説明

ラジエータコアサポート

【課題】 従来のリブで補強した場合と同等の剛性を維持しつつ重量を軽減できると同時に、射出成形時の成形性を良好にできるラジエータコアサポートの提供。
【解決手段】 ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートアッパ2の一部に、車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部8を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のラジエータコアサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジエータコアサポートにおいて高い剛性が要求される部位、例えば、ラジエータコアサポートアッパ、ラジエータコアサポートロア、ラジエータコアサポートサイドの一部には、樹脂製のリブが複数形成されて補強されている(特許文献1、2参照)。
なお、前述したリブは樹脂製のラジエータコアサポートの場合には射出成形時に一体的に形成され、金属製のラジエータコアサポートの場合には樹脂モールドされた状態で形成される。
【特許文献1】特開2002−173051号公報
【特許文献2】特開2001−138963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、リブによってラジエータコアサポートの重量が増加するという問題点があった。
また、樹脂製のラジエータコアサポートの場合には、射出成形直後に各リブが冷える際に生じる変形によって、各部位の寸法精度の誤差が大きくなり、成形性が悪いという問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、従来のリブで補強した場合と同等の剛性を維持しつつ重量を軽減できると同時に、射出成形時の成形性を良好にできるラジエータコアサポートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、ラジエータコアサポートの一部に、車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、ラジエータコアサポートの一部に、車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部を形成したため、従来のリブで補強した場合と同等の剛性を維持しつつ重量を軽減できると同時に、射出成形時の成形性を良好にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のラジエータコアサポートを示す正面図、図2は本実施例1の壁部を説明する斜視図、図3は図2のS3−S3線における断面図である。
【0009】
先ず、全体構成を説明する。
図1、2に示すように、本実施例1のラジエータコアサポート1は、車幅方向に延びるラジエータコアサポートアッパ2と、このラジエータコアサポートアッパ2と並行するラジエータコアサポートロア3と、ラジエータコアサポートアッパ2とラジエータコアサポートロア3の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド4,5が備えられ、全て樹脂製で一体的に形成されている。
【0010】
また、ラジエータコアサポートアッパ2、ラジエータコアサポートロア3、ラジエータコアサポートサイド4,5の内側には、モータファン用の開口部O1,O1を形成するようにファンシュラウド部6が突出した状態で設けられている。
【0011】
ラジエータコアサポートアッパ2の中央には、図外のフードロックを装着するためのフードロック取り付け部7が車両後方側に窪んだ状態で設けられている。
【0012】
また、図1〜3に示すように、ラジエータコアサポートアッパ2の左右両側には、それぞれ板状の上面2a、下面2b、側面2cで囲まれたエンジン用吸気ダクトの開口部O2,O2が形成される他、それぞれの上面2aと下面2bとは複数の板状の仕切り部2dで結合されて補強されている。
そして、各下面2bとそれぞれ対応するファンシュラウド部6を結合する角部には、図1の波線で囲まれた範囲Xに亘って、矩形状の水直面8aを複数有し、且つ車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部8が形成されている。なお、壁部の凹凸の突出寸法及びピッチは適宜設定できる。
【0013】
従って、本実施例1のように、ラジエータコアサポートアッパ2の左右両側に開口部O2、O2を形成すると、周辺部位の特に上下方向の剛性が低くなることによって、角部に応力が集中して剛性が低下し易いが、本実施例1では、壁部8によって剛性を向上でき、周辺部位の必要剛性を確保できる。
【0014】
また、ラジエータコアサポート1は、車両前後方向に配置される一対の射出成形用型の間に素材となる樹脂を射出成形することによって一体的に形成されるが、この際、壁部8は車両前後方向で形状差がないため、周辺部位の冷却速度の差が小さくなり、この結果、変形量を抑えて精度良く形成でき、成形性に優れる。
【0015】
その他、ファンシュラウド部6やラジエータコアサポートサイド4,5には、熱交換器等の各種配管を貫通させた状態で配置するための開口部O3が複数設けられる他、車両側との締結孔O4が形成されている。
【0016】
このように構成されたラジエータコアサポート1は、車両のエンジンルームに搭載された際に、開口部O1,O1に臨んで車両後方側から図外の2連のモータファンが装着され、このモータファンと対面するように車両前方側から図外の熱交換器が装着される。
また、エンジンルーム内に搭載されたラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートアッパ2は、図外のエンジンフードが近接して配置される他、開口部O2,O2に臨んで車両後方側から図外のエンジン用吸気ダクトが配置される。
【0017】
ここで、ラジエータコアサポートアッパ2には、エンジンフードの支持剛性、車両整備点検時等の手付き剛性、ラジエータコアサポート1の上方強度、エンジン用吸気ダクトの支持剛性等が要求されるが、前述したように、本実施例1ではラジエータコアサポートアッパ2の一部に車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部8を形成したため、従来のリブで補強した場合と同等の剛性を維持できる。
【0018】
また、ラジエータコアサポート1を金属製としてリブを樹脂モールドさせて形成する場合も含めてラジエータコアサポート1の重量を軽減できる。
【0019】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のラジエータコアサポート1にあっては、ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートアッパ2の一部に、車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部8を形成したため、従来のリブで補強した場合と同等の剛性を維持しつつ重量を軽減できると同時に、射出成形時の成形性を良好にできる。
【0020】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、ラジエータコアサポート1が金属製の場合には、壁部8を金属製としても良い。この場合、ラジエータコアサポート1の製造時において素材となる金属製板材をプレス成形する際に共に形成する。
【0021】
また、壁部8を形成する部位は、ラジエータコアサポートアッパ2の全長に亘って形成しても良いし、他の部位に設けても良い。
【0022】
さらに、本実施例1では、壁部8に矩形状の面が複数形成される場合について説明したが、図4に示すように、曲線的な波状の面を有する壁部20としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1のラジエータコアサポートを示す正面図である。
【図2】実施例1の壁部を説明する斜視図である。
【図3】図2のS3−S3線における断面図である。
【図4】その他の壁部8を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
O1、O2、O3、O4 開口部
O6 締結孔
1 ラジエータコアサポート
2 ラジエータコアサポートアッパ
2a 上面
2b 下面
2c 側面
2d 仕切り部
3 ラジエータコアサポートロア
4、5 ラジエータコアサポートサイド
6 ファンシュラウド部
7 フードロック取り付け部
8、20 壁部
8a 垂直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータコアサポートの一部に、車両前後方向に凹凸して車幅方向へ延びる壁部を形成したことを特徴とするラジエータコアサポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−105565(P2008−105565A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290585(P2006−290585)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】