説明

ラジエータ支持構造

【課題】 フォークリフト等の荷役車両に適用され、とりわけ上下方向に突出する上下の突起を備えたラジエータを車体フレームに取付ける為のラジエータ支持構造に於て、嵩張らずに軽量化を図ると共に、車体フレームに対してラジエータを強固に支持できる様にする。
【解決手段】 ラジエータ2、突起3、支持板4、取付ブラケット5、受部6、防振部材7、締結具8とで構成し、とりわけラジエータ2の中位側方と下方に位置する車体フレーム51に設けられた上下の支持板4と、ラジエータ2の上半外側に位置する取付ブラケット5と、取付ブラケット5と下部支持板4Bに設けられて上下の突起3が嵌合される上下の受部6と、取付ブラケット5と下部支持板4Bとの間でラジエータ2が上下方向に挾持されるべく取付ブラケッ5と上部支持板4Aとを締結する締結具8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフォークリフト等の荷役車両に適用され、とりわけ上下方向に突出する上下の突起を備えたラジエータを車体フレームに取付ける為のラジエータ支持構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のラジエータ支持構造としては、例えば特許文献1,2に記載されたものが知られている。
これは、基本的には、ラジエータと、ラジエータの上下部に上下方向に突出して設けられた上下の突起と、ラジエータの四周外側に位置する四枠状の支持フレームと、支持フレームの上下部に設けられて上下の突起が嵌合される上下の受部と、各突起と受部との間に介設された上下の防振部材と、支持フレームの中位側部又は下部に設けられて車体フレーム(又はエンジン)に取付ける為の取付ブラケットと、から構成されている。
【0003】
【特許文献1】実開平4−14518号公報
【特許文献2】特開2008−8220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この様なものは、支持フレームが四枠状であったので、嵩張って重量が大きいと共に、支持フレームと車体フレームとの取付箇所が中位又は下位の何れかであったので、車体フレームに対してラジエータが前後方向に搖動し易い難点があった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、嵩張らずに軽量化を図ると共に、車体フレームに対してラジエータを強固に支持できる様にしたラジエータ支持構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のラジエータ支持構造は、基本的には、ラジエータと、ラジエータの上下部に上下方向に突出して設けられた上下の突起と、ラジエータの中位側方と下方に位置する車体フレームに設けられた上下の支持板と、ラジエータの上半外側に位置する取付ブラケットと、取付ブラケットと下部支持板に設けられて上下の突起が嵌合される上下の受部と、各突起と受部との間に介設された上下の防振部材と、取付ブラケットと下部支持板との間でラジエータが上下方向に挾持されるべく取付ブラケットと上部支持板とを締結する締結具と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
下部支持板の上にラジエータを載置すべくラジエータが下方へ移動されて下部突起と下部受部とが下部防振部材を介して嵌合される。次いで、ラジエータの上に取付ブラケットを被せるべく取付ブラケットが下方に移動されて上部突起と上部受部とが上部防振部材を介して嵌合される。その後、取付ブラケットと下部支持板とに依りラジエータを上下から挾持すべく取付ブラケットと上部支持板とが締結具に依り締結される。
上下の突起を上下の受部に嵌合させると共に、取付ブラケットと上部支持板とを締結具で締結するだけであるので、取付作業に手間と時間が掛からず、容易に行なう事ができる。
ラジエータは、車体フレームに対して上下二箇所(取付ブラケットと上部支持板との取付箇所と、ラジエータと下部支持板との取付箇所)で支持されているので、前後方向に搖動する惧れがなく、車体フレームに強固に支持される。
各突起と受部との間には、防振部材が介在されているので、車体フレームからラジエータへの振動が吸収される。
【0008】
取付ブラケットは、左右に分割されているのが好ましい。この様にすれば、取付ブラケットを左右対称又は同一の形状にできるので、取付ブラケットの作製が容易で且つコンパクトにできるばかりでなく、ラジエータキャップを回避するものにできる。
【0009】
取付ブラケットは、別置用クーラを取付ける為のクーラブラケットを備えているのが好ましい。この様にすれば、取付ブラケットを利用して別置用クーラを取付ける事ができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1)ラジエータ、突起、支持板、取付ブラケット、受部、防振部材、締結具とで構成し、とりわけラジエータの中位側方と下方に位置する車体フレームに設けられた上下の支持板と、ラジエータの上半外側に位置する取付ブラケットと、取付ブラケットと下部支持板に設けられて上下の突起が嵌合される上下の受部と、取付ブラケットと下部支持板との間でラジエータが上下方向に挾持されるべく取付ブラケットと上部支持板とを締結する締結具とを備えているので、コンパクトで軽量化を図る事ができると共に、車体フレームに対してラジエータを強固に支持できる。
(2)締結具に依り取付ブラケットと上部支持板とを締結するだけで、ラジエータを車体フレームに取付ける事ができるので、従来の様に、ラジエータと支持フレームの取付けと、支持フレームと車体フレームの取付けとを個別する場合に比べて、取付作業が大幅に簡略化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のラジエータ支持構造を示す正面図。図2は、図1の分解斜視図。図3は、別置用クーラを取付けた状態を示す図1と同様図。図4は、図3の斜視図である。
【0012】
ラジエータ支持構造1は、ラジエータ2、突起3、支持板4、取付ブラケット5、受部6、防振部材7、締結具8とからその主要部が構成されて居り、フォークリフト等の荷役車両50に適用される。
【0013】
荷役車両50は、車体フレーム51を備えている。車体フレーム51は、左右の側板52と、これらの中位から斜め下方に延びる左右の傾斜板53と、これらを連結する水平な底板54とを備えている。
【0014】
ラジエータ2は、ラジエータ支持構造1の基本部分を為すもので、この例では、タンクが上下にあるダウンフロー型にしてあり、合成樹脂等に依り作製された上下のタンク9と、これらを接続するアルミ合金等に依り作製されたコア10とを備えている。
上部タンク9Aは、冷却水入口11とラジエータキャップ12等を備えていると共に、下部タンク9Bは、冷却水出口13等を備えている。コア10は、図略しているが、多数のチューブと放熱フィンとを備えている。
【0015】
突起3は、ラジエータ2の上下部に上下方向に突出して設けられた上下のもので、この例では、夫々左右一対づつラジエータのタンク9に一体的に設けられている。上部突起3Aは、ラジエータ2の上部タンク9Aに設けられてこれの上面から上方へ突出されている。下部突起3Bは、ラジエータ2の下部タンク9Bに設けられてこれの下面から下方へ突出されている。
【0016】
支持板4は、ラジエータ2の中位側方と下方に位置する車体フレーム51に設けられた上下のもので、この例では、平板状を呈している。上部支持板4Aは、車体フレーム51の各側板52の上位内側に片持ち状態で水平に設けられている。下部支持板4Bは、車体フレーム51の各傾斜板53の中位内側に片持ち状態で水平に設けられている。
【0017】
取付ブラケット5は、ラジエータ2の上半外側に位置するもので、この例では、左右に二分割されていると共に、夫々略鉤型(略Z型)を呈して居り、上部水平片14とこれの一端から下方に延びる垂直片15と、これの下端から上部水平片14とは反対側に延びる下部水平片16とを備えている。
而して、取付ブラケット5の垂直片15には、別置用クーラ17を取付ける為のクーラブラケット18が設けられている。
【0018】
受部6は、取付ブラケット5と下部支持板4Aに設けられて上下の突起3が嵌合される上下のもので、この例では、上下方向に貫通するものにしてある。上部受部6Aは、取付ブラケット5の上部水平片14の遊端に形成された切欠にされている。下部受部6Bは、下部支持板4Bに穿設された貫孔にされている。
【0019】
防振部材7は、各突起3と受部6との間に介設された上下のもので、この例では、ゴム等の弾性材料で作製されている。上部防振部材7Aは、略円筒状を呈し、中心には上部突起3Aが嵌合される中央孔が形成されていると共に、外周中程には上部受部6Aが嵌合される周溝が形成されている。下部防振部材7Bは、段付円筒状を呈し、中心には下部突起3Bが嵌合される中央孔が形成されていると共に、下半には下部受部6Bに嵌合される小径部が形成されている。
【0020】
締結具8は、取付ブラケット5と下部支持板4Bとの間でラジエータ2が上下方向に挾持されるべく取付ブラケット5と上部支持板4Aとを締結するもので、この例では、上部支持板4Aに設けられた螺孔19と、これに連続して取付ブラケット5に形成されたボルト通孔20と、ボルト通孔20に挿通されて螺孔19に螺合されるボルト21とを備えている。
【0021】
クーラブラケット18には、中継板22と防振部材23とボルト・ナット24とボルト25を介して別置用クーラ17が取付けられている。
【0022】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
エンジンからの高温の冷却水は、ラジエータ2の冷却水入口11から上部タンク9Aに流入され、コア10を通過する際に放熱フィンに依り放熱されて温度が下げられ、下部タンク9Bから冷却水出口13を介して流出される。
【0023】
ラジエータ2を車体フレーム51に搭載する際には、次の要領で行なわれる。
取付ブラケット5の上部受部(切欠)6Aには、上部防振部材7Aの周溝が嵌合されて取付けられると共に、下部支持板4Bの下部受部(貫孔)6Bには、下部防振部材7Bの小径部が嵌合されて取付けられる。
下部支持板4Bの上にラジエータ2を載置すべくラジエータ2が下方へ移動されて下部突起3Bが下部防振部材7Bの中央孔に嵌合され、所謂下部突起3Aが下部防振部材7Bを介して下部受部6Bに嵌合される。次いで、ラジエータ2の上に取付ブラケット5を被せるべく取付ブラケット5が下方に移動されて上部突起3Aが上部防振部材7Aの中央孔に嵌合され、所謂上部突起3Aが上部防振部材7Aを介して上部受部6Aに嵌合される。その後、取付ブラケット5と下部支持板4Bに依りラジエータ2を上下から挾持すべく取付ブラケット5の下部水平片16と上部支持板4Aとが締結具8に依り締結される。つまり、締結具8のボルト21がボルト通孔20に挿通されて螺孔19に螺合される事に依り取付ブラケット5と上部支持板4Aとが締結される。
【0024】
上下の突起3を上下の受部6に嵌合させると共に、取付ブラケット5と上部支持板4Aとを締結具8で締結するだけであるので、取付作業に手間と時間が掛からず、容易に行なう事ができる。
ラジエータ2は、車体フレーム51に対して上下二箇所(取付ブラケット5と上部支持板4Aとの取付箇所と、ラジエータ2と下部支持板4Bとの取付箇所)で支持されているので、前後方向に搖動する惧れがなく、車体フレーム51に強固に支持される。
【0025】
各突起3と受部6との間には、防振部材7が介在されているので、車体フレーム51からラジエータ2への振動が吸収される。
取付ブラケット5は、左右に分割されているので、これを左右対称又は同一の形状にできる。その結果、取付ブラケット5の作製が容易で且つコンパクトにできるばかりでなく、ラジエータキャップ12を回避できる。
取付ブラケット5は、別置用クーラ17を取付ける為のクーラブラケット18を備えているので、取付ブラケット5を利用して別置用クーラ17を取付ける事ができる。
【0026】
尚、取付ブラケット5は、先の例では、左右に二分割したが、これに限らず、例えば分割しない一体的なものでも良い。この場合、ラジエータキャップ12を回避する貫孔を設けて置くのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のラジエータ支持構造を示す正面図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】別置用クーラを取付けた状態を示す図1と同様図。
【図4】図3の斜視図。
【符号の説明】
【0028】
1…ラジエータ支持構造、2…ラジエータ、3…突起(3A…上部突起、3B…下部突起)、4…支持板(4A…上部支持板、4B…下部支持板)、5…取付ブラケット、6…受部(6A…上部受部、6B…下部受部)、7…防振部材(7A…上部防振部材、7B…下部防振部材)、8…締結具、9…タンク(9A…上部タンク、9B…下部タンク)、10…コア、11…冷却水入口、12…ラジエータキャップ、13…冷却水出口、14…上部水平片、15…垂直片、16…下部水平片、17…別置用クーラ、18…クーラブラケット、19…螺孔、20…ボルト通孔、21…ボルト、22…中継板、23…防振部材、24…ボルト・ナット、25…ボルト、50…荷役車両、51…車体フレーム、52…側板、53…傾斜板、54…底板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータと、ラジエータの上下部に上下方向に突出して設けられた上下の突起と、ラジエータの中位側方と下方に位置する車体フレームに設けられた上下の支持板と、ラジエータの上半外側に位置する取付ブラケットと、取付ブラケットと下部支持板に設けられて上下の突起が嵌合される上下の受部と、各突起と受部との間に介設された上下の防振部材と、取付ブラケットと下部支持板との間でラジエータが上下方向に挾持されるべく取付ブラケットと上部支持板とを締結する締結具と、から構成した事を特徴とするラジエータ支持構造。
【請求項2】
取付ブラケットは、左右に分割されている請求項1に記載のラジエータ支持構造。
【請求項3】
取付ブラケットは、別置用クーラを取付ける為のクーラブラケットを備えている請求項1に記載のラジエータ支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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