説明

ライン光源ユニット及び紙葉類の読取装置

【課題】導光体内でUV光の伝搬距離を短くすることのできる位置にUV光源を配置することにより、均一にUV光を照射することができ、かつコストパフォーマンスに優れた、コンパクトなライン光源ユニットを提供する。
【解決手段】長手方向に延びる透明な導光体の端面1eに、可視光を出射する第一の光源素子3を設置し、導光体の少なくとも1つの側面1aに、光源素子3から導光体の端面1eに入射され導光体の長手方向に沿って進む光を拡散・屈折させて出射させるための光拡散パターンPを形成し、導光体の光拡散パターンPが形成された側面1aを含む1又は複数の側面1a〜1cをカバー部材2で覆い、カバー部材2には、導光体に対してUV光を発光する複数の第二の光源素子が、長手方向に沿って等間隔に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン光源ユニットに関するものである。このライン光源ユニットは、例えば、紙幣や有価証券などの紙葉類を透過又は反射した光を受光することにより当該紙葉類を読み取る紙葉類の読取装置に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の読取装置は、紙葉類の印刷機器や鑑別装置などにおいて、紙葉類の形状・模様などの認識に用いられる装置である。この紙葉類の読取装置は、紙葉類(以下「原稿」ということがある)を照明するためのライン光源ユニットと、そのライン光源ユニットから出射され原稿を透過した光を導くためのレンズアレイと、そのレンズアレイにより導かれた透過光を受光する受光素子とを備えている。ライン光源ユニットは、その長軸方向が原稿面と平行になるように、配置されている。
【0003】
先行技術にかかるライン光源ユニットの構成を、図6に例示する。ライン光源ユニット100は、透明な長手状に延びる導光体101と、この導光体101の端面に配置された光源素子103とを有する。導光体101の延びる長手方向をz方向とし、原稿面を向いた方向をy方向としている。導光体101の一側面には、光源素子103から導光体101の端面に入射され導光体101に沿ってz方向に進む光を拡散・屈折させて、ほぼ直角方向、すなわちy方向に出射させるための光拡散パターンPが形成されている。
【0004】
その光拡散パターンPは、導光体101の一側面上に長手方向(z方向)に沿って、かつ一直線状に形成されている。
この先行技術にかかるライン光源ユニットによれば、光源素子から導光体101に入射された光は、光拡散パターンにより拡散・屈折されて、その一部は導光体101から原稿面に向けて照射される。この光拡散パターンの微細形状を工夫することにより、原稿面への照射光の長手方向に沿う光量のばらつきを抑制しながら、原稿面に照射することができる。よって、安定した読み取りが可能となり、紙葉類の形状・模様などを正確に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-229722号公報
【特許文献2】特開2006-39996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、紙葉類の認識の精度を向上させるには、光源の光の中に紫外領域の光(UV光)が含まれていると良いことが知られている。
このUV光を利用するために、UV光源を、可視・赤外光の光源とともに導光体の端面に配置することが考えられるが、UV光に対する導光体の吸収係数が大きいので、端面から入射したUV光は導光体の中を長手方向に沿って進むうちに減衰してしまい、導光体から原稿面に向けて照射されるUV光が弱くなってしまう。
【0007】
そこで本発明の目的は、導光体内でUV光の伝搬距離を短くすることのできる位置にUV光源を配置することにより、均一にUV光を照射することができ、かつコストパフォーマンスに優れた、コンパクトなライン光源ユニット及びそれを用いた紙葉類の読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のライン光源ユニットは、長手方向Lに延びる透明な導光体と、導光体の端面に配置された第一の光源素子と、導光体の少なくとも1つの側面に形成され、光源素子から導光体の端面に入射され導光体の長手方向に沿って進む光を拡散・屈折させて出射させるための光拡散パターンと、導光体の光拡散パターンが形成された側面を含む又は複数の側面を覆うカバー部材とを有し、又は複数の側面を覆うカバー部材には、導光体に対してUV光を発光する第二の光源素子が取り付けられているものである。
【0009】
この構成によれば、第一の光源素子から導光体の端面に入射され導光体の長手方向に沿って進む光は、光拡散パターンで拡散され、導光体のいずれかの側面(「光出射側面」という)から出射し原稿に到達する。またこれと同時に、第二の光源素子から導光体の1又は複数の側面にUV光を入射することができる。この導光体に入射されたUV光は、導光体の長手方向でない方向に沿って進み、導光体の光出射側面から出射される。第二の光源素子から出射されるUV光の伝搬距離は、第一の光源素子から導光体の端面に入射される光の伝搬距離に比べて短いものである。したがって、UV光は少ない減衰で導光体を通過して原稿面に到達することができる。
【0010】
カバー部材に、第二の光源素子を挿入する貫通孔が形成されていれば、UV光がカバー部材を通過しないで直接導光体に入るので、カバー部材の材質を、UV光に対して透明な特殊な材質にする必要がなくなり、コスト面で有利になる。
導光体の光出射側面の、該導光体の長手方向と垂直な断面の形状が、外側に凸の曲線状を成していれば、レンズの働きをするので、この光出射側面により、導光体から出射する光を集光して、原稿に照度の高い照明領域を形成することが出来る。
【0011】
第二の光源素子が、複数個一列に配列されている構造であれば、原稿面に、導光体の長手方向に沿ってほぼ一様にUV光を照射することができる。
また本発明の紙葉類の読取装置は、紙葉類からなる原稿を照明するためのライン光源ユニットと、そのライン光源ユニットから出射され原稿を反射又は透過した光を導くためのレンズアレイと、そのレンズアレイにより導かれた透過光を受光する受光素子とを備えるものであって、ライン光源ユニットは、本発明のライン光源ユニットの構成を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、第二の光源素子から出射されるUV光を、少ない減衰で導光体を通過させて原稿面に到達させることができるので、第二の光源素子の光量を小さいもので済ませることができる。
また、ライン光源ユニットを紙葉類の読取装置に用いれば、UV光を照射する第二の光源素子の容量を小さいものにすることができるので、消費電力を低減することができ、光源素子の寿命も延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における紙葉類の読取装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示される紙葉類の読取装置におけるライン光源ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】ライン光源ユニットの各構成部材を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】導光体をカバー部材で覆った状態を示す概略断面図である。
【図5】光拡散パターンを示す断面図である。
【図6】従来の紙葉類の読取装置におけるライン光源ユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
<読取装置>
図1は、本発明の一実施の形態における紙葉類の読取装置の構成を示す概略断面図である。
この紙葉類の読取装置は、原稿を照明するためのライン光源ユニット10と、そのライン光源ユニット10から原稿に向けて出射され、原稿を反射した光を導くためのレンズアレイ11と、基板に実装されそのレンズアレイ11により導かれた透過光を受光する受光素子12とを備えている。
【0015】
これらのライン光源ユニット10、受光素子12、レンズアレイ11は、一次元方向、すなわち紙面の垂直方向に延びていて、図1はその断面を示している。
ライン光源ユニット10は、焦点面20に載置される原稿に向けて光を出射するものである。
ライン光源ユニット10から出射された光は、保護ガラス14を透過して焦点面20に集光される。保護ガラス14は、必ずしも本発明に必要ではなく省略することもできるが、使用中のごみの飛散や傷つきからライン光源ユニット10やレンズアレイ11を保護するために設置することが望ましい。保護ガラス14の材質はガラスにこだわらず、例えばアクリルやポリカーボネートといった透明の樹脂に必要に応じて表面にハードコートを施した部材であってもよい。
【0016】
レンズアレイ11は、原稿面で反射・散乱された光を受光素子12に結像するものであり、セルフォックレンズアレイ(登録商標:日本板硝子製)などのロッドレンズアレイをレンズアレイ11として用いることができる。
受光素子12は基板13に実装され、透過光を受けて光電変換により光出力として画像を読み取るものである。受光素子12の材質・構造は特に規定されるものではなく、アモルファスシリコン、結晶シリコン、CdS、CdSeなどを用いたフォトダイオードやフォトトランジスタを配置したものであっても良い。またCCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサであってもよい。さらに受光素子12として、フォトダイオードやフォトトランジスタ、駆動回路及び増幅回路を一体としたIC(Integrated Circuit)を複数個並べた、いわゆるマルチチップ方式のリニアイメージセンサを用いることもできる。また、必要に応じて基板13上に駆動回路及び増幅回路などの電気回路、あるいは信号を外部に取り出すためのコネクタなどを実装することもできる。さらに基板13上にA/Dコンバータ、各種補正回路、画像処理回路、ラインメモリ、I/O制御回路などを同時に実装してデジタル信号として外部に取り出すこともできる。
【0017】
なお、前述した読取装置は、ライン光源ユニット10から原稿に向けて出射され原稿を反射した光を受光する、反射型の読取装置であったが、ライン光源ユニット10を、原稿に関して上下反対の位置に置いて、ライン光源ユニット10から原稿に向けて出射され原稿を透過した光を受光する、透過型の読取装置であってもよい。この場合、ライン光源ユニット10の位置が焦点面20の下側になるところが図1の配置と異なるのみで、ライン光源ユニット10、受光素子12、レンズアレイ11自体の構造は、今まで説明したものと異なるところはない。
【0018】
<ライン光源ユニット>
図2は、図1に示される紙葉類の読取装置におけるライン光源ユニット10の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、このライン光源ユニット10の各構成部材の分解斜視図である。
ライン光源ユニット10は、長手方向Lに沿って延びる透明な導光体1と、長手方向Lの一方の端面付近に設けられた第一の光源素子3と、導光体1の各側面(光拡散パターン形成面1a及び左右側面1b,1c)を保持するためのカバー部材2と、導光体1の光拡散パターン形成面1aに形成され、第一の光源素子3から導光体1の端面1eに入射され導光体1の長手方向Lに沿って進む光を拡散・屈折させて、導光体1から出射させるための光拡散パターンPとを有している。
【0019】
第一の光源素子3は赤外線及び/又は可視光線を発光する光源であり、例えば近赤外、赤、緑の各波長の光を発する3種のLED(Light Emitting Diode)が用いられている。各LEDは、光源駆動基板(図示せず)に実装されるための端子3aを持っていて、この端子3aを光源駆動基板(図示せず)に差込み、半田付けなどで接合することにより、光源駆動基板に電気的に接続される。
【0020】
なお、第一の光源素子3は導光体1の一方端部のみに設置してもよいが、必要に応じて両方の端部に設置することもできる。この場合、2つの第一の光源素子3は同一のものであってもよいし、別のものであってもよい。例えば一方の第一の光源素子3と他方の第一の光源素子3とで異なる波長の光源を実装しておけば、多数の波長を同時にあるいは切り替えて使用することができる。
【0021】
導光体1は、アクリルやポリカーボネートなどの光透過性の高い樹脂、あるいは光学ガラスで形成してもよいが、本発明の実施形態では、紫外波長の光(UV光)を発光する第二の光源素子4を用いるので、導光体1の材料として、UV光に対する減衰が比較的少ないフッ素系樹脂あるいはシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
導光体1は、細長い柱状であり、その長手方向Lに直交する断面は、長手方向Lのどの切り口においても、実質的に同じ形状、同じ寸法をしている。また導光体1のプロポーション、すなわち導光体1の長手方向Lの長さと、その長手方向Lに直交する断面の高さH(図4参照)との比率は10よりも大きく、好ましくは30よりも大きい。例えば導光体1の長さが200mmであれば、その長手方向Lに直交する断面の高さHは5mm程度である。
【0022】
導光体1の各側面は、光拡散パターン形成面1a(図3において導光体1の下面に相当)、左右側面1b,1c、光出射側面1d(図3において導光体1の上面に相当)の4つの側面からなる。光拡散パターン形成面1a、左右側面1b,1cは平面形状であり、光出射側面1dはレンズの集光効果を持たせるために外向きに滑らかな凸の曲線状に形成されている。しかし光出射側面1dは必ずしも凸状に形成されていなくてもよく、平面形状であってもよい。この場合、平面1dに対向するように、導光体1から出射した光を集光するレンズアレイを配置するとよい。
【0023】
カバー部材2は、導光体1の長手方向Lに沿った細長い形状であり、導光体1の光拡散パターン形成面1a及び左右側面1b,1cを覆うことができるように、導光体1の光拡散パターン形成面1aに対向する底面2a、導光体1の右側面1bに対向する右側面2b、及び導光体1の左側面に対向する左側面2cを有している。これらの3つの側面はそれぞれ平面をなしており、これらの3つの内面で断面がほぼ「コ」の字状の凹部を形成するので、導光体1をこの凹部の中に挿入することができる。この覆った状態で、カバー部材2の底面2aが導光体1の光拡散パターン形成面1aに密着し、カバー部材2の右側面2bが導光体1の右側面1bに密着し、左側面2cが導光体1の左側面1cに密着している。このため、カバー部材2で導光体1を保護することができる。
【0024】
なお、カバー部材2の右側面2bと左側面2cの厚みは限定されないが、底面2aの厚みhは、後述するように、第二の光源素子4の高さを超えていることが、第二の光源素子4が導光体1の光拡散パターン形成面1aに衝突しないために、好ましい。
また、カバー部材2は透明なカバーに限定されず、半透明、又は不透明なものであってもよい。例えばカバー部材2は、導光体1の光出射面以外の側面より漏れ出す光を再び導光体1内に反射させるために、反射率の高い白色樹脂の成形品、又はその白色樹脂を塗布した樹脂の成形品であってもよい。または、カバー部材2をステンレスやアルミニウムなどの金属体で形成してもよい。
【0025】
カバー部材2の底面2aの下側には、第二の光源素子4を搭載した基板5が対向して設置されている。この基板5はフェノールなどで形成された薄い絶縁板であり、その裏面に銅箔からなる配線パターン5a(図4)が形成されている。第二の光源素子4の端子を基板5の各所に形成された孔に挿入し、基板の裏面において半田などで配線パターン5aと接合することにより、第二の光源素子4を基板5に搭載し固定することが出来るとともに、所定の駆動電源(図示せず)から基板裏面の配線パターン5aを通して第二の光源素子4に電力を供給してその発光を駆動・制御することができる。
【0026】
第二の光源素子4は、導光体1に対してUV光を発光する光源であり、例えば350から400nmの範囲内にピーク発光波長を有するGaN系紫外発光ダイオードが用いられる。第二の光源素子4には、紫外発光ダイオードの出射光に含まれる可視光の全部又は少なくともその一部を遮断するフィルタが設けられていてもよい。
第二の光源素子4の基板5への搭載個数は、1つでもよく複数でも良い。特に、複数個を長手方向Lに均一の距離だけ離して設置すれば、原稿面を長手方向Lに沿って、より均一に照射することが出来るので好ましい。図3では、5つの第二の光源素子4が長手方向Lに沿って等間隔で配列されている。また、複数の第二の光源素子4の長手方向Lに沿った寸法Dは、イメージセンサの読取長(つまり受光素子12の読取領域の幅)とほぼ同じ長さ、又は第二の光源素子4からの出射光の広がりを考慮して、イメージセンサの読取長の80%くらいの長さになるように形成することが好ましい。
【0027】
また、カバー部材2の底面2aには、第二の光源素子4を挿入し嵌合させる貫通孔6が形成されている。貫通孔6は第二の光源素子4が嵌合可能な形状・大きさを持っている。第二の光源素子4が直方体の形状であれば、貫通孔6の断面形状も四角形となる。貫通孔6の縦横の寸法は、第二の光源素子4が容易に挿入されるように、第二の光源素子4の縦横サイズよりやや大きな寸法であることが好ましい。貫通孔6の深さ、すなわちカバー部材2の底面2aの厚みhは、前述したように、第二の光源素子4の先端面が導光体1の光拡散パターン形成面1aに衝突しないために、第二の光源素子4の高さより大きなことが好ましい。
【0028】
光拡散パターンPは、図3に示すように一定の幅を維持して、導光体1の長手方向Lに沿って一直線状に延びている。この光拡散パターンPの長手方向Lに沿った寸法は、イメージセンサの読取長(つまり受光素子12の読取領域の幅)よりも長くなるように形成されている。
この光拡散パターンPは、図5にその縦断面を示すように、導光体1の光拡散パターン形成面1aに彫刻された複数のV字状の溝31により構成されている。
【0029】
この複数のV字状の溝31の各々は、導光体1の長手方向Lに直交する方向(図5の紙面に垂直な方向)に延びるよう形成されており、互いに同じ長さを有している。複数のV字状の溝31の各々の一方端は、光拡散パターン形成面1aと左側面1cとの境界線上又はその境界線から一定距離手前に存在する仮想的な直線上に位置しており、他方端は光拡散パターン形成面1aと右側面1bとの境界線上又はその境界線から一定距離手前に存在する仮想的な直線上に位置している。これにより、複数のV字状の溝31より構成される光拡散パターンPは、上述したように一定の幅を維持して導光体1の長手方向Lに一直線状に延びるよう構成されている。
【0030】
複数のV字状の溝31は、図5に示すように、断面が例えば二等辺三角形状を有している。V字状の溝31の溝の深さdは、導光体1の長手方向Lの端部にいくほど深くなっていることが好ましい。この場合、複数のV字状の溝31の各開口幅wは同じであるため、複数のV字状の溝31の各頂角の角度は導光体1の端部側ほど小さくなっている。
この光拡散パターンPにより、導光体1の端面1eから入射された光を、屈折・拡散させ、長手方向Lに沿ってほぼ一様の明るさで光出射側面1dから照射することができる。これにより、導光体1の長手方向Lの全体において紙葉類に照射される光をほぼ一定とすることができるため、照度むらを無くすことができる。
【0031】
なお、光拡散パターンPの溝31のV字形状は一例であり、照度むらが特に顕著にならない限り、V字形に代えてU字形にするなど任意に変更することができる。光拡散パターンPの幅も一定の幅を維持する必要はなく、導光体1の長手方向Lに沿って幅が変化するものであっても良い。溝の深さdや溝の開口幅wについても、適宜変更することができる。
【0032】
以上のライン光源ユニット10の各構成部材を組み立てた状態で、ライン光源ユニット10を長手方向Lに垂直な断面で切った断面図を、図4に示す。
第二の光源素子4を搭載した基板5は、カバー部材2の下方から、カバー部材2の貫通孔6を形成した底面2aに対向している。図4では基板5とカバー部材2とに隙間があるが、基板5とカバー部材2とが密着する構造でもよい。
【0033】
第二の光源素子4は、貫通孔6に挿入される。第二の光源素子4の高さは、カバー部材2の底面2aの厚みhよりも小さいので、図4に示すように、第二の光源素子4の出射面が、導光体1の一側面(光拡散パターン形成面1a)に非接触で、近接対向して配置されることになる。
各第二の光源素子4から出射されるUV光(図4に示す破線)は、貫通孔6を通り抜け、導光体1の光拡散パターン形成面1aから導光体1の内部に進入する。そして、扇状に拡がって導光体1の内部を伝搬し、導光体1の光出射側面1dから出射される。
【0034】
なお導光体1の光出射側面1dは、図4に示すように、導光体1の長手方向Lに垂直な断面でみて外側に凸な曲面形状をなしているので、これにより第二の光源素子4から出射された光が光出射面1dと大気との界面で屈折する。よって、UV光の導光体1の長手方向Lに垂直な面における開口角を実質的に小さくすることができ、導光体1からの出射光のエネルギーを導光体1の長手方向Lに垂直な断面でみて中心付近により多く集めることが出来る。したがって、光拡散パターンPから拡散された光を、効率よく原稿面に集光することが出来る。
【0035】
この第二の光源素子4から出射されるUV光が導光体1を通過する長さは導光体1の断面における高さHに対応するので、前述した数値例では5mmとなるが、第一の光源素子3から出射され、導光体1の内部を長手方向Lに伝搬する光の伝搬距離は導光体1の長さに相当し、前述した数値例では200mmとなる。したがって、第二の光源素子4を導光体1の端面に設置した場合と比べて、UV光の伝搬距離は“1/40”で済む。したがって、第二の光源素子4から出射されるUV光を、少ない減衰で、導光体1を通過させることができる。
【0036】
一方、第一の光源素子3から出射され、導光体1の内部を長手方向L(図4の紙面に垂直な方向)に伝搬する光は、前述したように、光拡散パターンPに当たって反射、屈折され、任意の方向に拡散される。この場合、拡散される光のうち導光体1の光出射側面1dに向かう光(図4に示す実線)は、光出射側面1dから出射される。よって、光拡散パターンPから拡散された光を、効率よく原稿面に集光することが出来る。
【0037】
そして第一の光源素子3から出射される可視光と、第二の光源素子4から出射されるUV光とが、ともに原稿面の照射及び読取りに利用される。よって、原稿面を読み取る光の波長帯の幅を広くすることができる、原稿の正確な認識に寄与することができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、以上の形態に限定されるものではない。例えば本発明では、光拡散パターンPの形成面を、導光体1の光出射面1dを除く任意の面に配置することができる。例えば光拡散パターンを左側面1c又は右側面1bに形成して、これを光拡散パターンPの形成面としても良い。また、第二の光源素子4をカバー部材2の底面2aに取り付けていたが、カバー部材2の右側面2b又は左側面2cに取り付けることも可能である。この場合、第二の光源素子4から発光したUV光の束は扇状に拡がって導光体1の光出射面1dから出射されるが、導光体1のなかに正反射、乱反射、屈折、回折などによりUV光の方向を変える物質や素子を配置して、UV光の束を、原稿面を向いた所定の角度の方向へ出射させることが好ましい。また、複数の第二の光源素子4を導光体1の複数の側面にそれぞれ配置してもよい。その他本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 導光体
1a 導光体1の光拡散パターン形成面
1b,1c 左右側面
1d 光出射側面
2 カバー部材
2a カバー部材の底面
2b 右側面
2c 左側面
3 第一の光源素子
4 第二の光源素子
10 ライン光源ユニット
11 レンズアレイ
12 受光素子
31 V字状の溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の読取装置の照明光源として用いられるライン光源ユニットであって、
長手方向Lに延びる透明な導光体と、
前記導光体の端面に配置された第一の光源素子と、
前記導光体の少なくとも1つの側面に形成され、前記光源素子から前記導光体の端面に入射され前記導光体の長手方向に沿って進む光を拡散・屈折させて出射させるための光拡散パターンと、
前記導光体の前記光拡散パターンが形成された側面を含む1又は複数の側面を覆うカバー部材とを有し、
前記1又は複数の側面を覆う前記カバー部材には、前記導光体に対してUV光を発光する第二の光源素子が取り付けられている、ライン光源ユニット。
【請求項2】
前記カバー部材には、前記第二の光源素子を挿入する貫通孔が形成されている、請求項1記載のライン光源ユニット。
【請求項3】
前記第二の光源素子が、前記長手方向に沿って複数個一列に配列されている、請求項1又は請求項2記載のライン光源ユニット。
【請求項4】
前記導光体は光出射側面を有し、この光出射側面の、該導光体の長手方向と垂直な断面の形状が、外側に凸の曲線状を成している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のライン光源ユニット。
【請求項5】
紙葉類からなる原稿を照明するためのライン光源ユニットと、そのライン光源ユニットから出射され前記原稿を反射又は透過した光を導くためのレンズアレイと、そのレンズアレイにより導かれた透過光を受光する受光素子とを備える紙葉類の読取装置であって、
前記ライン光源ユニットは、長手方向に延びる透明な導光体と、
前記導光体の端面に配置された第一の光源素子と、
前記導光体の少なくとも1つの側面に形成され、前記光源素子から前記導光体の端面に入射され前記導光体の長手方向に沿って進む光を拡散・屈折させて出射させるための光拡散パターンと、
前記導光体の前記光拡散パターンが形成された側面を含む1又は複数の側面を覆うカバー部材とを有し、
前記1又は複数の側面を覆う前記カバー部材には、前記導光体に対してUV光を発光する第二の光源素子が取り付けられている、紙葉類の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−266931(P2010−266931A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115645(P2009−115645)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】