ラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法
【課題】油圧回路の損傷抑制とラジエータファンの迅速な反転とを可能とするラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第1時間間隔ΔPが経過した場合に、切換え弁60の位置を、正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。また、制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第2時間間隔ΔQが経過した場合に、切換え弁60の位置を、中立位置Bから逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換え開始する。
【解決手段】制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第1時間間隔ΔPが経過した場合に、切換え弁60の位置を、正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。また、制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第2時間間隔ΔQが経過した場合に、切換え弁60の位置を、中立位置Bから逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換え開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に設けられるラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ホイールローダ等の建設機械は、土埃などが多い場所で使用されることが多いため、ラジエータにゴミが溜まりやすい。
【0003】
そこで、ラジエータに溜まったゴミを吹き飛ばすために、ラジエータに送風するためのラジエータファンを逆回転させる手法が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、3位置切換え弁の位置制御によって、ラジエータファンの回転制御が行われる。具体的には、ラジエータファンを駆動する油圧モータを反転させる場合には、3位置切換え弁は、正位置→中立位置→逆位置の順、或いは逆位置→中立位置→正位置の順に切換えられる。この際、キャビテーションの抑制を目的として、油圧モータは、3位置切換え弁を中立位置に保持することによって、一旦停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−68142号公報
【特許文献2】特開2002−349262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る油圧回路は閉回路式であるため、圧油の温度が低く粘度が高ければ、油圧モータを反転させるときに油圧回路にピーク圧が立ち易い。そのため、油圧回路が損傷するおそれがある。
【0007】
一方で、特許文献2に係る油圧回路は開回路式であるため、3位置切換え弁を中立位置に切換えた後、油圧モータが停止するまでに時間を要する。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させることが困難である。
【0008】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、油圧回路の損傷抑制とラジエータファンの迅速な反転とを可能とするラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るラジエータファンの制御装置は、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第2時間間隔が経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0010】
このように、本発明の第1の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ポンプ容量を低減させることによってラジエータファン30の回転数を速やかに低下させつつ、ラジエータファン30の回転数が十分に小さくなった後に切換え弁を第2位置に切換え開始できる。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させるとともに、油圧回路にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0011】
また、予め定められた第1時間間隔及び第2時間間隔に基づいて切換え弁の位置を切換えるタイミングを制御できるので、ラジエータファンの回転数などをリアルタイムで検出或いは算出する必要がない。
【0012】
本発明の第2の態様に係るラジエータファンの制御装置は、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0013】
本発明の第2の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ポンプ容量を低減させることによって油圧モータの回転数を速やかに低下させつつ、油圧モータの回転数が十分に小さくなった後に切換え弁を第2位置に切換え開始できる。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させるとともに、油圧回路にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0014】
また、リアルタイムなラジエータファンの回転数に基づいて切換え弁を中立位置へ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファンの回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁を駆動できなくなることを抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファンをより迅速に反転させることができる。
【0015】
本発明の第3の態様に係るラジエータファンの制御装置は、建設機械に設けられるラジエータに送風するラジエータファンの回転数を取得するファン回転数取得部と、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、切換え弁を第1位置から中立位置に切換え開始したことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数よりも小さい第2目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、弁切換え部によって切換え弁の位置が第2位置へ切換え開始された場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0016】
本発明の第3の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ポンプ容量を低減させることによって油圧モータの回転数を速やかに低下させつつ、油圧モータの回転数が十分に小さくなった後に切換え弁を第2位置に切換え開始できる。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させるとともに、油圧回路にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0017】
また、リアルタイムに検出されるラジエータファンの回転数に基づいて切換え弁を中立位置へ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファンの回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁を駆動できなくなることを抑制できる。また、リアルタイムなラジエータファンの回転数に基づいて切換え弁を第2位置へ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファンの回転数が低下していない状態で切換え弁が第2位置へ切換え開始されることを抑制できるので、油圧回路にピーク圧が立つことを精度良く抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファンをより迅速に反転させることができる。
【0018】
本発明の第4の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第1乃至第3のいずれかの態様に係り、切換え弁は、電磁比例制御弁であり、弁切換え部は、切換え弁に出力される電流値を段階的に変化させることによって、切換え弁の位置を切換える。
【0019】
本発明の第4の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、切換え弁に出力される電流値を段階的に変化させることによって、切換え弁の位置を精度良く切換えることができる。従って、油圧回路にピーク圧が立つことを、より確実に抑制できる。
【0020】
本発明の第5の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第2又は第3の態様に係り、第1目標回転数は、切換え弁を駆動するのに必要な油圧に応じて決定される。
【0021】
本発明の第5の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、必要以上にラジエータファンの回転数が低下されることによって、切換え弁を駆動できなくなることをより抑制できる。
【0022】
本発明の第6の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第4の態様に係り、弁切換え部は、切換え弁が中立位置から第2位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量を、切換え弁が第1位置から中立位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量よりも大きくする。
【0023】
本発明の第6の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、第1位置から中立位置へはゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置から第2位置へ速やかに切換えることができる。そのため、ラジエータファンをより迅速に反転させつつ、油圧回路の損傷をより抑制することができる。
【0024】
本発明の第7の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第1乃至第3のいずれかの態様に係り、弁切換え部は、切換え弁が中立位置から第2位置に切換わるのに必要な時間を、切換え弁が第1位置から中立位置に切換わるのに必要な時間よりも短くする。
【0025】
本発明の第7の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、第1位置から中立位置へはゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置から第2位置へ速やかに切換えることができる。そのため、ラジエータファンをより迅速に反転させつつ、油圧回路の損傷をより抑制することができる。
【0026】
本発明の第8の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第2の態様に係り、油圧ポンプを駆動させるエンジンの回転数と油圧ポンプの容量とに基づいて、ラジエータファンの回転数を算出するファン回転数算出部を備える。
【0027】
本発明の第8の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ラジエータファンの回転数を検出するセンサを設けることなく、ラジエータファンの回転数を推定的に算出することができる。
【0028】
本発明の第9の態様に係る建設機械は、ラジエータと、ラジエータに送風するラジエータファンと、ラジエータファンを駆動する油圧モータと、油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、ラジエータファンを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を有する。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第2時間間隔が経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0029】
本発明の第10の態様に係る建設機械は、ラジエータと、ラジエータに送風するラジエータファンと、ラジエータファンを駆動する油圧モータと、油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、ラジエータファンを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0030】
本発明の第11の態様に係るラジエータファンの制御方法は、ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第2時間間隔が経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、を備える。
【0031】
本発明の第12の態様に係るラジエータファンの制御方法は、ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、を備える。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、油圧回路の損傷抑制とラジエータファンの迅速な反転とを可能とするラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係る建設機械1の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る制御装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る制御装置100の動作を示すフロー図である。
【図4】第1実施形態に係るラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。
【図5】第1実施形態に係る制御装置100がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【図6】第2実施形態に係る建設機械1aの構成を示す模式図である。
【図7】第2実施形態に係る制御装置100aの構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る制御装置100aの動作を示すフロー図である。
【図9】第2実施形態に係るラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。
【図10】第2実施形態に係る制御装置100がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【図11】第3実施形態に係る建設機械1bの構成を示す模式図である。
【図12】第3実施形態に係る制御装置100bの構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施形態に係る制御装置100bの動作を示すフロー図である。
【図14】第3実施形態に係るラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。
【図15】第3実施形態に係る制御装置100bがEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0035】
[第1実施形態]
(建設機械1の構成)
第1実施形態に係る建設機械1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る建設機械1の構成を示す模式図である。なお、建設機械1としては、ホイールローダやショベルカー等が挙げられる。
【0036】
建設機械1は、エンジン10と、ラジエータ20と、ラジエータファン30と、油圧回路40と、制御装置100と、を備える。
【0037】
エンジン10は、駆動力を出力する。ラジエータ20は、エンジン10に冷却液を循環させることによって、エンジン10から発生する熱を放出する。ラジエータファン30は、ラジエータ20の放熱を促すために、正回転によりラジエータ20に送風する。ラジエータファン30は、ラジエータ20(具体的には、コアの目)に溜まったゴミを吹き飛ばすために、正回転とは反対の逆回転によりラジエータ20に送風する。ラジエータファン30は、通常は正回転されており、定期的に自動で逆回転される。
【0038】
油圧回路40は、制御装置100の制御に応じて、ラジエータファン30を回転させる。油圧回路40は、油圧モータ50と、切換え弁60と、EPCバルブ62と、油圧ポンプ70と、タンク72と、斜板駆動弁74と、油路L1〜L4と、を有する。
【0039】
油圧モータ50は、圧油の供給によって、ラジエータファン30を回転駆動する。油圧モータ50は、ポートP1と、ポートP2と、を備える。ポートP1からポートP2に向かって圧油が流れる場合、油圧モータ50に正回転方向の回転力が発生し、油圧モータ50は正回転する。ポートP2からポートP1に向かって圧油が流れる場合、油圧モータ50に正回転とは反対方向の回転力が発生し、油圧モータ50は逆回転する。ポートP1とポートP2の双方に圧油が流れ込まない場合、油圧モータ50には回転力が発生せず、油圧モータ50は間もなく停止する。
【0040】
切換え弁60は、油圧モータ50に流れる圧油の方向を切換える。切換え弁60は、正位置Aと、中立位置Bと、逆位置Cと、を有する3位置切換え弁である。切換え弁60が正位置Aに位置する場合、圧油は油路L1を介して油圧モータ50のポートP1に流れる。切換え弁60が逆位置Cに位置する場合、圧油は油路L2を介して油圧モータ50のポートP2に流れる。切換え弁60が中立位置Bに位置する場合、圧油は油圧モータ50のポートP1とポートP2の双方に流れる。このように、切換え弁60は、正位置Aに位置する場合に正回転方向の回転力を油圧モータ50に与え、逆位置Cに位置する場合に正回転方向と反対方向(以下、「逆回転方向」という。)の回転力を油圧モータ50に与え、中立位置Bに位置する場合に回転力を油圧モータ50に与えない。
【0041】
切換え弁60は、正位置A(「第1位置」の一例)から逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換わる場合、及び、逆位置C(「第1位置」の一例)から正位置A(「第2位置」の一例)へ切換わる場合、中立位置Bを経由する。
【0042】
EPCバルブ62は、切換え弁60に対して、制御装置100から供給される電流値に応じたパイロット圧を出力する電磁比例制御弁である。EPCバルブ62は、制御装置100から供給される電流値が段階的に変化することに応じて、切換え弁60を多段階的に滑らかに駆動させることができる。EPCバルブ62は、電流値の単位時間当たり平均変化量が大きければ速やかに切換え弁60を駆動させ、電流値の単位時間当たり平均変化量が小さければゆっくりと切換え弁60を駆動させる。
【0043】
油圧ポンプ70は、エンジン5に連動して駆動される。油圧ポンプ70は、タンク72から油路L3を介して、切換え弁60に圧油を送り出す。タンク72には、油路L4を介して切換え弁60から油が戻される。油圧ポンプ70は、斜板70aを有する可変容量型のポンプである。油圧ポンプ70のポンプ容量は、斜板70aの角度に応じて変化する。斜板70aの角度は、斜板駆動弁74によって調整される。斜板駆動弁74は、制御装置100に接続される電磁比例制御弁74aと、電磁比例制御弁74aのパイロット圧に応じて駆動する斜板駆動部74bとを有する。
【0044】
制御装置100は、ラジエータファン30の回転制御を行う。制御装置100は、EPCバルブ62と、斜板駆動弁74と、に接続されている。制御装置100の構成と動作については後述する。
【0045】
(制御装置100の構成)
第1実施形態に係る制御装置100の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る制御装置100の構成を示すブロック図である。
【0046】
制御装置100は、計時部110と、ポンプ容量調整部120と、弁切換え部130と、を有する。
【0047】
計時部110は、ラジエータファン30を反転させるタイミングを検出するタイマーである。具体的に、計時部110は、正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続されたことを検出し、その旨をポンプ容量調整部120及び弁切換え部130に通知する。
【0048】
ポンプ容量調整部120は、正回転が所定時間継続された旨の通知に応じて、油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。具体的に、ポンプ容量調整部120は、斜板駆動弁74に所定の電流を出力することによって、油圧ポンプ70の斜板70aの角度を小さくする。これに伴って、ラジエータファン30の回転数は低下し始める。
【0049】
また、ポンプ容量調整部120は、切換え弁60の位置が中立位置Bから逆位置Cへ切換えられた旨の通知に応じて、油圧ポンプ70のポンプ容量を増加させる。具体的には、ポンプ容量調整部120は、斜板駆動弁74に所定の電流を出力することによって、油圧ポンプ70の斜板70aの角度を大きくする。これに伴って、ラジエータファン30の回転数は上昇し始める。
【0050】
弁切換え部130は、EPCバルブ62に接続されている。弁切換え部130は、EPCバルブ62に電流を供給することによって、切換え弁60の位置を切り替える。弁切換え部130は、EPCバルブ62への供給電流値を変化させることによって、切換え弁60の位置を正位置A→中立位置B→逆位置Cの順に切換える。これによって、ラジエータファン30は、正回転から逆回転に反転される。
【0051】
弁切換え部130は、切換え弁60の位置を中立位置Bから逆位置Cへ切換え開始した場合、その旨をポンプ容量調整部120に通知する。本実施形態において、弁切換え部130が切換え弁60の位置を切換えるタイミングは、予め定められている。弁切換え部130の動作については、後述する。
【0052】
なお、以上では、ラジエータファン30の正回転が所定時間継続された場合における各構成要素の機能について説明したが、ラジエータファン30の逆回転が所定時間(例えば、5分間程度)継続された場合においても、各構成要素は同様に機能する。そのため、ラジエータファン30が逆回転から正回転へ反転する場合の詳細については説明を省略する。
【0053】
(制御装置100の動作)
実施形態に係る制御装置100の動作について、図面を参照しながら説明する。以下においては、ラジエータファン30の正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続された場合について説明する。
【0054】
図3は、実施形態に係る制御装置100の動作を示すフロー図である。図4は、ラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。図5は、制御装置100(具体的には、弁切換え部130)がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【0055】
ステップS1において、制御装置100は、時刻(t1)において、正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続されたことを検出する。
【0056】
ステップS2において、制御装置100は、時刻(t1)から油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。これによって、図4に示すように、ラジエータファン30の回転数は、時刻(t1)から下降し始める。
【0057】
ステップS3において、制御装置100は、時刻(t1)から時刻(t1+ΔP)の間、供給電流値を“0”に維持する。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aに維持される。
【0058】
ここで、第1時間間隔ΔPは、EPCバルブ62によって切換え弁60を駆動可能であるという条件を満たすように設定される。すなわち、EPCバルブ62から出力されるパイロット圧は、油圧ポンプ70のポンプ容量の低減に応じて低下するところ、第1時間間隔ΔP以内であれば、切換え弁60を駆動できる程度のパイロット圧が確保される。
【0059】
ステップS4において、制御装置100は、時刻(t1+ΔP)において、供給電流値を第1目標電流値U1に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換え開始される。
【0060】
ステップS5において、制御装置100は、時刻(t1+ΔP)から時刻(t1+ΔQ)の間に、供給電流値を第1目標電流値U1から第2目標電流値U2まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換えられる。
【0061】
ここで、第2時間間隔ΔQは、第1時間間隔ΔPよりも長く、油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。すなわち、第2時間間隔ΔQ以降であれば、ラジエータファン30を反転(すなわち、油圧モータ50における圧油の流れをポートP2→ポートP1に変更)させてもピーク圧が立たないことが確保される。
【0062】
ステップS6において、制御装置100は、時刻(t1+ΔQ)から時刻(t1+ΔR)の間に、供給電流値を第2目標電流値U2から第3目標電流値U3まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、中立位置Bから逆位置Cに切換えられる。
【0063】
ここで、本実施形態において、時刻(t1+ΔQ)と時刻(t1+ΔR)との間隔は、時刻(t1+ΔP)と時刻(t1+ΔQ)との間隔よりも短い。また、時刻(t1+ΔQ)から時刻(t1+ΔR)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t1+ΔP)から時刻(t1+ΔQ)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。なお、第3時間間隔ΔRは、第1時間間隔ΔP及び第2時間間隔ΔQより大きい。
【0064】
ステップS7において、制御装置100は、時刻(t1+ΔQ)から油圧ポンプ70のポンプ容量を増大させる。これによって、図4に示すように、ラジエータファン30は、時刻(t1+ΔQ)から逆回転に移行し始める。
【0065】
ステップS8において、制御装置100は、時刻(t1+ΔR)から所定時間(例えば5分程度)の間、供給電流値を第3目標電流値U3に維持する。これによって、切換え弁60の位置は逆位置Cに維持されるので、ラジエータファン30は逆回転する。
【0066】
(作用及び効果)
(1)本実施形態に係る制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第1時間間隔ΔPが経過した場合に、切換え弁60の位置を、正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。また、制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第2時間間隔ΔQが経過した場合に、切換え弁60の位置を、中立位置Bから逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換え開始する。
【0067】
このように、本実施形態に係る制御装置100によれば、ポンプ容量を低減させることによってラジエータファン30の回転数を速やかに低下させつつ、ラジエータファン30の回転数が十分に小さくなった後に切換え弁60を逆位置Cに切換え開始できる。そのため、ラジエータファン30を迅速に反転させるとともに、油圧回路40にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0068】
また、予め定められた第1時間間隔ΔP及び第2時間間隔ΔQに基づいて切換え弁60の位置を切換えるタイミングを制御できるので、ラジエータファン30の回転数などを検出する必要がない。
【0069】
(2)本実施形態に係る制御装置100において、切換え弁60は、EPCバルブ62によって駆動される。
【0070】
そのため、EPCバルブ62への供給電流値を段階的に変化させることによって、切換え弁60の位置を精度良く切換えることができる。従って、油圧回路40にピーク圧が立つことを、より確実に抑制できる。
【0071】
(3)本実施形態において、時刻(t1+ΔQ)と時刻(t1+ΔR)との間隔は、時刻(t1+ΔP)と時刻(t1+ΔQ)との間隔よりも短い。また、時刻(t1+ΔQ)から時刻(t1+ΔR)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t1+ΔP)から時刻(t1+ΔQ)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。
【0072】
そのため、正位置Aから中立位置Bへゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置Bから逆位置Cへ速やかに切換えることができる。従って、ラジエータファン30をより迅速に反転させられるとともに、油圧回路40にピーク圧が立つことをより抑制することができる。
【0073】
[第2実施形態]
(建設機械1aの構成)
第2実施形態に係る建設機械1aの構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る建設機械1aの構成を示す模式図である。第2実施形態に係る建設機械1aは、制御装置100aがエンジン10の回転数を取得可能である点において、第1実施形態に係る建設機械1と相違する。以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0074】
(制御装置100aの構成)
第2実施形態に係る制御装置100aの構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る制御装置100aの構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る制御装置100aは、エンジン回転数取得部140及びファン回転数算出部150、ポンプ容量調整部120a、弁切換え部130aを有する点において、第1実施形態に係る制御装置100と相違する。
【0075】
エンジン回転数取得部140は、エンジン10の回転数を取得する。
【0076】
ファン回転数算出部150は、エンジン10の回転数と油圧ポンプ70のポンプ容量とに基づいて、ラジエータファン30の回転数を算出する。ラジエータファン30の回転数は、例えば、エンジン10の回転数と油圧ポンプ70のポンプ容量との積算値によって推定的に表される。
【0077】
ポンプ容量調整部120aは、ファン回転数算出部150によって算出されるラジエータファン30の回転数を取得する。ポンプ容量調整部120aは、ラジエータファン30の正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続された旨の通知に応じて、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になるように、油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。
【0078】
ここで、第1目標回転数R1は、EPCバルブ62によって切換え弁60を駆動可能であるという条件を満たすように設定される。すなわち、EPCバルブ62から出力されるパイロット圧は、油圧ポンプ70のポンプ容量の低減に応じて低下するところ、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1程度であれば、切換え弁60を駆動できる程度のパイロット圧が確保される。このような第1目標回転数R1は、ラジエータファン30の油圧回路40の回路構成などに応じて適宜設定可能である。ただし、エンジン10の回転数の変動が大きい場合には、第1目標回転数R1には、例えば、中心値(例えば600rpm程度)に変動代(±50rpm程度)が設けられていてもよい。
【0079】
弁切換え部130aは、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった場合、切換え弁60の位置を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始する。これによって、正回転方向の回転力のラジエータファン30への供給は、徐々に弱められる。
【0080】
また、弁切換え部130aは、切換え弁60の位置を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始から所定時間経過後に、切換え弁60の位置を中立位置Bから逆位置Cへ切換え開始する。これによって、ラジエータファン30に対する逆回転方向の回転力の供給が開始される。弁切換え部130の動作については、後述する。
【0081】
なお、本実施形態においても、ラジエータファン30が逆回転から正回転へ反転する場合の詳細については説明を省略する。
【0082】
(制御装置100aの動作)
第2実施形態に係る制御装置100aの動作について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る制御装置100aの動作を示すフロー図である。図9は、ラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。図10は、制御装置100a(具体的には、弁切換え部130a)がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【0083】
ステップS11において、制御装置100aは、時刻(t1)において正回転が所定時間継続されたことを検出する。
【0084】
ステップS12において、制御装置100aは、算出されるラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になるように、時刻(t1)から油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。これによって、図9に示すように、ラジエータファン30の回転数は、時刻(t1)から下降し始める。本実施形態では、図9に示すように、時刻(t2)において、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になるものとする。
【0085】
ステップS13において、制御装置100aは、時刻(t2)において、供給電流値を第1目標電流値U1に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換え開始される。
【0086】
ステップS14において、制御装置100aは、時刻(t2)から時刻(t2+ΔS)の間に、供給電流値を第1目標電流値U1から第2目標電流値U2まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換えられる。そのため、ラジエータファン30に対する正回転方向の回転力の供給は、徐々に弱められる。
【0087】
ここで、第4時間間隔ΔSは、油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。すなわち、ラジエータファン30の回転数は、時刻(t2+ΔS)以降であれば、ラジエータファン30を反転(すなわち、油圧モータ50における圧油の流れをポートP2→ポートP1に変更)させてもピーク圧が立たないことが確保される。
【0088】
ステップS15において、制御装置100aは、時刻(t2+ΔS)から時刻(t2+ΔT)の間に、供給電流値を第2目標電流値U2から第3目標電流値U3まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、中立位置Bから逆位置Cに切換えられる。
【0089】
ここで、本実施形態において、時刻(t2+ΔS)と時刻(t2+ΔT)との間隔は、時刻(t2)と時刻(t2+ΔS)との間隔よりも短い。また、時刻(t2+ΔS)から時刻(t2+ΔT)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t2)から時刻(t2+ΔS)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。なお、第5時間間隔ΔTは、第4時間間隔ΔSより大きい。
【0090】
ステップS16において、制御装置100aは、時刻(t2+ΔS)から油圧ポンプ70のポンプ容量を増加させる。これによって、図9に示すように、ラジエータファン30は、時刻(t2+ΔS)から逆回転に移行し始める。
【0091】
ステップS17において、制御装置100aは、時刻(t2+ΔT)から所定時間(例えば5分程度)の間、供給電流値を第3目標電流値U3に維持する。これによって、切換え弁60の位置は逆位置Cに維持されるので、ラジエータファン30は逆回転する。
【0092】
(作用及び効果)
第2実施形態に係る制御装置100aは、油圧ポンプ70の容量が低減されたことによってラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった場合に、切換え弁60を正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。
【0093】
このように、リアルタイムなラジエータファン30の回転数に基づいて切換え弁60を中立位置Bへ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファン30の回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁60を駆動できなくなることを抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファン30をより迅速に反転させることができる。
【0094】
なお、本実施形態において、第1目標回転数R1は、パイロット方式で切換え弁60を駆動するのに必要な油圧に応じて決定されている。
【0095】
[第3実施形態]
(建設機械1bの構成)
第3実施形態に係る建設機械1bの構成について、図面を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る建設機械1bの構成を示す模式図である。第3実施形態に係る建設機械1bは、回転数センサ80を有する点において、第1実施形態に係る建設機械1と相違する。以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0096】
回転数センサ80は、ラジエータファン30の回転数を検出する。回転数センサ80は、制御装置100bに接続されており、検出した回転数を制御装置100bにリアルタイムに送信する。
【0097】
制御装置100bは、ラジエータファン30の回転制御を行う。制御装置100bは、EPCバルブ62と、斜板駆動弁74と、回転数センサ80と、に接続されている。
【0098】
(制御装置100bの構成)
第3実施形態に係る制御装置100bの構成について、図面を参照しながら説明する。図12は、第3実施形態に係る制御装置100bの構成を示すブロック図である。第3実施形態に係る制御装置100bは、弁切換え部130b、ファン回転数取得部160及び判定部170を有する点において、第1実施形態に係る制御装置100と相違する。以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0099】
ファン回転数取得部160は、回転数センサ80からラジエータファン30の回転数を取得する。
【0100】
判定部170は、ポンプ容量調整部120によって油圧ポンプ70の容量が低減された場合、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数(例えば、600rpm)以下か否かを判定する。判定部170は、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数以下になったと判定した場合、その旨を弁切換え部130bに通知する。
【0101】
ここで、第1目標回転数R1は、EPCバルブ62によって切換え弁60を駆動可能であるという条件を満たすように設定される。すなわち、EPCバルブ62から出力されるパイロット圧は、油圧ポンプ70のポンプ容量の低減に応じて低下するところ、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1程度であれば、切換え弁60を駆動できる程度のパイロット圧が確保される。このような第1目標回転数R1は、油圧回路40の回路構成などに応じて適宜設定可能である。
【0102】
また、判定部170は、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になったと判定された後に、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2(例えば、100rpm)以下か否かを判定する。判定部170は、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になったと判定した場合、その旨を弁切換え部130bに通知する。
【0103】
ここで、第2目標回転数R2は、ラジエータファン30を反転させても油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。すなわち、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下であれば、ラジエータファン30を反転(すなわち、油圧モータ50における圧油の流れをポートP2→ポートP1に変更)させてもピーク圧が立たないことが確保される。このような第2目標回転数R2は、油圧回路40の回路構成などに応じて適宜設定可能である。
【0104】
弁切換え部130bは、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった旨を判定部170から通知された場合、切換え弁60の位置を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始する。これによって、ラジエータファン30に対する正回転方向の回転力の供給は、徐々に弱められる。
【0105】
また、弁切換え部130bは、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になった旨を判定部170から通知された場合、切換え弁60の位置を中立位置Bから逆位置Cへ切換え開始する。これによって、ラジエータファン30に対する逆回転方向の回転力の供給が開始される。
【0106】
なお、本実施形態においても、ラジエータファン30が逆回転から正回転へ反転する場合の詳細については説明を省略する。
【0107】
(制御装置100bの動作)
第3実施形態に係る制御装置100bの動作について、図面を参照しながら説明する。図13は、第3実施形態に係る制御装置100bの動作を示すフロー図である。図14は、ラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。図15は、制御装置100b(具体的には、弁切換え部130b)がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【0108】
ステップS21において、制御装置100bは、時刻(t1)において正回転が所定時間継続されたことを検出する。
【0109】
ステップS22において、制御装置100bは、時刻(t1)から油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。これによって、図14に示すように、ラジエータファン30の回転数は下降し始める。
【0110】
ステップS23において、制御装置100bは、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1(例えば、600rpm)以下か否かを判定する。第1目標回転数R1以下であると判定された場合、処理はステップS24に進む。第1目標回転数R1以下であると判定されない場合、処理はステップS23を繰り返す。本実施形態では、図14に示すように、時刻t2において、第1目標回転数R1以下であると判定される。
【0111】
ステップS24において、制御装置100bは、時刻(t2)から時刻(t3)の間に、供給電流値を第1目標電流値U1から第2目標電流値U2まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換えられる。そのため、ラジエータファン30に対する正回転方向の回転力の供給は、徐々に弱められる。
【0112】
ステップS25において、制御装置100bは、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2(例えば、100rpm)以下か否かを判定する。第2目標回転数R2以下であると判定された場合、処理はステップS26に進む。第2目標回転数R2以下であると判定されない場合、処理はステップS25を繰り返す。本実施形態では、図14に示すように、時刻(t3´)において、第2目標回転数R2以下であると判定される。従って、制御装置100bは、時刻(t3)から時刻(t3´)の間、供給電流値を第2目標電流値U2に維持する。
【0113】
ステップS26において、制御装置100bは、時刻(t3´)から時刻(t4)の間に、供給電流値を第2目標電流値U2から第3目標電流値U3まで速やかに上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、中立位置Bから逆位置Cに切換えられる。
【0114】
ここで、本実施形態において、時刻(t3´)から時刻(t4)までの時間(すなわち、中立位置Bから逆位置Cへの切換わりに必要な時間)は、時刻(t2)から時刻(t3)までの時間(すなわち、正位置Aから中立位置Bへの切換わりに必要な時間)よりも短い。また、時刻(t3´)から時刻(t4)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t2)から時刻(t3)における供給流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。このように、中立位置Bから逆位置Cへは速やかに切換えられるのに対して、正位置Aから中立位置Bへはゆっくりと切換えられている。
【0115】
ステップS27において、制御装置100bは、時刻(t3´)から油圧ポンプ70のポンプ容量を増加させる。これによって、図14に示すように、ラジエータファン30は、時刻(t3´)から逆回転に移行し始める。
【0116】
ステップS28において、制御装置100bは、時刻(t4)から所定時間(例えば5分程度)の間、供給電流値を第3目標電流値U3に維持する。これによって、切換え弁60の位置は逆位置Cに維持されるので、ラジエータファン30は逆回転する。
【0117】
(作用及び効果)
(1)本実施形態に係る制御装置100bは、油圧ポンプ70の容量が低減されたことによってラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった場合に、切換え弁60を正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。また、制御装置100bは、切換え弁60を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始したことによってラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になった場合に、切換え弁60を中立位置Bから逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換え開始する。
【0118】
このように、リアルタイムに検出されるラジエータファン30の回転数に基づいて切換え弁60の位置を中立位置Bへ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファン30の回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁60を駆動できなくなることを抑制できる。また、リアルタイムなラジエータファン30の回転数に基づいて切換え弁60を逆位置Cへ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファン30の回転数が低下していない状態で切換え弁60が逆位置Cへ切換え開始されることを抑制できるので、油圧回路40にピーク圧が立つことを精度良く抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファン30をより迅速に反転させることができる。
【0119】
なお、本実施形態において、第2目標回転数R2は、ラジエータファン30を反転させても油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。
【0120】
(2)本実施形態において、時刻(t3´)から時刻(t4)までの時間(すなわち、中立位置Bから逆位置Cへの切換わりに必要な時間)は、時刻(t2)から時刻(t3)までの時間(すなわち、正位置Aから中立位置Bへの切換わりに必要な時間)よりも短い。また、時刻t3´からt4の間における電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻t2からt3の間における電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。
【0121】
そのため、正位置Aから中立位置Bへゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置Bから逆位置Cへ速やかに切換えることができる。従って、ラジエータファン30をより迅速に反転させられるとともに、油圧回路40にピーク圧が立つことをより抑制することができる。
【0122】
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0123】
(A)上記実施形態では、EPCバルブ62への供給電流値は、線形的に変化することとしたが、これに限られるものではない。EPCバルブ62への供給電流値は、非線形的に変化してもよい。
【0124】
(B)上記実施形態では、ラジエータファン30の反転は、計時部110によって検出されるタイミングにおいて自動的に行われることとしたが、これに限られるものではない。ラジエータファン30の反転は、オペレータによる手動操作に応じて行われてもよい。
【0125】
(C)上記第3実施形態では、制御装置100bは、時刻(t3)から時刻(t3´)の間、すなわち、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になるまでの間、供給電流値を第2目標電流値U2に維持することとしたが、これに限られるものではない。ラジエータファン30の回転数が、時刻(t3)において第2目標回転数R2になった場合には、制御装置100bは、供給電流値を第2目標電流値U2に維持する必要はない。また、ラジエータファン30の回転数が、時刻(t3)より前に第2目標回転数R2になった場合には、制御装置100bは、第2目標電流値U2に達するまでの間、供給電流値の平均変化量(上昇率)を大きくすることが好ましい。これによって、より迅速に中立位置Bに切換えることができる。
【0126】
(D)上記実施形態では特に触れていないが、制御装置100は、圧油の温度に応じて、第1時間間隔ΔP、第2時間間隔ΔQ、及び第3時間間隔ΔRを適宜調整してもよい。同様に、制御装置100aは、圧油の温度に応じて、第1目標回転数R1、第4時間間隔ΔS及び第5時間間隔ΔTを適宜調整してもよい。また、制御装置100bは、圧油の温度に応じて、第1目標回転数R1及び第2目標回転数R2を適宜調整してもよい。
【0127】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0128】
1,1a,1b…建設機械
10…エンジン
20…ラジエータ
30…ラジエータファン
40…油圧回路
50…油圧モータ
60…切換え弁
62…EPCバルブ
70…油圧ポンプ
72…タンク
74…斜板駆動弁
80…回転数センサ
100,100a,100b…制御装置
110…計時部
120,120a…ポンプ容量調整部
130,130a,130b…弁切換え部
140…エンジン回転数取得部
150…ファン回転数算出部
160…ファン回転数取得部
170…判定部
L1〜L4…油路
R1…第1目標回転数
R2…第2目標回転数
U1…第1目標電流値
U2…第2目標電流値
U3…第3目標電流値
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に設けられるラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ホイールローダ等の建設機械は、土埃などが多い場所で使用されることが多いため、ラジエータにゴミが溜まりやすい。
【0003】
そこで、ラジエータに溜まったゴミを吹き飛ばすために、ラジエータに送風するためのラジエータファンを逆回転させる手法が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、3位置切換え弁の位置制御によって、ラジエータファンの回転制御が行われる。具体的には、ラジエータファンを駆動する油圧モータを反転させる場合には、3位置切換え弁は、正位置→中立位置→逆位置の順、或いは逆位置→中立位置→正位置の順に切換えられる。この際、キャビテーションの抑制を目的として、油圧モータは、3位置切換え弁を中立位置に保持することによって、一旦停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−68142号公報
【特許文献2】特開2002−349262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る油圧回路は閉回路式であるため、圧油の温度が低く粘度が高ければ、油圧モータを反転させるときに油圧回路にピーク圧が立ち易い。そのため、油圧回路が損傷するおそれがある。
【0007】
一方で、特許文献2に係る油圧回路は開回路式であるため、3位置切換え弁を中立位置に切換えた後、油圧モータが停止するまでに時間を要する。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させることが困難である。
【0008】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、油圧回路の損傷抑制とラジエータファンの迅速な反転とを可能とするラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るラジエータファンの制御装置は、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第2時間間隔が経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0010】
このように、本発明の第1の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ポンプ容量を低減させることによってラジエータファン30の回転数を速やかに低下させつつ、ラジエータファン30の回転数が十分に小さくなった後に切換え弁を第2位置に切換え開始できる。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させるとともに、油圧回路にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0011】
また、予め定められた第1時間間隔及び第2時間間隔に基づいて切換え弁の位置を切換えるタイミングを制御できるので、ラジエータファンの回転数などをリアルタイムで検出或いは算出する必要がない。
【0012】
本発明の第2の態様に係るラジエータファンの制御装置は、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0013】
本発明の第2の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ポンプ容量を低減させることによって油圧モータの回転数を速やかに低下させつつ、油圧モータの回転数が十分に小さくなった後に切換え弁を第2位置に切換え開始できる。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させるとともに、油圧回路にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0014】
また、リアルタイムなラジエータファンの回転数に基づいて切換え弁を中立位置へ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファンの回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁を駆動できなくなることを抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファンをより迅速に反転させることができる。
【0015】
本発明の第3の態様に係るラジエータファンの制御装置は、建設機械に設けられるラジエータに送風するラジエータファンの回転数を取得するファン回転数取得部と、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、切換え弁を第1位置から中立位置に切換え開始したことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数よりも小さい第2目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、弁切換え部によって切換え弁の位置が第2位置へ切換え開始された場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0016】
本発明の第3の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ポンプ容量を低減させることによって油圧モータの回転数を速やかに低下させつつ、油圧モータの回転数が十分に小さくなった後に切換え弁を第2位置に切換え開始できる。そのため、ラジエータファンを迅速に反転させるとともに、油圧回路にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0017】
また、リアルタイムに検出されるラジエータファンの回転数に基づいて切換え弁を中立位置へ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファンの回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁を駆動できなくなることを抑制できる。また、リアルタイムなラジエータファンの回転数に基づいて切換え弁を第2位置へ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファンの回転数が低下していない状態で切換え弁が第2位置へ切換え開始されることを抑制できるので、油圧回路にピーク圧が立つことを精度良く抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファンをより迅速に反転させることができる。
【0018】
本発明の第4の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第1乃至第3のいずれかの態様に係り、切換え弁は、電磁比例制御弁であり、弁切換え部は、切換え弁に出力される電流値を段階的に変化させることによって、切換え弁の位置を切換える。
【0019】
本発明の第4の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、切換え弁に出力される電流値を段階的に変化させることによって、切換え弁の位置を精度良く切換えることができる。従って、油圧回路にピーク圧が立つことを、より確実に抑制できる。
【0020】
本発明の第5の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第2又は第3の態様に係り、第1目標回転数は、切換え弁を駆動するのに必要な油圧に応じて決定される。
【0021】
本発明の第5の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、必要以上にラジエータファンの回転数が低下されることによって、切換え弁を駆動できなくなることをより抑制できる。
【0022】
本発明の第6の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第4の態様に係り、弁切換え部は、切換え弁が中立位置から第2位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量を、切換え弁が第1位置から中立位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量よりも大きくする。
【0023】
本発明の第6の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、第1位置から中立位置へはゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置から第2位置へ速やかに切換えることができる。そのため、ラジエータファンをより迅速に反転させつつ、油圧回路の損傷をより抑制することができる。
【0024】
本発明の第7の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第1乃至第3のいずれかの態様に係り、弁切換え部は、切換え弁が中立位置から第2位置に切換わるのに必要な時間を、切換え弁が第1位置から中立位置に切換わるのに必要な時間よりも短くする。
【0025】
本発明の第7の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、第1位置から中立位置へはゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置から第2位置へ速やかに切換えることができる。そのため、ラジエータファンをより迅速に反転させつつ、油圧回路の損傷をより抑制することができる。
【0026】
本発明の第8の態様に係るラジエータファンの制御装置は、第2の態様に係り、油圧ポンプを駆動させるエンジンの回転数と油圧ポンプの容量とに基づいて、ラジエータファンの回転数を算出するファン回転数算出部を備える。
【0027】
本発明の第8の態様に係るラジエータファンの制御装置によれば、ラジエータファンの回転数を検出するセンサを設けることなく、ラジエータファンの回転数を推定的に算出することができる。
【0028】
本発明の第9の態様に係る建設機械は、ラジエータと、ラジエータに送風するラジエータファンと、ラジエータファンを駆動する油圧モータと、油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、ラジエータファンを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を有する。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第2時間間隔が経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0029】
本発明の第10の態様に係る建設機械は、ラジエータと、ラジエータに送風するラジエータファンと、ラジエータファンを駆動する油圧モータと、油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、ラジエータファンを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、を備える。弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する。また、弁切換え部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する。ポンプ容量調整部は、ラジエータファンの回転を逆転するためにポンプ容量調整部が油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる。
【0030】
本発明の第11の態様に係るラジエータファンの制御方法は、ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させた時点から第2時間間隔が経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、を備える。
【0031】
本発明の第12の態様に係るラジエータファンの制御方法は、ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させたことによって、ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、切換え弁の位置を、所定方向の回転力を油圧モータに与える第1位置から回転力を油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、切換え弁の位置を、中立位置から所定方向と反対方向の回転力を油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、ラジエータファンの回転を逆転するために油圧ポンプの容量を低減させたことによってラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、を備える。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、油圧回路の損傷抑制とラジエータファンの迅速な反転とを可能とするラジエータファンの制御装置、その制御装置を備える建設機械及びラジエータファンの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係る建設機械1の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る制御装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る制御装置100の動作を示すフロー図である。
【図4】第1実施形態に係るラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。
【図5】第1実施形態に係る制御装置100がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【図6】第2実施形態に係る建設機械1aの構成を示す模式図である。
【図7】第2実施形態に係る制御装置100aの構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る制御装置100aの動作を示すフロー図である。
【図9】第2実施形態に係るラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。
【図10】第2実施形態に係る制御装置100がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【図11】第3実施形態に係る建設機械1bの構成を示す模式図である。
【図12】第3実施形態に係る制御装置100bの構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施形態に係る制御装置100bの動作を示すフロー図である。
【図14】第3実施形態に係るラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。
【図15】第3実施形態に係る制御装置100bがEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0035】
[第1実施形態]
(建設機械1の構成)
第1実施形態に係る建設機械1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る建設機械1の構成を示す模式図である。なお、建設機械1としては、ホイールローダやショベルカー等が挙げられる。
【0036】
建設機械1は、エンジン10と、ラジエータ20と、ラジエータファン30と、油圧回路40と、制御装置100と、を備える。
【0037】
エンジン10は、駆動力を出力する。ラジエータ20は、エンジン10に冷却液を循環させることによって、エンジン10から発生する熱を放出する。ラジエータファン30は、ラジエータ20の放熱を促すために、正回転によりラジエータ20に送風する。ラジエータファン30は、ラジエータ20(具体的には、コアの目)に溜まったゴミを吹き飛ばすために、正回転とは反対の逆回転によりラジエータ20に送風する。ラジエータファン30は、通常は正回転されており、定期的に自動で逆回転される。
【0038】
油圧回路40は、制御装置100の制御に応じて、ラジエータファン30を回転させる。油圧回路40は、油圧モータ50と、切換え弁60と、EPCバルブ62と、油圧ポンプ70と、タンク72と、斜板駆動弁74と、油路L1〜L4と、を有する。
【0039】
油圧モータ50は、圧油の供給によって、ラジエータファン30を回転駆動する。油圧モータ50は、ポートP1と、ポートP2と、を備える。ポートP1からポートP2に向かって圧油が流れる場合、油圧モータ50に正回転方向の回転力が発生し、油圧モータ50は正回転する。ポートP2からポートP1に向かって圧油が流れる場合、油圧モータ50に正回転とは反対方向の回転力が発生し、油圧モータ50は逆回転する。ポートP1とポートP2の双方に圧油が流れ込まない場合、油圧モータ50には回転力が発生せず、油圧モータ50は間もなく停止する。
【0040】
切換え弁60は、油圧モータ50に流れる圧油の方向を切換える。切換え弁60は、正位置Aと、中立位置Bと、逆位置Cと、を有する3位置切換え弁である。切換え弁60が正位置Aに位置する場合、圧油は油路L1を介して油圧モータ50のポートP1に流れる。切換え弁60が逆位置Cに位置する場合、圧油は油路L2を介して油圧モータ50のポートP2に流れる。切換え弁60が中立位置Bに位置する場合、圧油は油圧モータ50のポートP1とポートP2の双方に流れる。このように、切換え弁60は、正位置Aに位置する場合に正回転方向の回転力を油圧モータ50に与え、逆位置Cに位置する場合に正回転方向と反対方向(以下、「逆回転方向」という。)の回転力を油圧モータ50に与え、中立位置Bに位置する場合に回転力を油圧モータ50に与えない。
【0041】
切換え弁60は、正位置A(「第1位置」の一例)から逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換わる場合、及び、逆位置C(「第1位置」の一例)から正位置A(「第2位置」の一例)へ切換わる場合、中立位置Bを経由する。
【0042】
EPCバルブ62は、切換え弁60に対して、制御装置100から供給される電流値に応じたパイロット圧を出力する電磁比例制御弁である。EPCバルブ62は、制御装置100から供給される電流値が段階的に変化することに応じて、切換え弁60を多段階的に滑らかに駆動させることができる。EPCバルブ62は、電流値の単位時間当たり平均変化量が大きければ速やかに切換え弁60を駆動させ、電流値の単位時間当たり平均変化量が小さければゆっくりと切換え弁60を駆動させる。
【0043】
油圧ポンプ70は、エンジン5に連動して駆動される。油圧ポンプ70は、タンク72から油路L3を介して、切換え弁60に圧油を送り出す。タンク72には、油路L4を介して切換え弁60から油が戻される。油圧ポンプ70は、斜板70aを有する可変容量型のポンプである。油圧ポンプ70のポンプ容量は、斜板70aの角度に応じて変化する。斜板70aの角度は、斜板駆動弁74によって調整される。斜板駆動弁74は、制御装置100に接続される電磁比例制御弁74aと、電磁比例制御弁74aのパイロット圧に応じて駆動する斜板駆動部74bとを有する。
【0044】
制御装置100は、ラジエータファン30の回転制御を行う。制御装置100は、EPCバルブ62と、斜板駆動弁74と、に接続されている。制御装置100の構成と動作については後述する。
【0045】
(制御装置100の構成)
第1実施形態に係る制御装置100の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る制御装置100の構成を示すブロック図である。
【0046】
制御装置100は、計時部110と、ポンプ容量調整部120と、弁切換え部130と、を有する。
【0047】
計時部110は、ラジエータファン30を反転させるタイミングを検出するタイマーである。具体的に、計時部110は、正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続されたことを検出し、その旨をポンプ容量調整部120及び弁切換え部130に通知する。
【0048】
ポンプ容量調整部120は、正回転が所定時間継続された旨の通知に応じて、油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。具体的に、ポンプ容量調整部120は、斜板駆動弁74に所定の電流を出力することによって、油圧ポンプ70の斜板70aの角度を小さくする。これに伴って、ラジエータファン30の回転数は低下し始める。
【0049】
また、ポンプ容量調整部120は、切換え弁60の位置が中立位置Bから逆位置Cへ切換えられた旨の通知に応じて、油圧ポンプ70のポンプ容量を増加させる。具体的には、ポンプ容量調整部120は、斜板駆動弁74に所定の電流を出力することによって、油圧ポンプ70の斜板70aの角度を大きくする。これに伴って、ラジエータファン30の回転数は上昇し始める。
【0050】
弁切換え部130は、EPCバルブ62に接続されている。弁切換え部130は、EPCバルブ62に電流を供給することによって、切換え弁60の位置を切り替える。弁切換え部130は、EPCバルブ62への供給電流値を変化させることによって、切換え弁60の位置を正位置A→中立位置B→逆位置Cの順に切換える。これによって、ラジエータファン30は、正回転から逆回転に反転される。
【0051】
弁切換え部130は、切換え弁60の位置を中立位置Bから逆位置Cへ切換え開始した場合、その旨をポンプ容量調整部120に通知する。本実施形態において、弁切換え部130が切換え弁60の位置を切換えるタイミングは、予め定められている。弁切換え部130の動作については、後述する。
【0052】
なお、以上では、ラジエータファン30の正回転が所定時間継続された場合における各構成要素の機能について説明したが、ラジエータファン30の逆回転が所定時間(例えば、5分間程度)継続された場合においても、各構成要素は同様に機能する。そのため、ラジエータファン30が逆回転から正回転へ反転する場合の詳細については説明を省略する。
【0053】
(制御装置100の動作)
実施形態に係る制御装置100の動作について、図面を参照しながら説明する。以下においては、ラジエータファン30の正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続された場合について説明する。
【0054】
図3は、実施形態に係る制御装置100の動作を示すフロー図である。図4は、ラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。図5は、制御装置100(具体的には、弁切換え部130)がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【0055】
ステップS1において、制御装置100は、時刻(t1)において、正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続されたことを検出する。
【0056】
ステップS2において、制御装置100は、時刻(t1)から油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。これによって、図4に示すように、ラジエータファン30の回転数は、時刻(t1)から下降し始める。
【0057】
ステップS3において、制御装置100は、時刻(t1)から時刻(t1+ΔP)の間、供給電流値を“0”に維持する。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aに維持される。
【0058】
ここで、第1時間間隔ΔPは、EPCバルブ62によって切換え弁60を駆動可能であるという条件を満たすように設定される。すなわち、EPCバルブ62から出力されるパイロット圧は、油圧ポンプ70のポンプ容量の低減に応じて低下するところ、第1時間間隔ΔP以内であれば、切換え弁60を駆動できる程度のパイロット圧が確保される。
【0059】
ステップS4において、制御装置100は、時刻(t1+ΔP)において、供給電流値を第1目標電流値U1に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換え開始される。
【0060】
ステップS5において、制御装置100は、時刻(t1+ΔP)から時刻(t1+ΔQ)の間に、供給電流値を第1目標電流値U1から第2目標電流値U2まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換えられる。
【0061】
ここで、第2時間間隔ΔQは、第1時間間隔ΔPよりも長く、油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。すなわち、第2時間間隔ΔQ以降であれば、ラジエータファン30を反転(すなわち、油圧モータ50における圧油の流れをポートP2→ポートP1に変更)させてもピーク圧が立たないことが確保される。
【0062】
ステップS6において、制御装置100は、時刻(t1+ΔQ)から時刻(t1+ΔR)の間に、供給電流値を第2目標電流値U2から第3目標電流値U3まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、中立位置Bから逆位置Cに切換えられる。
【0063】
ここで、本実施形態において、時刻(t1+ΔQ)と時刻(t1+ΔR)との間隔は、時刻(t1+ΔP)と時刻(t1+ΔQ)との間隔よりも短い。また、時刻(t1+ΔQ)から時刻(t1+ΔR)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t1+ΔP)から時刻(t1+ΔQ)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。なお、第3時間間隔ΔRは、第1時間間隔ΔP及び第2時間間隔ΔQより大きい。
【0064】
ステップS7において、制御装置100は、時刻(t1+ΔQ)から油圧ポンプ70のポンプ容量を増大させる。これによって、図4に示すように、ラジエータファン30は、時刻(t1+ΔQ)から逆回転に移行し始める。
【0065】
ステップS8において、制御装置100は、時刻(t1+ΔR)から所定時間(例えば5分程度)の間、供給電流値を第3目標電流値U3に維持する。これによって、切換え弁60の位置は逆位置Cに維持されるので、ラジエータファン30は逆回転する。
【0066】
(作用及び効果)
(1)本実施形態に係る制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第1時間間隔ΔPが経過した場合に、切換え弁60の位置を、正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。また、制御装置100は、油圧ポンプ70の容量が低減された時点から第2時間間隔ΔQが経過した場合に、切換え弁60の位置を、中立位置Bから逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換え開始する。
【0067】
このように、本実施形態に係る制御装置100によれば、ポンプ容量を低減させることによってラジエータファン30の回転数を速やかに低下させつつ、ラジエータファン30の回転数が十分に小さくなった後に切換え弁60を逆位置Cに切換え開始できる。そのため、ラジエータファン30を迅速に反転させるとともに、油圧回路40にピーク圧が立つことを抑制できる。
【0068】
また、予め定められた第1時間間隔ΔP及び第2時間間隔ΔQに基づいて切換え弁60の位置を切換えるタイミングを制御できるので、ラジエータファン30の回転数などを検出する必要がない。
【0069】
(2)本実施形態に係る制御装置100において、切換え弁60は、EPCバルブ62によって駆動される。
【0070】
そのため、EPCバルブ62への供給電流値を段階的に変化させることによって、切換え弁60の位置を精度良く切換えることができる。従って、油圧回路40にピーク圧が立つことを、より確実に抑制できる。
【0071】
(3)本実施形態において、時刻(t1+ΔQ)と時刻(t1+ΔR)との間隔は、時刻(t1+ΔP)と時刻(t1+ΔQ)との間隔よりも短い。また、時刻(t1+ΔQ)から時刻(t1+ΔR)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t1+ΔP)から時刻(t1+ΔQ)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。
【0072】
そのため、正位置Aから中立位置Bへゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置Bから逆位置Cへ速やかに切換えることができる。従って、ラジエータファン30をより迅速に反転させられるとともに、油圧回路40にピーク圧が立つことをより抑制することができる。
【0073】
[第2実施形態]
(建設機械1aの構成)
第2実施形態に係る建設機械1aの構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る建設機械1aの構成を示す模式図である。第2実施形態に係る建設機械1aは、制御装置100aがエンジン10の回転数を取得可能である点において、第1実施形態に係る建設機械1と相違する。以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0074】
(制御装置100aの構成)
第2実施形態に係る制御装置100aの構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る制御装置100aの構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る制御装置100aは、エンジン回転数取得部140及びファン回転数算出部150、ポンプ容量調整部120a、弁切換え部130aを有する点において、第1実施形態に係る制御装置100と相違する。
【0075】
エンジン回転数取得部140は、エンジン10の回転数を取得する。
【0076】
ファン回転数算出部150は、エンジン10の回転数と油圧ポンプ70のポンプ容量とに基づいて、ラジエータファン30の回転数を算出する。ラジエータファン30の回転数は、例えば、エンジン10の回転数と油圧ポンプ70のポンプ容量との積算値によって推定的に表される。
【0077】
ポンプ容量調整部120aは、ファン回転数算出部150によって算出されるラジエータファン30の回転数を取得する。ポンプ容量調整部120aは、ラジエータファン30の正回転が所定時間(例えば、6時間程度)継続された旨の通知に応じて、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になるように、油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。
【0078】
ここで、第1目標回転数R1は、EPCバルブ62によって切換え弁60を駆動可能であるという条件を満たすように設定される。すなわち、EPCバルブ62から出力されるパイロット圧は、油圧ポンプ70のポンプ容量の低減に応じて低下するところ、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1程度であれば、切換え弁60を駆動できる程度のパイロット圧が確保される。このような第1目標回転数R1は、ラジエータファン30の油圧回路40の回路構成などに応じて適宜設定可能である。ただし、エンジン10の回転数の変動が大きい場合には、第1目標回転数R1には、例えば、中心値(例えば600rpm程度)に変動代(±50rpm程度)が設けられていてもよい。
【0079】
弁切換え部130aは、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった場合、切換え弁60の位置を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始する。これによって、正回転方向の回転力のラジエータファン30への供給は、徐々に弱められる。
【0080】
また、弁切換え部130aは、切換え弁60の位置を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始から所定時間経過後に、切換え弁60の位置を中立位置Bから逆位置Cへ切換え開始する。これによって、ラジエータファン30に対する逆回転方向の回転力の供給が開始される。弁切換え部130の動作については、後述する。
【0081】
なお、本実施形態においても、ラジエータファン30が逆回転から正回転へ反転する場合の詳細については説明を省略する。
【0082】
(制御装置100aの動作)
第2実施形態に係る制御装置100aの動作について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る制御装置100aの動作を示すフロー図である。図9は、ラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。図10は、制御装置100a(具体的には、弁切換え部130a)がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【0083】
ステップS11において、制御装置100aは、時刻(t1)において正回転が所定時間継続されたことを検出する。
【0084】
ステップS12において、制御装置100aは、算出されるラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になるように、時刻(t1)から油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。これによって、図9に示すように、ラジエータファン30の回転数は、時刻(t1)から下降し始める。本実施形態では、図9に示すように、時刻(t2)において、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になるものとする。
【0085】
ステップS13において、制御装置100aは、時刻(t2)において、供給電流値を第1目標電流値U1に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換え開始される。
【0086】
ステップS14において、制御装置100aは、時刻(t2)から時刻(t2+ΔS)の間に、供給電流値を第1目標電流値U1から第2目標電流値U2まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換えられる。そのため、ラジエータファン30に対する正回転方向の回転力の供給は、徐々に弱められる。
【0087】
ここで、第4時間間隔ΔSは、油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。すなわち、ラジエータファン30の回転数は、時刻(t2+ΔS)以降であれば、ラジエータファン30を反転(すなわち、油圧モータ50における圧油の流れをポートP2→ポートP1に変更)させてもピーク圧が立たないことが確保される。
【0088】
ステップS15において、制御装置100aは、時刻(t2+ΔS)から時刻(t2+ΔT)の間に、供給電流値を第2目標電流値U2から第3目標電流値U3まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、中立位置Bから逆位置Cに切換えられる。
【0089】
ここで、本実施形態において、時刻(t2+ΔS)と時刻(t2+ΔT)との間隔は、時刻(t2)と時刻(t2+ΔS)との間隔よりも短い。また、時刻(t2+ΔS)から時刻(t2+ΔT)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t2)から時刻(t2+ΔS)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。なお、第5時間間隔ΔTは、第4時間間隔ΔSより大きい。
【0090】
ステップS16において、制御装置100aは、時刻(t2+ΔS)から油圧ポンプ70のポンプ容量を増加させる。これによって、図9に示すように、ラジエータファン30は、時刻(t2+ΔS)から逆回転に移行し始める。
【0091】
ステップS17において、制御装置100aは、時刻(t2+ΔT)から所定時間(例えば5分程度)の間、供給電流値を第3目標電流値U3に維持する。これによって、切換え弁60の位置は逆位置Cに維持されるので、ラジエータファン30は逆回転する。
【0092】
(作用及び効果)
第2実施形態に係る制御装置100aは、油圧ポンプ70の容量が低減されたことによってラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった場合に、切換え弁60を正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。
【0093】
このように、リアルタイムなラジエータファン30の回転数に基づいて切換え弁60を中立位置Bへ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファン30の回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁60を駆動できなくなることを抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファン30をより迅速に反転させることができる。
【0094】
なお、本実施形態において、第1目標回転数R1は、パイロット方式で切換え弁60を駆動するのに必要な油圧に応じて決定されている。
【0095】
[第3実施形態]
(建設機械1bの構成)
第3実施形態に係る建設機械1bの構成について、図面を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る建設機械1bの構成を示す模式図である。第3実施形態に係る建設機械1bは、回転数センサ80を有する点において、第1実施形態に係る建設機械1と相違する。以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0096】
回転数センサ80は、ラジエータファン30の回転数を検出する。回転数センサ80は、制御装置100bに接続されており、検出した回転数を制御装置100bにリアルタイムに送信する。
【0097】
制御装置100bは、ラジエータファン30の回転制御を行う。制御装置100bは、EPCバルブ62と、斜板駆動弁74と、回転数センサ80と、に接続されている。
【0098】
(制御装置100bの構成)
第3実施形態に係る制御装置100bの構成について、図面を参照しながら説明する。図12は、第3実施形態に係る制御装置100bの構成を示すブロック図である。第3実施形態に係る制御装置100bは、弁切換え部130b、ファン回転数取得部160及び判定部170を有する点において、第1実施形態に係る制御装置100と相違する。以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0099】
ファン回転数取得部160は、回転数センサ80からラジエータファン30の回転数を取得する。
【0100】
判定部170は、ポンプ容量調整部120によって油圧ポンプ70の容量が低減された場合、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数(例えば、600rpm)以下か否かを判定する。判定部170は、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数以下になったと判定した場合、その旨を弁切換え部130bに通知する。
【0101】
ここで、第1目標回転数R1は、EPCバルブ62によって切換え弁60を駆動可能であるという条件を満たすように設定される。すなわち、EPCバルブ62から出力されるパイロット圧は、油圧ポンプ70のポンプ容量の低減に応じて低下するところ、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1程度であれば、切換え弁60を駆動できる程度のパイロット圧が確保される。このような第1目標回転数R1は、油圧回路40の回路構成などに応じて適宜設定可能である。
【0102】
また、判定部170は、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になったと判定された後に、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2(例えば、100rpm)以下か否かを判定する。判定部170は、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になったと判定した場合、その旨を弁切換え部130bに通知する。
【0103】
ここで、第2目標回転数R2は、ラジエータファン30を反転させても油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。すなわち、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下であれば、ラジエータファン30を反転(すなわち、油圧モータ50における圧油の流れをポートP2→ポートP1に変更)させてもピーク圧が立たないことが確保される。このような第2目標回転数R2は、油圧回路40の回路構成などに応じて適宜設定可能である。
【0104】
弁切換え部130bは、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった旨を判定部170から通知された場合、切換え弁60の位置を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始する。これによって、ラジエータファン30に対する正回転方向の回転力の供給は、徐々に弱められる。
【0105】
また、弁切換え部130bは、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になった旨を判定部170から通知された場合、切換え弁60の位置を中立位置Bから逆位置Cへ切換え開始する。これによって、ラジエータファン30に対する逆回転方向の回転力の供給が開始される。
【0106】
なお、本実施形態においても、ラジエータファン30が逆回転から正回転へ反転する場合の詳細については説明を省略する。
【0107】
(制御装置100bの動作)
第3実施形態に係る制御装置100bの動作について、図面を参照しながら説明する。図13は、第3実施形態に係る制御装置100bの動作を示すフロー図である。図14は、ラジエータファン30の回転数の時間推移を示すグラフである。図15は、制御装置100b(具体的には、弁切換え部130b)がEPCバルブ62に供給する供給電流値の時間推移を示すグラフである。
【0108】
ステップS21において、制御装置100bは、時刻(t1)において正回転が所定時間継続されたことを検出する。
【0109】
ステップS22において、制御装置100bは、時刻(t1)から油圧ポンプ70のポンプ容量を低減させる。これによって、図14に示すように、ラジエータファン30の回転数は下降し始める。
【0110】
ステップS23において、制御装置100bは、ラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1(例えば、600rpm)以下か否かを判定する。第1目標回転数R1以下であると判定された場合、処理はステップS24に進む。第1目標回転数R1以下であると判定されない場合、処理はステップS23を繰り返す。本実施形態では、図14に示すように、時刻t2において、第1目標回転数R1以下であると判定される。
【0111】
ステップS24において、制御装置100bは、時刻(t2)から時刻(t3)の間に、供給電流値を第1目標電流値U1から第2目標電流値U2まで徐々に上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、正位置Aから中立位置Bに切換えられる。そのため、ラジエータファン30に対する正回転方向の回転力の供給は、徐々に弱められる。
【0112】
ステップS25において、制御装置100bは、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2(例えば、100rpm)以下か否かを判定する。第2目標回転数R2以下であると判定された場合、処理はステップS26に進む。第2目標回転数R2以下であると判定されない場合、処理はステップS25を繰り返す。本実施形態では、図14に示すように、時刻(t3´)において、第2目標回転数R2以下であると判定される。従って、制御装置100bは、時刻(t3)から時刻(t3´)の間、供給電流値を第2目標電流値U2に維持する。
【0113】
ステップS26において、制御装置100bは、時刻(t3´)から時刻(t4)の間に、供給電流値を第2目標電流値U2から第3目標電流値U3まで速やかに上昇させる。これによって、切換え弁60の位置は、中立位置Bから逆位置Cに切換えられる。
【0114】
ここで、本実施形態において、時刻(t3´)から時刻(t4)までの時間(すなわち、中立位置Bから逆位置Cへの切換わりに必要な時間)は、時刻(t2)から時刻(t3)までの時間(すなわち、正位置Aから中立位置Bへの切換わりに必要な時間)よりも短い。また、時刻(t3´)から時刻(t4)における供給電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻(t2)から時刻(t3)における供給流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。このように、中立位置Bから逆位置Cへは速やかに切換えられるのに対して、正位置Aから中立位置Bへはゆっくりと切換えられている。
【0115】
ステップS27において、制御装置100bは、時刻(t3´)から油圧ポンプ70のポンプ容量を増加させる。これによって、図14に示すように、ラジエータファン30は、時刻(t3´)から逆回転に移行し始める。
【0116】
ステップS28において、制御装置100bは、時刻(t4)から所定時間(例えば5分程度)の間、供給電流値を第3目標電流値U3に維持する。これによって、切換え弁60の位置は逆位置Cに維持されるので、ラジエータファン30は逆回転する。
【0117】
(作用及び効果)
(1)本実施形態に係る制御装置100bは、油圧ポンプ70の容量が低減されたことによってラジエータファン30の回転数が第1目標回転数R1以下になった場合に、切換え弁60を正位置A(「第1位置」の一例)から中立位置Bへ切換え開始する。また、制御装置100bは、切換え弁60を正位置Aから中立位置Bへ切換え開始したことによってラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になった場合に、切換え弁60を中立位置Bから逆位置C(「第2位置」の一例)へ切換え開始する。
【0118】
このように、リアルタイムに検出されるラジエータファン30の回転数に基づいて切換え弁60の位置を中立位置Bへ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファン30の回転数が低下し過ぎることを抑制できるので、油圧の低下し過ぎにより切換え弁60を駆動できなくなることを抑制できる。また、リアルタイムなラジエータファン30の回転数に基づいて切換え弁60を逆位置Cへ切換え開始するタイミングを検知できる。そのため、ラジエータファン30の回転数が低下していない状態で切換え弁60が逆位置Cへ切換え開始されることを抑制できるので、油圧回路40にピーク圧が立つことを精度良く抑制できる。また、予め定められた時間の経過を待つ場合に比べて、ラジエータファン30をより迅速に反転させることができる。
【0119】
なお、本実施形態において、第2目標回転数R2は、ラジエータファン30を反転させても油圧回路40(特に、油圧モータ50、油路L1、油路L2)にピーク圧が立たないという条件を満たすように設定される。
【0120】
(2)本実施形態において、時刻(t3´)から時刻(t4)までの時間(すなわち、中立位置Bから逆位置Cへの切換わりに必要な時間)は、時刻(t2)から時刻(t3)までの時間(すなわち、正位置Aから中立位置Bへの切換わりに必要な時間)よりも短い。また、時刻t3´からt4の間における電流値の単位時間当たり平均変化量は、時刻t2からt3の間における電流値の単位時間当たり平均変化量よりも大きい。
【0121】
そのため、正位置Aから中立位置Bへゆっくりと切換えることができるとともに、中立位置Bから逆位置Cへ速やかに切換えることができる。従って、ラジエータファン30をより迅速に反転させられるとともに、油圧回路40にピーク圧が立つことをより抑制することができる。
【0122】
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0123】
(A)上記実施形態では、EPCバルブ62への供給電流値は、線形的に変化することとしたが、これに限られるものではない。EPCバルブ62への供給電流値は、非線形的に変化してもよい。
【0124】
(B)上記実施形態では、ラジエータファン30の反転は、計時部110によって検出されるタイミングにおいて自動的に行われることとしたが、これに限られるものではない。ラジエータファン30の反転は、オペレータによる手動操作に応じて行われてもよい。
【0125】
(C)上記第3実施形態では、制御装置100bは、時刻(t3)から時刻(t3´)の間、すなわち、ラジエータファン30の回転数が第2目標回転数R2以下になるまでの間、供給電流値を第2目標電流値U2に維持することとしたが、これに限られるものではない。ラジエータファン30の回転数が、時刻(t3)において第2目標回転数R2になった場合には、制御装置100bは、供給電流値を第2目標電流値U2に維持する必要はない。また、ラジエータファン30の回転数が、時刻(t3)より前に第2目標回転数R2になった場合には、制御装置100bは、第2目標電流値U2に達するまでの間、供給電流値の平均変化量(上昇率)を大きくすることが好ましい。これによって、より迅速に中立位置Bに切換えることができる。
【0126】
(D)上記実施形態では特に触れていないが、制御装置100は、圧油の温度に応じて、第1時間間隔ΔP、第2時間間隔ΔQ、及び第3時間間隔ΔRを適宜調整してもよい。同様に、制御装置100aは、圧油の温度に応じて、第1目標回転数R1、第4時間間隔ΔS及び第5時間間隔ΔTを適宜調整してもよい。また、制御装置100bは、圧油の温度に応じて、第1目標回転数R1及び第2目標回転数R2を適宜調整してもよい。
【0127】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0128】
1,1a,1b…建設機械
10…エンジン
20…ラジエータ
30…ラジエータファン
40…油圧回路
50…油圧モータ
60…切換え弁
62…EPCバルブ
70…油圧ポンプ
72…タンク
74…斜板駆動弁
80…回転数センサ
100,100a,100b…制御装置
110…計時部
120,120a…ポンプ容量調整部
130,130a,130b…弁切換え部
140…エンジン回転数取得部
150…ファン回転数算出部
160…ファン回転数取得部
170…判定部
L1〜L4…油路
R1…第1目標回転数
R2…第2目標回転数
U1…第1目標電流値
U2…第2目標電流値
U3…第3目標電流値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を備え、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第2時間間隔が経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
ラジエータファンの制御装置。
【請求項2】
ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を備え、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から前記所定時間経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
ラジエータファンの制御装置。
【請求項3】
建設機械に設けられるラジエータに送風するラジエータファンの回転数を取得するファン回転数取得部と、
前記ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を備え、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記切換え弁を前記第1位置から前記中立位置に切換え開始したことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数よりも小さい第2目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記弁切換え部によって前記切換え弁の位置が前記第2位置へ切換え開始された場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
ラジエータファンの制御装置。
【請求項4】
前記切換え弁は、電磁比例制御弁であり、
前記弁切換え部は、前記切換え弁に出力される電流値を段階的に変化させることによって、前記切換え弁の位置を切換える、
請求項1乃至3のいずれかに記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項5】
前記第1目標回転数は、前記切換え弁を駆動するのに必要な油圧に応じて決定される、
請求項2又は3に記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項6】
前記弁切換え部は、前記切換え弁が前記中立位置から前記第2位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量を、前記切換え弁が前記第1位置から前記中立位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量よりも大きくする、
請求項4に記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項7】
前記弁切換え部は、前記切換え弁が前記中立位置から前記第2位置に切換わるのに必要な時間を、前記切換え弁が前記第1位置から前記中立位置に切換わるのに必要な時間よりも短くする、
請求項1乃至3のいずれかに記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項8】
前記油圧ポンプを駆動させるエンジンの回転数と前記油圧ポンプの容量とに基づいて、前記ラジエータファンの回転数を算出するファン回転数算出部を備える、
請求項2に記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項9】
ラジエータと、
前記ラジエータに送風するラジエータファンと、
前記ラジエータファンを駆動する油圧モータと、
前記油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、
前記ラジエータファンを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を有し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第2時間間隔が経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
建設機械。
【請求項10】
ラジエータと、
前記ラジエータに送風するラジエータファンと、
前記ラジエータファンを駆動する油圧モータと、
前記油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、
前記ラジエータファンを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を有し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から前記所定時間経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
建設機械。
【請求項11】
前記ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第2時間間隔が経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、
を備えるラジエータファンの制御方法。
【請求項12】
前記ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から前記所定時間経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、
を備えるラジエータファンの制御方法。
【請求項1】
ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を備え、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第2時間間隔が経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
ラジエータファンの制御装置。
【請求項2】
ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を備え、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から前記所定時間経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
ラジエータファンの制御装置。
【請求項3】
建設機械に設けられるラジエータに送風するラジエータファンの回転数を取得するファン回転数取得部と、
前記ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を備え、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記切換え弁を前記第1位置から前記中立位置に切換え開始したことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数よりも小さい第2目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記弁切換え部によって前記切換え弁の位置が前記第2位置へ切換え開始された場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
ラジエータファンの制御装置。
【請求項4】
前記切換え弁は、電磁比例制御弁であり、
前記弁切換え部は、前記切換え弁に出力される電流値を段階的に変化させることによって、前記切換え弁の位置を切換える、
請求項1乃至3のいずれかに記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項5】
前記第1目標回転数は、前記切換え弁を駆動するのに必要な油圧に応じて決定される、
請求項2又は3に記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項6】
前記弁切換え部は、前記切換え弁が前記中立位置から前記第2位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量を、前記切換え弁が前記第1位置から前記中立位置に切換わるまでの間における電流値の単位時間当たりの平均変化量よりも大きくする、
請求項4に記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項7】
前記弁切換え部は、前記切換え弁が前記中立位置から前記第2位置に切換わるのに必要な時間を、前記切換え弁が前記第1位置から前記中立位置に切換わるのに必要な時間よりも短くする、
請求項1乃至3のいずれかに記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項8】
前記油圧ポンプを駆動させるエンジンの回転数と前記油圧ポンプの容量とに基づいて、前記ラジエータファンの回転数を算出するファン回転数算出部を備える、
請求項2に記載のラジエータファンの制御装置。
【請求項9】
ラジエータと、
前記ラジエータに送風するラジエータファンと、
前記ラジエータファンを駆動する油圧モータと、
前記油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、
前記ラジエータファンを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を有し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第2時間間隔が経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
建設機械。
【請求項10】
ラジエータと、
前記ラジエータに送風するラジエータファンと、
前記ラジエータファンを駆動する油圧モータと、
前記油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプと、
前記ラジエータファンを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記油圧ポンプの容量を調整するポンプ容量調整部と、
前記切換え弁の位置を切換える弁切換え部と、
を有し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始し、
前記弁切換え部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始し、
前記ポンプ容量調整部は、前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記ポンプ容量調整部が前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から前記所定時間経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる、
建設機械。
【請求項11】
前記ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から第1時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第1時間間隔より長い第2時間間隔が経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させた時点から前記第2時間間隔が経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、
を備えるラジエータファンの制御方法。
【請求項12】
前記ラジエータファンの回転を逆転するために、ラジエータファンを駆動する油圧モータに切換え弁を介して圧油を供給する油圧ポンプの容量を低減させる第1ポンプ容量調整工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって、前記ラジエータファンの回転数が第1目標回転数以下になった場合に、前記切換え弁の位置を、所定方向の回転力を前記油圧モータに与える第1位置から回転力を前記油圧モータに与えない中立位置へ切換え開始する第1弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から所定時間経過した場合に、前記切換え弁の位置を、前記中立位置から前記所定方向と反対方向の回転力を前記油圧モータに与える第2位置へ切換え開始する第2弁切換え工程と、
前記ラジエータファンの回転を逆転するために前記油圧ポンプの容量を低減させたことによって前記ラジエータファンの回転数が前記第1目標回転数以下になった時点から前記所定時間経過した場合に、前記油圧ポンプの容量を増大させる第2ポンプ容量調整工程と、
を備えるラジエータファンの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−144873(P2012−144873A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2538(P2011−2538)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]