説明

ラキニモドを用いるループス関節炎の治療

本発明は、活動性ループス関節炎で苦しむ対象を治療する方法であって、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の、対象を治療するのに有効な量を対象に定期的に投与することを含む方法を提供する。本発明はさらに、活動性ループス関節炎で苦しむ対象の治療において用いるための、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩を提供する。本発明はさらに、ループス関節炎で苦しむ対象の治療において用いるための量のラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
体関節の炎症および疼痛を特徴とするループス関節炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の亜集団で起こる合併症であって、ループス患者での関節痛の最も一般的な原因である。
【0002】
SLEは臨床多様性の大きな衰弱性自己免疫疾患であって、患者および影響を受ける身体部分に従い異なる様式で出現し、いくつかの合併症、例えば関節炎、関節痛および筋痛につながることがある。SLEの正確な病因はまだ決定されていないが、ホルモン性、遺伝性、ウイルス性および環境性の因子が疾患を引き起こす可能性がある。SLE有病率は民族性および地理的領域にわたって異なり、100,000人あたり15人から50人の患者の発生率である(Bevra、2001)。SLEは妊娠可能年齢(15〜44歳)の女性で最も一般的であり、女性対男性比は4.3から13.6までと変動する(Petri、2002)。筋骨格、粘膜皮膚、心臓血管、神経、呼吸、腎臓、眼科血液学的および胃腸の系を含む実質的に全ての身体系が関与する可能性がある。
【0003】
SLEの大きな臨床多様性および特発性のために、特発性SLEの管理は、その具体的な徴候および重症度に依存する(The Merck Manual、1999)。したがって、SLEを治療するために提案される薬物投与は、一般にSLEの全ての徴候およびそれから生じる合併症、例えばループス関節炎の治療のために必ずしも有効であるとは限らない。
【0004】
関節、筋肉およびそれらの支持構造物は、SLEで最も一般的に関与する系であり、患者の53〜95%に影響を及ぼす(Wallace、2007)。SLEを有する人々の90%を超える者は、彼らの病気の経過中のある時期に関節痛および/または筋肉痛を経験し、SLE患者の間での関節炎の有病率は50%を上回ると推定される(Wallace、2007)。
【0005】
米国リウマチ学会は、臨床試験でSLEの定義を操作できるようにするための分類手段として1982年に11個の基準を確立し、それは1997年に改正された。米国リウマチ学会による改正全身性エリテマトーデスの分類基準は、ループス関節炎を「圧痛、腫脹または浸出液を伴う2つ以上の末梢関節の非びらん性関節炎」と定義している。
【0006】
ループス関節炎は、ワキシングアンドウェイニングパターンで関節の疼痛と、凝りと、腫脹と、圧痛と、ほてりとを引き起こす。ほとんどの場合影響を受ける関節は、体の中央から最も遠くのもの、例えば指、手首、肘、膝、足首および足指である。日中、時間が経つにつれて徐々に改善する朝目覚めた時の全身の凝りは、ループス関節炎の重要な特徴である。しかし、関節痛がその日の後刻に起こることがある。
【0007】
ループス関節炎では、いくつかの関節が通常関与し、炎症は体の両側の類似した関節に影響を及ぼす。全ての大小の関節が影響を受けることがある。しかし、慢性関節リウマチと比較して、ループス関節炎は障害性がより低く、関節の破壊を起こす可能性が低い。ループス関節炎を有する人々の10%未満は、軟骨および骨の弱体化と関連する手および足の奇形を発症する。
【0008】
関節、筋肉およびそれらの支持構造物はSLEで最も一般的に関与する系であるが、治療に対するこの器官系の応答の主要評価を行った臨床試験は、現在までには、ほとんど実施されていない。
【0009】
ループス関節炎のための決定的な治療またはケアはない。療法の主要な目標は、症状を軽減し、機能を改善することである。The Lupus Foundation of Americaによると、ループス関節炎のための現在の療法は、5つの基本的な目標を有する:炎症を低減すること、免疫系を抑制すること、状態の突然の再発を阻止および治療すること、症状を制御すること、ならびに体および器官へのあらゆる傷害を制限すること。
【0010】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、コルチコステロイド、抗マラリア薬および様々な免疫抑制性の薬物投与は、ループス関節炎患者のための標準的なケアである。(Grossman、2009)関節硬直と関節痛とを低減するために、低衝撃運動も同様に推奨されている。ループス関節炎の治療以外に、全ての付随するSLE徴候、症状および合併症が治療されるべきである。
【0011】
多くの患者が上記標準的なケアの薬物療法に応答しないか部分的に応答するだけであるが、高用量のコルチコステロイドおよび免疫抑制療法の長期使用は重大な副作用を有することがある。活動性のSLEおよび免疫抑制剤物投与によるその治療と同時に起こる感染性合併症は、SLE患者で最も一般的な死因である。
【0012】
したがって、ループス関節炎の治療のためにより良い危険度−有益性プロファイルを有する代替療法の確かな必要性がある。
【発明の概要】
【0013】
本出願は、2010年3月3日に出願の米国特許仮出願第61/339,355号の優先権を主張し、その全内容はここに参照により本明細書に援用される。
【0014】
本出願を通して、様々な刊行物は最初の著者および刊行年によって参照される。これらの刊行物の完全な引用は、請求項の直前の参考文献のセクションで提示される。本明細書に記載の本発明の日付現在での最新技術をより完全に説明するために、参考文献のセクションでその全体が引用される刊行物の開示は、ここに参照により本出願に援用される。
【0015】
本発明は、活動性ループス関節炎で苦しむ対象を治療する方法であって、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の、対象を治療するのに有効な量を対象に定期的に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明は、活動性ループス関節炎で苦しむ対象の治療で用いるための、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩をさらに提供する。
【0017】
本発明は、ループス関節炎で苦しむ対象の治療で用いるための量のラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物をさらに提供する。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本発明は、活動性ループス関節炎で苦しむ対象を治療する方法であって、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の、対象を治療するのに有効な量を対象に定期的に投与することを含む方法を提供する。
【0019】
一つの態様において、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の量は、対象で活動性ループス関節炎の臨床徴候または症状を低減するのに有効である。別の実施形態では、ラキニモドの薬学的に許容される塩は、ラキニモドナトリウムである。
【0020】
一つの態様において、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、経口的に実行される。別の実施形態では、投与されるラキニモドの量は、0.5〜1.0mg/日である。別の実施形態では、投与されるラキニモドの量は0.5mg/日である。さらに別の実施形態では、投与されるラキニモドの量は1.0mg/日である。
【0021】
一つの態様において、本方法は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗マラリア薬、非ステロイド系抗炎症薬および/またはCOX2阻害剤の投与をさらに含む。
【0022】
一つの態様において、定期投与は少なくとも12週間の間継続する。
【0023】
一つの態様において、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩は、ループス関節炎のために単独療法として投与される。別の実施形態では、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩は、別のループス関節炎療法との補助療法として投与される。
【0024】
一つの態様において、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、対象の腫脹関節数を低減する。別の実施形態では、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、対象の圧痛関節数を低減する。さらに別の実施形態では、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、対象のBILAG MSK応答を改善する。
【0025】
一つの態様において、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、対象のBILAGスコアを改善する。
【0026】
一つの態様において、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、対象のC反応性タンパク質レベル、血清サイトカインレベル、血清ケモカインレベルおよび/または抗dsDNAレベルを低下させる。別の実施形態では、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の定期投与は、28関節数(DAS28)、66腫脹/68圧痛関節数(JC66/68)を用いる対象の疾患活動性スコアを低減し、および/または対象の医師総合評価(PGA:physician global assessment)スコアを低減する。
【0027】
一つの態様において、対象はヒトである。
【0028】
本発明は、活動性ループス関節炎に苦しむ対象で活動性ループス関節炎を治療する方法であって、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の、対象で活動性ループス関節炎を治療するのに有効な量を対象に定期的に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0029】
本発明は、活動性ループス関節炎で苦しむ対象の治療において用いるための、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩をさらに提供する。
【0030】
本発明は、ループス関節炎で苦しむ対象の治療において用いるための量のラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0031】
上記実施形態について、本明細書で開示される各実施形態は、他の開示される実施形態の各々に適用可能であることが企図される。
【0032】
パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内の全ての整数、およびその10分の1の数も本発明によって提供されるものと理解される。例えば、「0.5〜1mg/日」は、0.5mg/日、0.6mg/日などを、最高1.0mg/日まで含む。
【0033】
ループス、特にループス関節炎で苦しむ対象を、ラキニモドを用いて治療する方法が開示される。ラキニモドは、多発硬化症(MS)の治療のための経口用製剤として勧められている、経口生物学的利用能の高い新規合成化合物である(Polman、2005;Sandberg−Wollheim、2005)。ラキニモドおよびそのナトリウム塩形は、例えば米国特許第6,077,851号に記載されている。ループス関節炎に対するラキニモドの効果は報告されていない。本明細書に記載されるように、ラキニモドの投与はループス関節炎で苦しむ対象を治療するのに有効である。
【0034】
ラキニモドは経口投与することができ、免疫抑制剤でないので、ラキニモドの投与はループス関節炎のための既存の療法よりも有利である。さらに、ラキニモドは、標準的なケアと一緒に用いるときに潜在的相加効果に寄与する特異な作用機構を有する。
【0035】
[用語]
ここで用いられるように、他に明記しない限り、以下の用語の各々は、下に示す定義を有するものとする。
【0036】
本明細書で用いるように、ミリグラムで計量されるラキニモドの「量」または「用量」は、調製物の形に関係なく調製物中に存在するラキニモド酸のミリグラムを指す。したがって、「0.5mgのラキニモドの用量」は、調製物の形に関係なく調製物中のラキニモド酸の量が0.5mgであることを意味する。同様に、「1mgのラキニモドの用量」は、調製物の形に関係なく調製物中のラキニモド酸の量が1mgであることを意味する。したがって、塩の形態である場合、例えばラキニモドナトリウム塩である場合、0.5mgのラキニモドの用量を提供するのに必要な塩形態の重量は、付加的な塩イオンの存在のために0.5mgより大きくなる。
【0037】
本明細書で用いるように、「ラキニモド」はラキニモド酸または薬学的に許容されるその塩を意味する。
【0038】
本明細書で用いるように、「活動性ループス関節炎で苦しむ対象」は、活動性ループス関節炎を有すると肯定的に診断された対象を意味する。
【0039】
本明細書で用いるように、「関節の圧痛」は、圧力下の静止時、または関節の受動的運動/関節操作時の関節における、圧痛および/または疼痛の存在と定義される。
【0040】
本明細書で用いるように、「関節の腫張」は、関節縁に沿って検出可能である軟組織の腫張である。
【0041】
本明細書で用いるように、ラキニモドの量を指すときの「有効な」は、本発明の方法で用いるときの合理的な有益性/危険度比に釣り合う、過度の有害副作用(毒性、刺激作用またはアレルギー応答など)なしで所望の治療応答を与えるのに十分であるラキニモドの量を指す。
【0042】
本明細書で用いるように、「治療すること」は、例えば、障害の阻害、退行もしくは停止を誘導すること、または障害の症状を軽減、抑制、阻害すること、その重症度を低減すること、除去もしくは改善することを包含する。
【0043】
本明細書で用いるように、対象での疾患進行または疾患合併症の「阻害」は、対象で疾患進行および/または疾患合併症を阻止または低減することを意味する。
【0044】
本明細書で用いるように、ループス関節炎と関連する「症状」は、ループス関節炎と関連するあらゆる臨床または検査徴候を含み、対象が感じるか観察することができるものに限定されない。
【0045】
本明細書で用いるように、「英国ループス評価グループ疾患活動指数」または「BILAG」指数は、全身性エリテマトーデス(SLE)で臨床疾患活動性を測るための検証された包括的コンピュータ化指数であり、それは医師の「治療方針」の原理に従って開発された。
【0046】
BILAG評価は97個の変数からなり、一部は患者病歴に基づき、一部は検査所見に基づき、他は検査/画像化結果に基づく。質問は、9つの系に分類される:体質、粘膜皮膚、神経精神医学、筋骨格、心肺、胃腸、目、腎臓および血液学。
【0047】
指数は、各評価の前の過去4週中のSLE関連の疾患活動性だけを捕捉しようとする。臨床変数の各々は、以下のように記録することができる:
0.存在しない。
【0048】
1.改善された。療法の削減を考慮するに十分、および[評価時および少なくとも2週の間改善が存在するか、最後の丸1週以内に完全に解消した]。
【0049】
2.同じ。過去4週と比較して最後の4週以内に改善および悪化がないか、または改善が改善基準を満たさない。
【0050】
3.悪化している。過去4週と比較して最後の4週の間に悪化した。
【0051】
4.新規。最後の4週(過去4週と比較して)の間の新規または再発性の発症、それは改善していない。
【0052】
これらの変数の各々への評点に基づき、各系に特異的な定義済みアルゴリズムは、各系についてAからEにわたる疾患活動性スコアを提供する:
グレード「A」=高用量ステロイド(>20mg/日の経口プレドニソロンもしくは同等物またはIVパルス投与>500mg MP)、全身性免疫調節薬または高用量抗凝血による治療を必要とする重症疾患活動性
グレード「B」=低用量経口ステロイド(<20mg/日のプレドニソロンまたは同等物)、IMもしくはIAステロイド(MP<500mgと同等)、局所ステロイドもしくは免疫調節薬、抗マラリア薬または対症療法(例えばNSAID)による治療を必要とする中等度の疾患活動性。
【0053】
グレード「C」=軽度の疾患。
【0054】
グレード「D」=以前に罹患したが現在不活動性を示す。
【0055】
グレード「E」=この系は関与したことがない。
【0056】
本明細書で用いるように、SLE疾患活動性指数「SLEDAI 2K」は、SLE患者での疾患活動性の総合評価として開発された検証済みの手段である。それは、ループス研究の分野の一群の専門家のコンセンサスを表す。SLEDAI 2Kは、9つの器官系で24の記述子(16の臨床徴候および8の検査手段)を評価する。記述子は、臨床上の重要性に基づいて二値評点(過去30日以内に存在する/存在しない)による異なる重みを与えられる。記述子は活動性SLEに帰されなければならず、さもなければ評点するべきでない。SLEDAI 2Kは現在のループス活動性を評価するものであり、慢性傷害を評価するものでない。
【0057】
本明細書で用いるように、「評価者/医師総合評価(EGA)」は視覚的アナログスケールである。それは、非活動性からより悪い疾患活動性までの医師による主観的評価に基づいて疾患活動性を測る。EGAは、診察(スクリーニングを除く)ごとに実施される。
【0058】
本明細書で用いるように、「患者総合評価(PGA)」は視覚的アナログスケールである。それは、非常に良好から非常に不良までの、対象による全体的な健康状態の認知を測る。本明細書で用いるように、「有害事象」または「AE」は、医薬品を投与される臨床試験被験者における、治療と因果関係を有しないあらゆる厄介な医学的発生を意味する。したがって、有害事象は、治験薬品に関係があるとみなされるか否かを問わず、治験薬品の使用に一時的に関連する異常な検査所見、症状または疾患を含む任意の好ましからぬ、意図しない徴候であってよい。
【0059】
本明細書で用いるように、「薬学的に許容される担体」は、合理的な有益性/危険度比に相応して、過度の有害副作用(毒性、刺激作用およびアレルギー応答など)なしでヒトおよび/または動物での使用に適する担体または賦形剤を指す。それは、対象へ本化合物を送達するための薬学的に許容される溶媒、懸濁剤または媒体(vehicle)であってよい。
【0060】
投薬を指す場合、指示「BID」は、用量が1日2回投与されることを示す。指示「QD」は、用量が1日1回投与されることを示す。
【0061】
マウスモデルを用いてループス徴候に対するラキニモドの効果について試験する、いくつかの実験が行われた。(実施例1.1〜1.4を参照)しかし、ヒトのループス関節炎に対するラキニモドの効果は報告されていない。したがって、これらの実験の励みになる結果に基づき、臨床試験が開始される(実施例2を参照)。
【0062】
SLEのためのラキニモドの使用は、例えば米国特許第6,077,851号で以前に提案された。しかし、経験的実証なしで、この開示単独に基づいてラキニモドがSLEから生じる全ての合併症を治療するのに有効であることを肯定的に証明することはできない。’851号特許は、本発明に関連するSLEの特定の亜集団のためのラキニモドの使用を開示していない。すなわち、’851号特許は、ループス関節炎のためのラキニモドの使用を開示していない。他方、本発明者らは、ラキニモドがループス関節炎の治療のために特に有効であることを意外にも見出した。
【0063】
本出願で用いられるラキニモドの薬学的に許容される塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウムおよび鉄が含まれる。ラキニモドの塩製剤およびそれを調製するための方法は、例えば米国特許出願公開第2005/0192315号およびPCT国際出願公開WO2005/074899に記載され、それらはここに本出願に参照により組み込まれる。
【0064】
投薬量単位は、単一の化合物またはその化合物の混合物を含むことができる。投薬量単位は、経口用剤形、例えば錠剤、カプセル、ピル、粉末および粒剤のために調製することができる。
【0065】
ラキニモドは、意図する投与形式に関して、および従来の製薬慣行と一貫するように最適に選択される、適する医薬用の希釈剤、増量剤、賦形剤または担体(本明細書では薬学的に許容される担体と総称する)と混合して投与することができる。単位は、好ましくは経口投与に適する形である。ラキニモドは単独で投与することができるが、薬学的に許容される担体と一般に混合され、錠剤もしくはカプセル、リポソームの形で、または凝集粉末として同時投与される。適切な固体担体の例には、ラクトース、ショ糖、ゼラチンおよび寒天が含まれる。カプセルまたは錠剤は容易に製剤化することができ、飲み込むことまたは噛むことを容易にすることができる。他の固体の形には、粒剤および原体粉末が含まれる。錠剤は、適する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、香料、流動誘導剤および溶融剤を含むことができる。例えば、錠剤またはカプセルの投薬単位剤形での経口投与については、活性薬剤成分は、ラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロースなどの、経口用、非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然の糖類、例えばグルコースもしくはベータラクトース、トウモロコシデンプン、天然および合成のゴム、例えばアカシア、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウム、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。これらの剤形で用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルクなどが含まれる。崩壊薬には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の経口用剤形を製剤化するために用いることができる技術、薬学的に許容される担体および賦形剤の具体例は、例えば米国特許出願公開第2005/0192315号、PCT国際出願公開WO2005/074899、WO2007/047863およびWO2007/146248に記載されている。
【0067】
本発明で有用な剤形を作製するための一般的な技術および組成は、以下の参考文献に記載されている:7 Modern Pharmaceutics、第9章および第10章(Banker & Rhodes編、1979);Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Liebermanら、1981);Ansel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms第2版(1976);Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985);Advances in Pharmaceutical Sciences(David Ganderton、Trevor Jones編、1992);Advances in Pharmaceutical Sciences第7巻(David Ganderton、Trevor Jones、James McGinity編、1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms(Drugs and the Pharmaceutical Sciences、シリース゛36(James McGinity編、1989);Pharmaceutical Particulate Carriers:Therapeutic Applications:Drugs and the Pharmaceutical Sciences、第61巻(Alain Rolland編、1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract(Biological Sciences中のEllis Horwood Books。Series in Pharmaceutical Technology;J.G.Hardy、S.S.Davis、Clive G.Wilson編);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences、第40巻(Gilbert S.Banker、Christopher T.Rhodes編)。これらの参考文献は、その全体がここに本出願に参照によ
り組み込まれる。
【0068】
本発明は以下の実験詳細への参照によってよりよく理解されるが、詳述される具体的な実験は、その後に続く特許請求の範囲により完全に記載されるように、本発明を例示するだけであることを当業者は容易に認識する。
【0069】
実験の詳細
実施例1:動物モデルでのSLEについてのラキニモドの効果の評価
全身性エリテマトーデス(SLE)は、欠陥T細胞媒介応答および自己抗原または変化した自己抗原に反応性である様々な抗体の形成を特徴とする、全身性自己免疫の障害である。SLEは、抗DNA抗体の存在を主な特徴とする。これらの自己抗体のいくつかは対応する自己抗原と合わさり、循環血液中に、または組織中に直接的に免疫複合体を形成し、重度傷害をもたらす。免疫複合体によって誘発される糸球体腎炎は、実際、SLE患者で主要な死因である。(NZBxNZW)F1は、抗dsDNA抗体(Ab)、タンパク尿症および免疫複合体沈着物(ICD)を含むSLE様疾患を自然発生的に発症する、ループスを起こしやすいマウスである。(NZBxNZW)F1(NZB/W)マウスモデルは、自然発生SLEの証明モデルである。
【0070】
いくつかの試験で、SLEの(NZBxNZW)F1モデルでラキニモドの様々な用量の効果を評価した。試験は、陰性対照(水)とシクロホスファミド(CTX)およびメトトレキセート(MTX)を含む陽性対照とをさらに含んでいた。
【0071】
実施例1.1−(NZBxNZW)F1マウスモデルを用いるループス徴候に対するラキニモド、シトキサン(CTX)およびメトトレキセート(MTX)の効果
この試験はSLEのマウスモデルでSLEの免疫調節薬ラキニモドの効果を調査し、その治療効果を参照物質CTXおよびMTXと比較した。CTXは、最も重症型のループスの疾患管理のための標準的なケアになっているアルキル化剤である。MTXは、癌および自己免疫性疾患の治療で用いられる代謝拮抗薬である。それはジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害を通して葉酸の代謝を阻害することによって作用し、急増殖細胞でDNA合成を妨害する。これらの作用には、免疫抑制が含まれる。CTXとMTXの両方は、先行研究で効力を示している。
【0072】
ラキニモドならびに参照化合物CTXおよびMTXは治療的モードで適用され、マウスSLEモデルの特徴的な変化であるタンパク尿症(PU)が動物の>80%に存在したときに治療が開始され、これに続く観察および治療の期間は12週間であった。ラキニモドは25mg/kgの用量で毎日p.o.で適用された。CTXは、25mg/igの用量で1週間に1回i.p.で適用された。MTXは、35μg/マウスで週3回p.o.で適用された。
【0073】
さらに、体重変化を毎週記録し、実験終了時に両方の腎臓を保存し、1つは糸球体での可能な従来の組織学のため、1つは免疫複合体検出*ICD)のためであった。ICDの評価は、評点および画像分析によって実施された。
【0074】
80匹の動物が試験に含まれた。治療期間の間に4匹の動物が死に至り、2匹は媒体治療群から、2匹はMTX治療群からであった。
【0075】
PU測定後の疾患の重症度は、対照(水処置、媒体)群で漸増を示したが、治療群と媒体群の間の実質的な差は、観察の第8〜12週あたりで出現した。12週目の観察時には、ラキニモドおよびCTX治療はタンパク尿症を有意に減らした(それぞれMW U検査によりp<.01およびP<0.05)。
【0076】
実験終了時に、ICDを2つの方法で評価し、2つの方法からの結果は良い相関を示した(相関係数:0.993)。免疫複合体沈着は、ラキニモドおよびCTXによって有意に阻害された(それぞれp<0.001およびp<0.05)。結果は最後の週のPUデータとよく相関している(ICDおよびPUの群平均の相関係数:0.8199)。
【0077】
したがって、ラキニモドおよび参照薬剤CTXは、マウスSLEモデルの腎臓でタンパク尿症と免疫複合体沈着とを有意に減少させた。MTXは、症状を阻害しなかった。
【0078】
実施例1.2−SLEの(NZBxNZW)F1モデルでのラキニモドの効力の確認−用量応答試験
これは、(NZBxNZW)F1マウスで症状を抑制することにおいてラキニモドが有効かどうか決定する生存用量応答試験であった。用いた陽性対照はCytoxanであった。
【0079】
7カ月齢までに発症した自然発生疾患(タンパク尿症で判断される)を有する71匹のマウスを、それらのPUスコアに従って6つの実験群(水、CTX、ラキニモド0.2mg/kg、ラキニモド1.0mg/kg、ラキニモド5.0mg/kg、ラキニモド25.0mg/kg)に分けた。
【0080】
水およびラキニモドは、週5日経口投与した(200μl/マウス)。CTXは、1週間に1回腹腔内に投与した(200μl/マウス)。血液試料を1、5、15および37週目に収集した。抗dsDNA抗体の検出のために、血清試料を調製した。37週(257日)間の治療の後に、マウスを屠殺した。
【0081】
試験は、ラキニモド治療がNZB/Wマウスの疾患の臨床症状、特にタンパク尿症と抗dsDNAレベルとを抑制し、長期生存をもたらすことを明らかにした。ラキニモドの全ての用量による治療は媒体治療と比較してタンパク尿症の進行を抑止したが、1、5および25mg/kgの特定の用量は陽性対照シクロホスファミド(CTX)と同じくらい有効であった。0.2mg/mlの用量はタンパク尿症を抑止したものの、より高い用量と比較して同じ程度ではなかった。抗dsDNAレベルに関しては、抗体レベルの用量依存的な減少が経時的にあった。最後に、全ての用量は、生存の有意な延長をもたらした。
【0082】
実施例1.3−SLEの(NZBxNZW)F1モデルでのラキニモドの効力の確認
この試験は、ラキニモド(0.2および5mg/kg)対CTXおよび媒体治療(NZBxNZZW)F1マウスの効果を検討した。
【0083】
7カ月齢までに発症した自然発生疾患(タンパク尿症で判断される)を有する70匹のマウスを、それらのPUスコアに従って4つの実験群(水、CTX、ラキニモド0.2mg/kg、ラキニモド5.0mg/kg)に分けた。
【0084】
水およびラキニモドを週5日経口投与した(200μl/マウス)。CTXは、1週間に1回腹腔内に投与した(200μl/マウス)。血液試料を1、5および11週目に収集した。抗dsDNA抗体の検出のために、血清試料を調製した。13週間の治療の後、マウスを屠殺し、それらの腎臓中の免疫複合体沈着物を評価した。
【0085】
この試験は、タンパク尿症で判断されるように、ラキニモドがNZB/Wマウスで疾患進行を抑止したことを確認する。他のエンドポイント、具体的には抗dsDNAレベルおよび免疫複合体沈着物を見た場合、5mg/kgによる治療は陽性対照CTXと同様に作用した。低用量(0.2mg/kg)での治療は、タンパク尿症の増加を阻止したが、抗dsDNA Ab力価とICDをと阻害しなかった。
【0086】
実施例1.4−MRL/lprループスマウスモデルでのラキニモドの非GLPのインビボ評価
この試験は、MRL/lprループスマウスモデルでのラキニモドの効力を評価する。
【0087】
それらの尿のタンパク尿症が>200mg/dLに到達し、その時点でそれらが試験に組み入れられるまで、動物を監視した。週末を除いて毎日、ラキニモドp.o.の1または5mg/kg、100mg/kgミコフェノール酸モフェチル(MMF、CellCept(登録商標))p.o.または媒体(水DDW)p.o.のいずれかを動物に投薬した。
【0088】
タンパク尿症、足首および足の直径、dsDNA自己抗体レベルならびに生存を、試験の生存部分の期間中監視した。終了時、dsDNA自己抗体レベルの決定のために血液試料を収集し、脾臓を収集および計量し、次に脾細胞を単離するために処理して計数した。腎臓、肺、皮膚、リンパ節、唾液腺および関節を収集し、組織学的検査のために処理し、治療が知らされていない組織病理学者によって評価された。
【0089】
全体として、実験の生存相中の測定では、ラキニモドで治療された動物に用量依存的な効力の傾向があるようであった。データの高い変動性の結果、これらの傾向は一部の散発的な時点を除いて有意でなかった。腎臓の組織病理学的分析は、媒体治療と比較してMMFおよび5mg/kg治療のラキニモド治療による腎臓糸球体腎炎の有意な減少を明らかにした。肺BALT過形成に関してMMF治療と媒体治療群との間で有意な差が検出された。皮膚またはリンパ節の組織病理に対して、試験品治療のいずれの効果もなかった。唾液腺炎症を組織病理学的評点によって評価したとき、媒体治療と比較してMMFと5mg/kgラキニモド治療の両方で有意な減少が見られた。媒体対照と比較してラキニモドの両用量で、骨の再吸収の有意な減少が見られた。媒体治療と比較して5mg/kgでのラキニモド治療で、軟骨傷害の有意な減少が検出された。媒体対照と比較して関節の炎症の有意な減少が見られた。いずれの治療群の間でもパンヌスの有意な差は検出されなかった。MMFと5mg/kgでのラキニモド治療との間で有意な差が観察され、より高い用量の試験品およびMMF治療が類似していることを示していた。より高い用量のラキニモドがより低い用量より有意により低いスコアをもたらしたので、唾液腺炎症の有意な減少があった。媒体と比較して5mg/kgでのラキニモド治療で、関節の炎症は有意に減少した。関節パンヌスの減少への傾向があったが、治療群の間で関節パラメータの他のいかなる有意差もなかった。有意性のこの欠如は、データの高い変動度によるものであろう。脾臓を計量し、次に脾細胞を単離および計数した。次に、脾細胞を全脾細胞の百分率で表した。脾臓重量は、全ての試験品治療で減少に向かう傾向を示した。しかし、この減少は、統計的有意性を達成しなかった。したがって、媒体と比較した全ての治療にとって脾細胞の有意な減少は重要である。脾細胞を全脾細胞の百分率で表した場合、媒体と比較して5mg/kgでのラキニモド治療で、脾細胞百分率の有意な減少が検出された。
【0090】
実施例2:臨床試験(第IIa相)−ループス関節炎の治療のためのラキニモドの評価
活動性ループス関節炎を有する全身性エリテマトーデス(SLE)患者でラキニモド(0.5mg/日および1mg/日)の安全性と、許容度と、バイオマーカーと、臨床効果とを評価するために、多施設ランダム化二重盲検プラセボ比較臨床試験を行う。
【0091】
関節、筋肉およびそれらの支持構造物はSLEで最も一般的に関与する系を構成するが、治療に対するこの器官系の応答の評価に焦点を合わせた臨床試験は、現在までにほとんど実施されていない。SLEの臨床試験でしばしば用いられる検証済転帰測定手段(例えば、SLEDAI 2KまたはBILAG)は、ループス関節炎活動性と治療へのその応答とを評価するために特異的でないか、十分に感度が高くないかもしれない。この試験は、器官特異的な転帰測定手段−腫脹した関節の数−を用いることにより、ループス関節炎活動性を評価する。
【0092】
FDA指針(FDA、2005)によって提案されているように、これらの筋骨格器官特異的な徴候は、BILAGおよびSLEDAI 2Kコアによって捕捉されるように、SLEの一般徴候と一緒に評価される。
【0093】
試験集団および対象数
約90人の活動性ループス関節炎を有する全身性エリテマトーデス患者が組み入れられる。(治療群につき約30人の対象者)。脱落例は、交換されない。
【0094】
試験期間
全体の試験期間は最高20週であり、スクリーニング期間は2週まで、治療期間は12週であり、経過観察期間は4週である。
【0095】
治験薬品および投薬量
ラキニモド/マッチングプラセボ
ラキニモド0.5mgおよび/またはマッチングプラセボを含有するカプセルを、1日1回経口投与する:
1.ラキニモド0.5mg群−ラキニモド0.5mgのカプセル1つおよびマッチングプラセボカプセル1つ。
【0096】
2.ラキニモド1mg群−ラキニモド0.5mgのカプセル2つ。
【0097】
3.プラセボ群−プラセボのカプセル2つ。
【0098】
組入/除外基準
組入基準
全ての対象は、適格となるために、下記の全ての組入基準を満たさなければならない:
1.スクリーニング検診のときまでにSLEのThe American College of Rheumatologyの少なくとも4つの分類基準(1997年版)を満たした、SLEと診断された対象。全ての対象は、異常な抗核抗体力価を有するべきである。[ケースバイケースで、スクリーニングとベースラインとの間で抗核抗体または抗dsDNAを再評価することができる]。
【0099】
2.下記の全てによって明白な通り、活動性ループス関節炎を有する対象:
a.スクリーニングおよびベースライン診察時に少なくとも4つの圧痛および4つの腫脹のある関節[評価した28個の関節中]。
【0100】
b.スクリーニングおよびベースライン診察時に存在する、運動の機能的範囲の一部を失っている1個以上の活動性滑膜炎の関節から明白な中等度または重度の関節炎。
【0101】
3.対象は、18歳と75歳との間(それらを含む)の年齢でなければならない。
【0102】
4.対象は、書面によるインフォームドコンセントを提供する意志があり、かつそうすることが可能である。
【0103】
除外基準
以下のいずれも試験への組入れから対象を除外する:
1.スクリーニング診察時にMDRD式によって計算される30ml/分/1.73m2以下のGFR。
【0104】
2.スクリーニング診察時に8.5g/dl未満のヘモグロビンまたは1000/mm3未満の好中球または50,000/mm3未満の血小板を有する対象。
【0105】
3.薬剤誘発ループスのいかなる以前の診断。
【0106】
4.重度の、不安定および/もしくは進行性のCNSループスを有し、ならびに/またはかなりの認知障害と関連している対象。
【0107】
5.試験担当医の意見では、病歴、検診、心電図(ECG)、臨床検査または画像化から判断される通り、安全で完全な試験協力を排除する、臨床的に重要であるか不安定な医学的または外科的状態を有する対象。そのような状態には、以下を含めることができる:
a.試験プロトコルによって許される標準治療によってうまく制御することができない心臓血管または肺の障害。
【0108】
b.代謝または血液の疾患。
【0109】
c.B型肝炎抗原(HBsAg)または抗C型肝炎ウイルス(抗HCV)血清陽性の対象を含むいかなる型の急性または慢性の肝疾患。
【0110】
d.既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性状態。
【0111】
e.既知の活動性結核を有する対象。
【0112】
f.スクリーニング時の全身の感染。
【0113】
g.薬剤および/またはアルコール乱用の病歴。
【0114】
h.現在の重大な精神障害。
【0115】
6.スクリーニング時にALTまたはASTのいずれかの正常上限(ULN)の2.5倍以上の血清上昇を有する対象。
【0116】
7.スクリーニング時に正常上限(ULN)の2倍以上の直接型または総ビリルビンを有する対象。
【0117】
8.免疫抑制剤または全身コルチコステロイド(吸入ステロイドを含まない)による長期治療を必要とするSLE以外の医学的状態。
【0118】
9.基底細胞癌(完全に切除されている)を除く、スクリーニングから5年以内の悪性腫瘍の病歴を有する対象。
【0119】
10.スクリーニング時に妊娠または授乳中であるか、試験期間中にそうなる予定である女性。
【0120】
11.受胎調節の許容される方法を実施しない妊娠の可能性のある女性[この試験で受胎調節の許容される方法は以下の通りである:外科的不妊化、子宮内器具、経口避妊薬、避妊パッチ、持続性の注射可能な避妊薬、パートナーの精管切除、二重保護法(殺精子剤と一緒のコンドームまたはペッサリー)]。
【0121】
12.経口コルチコステロイド(例えばプレドニソロン)で治療された対象であって、この治療はスクリーニングの前の4週未満以内に開始された。
【0122】
13.ベースライン時に10mg/日を超えるプレドニソロン(または同等物)で治療された対象、またはベースラインの前の少なくとも2週間コルチコステロイド投薬療法が安定していない対象。[ベースラインの前の最後の2週以内に、5mg以下のプレドニソロン(または同等物)と定義される安定用量が増加または減少し、IVまたはIAステロイド投与がない。]
14.MTXで治療された対象であって、この治療はスクリーニングの前の12週以内に開始された。
【0123】
15.20mg/週を超える用量のMTXで治療された対象であるか、スクリーニングの前の少なくとも6週間安定した投薬を受けていない対象。
【0124】
16.6−MP、AZAまたはMMFで治療された対象であって、この治療はスクリーニングの前の12週以内に開始されたか、スクリーニングの前の少なくとも6週間安定した投薬を受けていない対象。
【0125】
17.スクリーニング時に安定した用量でない抗マラリア薬で治療される対象。
【0126】
18.ベースラインの前の2週以内における、NSAIDまたはCOX2阻害剤による新規連続治療(>3日)または用量の変化。
【0127】
19.スクリーニングの前の12週以内に、サイクロスポリン、IV Ig、アバタセプト、レフルノミド、血漿交換療法または任意の生物剤で治療された対象。
【0128】
20.スクリーニングの前の24週以内にシクロホスファミドまたはリツキシマブで治療された対象。
【0129】
21.スクリーニングの前の24週以内に任意の治験薬投与を受けた対象。
【0130】
22.ベースライン診察の前の2週以内のCYP3A4の阻害剤の使用(フルオキセチンでは1カ月)。
【0131】
23.スクリーニング診察の前の2年以内のアミオダロンの使用。
【0132】
24.試験薬剤の投与を妨げる既知の薬剤過敏症、例えば既知の過敏性マンニトール、メグルミンまたはフマル酸ステアリルナトリウム。
【0133】
25.試験診察および試験手順の計画的なスケジュールに応ずることができない対象。
【0134】
試験設計
これは、活動性ループス関節炎を有する全身性エリテマトーデス患者でラキニモドの2つの用量の安全性と、許容度と、薬物動態と、バイオマーカーと、臨床効果とを評価するための、ランダム化二重盲検プラセボ比較第IIa相試験である。この試験は、活動性ループス関節炎を有する全身性エリテマトーデス患者でラキニモドの2つの用量(0.5mgおよび1mg/日)の安全性と許容度とを評価する。この試験はまた、活動性ループス関節炎を有する全身性エリテマトーデス患者でラキニモド(0.5mgおよび1mg/日)のバイオマーカーと臨床効果とを評価する。
【0135】
対象は、ベースラインの最高2週前に、試験適格性について評価される。
【0136】
対象は、以下の2つの治療群の1つに1:1の比で最初にランダム化される:
1.ラキニモド0.5mg。
【0137】
2.マッチングプラセボ。
【0138】
1mgラキニモド用量群への組入れは、少なくとも4週間の治療を完了した少なくとも10人の対象のデータに基づいて、試験安全委員会の承認の後に開始される。承認後、治療群につき約30人の対象の全体組入れ目標の達成を可能にする比で、以下の3つの治療群の1つへのランダム化が起こる。
【0139】
1.ラキニモド0.5mg。
【0140】
2.ラキニモド1mg。
【0141】
3.マッチングプラセボ。
【0142】
試験全体で、試験プロトコルに従って、対象は、彼らの安定したバックグラウンドの標準的なケア投薬の維持が許可される。
【0143】
予定の院内診察を、スクリーニング時、ベースライン時ならびに2、4、8、12および16週目に行う。
【0144】
ラキニモド/プラセボによる治療は12週目の診察時に中止し、経過観察/試験完了診察は16週目に行う。12週目の診察前に試験薬剤を早期に中止した対象は、好ましくは治療終了診察から4週(28日)以内の経過観察試験完了診察に出向く。
【0145】
安全性または他のいかなる理由のための予定外の診察を、試験中のいかなるときでも行うことができる。
【0146】
試験期間中に、イギリス諸島ループス評価群(BILAG)スコア、SLE疾患活動性指数(SLEDAI 2K)、腫脹および圧痛関節数、患者総合評価スコア(PGA)、評価者総合評価スコア(EGA)ならびに患者疼痛評価(PtP)が、慣用される安全性臨床検査および身体的検査、PK分析ならびに疾患関連の免疫学試験/バイオマーカーに加えて評価される。
【0147】
試験中の許可される併用投薬
許可される併用投薬の用量は、試験全体で(試験プロトコルで規定されるスクリーニングから経過観察期間の完了まで)安定して保たれる。試験治療全期間中の試験プロトコルによって許可されないSLEのためのいかなる新規投薬/治療または用量の増加も、重大なプロトコル違反になり、治療失敗とみなされる。試験治療全期間中の試験プロトコルによって許可されない用量または投与療法の減少も、重大なプロトコル違反になる。さらに、試験治療全期間中の任意のときに対象に投与されるいかなる新規の生物的治療、新規の免疫抑制剤もしくは細胞毒性薬、血漿交換法またはIV−Igも治療失敗とみなされ、早期の治療中止をもたらす。
【0148】
コルチコステロイド
経口コルチコステロイドの許可されたバックグラウンド用量(最高10mgプレドニゾン/プレドニソロンまたは同等物)は、試験全体で安定したままである。安定用量は、ベースラインと比較して5mg未満のプレドニゾン/プレドニソロン(または同等物)の変化と定義される。IV、IMまたは関節内(IA)投薬は、許可されない。
【0149】
免疫抑制剤
1.試験プロトコルによって許可される免疫抑制治療(AZA、6MP、MTX、MMF)は、試験全体で安定に保たれる。治療期間中の新規の免疫抑制剤または細胞毒性薬による治療は早期の治療中止をもたらし、治療失敗とみなされる。治療期間中の用量増加は、治療失敗とみなされる。
【0150】
2.治療全期間中のいかなる新規の生物的治療(例えば、アバタセプト、抗TNF、リツキシマブ、他)による治療は、重大なプロトコル違反および治療失敗とみなされ、早期の治療中止をもたらす。
【0151】
その他
1.抗炎症薬(NSAID)またはCOX2阻害剤による治療は、試験中、安定に保たれる。治療全期間中の新規の治療または用量の変化は、治療失敗とみなされる。
【0152】
2.非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)またはCOX2阻害剤による治療は、試験中、安定に保たれる。治療全期間中のNSAIDまたはCOX2阻害剤による新規の連続治療(>3日)は、プロトコル違反および治療失敗とみなされる。必要による治療(3日以下の連続治療)は許可される。
【0153】
3.骨保護療法(例えばビスホスホネート)は、試験全体で許可される。
【0154】
4.治療期間中のCYP1A2基質(例えばワルファリン)の使用は許されるが、これらの投薬で治療される対象はそれらの効果の可能な減少について監視されるべきである。
【0155】
経過観察期間
経過観察全期間中、治療期間中に処方されるバックグラウンド投薬(例えばNSAID、COX2阻害剤、抗マラリア薬、ステロイド、免疫抑制剤)または任意の他の薬剤の安定用量を維持させるあらゆる試みがなされる。
【0156】
試験中に許可されない併用投薬
1.上記のもの以外のループス関節炎の治療のための薬剤は、試験の過程中許可されない。
【0157】
2.試験治療全期間中のSLEのための救済療法(プロトコルによって許可されないいかなる新規投薬/治療または用量の増加)は、重大なプロトコル違反になり、治療失敗とみなされる。試験治療全期間中のいかなる新規の生物的治療または新規の免疫抑制剤もしくは細胞毒性薬、IV−Igまたは血漿交換法は治療失敗とみなされ、早期の治療中止をもたらす。
【0158】
3.試験治療全期間中のプロトコルによって許可されない用量または投与療法の減少は、重大なプロトコル違反になる。
【0159】
4.NSAIDまたはCOX2阻害剤による新規の連続治療(>3日)は、プロトコル違反および治療失敗とみなされる。
【0160】
5.CYP3A4の阻害剤は、試験全体で許可されない(ベースラインの2週前から経過観察期間の終わりまで)。ラキニモドの治療中止の場合には、最高30日間、CYP3A4阻害剤である薬剤を避けるために特別な注意を払うべきである。
【0161】
PK分析
薬物動態学(PK)/集団PK試験(PPK):
PK評価のための血液試料は、以下の通りに全ての対象から収集される:4週目診察−下記時点での完全なPKプロファイル:投薬前、投薬の15、30分後、1、1.5、2、3、4、6および24時間後;2週目および12週目診察−投薬前(トラフ血漿レベル)。
【0162】
監視計画および安全停止規則
下記事象のいずれかで、試験への対象の協力は直ちに中止される。対象は、症状または臨床検査異常の解消または安定化まで追跡される。
【0163】
肝臓機能検査:
1.以下のいずれかと組み合わせたULNの3倍以上へのALTまたはASTの増加:
a.ワルファリン無治療対象でULNの1.5倍以上のINRの上昇。
【0164】
b.ワルファリン治療対象でINRの有意な上昇(試験担当医の判断による、通常の目標INRと比較される)。
【0165】
c.ULNの2倍以上の総ビリルビンの上昇(および溶血作用の証拠(網状赤血球数上昇またはハプトグロブリンの低下)不十分)。
【0166】
d.吐き気、嘔吐、発熱、発疹または好酸球増加の悪化の出現を伴うULNの3倍以上へのALTまたはASTの増加。
【0167】
e.ULNの5倍以上で8倍未満のレベルへのALTまたはASTの増加であって、それは2週以上の反復測定の間持続する。
【0168】
f.ULNの8倍以上のレベルへのALTまたはASTの増加。
【0169】
血液学的異常(SLE関連)
1.好中球減少−絶対好中球数<1000/mm3
【0170】
2.血小板減少−連続した2回の診察(少なくとも2週間隔)でPLT<50,000/mm3
【0171】
3.Hgb<8gr/DL−連続した2回の診察(少なくとも2週間隔)。
【0172】
中止基準/治療失敗
1.試験中の任意の時点で、ベースラインと比較した腫脹または圧痛の関節点数の50%の増加を有する対象は、治療失敗とみなされて試験を中止される。
【0173】
結果測定手段
応答の定義
BILAG MSK応答は、ベースライン時の筋骨格AまたはBからLOV時のCまたはDへの変化と定義される。
【0174】
BILAGの実質的応答者(SR)は、ベースライン時に少なくとも1つの系がAまたはBである場合には最後の実測値(LOV)で全ての系がCまたはD/Eであると定義される。
【0175】
SLEDAI 2K応答−ベースラインと比較して、SLEDAIでの少なくとも4ポイントの低下
・以下のいずれかで定義される薬/介入性フレア
−以前の用量と比較して、またはベースラインか任意のIV、IMもしくは関節内用量と比較して少なくとも5mg/日のステロイド増加。
【0176】
−新規連続治療(>3日)またはNSAIDもしくはCOX2阻害剤の用量の増加。
【0177】
−以前の用量と比較して、またはベースラインと比較して免疫抑制剤による新規の治療または用量の増加。
【0178】
−生物剤、IVIGまたは血漿交換法による治療。
【0179】
−以前の用量と比較して、またはベースラインと比較して抗マラリア薬の新しい治療または用量の増加。
【0180】
臨床効果結果測定
ループス関節炎
1.12週目の腫脹関節数の変化
12週目の腫脹関節数の記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で治療群別に示される。
【0181】
2.12週目の圧痛関節数の変化
12週目の圧痛関節数の記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で治療群別に示される。
【0182】
3.12週目の腫脹および圧痛関節数の変化
12週目の圧痛関節数と腫脹関節数の記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で治療群別に示される。
【0183】
4.12週目のBILAG筋骨格(MSK)応答の割合および治療失敗の欠如
ランダム化集団から計算される、12週目にBILAG MSK応答にあり、治療失敗を経験していない対象の数および百分率が、治療群別に表とグラフの両方の形式で示される。
【0184】
ループス関節炎は、関節の圧痛および腫張を特徴とする。圧痛および腫脹の関節の数は、ループス関節炎活動性を評価するために用いられる。「関節の圧痛」は、圧力下の静止時、または関節の受動的運動/関節操作時の関節における圧痛および/または疼痛の存在と定義される。「関節の腫張」は、関節縁に沿って検出可能である軟組織の腫張である。
【0185】
一般SLE
1.12週目の実質的BILAG応答者の割合および治療失敗の欠如
ランダム化集団から計算される、12週目に実質的BILAG応答を有し、治療失敗を経験していない対象の数および百分率が、治療群別に表とグラフの両方の形式で示される。
【0186】
2.12週目のSLEDAI 2K応答者の割合および治療失敗の欠如
ランダム化集団から計算される、12週目にSLEDAI応答を有し、治療失敗を経験していない対象の数および百分率が、治療群別に表とグラフの両方の形式で示される。
【0187】
3.治療期間中のいつでも新規のBILAG AまたはBを有する対象の割合
ランダム化集団から計算される、治療全期間(12週)中に任意の系で新規のBILAG AまたはBを経験した対象の数および百分率が、治療群別に表とグラフの両方の形式で示される。
【0188】
4.治療全期間中の新規の薬/介入性フレアを有する対象の割合
ランダム化集団から計算される、治療期間中にいつでも新規の薬介入性フレアを有する対象の数および百分率が、治療群別に表とグラフの両方の形式で示される。
【0189】
5.患者でのベースラインから12週目にかけての変化および評価者総合評価(PGAとEGA)
12週目のPGAおよびEGAの記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で治療群別に示される。
【0190】
6.SLEDAI 2Kでのベースラインからの変化
SLEDAI 2Kの記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で試験週および治療群別に示される。
【0191】
7.抗dsDNA、C3、C4およびCH50の変化
抗dsDNA、C3、C4およびCH50の記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で試験週および治療群別に示される。同様に、ベースライン時の正常から異常へ移行した対象の数および百分率が、表形式で試験週および治療群別に示される。
【0192】
8.12週目のサイトカインおよびケモカイン(血清、PBMCの上清)、遺伝子発現および細胞表面マーカー(PBMCの)
12週目のバイオマーカーの記述統計ならびにベースラインからの変化が、表およびグラフ形式で試験週および治療群別に示される。
【0193】
関節の圧痛と腫張の両方は、二値測定手段である(腫脹対腫脹なしおよび圧痛対圧痛なし)。
【0194】
六十八個(68)の関節が、全ての試験診察(スクリーニング、ベースラインおよび2、4、8、12および16週目の診察を含む)時に腫張について検査される。これらの関節には以下が含まれる:側頭下顎(n=2)、胸鎖(n=2)、肩峰鎖骨(n=2)、肩(R&L、n=2)、肘(R&L、n=2)、手首(R&L、n=2)、中手指節間(R&LX5、n=10)、母指の指節間(n=2)、遠位性指節間(n=2)、近位指節間(n=8)、腰(n=2)、膝(R&L、n=2)、足首ほぞ穴(n=2)、足首足根(n=2)、中足指節(n=10)、足の母指の指節間(n=2)、および足指の近位/遠位指節間(n=8)。
【0195】
六十六個(66)の関節が、全ての試験診察時に腫張について検査される。これらの関節には以下が含まれる:側頭下顎(n=2)、胸鎖(n=2)、肩峰鎖骨(n=2)、肩(R&L、n=2)、肘(R&L、n=2)、手首(R&L、n=2)、中手指節間(R&L X5、n=10)、母指の指節間(n=2)、遠位性指節間(n=2)、近位指節間(n=8)、膝(R&L、n=2)、足首ほぞ穴(n=2)、足首足根(n=2)、中足指節(n=10)、足の母指の指節間(n=2)、および足指の近位/遠位指節間(n=8)。
【0196】
スクリーニングおよびベースライン診察時に少なくとも4つの圧痛および4つの腫脹のある関節(評価した28個の関節中)を有する対象が、この試験に適格である。
【0197】
患者総合評価(PGA)は、視覚的アナログスケールである。それは、非常に良好から非常に不良までの、対象による全体的な健康状態の認知を測る。PGAは、診察(スクリーニングを除く)ごとに実施される。患者総合評価は、患者の観点に対する可能な影響を最小にするために他の計画された診察時の活動性/評価がされる前に、任意の診察時の可能な限り早い時期に収集されることが重要である。
【0198】
評価者/医師総合評価(EGA)は、視覚的アナログスケールである。それは、非活動性からより悪い疾患活動性までの医師による主観的評価に基づいて疾患活動性を測る。EGAは、診察(スクリーニングを除く)ごとに実施される。
【0199】
安全性および許容度結果測定
安全性
1.有害事象(AE)の発生率、頻度および重症度。
【0200】
2.臨床検査値の変化。
【0201】
3.生命徴候の変化。
【0202】
4.ECGの変化。
【0203】
有害事象の発生率および頻度は、システムオーガンクラス、ハイレベルグループトターム、ハイレベルタームおよびMedDRA辞書による好ましい用語によって提示される。
【0204】
許容度
1.治療を早期に中止する対象の割合。
【0205】
2.AEのために治療を早期に中止する対象の割合。
【0206】
3.早い治療中止までの時間。
【0207】
4.AEによる早い治療中止までの時間。
【0208】
許容度分析は、試験を完了することができなかった対象数(%)、有害事象のために試験を完了することができなかった対象数(%)に基づく。中止までの時間は、カプラン−マイアー曲線によって提示される。
【0209】
結果
この試験は、活動性ループス関節炎を有する全身性エリテマトーデス(SLE)患者で、プラセボと比較したラキニモドの0.5mgおよび1.0mgの日用量の効力と、許容度と、安全性とを評価する。
【0210】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、プラセボの投与と比較して、試験期間中の対象の腫脹関節数を低減する。
【0211】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、プラセボの投与と比較して、試験期間中の対象の圧痛関節数を低減する。
【0212】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、プラセボの投与と比較して、試験期間中の対象のBILAG MSK応答を改善する。
【0213】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、プラセボの投与と比較して、試験期間中の対象のBILAGスコアを改善する。
【0214】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、試験期間中の対象のC反応性タンパク質レベル、血清サイトカインレベル、血清ケモカインレベルおよび/または抗dsDNAレベルを低下させる。
【0215】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、試験期間中の28関節数(DAS28)、66腫脹/68圧痛関節数(JC66/68)を用いる対象の疾患活動性スコアを低減し、および/または対象の医師総合評価(PGA)スコアを低減する。
【0216】
0.5mgまたは1mgのラキニモドの毎日の経口投与は、プラセボの投与と比較して良好な耐容性を示し、毒性を示さない。
【0217】
参考文献
1.“Systemic Lupus Erythematosus” The Merck Manual, 17th ed. Mark H. Beers, MD, Robert Berkow, MD, eds. Whitehouse Station, NJ: Merck Research Labs, 1999.
2.0130282 99506202. A double blind, randomised, repeat-dose, dose escalation study of ABR-215062 versus placebo in healthy volunteers and patients with multiple sclerosis. Active Biotech Research AB, Sweden. Final Clinical Trial Report, January 2002.
3.03506207. An open safety study on laquinimod (ABR-215062) in patients with multiple sclerosis. Active Biotech Research AB, Sweden. Final Clinical Trial Report, April 2007.
4.0430067 275-1061-01. Determination of the effects of ABR-212616, ABR-215050, ABR-215062 and ABR-215757 on the activities of CYP1A2 and CYP3A4 in cryopreserved human hepatocytes. In Vitro Technologies, USA. Final Report, February 2004.
5.0430518 275-1081-02. Determination of the effects of ABR-215062 on CYP1A2 and CYP3A4 in cryopreserved human hepatocytes. In Vitro Technologies, USA. Final Report, August 2004.
6.9830089. PNU-215045, PNU-215062: Effects on cytochrome P450 enzymes in female Sprague Dawley rats. Lund Research Center AB, Active Biotech Group, Sweden. Final Report, November 1998.
7.9830133. PNU-215062: Effects on cytochrome P450 enzymes in female Sprague Dawley rats. Lund Research Center AB, Active Biotech Group, Sweden. Final Report, November 1998.
8.A two-period, open-label, one-sequence crossover study in healthy subjects to assess the potential interaction of fluconazole on laquinimod pharmacokinetics. PRACS Institute Cetero Research, ND, USA. Final Report, June 2009.
9.Appel GB Dooley MA Ginzler EM. Mycophenolate mofetil compared with intravenous cyclophosphamide as induction therapy for lupus nephritis: Aspreva Lupus Management Study (ALMS) results. 47A of JASN, Vol 18 October 2007.
10.Austin HA, Balow JE. Diffuse proliferative Lupus Nephritis: Identification of specific pathologic features affecting renal outcomes. Kidney International 1984; 25:689-695.
11.Bevra Hahn. Systemic Lupus Erythematosus. In: Braunwald E., Fauci AS, Kasper DL, Hauser SL, Longo DL, Jameson JL, eds. Harrison’s Principles of Internal Medicine. New York: McGraw-Hill Professional, 2001:1922-28.
12.Boumpas DT. Optimum therapeutic approaches for Lupus Nephritis: What Therapy and foe whom. Nature Clinical Practice Rheumatology. 2005;1: 22-30.
13.Brent LH. Lupus Nephritis, Emedicine, 2008.
14.Chan TM Li FK Tang CS. Efficacy of mycofenolate mofetil in patients with diffuse proliferative Lupus Nephritis. N Eng J Med; 2000;343: 1156-1162.
15.FDA 2005. Draft Guidance for Industry - Systemic Lupus Erythematosus - Developing Drugs for Treatment (http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/ucm072063.pdf).
16.Ginzler EM Dooley MA Aranow C. Mycophenolate Mofetil or intravenous Cyclophosphamide for Lupus Nephritis. N Eng J Med; 2005;353: 2219-2228.
17.Grossman, J.M. et al. (2009) “Lupus Arthritis” Best Practice & Research Clinical Rheumatology. August 2009, 23(4):495-506.
18.Isenberg DA Appel GB Posley MA . Mycophenolate mofetil compared with intravenous cyclophosphomite an induction for lupus nephritis: ALMS results and BILAG responses. Ann Rheum Dis 2008; 67: S: 53-54.
19.Kurucz I., S. Toth, K. Nemeth, K. Torok, V. Csillik-Perczel, A. Pataki, C. Salamon, Z. Nagy, J.I. Szekely, K. Horvath, and N. Bodor (2003) “Potency and specificity of the pharmacological action of a new, antiasthmatic, topically administered soft steroid, etiprednol dicloacetate (BNP-166)”. J Pharmacol Exp Ther. 307(1):83-92.
20.Merill J at al. Mycophenolate Mofetil (MMF) Is Effective for Systemic Lupus (SLE) Arthritis, Final Results of An Organ-Specific, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial. Arthritis Rheum 2009;60 Suppl 10:264.
21.Petri M. Epidemiology of systemic lupus erythematosus. Best Pract Res Clin Rheumatol 2002;16(5):847-858.
22.Polman, C. et al., (2005) “Treatment with laquinimod reduces development of active MRI lesions in relapsing MS”, Neurology. 64:987-991.
23.Sandberg-Wollheim M, et al. (2005) “48-week open safety study with high-dose oral laquinimod in patients”, Mult Scler. 11:S154 (Abstract).
24.Sharabi A. A. Haviv, H. Zinger, M. Dayan and E. Moses (2006) “Amelioration of murine lupus by a peptid, based on the complementarity determining region 1 of an autoantibody as compared to dexamethasone: different effects on cytokines and apoptosis”. Clin. Immunology. 119:146-155.
25.Sharabi A., H. Zinger, M. Zborowsky, Z.m. Sthoeger and E. Mozes (2006) “A peptide based on the complementarity-determining region 1 of an autoantibody ameliorates lupus by up-regulating CD4+CD25+ cells and TGB-B”. PNAS 1103:8810-8815.
26.The American College of Rheumatology response criteria for proliferative and membranous renal disease in Systemic Lupus Erythemtosus. Arthritis Rheum; 54(2): 421-432.
27.TQT-LAQ-122. A Double-Blind, Randomized, Parallel Group, Thorough QT/QTc Trial in Healthy Men and Women to Assess the Effect of Laquinimod on Cardiac Repolarization Using a Clinical and a Supratherapeutic Dose Compared to Placebo, with Moxifloxacin as a Positive Control. PRACS Institute Cetero Research, ND, USA. Final Report, June 2009.
28.U.S. Patent No. 6,077,851, issued June 20, 2000 to Bjork, et al.
29.Wallace D.J. in Dubois’ Lupus Eryhthematosus, the Musculoskeletal System. Lippincott Williams& Wilkins, 7th edition; 2007: 647-661.
30.Weening JJ et al on behalf of the International Society of Nephrology and Renal Pathology Society Working Group on the classification of lupus nephritis. The classification of glomerulonephritis in systemic lupus erythematosus revisited. Kidney International Journal 2004, 67; 521-530.
31.Yee CS, Caroline Gordon, et al. British Isles Lupus Assessment Group 2004 Index is valid for assessment of disease activity in SLE. Arthritis &Rheumatism. 2007; 56:4113-4119.
32.Yee CS, Caroline Gordon, et al. British Isles Lupus Assessment Group 2004 Index. A reliable tool for assessment of SLE activity. Arthritis &Rheumatism. 2006; 54:3300-3305.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動性ループス関節炎で苦しむ対象を治療する方法であって、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の、前記対象を治療するのに有効な量を前記対象に定期的に投与することを含む方法。
【請求項2】
ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の前記量が、前記対象で活動性ループス関節炎の臨床徴候または症状を低減するのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ラキニモドの前記薬学的に許容される塩がラキニモドナトリウムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の前記定期投与が経口的に実行される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
投与されるラキニモドの前記量が0.5〜1.0mg/日である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
投与されるラキニモドの前記量が0.5mg/日である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
投与されるラキニモドの前記量が1.0mg/日である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗マラリア薬、非ステロイド系抗炎症薬、COX2阻害剤、アバタセプト、リツキシマブおよび/またはベリムマブの投与をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫抑制剤がアザチオプリン、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、レフルノミド、サイクロスポリンまたは他のカルシニューリン阻害剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記定期投与が少なくとも12週間の間継続する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩が、活動性ループス関節炎のための単独療法として投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩が、別の活動性ループス関節炎療法の補助療法として投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の前記定期投与が、前記対象の腫脹関節数を低減する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の前記定期投与が、前記対象の圧痛関節数を低減する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の前記定期投与が、前記対象のBILAG MSK応答を改善する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩の前記定期投与が、前記対象のBILAGスコアを改善する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象がヒトである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
活動性ループス関節炎で苦しむ対象の治療において用いるための、ラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
活動性ループス関節炎で苦しむ対象の治療において用いるための量のラキニモドまたは薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2013−521305(P2013−521305A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556214(P2012−556214)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026891
【国際公開番号】WO2011/109536
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】