ラチスシェル構造の節点構造
【課題】筋交材による力によって偏芯することなく簡潔に筋交材を固定することが可能なラチスシェル構造の節点構造を提供すること。
【解決手段】筒形状の第1の接触面108を有する第1の接合部材102と、筒形状の第2の接触面109を有し、軸方向が同一となるように第1の接合部材と隣接して設けられた第2の接合部材103と、第1の接合部材の第1の接触面及び第2の接合部材の第2の接触面と接触し第1の接合部材及び第2の接合部材とボルト接合される梁材10と、第1の接合部材と第2の接合部材との間で固定される筋交材20とを備えることを特徴とする。
【解決手段】筒形状の第1の接触面108を有する第1の接合部材102と、筒形状の第2の接触面109を有し、軸方向が同一となるように第1の接合部材と隣接して設けられた第2の接合部材103と、第1の接合部材の第1の接触面及び第2の接合部材の第2の接触面と接触し第1の接合部材及び第2の接合部材とボルト接合される梁材10と、第1の接合部材と第2の接合部材との間で固定される筋交材20とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラチスシェル構造の節点構造に関し、筋交材を節点で固定するラチスシェル構造に最適な節点構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根などを構成するため、構造体にラチスシェル構造(グリッドシェル構造)が採用される場合がある。ラチスシェル構造は、梁材と、複数の梁材が集合して互いに接合される節点(node)からなる。ラチスシェル構造による構造体の上面又は下面にガラス、鋼板などの板材が設置されて、屋根が構成される。
【0003】
例えば、特許文献1〜5には、梁材と節点における接合部材からなる節点構造に関する技術が開示されている。特許文献1〜4には、梁材と接合部材がボルトによって接合される節点構造が記載され、特許文献5には、梁材に相当する骨組部材3と接合部材に相当する本体部4が溶接よって接合される節点構造が記載されている。その他、ラチスシェル構造の節点は、複数の梁材が溶接によって互いに直接接合されたり、接合部材に梁材が嵌め込まれたりして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−57829号公報
【特許文献2】国際公開第94/20698号
【特許文献3】ソビエト連邦国特許第777170号
【特許文献4】ソビエト連邦国特許第614185号
【特許文献5】特開平9−279749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、4つの梁材で四角形を構成してラチスシェル構造の構造体を構築する場合、梁材のみでは構造体は不安定である。従って、筋交材を梁材が集合する節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。筋交材を節点に固定する技術は、例えば上述した特許文献2や特許文献5にも開示されている。
【0006】
しかし、従来、筋交材は、梁部材が集合して接合する接合部材の軸方向の一端側に固定されてきた。そのため、筋交材による力によって接合部材にかかる力が偏芯し、接合部材において力のバランスをとることが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、筋交材による力によって偏芯することなく簡潔に筋交材を固定することが可能な、新規かつ改良されたラチスシェル構造の節点構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、筒形状の第1の接触面を有する第1の接合部材と、筒形状の第2の接触面を有し、軸方向が同一となるように第1の接合部材と隣接して設けられた第2の接合部材と、第1の接合部材の第1の接触面及び第2の接合部材の第2の接触面と接触し第1の接合部材及び第2の接合部材とボルト接合される梁材と、第1の接合部材と第2の接合部材との間で固定される筋交材とを備えるラチスシェル構造の節点構造が提供される。
【0009】
この構成により、筋交材は、第1の接合部材と第2の接合部材の間に固定され、梁材の梁せいの中間付近に設けられる。
【0010】
上記第1の接合部材の軸方向一端側であって第2の接合部材側に、第1の接合部材と近接して設けられた第1の板材と、第2の接合部材の軸方向一端側であって第1の接合部材側に、第2の接合部材と近接して設けられた第2の板材と、第1の板材と第2の板材とをボルト接合するボルトとを更に備え、第1の板材と第2の板材がボルト接合されることによって、第1の板材と第2の板材の間に配置された筋交材が固定されてもよい。
【0011】
上記第1の接合部材と第1の板材は別部材であり、第2の接合部材と第2の板材は別部材であってもよい。
【0012】
上記第1の接合部材と第1の板材は一体化された同一部材であり、第2の接合部材と第2の板材は一体化された同一部材であり、第1の板材と第2の板材の間に、第1の板材と第2の板材に近接して設けられた第3の板材を更に備え、第1の板材、第2の板材及び第3の板材がボルト接合されることによって、第1の板材と第3の板材の間に配置された筋交材、及び第2の板材と第3の板材の間に配置された筋交材が固定されてもよい。
【0013】
上記梁材は、第1の接合部材及び第2の接合部材とボルト接合される端部材と、端部材と溶接される梁部材とを有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筋交材による力によって偏芯することなく簡潔に筋交材を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラチスシェル構造の構造体1を示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係る節点構造100を示す平面図である。
【図3】同実施形態に係る節点構造100を示す断面図である。
【図4】同実施形態に係る節点構造100を示す断面図である。
【図5】同実施形態に係る節点構造100を示す側面図である。
【図6】同実施形態に係る節点構造100を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る節点構造200を示す平面図である。
【図8】同実施形態に係る節点構造200を示す断面図である。
【図9】同実施形態に係る節点構造200を示す断面図である。
【図10】同実施形態に係る節点構造200を示す側面図である。
【図11】同実施形態に係る節点構造200を示す断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る節点構造300を示す平面図である。
【図13】同実施形態に係る節点構造300を示す断面図である。
【図14】同実施形態に係る節点構造300を示す断面図である。
【図15】同実施形態に係る節点構造300を示す側面図である。
【図16】同実施形態に係る節点構造300を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るラチスシェル構造について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るラチスシェル構造の構造体1を示す斜視図である。
【0018】
ラチスシェル構造は、例えば建築物の屋根などを架構するために用いられる。図1は、本実施形態を説明するために示した形状であり、ラチスシェル構造の構造体の形状は構造体1の形状に限定されず、他の形状で構成されてもよい。
【0019】
ラチスシェル構造の構造体1は、例えば、梁部材10と、筋交材20などからなる。また、複数の梁材が集合するラチスシェル構造の節点には、図2以降に示す通り、梁部材10と筋交材20と第1接合ブロック102と第2接合ブロック103と端部ブロック112などからなる節点構造100が形成される。ラチスシェル構造の構造体1の上面又は下面にガラスや鋼板などの板材が設置されて、屋根が構成される。
【0020】
次に、図2〜図6を参照して、本実施形態に係る節点構造100について説明する。
図2は、本実施形態に係る節点構造100を示す平面図である。図3は、本実施形態に係る節点構造100を示す断面図であり、図5のB−B線で切断した断面図である。図4は、本実施形態に係る節点構造100を示す断面図であり、図5のC−C線で切断した断面図である。図5は、本実施形態に係る節点構造100を示す側面図である。図6は、本実施形態に係る節点構造100を示す断面図であり、図2のA−A線で切断した断面図である。
【0021】
節点構造100は、梁部材10と、筋交材20と、第1接合ブロック102と、第2接合ブロック103と、端部ブロック112と、高力ボルト122、124と、上蓋132と、下蓋142と、通しボルト152を有する。節点構造100は、複数の梁部材10が集合する節点において形成される。図1に示すように、4つの梁部材10で四角形を構成する場合、筋交材20を節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。
【0022】
以下で、節点構造100の各構成部材について詳細に説明する。
梁部材10は、例えば棒状部材であり、鋼製である。梁部材10の端部には端部面11が形成され、端部面11は端部ブロック112と接合される。梁部材10と梁部材10の両端に端部ブロック112が接合された部材は、端部ブロック付き梁材として扱われる。端部ブロック付き梁材は、梁材の一例である。梁部材10は、ラチスシェル構造における梁の一部として作用する。
【0023】
筋交材20は、例えば線状部材であり、鋼製ケーブルなどである。筋交材20は、後述する第1接合ブロック102と、第2接合ブロック103との間に挟持され、固定される。
【0024】
第1接合ブロック102は、第1の接合部材の一例であり、例えば筒形状であり、中心軸と平行な開口を有している。第1接合ブロック102の形状は、節点構造100の設置位置や方向に関わらず一定である。第1接合ブロック102は外周面が円柱面であり、第1接合ブロック102の内周面は高力ボルト122を固定する面が平面である。第1接合ブロック102の高さは、梁部材10の梁せいの約1/2より低い高さである。第1接合ブロック102は、梁部材10から伝達されるモーメントに耐え得る強度を有する強度を有する材質、構造を有する。第1接合ブロック102は、梁部材10が接合される方向であって端部ブロック112と接合される位置において、第1接合ブロック102を貫通するボルト穴104が形成される。
第1接合ブロック102の軸方向一端側であって、第2接合ブロック103側には、筋交材20が配設される。
【0025】
第2接合ブロック103は、第2の接合部材の一例であり、例えば筒形状であり、中心軸と平行な開口を有している。第2接合ブロック103の形状は、節点構造100の設置位置や方向に関わらず一定である。第2接合ブロック103は外周面が円柱面であり、第2接合ブロック103の内周面は高力ボルト124を固定する面が平面である。第2接合ブロック103の高さは、梁部材10の梁せいの約1/2より低い高さである。第2接合ブロック103は、梁部材10から伝達されるモーメントに耐え得る強度を有する強度を有する材質、構造を有する。第2接合ブロック103は、梁部材10が接合される方向であって端部ブロック112と接合される位置において、第2接合ブロック103を貫通するボルト穴106が形成される。
第2接合ブロック103は、中心軸が第1接合ブロック102の中心軸と同一となるように配置され、第1接合ブロック102と隣接して設けられる。第2接合ブロック103の軸方向一端側であって、第1接合ブロック102側には、筋交材20が配設される。
【0026】
ボルト穴104、106は、高力ボルト122、124の直径より広い径を有し、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸から外周面に向かって、中心軸に対して垂直に形成される。ボルト穴104は、ボルト穴106の上側に位置する。上下関係にある1つのボルト穴104と1つのボルト穴106は、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸と平行に配置される。
【0027】
接触面108は、第1接合ブロック102の外周面の一部であり、端部ブロック112の第1接合面118と接触する。接触面109は、第2接合ブロック103の外周面の一部であり、端部ブロック112の第1接合面119と接触する。
【0028】
端部ブロック112は、端部材の一例であり、梁部材10の端部に溶接によって設けられる。端部ブロック112の形状は、節点構造100の設置位置や方向に関わらず一定である。端部ブロック112は、第1接合面118、119と、第2接合面113を有する。
【0029】
端部ブロック112の第1接合面118、119はそれぞれ、第1接合ブロック102の接触面108、第2接合ブロック103の接触面109と接触し、高力ボルト122、124によって第1接合ブロック102とボルト接合される。第1接合面118、119の形状は、第1接合ブロック102の接触面108、第2接合ブロック103の接触面109の形状に沿った形を有する。本実施形態では、接触面108、109は円筒面であるから、第1接合面118、119も円筒面に沿った凹面を有する。端部ブロック112は、第1接合ブロック102の第1接合面118、第2接合ブロック103の第1接合面119側に開口したボルト穴114、116が形成される。
【0030】
端部ブロック112の第2接合面113は、梁部材10の端部面11と溶接される。第2接合面113は、例えば第1接合面118、119と対向する位置に設けられる。
端部ブロック112は、梁部材10の取り付け位置や取り付け方向、第1接合ブロック102、第2接合ブロック103との接合位置に影響されず、また節点の位置にも影響されず、常に同一の形状を有する。即ち、端部ブロック112は、第1接合面118が第1接合ブロック102とボルト接合され、第1接合面119が第2接合ブロック103とボルト接合されたときに、接触面108、109の位置に関わらず、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する第2接合面113の角度が一意に規定される形状に形成されている。
【0031】
ボルト穴114、116は、端部ブロック112が第1接合ブロック102及び第2接合ブロック103に接合されたとき、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸から端部ブロック112に向かって、中心軸に対して垂直である直線上に形成される。ボルト穴114は、端部ブロック112の上側に位置し、ボルト穴116は、端部ブロック112の下側に位置する。上下関係にある1つのボルト穴114と1つのボルト穴116は、端部ブロック112が第1接合ブロック102及び第2接合ブロック103に接合されたとき、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸と平行になるように配置される。ボルト穴114は第1接合ブロック102のボルト穴104と対応し、ボルト穴116は第2接合ブロック103のボルト穴106と対応する。ボルト穴114、116は、内部に雌ねじが形成される。
【0032】
高力ボルト122、124は、先端部分に雄ねじが形成される。高力ボルト122は、第1接合ブロック102の内部から外側に向かって挿入され、第1接合ブロック102のボルト穴104を貫通し、端部ブロック112のボルト穴114で螺合される。高力ボルト124は、第2接合ブロック103の内部から外側に向かって挿入され、第2接合ブロック103のボルト穴106を貫通し、端部ブロック112のボルト穴116で螺合される。上下関係で挿入される1つの高力ボルト122と1つの高力ボルト124が1対となって、1つの端部ブロック112と第1接合ブロック102及び第2接合ブロック103をボルト接合する。
【0033】
上蓋132は、例えば板状部材であり、第1接合ブロック102の軸方向端部、例えば上端部に設けられる。上蓋132は、図6に示すように、第1接合ブロック102に形成された開口部に嵌め合わせ可能なように、突起形状を有する。これにより、筋交材20の引張り力などによる上蓋132のずれを防止できる。上蓋132は、中心にボルト穴134が形成される。
ボルト穴134は、上蓋132を例えば貫通して形成され、内部に雌ねじが形成される。
【0034】
下蓋142は、例えば板状部材であり、第2接合ブロック103の軸方向端部、例えば下端部に設けられる。下蓋142は、図6に示すように、第2接合ブロック103に形成された開口部に嵌め合わせ可能なように、突起形状を有する。これにより、筋交材20の引張り力などによる下蓋142のずれを防止できる。下蓋142は、中心に貫通穴143が形成される。
貫通穴143は、通しボルト152の直径より広い径を有し、通しボルト152が貫通して設置される。通しボルト152は、先端部に雄ねじが形成される。通しボルト152は、貫通穴143を貫通し、ボルト穴134で螺合される。
【0035】
上述した構成によって、筋交材20が第1接合ブロック102と第2接合ブロック103の間に挟持されることによって、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に設けられることになる。その結果、複数の梁材が集合する従来の接合部材において、接合部材の一端部で筋交材を固定する場合に比べて、筋交材による力によって節点にかかる力が偏芯することがない。また、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に位置するため、従来の接合部材のように筋交材や筋交材を固定する部材が接合部材から突出することがなく、省スペース化を図ることができる。更に、筋交材を固定するための部材数を従来に比べて低減させることができる。
【0036】
次に、本実施形態に係るラチスシェル構造の構造体1及び節点構造100の設計・施工方法について説明する。
【0037】
節点構造100に用いる第1接合ブロック102、第2接合ブロック103、端部ブロック112は、節点構造100の設置位置や設置方向に関わらず一定の形状のものを用いる。本実施形態によれば、ラチスシェル構造の構造体1の施工現場で、梁部材10等に合わせて、第1接合ブロック102、第2接合ブロック103、端部ブロック112を加工する必要がない。
【0038】
ラチスシェル構造の構造体1を構築するためには、まず、節点の位置や数、梁部材10の位置や数を決定する。これにより、梁部材10のおおよその長さを決定できる。また、筋交材20についても節点に基づいて同様に長さなどが決定される。
【0039】
そして、節点構造に用いる第1接合ブロック102、第2接合ブロック103や端部ブロック112の形状を決定する。第1接合ブロック102、第2接合ブロック103や端部ブロック112は、節点構造100の設置位置や設置方向に関わらず一定の形状のものを共通して用いるから、節点の数に合わせて作製すればよい。上述した例では、第1接合ブロック102と第2接合ブロック103には、4つの端部ブロック112が設けられ、それぞれ隣接する端部ブロック112の接合位置のなす角度が90度である。
【0040】
次に、第1接合ブロック102と第2接合ブロック103の設置方向を決定し、設置時における第1接合ブロック102と第2接合ブロック103の中心軸方向を決定する。端部ブロック112は、端部ブロック112の第1接合面118が第1接合ブロック102の接触面108とボルト接合され、第2の接合面が第2接合ブロック103の接触面109とボルト接合されたときに、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する第2接合面113の角度が一意に規定される形状に形成されている。
【0041】
従って、第2接合面113の第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する角度と、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する梁部材10の設置角度を考慮して、第2接合面113と溶接される梁部材10の端部面11の形状を決定し、決定された形状に端部面11を加工する。そして、梁部材10の端部面11と端部ブロック112の第2接合面113とを溶接する。この溶接作業は、ラチスシェル構造の構造体1の施工現場ではなく、例えば工場などで行う。この梁部材10と端部ブロック112が溶接されて組み合わされた部材(以下、「端部ブロック付き梁材」という。)を、複数作製して、施工現場に搬出する。
【0042】
そして、ラチスシェル構造の構造体1の施工現場において、第1接合ブロック102と第2接合ブロック103と端部ブロック付き梁材などを設置場所に配置する。第1接合ブロック102と第2接合ブロック103は、全て同一形状であるから、いずれの節点に配置してもよい。端部ブロック付き梁材は、梁部材10の取り付け位置および取り付け方向を考慮して、梁部材10に端部ブロック112が接合されている部材であるから、予め決定してある適切な節点に配置する。
【0043】
その後、端部ブロック112の第1接合面118と、第1接合ブロック102の接触面108、第2接合ブロック103の接触面109とをボルト接合する。このとき、筋交材20も同時に節点ごとに配置する。このボルト接合作業を1組の第1接合ブロック102、第2接合ブロック103において複数の端部ブロック付き梁材や筋交材20に対して行い、更に、別の節点の接合ブロックの組においても同様の作業をすることで、ラチスシェル構造の構造体1を構築する。
【0044】
通常、曲面形状を有するラチスシェル構造の節点において、接合部材に複数の梁材が接合されるとき、梁材の取り付け位置や取り付け方向は、梁材ごとに異なる。従って、従来、梁材ごとに接合部材と接合する梁材の端部面の形状を異ならせる必要があった。また、節点の位置によっても、梁材の端部面の形状が異なってくる。従って、梁材を工場で作製したとしても、施工現場で梁材の端部面を加工する必要があり、労力と時間がかかっていた。
【0045】
また、従来、接合部材と梁材とを接合する節点構造で、接合部材を節点位置に関わらず全て同じにしてボルト接合を用いるものもあったが、梁材の取り付け方向や取り付け位置は、接合部材の形状に依存していた。そのため、接合部材を共通化し、接合部材と梁材との接合をボルト接合にすると、決められた方向にしか梁材を取り付けることができないため、例えば対称形状ではない複雑な曲面形状を有するラチスシェル構造を構築できなかった。
【0046】
一方、本実施形態によれば、節点構造100に用いる第1接合ブロック102、第2接合ブロック103、端部ブロック112の形状は、節点構造100の設置位置や方向、梁部材10の取り付け位置や取り付け方向に関わらず全て同じである。しかし、節点構造を現場施工する前に、端部ブロック112を梁部材10の端部面11に接合して、端部ブロック付き梁材を作製する。このとき、すでに梁部材10の端部面11と、端部ブロック112の第2接合面113との間で、梁部材10の部材軸や第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸の角度が調節されて、梁部材10と端部ブロック112が接合されている。従って、施工現場では、端部ブロック付き梁材を別途加工することなく、端部ブロック付き梁材を第1接合ブロック102、第2接合ブロック103にボルト接合するだけで、梁部材10を適切な位置、方向に設置することができる。第1接合ブロック102、第2接合ブロック103と端部ブロック付き梁材との接合はボルト接合であり、溶接に比べて容易かつ精度良く部材を接合することができる。よって、本実施形態によれば、節点構造100の施工が容易になる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、図7〜図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係る節点構造200について説明する。図7は、本実施形態に係る節点構造200を示す平面図である。図8は、本実施形態に係る節点構造200を示す断面図であり、図10のB−B線で切断した断面図である。図9は、本実施形態に係る節点構造200を示す断面図であり、図10のC−C線で切断した断面図である。図10は、本実施形態に係る節点構造200を示す側面図である。図11は、本実施形態に係る節点構造200を示す断面図であり、図7のA−A線で切断した断面図である。
【0048】
節点構造200は、梁部材10と、筋交材20と、第1接合ブロック202と、第2接合ブロック203と、端部ブロック212と、高力ボルト222、224と、筋交材押さえ板242、244と、通しボルト252を有する。
【0049】
梁部材10と、第1接合ブロック202と、第2接合ブロック203と、端部ブロック212と、高力ボルト222、224は、上述した第1の実施形態の梁部材10と、第1接合ブロック102と、第2接合ブロック103と、端部ブロック112と、高力ボルト122、124とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
以下で、節点構造100の他の各構成部材について詳細に説明する。
筋交材20は、例えば線状部材であり、鋼製ケーブルなどである。筋交材20は、後述する第1接合ブロック202と、第2接合ブロック203との間に挟持され、固定される。図1に示すように、4つの梁部材10で四角形を構成する場合、筋交材20を節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。
【0051】
筋交材押さえ板242、244は、第1接合ブロック202と第2接合ブロック203との間に設けられる。筋交材押さえ板242は、例えば板状部材である。筋交材押さえ板242の片面には、溝246が形成され、溝246に沿って筋交材20が配設される。また、筋交材押さえ板242は中心にボルト穴243が設けられる。ボルト穴243は、筋交材押さえ板242を例えば貫通して形成され、内部に雌ねじが形成される。
【0052】
筋交材押さえ板244は、例えば板状部材である。筋交材押さえ板244の片面には、溝248が形成され、溝248に沿って筋交材20が配設される。また、筋交材押さえ板244は中心に貫通穴245が設けられる。貫通穴245は、通しボルト252の直径より広い径を有し、通しボルト252が貫通して設置される。
【0053】
通しボルト252は、先端部に雄ねじが形成される。通しボルト252は、貫通穴245を貫通し、ボルト穴243で螺合される。筋交材押さえ板242と、筋交材押さえ板244は、溝246、248が形成された面が互いに対向するように設置される。
【0054】
上述した構成によって、筋交材20が筋交材押さえ板242と筋交材押さえ板244の間に挟持されることによって、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に設けられることになる。その結果、複数の梁材が集合する従来の接合部材において、接合部材の一端部で筋交材を固定する場合に比べて、筋交材による力によって節点にかかる力が偏芯することがない。また、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に位置するため、従来の接合部材のように筋交材や筋交材を固定する部材が接合部材から突出することがなく、省スペース化を図ることができる。更に、筋交材を固定するための部材数を従来に比べて低減させることができる。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、図12〜図16を参照して、本発明の第2の実施形態に係る節点構造300について説明する。図12は、本実施形態に係る節点構造300を示す平面図である。図13は、本実施形態に係る節点構造300を示す断面図であり、図15のB−B線で切断した断面図である。図14は、本実施形態に係る節点構造300を示す断面図であり、図15のC−C線で切断した断面図である。図15は、本実施形態に係る節点構造300を示す側面図である。図16は、本実施形態に係る節点構造300を示す断面図であり、図12のA−A線で切断した断面図である。
【0056】
節点構造300は、梁部材10と、筋交材20と、第1接合ブロック302と、第2接合ブロック303と、端部ブロック312と、高力ボルト322、324と、筋交材押さえ板342と、通しボルト352を有する。
【0057】
梁部材10と、端部ブロック212と、高力ボルト222、224は、上述した第1の実施形態の梁部材10と、端部ブロック112と、高力ボルト122、124とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
以下で、節点構造100の他の各構成部材について詳細に説明する。
筋交材20は、例えば線状部材であり、鋼製ケーブルなどである。筋交材20は、後述する第1接合ブロック302と筋交材押さえ板342の間に挟持され、第2接合ブロック303と筋交材押さえ板342の間に挟持され、固定される。図1に示すように、4つの梁部材10で四角形を構成する場合、筋交材20を節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。
【0059】
第1接合ブロック302は、第1の実施形態の第1接合ブロック102と異なり、中心軸方向一端側に平面上の板材が一体的に設けられる。第1接合ブロック302は、板材と筋交材押さえ板342が互いに対向するように設置される。また、第1接合ブロック302の板材は中心にボルト穴345が設けられる。ボルト穴345は、板材を例えば貫通して形成され、内部に雌ねじが形成される。
【0060】
第2接合ブロック303は、第1の実施形態の第2接合ブロック103と異なり、中心軸方向一端側に平面上の板材が一体的に設けられる。第2接合ブロック303は、板材と筋交材押さえ板342が互いに対向するように設置される。また、第2接合ブロック303の板材は中心に貫通穴349が設けられる。貫通穴349は、通しボルト352の直径より広い径を有し、通しボルト352が貫通して設置される。
【0061】
筋交材押さえ板342は、第1接合ブロック302と第2接合ブロック303との間に設けられる。筋交材押さえ板342は、例えば板状部材である。筋交材押さえ板342の両面には、溝346、348が形成され、溝346、348に沿って筋交材20が配設される。また、筋交材押さえ板342は中心に貫通穴343が設けられる。貫通穴343は、通しボルト352の直径より広い径を有し、通しボルト352が貫通して設置される。通しボルト352は、先端部に雄ねじが形成される。通しボルト352は、貫通穴349、343を貫通し、ボルト穴345で螺合される。
【0062】
上述した構成によって、筋交材20が第1接合ブロック302と筋交材押さえ板342の間に挟持され、筋交材20が第2接合ブロック303と筋交材押さえ板342の間に挟持されることによって、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に設けられることになる。その結果、複数の梁材が集合する従来の接合部材において、接合部材の一端部で筋交材を固定する場合に比べて、筋交材による力によって節点にかかる力が偏芯することがない。また、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に位置するため、従来の接合部材のように筋交材や筋交材を固定する部材が接合部材から突出することがなく、省スペース化を図ることができる。更に、筋交材を固定するための部材数を従来に比べて低減させることができる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ラチスシェル構造の節点構造に適用可能であり、特に筋交材を節点で固定するラチスシェル構造に最適な節点構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ラチスシェル構造の構造体
10 梁部材
11 端部面
20 筋交材
100、200、300 節点構造
102、202、302 第1接合ブロック
103、203、303 第2接合ブロック
104、106、114、116、134、204、206、214、216、243、304、306、314、316、345 ボルト穴
108、109、208、209、308、309 接触面
112、212、312 端部ブロック
113、213、313 第2接合面
118、119、218、219、318、319 第1接合面
122、124、222、224、322、324 高力ボルト
132 上蓋
142 下蓋
143、245、343、349 貫通穴
152、252、352 通しボルト
242、244、342 筋交材押さえ板
246、248、346、348 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラチスシェル構造の節点構造に関し、筋交材を節点で固定するラチスシェル構造に最適な節点構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根などを構成するため、構造体にラチスシェル構造(グリッドシェル構造)が採用される場合がある。ラチスシェル構造は、梁材と、複数の梁材が集合して互いに接合される節点(node)からなる。ラチスシェル構造による構造体の上面又は下面にガラス、鋼板などの板材が設置されて、屋根が構成される。
【0003】
例えば、特許文献1〜5には、梁材と節点における接合部材からなる節点構造に関する技術が開示されている。特許文献1〜4には、梁材と接合部材がボルトによって接合される節点構造が記載され、特許文献5には、梁材に相当する骨組部材3と接合部材に相当する本体部4が溶接よって接合される節点構造が記載されている。その他、ラチスシェル構造の節点は、複数の梁材が溶接によって互いに直接接合されたり、接合部材に梁材が嵌め込まれたりして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−57829号公報
【特許文献2】国際公開第94/20698号
【特許文献3】ソビエト連邦国特許第777170号
【特許文献4】ソビエト連邦国特許第614185号
【特許文献5】特開平9−279749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、4つの梁材で四角形を構成してラチスシェル構造の構造体を構築する場合、梁材のみでは構造体は不安定である。従って、筋交材を梁材が集合する節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。筋交材を節点に固定する技術は、例えば上述した特許文献2や特許文献5にも開示されている。
【0006】
しかし、従来、筋交材は、梁部材が集合して接合する接合部材の軸方向の一端側に固定されてきた。そのため、筋交材による力によって接合部材にかかる力が偏芯し、接合部材において力のバランスをとることが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、筋交材による力によって偏芯することなく簡潔に筋交材を固定することが可能な、新規かつ改良されたラチスシェル構造の節点構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、筒形状の第1の接触面を有する第1の接合部材と、筒形状の第2の接触面を有し、軸方向が同一となるように第1の接合部材と隣接して設けられた第2の接合部材と、第1の接合部材の第1の接触面及び第2の接合部材の第2の接触面と接触し第1の接合部材及び第2の接合部材とボルト接合される梁材と、第1の接合部材と第2の接合部材との間で固定される筋交材とを備えるラチスシェル構造の節点構造が提供される。
【0009】
この構成により、筋交材は、第1の接合部材と第2の接合部材の間に固定され、梁材の梁せいの中間付近に設けられる。
【0010】
上記第1の接合部材の軸方向一端側であって第2の接合部材側に、第1の接合部材と近接して設けられた第1の板材と、第2の接合部材の軸方向一端側であって第1の接合部材側に、第2の接合部材と近接して設けられた第2の板材と、第1の板材と第2の板材とをボルト接合するボルトとを更に備え、第1の板材と第2の板材がボルト接合されることによって、第1の板材と第2の板材の間に配置された筋交材が固定されてもよい。
【0011】
上記第1の接合部材と第1の板材は別部材であり、第2の接合部材と第2の板材は別部材であってもよい。
【0012】
上記第1の接合部材と第1の板材は一体化された同一部材であり、第2の接合部材と第2の板材は一体化された同一部材であり、第1の板材と第2の板材の間に、第1の板材と第2の板材に近接して設けられた第3の板材を更に備え、第1の板材、第2の板材及び第3の板材がボルト接合されることによって、第1の板材と第3の板材の間に配置された筋交材、及び第2の板材と第3の板材の間に配置された筋交材が固定されてもよい。
【0013】
上記梁材は、第1の接合部材及び第2の接合部材とボルト接合される端部材と、端部材と溶接される梁部材とを有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筋交材による力によって偏芯することなく簡潔に筋交材を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラチスシェル構造の構造体1を示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係る節点構造100を示す平面図である。
【図3】同実施形態に係る節点構造100を示す断面図である。
【図4】同実施形態に係る節点構造100を示す断面図である。
【図5】同実施形態に係る節点構造100を示す側面図である。
【図6】同実施形態に係る節点構造100を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る節点構造200を示す平面図である。
【図8】同実施形態に係る節点構造200を示す断面図である。
【図9】同実施形態に係る節点構造200を示す断面図である。
【図10】同実施形態に係る節点構造200を示す側面図である。
【図11】同実施形態に係る節点構造200を示す断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る節点構造300を示す平面図である。
【図13】同実施形態に係る節点構造300を示す断面図である。
【図14】同実施形態に係る節点構造300を示す断面図である。
【図15】同実施形態に係る節点構造300を示す側面図である。
【図16】同実施形態に係る節点構造300を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るラチスシェル構造について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るラチスシェル構造の構造体1を示す斜視図である。
【0018】
ラチスシェル構造は、例えば建築物の屋根などを架構するために用いられる。図1は、本実施形態を説明するために示した形状であり、ラチスシェル構造の構造体の形状は構造体1の形状に限定されず、他の形状で構成されてもよい。
【0019】
ラチスシェル構造の構造体1は、例えば、梁部材10と、筋交材20などからなる。また、複数の梁材が集合するラチスシェル構造の節点には、図2以降に示す通り、梁部材10と筋交材20と第1接合ブロック102と第2接合ブロック103と端部ブロック112などからなる節点構造100が形成される。ラチスシェル構造の構造体1の上面又は下面にガラスや鋼板などの板材が設置されて、屋根が構成される。
【0020】
次に、図2〜図6を参照して、本実施形態に係る節点構造100について説明する。
図2は、本実施形態に係る節点構造100を示す平面図である。図3は、本実施形態に係る節点構造100を示す断面図であり、図5のB−B線で切断した断面図である。図4は、本実施形態に係る節点構造100を示す断面図であり、図5のC−C線で切断した断面図である。図5は、本実施形態に係る節点構造100を示す側面図である。図6は、本実施形態に係る節点構造100を示す断面図であり、図2のA−A線で切断した断面図である。
【0021】
節点構造100は、梁部材10と、筋交材20と、第1接合ブロック102と、第2接合ブロック103と、端部ブロック112と、高力ボルト122、124と、上蓋132と、下蓋142と、通しボルト152を有する。節点構造100は、複数の梁部材10が集合する節点において形成される。図1に示すように、4つの梁部材10で四角形を構成する場合、筋交材20を節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。
【0022】
以下で、節点構造100の各構成部材について詳細に説明する。
梁部材10は、例えば棒状部材であり、鋼製である。梁部材10の端部には端部面11が形成され、端部面11は端部ブロック112と接合される。梁部材10と梁部材10の両端に端部ブロック112が接合された部材は、端部ブロック付き梁材として扱われる。端部ブロック付き梁材は、梁材の一例である。梁部材10は、ラチスシェル構造における梁の一部として作用する。
【0023】
筋交材20は、例えば線状部材であり、鋼製ケーブルなどである。筋交材20は、後述する第1接合ブロック102と、第2接合ブロック103との間に挟持され、固定される。
【0024】
第1接合ブロック102は、第1の接合部材の一例であり、例えば筒形状であり、中心軸と平行な開口を有している。第1接合ブロック102の形状は、節点構造100の設置位置や方向に関わらず一定である。第1接合ブロック102は外周面が円柱面であり、第1接合ブロック102の内周面は高力ボルト122を固定する面が平面である。第1接合ブロック102の高さは、梁部材10の梁せいの約1/2より低い高さである。第1接合ブロック102は、梁部材10から伝達されるモーメントに耐え得る強度を有する強度を有する材質、構造を有する。第1接合ブロック102は、梁部材10が接合される方向であって端部ブロック112と接合される位置において、第1接合ブロック102を貫通するボルト穴104が形成される。
第1接合ブロック102の軸方向一端側であって、第2接合ブロック103側には、筋交材20が配設される。
【0025】
第2接合ブロック103は、第2の接合部材の一例であり、例えば筒形状であり、中心軸と平行な開口を有している。第2接合ブロック103の形状は、節点構造100の設置位置や方向に関わらず一定である。第2接合ブロック103は外周面が円柱面であり、第2接合ブロック103の内周面は高力ボルト124を固定する面が平面である。第2接合ブロック103の高さは、梁部材10の梁せいの約1/2より低い高さである。第2接合ブロック103は、梁部材10から伝達されるモーメントに耐え得る強度を有する強度を有する材質、構造を有する。第2接合ブロック103は、梁部材10が接合される方向であって端部ブロック112と接合される位置において、第2接合ブロック103を貫通するボルト穴106が形成される。
第2接合ブロック103は、中心軸が第1接合ブロック102の中心軸と同一となるように配置され、第1接合ブロック102と隣接して設けられる。第2接合ブロック103の軸方向一端側であって、第1接合ブロック102側には、筋交材20が配設される。
【0026】
ボルト穴104、106は、高力ボルト122、124の直径より広い径を有し、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸から外周面に向かって、中心軸に対して垂直に形成される。ボルト穴104は、ボルト穴106の上側に位置する。上下関係にある1つのボルト穴104と1つのボルト穴106は、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸と平行に配置される。
【0027】
接触面108は、第1接合ブロック102の外周面の一部であり、端部ブロック112の第1接合面118と接触する。接触面109は、第2接合ブロック103の外周面の一部であり、端部ブロック112の第1接合面119と接触する。
【0028】
端部ブロック112は、端部材の一例であり、梁部材10の端部に溶接によって設けられる。端部ブロック112の形状は、節点構造100の設置位置や方向に関わらず一定である。端部ブロック112は、第1接合面118、119と、第2接合面113を有する。
【0029】
端部ブロック112の第1接合面118、119はそれぞれ、第1接合ブロック102の接触面108、第2接合ブロック103の接触面109と接触し、高力ボルト122、124によって第1接合ブロック102とボルト接合される。第1接合面118、119の形状は、第1接合ブロック102の接触面108、第2接合ブロック103の接触面109の形状に沿った形を有する。本実施形態では、接触面108、109は円筒面であるから、第1接合面118、119も円筒面に沿った凹面を有する。端部ブロック112は、第1接合ブロック102の第1接合面118、第2接合ブロック103の第1接合面119側に開口したボルト穴114、116が形成される。
【0030】
端部ブロック112の第2接合面113は、梁部材10の端部面11と溶接される。第2接合面113は、例えば第1接合面118、119と対向する位置に設けられる。
端部ブロック112は、梁部材10の取り付け位置や取り付け方向、第1接合ブロック102、第2接合ブロック103との接合位置に影響されず、また節点の位置にも影響されず、常に同一の形状を有する。即ち、端部ブロック112は、第1接合面118が第1接合ブロック102とボルト接合され、第1接合面119が第2接合ブロック103とボルト接合されたときに、接触面108、109の位置に関わらず、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する第2接合面113の角度が一意に規定される形状に形成されている。
【0031】
ボルト穴114、116は、端部ブロック112が第1接合ブロック102及び第2接合ブロック103に接合されたとき、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸から端部ブロック112に向かって、中心軸に対して垂直である直線上に形成される。ボルト穴114は、端部ブロック112の上側に位置し、ボルト穴116は、端部ブロック112の下側に位置する。上下関係にある1つのボルト穴114と1つのボルト穴116は、端部ブロック112が第1接合ブロック102及び第2接合ブロック103に接合されたとき、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸と平行になるように配置される。ボルト穴114は第1接合ブロック102のボルト穴104と対応し、ボルト穴116は第2接合ブロック103のボルト穴106と対応する。ボルト穴114、116は、内部に雌ねじが形成される。
【0032】
高力ボルト122、124は、先端部分に雄ねじが形成される。高力ボルト122は、第1接合ブロック102の内部から外側に向かって挿入され、第1接合ブロック102のボルト穴104を貫通し、端部ブロック112のボルト穴114で螺合される。高力ボルト124は、第2接合ブロック103の内部から外側に向かって挿入され、第2接合ブロック103のボルト穴106を貫通し、端部ブロック112のボルト穴116で螺合される。上下関係で挿入される1つの高力ボルト122と1つの高力ボルト124が1対となって、1つの端部ブロック112と第1接合ブロック102及び第2接合ブロック103をボルト接合する。
【0033】
上蓋132は、例えば板状部材であり、第1接合ブロック102の軸方向端部、例えば上端部に設けられる。上蓋132は、図6に示すように、第1接合ブロック102に形成された開口部に嵌め合わせ可能なように、突起形状を有する。これにより、筋交材20の引張り力などによる上蓋132のずれを防止できる。上蓋132は、中心にボルト穴134が形成される。
ボルト穴134は、上蓋132を例えば貫通して形成され、内部に雌ねじが形成される。
【0034】
下蓋142は、例えば板状部材であり、第2接合ブロック103の軸方向端部、例えば下端部に設けられる。下蓋142は、図6に示すように、第2接合ブロック103に形成された開口部に嵌め合わせ可能なように、突起形状を有する。これにより、筋交材20の引張り力などによる下蓋142のずれを防止できる。下蓋142は、中心に貫通穴143が形成される。
貫通穴143は、通しボルト152の直径より広い径を有し、通しボルト152が貫通して設置される。通しボルト152は、先端部に雄ねじが形成される。通しボルト152は、貫通穴143を貫通し、ボルト穴134で螺合される。
【0035】
上述した構成によって、筋交材20が第1接合ブロック102と第2接合ブロック103の間に挟持されることによって、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に設けられることになる。その結果、複数の梁材が集合する従来の接合部材において、接合部材の一端部で筋交材を固定する場合に比べて、筋交材による力によって節点にかかる力が偏芯することがない。また、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に位置するため、従来の接合部材のように筋交材や筋交材を固定する部材が接合部材から突出することがなく、省スペース化を図ることができる。更に、筋交材を固定するための部材数を従来に比べて低減させることができる。
【0036】
次に、本実施形態に係るラチスシェル構造の構造体1及び節点構造100の設計・施工方法について説明する。
【0037】
節点構造100に用いる第1接合ブロック102、第2接合ブロック103、端部ブロック112は、節点構造100の設置位置や設置方向に関わらず一定の形状のものを用いる。本実施形態によれば、ラチスシェル構造の構造体1の施工現場で、梁部材10等に合わせて、第1接合ブロック102、第2接合ブロック103、端部ブロック112を加工する必要がない。
【0038】
ラチスシェル構造の構造体1を構築するためには、まず、節点の位置や数、梁部材10の位置や数を決定する。これにより、梁部材10のおおよその長さを決定できる。また、筋交材20についても節点に基づいて同様に長さなどが決定される。
【0039】
そして、節点構造に用いる第1接合ブロック102、第2接合ブロック103や端部ブロック112の形状を決定する。第1接合ブロック102、第2接合ブロック103や端部ブロック112は、節点構造100の設置位置や設置方向に関わらず一定の形状のものを共通して用いるから、節点の数に合わせて作製すればよい。上述した例では、第1接合ブロック102と第2接合ブロック103には、4つの端部ブロック112が設けられ、それぞれ隣接する端部ブロック112の接合位置のなす角度が90度である。
【0040】
次に、第1接合ブロック102と第2接合ブロック103の設置方向を決定し、設置時における第1接合ブロック102と第2接合ブロック103の中心軸方向を決定する。端部ブロック112は、端部ブロック112の第1接合面118が第1接合ブロック102の接触面108とボルト接合され、第2の接合面が第2接合ブロック103の接触面109とボルト接合されたときに、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する第2接合面113の角度が一意に規定される形状に形成されている。
【0041】
従って、第2接合面113の第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する角度と、第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸に対する梁部材10の設置角度を考慮して、第2接合面113と溶接される梁部材10の端部面11の形状を決定し、決定された形状に端部面11を加工する。そして、梁部材10の端部面11と端部ブロック112の第2接合面113とを溶接する。この溶接作業は、ラチスシェル構造の構造体1の施工現場ではなく、例えば工場などで行う。この梁部材10と端部ブロック112が溶接されて組み合わされた部材(以下、「端部ブロック付き梁材」という。)を、複数作製して、施工現場に搬出する。
【0042】
そして、ラチスシェル構造の構造体1の施工現場において、第1接合ブロック102と第2接合ブロック103と端部ブロック付き梁材などを設置場所に配置する。第1接合ブロック102と第2接合ブロック103は、全て同一形状であるから、いずれの節点に配置してもよい。端部ブロック付き梁材は、梁部材10の取り付け位置および取り付け方向を考慮して、梁部材10に端部ブロック112が接合されている部材であるから、予め決定してある適切な節点に配置する。
【0043】
その後、端部ブロック112の第1接合面118と、第1接合ブロック102の接触面108、第2接合ブロック103の接触面109とをボルト接合する。このとき、筋交材20も同時に節点ごとに配置する。このボルト接合作業を1組の第1接合ブロック102、第2接合ブロック103において複数の端部ブロック付き梁材や筋交材20に対して行い、更に、別の節点の接合ブロックの組においても同様の作業をすることで、ラチスシェル構造の構造体1を構築する。
【0044】
通常、曲面形状を有するラチスシェル構造の節点において、接合部材に複数の梁材が接合されるとき、梁材の取り付け位置や取り付け方向は、梁材ごとに異なる。従って、従来、梁材ごとに接合部材と接合する梁材の端部面の形状を異ならせる必要があった。また、節点の位置によっても、梁材の端部面の形状が異なってくる。従って、梁材を工場で作製したとしても、施工現場で梁材の端部面を加工する必要があり、労力と時間がかかっていた。
【0045】
また、従来、接合部材と梁材とを接合する節点構造で、接合部材を節点位置に関わらず全て同じにしてボルト接合を用いるものもあったが、梁材の取り付け方向や取り付け位置は、接合部材の形状に依存していた。そのため、接合部材を共通化し、接合部材と梁材との接合をボルト接合にすると、決められた方向にしか梁材を取り付けることができないため、例えば対称形状ではない複雑な曲面形状を有するラチスシェル構造を構築できなかった。
【0046】
一方、本実施形態によれば、節点構造100に用いる第1接合ブロック102、第2接合ブロック103、端部ブロック112の形状は、節点構造100の設置位置や方向、梁部材10の取り付け位置や取り付け方向に関わらず全て同じである。しかし、節点構造を現場施工する前に、端部ブロック112を梁部材10の端部面11に接合して、端部ブロック付き梁材を作製する。このとき、すでに梁部材10の端部面11と、端部ブロック112の第2接合面113との間で、梁部材10の部材軸や第1接合ブロック102又は第2接合ブロック103の中心軸の角度が調節されて、梁部材10と端部ブロック112が接合されている。従って、施工現場では、端部ブロック付き梁材を別途加工することなく、端部ブロック付き梁材を第1接合ブロック102、第2接合ブロック103にボルト接合するだけで、梁部材10を適切な位置、方向に設置することができる。第1接合ブロック102、第2接合ブロック103と端部ブロック付き梁材との接合はボルト接合であり、溶接に比べて容易かつ精度良く部材を接合することができる。よって、本実施形態によれば、節点構造100の施工が容易になる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、図7〜図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係る節点構造200について説明する。図7は、本実施形態に係る節点構造200を示す平面図である。図8は、本実施形態に係る節点構造200を示す断面図であり、図10のB−B線で切断した断面図である。図9は、本実施形態に係る節点構造200を示す断面図であり、図10のC−C線で切断した断面図である。図10は、本実施形態に係る節点構造200を示す側面図である。図11は、本実施形態に係る節点構造200を示す断面図であり、図7のA−A線で切断した断面図である。
【0048】
節点構造200は、梁部材10と、筋交材20と、第1接合ブロック202と、第2接合ブロック203と、端部ブロック212と、高力ボルト222、224と、筋交材押さえ板242、244と、通しボルト252を有する。
【0049】
梁部材10と、第1接合ブロック202と、第2接合ブロック203と、端部ブロック212と、高力ボルト222、224は、上述した第1の実施形態の梁部材10と、第1接合ブロック102と、第2接合ブロック103と、端部ブロック112と、高力ボルト122、124とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
以下で、節点構造100の他の各構成部材について詳細に説明する。
筋交材20は、例えば線状部材であり、鋼製ケーブルなどである。筋交材20は、後述する第1接合ブロック202と、第2接合ブロック203との間に挟持され、固定される。図1に示すように、4つの梁部材10で四角形を構成する場合、筋交材20を節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。
【0051】
筋交材押さえ板242、244は、第1接合ブロック202と第2接合ブロック203との間に設けられる。筋交材押さえ板242は、例えば板状部材である。筋交材押さえ板242の片面には、溝246が形成され、溝246に沿って筋交材20が配設される。また、筋交材押さえ板242は中心にボルト穴243が設けられる。ボルト穴243は、筋交材押さえ板242を例えば貫通して形成され、内部に雌ねじが形成される。
【0052】
筋交材押さえ板244は、例えば板状部材である。筋交材押さえ板244の片面には、溝248が形成され、溝248に沿って筋交材20が配設される。また、筋交材押さえ板244は中心に貫通穴245が設けられる。貫通穴245は、通しボルト252の直径より広い径を有し、通しボルト252が貫通して設置される。
【0053】
通しボルト252は、先端部に雄ねじが形成される。通しボルト252は、貫通穴245を貫通し、ボルト穴243で螺合される。筋交材押さえ板242と、筋交材押さえ板244は、溝246、248が形成された面が互いに対向するように設置される。
【0054】
上述した構成によって、筋交材20が筋交材押さえ板242と筋交材押さえ板244の間に挟持されることによって、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に設けられることになる。その結果、複数の梁材が集合する従来の接合部材において、接合部材の一端部で筋交材を固定する場合に比べて、筋交材による力によって節点にかかる力が偏芯することがない。また、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に位置するため、従来の接合部材のように筋交材や筋交材を固定する部材が接合部材から突出することがなく、省スペース化を図ることができる。更に、筋交材を固定するための部材数を従来に比べて低減させることができる。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、図12〜図16を参照して、本発明の第2の実施形態に係る節点構造300について説明する。図12は、本実施形態に係る節点構造300を示す平面図である。図13は、本実施形態に係る節点構造300を示す断面図であり、図15のB−B線で切断した断面図である。図14は、本実施形態に係る節点構造300を示す断面図であり、図15のC−C線で切断した断面図である。図15は、本実施形態に係る節点構造300を示す側面図である。図16は、本実施形態に係る節点構造300を示す断面図であり、図12のA−A線で切断した断面図である。
【0056】
節点構造300は、梁部材10と、筋交材20と、第1接合ブロック302と、第2接合ブロック303と、端部ブロック312と、高力ボルト322、324と、筋交材押さえ板342と、通しボルト352を有する。
【0057】
梁部材10と、端部ブロック212と、高力ボルト222、224は、上述した第1の実施形態の梁部材10と、端部ブロック112と、高力ボルト122、124とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
以下で、節点構造100の他の各構成部材について詳細に説明する。
筋交材20は、例えば線状部材であり、鋼製ケーブルなどである。筋交材20は、後述する第1接合ブロック302と筋交材押さえ板342の間に挟持され、第2接合ブロック303と筋交材押さえ板342の間に挟持され、固定される。図1に示すように、4つの梁部材10で四角形を構成する場合、筋交材20を節点に固定することで、ラチスシェル構造を安定的に維持することができる。
【0059】
第1接合ブロック302は、第1の実施形態の第1接合ブロック102と異なり、中心軸方向一端側に平面上の板材が一体的に設けられる。第1接合ブロック302は、板材と筋交材押さえ板342が互いに対向するように設置される。また、第1接合ブロック302の板材は中心にボルト穴345が設けられる。ボルト穴345は、板材を例えば貫通して形成され、内部に雌ねじが形成される。
【0060】
第2接合ブロック303は、第1の実施形態の第2接合ブロック103と異なり、中心軸方向一端側に平面上の板材が一体的に設けられる。第2接合ブロック303は、板材と筋交材押さえ板342が互いに対向するように設置される。また、第2接合ブロック303の板材は中心に貫通穴349が設けられる。貫通穴349は、通しボルト352の直径より広い径を有し、通しボルト352が貫通して設置される。
【0061】
筋交材押さえ板342は、第1接合ブロック302と第2接合ブロック303との間に設けられる。筋交材押さえ板342は、例えば板状部材である。筋交材押さえ板342の両面には、溝346、348が形成され、溝346、348に沿って筋交材20が配設される。また、筋交材押さえ板342は中心に貫通穴343が設けられる。貫通穴343は、通しボルト352の直径より広い径を有し、通しボルト352が貫通して設置される。通しボルト352は、先端部に雄ねじが形成される。通しボルト352は、貫通穴349、343を貫通し、ボルト穴345で螺合される。
【0062】
上述した構成によって、筋交材20が第1接合ブロック302と筋交材押さえ板342の間に挟持され、筋交材20が第2接合ブロック303と筋交材押さえ板342の間に挟持されることによって、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に設けられることになる。その結果、複数の梁材が集合する従来の接合部材において、接合部材の一端部で筋交材を固定する場合に比べて、筋交材による力によって節点にかかる力が偏芯することがない。また、筋交材20が梁部材10の梁せいの中心付近に位置するため、従来の接合部材のように筋交材や筋交材を固定する部材が接合部材から突出することがなく、省スペース化を図ることができる。更に、筋交材を固定するための部材数を従来に比べて低減させることができる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ラチスシェル構造の節点構造に適用可能であり、特に筋交材を節点で固定するラチスシェル構造に最適な節点構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ラチスシェル構造の構造体
10 梁部材
11 端部面
20 筋交材
100、200、300 節点構造
102、202、302 第1接合ブロック
103、203、303 第2接合ブロック
104、106、114、116、134、204、206、214、216、243、304、306、314、316、345 ボルト穴
108、109、208、209、308、309 接触面
112、212、312 端部ブロック
113、213、313 第2接合面
118、119、218、219、318、319 第1接合面
122、124、222、224、322、324 高力ボルト
132 上蓋
142 下蓋
143、245、343、349 貫通穴
152、252、352 通しボルト
242、244、342 筋交材押さえ板
246、248、346、348 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の第1の接触面を有する第1の接合部材と、
筒形状の第2の接触面を有し、軸方向が同一となるように前記第1の接合部材と隣接して設けられた第2の接合部材と、
前記第1の接合部材の前記第1の接触面及び前記第2の接合部材の前記第2の接触面と接触し前記第1の接合部材及び前記第2の接合部材とボルト接合される梁材と、
前記第1の接合部材と前記第2の接合部材との間で固定される筋交材と
を備える、ラチスシェル構造の節点構造。
【請求項2】
前記第1の接合部材の軸方向一端側であって前記第2の接合部材側に、前記第1の接合部材と近接して設けられた第1の板材と、
前記第2の接合部材の軸方向一端側であって前記第1の接合部材側に、前記第2の接合部材と近接して設けられた第2の板材と、
前記第1の板材と前記第2の板材とをボルト接合するボルトと、
を更に備え、
前記第1の板材と前記第2の板材がボルト接合されることによって、前記第1の板材と前記第2の板材の間に配置された前記筋交材が固定される、請求項1に記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項3】
前記第1の接合部材と前記第1の板材は別部材であり、前記第2の接合部材と前記第2の板材は別部材である、請求項2に記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項4】
前記第1の接合部材と前記第1の板材は一体化された同一部材であり、
前記第2の接合部材と前記第2の板材は一体化された同一部材であり、
前記第1の板材と前記第2の板材の間に、前記第1の板材と前記第2の板材に近接して設けられた第3の板材を更に備え、
前記第1の板材、前記第2の板材及び前記第3の板材がボルト接合されることによって、前記第1の板材と前記第3の板材の間に配置された前記筋交材、及び前記第2の板材と前記第3の板材の間に配置された前記筋交材が固定される、請求項2に記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項5】
前記梁材は、
前記第1の接合部材及び前記第2の接合部材とボルト接合される端部材と、
前記端部材と溶接される梁部材と、
を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項1】
筒形状の第1の接触面を有する第1の接合部材と、
筒形状の第2の接触面を有し、軸方向が同一となるように前記第1の接合部材と隣接して設けられた第2の接合部材と、
前記第1の接合部材の前記第1の接触面及び前記第2の接合部材の前記第2の接触面と接触し前記第1の接合部材及び前記第2の接合部材とボルト接合される梁材と、
前記第1の接合部材と前記第2の接合部材との間で固定される筋交材と
を備える、ラチスシェル構造の節点構造。
【請求項2】
前記第1の接合部材の軸方向一端側であって前記第2の接合部材側に、前記第1の接合部材と近接して設けられた第1の板材と、
前記第2の接合部材の軸方向一端側であって前記第1の接合部材側に、前記第2の接合部材と近接して設けられた第2の板材と、
前記第1の板材と前記第2の板材とをボルト接合するボルトと、
を更に備え、
前記第1の板材と前記第2の板材がボルト接合されることによって、前記第1の板材と前記第2の板材の間に配置された前記筋交材が固定される、請求項1に記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項3】
前記第1の接合部材と前記第1の板材は別部材であり、前記第2の接合部材と前記第2の板材は別部材である、請求項2に記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項4】
前記第1の接合部材と前記第1の板材は一体化された同一部材であり、
前記第2の接合部材と前記第2の板材は一体化された同一部材であり、
前記第1の板材と前記第2の板材の間に、前記第1の板材と前記第2の板材に近接して設けられた第3の板材を更に備え、
前記第1の板材、前記第2の板材及び前記第3の板材がボルト接合されることによって、前記第1の板材と前記第3の板材の間に配置された前記筋交材、及び前記第2の板材と前記第3の板材の間に配置された前記筋交材が固定される、請求項2に記載のラチスシェル構造の節点構造。
【請求項5】
前記梁材は、
前記第1の接合部材及び前記第2の接合部材とボルト接合される端部材と、
前記端部材と溶接される梁部材と、
を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のラチスシェル構造の節点構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−47207(P2011−47207A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197049(P2009−197049)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】
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