影用パレット32は、撮影用の調整項目として、例えば、明るさ、コントラスト、アウトフォーカス、シャッター速、周辺光量の各項目を含む。ここで、撮影用パレット32は、これらの各項目を集合化したものであり、表示中のライブビュー画像31の画面の底辺中央付近に横一列に配列させた5つの円形状のオブジェクト(以下、これらを「ピース」と呼ぶ)32a〜32eからなる。ピース32aには明るさ、ピース32bにはコントラスト、ピース32cにはアウトフォーカス、ピース32dにはシャッター速、ピース32eには周辺光量の調整項目がそれぞれ割り当てられている。また、各ピース32a〜32eの大きさは、例えば指先によるタッチ操作(ドラッグ操作)に適した大きさとされている。すなわち、撮影用パレット32は、ライブビュー画像31の視認性を極力損なわない配置、大きさでライブビュー画像31上に表示される。
【0043】
なお、各ピース32a〜32eの形状は、円形状に限らず、適宜形状でよく、また、全て同一形状である必要はなく、個々に形状が異なっていてもよい。さらには、ピース32a〜32e毎に異なる色表示としてもよい。本実施の形態では、全て円形状で同一色のピース32a〜32eを用いることにより、プレーンな撮影用パレット32の表示としている。
【0044】
ここで、各ピース32a〜32eに割り当てられた調整項目の内容は、オブジェクト化された撮影用パレット32の表示を見ただけでは分からない。そこで、本実施の形態では、それぞれのピース32a〜32eにタッチ操作(ドラッグ操作)した場合に割り当てられている調整項目の内容がわかるようにピース32a〜32e毎に表示されるアイコンが用意されている。図6は、それぞれのピース32a〜32eにタッチ操作(ドラッグ操作)した場合に表示されるアイコン33a〜33eの一例を示す説明図である。これらアイコン33a〜33eは、それぞれの調整項目をイメージ表現したものであり、タッチ操作した指に隠れないように、各ピース32a〜32eのすぐ上の位置に表示されるように設定されている。
【0045】
ついで、図7は、パレット表示モードにおいて再生モードに設定された場合の表示部18の画面表示例を示す模式図である。このモードにおいては、表示制御部11bは、表示部18に再生用パレット付き撮影画像を表示させる。すなわち、表示制御部11bは、再生モードの設定に従い、表示部18に撮影画像として記録済みの撮影画像36を全面的に表示させる。なお、モード切換えボタン14aの表示は、再生モードを示す「PLAY」となる。同時に、表示制御部11bは、パレット表示モードの設定に従い、表示されている撮影画像36の画質調整用の調整項目として再生用の調整項目を撮影画像36の一部に重畳させて再生用パレット37により複数表示させる。
【0046】
この再生用パレット37は、再生用の調整項目として、例えば、明るさ、コントラスト、アウトフォーカス、周辺光量の各項目を含む。ここで、再生用パレット37は、これらの各項目を集合化したものであり、表示中の撮影画像36の画面の底辺中央付近に横一列に配列させた4つの形状のピース37a〜37dからなる。ピース37aには明るさ、ピース37bにはコントラスト、ピース37cにはアウトフォーカス、ピース37dには周辺光量の調整項目がそれぞれ割り当てられている。また、各ピース37a〜37dの大きさは、ピース32a〜32eの場合と同様、例えば指先によるタッチ操作(ドラッグ操作)に適した大きさとされている。また、ピース37a〜37d毎にピース32a〜32eの場合と同様に対応するアイコンが用意されている。
【0047】
つぎに、パレット表示モードにおける撮影モードの場合を例にとり、画質調整のための操作例について説明する。なお、再生モードの場合については、撮影モードの場合と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
図8は、シャッター速を増加させる操作例を示す説明図である。例えば、図5に相当する図8(a)に示す撮影用パレット付きライブビュー画像の表示状態において、シャッター速なる調整項目に対応するピース32d部分に指をタッチすることでドラッグ操作を開始する。この操作に従い、表示制御部11bは、図8(b)に示すように、ピース32d部分のすぐ上にアイコン33dを表示させる。これにより、ドラッグ操作の対象になった調整項目(この場合、シャッター速)がアイコン33dの形態に変更して表示される。よって、ドラッグ操作しようとして選択した調整項目の内容が明確となる。
【0049】
ついで、ドラッグ操作している指を図8(c)に示すように、撮影用パレット32よりも上方の位置まで移動させて画面から指を離しドラッグ操作を終える。この場合、撮影用パレット32部分からドラッグ操作が開始されてその方向が上向きであればよく、その方向やドラッグ操作量は適宜である。よって、ドラッグaのような斜め上方へ向けた長いドラッグ操作であっても、ドラッグbのような真上方向に向けた短いドラッグ操作であってもよい。上方へのドラッグ操作が、対応するパラメータを増加させるための操作となるので、感覚的に分かりやすい操作となる。
【0050】
このようなドラッグ操作の場合、ドラッグ操作の始点Dsがピース32d(調整項目)であり、終点Dlが上方の画面中である。よって、タッチパネル14、操作検出部11cによるこのような検出結果に基づき、画質調整制御部11aは、ドラッグ操作の対象となったピース32dの調整項目であるシャッター速を画質調整の項目に設定する。さらに画質調整制御部11aは、ピース32dがドラッグ操作の始点Dsであるのでシャッター速のパラメータを増加させるように設定する。例えば、現在のシャッター速が1/125secの場合であれば、1ステップ分の増加(すなわち、+0.5EV)により、シャッター速が1/90secとなるように増加設定(低速化)される。
【0051】
撮像部15は、画質調整制御部11aにより設定されたシャッター速に従い、撮影動作を実行しライブビュー画像31として表示部18に表示させる。よって、ユーザは、シャッター速の増加指示後のライブビュー画像31を見ることにより、所望通りのシャッター速となっているかを感覚的に確認することができる。これにより、シャッター速を設定通りとする、元に戻す、さらに増加させる等の対応が採れる。その後、レリーズボタン13a押下により撮影指示があると、最終的に設定されたシャッター速で撮影が実行される。
【0052】
なお、上述のドラッグ操作において、例えば図9に示すドラッグ操作の始点Dsとなるピース32dの位置での押圧継続時間を長くすると、画質調整制御部11aは、テーブル12aを参照して、1回のドラッグ操作により増加させるパラメータの変化量を大きく設定する。例えば、0.5sec以下であれば、上述したように、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、1ステップ分の+0.5EVとなる。しかし、0.5〜1.0sec程度の時間押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、2ステップ分の+1EVとなる。また、1.0sec以上の時間押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、3ステップ分の+1.5EVとなる。よって、シャッター速を例えば1/125secから1/30secに一気に変化させることができる。これにより、増加量の設定も、簡単な操作で行うことができる。
【0053】
これは、押圧継続時間でなく、押圧力の場合も同様である。すなわち、上述のドラッグ操作において、例えば図9に示すドラッグ操作の始点Dsとなるピース32dの位置での押圧力を大きくすると、画質調整制御部11aは、テーブル12aを参照して、1回のドラッグ操作により増加させるパラメータの変化量を大きく設定する。例えば、0.5N以下であれば、上述したように、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、1ステップ分の+0.5EVとなる。しかし、0.5〜2N程度の押圧力で押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、2ステップ分の+1EVとなる。また、2N以上の押圧力で押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、3ステップ分の+1.5EVとなる。よって、シャッター速を例えば1/125secから1/30secに一気に変化させることができる。これにより、一度に大きな増加量の設定も、簡単な操作で行うことができる。
【0054】
図10は、シャッター速を減少させる操作例を示す説明図である。例えば、図5に示す撮影用パレット付きライブビュー画像が表示されたタッチパネル14上で撮影用パレット32以外の任意の位置に指をタッチすることでドラッグ操作を開始する。この操作に従い、表示制御部11bは、図10(a)に示すように、撮影用パレット32の各ピース32a〜32eを対応するアイコン33a〜33eの形態に変更して表示させる。これにより、ドラッグ操作により選択しようとする調整項目の内容が明確となる。
【0055】
ついで、ドラッグ操作している指を図10(b)に示すように、所望の調整項目に相当するアイコン、例えばアイコン33dの位置まで移動させて画面から指を離しドラッグ操作を終える。この場合、ドラッグ操作の方向が下向きであって撮影用パレット32部分で終わればよく、その方向やドラッグ操作量は適宜である。よって、ドラッグcのような真下方向に向けた短いドラッグ操作であってもよく、ドラッグdのような斜め下方へ向けた長めのドラッグ操作であってもよい。下方へのドラッグ操作が、対応するパラメータを減少させるための操作となるので、感覚的に分かりやすい操作となる。
【0056】
このようなドラッグ操作の場合、ドラッグ操作の始点Dsが上方の画面中であり、終点Dlがアイコン33d(調整項目)である。よって、タッチパネル14、操作検出部11cによるこのような検出結果に基づき、画質調整制御部11aは、ドラッグ操作の対象となったピース32dの調整項目であるシャッター速を画質調整の項目に設定する。さらに画質調整制御部11aは、ピース32dがドラッグ操作の終点Dlであるのでシャッター速のパラメータを減少させるように設定する。例えば、現在のシャッター速が1/125secの場合であれば、1ステップ分の減少(すなわち、−0.5EV)により、シャッター速が1/180secとなるように減少設定(高速化)される。
【0057】
撮像部15は、画質調整制御部11aにより設定されたシャッター速に従い、撮影動作を実行しライブビュー画像31として表示部18に表示させる。よって、ユーザは、シャッター速の減少指示後のライブビュー画像31を見ることにより、所望通りのシャッター速となっているかを感覚的に確認することができる。これにより、シャッター速を設定通りとする、元に戻す、さらに減少させる等の対応が採れる。その後、レリーズボタン13a押下により撮影指示があると、最終的に設定されたシャッター速で撮影が実行される。
【0058】
なお、上述のドラッグ操作において、例えば図11に示すドラッグ操作の始点Dsでの押圧継続時間を長くすると、画質調整制御部11aは、テーブル12aを参照して、1回のドラッグ操作により減少させるパラメータの変化量を大きく設定する。例えば、0.5sec以下であれば、上述したように、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、1ステップ分の−0.5EVとなる。しかし、0.5〜1.0sec程度の時間押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、2ステップ分の−1EVとなる。また、1.0sec以上の時間押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、3ステップ分の−1.5EVとなる。よって、シャッター速を例えば1/125secから1/500secに一気に変化させることができる。これにより、減少量の設定も、簡単な操作で行うことができる。
【0059】
これは、押圧継続時間でなく、押圧力の場合も同様である。すなわち、上述のドラッグ操作において、例えば図11に示すドラッグ操作の始点Dsとなるピース32dの位置での押圧力を大きくすると、画質調整制御部11aは、テーブル12aを参照して、1回のドラッグ操作により増加させるパラメータの変化量を大きく設定する。例えば、0.5N以下であれば、上述したように、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、1ステップ分の−0.5EVとなる。しかし、0.5〜2N程度の押圧力で押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、2ステップ分の−1EVとなる。また、2N以上の押圧力で押圧してからドラッグ移動させると、1回のドラッグ操作によるシャッター速の変化量は、3ステップ分の−1.5EVとなる。よって、シャッター速を例えば1/125secから1/30secに一気に変化させることができる。これにより、減少量の設定も、簡単な操作で行うことができる。
【0060】
図12は、明るさを増加させる操作例を示す説明図である。例えば、図5に示す撮影用パレット付きライブビュー画像の表示状態において、明るさなる調整項目に対応するピース32a部分に指をタッチすることでドラッグ操作を開始する。この操作に従い、表示制御部11bは、図12(a)に示すように、ピース32a部分のすぐ上にアイコン33aを表示させる。これにより、ドラッグ操作の対象になった調整項目(この場合、明るさ)がアイコン33aの形態に変更して表示される。これにより、ドラッグ操作しようとして選択した調整項目の内容が明確となる。
【0061】
ついで、ドラッグ操作している指を図12(a)に示すように、ライブビュー画像31中で調整しようとする所望の被写体部分(例えば、森)まで移動させて画面から指を離しドラッグ操作を終える。この場合、調整項目である明るさは、部分調整用であるから、画質調整制御部11aは、ドラッグ操作の終点Dlとなった被写体部分を、特定領域31aとして設定し、明るさ調整を行う画像範囲とする。このような特定領域31aの設定に伴い、表示制御部11bは、図12(b)に示すように、特定領域31aが他の部分と識別されるように表示させる。この識別表示には、例えばハッチング表示が用いられる。よって、特別な操作なしで、画質調整が行われる特定領域31aの範囲を確認することができる。このような特定領域31aの識別表示は、所定時間後(例えば、1sec後)にはなくすようにしてもよい。特定領域としては、終点Dlの箇所と同一の色相や輝度を有する広い範囲が設定される。ただし、指示に応じて、終点Dlの箇所を中心とした一定サイズの範囲(円形や正方形)を特定範囲とするようにしてもよい。
【0062】
このようなドラッグ操作の場合、ドラッグ操作の始点Dsがピース32a(調整項目)であり、終点Dlが上方の画面中であり、特定領域31aが調整対象範囲となる。よって、画質調整制御部11aは、ドラッグ操作の対象となったピース32aの調整項目である明るさを画質調整の項目に設定する。さらに画質調整制御部11aは、ピース32aがドラッグ操作の始点Dsであるので明るさのパラメータを増加させるように設定する。よって、画像の所望の特定領域31aのみの画質を調整する指示も、一連の操作で簡単に行うことができる。
【0063】
画像処理部19は、画質調整制御部11aにより設定された明るさに従い、特定領域31a部分に対して画像処理を実行し結果をライブビュー画像31として表示部18に表示させる。よって、ユーザは、明るさの増加指示後の図12(b)に示すようなライブビュー画像31を見ることにより、特定領域31a部分が所望通りの明るさとなっているかを感覚的に確認することができる。これにより、特定領域31a部分の明るさを設定通りとする、元に戻す、さらに増加させる等の対応が採れる。その後、レリーズボタン13a押下により撮影指示があると、撮影画像中の特定領域31a部分の明るさに関して最終的に設定された明るさとなるように画像処理が実行される。
【0064】
なお、このような部分調整の場合において、明るさを減少させたい場合には、所望の被写体部分、例えば森がドラッグ操作の始点Dsとなるようにタッチしてから、ピース32a部分が終点Dlとなるように操作すればよい。また、増加させる場合でも減少させる場合でも、ドラッグ操作の始点Dsでの押圧継続時間や押圧力を変えることで、1回のドラッグ操作によるパラメータの変化量を大きくすることができる。
【0065】
図13は、アウトフォーカスを増加させる操作例を示す説明図である。操作手順は、図8や図12で説明した場合と同様であり、図13(a)は、ライブビュー画像31が表示されている画面において、ピース32cを始点Dsとしてアウトフォーカスを増加させるドラッグ操作を行った場合を示している。
【0066】
この場合、画像処理部19は、画質調整制御部11aにより設定されたアウトフォーカスのパラメータに従い、ライブビュー画像31に対して合焦領域以外の領域(画面の周辺)の解像度を低下させる画像処理を実行する。そして、画像処理部19は、その結果を図13(b)に示すように処理後のライブビュー画像31bとして表示部18に表示させる。
【0067】
図14は、パレット表示の変形例を示す説明図である。例えば、撮影用パレット付きライブビュー画像における撮影用パレット41としては、図14に示すように、部分調整項目用のピース41a,41bと、全体調整項目用のピース41c〜41eとで、ピース形状や色を異ならせてもよい。これにより、部分調整項目用と全体調整項目用との区別が明確になり、操作しやすくなる。
【0068】
図15は、パレット表示の別の変形例を示す説明図である。上述では、撮影用パレット付きライブビュー画像における撮影用パレット32としては、5種類の項目例の場合で説明した。しかし、調整項目に色(赤)、色(緑)、色(青)を含み、項目数が増えて表示部18に一度に表示しきれない場合には、図15(a)に示すように、横一列に配列されたピース32a〜32hについて左右方向のスクロール操作で撮影用パレット32をスクロール移動させて、所望のパレットが出現し選択できるようにしてもよい。あるいは、図15(b)に示すように、ピース32a〜32hのうちの両側一部を2列に配列させることで、一度に表示できるようにしてもよい。これによれば、ライブビュー画像31の視認性を極力損なわないものとなる。
【0069】
つづいて、上述したような表示制御および操作を実現するための制御部11による動作制御例について説明する。図16および図17は、制御部11により実行される動作制御例を示す概略フローチャートである。図示しないパワースイッチが投入されると、表示部18に図示しないメニュー画面が表示され、各種のモード設定が可能とされる。まず、撮影モードが指示されたか否かを判定する(ステップS10)。撮影モードが指示された場合には(ステップS10:Yes)、次に、パレット表示モードが指示されたか否かを判定する(ステップS11)。パレット表示モードが指示されていない場合には(ステップS11:No)、撮影モードで通常の操作モードに移行する(ステップS12)。この通常の操作モードの処理内容については公知の内容であるので省略する。
【0070】
一方、パレット表示モードが指示された場合には(ステップS11:Yes)、表示制御部11bは、表示部18に撮影用パレット付きライブビュー画像を表示させる(ステップS13)。図5に示した表示例が相当する。
【0071】
この画面表示において、撮影用パレット32に関して指示操作があったか否かを判定する(ステップS14)。指示操作があった場合には(ステップS14:Yes)、指示操作に従い、画質調整制御部11aおよび表示制御部11bは、パレット操作を実行する(ステップS15)。このパレット操作については、図17を参照して後述する。
【0072】
指示操作がない場合(ステップS14:No)や、パレット操作が終了した後は、レリーズボタン13a押下による撮影操作指示があったか否かを判定する(ステップS16)。撮影操作指示があった場合には(ステップS16:Yes)、撮像部15や画像処理部19は、設定されている画質調整条件あるいは新たに設定された画質調整条件に従い、撮影処理を実行する(ステップS17)。撮影操作指示がない場合(ステップS16:No)や、撮影処理が終了した後は、モード切換えボタン14aの操作により再生モードへの切換え指示があったか否かを判定する(ステップS18)。モード切換え指示がなければ(ステップS18:No)、パワースイッチのオフ指示操作があったか否かを判定する(ステップS19)。オフ指示操作があった場合には(ステップS19:Yes)、処理を終了する。オフ指示操作がなければ(ステップS19:No)、モード切換えボタン14aの操作によりパレット非表示モードへの切換え指示があったか否かを判定する(ステップS20)。切換え指示があれば(ステップS20:Yes)、ステップS12へ移行し、切換え指示がなければ(ステップS20:No)、ステップS14へ移行する。また、ステップS18で再生モードへの切換え指示が検出された場合には、ステップS32へ移行する。
【0073】
また、ステップS10で撮影モードの指示がなかった場合、再生モードへ移行する(ステップS30)。ここでも、パレット表示モードが指示されたか否かを判定する(ステップS31)。パレット表示モードが指示されていない場合には(ステップS31:No)、再生モードで通常の操作モードに移行する(ステップS12)。この通常の操作モードの処理内容については公知の内容であるので省略する。そして、パレット表示モードが指示された場合には(ステップS31:Yes)、表示制御部11bは、表示部18に再生用パレット付き撮影画像を表示させる(ステップS32)。図7に示した表示例が相当し、特に、初期画面では、撮影直後の最新の撮影画像36を表示させる。
【0074】
この画面表示において、再生用パレット37に関して指示操作があったか否かを判定する(ステップS33)。指示操作があった場合には(ステップS33:Yes)、指示操作に従い、画質調整制御部11aおよび表示制御部11bは、パレット操作を実行する(ステップS34)。このパレット操作については、図17を参照して後述する。
【0075】
指示操作がない場合(ステップS33:No)や、パレット操作が終了した後は、表示されている撮影画像(再生画像)に関して切換え指示があったか否かを判定する(ステップS35)。切換え指示があった場合には(ステップS35:Yes)、切換え指示に従い、表示すべき画像を画像記憶部22から読出して表示させる(ステップS36)。切換え操作指示がない場合(ステップS35:No)や、読出し表示処理が終了した後は、モード切換えボタン14aの操作により撮影モードへの切換え指示があったか否かを判定する(ステップS37)。モード切換え指示があれば(ステップS37:Yes)、ステップS13へ移行する。モード切換え指示がなければ(ステップS37:No)、パワースイッチのオフ指示操作があったか否かを判定する(ステップS38)。オフ指示操作があった場合には(ステップS38:Yes)、処理を終了する。オフ指示操作がなければ(ステップS38:No)、モード切換えボタン14aの操作によりパレット非表示モードへの切換え指示があったか否かを判定する(ステップS40)。切換え指示があれば(ステップS40:Yes)、ステップS12へ移行し、切換え指示がなければ(ステップS40:No)、ステップS33へ移行する。
【0076】
つぎに、ステップS15によるパレット操作について、図17を参照して説明する(ステップS34の場合も同様であり、説明を省略する)。まず、ユーザのドラッグ操作に伴う始点Dsの位置を検出する(ステップS51)。そして、検出された始点Dsの位置が、撮影用パレット32へのタッチにより検出された位置であるか否かを判定する(ステップS52)。図10(a)に示したように、検出された始点Dsの位置がパレットへのタッチによるものではない場合(ステップS52:No)、表示制御部11bは、撮影用パレット32のピース32a〜32eを全てアイコン33a〜33eの形態による表示に切換える(ステップS53)。図10(a)に示した表示例が相当する。
【0077】
一方、図8(a)に示したように、検出された始点Dsの位置がピースへのタッチによるものである場合(ステップS52:Yes)、表示制御部11bは、タッチされたピース、例えばピース32d部分のすぐ上にアイコン33dを表示させる(ステップS54)。図8(b)に示した表示例が相当する。
【0078】
さらに、ドラッグ操作の始点Dsにおける押圧継続時間(または、押圧力)を検出する(ステップS55)。その後、ユーザの指が画面から離れてドラッグ操作が終了したら、そのドラッグ操作の終点Dlの位置を検出する(ステップS56)。
【0079】
このように検出されたドラッグ操作において、選択されたピースが、部分調整タイプであるか否かを判定する(ステップS57)。明るさ等のように部分調整タイプであれば(ステップS57:Yes)、画質調整制御部11aは、ドラッグ操作の始点Dsまたは終点Dlの位置に従い、画質調整を行う画像範囲となる特定領域31aを設定する(ステップS58)。また、表示制御部11bは、設定された特定領域31aが他の部分と識別されるように表示させる。図12に示した表示例が相当する。
【0080】
ついで、検出されたドラッグ操作が、ピースを始点Dsとする操作であったか否かを判定する(ステップS59)。ピースを始点Dsとするドラッグ操作であった場合には(ステップS59:Yes)、画質調整制御部11aは、調整の変化方向をパラメータを増加させる方向に設定する(ステップS60)。一方、ピースを始点Dsとせず終点Dlとするドラッグ操作であった場合には(ステップS59:No)、画質調整制御部11aは、調整の変化方向をパラメータを減少させる方向に設定する(ステップS61)。さらに、画質調整制御部11aは、ステップS55で検出された押圧継続時間(または、押圧力)に応じて変化量(変化させるステップ量)を、テーブル12aを参照して設定する(ステップS62)。
【0081】
このようにして画質調整制御部11aにより設定された画質調整用の調整項目のパラメータに従い、撮像部15や画像処理部19を制御することで、ライブビュー画像31に対して画質調整処理を実行させる(ステップS63)。そして、画質調整されたライブビュー画像31を表示部18に表示させる(ステップS64)。また、表示制御部11bは、ステップS53やステップS54で切換え表示させたアイコン表示を通常のパレット表示に切換える(ステップS65)。
【0082】
このようにして、本実施の形態によれば、小型の携帯機器であるデジタルカメラ1への適用に好適で優れた操作環境を実現することができる。特に、画質調整制御部11aが、ドラッグ操作の対象となった調整項目を画質調整の項目に設定し、さらにこの調整項目がこのドラッグ操作の始点Dsであるか終点Dlであるかによってこの調整項目のパラメータを増加させるか減少させるかを設定するので、一般ユーザであっても、極めて分かりやすいドラッグ操作で、簡単に調整項目の設定およびそのパラメータの増減設定を行うことができる。
【0083】
また、撮影画像として被写体視認用のライブビュー画像31を表示させる場合には、画質調整用の調整項目として撮影用の調整項目を表示させるので、撮影モード時にはライブビュー画像31を見ながら簡単に画質調整を行うことができる。
【0084】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。本実施の形態は、デジタルカメラ1への適用例で説明したが、パソコンに付属のカメラ部や携帯電話のカメラ部等に適用してもよい。さらには、画像再生用のタッチパネル付き表示装置に適用してもよい。
【0085】
また、取り扱うコンテンツを撮影画像とする小型の携帯機器に限らない。例えば、取り扱うコンテンツが音楽や音声であり、タッチパネル付き表示部を備える携帯用の音楽/音声の記録または再生機器に適用してもよい。この場合、タッチパネル付き表示部に表示させるコンテンツの品質調整用の調整項目は、音楽/音声の音質調整用の調整項目とすればよい。図18に音質調整用の調整項目の一例を示す。すなわち、再生音量、高音、低音、録音レベル、曲切換えを、音楽/音声の音質調整用の調整項目(パラメータ)とする。そして、曲切換えについては、増加指示に従い、1曲先の曲に切換え、他の項目に関しては、増加指示に従いそれぞれのパラメータを3dB単位で大きくなるように設定させる。減少指示の場合は、1曲後の曲に切換え、他の項目に関しては、減少指示に従いそれぞれのパラメータを3dB単位で小さくなるように設定させる。
【0086】
また、本実施の形態では、例えば、図16および図17に示すような各処理機能について、図3に示すブロック図では、表示制御等については制御部11によるソフトウェアによって処理するように説明したが、構成の具体例はこれに限るものではない。これらの処理を、ハードウェア処理とソフトウェア処理のいずれか一方あるいは適宜組み合わせて行なうことは設計事項である。
【0087】
そして、実施の形態の全てあるいは一部がソフトウェア処理で処理が実行される場合には、制御部11がフラッシュメモリ等のプログラムデータ記憶部12に格納されたユーザインタフェース用プログラムを読み出して実行されることで、かかるソフトウェア処理が実現されるので、このようなソフトウェア処理に関するユーザインタフェース用プログラムも本発明となる。また、このようなユーザインタフェース用プログラムが記録された記録媒体も本発明となる。なお、プログラムを格納する記録媒体としては、フラッシュメモリに限定されるものではなく、CD−ROM、DVD−ROM等の光学記録媒体、MD等の磁気記録媒体、テープ媒体、ICカードなどの半導体メモリであってもよい。さらに、ユーザインタフェース用プログラムとしては、ネットワークを介して外部の記録媒体から入手されるもの、例えば、ホームページからダウンロードされるものも当然含まれる。このような場合には、ユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の範囲に含まれるものである。
【0088】
さらに、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を適宜変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を構成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、あるいは、異なる構成要素を適宜組合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成例を示す背面図である。
【図2】デジタルカメラの把持や操作の態様の一例を示す背面図である。
【図3】デジタルカメラのシステム構成例を示すブロック図である。
【図4】テーブルに設定されている調整項目毎のパラメータの変化量の一例を示す説明図である。
【図5】パレット表示モードにおいて撮影モードに設定された場合の表示部の画面表示例を示す模式図である。
【図6】それぞれのピースにタッチ操作した場合に表示されるアイコンの一例を示す説明図である。
【図7】パレット表示モードにおいて再生モードに設定された場合の表示部の画面表示例を示す模式図である。
【図8】シャッター速を増加させる操作例を示す説明図である。
【図9】増加させる変化量を変更させる操作例を示す説明図である。
【図10】シャッター速を減少させる操作例を示す説明図である。
【図11】減少させる変化量を変更させる操作例を示す説明図である。
【図12】明るさを増加させる操作例を示す説明図である。
【図13】アウトフォーカスを増加させる操作例を示す説明図である。
【図14】パレット表示の変形例を示す説明図である。
【図15】パレット表示の別の変形例を示す説明図である。
【図16】動作制御例を示す概略フローチャートである。
【図17】パレット操作のサブルーチンを示す概略フローチャートである。
【図18】音楽/音声の音質調整用の調整項目例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1 デジタルカメラ
11a 画質調整制御部
11b 表示制御部
14 タッチパネル
18 表示部
31 ライブビュー画像
31a 特定領域
32 撮影用パレット
32a〜32h ピース
36 撮影画像
37 再生用パレット
37a〜37d ピース
41 撮影用パレット
41a〜41e ピース
Ds 始点
Dl 終点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
該表示部に重なるように配設されたタッチパネルと、
前記表示部の画面に取扱い対象となるコンテンツの品質調整用の調整項目を複数表示させる表示制御部と、
前記タッチパネルに対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い前記品質調整用の調整項目の条件を設定する品質調整制御部と、
を備え、
前記品質調整制御部は、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目を前記品質調整の項目に設定し、さらに該調整項目が該ドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって該調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定することを特徴とするユーザインタフェース装置。
【請求項2】
前記品質調整制御部は、前記ドラッグ操作の始点における押圧継続時間に応じて増加または減少させる前記調整項目の条件の変化量を設定することを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項3】
前記品質調整制御部は、前記ドラッグ操作の始点における押圧力に応じて増加または減少させる前記調整項目の条件の変化量を設定することを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記コンテンツとして撮影画像が表示される画面の一部に前記品質調整用として画質調整用の調整項目を表示させ、
前記品質調整制御部は、前記表示部に表示されている画像に対して、前記画質調整用の調整項目の条件を設定することを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項5】
前記品質調整制御部は、前記画質調整を行う画像の範囲として、前記ドラッグ操作の始点または終点となった前記撮影画像中の特定領域を設定することを特徴とする請求項4に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記特定領域を識別して表示させることを特徴とする請求項5に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記撮影画像として被写体視認用のライブビュー画像を表示させる場合には、前記画質調整用の調整項目として撮影用の調整項目を表示させることを特徴とする請求項4に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記撮影画像として記録済みの撮影画像を表示させる場合には、前記画質調整用の調整項目として再生用の調整項目を表示させることを特徴とする請求項4に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項9】
前記品質調整制御部は、前記調整項目として、コントラスト、明るさ、周辺光量、アウトフォーカスおよび色の各項目のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記調整項目中で、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目をアイコンの形態に変更して表示させることを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載のユーザインタフェース装置を搭載したことを特徴とするカメラ。
【請求項12】
画像を表示する表示部と、該表示部に重なるように配設されたタッチパネルと、を有するユーザインタフェース装置を用い、
前記表示部の画面に取扱い対象となるコンテンツの品質調整用の調整項目を複数表示させる表示制御ステップと、
前記タッチパネルに対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い前記品質調整用の調整項目の条件を設定する品質調整制御ステップと、
を含み、
前記品質調整制御ステップは、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目を前記品質調整の項目に設定し、さらに該調整項目が該ドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって該調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定することを特徴とするユーザインタフェース方法。
【請求項13】
画像を表示する表示部と、該表示部に重なるように配設されたタッチパネルと、を有するユーザインタフェース装置に、
前記表示部の画面に取扱い対象となるコンテンツの品質調整用の調整項目を複数表示させる表示制御機能と、
前記タッチパネルに対するドラッグ操作を検出し、検出されたドラッグ操作に従い前記品質調整用の調整項目の条件を設定する品質調整制御機能と、
を実行させ、
前記品質調整制御機能は、前記ドラッグ操作の対象となった調整項目を前記品質調整の項目に設定し、さらに該調整項目が該ドラッグ操作の始点であるか終点であるかによって該調整項目の条件を増加させるか減少させるかを設定することを特徴とするユーザインタフェース用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−160581(P2010−160581A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1136(P2009−1136)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】