説明

ラクトフェリン、並びに成人における脳の健康及び保護

本発明は一般に、脳の健康、脳の保護、認知機能の維持、認知の減退の予防、及び認知障害の分野に関する。脳の神経細胞を保護することができる。また、認知能力を増加させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、脳の健康、脳の保護、認知機能の維持、認知の減退の予防、及び認知障害の分野に関する。脳の神経細胞を保護することができる。また、認知能力を増加させることもできる。
【背景技術】
【0002】
ほとんどあらゆる国において、60歳を上回る人々の比率が、その他の年齢群のいずれよりも急速に上昇しており、60歳を上回る人々の比率のより急速な上昇は、平均余命の延長に少なくとも一部起因する。この集団高齢化は、したがって、健康意識の増加並びに公的ヘルスケアの可用性及び性能の改善についての成功談として見ることができる。WHOによれば、60歳を超える世界の人口は現在、6億5000万人である。2050年までに、「高齢化に向かう」集団は、20億人に達すると予想されている。
【0003】
しかし、高齢化は、いくつかの疾患を発症する危険性を増加させ、今日でも、集団が良好な健康状態で歳を重ねるのを可能にすることは依然として、我々の社会の目的に留まっている。適切な認知能力及び認知能力の維持が、特に、高齢化集団にとっては、生活の質の中核をなす。
【0004】
最も一般的な精神障害は、認知機能、主として、記憶の処理、知覚及び問題解決に影響を及ぼす。最も直接的な認知障害は、健忘症、認知症及びせん妄である。アルツハイマー病(AD)が、認知症の最も一般的な形態である。アルツハイマー病は、現在、不治の、変性疾患であり、死に至る病でもあるが、1906年にAlois Alzheimerにより最初に記載された。一般に、アルツハイマーは、65歳超の人々において診断されるが、より低い有病率の早期発症型アルツハイマー病が、はるかにより早期に発症する場合がある。2006年には、世界全体で推定2660万人が、アルツハイマー病に罹患し、この数は、2050年までに4倍になる恐れがある。
【0005】
いくつかの年齢に関連がある障害を、適切な栄養により治療又は予防することができる。しかし、認知障害を予防するために着手することができる、認知障害に関する栄養的な方策については非常にわずかしか知られていない。したがって、使用して、適切な認知機能を確保することができる組成物の必要性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、現況技術を改善し、特に、使用して、認知機能を維持すること、並びに認知の減退及び/若しくは認知障害を予防することができる組成物を提供することが、本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的が独立請求項の主題により達成され得るであろうことに気が付いて驚いた。
【0008】
本発明者らは、ラクトフェリン、例えば、ラクトフェリンを補充した組成物を使用して、本発明の目的を達成することができることを実証し得た。
【0009】
また、ラクトフェリン(LF)は、ラクトトランスフェリン(LTF)としても公知であり、抗菌活性を示し、先天的防御の一部を、主として、粘膜においてなすことが公知である球状の多機能性タンパク質である。
【0010】
ラクトフェリンは、例えば、乳及びホエイ中、並びに涙及び唾液等の多くの粘膜分泌物中に見出すことができる。したがって、ラクトフェリンは、例えば、乳から精製することもでき、又は組換えにより産生することもできる。
【0011】
本発明は、任意の供給源から入手可能なラクトフェリンに関する。
【0012】
乳又はホエイに由来するラクトフェリンは、例えば、食品グレードの組成物から得られた天然の成分であり、その結果、食品組成物の豊富な画分として、さらに精製することなく使用され得る利点を有する。
【0013】
組換えにより得られたラクトフェリンは、高い濃度で容易に産生され得る利点を有する。
【0014】
ヒト初乳は、比較的高い濃度のラクトフェリンを有し、人乳、次いで、牛乳が続く。
【0015】
したがって、本発明の一実施形態は、ラクトフェリンが豊富な摂取可能組成物である。
【0016】
豊富な(enriched)とは、ラクトフェリンが組成物に添加され、したがって、組成物の結果として生じるラクトフェリン含有量が、ラクトフェリンが添加されていない組成物のラクトフェリン含有量よりも高いこと、又は組成物中の天然ラクトフェリンの含有量を濃縮するための方法で、組成物を処理したことのいずれかを意味する。
【0017】
また、ラクトフェリンを、純粋な化合物として提供することもできる。
【0018】
或いは、ラクトフェリンを、ラクトフェリン豊富な画分、例えば、ラクトフェリン豊富な乳画分又はラクトフェリン豊富なホエイ画分として提供することもできる。
【0019】
乳又はホエイの供給源として、例えば、牛乳、人乳、ヤギ乳、ラクダ乳、馬乳及び/又はロバ乳を使用することができる。その上、初乳を使用することもできる。
【0020】
治療的用途では、組成物を、障害及び/又は障害の合併症の症状を少なくとも部分的に治癒する又は停止させるのに十分な量で投与する。症状の少なくとも部分的な治癒又は停止を達成するのに適切な量を、「治療有効用量」と定義する。この目的に有効な量は、当業者に公知のいくつかの要因、例として、障害の重症度、並びに患者の体重及び全身状態に依存する。予防的な適用では、本発明による組成物を、特定の障害に罹患しやすい又は別の場合には特定の障害の危険性がある患者に、障害を発症する危険性を少なくとも部分的に低下させるのに十分な量で投与する。そのような量を、「予防有効用量」と定義する。ここでも、正確な量は、患者に特異的ないくつかの要因、例として、患者の健康状態及び体重に依存する。
【0021】
ラクトフェリンを、本発明の枠組みにおいて、治療有効用量及び/又は予防有効用量で投与することができる。
【0022】
典型的なラクトフェリン豊富な組成物は、ラクトフェリンを少なくとも1.6g/Lの量で含むことができる。
【0023】
例えば、本発明の組成物は、ラクトフェリンを少なくとも0.75%(w/w)、好ましくは少なくとも1%(w/w)の濃度で含有することができる。
【0024】
一実施形態では、組成物は、少なくとも0.25gのラクトフェリン/日/kg体重、好ましくは少なくとも0.5gのラクトフェリン/日/kg体重、より好ましくは少なくとも1gのラクトフェリン/日/kg体重の摂取に相当する量で投与される。
【0025】
例えば、妊娠中の母親及び/又は授乳中の母親については、組成物を、少なくとも1gのラクトフェリン/kg体重/日の摂取に相当する量で消費することができる。
【0026】
また、小児についても、組成物を、少なくとも200mgのラクトフェリン/kg体重/日の摂取に相当する量で消費することができる。
【0027】
ラクトフェリンは、組成物中に、100kcal当たり少なくとも0.01g、好ましくは100kcal当たり少なくとも0.1gの濃度で存在することができる。例えば、ラクトフェリンは、組成物中に100kcalの組成物当たり、約0.01g〜100g、好ましくは0.1g〜50g、さらにより好ましくは2g〜25gの範囲で存在することができる。
【0028】
また、ラクトフェリンは、例えば、シアル酸及び/また鉄等のその他の化合物と組み合わせて使用することもできる。
【0029】
シアル酸は、9個の炭素からなる骨格を有する単糖であるノイラミン酸のN−又はO−置換誘導体の総称である。
【0030】
本発明の目的では、任意のシアル酸を使用することができる。しかし、シアル酸が、以下の式を有することが好ましい。
【化1】

【0031】
R1は、H、アセチル、ラクチル、メチル、硫酸、リン酸、アンヒドロシアル酸、フコース、グルコース及び/又はガラクトースからなる群から選択することができる。
【0032】
R2は、N−アセチル、N−グリコリル、アミノ、ヒドロキシル、N−グリコリル−O−アセチル及び/又はN−グリコリル−O−メチルからなる群から選択することができる。
【0033】
R3は、H、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸及び/又はn−グリコリルノイラミン酸からなる群から選択することができる。
【0034】
R1位の基は、同一であっても又は相互に異なってもよい。
【0035】
例えば、シアル酸は、R1=H、R2=N−アセチル及びR3=HであるN−アセチルノイラミン酸であり得る。本発明のさらなる実施形態によれば、シアル酸は、2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−d−グリセロ−d−ガラクトノヌロソニン酸(Neu5Ac)及び2−ケト−3−デオキシ−d−グリセロ−d−ガラクトノノン酸(KDN)又はそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0036】
本発明において使用するシアル酸は、N−アセチルノイラミン酸を含み、N−アセチルノイラミン酸は、以下の同義語及び略語を有する。すなわち、o−シアル酸;5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌロソニン酸;5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトヌロソニン酸;アセノイラム酸;N−アセチル−ノイラミネート;N−アセチルノイラミン酸;NANA及びNeu5Ac。
【0037】
特定の好ましいラクトフェリン含有組成物は、シアル酸を、100mg/100g(w/w)組成物〜1000mg/100g(w/w)組成物の範囲、例えば、500mg/100g(w/w)組成物〜650mg/100g(w/w)組成物の範囲の量でさらに含有することができる。
【0038】
本発明の組成物は、例えば、少なくとも約0.001重量%のシアル酸を含むことができる。本発明のさらなる実施形態では、組成物は、少なくとも約0.005重量%又は少なくとも約0.01重量%のシアル酸を含むことができる。
【0039】
或いは又はさらに、ラクトフェリン含有組成物は、鉄を、約1mg/100g(w/w)組成物〜1g/100g(w/w)組成物、例えば、100mg/100g(w/w)組成物〜300mg/100g(w/w)組成物の範囲の量で含有することができる。
【0040】
1つのラクトフェリン含有組成物が、例えば、約580mg/100g(w/w)のシアル酸及び22mg/100g(w/w)の鉄を含有することができる。
【0041】
本発明のラクトフェリン含有組成物は、30kcal/100g組成物〜1000kcal/100g組成物、好ましくは50kcal/100g組成物〜450kcal/100g組成物の範囲のカロリー密度を有することができる。本発明のラクトフェリン含有組成物は、例えば、約400kcal/100gのカロリー密度を有することができる。
【0042】
組成物の性質は、特に限定されない。組成物は、好ましくは、経口投与又は経腸投与のための組成物である。
【0043】
組成物は、例えば、食料製品、動物食料製品、医薬組成物、栄養配合物、栄養補助食品、飲料、食品添加物及び栄養調合乳からなる群から選択することができる。
【0044】
本発明の1つの典型的な実施形態では、組成物は、タンパク質供給源、脂質供給源及び炭水化物供給源を含有する。
【0045】
例えば、そのような組成物は、約1.8〜6g/100kcalの範囲のタンパク質、約4.4〜6.5g/100kcalの範囲の脂質、及び/又は約1.7〜12g/100kcalの範囲の炭水化物を含むことができる。
【0046】
組成物は液体である場合、組成物のエネルギー密度は、60kcal/100ml〜75kcal/100mlの間であり得る。
【0047】
組成物は固体である場合、組成物のエネルギー密度は、60kcal/100g〜75kcal/100gの間であり得る。
【0048】
タンパク質のタイプが、本発明にとって重要な意味をもつとは考えられない。したがって、例えば、ホエイ、カゼイン及びそれらの混合物に基づくタンパク質供給源を使用することができる。ホエイタンパク質に関しては、酸ホエイ若しくはスイートホエイ又はそれらの混合物を使用することができ、さらに、何らかの比率のアルファ−ラクトアルブミンとベータ−ラクトグロブリンも望ましい。ホエイタンパク質は、加工スイートホエイであり得る。スイートホエイは、容易に入手可能な、チーズを作製する際の副産物であり、牛乳に基づく栄養調合乳の製造において頻繁に使用される。しかし、スイートホエイは、カゼイノ−グリコ−マクロペプチド(CGMP)と呼ばれる、望ましくないレベルでスレオニンに富み、トリプトファンが不足する構成成分を含む。スイートホエイからのCGMPの除去により、人乳のスレオニン含有量により近いスレオニン含有量を有するタンパク質が生じる。次いで、CGMPを除去した加工スイートホエイ中では含有量が低いアミノ酸(主に、ヒスチジン及びトリプトファン)を、この加工スイートホエイに補充することができる。
【0049】
スイートホエイからCGMPを除去するためのプロセスが、EP880902に記載されており、CGMPを除去した加工スイートホエイに基づく栄養調合乳が、国際公開第01/11990号パンフレットに記載されている。タンパク質は、未変化のタンパク質、又は加水分解されたタンパク質、又は未変化のタンパク質と加水分解されたタンパク質との混合物であり得る。(2%〜20%の間の加水分解の程度の)部分的に加水分解されたタンパク質を、例えば、牛乳アレルギーを発症する危険性があると考えられる対象に供給するのが望ましい場合がある。加水分解されたタンパク質を必要とする場合、加水分解プロセスを、要望及び当技術分野で公知であるところに従って実施することができる。例えば、ホエイタンパク質の加水分解産物を、EP322589の記載に従う2工程で、ホエイ画分を酵素により加水分解することによって調製することができる。広範に加水分解されたタンパク質のためには、ホエイタンパク質に対して、55℃で、Alcalase2.4L(EC940459)、次いで、Neutrase0.5L(Novo Nordisk Ferment AGから入手可能)、及び次いで、パンクレアチンを使用する三重加水分解を行うことができる。出発材料として使用するホエイ画分が、実質的にラクトースを含有しない場合、このホエイタンパク質は、加水分解プロセスの間には、はるかにより少ないリジンの阻害を被ることが見出されている。実質的にラクトースを含有しないことにより、リジンの阻害の程度を、総リジンの約15重量%〜約10重量%未満のリジン、例えば、約7重量%のリジンに低下させることができ、こうした低下は、タンパク質供給源の栄養の質を大幅に改善する。
【0050】
本発明の組成物は、炭水化物供給源を含有することができる。ラクトース、ショ糖、マルトデキストリン、デンプン及びそれらの混合物等の任意の炭水化物供給源を使用することができる。
【0051】
本発明の組成物は、脂質供給源を含有することができる。脂質供給源は、任意の脂質であり得る。好ましい脂肪供給源は、乳脂肪、パームオレイン、高オレインヒマワリ油及び高オレイン紅花油を含む。また、必須脂肪酸のリノール酸及びα−リノレン酸を、魚油又は微生物油等、高い分量のあらかじめ形成されたアラキドン酸及びドコサヘキサエン酸を含有する少量の油として添加することもできる。脂質供給源は、好ましくは約5:1〜約15:1、例えば、約8:1〜約10:1の、n−3脂肪酸に対するn−6脂肪酸の比を有する。
【0052】
また、本発明の組成物は、1日の食餌として、且つ栄養的に顕著な量で必須であると理解されている全てのビタミン及び鉱物を含有することもできる。特定のビタミン及び鉱物について、最小必要量が確立されている。組成物中に場合により存在する鉱物、ビタミン及びその他の栄養素の例として、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、亜リン酸、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩化物、カリウム、ナトリウム、セレニウム、クロム、モリブデン、タウリン及びL−カルニチンが挙げられる。鉱物は通常、塩の形態で添加する。特定の鉱物及びその他のビタミンの存在及び量は、多数の要因、例として、組成物を投与する人又は動物の年齢、体重及び状態に応じて変化する。
【0053】
また、組成物は、少なくとも1つのプロバイオティクス細菌株も含むこともできる。プロバイオティクスは、微生物細胞の調製物又は微生物細胞の構成成分であり、宿主の健康又は生活状態に対して有益な作用を示す。適切なプロバイオティクス細菌株として、フィンランドのValio Oyから、登録商標LGGの下で入手可能であるラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)ATCC53103、ラクトバチルス・ラムノサスCGMCC1.3724、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CNCM I−2116、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)ATCC55730、及びBioGaia ABから入手可能であるラクトバチルス・ロイテリDSM17938、とりわけ、デンマークのChristian Hansen companyにより、登録商標Bb12の下で販売されているビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)CNCM I−3446、日本のMorinaga Milk Industry Co.Ltdにより、登録商標BB536の下で販売されているビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)ATCC BAA−999が挙げられる。同様に、プロバイオティクスが存在する場合、プロバイオティクスの量も、好ましくは、人又は動物の年齢に応じて変化する。
【0054】
一般的にいえば、プロバイオティクスの含有量を、年齢の増加と共に、例えば、10cfu/g組成物〜1012cfu/g組成物、より好ましくは、10cfu/g組成物〜10cfu/g組成物(乾重量)の間で増加させることができる。
【0055】
また、組成物は、少なくとも1つのプレバイオティクスも0.3〜10重量%の量で含有することもできる。プレバイオティクスは、結腸内の1つ又は限定された数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主に有益な影響を及ぼし、したがって、宿主の健康を改善する、消化されない食品成分である。そのような消化されない成分は、胃又は小腸において分解及び吸収されず、したがって、未変化で通過し、結腸に達するという意味においては未消化であり、結腸では、有益細菌により選択的に発酵する。プレバイオティクスの例には、特定のオリゴ糖、例として、フラクトオリゴ糖(FOS)及びガラクトオリゴ糖(GOS)が挙げられる。プレバイオティクスの組合せ、例として、90%GOSと10%の短鎖フルクト−オリゴ糖との組合せ、すなわち、登録商標ラフチロース(Raftilose)(登録商標)の下で販売されている製品等、又は90%GOSと10%イヌリンとの組合せ、すなわち、登録商標ラフチリン(Raftiline)(登録商標)の下で販売されている製品等を使用することができる。
【0056】
特に好ましいプレバイオティクスは、ガラクト−オリゴ糖(複数可)とN−アセチル化オリゴ糖(複数可)とシアル酸付加オリゴ糖(複数可)との混合物であり、この混合物中では、N−アセチル化オリゴ糖(複数可)は、オリゴ糖混合物の0.5〜4.0%を構成し、ガラクト−オリゴ糖(複数可)は、オリゴ糖混合物の92.0〜98.5%を構成し、シアル酸付加オリゴ糖(複数可)は、オリゴ糖混合物の1.0〜4.0%を構成する。この混合物を以下、「CMOS−GOS」と呼ぶ。好ましくは、本発明に従って使用するための組成物は、乾燥物質に基づいて2.5〜15.0wt%のCMOS−GOSを含有する。但し、組成物は、少なくとも0.02wt%のN−アセチル化オリゴ糖、少なくとも2.0wt%のガラクト−オリゴ糖、及び少なくとも0.04wt%のシアル酸付加オリゴ糖を含む。
【0057】
適切なN−アセチル化オリゴ糖として、GalNAcα1,3Galβ1,4Glc、及びGalβ1,6GalNAcα1,3Galβ1,4Glcが挙げられる。N−アセチル化オリゴ糖は、グルコサミニダーゼ及び/又はガラクトサミニダーゼの、N−アセチル−グルコース及び/又はN−アセチルガラクトースに対する作用により調製することができる。等しく、この目的では、N−アセチル−ガラクトシルトランスフェラーゼ及び/又はN−アセチル−グリコシルトランスフェラーゼも使用することができる。また、N−アセチル化オリゴ糖は、それぞれの酵素(組換え若しくは天然)及び/又は微生物発酵を使用する発酵技術により産生することもできる。後者の場合、微生物に、微生物の天然の酵素及び基質を発現させること、又は微生物を、それぞれの基質及び酵素を産生するように工学的に作製することのいずれもが可能である。単一微生物の培養物又は混合培養物を使用することができる。N−アセチル化オリゴ糖の形成を、アクセプター基質により、DP=1以上の任意の重合度(DP)から出発して開始することができる。Wrodnigg,T.M.;Stutz,A.E.(1999)Angew.Chem.Int.Ed.38:827〜828に記載されているように、別の選択肢は、遊離の又はオリゴ糖(例えば、ラクツロース)に結合しているケト−ヘキソース(例えば、フルクトース)の、N−アセチルヘキソサミン又はN−アセチルヘキソサミン含有オリゴ糖への化学的変換である。
【0058】
適切なガラクト−オリゴ糖として、Galβ1,6Gal、Galβ1,6Galβ1,4GlcGalβ1,6Galβ1,6Glc、Galβ1,3Galβ1,3Glc、Galβ1,3Galβ1,4Glc、Galβ1,6Galβ1,6Galβ1,4Glc、Galβ1,6Galβ1,3Galβ1,4Glc Galβ1,3Galβ1,6Galβ1,4Glc、Galβ1,3Galβ1,3Galβ1,4Glc、Galβ1,4Galβ1,4Glc、及びGalβ1,4Galβ1,4Galβ1,4Glcが挙げられる。合成ガラクト−オリゴ糖、例として、Galβ1,6Galβ1,4GlcGalβ1,6Galβ1,6Glc、Galβ1,3Galβ1,4Glc、Galβ1,6Galβ1,6Galβ1,4Glc、Galβ1,6Galβ1,3Galβ1,4Glc、及びGalβ1,3Galβ1,6Galβ1,4Glc、Galβ1,4Galβ1,4Glc、及びGalβ1,4Galβ1,4Galβ1,4Glc、及びそれらの混合物が、登録商標ヴィヴィナール(Vivinal)(登録商標)及びElix’or(登録商標)の下で市販されている。オリゴ糖のその他の供給元は、Dextra Laboratories、Sigma−Aldrich Chemie GmbH、及びKyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd.である。或いは、特定のグリコシルトランスフェラーゼ、例として、ガラクトシルトランスフェラーゼを使用して、中性オリゴ糖を産生することもできる。
【0059】
適切なシアル酸付加オリゴ糖として、NeuAcα2,3Galβ1,4Glc、及びNeuAcα2,6Galβ1,4Glcが挙げられる。これらのシアル酸付加オリゴ糖は、クロマトグラフィー技術又はろ過技術により、動物乳等の天然の供給源から単離することができる。或いはまた、適切なシアル酸付加オリゴ糖は、特定のシアリルトランスフェラーゼを使用する生物工学によって、酵素(組換え若しくは天然の酵素)に基づいた発酵技術、又は微生物発酵技術のいずれかにより産生することもできる。後者の場合、微生物に、微生物の天然の酵素及び基質を発現させること、又は微生物を、それぞれの基質及び酵素を産生するように工学的に作製することのいずれもが可能である。単一微生物の培養物又は混合培養物を使用することができる。シアリル−オリゴ糖の形成を、アクセプター基質により、DP=1以上の任意の重合度(DP)から出発して開始することができる。
【0060】
組成物は場合により、有益な作用を示すことができるその他の物質、例として、ヌクレオチド、ヌクレオシド等を含有することもできる。
【0061】
本発明において使用するための組成物は、任意の適切な様式で調製することができる。例えば、組成物は、タンパク質供給源、炭水化物供給源及び脂肪供給源を適切な比率で一緒にブレンドすることによって調製することができる。乳化剤を使用する場合、乳化剤は、ブレンド中に含めることができる。ビタミン及び鉱物を、この時点で添加することができるが、通常は、熱分解を回避するために、後から添加する。任意の親油性ビタミン、乳化剤等を、ブレンドする前に脂肪供給源中に溶解させることができる。次いで、水、好ましくは、逆浸透に曝してある水を、混入して、液体混合物を形成することができる。次いで、液体混合物を熱処理して、細菌量を低下させることができる。例えば、液体混合物を、約80℃〜約110℃の範囲の温度まで、約5秒〜約5分かけて迅速に加熱することができる。加熱は、蒸気噴射により、又は熱交換器、例えば、プレート熱交換器により実施することができる。次いで、液体混合物を、例えば、急冷法により、約60℃〜約85℃まで冷却することができる。次いで、液体混合物を、例えば、第1の段階の約7MPa〜約40MPa及び第2の段階の約2MPa〜約14MPaの2段階でホモジナイズすることができる。次いで、ホモジナイズした混合物を、さらに冷却して、任意の熱感受性の構成成分、例として、ビタミン及び鉱物を添加することができる。ホモジナイズした混合物のpH及び固体含有量を、この時点で標定するのが好都合である。ホモジナイズした混合物を、適切な乾燥装置、例として、噴霧乾燥機又は凍結乾燥機に移し、粉末に変換する。粉末は、約5重量%未満の水分含量を有すべきである。プロバイオティクス(複数可)の添加が望まれる場合、プロバイオティクスを、任意の適切な方法に従って培養し、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥により調製して、組成物に添加することができる。或いは、食料製品に添加するのに適切な形態であらかじめ調製されている細菌調製物を、専門の供給元、例として、Christian Hansen及びMorinagaから購入することもできる。そのような細菌調製物は、粉末の組成物に、空練りにより添加することができる。
【0062】
ラクトフェリンは、上記の手順の間の任意の段階で添加することができるが、好ましくは加熱ステップの後に添加する。
【0063】
組成物は、1.4g/100kcal組成物〜100g/100kcal組成物の間、好ましくは1.4g/100kcal組成物〜4.0g/100kcal組成物の間の範囲で存在することができるタンパク質供給源を含む。ラクトフェリンは、タンパク質であり、タンパク質供給源の一部とみなすべきである。
【0064】
ホエイタンパク質がいくつかの健康上の利益をもたらすことは公知である。例えば、ホエイタンパク質は容易に消化できる。ホエイ中のタンパク質画分(ホエイ内の総乾燥固体のおよそ10%)は、いくつかのタンパク質画分、例えば、ベータ−ラクトグロブリン、アルファ−ラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン及び免疫グロブリンを含む。一実施形態では、タンパク質供給源の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%が、ホエイタンパク質である。
【0065】
脂質供給源が存在する場合、脂質供給源は、組成物の総エネルギーの30%〜55%の間を占めることができる。炭水化物供給源は、組成物の総エネルギーの35%〜65%の間を占めることができる。
【0066】
本発明の目的のためには、組成物が、ラクトフェリン又は消費されてラクトフェリンをもたらす化合物を含有することが必須である。組成物は、ラクトフェリンが豊富な必要はないが、ラクトフェリンが豊富なことが、より多くのラクトフェリンをより小さな体積で投与することができることから、好ましい場合がある。
【0067】
ラクトフェリンを使用して、任意の種類の組成物を調製することができる。しかし、ラクトフェリンを、上記の記載に従う組成物として提供するのが好ましい。
【0068】
ラクトフェリン又は本発明に記載の組成物の投与が、認知機能の改善を可能にすることを示すことができた。
【0069】
ラクトフェリン又は本発明に記載の組成物の投与により、神経細胞の密度及び神経細胞の生存の増加が可能になることもさらに示すことができた。
【0070】
ラクトフェリン投与後の、海馬における代謝の変化から、学習及び短期の記憶が改善されることを示している。
【0071】
ラクトフェリン投与後の皮質における代謝の変化から、長期の記憶が改善されることを示している。
【0072】
ラクトフェリン及び本発明に記載の組成物は、成人及び/又は高齢者に投与した場合に、特に有効であることが見出された。
【0073】
対象が、出生国の平均寿命の最初の半分を超えている場合、好ましくは、出生国の平均寿命の最初の3分の2を超えている場合、より好ましくは、出生国の平均寿命の最初の4分3を超えている場合、最も好ましくは、出生国の平均寿命の最初の5分の4を超えている場合、対象を、「高齢者」とみなす。
【0074】
本発明の一実施形態は、認知障害の治療又は予防のための組成物の調製のためのラクトフェリン又はラクトフェリン豊富な組成物の使用に関する。
【0075】
また、本発明者らは、ラクトフェリン又はラクトフェリン豊富な組成物を使用して、神経変性障害を治療又は予防することができることも見出すに至った。現在、ラクトフェリンは、神経細胞の生存及び修復を促し、並びに/又は神経細胞の酸化ストレス及び細胞死を制限すると考えられている。
【0076】
さらに、ラクトフェリン又はラクトフェリン豊富な組成物を使用して、神経細胞を変性から保護することもできる。そのような変性は、例えば、ストレスに続く場合がある。ラクトフェリンは、神経細胞の生存を促すこと、及び/又は神経細胞死を制限若しくは予防することが見出された。また、ラクトフェリン及び/又は本発明の組成物を使用して、神経細胞の損傷及び/又は神経細胞の変性を逆転させることができることも見出された。したがって、本発明は、神経細胞の損傷及び/又は神経細胞の変性並びに神経細胞の損傷に及び/又は神経細胞の変性に関連する障害の予防又は停止を可能にするのみならず、また、そのような状態の逆転も可能にする。
【0077】
したがってまた、本発明は、神経細胞の損傷に及び/又は神経細胞の変性に関連する障害を治療又は予防するための、ラクトフェリン及び/又は本発明の組成物にも関する。
【0078】
本発明の使用により治療又は予防することができる認知障害は、神経変性障害、認知の減退、記憶喪失、睡眠障害、気分障害、うつ病及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。この点における典型的な神経変性障害は、例えば、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン病、パーキンソン病及びそれらの組合せである。
【0079】
さらに、本発明の組成物を使用して、記憶喪失、特に、短時間記憶喪失及び/又は長時間記憶喪失、学習能力の損傷、精神能力の損傷、又は注意持続時間の低下を治療又は予防することもできる。
【0080】
当業者であれば、本明細書に記載する本発明の全ての特徴を、開示する本発明の範囲から逸脱することなく自由に組み合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明において使用するために記載した特徴は、本発明の組成物に適用することができ、逆もまたしかりである。
【0081】
本発明のさらなる利点及び特徴が、以下の実施例及び図から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】基礎条件(未処理の細胞)における、並びに細胞を、神経栄養因子CNTF(100ng/mL、陽性対照)又は異なる濃度のラクトフェリンが豊富な牛乳画分のいずれかを用いて処理した後における、神経突起の伸長について陽性のNS20Y細胞のパーセントを示すグラフである。データは、平均±SEMであり、群により、n=3〜7である(基礎、n=7;CNTF、n=3;1ug/L、n=3;10ug/L、n=7;100ug/L、n=3;1mg/L、n=3;10mg/L、n=5;100mg/L、n=7;1g/L、n=6)。データを、スチューデントt検定を用いて、基礎の未処理群と比較した。P<0.05の場合、差を有意であるとみなした。
【図2】腸内神経細胞を初代培養し、続いて、Hにより誘発し、牛乳ラクトフェリンを用いて予防した、神経細胞に特異的なエノラーゼ(NSE)の放出を示すグラフである。エノラーゼ(NSE)は、神経細胞の細胞死のマーカーである。データは、平均±SEM、n=8である。P<0.05の場合、差を有意であるとみなした。
【図3】SH−SY5Y細胞を培養し、続いて、0.001g/L〜1g/Lの範囲の異なる濃度の牛乳ラクトフェリンの存在下又は非存在下で、Hを用いて誘発した場合の、7−AAD陽性細胞のパーセントを示すグラフである。
【図4a】P1での、正常ラット及びIUGRラットにおける体重に対する脳の比を示すグラフである。体重に対する脳の比が、ラクトフェリンを投与すると、正常ラットにおいても増加し、IUGRラットにおいてはさらにより多く増加することが見出された。
【図4b】P7での、正常ラット及びIUGRラットにおける体重に対する脳の比を示すグラフである。体重に対する脳の比が、ラクトフェリンを投与すると、正常ラットにおいても増加し、IUGRラットにおいてはさらにより多く増加することが見出された。
【図5】正常ラット、IUGRラット、及びラクトフェリンを用いて処理したIUGRラットの海馬におけるP7での脳の活動及び発達の指標であるいくつかの代謝マーカーの存在を示すグラフである。海馬の活動は、学習及び短期の記憶に関連する。
【図6】正常ラット、IUGRラット、及びラクトフェリンを用いて処理したIUGRラットの皮質におけるP7での脳の活動及び発達の指標であるいくつかの代謝マーカーの存在を示すグラフである。皮質の活動は、長期の記憶に関連する。
【図7】DAPI染色後の海馬のCA2〜CA3の分野における核の形態を示す図である。
【図8】ラクトフェリンの補充が、脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子発現も増加させたことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
[実施例]
ラクトフェリンが豊富な牛乳画分の生物学的活性。インビトロにおける神経細胞の生存及び神経突起の伸長の促進に関する作用がある。
神経突起の伸長のプロセスは、神経細胞からの軸索の伸長を含み、神経突起の伸長のプロセスは、神経細胞の発達の一部である。ラクトフェリンが豊富な牛乳画分の、神経突起の伸長に対する影響を、十分に確立され、一般に使用されているインビトロにおけるバイオアッセイを使用して測定した。
【0084】
手短に述べると、NS20Yマウスの神経芽細胞腫細胞(DSMZ)を、低温貯蔵から解凍し、組織培養用に処理されたフラスコ(Falcon)中に、およそ27×10細胞/cmの密度で蒔き、10%FCS(Gibco)及び2mM L−グルタミン(Gibco)を含有するDMEM(Gibco)の存在下で拡大増殖した。プレーティングの2日後、細胞を、フラスコから機械的撹拌(フラスコを軽くたたくこと)により脱離させ、懸濁液を火炎処理したガラス製ピペットに数回通すことによって、単一細胞の懸濁液を得た。次いで、細胞を、13mmの円形カバーガラス上に、10%FCS及び2mM L−グルタミンを含有するDMEMの存在下、2,000細胞/カバーガラスの密度で蒔いた。翌日、培地を、0.5%FCS、2mM L−グルタミン、及び試験しようとする異なる濃度の乳画分を含有するDMEMに切換えた。1日後、細胞を、4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、カバーガラスをスライド上にマウントした。
【0085】
全てのカバーガラスの画像を、Axioplan2顕微鏡(Zeiss)を用いて撮影した。デジタル画像を、25個の規定された視野から、カバーガラスの直径にわたって撮影した(20×の対物、Axiocam MRc、Zeiss)。細胞を、カバーガラスの端の第1の視野から、カバーガラスを横切って、100個の細胞を数えるまで系統的に数えた。細胞を、神経突起の伸長について、陽性又は陰性のいずれかに関してスコア化した。細胞体から発する、軸索に類似する突起が、細胞体を超える長さに達する場合に、細胞が、神経突起の伸長について陽性であるとみなした。
【0086】
スチューデントt検定を使用して、各群において、1つの対照の参照集団から得られた平均と、全てその他の処理から得られた平均との間で、平均の差を比較した。
【0087】
以下の濃度のラクトフェリンが豊富な牛乳画分を試験した。すなわち、1μg/L、10μg/L、100μg/L、1mg/L、10mg/L、100mg/L及び1g/L。異なる神経細胞集団の神経突起の伸長を促すことが以前に報告された周知の神経栄養因子である陽性対照(CNTF、毛様体の神経栄養因子、100ng/mL)を設けた(Oyesiku NM、Wigston DJ:Ciliary neurotrophic factor stimulates neunte outgrowth from spinal cord neu− rons、J Comp Neurol 1996;364:68〜77)。基礎対照は、未処理の細胞からなった。結果を、図1に示す。
【0088】
ストレスからの神経細胞の保護
ラットの腸管神経細胞の初代培養物をウエル中に播種し、異なる濃度のウシラクトフェリン豊富な画分と共に48時間インキュベートした。細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(無菌のPBS、37℃)を用いて3回洗浄した後、ラクトフェリンが存在しない、H又はビヒクル(対照)を含有する細胞の培地中で12時間インキュベートした。ラクトフェリンの、H誘導型の神経細胞の細胞死に対する保護作用を、細胞の培地中で、神経細胞に特異的なエノラーゼ(NSE)の放出を測定することにより評価した。酸化ストレスの後、異なる群の培地を、収集し、12,000rpm(4℃)で10分間遠心分離した。上清を収集し、培地中に放出したNSEを、免疫放射線測定法により定量化した。結果を、ng/mLで表す。図2に示すように、Hが、培地中のNSEの有意な増加を誘発した(p<0.05、n=8)。初代腸内神経細胞の、ラクトフェリン豊富な画分を用いた処理は、H誘導型のNSEの放出を有意に予防した(p<0.05、n=8)。
【0089】
ウシラクトフェリンの神経保護特性を、ヒト神経細胞様細胞系(SH−SY5Y−神経芽細胞腫細胞)を使用して確認した。手短に述べると、SH−SY5Y細胞を蒔き、24時間放置し、異なる濃度のウシラクトフェリン豊富な画分を細胞の培地に添加し、続いて、48時間放置した。Hを6時間、又はそのビヒクル(対照)を用いて、細胞の培地に直接添加した。最後に、細胞を0.1M PBSを用いて洗浄してから、トリプシン−EDTAを用いて収集した。次いで、細胞懸濁液を、上清と共にプールし、2,000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後、ペレットを、500マイクロリットルのPBS0.1M中に再懸濁した。膜透過性を、フローサイトメトリーにより、7−AADを蛍光マーカーとして使用して評価した。この評価のために、200マイクロリットルの細胞懸濁液を、7−AADと共に10分間インキュベートしてから、BD FACSアレイ(Array)(商標)バイオアナライザーを使用して獲得を行った。7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を使用する、このフローサイトメトリーによるアッセイにより、生きた(7−AAD陰性の)SH−SY5Y細胞と、酸化ストレスに応答した遅発アポトーシス性/壊死性の(7−AAD陽性の)SH−SY5Y細胞とを区別することが可能になった。図3に示す結果は、7−AAD陽性細胞/細胞の総数のパーセントとして表した。図3に示すように、Hは、7−AAD陽性細胞のパーセントの有意な増加を誘発した(p<0.05、n=6)。SH−SY5Y細胞の、ラクトフェリンを用いた処理は、7−ADD陽性細胞のパーセントの、H誘導型の増加を予防した。
【0090】
細胞死は、H処理により大幅に増加し、約22%に達した。細胞を、ウシラクトフェリン豊富な画分を用いて予防的に処理すると、細胞死が、用量依存性に制限された(黒色のバー)。ウシラクトフェリン豊富な画分自体は、試験した濃度では毒性効果を示さなかった(灰色のバー)。
【0091】
ラクトフェリンは、正常ラット及びIUGRラットにおいて、脳/体重の比を改善する
ラットモデル:ウィスター(Wister)ラット
雌親を、妊娠第3週の間にデキサメタゾン(DEX)を用いて処理する。この副腎皮質ステロイドを、妊娠第3週の間に、皮下に包埋した浸透圧ポンプアルゼット(Alzet)(登録商標)により送達し、緩衝生理食塩水を含有する浸透圧ポンプを備えたシャム動物を、対照として使用する。この設計は、仔の高い脆弱さのモデルを表し、ヒト種における周産期の間の脆弱さの状況を模倣する。この設計は、任意のその他の介入とは別の、ラクトフェリンの、脳の発達を増強する能力を証明するための特性モデルである。ラクトフェリンの補充を、1)妊娠及び授乳の両方の間、2)授乳の間、及び3)補充なしについて試験する。適切な比較を可能にする論理的な実験設計を確立するために、同じ補充プロトコールを、正常な妊娠に適用する。
【0092】
IUGR仔:雌親を、妊娠第3週の間にデキサメタゾン(100μg/kg/日)を用いて処理することによって、子宮内発育遅滞(IUGR)のモデルを得る。妊娠している雌親の栄養の補充のために、ラクトフェリンを、妊娠の第15日から離乳まで経口投与し、食餌は自由に与える。ラクトフェリンを、新生仔ラットに、可能な限り早期から、離乳まで送達する。
【0093】
以下の6群の動物を使用した。
群1:正常な仔;対照の雌親(シャム=緩衝生理食塩水を有する浸透圧ポンプ)には栄養介入を行わない。
群2:IUGR仔;DEX処理した雌親には栄養介入を行わない。
群3:正常な仔;対照の雌親(シャム)に、妊娠開始から授乳終了までbLfの補充(1g/Kg/日)を行う。
群4:IUGR仔;DEX処理した雌親に、妊娠開始から授乳終了までbLfの補充(1g/Kg/日)を行う。
群5:IUGR仔;DEX処理した雌親には栄養介入を行わない;出生後の第1日〜第21日に、授乳に加えて、カゼインタンパク質を模倣するアミノ酸のブレンド200mg/kg/日を有するビヒクル(bLfと同じ体積)を、仔に滴下して与えた。
群6:IUGR仔;DEX処理した雌親には栄養介入を行わない;出生後の第1日〜第21日に、授乳に加えて、bLfの補充(200mg/Kg/日)を、仔に滴下して与えた。
【0094】
結果を、以下、並びに図4a)及びb)に示す。
【0095】
出生時において、DEX対照及びラクトフェリンを補充したDEXの子孫の体重は、対照ビヒクル群の体重よりも約20〜25%低い。この結果は、DEXモデルは、ヒト種における周産期の間の脆弱さの状況を模倣するための妥当なツールであることを示している。
【0096】
したがって、このモデルは、任意のその他の介入とは別の、ラクトフェリンの、脳の発達を増強する能力を実証するための特性モデルである。
【0097】
DEX対照及びDEXラクトフェリン補充群の両方において、脳の重量が、対照ビヒクル群の脳の重量よりも低かった。しかし、出生後の第1日においては、脳の重量の減少は、Lf補充群における体重の減少よりも少なく、したがって、Dex LF処理における体重に対する脳の比は、DEX対照群と比較してより大きい。
【0098】
興味深いことに、Dex Lf群の脳の重量は、出生後の第21日には、対照ビヒクル群に追いついた。
【0099】
ラクトフェリンは、脳における代謝を増加させる
LCモデル解析を使用して、皮質及び海馬の両方に由来する以下の18個の代謝産物を定量化する。すなわち、アラニン(Ala)、アスパラギン酸塩(Asp)、クレアチン(Cr)、−アミノ酪酸(ギャバ)、グルコース(Glc)、グルタミン酸塩(Glu)、グルタミン(Gln)、グルタチオン(GSH)、グリセロホスホリルコリン(GPC)、ホスホリルコリン(PCho)、ミオ−イノシトール(Ins)、乳酸塩(Lac)、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、N−アセチルアスパルチルグルタミン酸塩(NAAG)、リン酸クレアチン(PCr)、ホスホリルエタノールアミン(PE)、scyllo−イノシトール、及びタウリン(Tau)。
【0100】
我々のげっ歯類モデルにおいて、有害な出生前の曝露に続く脳の発達の変化を、インビボにおけるMR技法を使用して可視化し(EPFLにおいて9.4テスラのスキャナーを使用)、主として生後1ヵ月の間に、早期の栄養介入の、脳の発達及び代謝に対する作用を評価することを目的とした。ファーストスピンエコー法(Fast Spin−Echo)(FSE)の画像及びスペクトラルエディティングH−MR分光法を使用して、特定の局所の脳及び海馬の代謝を求めた。手短に述べると、FSE画像(TR/TE=6000/80ミリ秒;FOV=25×25mm及びマトリックスサイズ=256×128)を実現して、目的のMRSボクセルを位置付けた(VOI=1.5×1.5×2.5mm3)。一次及び二次のシムを、FASTMAPを使用して調節した[Martin E、2001、Ann Neurol 49:518〜521]。水の線幅は、8Hz〜15Hzの間の範囲であった。皮質の病変内及び対側の皮質領域内の両方のスペクトルを、超短エコー時間(TE/TR=2.7/4000ミリ秒)SPECIAL分光法を使用して獲得した。この方法は、垂直(Y)方向における1D image−selected in vivo spectroscopy(ISIS)と、X方向及びZ方向における切片選択的スピンエコー法とを組み合わせ、励起された領域において入手可能な最大シグナル強度をもたらす。連続した35〜70個のFID(それぞれ平均12個)を獲得し、周波数ドリフトについて個々に補正し、総計し、残余の渦電流効果について、参照の水のシグナルを使用して補正した。
【0101】
結果を以下、並びに図5及び図6に示す。
【0102】
出生後の第7日において、リン酸クレアチン(PCr)、N−アセチルアスパルチルグルタミン酸塩(NAAG)、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、NAA+NAAG、及びクレアチン(Cr)+リン酸クレアチン(PCr))の濃度には、対照ビヒクル(n=5)と対照のDeXの仔(n=4)との間で、有意な差がある(P<0.05〜0.01)。しかし、LF処理Dexの仔の群(n=6)は、P7では、対照−Dex群において見出される、上記の代謝マーカーの濃度を逆転させる傾向を示したが、差は、海馬及び皮質の両方において統計学的有意性には達しなかった。
【0103】
N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)又はN−アセチルアスパラギン酸塩は、アスパラギン酸の誘導体であり、CNOの式及び175.139の分子量を有する。NAAは、脳において、アミノ酸のグルタミン酸に続く、第2の最も高い濃度で存在する分子である。NAAは、神経細胞中で、アミノ酸のアスパラギン酸塩とアセチル補酵素Aとから合成される。NAAの提案されている主要な機能として、以下の機能が挙げられる。
NAAは、神経細胞軸索を有髄化するグリア細胞であるオリゴデンドロサイトにおける、脂質及びミエリンの合成のための酢酸の供給源である。
NAAは、重要な神経細胞ジペプチドであるN−アセチルアスパルチルグルタミン酸塩の合成のための前駆体である。
NAAは、脳における体液バランスに関与する神経細胞のオスモライトである。
NAAはまた、神経細胞のミトコンドリアにおけるアミノ酸のグルタミン酸塩からのエネルギー産生に関与することもできる。
【0104】
NAAのシグナルは、NAA及びN−アセチルアスパルチルグルタミン酸塩(NAAG)の両方の組織濃度を反映する。NAAは、CNS中の神経細胞、オリゴデンドログリア系統の細胞、及び軸索の存在を反映することが報告されている(Urenjak J、1993、J Neurosci 13:981〜989;Martin E、2001、Ann Neurol 49:518〜521;Bjartmar C、2002、Ann Neurol 51:51〜58)。NAA(G)は、神経細胞におけるミトコンドリアと細胞質との間のアセチル基の担体であり得ることが示唆されている(Patel TB、1979、Biochem J 184:539〜546;Truckenmiller ME、1985、J Neurochem 45:1658〜1662)。NAAシグナルの減少は通常、神経細胞の数の低下であると解釈されているが、また、神経細胞のミトコンドリアの機能の変化を反映する可能性もある。成熟の結果としての、脳組織におけるNAA/Choの比の増加が、以前に詳細に記載され、本研究において確認されている(van der Knaap MS、1990、Radiology 176:509〜515;Kreis R、2002、Magn Reson Med 48:949〜958)。
【0105】
N−アセチルアスパルチルグルタミン酸(N−アセチルアスパルチルグルタミン酸塩、又はNAAG)は、神経ペプチドであり、この神経ペプチドは、哺乳動物の神経系における第3の最も優勢な神経伝達物質である。NAAGは、ペプチド結合を介してカップリングしているN−アセチルアスパラギン酸(NAA)とグルタミン酸とからなる。NAAGは、1965年にCuratoloらにより神経系に特異的なペプチドとして発見された(Isaacks RE、1994、Neurochem Res 19:331〜338)が、20年近くの間広範に研究されることはなかった。神経細胞中に高い濃度で存在すること、シナプス小胞中に詰まっていること、カルシウムに依存して放出されること、及びシナプス空間において酵素活性により加水分解されることを含む神経伝達物質についての判断基準を、NAAGは満たす。NAAGは、特定の受容体、すなわち、代謝調節型グルタミン酸受容体タイプ3を活性化する。NAAGは、NAAGの2つの前駆体から酵素により合成され、シナプスにおいて、NAAGペプチダーゼにより異化される。後者の酵素の阻害が、いくつかの神経学的な状態及び障害の動物モデルにおいて、潜在的に重要な治療効果を有する。
【0106】
ミオ−イノシトールは、生きている細胞の重大な構成要素であり、いくつかの生理学的機能に関与する。ミオ−イノシトールは、主要なオスモライトであり、また、ホスファチジルイノシトールの前駆体としても働く。ミオ−イノシトールは、グリア細胞のマーカーとして使用されている(Isaacks RE、1994、Neurochem Res 19:331〜338)。Lacを、脳のための燃料として使用することができるが、また、ミエリンの合成のための燃料としても使用することができる(Sanchez−Abarca LI、2001、Glia 36:321〜329)。
【0107】
窒息した正期産新生児におけるN−アセチルアスパラギン酸塩/コリン(NAA/Cho)の比の減少が、有害な神経の発達の転帰を予測する(Groenendaal F、1994,Pediatr Res 35:148〜151;Peden CJ、1993、Dev Med Child Neurol 35:502〜510;Roelants−van Rijn AM、2001、Pediatr Res 49:356〜362)。ミオ−イノシトール(mI)は、脳の浸透圧調節物質のうちの1つであり、アストロサイト中に見出すことができ、グリア細胞のマーカーとみなされている(Isaacks RE、1994、Neurochem Res 19:331〜338)。
【0108】
ラクトフェリンは、神経細胞の密度及び神経細胞の生存を改善する。ラクトフェリンはまた、神経細胞の細胞死を予防する。
【0109】
形態学的な検査を、MR獲得後に実施した。線条体、背側及び外側の海馬のレベルにおける近接切片を収集して、皮質及び海馬の構造、並びに白質の傷害を評価した。特定の細胞応答を決定するために、特定の細胞型を、免疫組織化学的検査を使用して標識した。白質の有髄化のマーカー(MBP)と併せて、神経細胞(NeuN)、アストロサイト(GFAP)及び放射状グリア(ネスチン)の特異的標識化を実施した。手短に、方法論を以下に示した。
【0110】
P7及びP21のそれぞれにおいて、各群からの仔に、ケタラール(50mg/ml;0.2〜0.5ml、i.p.)を使用して深部麻酔を施した。動物の心臓内に、0.9%NaCl、次いで、4%パラホルムアルデヒドを灌流した。脳を取り出し、秤量し、4%パラホルムアルデヒド中で一晩、次いで、30%スクロース中で最低限24時間後固定し、−80℃で切片化まで保存した。冠状切片(10μm)を、背側の海馬のレベルで、クリオスタット(Microm Cryo−Star HM 560M、Microm International、ドイツ)上で切断した。200μm間隔の3つの切片を、各動物から収集した。
【0111】
免疫組織化学的検査:MBP(1:400、brand city country)に対する免疫反応性のために、アビジン−ビオチンのペルオキシダーゼ複合体(ABC;Vector Laboratories、Burlingame、CA、米国)を使用して、脳組織を処理した。切片を、4%ウシ血清アルブミン(BSA、brand city country)中でブロックし、次いで、一次抗体と共に4℃で24時間インキュベートし、その後、二次抗体(1:200、brand city country)、次いで、アビジン−ビオチンの複合体(1:200、Vector Laboratories、Burlingame、CA、米国)と共にインキュベートした。切片を、0.01%過酸化水素中で、色素原である3,3−ジアミノベンジジン(DAB、brand city country)と反応させ、次いで、カバーガラスで覆った。
【0112】
同じプロトコールを使用して、ネスチン(1:500、brand city country)、GFAP(1:400、brand city country)、及びNeuN(1:200、brand city country)について、蛍光免疫組織化学的検査を行った。但し、切片は、アビジン−ビオチンの複合体中及びDAB中でインキュベートしなかった。
【0113】
各実験群及び実験群のそれぞれの対照を、同時に染色した。一次抗体による処理を除くと、染色が生じなかった。
【0114】
定量的解析を、メタモルフ(MetaMorph)(登録商標)画像法システム(Meta Imaging Software、Molecular Devices Corporation、Pennsylvania、米国)を使用して実施した。各動物についての値をプールし、各群について、平均±SEMの平均を計算した。解析の終わりまで開示されないコードを用いて観察者には分からないようにコード化したスライドを測定した。
【0115】
結果を、以下及び図7に示す。
【0116】
組織学的解析から、P7では、LF補充Dexの仔(n=5)は、DEX対照の仔と比較して、海馬のCA2〜CA3の分野において核の形態及び神経細胞の密度を有意に増加させるに至ることが明らかになった。P7での皮質における神経細胞密度の減少は、神経細胞の喪失を示唆している。神経細胞密度は、正常な対照ビヒクル群に類似し(図7)、ラクトフェリンの投与が神経細胞の喪失を逆転させることができることを示している。
【0117】
ラクトフェリンの補充はまた、出生後の第7日において、脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子発現を増加させる(図8)。
【0118】
BDNFは、末梢神経系及び中枢神経系(CNS)において、神経細胞の分化、生存及び可塑性を促す神経栄養因子である。CNSにおいて、BDNFは、長期増強を惹起し、長期増強は、シナプスの可塑性に関連する。BDNFは、神経発生を促す。また、グルタミン酸も、BDNFの産生を刺激する(MRSでは、bLFにより増加するように見える)。
【0119】
BDNFは、多くの神経細胞における神経細胞の発達及び成熟の状況に関与する主要な分子である。特に、BDNFは、神経突起の伸長を促し、シナプスタンパク質の発現を増加させ、神経突起の伸長及びシナプスタンパク質の発現は、発達の間のシナプスの接続又は機能を確立するのに必要である。これらの知見から、食餌性ラクトフェリンが、神経の発達を促し、神経の保護を行うことが確認される。
【0120】
したがって、食餌性ラクトフェリンは、低栄養状態及びストレスに関連がある脳の異常により非常に損傷を受けやすい領域である海馬の神経細胞密度に影響を及ぼし、この知見は、LFの投与は、神経細胞の生成を促し、神経細胞の生存及び神経細胞の保護を増加させることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトフェリンを少なくとも0.1g/100kcal組成物の濃度で含む摂取可能組成物。
【請求項2】
食料製品、動物食料製品、医薬組成物、栄養配合物、栄養補助食品、飲料、食品添加物、栄養調合乳からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ラクトフェリンが、ラクトフェリンが豊富な、乳画分又はホエイ画分として提供される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
タンパク質供給源、脂質供給源及び炭水化物供給源を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
タンパク質供給源が、4g/100カロリー組成物〜6.0g/100カロリー組成物の間の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
タンパク質供給源の50重量%超がホエイタンパク質である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
脂質供給源が、組成物の総エネルギーの30%〜55%の間を占め、及び/又は炭水化物供給源が、組成物の総エネルギーの35%〜65%の間を占める、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ラクトフェリンが、約0.01g〜100g/100kcal、好ましくは0.1g〜50g/100kcal、さらにより好ましくは2g〜25g/100kcalの範囲の濃度で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも約70mg/Lの総シアル酸、総脂肪酸の重量に関して少なくとも約0.1%のオメガ−3脂肪酸、及び/又は総脂肪酸の重量に関して少なくとも約0.25%のオメガ−6脂肪酸をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも0.01gラクトフェリン/kg体重/日の摂取に相当する量で投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
認知障害の治療又は予防において使用するための、ラクトフェリン又は請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
神経細胞の損傷の修復及び/又は神経細胞の寿命延長の促進において使用するための、ラクトフェリン又は請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
認知障害が、神経変性障害、認知の減退、記憶喪失、睡眠障害、気分障害及び/又はうつ病、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の使用のためのラクトフェリン又は組成物。
【請求項14】
神経変性障害が、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン病、パーキンソン病及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の使用のためのラクトフェリン又は組成物。
【請求項15】
成人又は高齢者に投与される、ラクトフェリン又は請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−526527(P2012−526527A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510228(P2012−510228)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056241
【国際公開番号】WO2010/130646
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】