説明

ライダー装置及び対象物検出方法

【課題】
海上或いは非海上の対象物をより正確に把握することの可能なライダー装置及び対象物検出方法を提供すること。
【解決手段】
本発明に係るライダー装置1は、近・遠紫外パルスレーザー2を非スポット的に射出するレーザー射出部103と、前記レーザー射出部103からのレーザー2が対象物に照射されて返ってくる光を所定の波長幅ごとにフィルタリングするフィルタ107aと、前記フィルタ107aを通過した光を蛍光及び/又は水ラマン散乱光及び/又は弾性散乱光に分けてそれぞれを露光する受光機構106と、前記露光された蛍光及び/又は水ラマン散乱光及び/又は弾性散乱光をそれぞれの画像もしくは合成画像として表示する表示部101と、全体の機器制御を行う制御部101とを具備して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばライダー装置及び対象物検出方法に係り、特に例えば船舶に搭載されて非スポット的にレーザー射出によって対象物から返ってくる光のうち水ラマン散乱光、或いは蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光のうちの任意の二つもしくは全部を用いて対象物の認定や特定を行うライダー装置及び対象物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、例えば、対象物の形状等を測定するにあたり、該対象物にレーザーを照射して反射光を受光することができるライダー装置が提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1では、複数個のフィルタ、受光光学系、光検出器からなる受光手段と、この複数個の光検出器からの複数個の受信信号から蛍光分光特性を形成して、海洋表面の流出油などの計測を行うという技術思想が開示されている。一般に、蛍光のみの分光特性を利用したライダー装置では、流出油以外に多様な材質や、多様な形状もしくは多様な分布が予想される浮遊物や障害物や遭難者等の探索に当たり、特に物体が蛍光を発しない場合や発しても弱い光しか発しない場合に的確に検出できないという問題を有し、正確なデータ収集が極めて困難であった。
【0004】
また、たとえば特許文献2記載のライダー装置では、海面からの反射光、海水深度に対応した散乱光及び蛍光を個別に同時計測したり受光時間差を基にして順次測光したりできるものの、デジタルオシロスコープでの出力表示になるため、2次元画像による対象物の把握は困難である。
【0005】
さらに特許文献3記載のライダー装置では、形状等を有する対象物の測定には不向きである。
【特許文献1】特開2002−022660号公報
【特許文献2】特開平04−069546号公報
【特許文献3】特開2004−301561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術上の問題点を解決するためになされたもので、海上或いは非海上の対象物をより正確に把握することの可能なライダー装置及び対象物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明に係るライダー装置は、紫外パルスレーザーを非スポット的に射出するレーザー射出部と、前記レーザー射出部からのレーザーが対象物に照射されて返ってくる光を所定の波長幅ごとにフィルタリングするフィルタと、前記フィルタを通過した光のうち、蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の全部或いはいずれか2つまたは水ラマン散乱光を露光する受光機構と、前記露光された光を画像として表示する表示部と、全体の機器制御を行う制御部とを具備して構成される。なお、ここでは紫外パルスレーザーとしたが、これは波長域が異なるものの近紫外パルスレーザー(波長380〜200nm)、遠紫外パルスレーザー(波長200〜10nm)の双方に対して適用可能である趣旨である。
【0008】
かかる構成を備えることにより、水ラマン散乱光のみを露光して表示する場合には、水ラマン散乱光の特性を利用した有効な対象物の検出・検知が可能である。すなわち、水ラマン散乱光波長画像では、当該散乱光は水から発光されるものであるため、そうでないものよりも強調表示され、たとえば海面がよりよく視認可能となる。したがって、この性質を利用すれば、たとえば海面に浮かぶ障害物について、背景の海面からの水ラマン散乱光が観測されない部分として、輪郭を認識することができる。
【0009】
さらに、蛍光の露光画像と水ラマン散乱光の露光画像とを組合せて表示する場合には、蛍光波長画像と水ラマン散乱光波長画像とのそれぞれの特徴を生かした上で互いを補完的に用いることでさらに正確な対象物の検出・検知が可能となる。蛍光を露光して表示する場合には、蛍光の特性を利用した有効な対象物の検出・検知が可能である。すなわち、蛍光波長画像では、たとえばブイ、船舶(塗料)、プラスチックボトル、(蛍光発光性)ライフジャケット、合成繊維衣類などの蛍光をより強く発光するものがそうでないものよりも強く表示されることになる。しかもレーザーにより対象物において励起され発光した蛍光は発光方向がほぼ等方的である。したがって蛍光を露光して表示する場合には、蛍光を多く発光させる材質のもの、たとえば(蛍光発光性)ライフジャケットを着用した者(要救助者)、網、プラスチックボトルなど蛍光発光性の強い対象物を容易に捕捉・把握可能となり、海上の安全遂行に一層資することとなる。そこで、たとえば船上で、この蛍光、水ラマン散乱光という2種の画像をスイッチ切り替えにより表示切替すれば、より正確な浮遊物の検知に役立てることになる。海水は、紫外レーザー励起に対して水ラマン散乱光を発光するから、逆に対象が海水でなく、対象物が弾性散乱光、蛍光とも強度が弱い場合でも、観測画像上で、背景の海面からの水ラマン散乱光が観測されない部分として、輪郭を認識することができる。つまり、水ラマン散乱光波長画像を蛍光波長画像の補完的役割を持つものとして利用することができる。たとえば観測者がある特定対象物を発見し、これをもっと詳しく視認したい場合に、両者を切り換えながら表示させ、より精密な対象物の特定に役立てることができる。たとえば岩礁などの場合には、蛍光を発しないので蛍光波長画像には鮮明には映らず、(後述の)弾性散乱光も反射面が対向していない場合には光を得ることができず、画像化しても明確に映らないというような場合に、水ラマン散乱光波長画像によってその存在を認識するのに役立ち得る。したがって、蛍光だけでは必ずしも検出が正確にされない対象であっても、水ラマン散乱光検出と共に用いることで、より安全かつ確実な検出が可能となり、海上安全により資することとなる。
【0010】
また、蛍光の露光画像と弾性散乱光の露光画像とを組合せて表示する場合には、上述の性質を有する蛍光による画像と、弾性散乱光による画像とのそれぞれの特徴を生かした上で互いを補完的に用いることでさらに正確な対象物の検出・検知が可能となる。すなわち、海上ではないがゆえに水ラマン散乱光による画像に基づく対象物捕捉が期待できない場合、この2種の画像をスイッチ切り替えにより表示切替すれば、より正確な対象物の検知に役立てることになる。たとえば陸上の夜間における障害物の場合、かかる障害物が対向して配置されていれば、たとえ蛍光を(微弱にしか)発光しない物質であっても、弾性散乱光による画像が生成されることで、蛍光画像を補完するように使用することが可能となるから、対象物の検出・検知がより正確に行えることとなる。
【0011】
或いは、水ラマン散乱光の露光画像と弾性散乱光の露光画像とを組合せて表示する場合には、上述の性質を有する水ラマン散乱光による画像と、弾性散乱光による画像とのそれぞれの特徴を生かした上で互いを補完的に用いることでさらに正確な対象物の検出・検知が可能となる。すなわち、たとえば水ラマン散乱光画像では光が欠損したように映る対象について弾性散乱光画像を確認するようにして両者を補完的に用いるようにすれば、対象物についてのより詳細な情報を得ることができ、対象物の把握がそれだけ容易・正確になる。
【0012】
また、蛍光の露光画像、水ラマン散乱光の露光画像、弾性散乱光の露光画像を組合せて表示する場合には、これら3つの光のそれぞれの特性を利用した有効な対象物の検出・検知が可能である。すなわち、蛍光波長画像では上述したように、たとえばブイ、船舶、プラスチックボトル、(蛍光発光性)ライフジャケット等の蛍光をより強く発光するものがそうでないものよりも強く表示されることになる。水ラマン散乱光波長画像では上述したように、当該散乱光は水から発光されるものであるため、そうでないものよりも強調表示され、たとえば海面がよりよく視認可能となる。弾性散乱光の観測では上述したように、観測方向に対する散乱面の角度によって観測強度が大きく変化するため、一つの対象物に対して、観測の容易な部分と困難な部分とが生じる。これに対して、レーザー励起蛍光、水ラマン散乱光では発光方向がほぼ等方的であるため、材質がおなじであればどの部分もほぼ一様に観測が可能である。これら異なる性質を持つ3種類の光の画像を同一対象から得るようにすることで、たとえば蛍光画像、水ラマン散乱光画像のみではいま一つ明瞭に映らない対象であっても、弾性散乱光画像を補完的に用いることができ、より対象物の検出・検知が正確にできることになる。
【0013】
また、前記受光機構により露光される光が複数の光の組合せである場合、前記制御部は、露光後の前記複数の光の各々の輝度の比を前記表示部のピクセルごとに求め、該得られた比をピクセルごとのデータとして前記表示部に表示するように構成することもできる。かかる構成によれば、対象物がさらに強調されて表示されるので、対象物をさらに容易に捕捉・把握可能となり、海上の安全遂行に一層資するという効果がさらに飛躍的に達成されることとなる。たとえば一例として、かかる複数の光の組合せとして蛍光及び水ラマン散乱光を選択した場合には、蛍光発光体たる対象物がさらに強調されて表示されるので、(蛍光発光性)ライフジャケットを着用した者(要救助者)、網、ブイなど蛍光発光性の強い対象物を容易に捕捉・把握可能となり、危険因子を除去することに資することができることになる。
【0014】
さらに、前記表示部は、前記露光された光に係る所定の時間間隔ごとの画像を重畳させて表示するように構成しても良い。この構成により、同一方向に関して対象物が断層的に表示されるので、これを視認する者は、かかる方向にある対象物全般を立体的に把握することが可能である。この場合、前記制御部は、前記所定の時間間隔ごとの画像とともに該画像に対応する距離情報を割り出し、前記表示部にこの距離情報も表示させるようにしてもよい。この構成により、視認者はある対象物がほぼどのくらいの距離にあるかを同時に把握することができるので、より正確な対象物の種類とその位置の把握が可能となり、これは安全航行により資することになる。
【0015】
ここで、レーザー射出部とは、電磁波に係る紫外(近紫外・遠紫外を含む。以下同じ。)パルスレーザー、具体的には大気中では速度c/nairで進行する該紫外パルスレーザー(cは真空中の光速(2.9979×10m/s)、nairは大気の絶対屈折率(1.0003))を照射する機能を有するものをいう。
【0016】
海面に照射された紫外パルスレーザーの一部は反射し、一部は海中に透過する。また、一部は水分子を励起し、紫色の水ラマン散乱光を発光させる。さらに、海面に所定の対象物が存在する場合、該対象物に照射された該紫外パルスレーザーの一部は反射し、一部は該対象物を構成する物質を励起し、青色等の蛍光を発光させる。
【0017】
また、フィルタとは、不要な波長の光を除去(フィルタリング)する光学フィルタである。該フィルタは対象物から発せられた所定の光をフィルタリングする。なお、該フィルタはフィルタリングに係る光の波長によって任意に交換可能であり、中心波長及び帯域半値幅は数値限定されることはない。この交換はたとえば、回転軸に直交するホイールの内周に複数のフィルタが配置されたフィルタホイールを該軸周りに回転させるものとして実現してもよい。また、このフィルタはホイール式の他、固定式(複数カメラを使用)として実現することも可能である。
【0018】
また、受光機構は、フィルタ、集光レンズ及びICCDカメラ及び/またはEM―CCDカメラ(カメラコントロールパネルを含む)にて構成され、該フィルタにてフィルタリングされた蛍光及び/または水ラマン散乱光及び/または弾性散乱光を受光する。ここで、ICCDカメラとは、近接型イメージ・インテンシファイア(入射された光学像を光電面で光電子に変換し、光電子の衝突と2次電子放出を利用して光強度を引き上げる素子)とCCDイメージ・センサを一体化したものである。EM−CCDカメラとは、CCDチップ上に電子を増倍する電子増倍機能を持ったCCDカメラであって、これには、ICCDカメラのような短時間露光のゲート機能はないが、光電面の焼き付きがなく、感度分布が均一という特徴がある。
【0019】
また、表示部は、対象物に係るコントラストの2次元画像を映し出すモニター等によって実現されるが、3次元表示も可能である。
【0020】
また、制御部は、全体の機器制御、コントラストの画像処理計算、タイミングの制御、画像切り替え制御等といった諸機能を実現するプログラム、ソフトウェア、かかるソフトウェアを実行可能形式にして記録媒体に搭載したもの、ROM、アルゴリズムを電子回路化したものを含むものとして実現される。
【0021】
また、対象物とは、海上に浮遊するブイ、ペットボトル、プラスチック素材、油脂、流出油、塗料、漁業用網、生簀、ロープ、人間が装着した救命具、係留船舶及びその他の船舶等を含んだ蛍光を発する素材、或いは流木、岩、氷山、流氷及びその他の動植物等を含んだ蛍光は発しない素材のものをいうが、これらに限定されることはない。
【0022】
なお、蛍光を発する素材によって、蛍光中心波長が異なる。例えば、紫外線(355nm)励起の場合、船舶塗料(白色)は400nm〜440nm、ペットボトルは440nm〜460nm、ロープは430nm〜480nm及びライフジャケットは590nm〜630nmとなり得る。
【0023】
上記のように構成されることで、例えば、海面に浮かぶ対象物にレーザー射出部より紫外パルスレーザーが照射され、フィルタにて対象物より返ってくる水ラマン散乱光及び蛍光をフィルタリングし、該受光機構にて該水ラマン散乱光及び蛍光を受光し、ICCDカメラの撮影開始時間のタイミング制御を行い、該水ラマン散乱光及び蛍光の双方の画像を制御部により切り換え可能として表示部に出力するので、使用者は適宜水ラマン散乱光画像と蛍光画像とについて、たとえばペットボトルなど蛍光の発光物質では後者を、岩など非蛍光発光物質では前者を、というように、前者後者を適宜切り換えながら対象物が何であるかを視認することができる。また、同一のものであっても、両画像を見比べることで、より正確な把握を行うことができる。また、上記では蛍光及び水ラマン散乱光の双方を用いる場合を例示し、後述においてもかかる場合を例示するが、本発明の技術思想はこれらの組合せに限定されずに、水ラマン光単独の場合、或いは蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の3光のうちの全部もしくは任意の2つの組合せの場合であっても適用可能である。
【0024】
またこれらの場合、前記表示部は、周波数を所定の小幅で区切り各周波数幅ごとの光の輝度を二次元座標上のスペクトルとして表示するように構成しても良い。かかる構成によれば、対象物の材質的特性を反映すると考えられる特性曲線(スペクトル図)が視認可能に表示されるので、予め実験室等で得られた材質ごとの特性曲線(スペクトル図)と比較することにより対象物(たとえば前方の浮遊物)の材質を推測することも可能となる。さらに、このスペクトル及び当該所与のスペクトルをともに数的処理して類似度を数的に処理する(たとえば曲線を特徴付ける点を抽出して特異点とし、特異点と特異点との距離の比率が一定範囲内にあるときは類似度1、そうでないときには類似度0とし、曲線全体に亘る類似度の平均値が一定に閾値内であれば類似と判定する)アルゴリズムを実行するソフトウェアをたとえば制御部に組み込めば、上記の推測の自動処理も可能となる。
【0025】
また本発明に係る対象物検出方法は、紫外パルスレーザーを非スポット的に射出するステップと、前記射出されたレーザーが対象物から返ってくる光を所定の波長幅ごとにフィルタを用いてフィルタリングするステップと、前記フィルタを通過した光のうち、蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の全部或いはいずれか2つまたは水ラマン散乱光を露光するステップと、前記露光された光を画像として表示するステップとを具備して構成される。
【0026】
かかる構成を持つ本方法によれば、水ラマン散乱光単独、蛍光および水ラマン散乱光の組合せ、蛍光および弾性散乱光の組合せ、水ラマン散乱光および弾性散乱光の組合せ、蛍光、水ラマン散乱光および弾性散乱光の組合せのいずれについても、画像を表示することで、それぞれの光の性質に適応した、より精密な対象物の検知・検出が可能となる。
【0027】
このとき、前記表示するステップは、前記露光された光に係る所定の時間間隔ごとの画像を重畳させて表示するように構成しても良い。かかる構成を持つ本方法によれば、同一方向に関して対象物が断層的に表示することで、これを視認する者がかかる方向にある対象物全般を立体的に把握することを可能とする。
【0028】
さらにこの際、前記フィルタにおいては周波数を所定の小幅ごとに光が取り込まれ、前記表示するステップにおいて各周波数ごとのこの光の輝度をスペクトルとして表示するように構成しても良い。かかる構成を持つ本方法によれば、対象物の材質的特性を反映すると考えられる特性曲線(スペクトル図)を視認者に視認可能に表示するので、視認者が予め研究室等で得られた材質ごとの特性曲線(スペクトル図)と比較することにより対象物(たとえば前方の浮遊物)の材質を推測することを可能にする。
【0029】
本発明は、船舶の航行障害物を発見・検出することを、その全部ではないにしてもその主な目的としたものである。船舶に搭載したライダー装置から、(近・遠)紫外パルスレーザー(たとえば波長355nm)を照射し、蛍光或いは散乱光の露光のゲートタイミングをどうとるかによって、どの距離範囲のものを画像化するかを選択できるようにするものである。(近・遠)紫外パルスレーザー照射による観測であるため、夜間や、暗い観測条件下でも観測が可能としたものである。船舶からそれぞれ異なる距離に浮遊している浮遊物につき、ICCDカメラのゲートタイミングをずらすことによって、それぞれの浮遊物についての画像を得ることができる。このとき、ICCDカメラの前(カメラと浮遊物との間)に狭帯域光学フィルタを配置することで、観測する波長を変化させることができる。
【0030】
(近・遠)紫外パルスレーザーを照射し、ICCDカメラの前に狭帯域光学フィルタを設置することで受光波長を選択して、弾性散乱光(反射光)、水ラマン散乱光、蛍光等を観測することができる。蛍光は材質によって各種の色を発色する。したがって、材質ごとに適応する色の光のフィルタを用いれば、材質の種類の検出も可能となる。たとえば、紫外線(355nm)励起での蛍光中心波長として、船舶塗料(白色)の場合:400〜440nm、ペットボトルの場合:440〜460nm、ロープの場合:430〜480nm、ライフジャケットの場合:590〜630nmである。これらに適合したフィルタを用いて、蛍光の色により材質の検出(或いは推定)が可能となる。
【0031】
さらに、観測波長を変化させることにより、ある一つの浮遊物について、蛍光波長(たとえば420〜520nm)画像と、たとえば水ラマン散乱光波長(たとえば404nm)画像という二つの画像が得られることになる。また、このときさらに、散乱光そのものの波長(355nm)画像を観測したい場合には、355nmのフィルタを通して波長光を獲得するようにしてもよい。ICCDカメラの前に狭帯域光学フィルタを設置することで、太陽光等の他の波長の背景光を大幅に減少させることができる。
【0032】
このようにして各波長に対する、それぞれの距離に対する2次元データが得られるが、このとき、それぞれの波長域での総ての時間データの2次元画像を合成することにより、或いは長時間露光することにより、通常得られる3次元画像様のものが得られることになる。
【0033】
またこのとき、蛍光波長画像、水ラマン散乱光波長画像、弾性散乱光波長画像を適宜組み合わせれば、これらの画像をスイッチ切り替えにより表示切替することで、より正確な浮遊物の検知に役立てることについては、上述のとおりである。
【0034】
またたとえば岩礁などの場合には、蛍光を発しないので蛍光波長画像には鮮明には映らず、弾性散乱光も反射面が対向していない場合には光を得ることができず、画像化しても明確に映らないというような場合に、水ラマン散乱光波長画像によってその存在を認識するのに役立ち得る。したがって、蛍光や弾性散乱光では必ずしも検出が正確にされない対象であっても、水ラマン散乱光検出と共に用いることで、より安全かつ確実な検出が可能となり、海上安全により資することとなる。
【0035】
このときまた、上記の蛍光波長画像(取得した生データ画像)と水ラマン散乱光波長画像(取得した生データ画像)に対して比率を求め、この比率による数学的処理済み画像を生成することにより、たとえば蛍光発光物がより強いコントラストで表現された画像を得ることができる。この場合、具体的には、たとえばピクセルごとに、蛍光画像と水ラマン散乱光画像と輝度の比率をもとめ、こうして得られたピクセルごとの比率を使って新たな画像を作ればよい。この新たな画像は、蛍光波長画像よりもさらにコントラストのはっきりした画像となる。たとえば具体的には、蛍光波長画像においては、輝度比は海面:ブイが略5:100、水ラマン光波長画像においては、輝度比が略10:5であるとした場合、それらを合成したもの、たとえば(蛍光画像輝度)/(水ラマン光画像輝度)の比は海面:ブイ=0.5:20となり、蛍光波長画像の輝度比よりもさらに海面とブイ(或いはその他の蛍光発光体)との違いがより鮮明化したコントラスト表示をすることができる。
【0036】
(近・遠)紫外パルスレーザーの照射に対して、蛍光発光量の多いものとして、塗料、プラスチック、油脂等が挙げられる。このため、レーザー励起蛍光観測により、係留船舶、ブイ、いけす、ロープ等を、背景の海面に対して、高いコントラストの画像として観測することができることになり、対象物の種類・位置等の正確な検出・捕捉が達成される。これにより、海上安全をより強力に推進することに資することができる。
【0037】
この場合、さらに、材質の等しい一つの対象物に対して、弾性散乱光の観測では、観測方向に対する散乱面の角度によって観測強度が大きく変化する。このため、一つの対象物に対して、観測の容易な部分と困難な部分とが生じる。これに対して、レーザー励起蛍光は発光方向がほぼ等方的であるため、材質がおなじであればどの部分もほぼ一様に観測が可能である。したがって、蛍光波長画像表示、さらには水ラマン散乱光/蛍光の比率によるコントラスト蛍光波長画像表示によれば、散乱光の角度(対象物の反射角度)によって影響を受けることなく正確な対象把握が可能となる。
【0038】
次に、本発明の別の特徴であるタイミング制御について説明する。
【0039】
フラッシュランプとQスイッチの組合せにより、レーザーがパルス状に射出される。船舶レーダーと同じように、この射出されたレーザーは対象物にまで移動し、対象物に当たり、そこから散乱光及び蛍光が返ってくる。返ってきた光を集光し、ICCDカメラで記録する。そのため、遠方のものほどその往復時間が余計にかかる。光の速さは略300m/1μ秒である。たとえば300m先の対象物を見たい場合、レーザー射出から光が返ってくるまで約1+1=2μ秒の時間がかかることになる。これは逆に、レーザー射出から2μ秒後から露光を始めれば、300m先から撮影をはじめるということに対応する。このとき露光時間をたとえば1μ秒とすれば、300m先から450m先まで検出することになる。なおこの際、蛍光発光の場合、厳密には対象物にレーザーが到着してから蛍光発光まで10n秒程度の遅延があるが、これは露光時間が1μ秒であることを踏まえると現実的には誤差の範囲内で吸収可能な数値ゆえ、この遅延誤差は無視してよい。この思想を用いれば、たとえば霧発生時などは、前方100mまでは露光しないようにして霧からの反射光を遮断することで、霧による検知不具合を防止することが可能となる。
【0040】
なお、このときのタイミング制御は、まずレーザー電源部がフラッシュランプタイミング信号を遅延パルス発生機に送ると、遅延パルス発生機がQスイッチタイミングとゲートタイミングとを、それぞれレーザー電源部、ゲート付ICCDカメラに対して発信する。Qスイッチタイミングはレーザー射出のタイミングに対応し、ゲートタイミングはカメラゲートの露光開始時間のタイミングに対応する。こうして発生されたレーザー射出の2マイクロ秒後にカメラゲートの露光をスタートさせ、1マイクロ秒間露光させることで、略300m先〜略450m先までの画像が得られる、逆にいえば300m以前、450m以降のデータはカットできることになる。
【0041】
このように一度の(近・遠)紫外パルスレーザー照射によって、観測方向の2次元画像を得ることができる。さらに、ICCDカメラの露光開始時間のタイミングをずらすことで観測距離を変化させ、3次元断層画像データを得ることができる。高分解能画像とすることが容易であるため、たとえば船舶レーダーで検出できない小さな対象物も観測することができる。ICCDカメラの露光時間を短くすることで、太陽光等の連続背景光を大幅に減少させることができる。また、露光開始時間を目標距離に合わせることで、霧の影響などに代表される観測装置近傍での迷光を避けることができる。
【0042】
露光開始時間をずらすことによりそれぞれに適合した距離の画像を得られるから、結局、近場から遠方に至るまで、距離別の断層写真のようなものがフレーム様の集合体として得られることになるが、これらフレームを合成(重畳)すれば3次元的な画像データとして視認者への利便性が極めて高まることになる。この重畳については種々の方法が適用可能である。たとえば視認者がいっぺんに見たいという場合には、各断層フレームを(略)全体に亘って合成すればよく、或いはこのとき合成した画像の画像枚数を同時に表示させるようにすれば、距離の表示もしくは割り出しも可能となる。つまり、フレーム断層を一定幅ごとに合成して距離とともに表示させれば、たとえば「300m先から450m先まで表示しています」という表示も画像とともに表示されることとなり、視認者にはどの距離にどの浮遊物が存在するのかを数値によって正確に把握できる。今までは別の距離計測装置によるか経験・勘によるしかなかった判断がこれらによることなく正確に行えることになる。
【0043】
また、上記の例では、狭帯域光学フィルタを、中心波長が弾性散乱光(反射光)で355nm、水ラマン散乱光で404nm、蛍光で400〜630nm(船舶塗料(白色)の場合:400〜440nm、ペットボトルの場合:440〜460nm、ロープの場合:430〜480nm、ライフジャケットの場合:590〜630nm)と想定し、それぞれのフィルタの透過波長幅を、弾性散乱光(反射光)で10nm、水ラマン散乱光で10nm、蛍光で25nmと想定した。これに対して、たとえば蛍光でそれぞれの中心波長から波長帯域幅として10nmとして多数のフィルタを用いて多数のデータをとり、これをたとえば横軸に波長、縦軸に対象物の光の輝度を採用した表にプロットすることで蛍光スペクトル図が得られる。こうして現場で得られたスペクトル図はそれぞれの材質の特性により一定の特徴をもったカーブを描くから、これらと予め試験でデータ(予め実験室等で作製しておいたデータベース)として得られていたスペクトルのカーブとを形状比較することで、材質を特定することが可能となる。この際、この形状比較は、人間の目で行ってもよいし、コンピュータにより両スペクトルの特徴比較演算(たとえば、グラフの特徴点を幾つか抽出し、これを数値化してから、各数値を比較し、離散の係数が一定以内ならば類似と判断するという数学的に処理するアルゴリズム)によってもよい。
【0044】
すなわち、紫外レーザー励起による蛍光発光波長スペクトルは、物質によって異なる。このため、狭帯域光学フィルタを変えながら対象物の蛍光強度を観測すれば蛍光スペクトルが得られ、そこから対象物の材質が推定できる。
【0045】
もしこのスペクトル分析→材質特定(推定)をコンピュータ内のプログラムによるスペクトル図の特徴解析アルゴリズムで自動処理すれば、「前方○○メートルにポリスチレンを発見(検出)」「前方○○メートルに浮遊物あり。網の可能性△△%、ペットボトルの可能性◇◇%」などという表示を自動で行うことができ、対象物の正確な検出を可能とする。これにより、海上の安全をより正確に、利便性を高めて行うことができるようになる。
【0046】
なお、上記では水ラマン散乱光と蛍光の同時切り替え使用、コントラスト表示について説明したが、水ラマン散乱光に代えて弾性散乱光(反射光)を用いると別の効果を得ることもできる。つまり、面が対向しているものであれば反射光は強く獲得でき、蛍光を(励起によって)より多く発光するものであれば蛍光の解析が正確性を増すことになる。この両者の特徴を組み合わせることで、ある種の対象物についてはより正確な検知・検出が可能となる。なお、弾性散乱光を観測する際には、(赤外光に比べてノイズレベルの低い)紫外レーザーを用いることで、太陽光等の背景光の少ない波長領域を利用して観測することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る装置は、水ラマン散乱光のみを露光して表示する場合には、たとえば海面に浮かぶ障害物について、背景の海面からの水ラマン散乱光が観測されない部分として、輪郭を認識することができる。蛍光と水ラマン散乱光の各画像の組合せを表示する場合には、蛍光波長画像では、たとえばブイ、船舶(塗料)、プラスチックボトル、(蛍光発光性)ライフジャケット、合成繊維衣類などの蛍光をより強く発光するものがそうでないものよりも強く表示されること、レーザーにより対象物において励起され発光した蛍光は発光方向がほぼ等方的であること、という蛍光の性質と上記に述べた水ラマン散乱光の性質を同時に用いることで、たとえばこの2種の画像をスイッチ切り替えにより表示切替すれば、対象が海上にない場合や、対象物の蛍光の強度が弱い場合でも、両者を互いの補完的役割を持つものとして利用できるから、たとえば観測者がある特定対象物を発見し、これをもっと詳しく視認したい場合に、両者を切り換えながら表示させ、より精密な対象物の特定に役立てることができる。蛍光と弾性散乱光の各画像を組合せて表示する場合には、海上ではないがゆえに水ラマン散乱光による画像に基づく対象物捕捉が期待できない場合、この2種の画像をスイッチ切り替えにより表示切替すれば、たとえば陸上の夜間における障害物の場合、かかる障害物が対向して配置されていれば、たとえ蛍光を発光しない物質であっても、弾性散乱光による画像が生成されることで、蛍光画像を補完するように使用することが可能となるから、対象物の検出・検知がより正確に行える。水ラマン散乱光と弾性散乱光の各画像を組合せて表示する場合には、たとえば水ラマン散乱光画像では光が欠損したように映る対象について弾性散乱光画像を確認するようにすれば対象物についてのより詳細な情報を得ることができ、対象物の把握がそれだけ容易・正確になる。蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の各画像を組合せて表示する場合には、これら異なる性質を持つ3種類の光の画像を同一対象から得るようにすることで、たとえば蛍光画像、水ラマン散乱光画像のみではいま一つ明瞭に映らない対象であっても、弾性散乱光画像を補完的に用いることができ、より対象物の検出・検知が正確にできることになる。したがって使用者は、これらの各種組合せを、たとえばペットボトルなど蛍光の発光物質、岩など非蛍光発光物質、非海上の場合などというように状況に応じて適応的に選択するようにすれば、各光の画像を適宜切り換えながら対象物が何であるかをより正確かつ早期に視認することができる。
【0048】
また、本発明に係る装置では、対象物がさらに強調されて表示されるので、対象物をさらに容易に捕捉・把握可能となり、海上の安全遂行に一層資するという効果がさらに飛躍的に達成されることとなる。たとえば一例として、かかる複数の光の組合せとして蛍光及び水ラマン散乱光を選択した場合には、蛍光発光体たる対象物がさらに強調されて表示されるので、(蛍光発光性)ライフジャケットを着用した者(要救助者)、網、ブイなど蛍光発光性の強い対象物を容易に捕捉・把握可能となり、危険因子を除去することに資することができることになる。
【0049】
さらに、本発明に係る装置では、同一方向に関して対象物が断層的に表示されるので、これを視認する者は、かかる方向にある対象物全般を立体的に把握することが可能である。
【0050】
また、本発明に係る装置では、視認者はある対象物がほぼどのくらいの距離にあるかを同時に把握することができるので、対象物の種類と距離とを同時に把握可能になる。これにより、安全航行により資することになる。
【0051】
さらに、本発明に係る装置では、対象物の材質的特性を反映すると考えられる特性曲線(スペクトル図)が視認可能に表示されるので、予め実験室等で得られた材質ごとの特性曲線(スペクトル図)と比較することにより対象物(たとえば前方の浮遊物)の材質を推測することも可能となる。
【0052】
さらに、本発明に係る検出方法によれば、水ラマン散乱光単独、蛍光および水ラマン散乱光の組合せ、蛍光および弾性散乱光の組合せ、水ラマン散乱光および弾性散乱光の組合せ、蛍光、水ラマン散乱光および弾性散乱光の組合せのいずれについても、画像を表示することで、それぞれの光の性質に適応した、より精密な対象物の検知・検出が可能となる。
【0053】
また、本発明に係る検出方法では、同一方向に関して対象物が断層的に表示することで、これを視認する者がかかる方向にある対象物全般を立体的に把握することを可能とする。
【0054】
さらに、本発明に係る検出方法では、対象物の材質的特性を反映すると考えられる特性曲線(スペクトル図)を視認者に視認可能に表示するので、視認者が予め研究室等で得られた材質ごとの特性曲線(スペクトル図)と比較することにより対象物(たとえば前方の浮遊物)の材質を推測することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下では、本発明の目的の達成のために説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0056】
図1は、本発明の一実施形態に係るライダー装置の概略を表した全体概念図である。
【0057】
同図に示すように、本発明は、主に、船舶の航行障害物を発見・検出することを目的としたものである。船舶に搭載したライダー装置(後述)から、近紫外パルスレーザー(たとえば波長355nm)を照射し、反射光の露光のゲートタイミングをどうとるかによって、どの距離範囲のものを画像化するかを選択できるようにするものである。近紫外パルスレーザー照射による観測であるため、夜間や、暗い観測条件下でも観測が可能としたものである。船舶からそれぞれ異なる距離に浮遊している浮遊物につき、ICCDカメラのゲートタイミングをずらすことによって、それぞれの浮遊物についての画像を得ることができる。このとき、ICCDカメラの前(カメラと浮遊物との間)に狭帯域光学フィルタを配置することで、観測する波長を変化させることができるようにしたものである。
【0058】
次に本発明の詳細をその構成及び動作に照らして説明する。
【0059】
図2は、本発明の一実施形態にかかるライダー装置1の機器構成の全体像を示すブロック図である。
【0060】
同図に示すように、本発明の一実施形態にかかるライダー装置1は、制御部・表示部101、レーザー電源部102、レーザーヘッド103、レーザー拡がり角調整用レンズ104a、レーザー拡がり角調整用レンズ選択機104b、遅延パルス発生機105、ゲート付ICCDカメラ106、狭帯域光学フィルタ107a、光学フィルタ選択機107b、及び集光レンズまたは集光鏡108を備えて構成される。
【0061】
ここで、制御部・表示部101は、例えば所定の機能を有するパーソナルコンピュータにて構成されてもよく、所定のインタフェース(例えば、USBやRS−232Cを含む。)にてレーザー電源部102、レーザー拡がり角調整用レンズ選択機104b、遅延パルス発生機105、ゲート付ICCDカメラ106及び光学フィルタ選択機107bと各種信号の伝達を可能とするように構成される。なお、該制御部・表示部101は、文字や画像を表示する表示画面及び/またはキー入力機器等の付属機器(図示しない)が付属される。
【0062】
レーザー電源部102は、レーザーヘッド103と所定の電気系統(図示しない)にて配線され、該レーザーヘッド103を冷却水にて冷却することを可能とするように構成される。なお、該レーザー電源部102は、所定の電源装置を有する。
【0063】
レーザーヘッド103は、制御部・表示部101からのレーザー射出指示に係る信号を受けたレーザー電源部102のスイッチによりレーザー2の射出を行う。なお、本発明に係る該レーザーヘッド103は、近紫外パルスレーザーを射出する構成が好ましいが、パルス調でないレーザーを射出する構成でもよい。
【0064】
レーザー拡がり角調整用レンズ104aは、レーザーヘッド103の正面に設置され、該レーザーヘッド103から射出された所定のレーザーを非スポット的に対象物に照射させるために、該レーザーにおいて拡がり角を持たせるこの機能を有する。なお、該拡がり角は撮影に係るカメラレンズのF値及び感光点より最適な数値を算出することが好ましい。
【0065】
レーザー拡がり角調整用レンズ選択機104bは、所定のホイールに設置された二以上の該レーザー拡がり角調整用レンズ104aを撮影に係るカメラ視野角に合わせて選択可能にする機能を有する。なお、選択の際は制御部・表示部101を介して人的及び/または自動的な操作のどちらでも可能とする構成が好ましい。
【0066】
遅延パルス発生機105は、制御部・表示部101を介してレーザー電源部102からの所定の信号を受け、該レーザー電源部102に対してレーザーヘッド103によるレーザー射出指示を行い、ゲート付ICCDカメラ106に対して露光開始時間におけるゲート操作のタイミング制御を行う。なお、該遅延パルス発生機105に係る機能は、該制御部・表示部101内にソフトウェア及び/または該ソフトウェアを組み込んだ所定の基板として搭載されるような構成としてもよい。
【0067】
ゲート付ICCDカメラ106は、所定のICCDカメラ機能を有し、遅延パルス発生機105に係るゲート操作のタイミング制御に応じて露光を行う。なお、露光された画像は該ICCDカメラ106に内蔵される記憶媒体に記憶され、所定のインタフェースを介して制御部・表示部101に付属される表示画面に表示されるが、画像の表示方法はこれに限定されるものではない。
【0068】
狭帯域光学フィルタ107aは、所定の光学フィルタの材質等で生成されているものであり、受光波長を選択して受光する性質を有する。
【0069】
ここで、受光波長とは、例えば、弾性散乱光(355nm)、水ラマン散乱光(404nm)及び蛍光(420nm〜520nm)を示すが、これら以外であってもよい。
【0070】
光学フィルタ選択機107bは、所定のホイールに設置された二以上の該狭帯域光学フィルタ107aを撮影に係る受光波長に合わせて選択可能とするように構成される。なお、選択の際は制御部・表示部101を介して人的及び/または自動的な操作のどちらでも可能とする構成が好ましい。
【0071】
集光レンズまたは集光鏡108は、所定の光を集光するレンズもしくは鏡の機能を有し、ゲート付ICCDカメラ106の撮影倍率の拡大または縮小を行うことが可能である。
【0072】
次に、上記のように構成される本発明に係るライダー装置1の機能・使用法を説明する。
【0073】
図3は、本発明の一実施形態にかかる遅延パルス発生機105の有するゲート操作のタイミング制御のタイミングチャートである。ここで、該タイミング制御については、図2と対応させて説明する。
【0074】
同図に示すように、レーザーヘッド103は約20Hzのフラッシュランプを発光する(ステップP1−5−01)。遅延パルス発生機105は、レーザー電源部102及び制御部・表示部101を介して該フラッシュランプの発光信号を受け、該フラッシュタイミング立ち上がりから100μ秒程度遅延してQスイッチをオンにする(ステップP1−5−02)。レーザーヘッド103は、制御部・表示部101及びレーザー電源部102を介して該Qスイッチのオン信号を受け、該Qスイッチ立ち上がりから100n秒(ナノ秒)程度遅延して、レーザー2を射出する(ステップP1−5−03)。
【0075】
ここで、レーザー2は、視野角を最大略6°、観測距離を最大略4kmとして照射される。なお、露光開始時間をt、撮影開始距離をLとする場合、L=ct/2(cは光速)となる。これから、撮影距離幅と露光時間の関係は、ΔL=cΔt/2になると想定される。
【0076】
したがって、レーザー2射出後、例えば、300m先に対象物が存在する場合、光速cは約300m/1μ秒であるから約1μ秒後に対象物にレーザー2は到達する。到着したレーザー2は対象物を励起させて約10n秒遅延して蛍光を発光させる。こうして約1μ+10n秒にレーザー励起蛍光が発光される(ステップP1−5−04)。この発光された蛍光は約1μ秒後に返ってくる。つまり、レーザー射出開始後約約2μ+10n秒後に、集光レンズまたは集光鏡108によって蛍光が集光される(ステップP1−5−05)。よってこの場合、ゲート付ICCDカメラ106は、制御部・表示部101を介して遅延パルス発生機105から、該遅延パルス発生機105内のクロック機能にて発信したゲートタイミングの信号を受け、撮影開始距離としてL=300m先に存在する対象物により発光される蛍光を撮影するため、約2μ秒遅延して露光を開始し、露光時間約1μ秒、露光範囲約150mの範囲において蛍光を撮影する(ステップP1−5−06)。なお、蛍光発光分約10n秒の遅延は露光時間に比較して微小であるため誤差の範囲とし、本発明の実施においては無視して問題ない。
【0077】
これにより、例えば、露光開始時間を2μ秒、3μ秒、4μ秒・・・というようにゲートタイミングをずらして、任意の距離に存在する対象物を所定の短時間及び/または長時間露光かつ所定の露光範囲にて撮影することが可能となる。
【0078】
換言すれば、フラッシュランプとQスイッチの組合せにより、レーザーがパルス状に射出される。船舶レーダーと同じように、この射出されたレーザーは対象物にまで移動し、対象物に当たり、そこから散乱光および蛍光が返ってくる。返ってきた光を集光し、ICCDカメラで記録する。そのため、遠方のものほどその往復時間が余計にかかる。光の速さは略300m/1μ秒である。たとえば300m先の対象物を見たい場合、1+1=2μ秒の時間がかかることになる。これは逆に、レーザー射出から2μ秒後から露光を始めれば、それは300m先から撮影をはじめるということに対応する。このとき露光時間をたとえば1μ秒とすれば、300m先から450m先まで検出することになる。なおこの際、蛍光発光の場合、厳密には対象物にレーザーが到着してから蛍光発光まで10n秒程度の遅延があるが、これは露光時間が1μ秒であることを踏まえると現実的には誤差の範囲内で吸収可能な数値ゆえ、この遅延誤差は無視してよい。この思想を用いれば、たとえば霧発生時などは、前方100mまでは露光しないようにして霧からの反射光を遮断することで、霧による検知不具合を防止することが可能となる。
【0079】
なお、このときのタイミング制御は、まずレーザー電源部がフラッシュランプタイミング信号を遅延パルス発生機に送ると、遅延パルス発生機がQスイッチタイミングとゲートタイミングとを、それぞれレーザー電源部、ゲート付ICCDカメラに対して発信する。Qスイッチタイミングはレーザー射出のタイミングに対応し、ゲートタイミングはカメラゲートの露光開始時間のタイミングに対応する。こうして発生されたレーザー射出の2マイクロ秒後にカメラゲートの露光をスタートさせ、1マイクロ秒間露光させることで、略300m先〜略450m先までの画像が得られる、逆にいえば300m以前、450m以降のデータはカットできることになる。
【0080】
図4は、本発明の一実施形態に係るライダー装置1を搭載した船舶から海上の対象物を発見した場合の本発明の撮像方法並びに表示画面の一例を概念的に示している概念図である。
【0081】
同図に示すように、船舶2に設置したライダー装置1(図示しない)から照射された近紫外パルスレーザー2は、所定の距離に存在する対象物、例えば、鳥4a、ブイ4b、小型船舶4c及び海面4dに非スポット的に照射され、それぞれの対象物及び海面の特性に合わせて蛍光を励起発生させ、水ラマン散乱光を励起発生させるとともに、弾性散乱光を反射する。
【0082】
所定の対象物内で励起され発光された蛍光を、遅延パルス発生機105の有するゲート操作のタイミング制御にて短時間間隔ごとにずらして露光し、光学フィルタ選択機107bにて選択した狭帯域光学フィルタ107aによって波長フィルタリングしてゲート付ICCDカメラ106で撮影した画像がそれぞれ蛍光波長画像10−1、10−2及び10−3である。
【0083】
蛍光波長画像10−1、10−2及び10−3は、対象物に係る鳥4aから発せられた蛍光2a、ブイ4bから発せられた蛍光2b及び小型船舶4cから発せられた蛍光2cをフィルタリングして撮影しているため、蛍光発光量を無視し得る海面4dと比較するとこれら蛍光発光体が鮮明に画像表示される。
【0084】
一方、レーザー2が海面を励起することで発光された水ラマン散乱光を、遅延パルス発生機105の有するゲート操作のタイミング制御にて短時間露光し、光学フィルタ選択機107bにて選択した狭帯域光学フィルタ107aによって波長フィルタリングしてゲート付ICCDカメラ106で撮影した画像がそれぞれ水ラマン散乱光波長画像20−1、20−2及び20−3である。
【0085】
水ラマン散乱光波長画像20−1、20−2及び20−3は、海面4dから反射された水ラマン散乱光2dをフィルタリングして撮影しているため、鳥4a、ブイ4b及び小型船舶4cと比較すると海面がより明確に表示される。逆に、鳥4a、ブイ4b及び小型船舶4cは水ラマン散乱光を発しないと考えてよい。
【0086】
これにより、海面から突出しているが蛍光を発しない対象物、例えば岩や流木の存在を、水ラマン散乱光とのコントラストにおいて確認することが可能となる。すなわち、たとえ上記蛍光画面で映らない対象であっても、水ラマン散乱光画面では、その(岩の)部分が欠損したように映るため、視認者は何らかの対象物の存在に気づくことができる。
【0087】
蛍光波長画像10−1、10−2及び10−3または水ラマン波長画像20−1、20−2及び20−3のそれぞれを静止画像として保存することが可能である。
【0088】
また、蛍光波長画像10−1、10−2及び10−3の合成処理10−4または遅延パルス発生機105の有するゲート操作のタイミング制御においての長時間露光により、2次元蛍光波長画像10を得ることも可能である。
【0089】
同じく、水ラマン散乱光波長画像20−1、20−2及び20−3の合成処理20−4または遅延パルス発生機105の有するゲート操作のタイミング制御においての長時間露光により、2次元水ラマン散乱光波長画像20を得ることも可能である。
【0090】
このように、一度の近紫外パルスレーザーの照射によって、観測方向の2次元画像を得ることが可能となる。また、ゲート付ICCDカメラの露光開始時間をずらすことで観測距離を変化させ、3次元断層画像データを得ることも可能となる。
【0091】
さらに、蛍光波長画像と水ラマン散乱光波長画像の画素(ピクセル)毎の輝度の比率を算出し、蛍光を発する素材と発しない素材とのコントラストをより明確化することが可能となる。
【0092】
具体的には、例えば、ICCDカメラの2次元蛍光波長画像10に係るブイ4bの輝度が100、海面4dが5とし、2次元水ラマン散乱光波長画像20に係るブイ4bが5、海面4dが10である場合、2次元合成画像に係るブイ4bの蛍光波長画素輝度値/水ラマン散乱光波長画素輝度値は20、海面4dの蛍光波長画素輝度値/水ラマン散乱光波長画素輝度値は0.5となるため、2次元合成画像における輝度のブイ4b対海面4dの比率が20倍であるのに対し、合成画像における輝度のブイ4b対海面4dの比率は40倍となる。つまり、蛍光を発光する対象物がよりコントラストを強調されて表示されることになり、視認者は蛍光発光物質をより見つけやすくなる。
【0093】
なお、画像の合成処理10−4及び/または20−4をした場合、静止画像の枚数や対象物までの距離を表示することも可能である。
【0094】
また、波長によって異なる蛍光色から、対象物の材質特定をすることも可能である。
【0095】
さらに、光学フィルタに係る蛍光色の中心波長を細分化(10nm程度)してフィルタリングすることにより波長スペクトルが検出され、これより対象物の材質を特定することも可能である。具体的には、例えば、図5に示されるような、横軸を波長、縦軸を輝度の対数軸とするスペクトル図が考えられる。この図において、各物質特有のスペクトルのカーブ形状を描くことになるので、予め実験室等で得ておいた物質ごとのスペクトルをデータとして持っていれば、現場で採取したデータをスペクトル化した上で、これを人間の眼によって、或いはスペクトルの特徴ポイントを数値化した上で数学的比較を行う自動プログラム等によって、比較対照して最も近似しているスペクトルに係る材質のものであると推定することが可能となる。
【0096】
このとき、該材質特定の際には、材質の有する波長スペクトルに係る既存のデータベースを構築しておき、該データベース内の波長スペクトルデータと検出された波長スペクトルデータを比較対照して人的に材質判定することも可能であるが、所定のプログラム処理により比較対照し、判定結果を画面表示することがより好ましい。
【0097】
なお、水ラマン散乱光と弾性散乱光とを変えても一定のコントラストが得られるが、ここでの詳細な説明は省略する。
【0098】
以上、詳細に説明したように、本発明に係るライダー装置によれば、近紫外パルスレーザーの照射による観測であるため、夜間や、暗い観測条件下でも観測が可能である。また、露光開始時間を目標距離に合わせることで、霧の影響などに代表される観測装置近傍での迷光を避けることが可能となる。
【0099】
また、ゲート付ICCDカメラの前に狭帯域光学フィルタを設置することで、太陽光等の他の波長の背景光を大幅に減少させることが可能となる。
【0100】
さらに、材質の等しい一つの対象物に対して、弾性散乱光の観測では、観測方向に対する散乱面の角度によって観測角度が大きく変化するため、一つの対象物に対して、観測の容易な部分と困難な部分とが生じるが、レーザー励起蛍光は発光方向がほぼ等方的であるため、材質が同じであればどの部分もほぼ一様に観測が可能となる。
【0101】
またさらに、高分解能画像とすることが容易であるため、船舶レーダーで検出できない小さな対象物も観測することが可能となる。
【0102】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【0103】
たとえば、上記では蛍光及び水ラマン散乱光の双方を用いる場合を主に例示して説明したが、本発明の技術思想はこれらの組合せに限定されずに、水ラマン散乱光単独の場合、或いは蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の3光のうちの全部もしくは任意の2つの組合せの場合であっても適用可能である。
【0104】
また、上記の説明では本願発明に係る技術思想を実施する一つの形態として、蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の各露光画像を組合せて表示する場合に、これら2種或いは3種の画像をスイッチ切り替えにより表示切替する態様を開示したが、かかる技術思想はこの態様に限定されることなく、たとえば、蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の任意の2つ以上を、スイッチ切替ではなく合成しコントラスト調整して1画像表示とする態様によっても実現可能である。
【0105】
さらに、上記の実施形態では主に近紫外パルスレーザー(波長380〜200nm)照射の場合を例にとって説明したが、上記の思想は波長域が異なるものの、遠紫外パルスレーザー(波長200〜10nm)に対して適用可能である。
【0106】
また、上述したものは本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。
【0107】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に登載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係るライダー装置を実現することで、紫外パルスレーザーを非スポット的に対象物に照射し、任意に選択可能な狭帯域光学フィルタにより中心波長の異なる蛍光の観測を行い、対象物を特定することが可能となる。これにより、海面に存在する船舶の進行の障害となり得る対象物等との接触を回避し、海難事故を未然に防ぐことが実現される。また、仮に海難事故が発生した場合でも、海面に浮遊する救命具を装着した人間等の発見が夜間でも的確に行われ、かつ、紫外パルスレーザーの照射により該レーザー光による蛍光等を人間は視認することができるため、迅速な人命救助としての役割も期待される。この効果は、船舶に係る海洋業への貢献にとどまらず、例えばモータリゼーションにおける我々の日常生活において、夜間走行中の自動車から歩行中の人間及び乗車中の自転車等から励起した蛍光を自動観測し、該人間や自転車の接近を促す警告表示を実行する等、交通事故減少のテーマ等についても解決する糸口となりうる点で、広く社会全般、各種産業全般に対して大きな有益性をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の一実施形態に係るライダー装置の概略を表した全体概念図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るライダー装置1の機器構成の全体像を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遅延パルス発生機105の有するゲート操作のタイミング制御のタイミングフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るライダー装置1を搭載した船舶から海上の対象物を発見した場合のメカニズムを概念的に示している概念図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る代表的な材料ごとの、横軸を波長、縦軸を輝度の対数軸とするスペクトル図である。
【符号の説明】
【0110】
1 ライダー装置、2 照射レーザー、101 制御部・表示部
102 レーザー電源部、103 レーザーヘッド
104a レーザー拡がり角調整用レンズ
104b レーザー拡がり角調整用レンズ選択機
105 遅延パルス発生機、106 ゲート付ICCDカメラ
107a 狭帯域光学フィルタ、107b 光学フィルタ選択機
108 集光レンズまたは集光鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外パルスレーザーを非スポット的に射出するレーザー射出部と、
前記レーザー射出部からのレーザーが対象物に照射されて返ってくる光を所定の波長幅ごとにフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタを通過した光のうち、蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の全部或いはいずれか2つまたは水ラマン散乱光を露光する受光機構と、
前記露光された光を画像として表示する表示部と、
全体の機器制御を行う制御部と
を具備することを特徴とするライダー装置。
【請求項2】
前記受光機構により露光される光が複数の光の組合せである場合、前記制御部は、露光後の前記複数の光の各々の輝度の比を前記表示部のピクセルごとに求め、該得られた比をピクセルごとのデータとして前記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載のライダー装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記露光された光に係る所定の時間間隔ごとの画像を重畳させて表示することを特徴とする請求項1記載のライダー装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の時間間隔ごとの画像とともに該画像に対応する距離情報を割り出し、前記表示部にこの距離情報も表示させることを特徴とする請求項3記載のライダー装置。
【請求項5】
前記表示部は、周波数を所定の小幅で区切り各周波数幅ごとの光の輝度を二次元座標上のスペクトルとして表示することを特徴とする請求項1乃至4のうち1項記載のライダー装置。
【請求項6】
紫外パルスレーザーを非スポット的に射出するステップと、
前記射出されたレーザーが対象物から返ってくる光を所定の波長幅ごとにフィルタを用いてフィルタリングするステップと、
前記フィルタを通過した光のうち、蛍光、水ラマン散乱光、弾性散乱光の全部或いはいずれか2つまたは水ラマン散乱光を露光するステップと、
前記露光された光を画像として表示するステップと
を具備することを特徴とする対象物検出方法。
【請求項7】
前記表示するステップは、前記露光された光に係る所定の時間間隔ごとの画像を重畳させて表示することを特徴とする請求項6記載の対象物検出方法。
【請求項8】
前記フィルタにおいては周波数を所定の小幅ごとに光が取り込まれ、前記表示するステップにおいて各周波数ごとのこの光の輝度をスペクトルとして表示することを特徴とする請求項6乃至7のうち1項記載の対象物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192217(P2009−192217A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29865(P2008−29865)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【Fターム(参考)】