ラジコンシステム
【課題】ラジコン自動車の操縦をやさしくまた楽しくするために、前進走行の操縦と後進走行の操縦を同じ感覚で操縦できるようにすることで、狭い場所での機首方向変更をやさしくする。
【解決手段】操縦器または自動車は、操縦器からの走り信号が後進であることを検出したとき、操縦器からの操舵信号の左操舵と右操舵を反転して自動車に送るので、前進でも後進でも同じ感覚で操縦できるようになり、狭い場所での方向転換も操舵は一定のままで、走行レバーを前進と後進を繰り返させるだけで方向転換するようになる。
【解決手段】操縦器または自動車は、操縦器からの走り信号が後進であることを検出したとき、操縦器からの操舵信号の左操舵と右操舵を反転して自動車に送るので、前進でも後進でも同じ感覚で操縦できるようになり、狭い場所での方向転換も操舵は一定のままで、走行レバーを前進と後進を繰り返させるだけで方向転換するようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジコン自動車やラジコン船などの走行体を操舵つまみと走行レバーなどを使って操縦を行う遠隔操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の操舵入力手段と、前進・停止・後進などの走行入力手段のついた操縦器で無線操縦するシステムは、ラジコン自動車などとして普及しているが、操縦が難しい欠点があった。操縦が難しい理由の一つが、前進と後進では操舵の方法が逆になってしまうことである。
【0003】
図1は従来のラジコンの操縦器1と模型自動車2の操縦信号の流れを示すブロック図であり、操舵系と走行系が独立していることを示している。図2は、従来のラジコンの動作図であり、操縦器1には、操舵レバー3と走行レバー4がついている。 操舵レバー3は、内部のばねにより通常中間の0点にあり、左に動かすと図1のようにLを指し、右に動かすとRを指す。また、走行レバー4は、内部のばねにより通常中間の0点にあり、前に動かすと図1のようにFw(前進)を指し、後に動かすとBk(後進)を指す。 操縦器1は、これら二つのレバーの動きに応じて無線信号が発する。そして、模型自動車2は、この無線信号を受信する。
【0004】
そして、操縦器1の操舵レバー3がLにあると左舵となり、図2(A)のように前輪5は左向きに操舵され、逆に操舵レバー3がRにあると右舵となって、前輪5は右向きに操舵される。そして、操舵レバー3が0にあると前輪5は真直ぐの向きになる。また、操縦器1の走行レバー4がFwにあると、後輪6は車体が前進するように回転し、逆に走行レバー4がBkにあると、後輪6は車体が後進するように回転する。そして、走行レバー4が0にあると後輪6は停止する。 図2(A)の操舵レバー3がLの状態で、走行レバー4をFwに合わせると前進信号が発せられ、模型自動車2は左カーブしながら前進し2aの位置まで進む。
【0005】
ところで、同じものを、後進させる場合を図2(B)に示す。 模型自動車2は、図2(B)のように後向きに置く。操舵レバー3をLに合わせると、前輪5は、図のように自動車から見て左方向に向いている。ここで走行レバー4をBkに倒して後進させると、(A)の場合と違って、自動車は右方向に進み2bの位置に達する。 このように、従来のラジコンシステムでは、前進させるときと、後進させるときでは、操舵レバー3の操作と模型自動車の進む方向の関係が全く逆になることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−239259
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、前進でも、後進でも、操縦器の操舵感覚を同じにすること。さらに機首の向き変更をやさしくすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、操縦器の走行入力が前進のときは従来と同じであるが、後進の時には、模型自動車の舵角駆動が従来とは逆方向に動くようにした。 これを実現する方法として、(1)操縦器側を変更する方法と(2)自動車側を変更する方法の2通りの方法がある。(1)の操縦器側の動作を変更して実現させた例を図3に示す。スライドスイッチ15の操舵レバー3をLに倒すと、舵操縦部9の出力18には+Vが、またRに倒すとーVが出力され、また中立点では、電圧0が出力される。 また、スライドスイッチ16の走行レバー4をFwに倒すと走操縦部10の出力17には+Vが、またBkに倒すとーVが出力され、また中立点では、電圧0が出力される。
【0009】
舵操縦部9からの出力18は、信号反転回路11に入る。また、走操縦部10の出力17は変調器13、アンテナ25を通って自動車2に送信されると同時に、信号反転回路11のCNT端子に入って信号反転器11の動作を制御する。 信号反転回路11は、走操縦部10の出力17の電圧が0以上のときは入力信号はそのまま出力となり、電圧が負のときは、入力信号が反転したものが出力となる。
【0010】
両信号は、変調器13を通って無線信号になり、アンテナ25から放射され、模型自動車で受信され操舵装置7、走行装置8を動かすことになる。 このように構成されたラジコンシステムで図2と同様の前進操縦と後進操縦を行わせると図4のようになる。 すなわち図3において走行レバー4がBkにあると、走行操縦部10の出力はーVとなりそれは信号反転回路11のCNT端子をマイナス電圧にする。すると、操舵操縦部9の出力は信号反転回路11で反転されて無線信号として送り出される。 模型自動車2では、これを受信して解析し、操舵信号としては、操舵レバーとは逆のR信号を受け取る。そして、後進走行の場合でも操舵がLであれば、図4(B)のように、左方向にカーブしていくことになる。 すなわち、前進でも後進でも操舵と走行体がカーブする方向の関係は同じになるので、わかりやすく、操縦しやすくなる。
【0011】
図3では操縦器側を変更したが、図5のように、模型自動車側を変更しても、同じことができる。 図5の操縦器1は従来と同じものである。自動車側では、受信器14の走行出力16がバック走行の時に、操舵信号出力15を反転して操舵を行わせている。信号反転回路11はCNT入力である走行信号16がマイナス電圧(バック走行)のときには、操舵装置7への信号を反転させる。
【0012】
このように、操縦器または模型自動車のいずれか一方を変更することによって、本発明のシステムに変えることができる。 この例では、操舵も走行もオンオフの制御の例であるが、段階的な制御や、可変抵抗を使った連続的な制御でも同様のことが可能である。図6は操舵操縦部9、走行操縦部10内の操縦スイッチを抵抗幕17の摺どう抵抗に変えることにより、アナログ的連続制御を可能にする例である。ただしスイッチ回路12のCNT入力は電圧の大小は関係なく、マイナスであるかどうかでスイッチされ、また、回路はアナログを扱えるものとする。同様にして、自動車にアナログの信号反転回路を設けることも可能である。
【発明の効果】
【0013】
図7は、狭い場所での機首の方向転換を行う従来例である。自動車で例えば左まわりに方向を転換する場合、まず、左にハンドルを切り、少し前進し、停止し、次に、右にハンドルを切り、少し後進し、停止し、さらに、左にハンドルを切り、前進する。この動作を繰り返して機首方向転換をする。これを、操縦器1で操縦操作をすると、図7(A)のように操舵レバー3をLに合わせ、走行レバー4をFwに合わせて、少し前進させる。 走行レバーを離して、停止させる。図7(B)のように、操舵レバー3をRに合わせ、走行レバー4をBkに合わせて、少し後進させる。走行レバーを離して、停止させる。再び、図7(C)のように操舵レバー3をLに合わせ、走行レバーをFwに合わせて少し前進させる。走行レバーを離して、停止させる。
【0014】
このように操舵レバー3と走行レバー4を互い違いに動かさないとならないので大変な作業となり、特に初心者には難しい。図8は、本発明の方向転換の例である。図8(A)のように、まず左まわりでの方向転換ということで、操舵レバー3をLに合わせる。前車輪は左向きに変わる。そして、走行レバー3をFwに合わせて、少し前進させる。走行レバーを離して、停止させる。(B)走行レバーをBkに合わせる。すると、自動的に自動車2aの前車輪は右に向きを変える。そして少し後進させる。走行レバーを離して、停止させる。すると、自動車2bの前車輪は自動的に向きを変えて、元の左向きに戻る。(C)走行レバー4をFwに合わせると、前車輪は自動的に向きを変えて前進し自動車は2bから2cの位置に変わる。このように、本発明では、操舵レバーは一定のままで、走行レバーだけを前進と後進に切り替えるだけで、簡単に方向転換を行わせることができる。
【0015】
前車輪の向き変更に時間がかかるようなシステムでは、走行駆動の前後進切り替えには停止時間をおくことが必要になる。そのような場合には、操舵レバーが左舵または右舵で、走行レバーによる前進後進の切り替えを検出したときに、操舵駆動が完了するまでの時間を規定し、自動的に走行モータを一時停止させることで、スムーズな方向変換を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来の操舵は、自動車など走行物体の操舵機構を単に遠くから動かすだけの発想で設計されていた。しかし本発明では、前進も後進も含めて、自動車などの機首方向を左右に回転させるという操縦本位の考えかたでの設計である。機首回転を左回りか右回りかを指定するということから、操縦器には図9のような円形の操舵つまみ3aを回転させて操縦することが分かりやすい。
【0017】
図9(A)のように操舵つまみ3aを「左回転」させると、「機首方向が左回転です」とインプットされたことになる。走行レバー4をFwに合わせると自動車2は「左回転」しながら前進し、2から2aに移る。また、図9(B)のように、操舵つまみ3aを「左回転」させたまま(Lを指している)で、走行つまみ4をBkに合わせると自動車2は、同じく「左回転」しながら後進し、2aから2bへ移る。そして図9(C)のように、操舵つまみ3aを「左回転」させたまま(Lを指している)で、走行つまみ4をFwに合わせると自動車2は「左回転」しながら前進し、2bから2cへ移る。このように操舵つまみ3aで左回転を選ぶと、前進でも後進でも常に左回転しながら走行することがわかる。操縦者には、機首方位を左回転させるかそれとも右回転させるかということだけを意識することで、楽しく、快適な操縦を楽しむことが可能になる。
【実施例1】
【0018】
図10は、細い道路で回りきれないようなときにも、簡単にハンドルの切り返しで、切り抜ける例である。図10(A)のように道路を走行中に、操舵つまみ3aを左に回して、T字路を左折しようとする。しかし、回り切れず道路の角12にぶつかる。その時、操舵つまみ3aはそのままで、走行レバーをバック走行Bkに切り替える。すると前輪は逆方向に向きを変えて後進し、2bの位置、かつ進みたい方向に向きを変えている。そこで操舵つまみ3aを直進にして、走行レバーを直進Fwにすると自動車は2cの位置まで来ることができる。
【実施例2】
【0019】
図11は、模型自動車の構造が異なる例である。前輪は、向きが変えられない構造であり、また、前輪のタイヤは横滑りの摩擦が小さい材質でできている。左後輪20は駆動モータ22で、右後輪21は駆動モータ23で別々に独立して制御する。これにより、操舵、走行とも、左右の後輪の駆動制御で行う。 この制御により、自動車は図11の点線矢印のような6種類の軌跡を走行できることになる。両後輪を前方に推力が出る方向に同じ速度で回転させると、31のように直進前進する。右後輪のほうが早いと、32のように左回転で前進、左後輪のほうが早いと、33のように右回転で前進する。また、両後輪を後方に推力が出る方向に同じ速度で回転させると、34のように直進後進する。右後輪のほうが早いと、36のように右回転で後進、左後輪のほうが早いと、35のように左回転で後進する。
【0020】
これを、操縦器1で操縦した場合の操舵つまみ3aの動き、走行レバー4の動きと自動車の動きを図12、図13で示す。図12は、従来例であり、(A)は操舵つまみをLの状態で、走行レバー4をFwにあわせると32のように左前進し、Bkに合わせると、36のように左後進する。(
B)は操舵つまみを0の状態で、走行レバー4をFwにあわせると31のように直前進し、Bkに合わせると、34のように直後進する。(C)は操舵つまみをRの状態で、走行レバー4をFwにあわせると走行軌跡は33のように右前進し、Bkに合わせると、35のように右後進する。図13は、本発明例であり、(A)は操舵つまみをLの状態で、走行レバー4をFwにあわせると32のように左前進し、Bkに合わせると、35のように右後進する。(B)は操舵つまみを0の状態で、走行レバー4をFwにあわせると31のように直前進し、Bkに合わせると、34のように直後進する。(C)は操舵つまみをRの状態で、走行レバー4をFwにあわせると走行軌跡は33のように右前進し、Bkに合わせると、36のように左後進する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のラジコン自動車のブロック図
【図2】従来のラジコン自動車の操縦と走行を示す図
【図3】本発明の実施例1のブロック図
【図4】本発明のラジコン自動車の操縦と走行を示す図
【図5】本発明の実施例2のブロック図
【図6】本発明の実施例3のブロック図
【図7】従来の機首方向変更例
【図8】本発明の機首方向変更例
【図9】本発明の機首方向変更例2
【図10】狭い道路の例
【図11】左右対称モータ例
【図12】左右対称モータによる従来例
【図13】左右対称モータによる本発明例
【符号の説明】
【0022】
1 操縦器2、2a、2b 模型自動車3 操舵レバー4 走行操縦レバー5 前輪6 後輪7 操舵装置8 走行装置9 操舵部10 走行操縦部11 信号反転回路12 信号反転器13 変調器15 道路の角20 左後輪21 右後輪22 左モータ23 右モータ25 アンテナ26 アンテナ31 直進前進_軌跡32 左カーブ前進_軌跡33 右カーブ前進_軌跡35 右カーブ後進_軌跡36 左カーブ後進_軌跡
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジコン自動車やラジコン船などの走行体を操舵つまみと走行レバーなどを使って操縦を行う遠隔操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の操舵入力手段と、前進・停止・後進などの走行入力手段のついた操縦器で無線操縦するシステムは、ラジコン自動車などとして普及しているが、操縦が難しい欠点があった。操縦が難しい理由の一つが、前進と後進では操舵の方法が逆になってしまうことである。
【0003】
図1は従来のラジコンの操縦器1と模型自動車2の操縦信号の流れを示すブロック図であり、操舵系と走行系が独立していることを示している。図2は、従来のラジコンの動作図であり、操縦器1には、操舵レバー3と走行レバー4がついている。 操舵レバー3は、内部のばねにより通常中間の0点にあり、左に動かすと図1のようにLを指し、右に動かすとRを指す。また、走行レバー4は、内部のばねにより通常中間の0点にあり、前に動かすと図1のようにFw(前進)を指し、後に動かすとBk(後進)を指す。 操縦器1は、これら二つのレバーの動きに応じて無線信号が発する。そして、模型自動車2は、この無線信号を受信する。
【0004】
そして、操縦器1の操舵レバー3がLにあると左舵となり、図2(A)のように前輪5は左向きに操舵され、逆に操舵レバー3がRにあると右舵となって、前輪5は右向きに操舵される。そして、操舵レバー3が0にあると前輪5は真直ぐの向きになる。また、操縦器1の走行レバー4がFwにあると、後輪6は車体が前進するように回転し、逆に走行レバー4がBkにあると、後輪6は車体が後進するように回転する。そして、走行レバー4が0にあると後輪6は停止する。 図2(A)の操舵レバー3がLの状態で、走行レバー4をFwに合わせると前進信号が発せられ、模型自動車2は左カーブしながら前進し2aの位置まで進む。
【0005】
ところで、同じものを、後進させる場合を図2(B)に示す。 模型自動車2は、図2(B)のように後向きに置く。操舵レバー3をLに合わせると、前輪5は、図のように自動車から見て左方向に向いている。ここで走行レバー4をBkに倒して後進させると、(A)の場合と違って、自動車は右方向に進み2bの位置に達する。 このように、従来のラジコンシステムでは、前進させるときと、後進させるときでは、操舵レバー3の操作と模型自動車の進む方向の関係が全く逆になることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−239259
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、前進でも、後進でも、操縦器の操舵感覚を同じにすること。さらに機首の向き変更をやさしくすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、操縦器の走行入力が前進のときは従来と同じであるが、後進の時には、模型自動車の舵角駆動が従来とは逆方向に動くようにした。 これを実現する方法として、(1)操縦器側を変更する方法と(2)自動車側を変更する方法の2通りの方法がある。(1)の操縦器側の動作を変更して実現させた例を図3に示す。スライドスイッチ15の操舵レバー3をLに倒すと、舵操縦部9の出力18には+Vが、またRに倒すとーVが出力され、また中立点では、電圧0が出力される。 また、スライドスイッチ16の走行レバー4をFwに倒すと走操縦部10の出力17には+Vが、またBkに倒すとーVが出力され、また中立点では、電圧0が出力される。
【0009】
舵操縦部9からの出力18は、信号反転回路11に入る。また、走操縦部10の出力17は変調器13、アンテナ25を通って自動車2に送信されると同時に、信号反転回路11のCNT端子に入って信号反転器11の動作を制御する。 信号反転回路11は、走操縦部10の出力17の電圧が0以上のときは入力信号はそのまま出力となり、電圧が負のときは、入力信号が反転したものが出力となる。
【0010】
両信号は、変調器13を通って無線信号になり、アンテナ25から放射され、模型自動車で受信され操舵装置7、走行装置8を動かすことになる。 このように構成されたラジコンシステムで図2と同様の前進操縦と後進操縦を行わせると図4のようになる。 すなわち図3において走行レバー4がBkにあると、走行操縦部10の出力はーVとなりそれは信号反転回路11のCNT端子をマイナス電圧にする。すると、操舵操縦部9の出力は信号反転回路11で反転されて無線信号として送り出される。 模型自動車2では、これを受信して解析し、操舵信号としては、操舵レバーとは逆のR信号を受け取る。そして、後進走行の場合でも操舵がLであれば、図4(B)のように、左方向にカーブしていくことになる。 すなわち、前進でも後進でも操舵と走行体がカーブする方向の関係は同じになるので、わかりやすく、操縦しやすくなる。
【0011】
図3では操縦器側を変更したが、図5のように、模型自動車側を変更しても、同じことができる。 図5の操縦器1は従来と同じものである。自動車側では、受信器14の走行出力16がバック走行の時に、操舵信号出力15を反転して操舵を行わせている。信号反転回路11はCNT入力である走行信号16がマイナス電圧(バック走行)のときには、操舵装置7への信号を反転させる。
【0012】
このように、操縦器または模型自動車のいずれか一方を変更することによって、本発明のシステムに変えることができる。 この例では、操舵も走行もオンオフの制御の例であるが、段階的な制御や、可変抵抗を使った連続的な制御でも同様のことが可能である。図6は操舵操縦部9、走行操縦部10内の操縦スイッチを抵抗幕17の摺どう抵抗に変えることにより、アナログ的連続制御を可能にする例である。ただしスイッチ回路12のCNT入力は電圧の大小は関係なく、マイナスであるかどうかでスイッチされ、また、回路はアナログを扱えるものとする。同様にして、自動車にアナログの信号反転回路を設けることも可能である。
【発明の効果】
【0013】
図7は、狭い場所での機首の方向転換を行う従来例である。自動車で例えば左まわりに方向を転換する場合、まず、左にハンドルを切り、少し前進し、停止し、次に、右にハンドルを切り、少し後進し、停止し、さらに、左にハンドルを切り、前進する。この動作を繰り返して機首方向転換をする。これを、操縦器1で操縦操作をすると、図7(A)のように操舵レバー3をLに合わせ、走行レバー4をFwに合わせて、少し前進させる。 走行レバーを離して、停止させる。図7(B)のように、操舵レバー3をRに合わせ、走行レバー4をBkに合わせて、少し後進させる。走行レバーを離して、停止させる。再び、図7(C)のように操舵レバー3をLに合わせ、走行レバーをFwに合わせて少し前進させる。走行レバーを離して、停止させる。
【0014】
このように操舵レバー3と走行レバー4を互い違いに動かさないとならないので大変な作業となり、特に初心者には難しい。図8は、本発明の方向転換の例である。図8(A)のように、まず左まわりでの方向転換ということで、操舵レバー3をLに合わせる。前車輪は左向きに変わる。そして、走行レバー3をFwに合わせて、少し前進させる。走行レバーを離して、停止させる。(B)走行レバーをBkに合わせる。すると、自動的に自動車2aの前車輪は右に向きを変える。そして少し後進させる。走行レバーを離して、停止させる。すると、自動車2bの前車輪は自動的に向きを変えて、元の左向きに戻る。(C)走行レバー4をFwに合わせると、前車輪は自動的に向きを変えて前進し自動車は2bから2cの位置に変わる。このように、本発明では、操舵レバーは一定のままで、走行レバーだけを前進と後進に切り替えるだけで、簡単に方向転換を行わせることができる。
【0015】
前車輪の向き変更に時間がかかるようなシステムでは、走行駆動の前後進切り替えには停止時間をおくことが必要になる。そのような場合には、操舵レバーが左舵または右舵で、走行レバーによる前進後進の切り替えを検出したときに、操舵駆動が完了するまでの時間を規定し、自動的に走行モータを一時停止させることで、スムーズな方向変換を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来の操舵は、自動車など走行物体の操舵機構を単に遠くから動かすだけの発想で設計されていた。しかし本発明では、前進も後進も含めて、自動車などの機首方向を左右に回転させるという操縦本位の考えかたでの設計である。機首回転を左回りか右回りかを指定するということから、操縦器には図9のような円形の操舵つまみ3aを回転させて操縦することが分かりやすい。
【0017】
図9(A)のように操舵つまみ3aを「左回転」させると、「機首方向が左回転です」とインプットされたことになる。走行レバー4をFwに合わせると自動車2は「左回転」しながら前進し、2から2aに移る。また、図9(B)のように、操舵つまみ3aを「左回転」させたまま(Lを指している)で、走行つまみ4をBkに合わせると自動車2は、同じく「左回転」しながら後進し、2aから2bへ移る。そして図9(C)のように、操舵つまみ3aを「左回転」させたまま(Lを指している)で、走行つまみ4をFwに合わせると自動車2は「左回転」しながら前進し、2bから2cへ移る。このように操舵つまみ3aで左回転を選ぶと、前進でも後進でも常に左回転しながら走行することがわかる。操縦者には、機首方位を左回転させるかそれとも右回転させるかということだけを意識することで、楽しく、快適な操縦を楽しむことが可能になる。
【実施例1】
【0018】
図10は、細い道路で回りきれないようなときにも、簡単にハンドルの切り返しで、切り抜ける例である。図10(A)のように道路を走行中に、操舵つまみ3aを左に回して、T字路を左折しようとする。しかし、回り切れず道路の角12にぶつかる。その時、操舵つまみ3aはそのままで、走行レバーをバック走行Bkに切り替える。すると前輪は逆方向に向きを変えて後進し、2bの位置、かつ進みたい方向に向きを変えている。そこで操舵つまみ3aを直進にして、走行レバーを直進Fwにすると自動車は2cの位置まで来ることができる。
【実施例2】
【0019】
図11は、模型自動車の構造が異なる例である。前輪は、向きが変えられない構造であり、また、前輪のタイヤは横滑りの摩擦が小さい材質でできている。左後輪20は駆動モータ22で、右後輪21は駆動モータ23で別々に独立して制御する。これにより、操舵、走行とも、左右の後輪の駆動制御で行う。 この制御により、自動車は図11の点線矢印のような6種類の軌跡を走行できることになる。両後輪を前方に推力が出る方向に同じ速度で回転させると、31のように直進前進する。右後輪のほうが早いと、32のように左回転で前進、左後輪のほうが早いと、33のように右回転で前進する。また、両後輪を後方に推力が出る方向に同じ速度で回転させると、34のように直進後進する。右後輪のほうが早いと、36のように右回転で後進、左後輪のほうが早いと、35のように左回転で後進する。
【0020】
これを、操縦器1で操縦した場合の操舵つまみ3aの動き、走行レバー4の動きと自動車の動きを図12、図13で示す。図12は、従来例であり、(A)は操舵つまみをLの状態で、走行レバー4をFwにあわせると32のように左前進し、Bkに合わせると、36のように左後進する。(
B)は操舵つまみを0の状態で、走行レバー4をFwにあわせると31のように直前進し、Bkに合わせると、34のように直後進する。(C)は操舵つまみをRの状態で、走行レバー4をFwにあわせると走行軌跡は33のように右前進し、Bkに合わせると、35のように右後進する。図13は、本発明例であり、(A)は操舵つまみをLの状態で、走行レバー4をFwにあわせると32のように左前進し、Bkに合わせると、35のように右後進する。(B)は操舵つまみを0の状態で、走行レバー4をFwにあわせると31のように直前進し、Bkに合わせると、34のように直後進する。(C)は操舵つまみをRの状態で、走行レバー4をFwにあわせると走行軌跡は33のように右前進し、Bkに合わせると、36のように左後進する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のラジコン自動車のブロック図
【図2】従来のラジコン自動車の操縦と走行を示す図
【図3】本発明の実施例1のブロック図
【図4】本発明のラジコン自動車の操縦と走行を示す図
【図5】本発明の実施例2のブロック図
【図6】本発明の実施例3のブロック図
【図7】従来の機首方向変更例
【図8】本発明の機首方向変更例
【図9】本発明の機首方向変更例2
【図10】狭い道路の例
【図11】左右対称モータ例
【図12】左右対称モータによる従来例
【図13】左右対称モータによる本発明例
【符号の説明】
【0022】
1 操縦器2、2a、2b 模型自動車3 操舵レバー4 走行操縦レバー5 前輪6 後輪7 操舵装置8 走行装置9 操舵部10 走行操縦部11 信号反転回路12 信号反転器13 変調器15 道路の角20 左後輪21 右後輪22 左モータ23 右モータ25 アンテナ26 アンテナ31 直進前進_軌跡32 左カーブ前進_軌跡33 右カーブ前進_軌跡35 右カーブ後進_軌跡36 左カーブ後進_軌跡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵入力手段と走行入力手段とを備え、前記2つの入力手段から入力された情報を無線信号で送出する操縦器と、前記無線信号を受信して得られた情報に基づいて、(1)左カーブ前進32、(2)直進前進31(3)右カーブ前進33(4)左カーブ後進36、(5)直進後進34(6)右カーブ後進35などを行う走行体とで構成されたラジコンシステムに於いて、前記操舵入力手段に左舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に前進が入力されたとき、前記走行体は(1)左カーブ前進32を行い、前記操舵入力手段に右舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に前進が入力されたとき、前記走行体は(3)右カーブ前進33を行い、前記操舵入力手段に左舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に後進が入力されたとき、前記走行体は(6)右カーブ後進35を行い、前記操舵入力手段に右舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に後進が入力されたとき、前記走行体は(4)左カーブ後進36を行うように構成されたことを特徴とするラジコンシステム。
【請求項2】
操舵入力手段と走行入力手段とを備え、前記2つの入力手段から入力された情報を無線信号で送出する操縦器に於いて、前記走行入力手段からの入力が、後進を意味するときは、前記操舵入力手段からの入力された情報を左右反転した情報に入れ替えて無線信号で送出することを特徴とするラジコンシステム用操縦器。
【請求項3】
操舵情報と走行情報を含む無線信号を受信解読して走行する走行体に於いて、前記走行情報が前進を意味するときは、前記操舵情報に基づいて操舵装置7を駆動し、かつ、前記走行情報に基づいて走行装置8を駆動し、受信した前記走行情報が後進を意味するときは、前記操舵情報の左右反転した情報に基づいて操舵装置7を駆動し、かつ、前記走行情報に基づいて走行装置8を駆動することを特徴とするラジコンシステム用走行体。
【請求項1】
操舵入力手段と走行入力手段とを備え、前記2つの入力手段から入力された情報を無線信号で送出する操縦器と、前記無線信号を受信して得られた情報に基づいて、(1)左カーブ前進32、(2)直進前進31(3)右カーブ前進33(4)左カーブ後進36、(5)直進後進34(6)右カーブ後進35などを行う走行体とで構成されたラジコンシステムに於いて、前記操舵入力手段に左舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に前進が入力されたとき、前記走行体は(1)左カーブ前進32を行い、前記操舵入力手段に右舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に前進が入力されたとき、前記走行体は(3)右カーブ前進33を行い、前記操舵入力手段に左舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に後進が入力されたとき、前記走行体は(6)右カーブ後進35を行い、前記操舵入力手段に右舵が入力され、かつ、前記走行入力手段に後進が入力されたとき、前記走行体は(4)左カーブ後進36を行うように構成されたことを特徴とするラジコンシステム。
【請求項2】
操舵入力手段と走行入力手段とを備え、前記2つの入力手段から入力された情報を無線信号で送出する操縦器に於いて、前記走行入力手段からの入力が、後進を意味するときは、前記操舵入力手段からの入力された情報を左右反転した情報に入れ替えて無線信号で送出することを特徴とするラジコンシステム用操縦器。
【請求項3】
操舵情報と走行情報を含む無線信号を受信解読して走行する走行体に於いて、前記走行情報が前進を意味するときは、前記操舵情報に基づいて操舵装置7を駆動し、かつ、前記走行情報に基づいて走行装置8を駆動し、受信した前記走行情報が後進を意味するときは、前記操舵情報の左右反転した情報に基づいて操舵装置7を駆動し、かつ、前記走行情報に基づいて走行装置8を駆動することを特徴とするラジコンシステム用走行体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−20058(P2012−20058A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161933(P2010−161933)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(300038435)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(300038435)
【Fターム(参考)】
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