ラッピング工具
【課題】導線と端子との電気的な接続状態を確保すること。
【解決手段】略円筒形状をなすアウターパーツ201の内周側に端子の挿入が可能なラッピング端子挿入通路206およびラッピング端子挿入口207を設け、アウターパーツ201の内周側であってラッピング端子挿入通路206よりも外周側に、アウターパーツ201の軸心を中心として当該アウターパーツ201に対して回動可能なジャンパー線巻き付け部202を設け、ラッピング端子挿入口207において、アウターパーツ201に対するジャンパー線の芯線の位置が一定となるように当該ジャンパー線の芯線をガイドするジャンパー線側路208と、ジャンパー線巻き付け部202に設けられて、ジャンパー線側路208よりもラッピング端子挿入口207から離間した位置においてジャンパー線の芯線の先端部を保持するジャンパー線保持通路217と、を備えたラッピング工具100を構成した。
【解決手段】略円筒形状をなすアウターパーツ201の内周側に端子の挿入が可能なラッピング端子挿入通路206およびラッピング端子挿入口207を設け、アウターパーツ201の内周側であってラッピング端子挿入通路206よりも外周側に、アウターパーツ201の軸心を中心として当該アウターパーツ201に対して回動可能なジャンパー線巻き付け部202を設け、ラッピング端子挿入口207において、アウターパーツ201に対するジャンパー線の芯線の位置が一定となるように当該ジャンパー線の芯線をガイドするジャンパー線側路208と、ジャンパー線巻き付け部202に設けられて、ジャンパー線側路208よりもラッピング端子挿入口207から離間した位置においてジャンパー線の芯線の先端部を保持するジャンパー線保持通路217と、を備えたラッピング工具100を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被覆を剥いた導線を端子に巻きつけることによって当該導線と当該端子とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば通信回線の電子回路への配線作業に際しては、電子回路における該当する端子に電線(ジャンパー線)を接続する作業をおこなう。この接続作業は、たとえば電子回路が備える複数の端子のうち、ジャンパー線の接続対象となるラッピング端子に、被覆を剥いて芯線を露出させたジャンパー線を数回巻きつけることで電気的接続を得る、いわゆるラッピングと称される方法によっておこなうことができる。
【0003】
従来、このようなラッピングによる接続作業は、ラッピング端子に対してジャンパー線を手動で巻きつけたり、ラッピング端子にジャンパー線を巻きつけるラッピング工具を用いたりしておこなっていた。ラッピングによる接続作業をおこなうことによって、はんだ付けによる接続作業をおこなう場合と比較して、接続作業の容易化を図ることができる。
【0004】
また、従来、たとえばラッピング工具の先端部に引っ掛け爪を付けることにより、ジャンパー線のラッピング接続作業の途中で、ジャンパー線がラッピング工具から抜けてしまうことによる作業性の低下を防止するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−82789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1を含む従来の技術では、ラッピング端子にジャンパー線を巻きつけるだけの構造であるため、ラッピング接続作業中にジャンパー線を引っ張ったりしているうちに、ジャンパー線が緩んでしまうという問題があった。緩んだ状態のジャンパー線はラッピング端子から外れやすく、ジャンパー線がラッピング端子から外れてしまった場合は接続が遮断されてしまうことになる。
【0007】
また、上述した特許文献1を含む従来の技術では、ジャンパー線の被覆を剥き過ぎて、芯線が長く露出した状態でラッピングした場合に、被覆を剥き過ぎたジャンパー線が他のラッピング端子と接触し、混信してしまうという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、導線と端子との電気的な接続状態を確保することができるラッピング工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるラッピング工具は、被覆を剥いた導線を端子に巻きつけることによって当該導線と当該端子とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具であって、略円筒形状をなし、内周側に前記端子の挿入が可能な管状の空間をなす端子挿入部が設けられたアウターパーツと、前記アウターパーツの内周側であって前記端子挿入部よりも外周側に設けられる略管形状をなし、前記アウターパーツの軸心を中心として当該アウターパーツに対して回動可能に設けられたインナーパーツと、前記端子挿入部において、前記アウターパーツに対する前記導線の位置が一定となるように当該導線をガイドする導線ガイド部と、前記インナーパーツに設けられて、前記導線ガイド部よりも前記端子挿入部から離間した位置において前記導線の先端部を保持する導線保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、導線ガイド部によって導線をガイドするとともに導線保持部によって導線の先端部を保持した状態で端子挿入部に端子を挿入し、アウターパーツに対してインナーパーツを回転させることにより、導線保持部によって保持している導線を、導線ガイド部によってガイドされている導線および端子に巻き付けることができる。その後、導線ガイド部によってガイドされている導線を端子から離反する方向に引っ張ることにより、端子に巻き付けた導線を当該端子に対してより強く巻き付かせることができる。
【0011】
導線においては導線自体にかかる張力によって、当該導線を端子から離反させる方向に引っ張る力が作用している。この発明によれば、導線にかかる張力を利用して、当該張力がかかっている間は端子に巻き付けた導線が常に端子に巻き付くような力をかけることができる。これによって、端子に巻き付けた導線の緩みを防止することができる。
【0012】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記アウターパーツに設けられ、当該アウターパーツの外側から前記インナーパーツの回転操作を可能とする操作用開口部を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、アウターパーツの外側からインナーパーツを回転させることができるので、導線保持部によって保持している導線を、導線ガイド部によってガイドされている導線および端子に容易に巻き付けることができる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0014】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記導線ガイド部が、前記端子挿入部に挿入された前記端子に前記導線が隣接するように当該導線をガイドすることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、導線ガイド部によってガイドされている導線を端子から離反する方向に引っ張った場合に、導線ガイド部によってガイドされている導線と端子とを確実に接触させることができる。これによって、導線と端子とが接触する面積を増やすことができる。
【0016】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記アウターパーツに対して前記インナーパーツが所定の位置に位置づけられた場合に、前記導線ガイド部によってガイドされる前記導線の前記アウターパーツの外側への取り出しを可能とする導線引き抜き部を備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、導線と端子とを電気的に接続した後、ラッピング端子からラッピング工具を任意に取り外すことができる。これによって、ラッピング端子からラッピング工具を取り外した場合は同じラッピング工具を用いて複数箇所のラッピング端子に対するラッピング接続をおこなうことができ、ラッピング端子にラッピング工具を取り付けたままの場合はラッピング工具によってラッピング端子を保護することができる。
【0018】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記導線引き抜き部が、前記アウターパーツおよび前記インナーパーツに設けられ、前記導線ガイド部による前記導線のガイド方向に沿って、前記端子挿入部と外部とを連通するスリットであることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、簡易な構成によって導線引き抜き部を実現することができる。これによって、ラッピング工具の小型化、軽量化、ラッピング工具の取り扱い性などの向上を図ることができ、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0020】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記スリットが、前記軸心を中心とする円の半径方向に対して屈曲あるいは湾曲した形状をなすことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、ラッピング接続の作業中に端子挿入部内の導線がスリットを介して不用意に外部に抜け出してしまうことを防止できる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明にかかるラッピング工具によれば、端子に巻き付けた導線の緩みを防止することができるので、導線と端子との電気的な接続状態を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の外観を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の構造を示す説明図(その1)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の構造を示す説明図(その2)である。
【図4】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の構造を示す説明図(その3)である。
【図5−1】端子台の構造を示す説明図(その1)である。
【図5−2】端子台の構造を示す説明図(その2)である。
【図5−3】端子台の構造を示す説明図(その3)である。
【図6】ラッピング接続作業に際してのラッピング工具の動作を示す説明図(その1)である。
【図7】ラッピング接続作業に際してのラッピング工具の動作を示す説明図(その2)である。
【図8】ラッピング接続作業に際してのラッピング工具の動作を示す説明図(その3)である。
【図9】ラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その1)である。
【図10】ラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その2)である。
【図11】従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法を示す説明図(その1)である。
【図12】従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法を示す説明図(その2)である。
【図13】従来のラッピング工具を用いてジャンパー線を巻き付けたラッピング端子を示す説明図である。
【図14】従来のラッピング工具を用いてラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その1)である。
【図15】従来のラッピング工具を用いてラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるラッピング工具の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態)
まず、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の外観を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100は、被覆を剥いたジャンパー線(図6、図7、図8、図9および図10における符号601を参照)を、接続対象とする端子(図5−1、図5−2および図5−3を参照)に巻きつけることによって、ジャンパー線と端子とを電気的に接続するラッピング接続作業に際して用いる。
【0026】
この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100は、たとえば略円柱形状あるいは棒形状をなしている。また、ラッピング工具100は、ラッピング接続作業をおこなう作業者が片手で操作することができる程度の大きさをなしている。具体的には、ラッピング工具100は、たとえばドライバーなどの工具類の程度の大きさをなしている。
【0027】
ラッピング工具100の先端(図1における紙面下側)には、ラッピング端子挿入口(図2および図3を参照)が設けられている。ラッピング端子挿入口は、ジャンパー線の接続対象となる端子(以下「ラッピング端子」という)を挿入可能な開口径で開口している。
【0028】
ラッピング工具100を用いたラッピング接続作業に際しては、ラッピング端子挿入口にラッピング端子が挿入された状態とし、この状態でラッピング端子を中心としてラッピング工具100を回転させる。このため、ラッピング工具100の先端における外径寸法は、ラッピング端子に隣接する端子どうしの間隔よりも小さくなるような大きさとされている。
【0029】
(ラッピング工具100の構造)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100の構造について説明する。図2、図3および図4は、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100の構造を示す説明図である。
【0030】
図2においては、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100において、ラッピング接続にかかわる機構部を斜め方向から見た状態を示している。図3においては、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100において、ラッピング接続にかかわる機構部を分解して斜め方向から見た状態を示している。図4においては、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100を、図2におけるA−A線で切断した断面を示している。
【0031】
図2、図3および図4において、ラッピング工具100は、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202とを備えている。この実施の形態においては、ジャンパー線巻き付け部202によってインナーパーツを実現することができる。アウターパーツ201は、外枠カバー203とジャンパー線支持部204とを備えている。外枠カバー203およびジャンパー線支持部204は、ともに略円筒形状をなしている。
【0032】
ジャンパー線支持部204は、外枠カバー203の内周側に設けられている。このため、ジャンパー線支持部204の直径寸法は、外枠カバー203の直径寸法よりも小さい。ジャンパー線支持部204は、ジャンパー線支持部204の軸心が外枠カバー203の軸心に重なる状態で、外枠カバー203の内周側に設けられている。ジャンパー線支持部204の軸心方向における寸法は、外枠カバー203の軸心方向における寸法よりも小さい。
【0033】
外枠カバー203とジャンパー線支持部204とは、外枠カバー203およびジャンパー線支持部204の軸心方向における一端側(図1および図2における紙面上側)において、固定部205を介して連結されている。アウターパーツ201は、外枠カバー203および固定部205によって略キャップ形状の外観をなし、この外枠カバー203の内周側に当該外枠カバー203の底面をなす固定部205から突出するようにジャンパー線支持部204を組み合わせて構成されている。
【0034】
ジャンパー線支持部204の内側における略円筒形状をなす空間は、ラッピング端子挿入通路206を構成している。ラッピング端子挿入通路206は、アウターパーツ201を軸心方向(図2および図3における紙面上下方向)に貫通している。図2および図3において符号207は上述したラッピング端子挿入口を示している。
【0035】
この実施の形態においては、ラッピング端子挿入通路206およびラッピング端子挿入口207によって端子挿入部を実現することができる。ラッピング端子挿入口207は、ラッピング端子挿入通路206における一端側の端部によって実現されている。ラッピング端子挿入通路206およびラッピング端子挿入口207は、ラッピング端子の直径寸法より大きい開口径で開口している。
【0036】
ジャンパー線支持部204の軸心方向における寸法が外枠カバー203の軸心方向における寸法よりも小さいため、アウターパーツ201は、軸心方向における一端側においてはジャンパー線支持部204の内径と同じ開口径で開口し、軸心方向における他端側(図1および図2における紙面下側)においては外枠カバー203の内径と同じ開口径で開口している。
【0037】
ジャンパー線支持部204は、ジャンパー線側路208を備えている。この実施の形態においては、ジャンパー線側路208によってジャンパー線の芯線ガイド部を実現することができる。ジャンパー線側路208は、アウターパーツ201を軸心方向に貫通している。ジャンパー線側路208は、ラッピング端子挿入通路206に沿って、当該ラッピング端子挿入通路206の周縁部分に連続するように設けられている。
【0038】
これにより、アウターパーツ201の一端側に位置する固定部205においては、アウターパーツ201を軸心方向に貫通するラッピング端子挿入通路206とジャンパー線側路208とによって、円における外縁部分の一部を外周側へ引き出した、略鍵穴状の開口が形成されている。
【0039】
ジャンパー線側路208は、ジャンパー線側路口209を境にして内径が異なっている。ジャンパー線側路208は、ジャンパー線側路口209よりも固定部205側の内径が、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側の内径よりも大きくなるように形成されており、これにより、ジャンパー線側路208の内径はアウターパーツ201の軸心方向に沿って2段階に変化している。
【0040】
ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線の芯線の外径寸法(断面の直径寸法)と同等であって、かつ、被覆を剥いていない状態のジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも小さいことが好ましい。
【0041】
あるいは、ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線の芯線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも若干大きく、かつ、被覆を剥いていない状態のジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも小さいものであってもよい。
【0042】
いずれの場合にも、ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線側路208におけるジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側に、被覆を剥いていない状態のジャンパー線が容易に入り込まない程度とされていることが好ましい。
【0043】
また、ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)と同等あるいはジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも大きいことが好ましい。
【0044】
アウターパーツ201は、外枠カバー203およびジャンパー線支持部204の一部を、軸心方向に沿って切り欠いたスリット211を備えている。スリット211は、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に沿って、外枠カバー203およびジャンパー線支持部204をそれぞれ切り欠くように設けられている。外枠カバー203およびジャンパー線支持部204に設けられた各スリット211は、アウターパーツ201の軸心に対して同一の角度位置に設けられている。これにより、アウターパーツ201の断面形状は、略C字形状をなしている。
【0045】
アウターパーツ201に設けられた各スリット211は、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に対して湾曲あるいは屈曲した形状をなしている。図1および図2においては、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に対して、クランク状に屈曲したスリット211が示されている。
【0046】
外枠カバー203には、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に沿って外枠カバー203を貫通する回転部用開口部212が設けられている。この実施の形態においては、回転部用開口部212によって操作用開口部を実現することができる。この回転部用開口部212は、軸心方向における外枠カバー203の略中央部分に設けられている。また、回転部用開口部212は、アウターパーツ201の軸心を中心とする円周に沿って複数設けられている。
【0047】
アウターパーツ201において、軸心方向における他端側(図1および図2における紙面下側)には、カギ爪部材213が設けられている。カギ爪部材213は、略円錐形状をなすカギ爪213aと、当該カギ爪213aを外枠カバー203において支持する支持部材213bとを備えている。カギ爪部材213は、カギ爪213aの先端を軸心方向においてアウターパーツ201の固定部205から離反する方向に向けた状態で、外枠カバー203に固定されている。
【0048】
ジャンパー線巻き付け部202は、略円筒形状をなしている。ジャンパー線巻き付け部202の外径寸法は、アウターパーツ201における外枠カバー203の内径寸法よりも小さい。ジャンパー線巻き付け部202の内径寸法は、アウターパーツ201におけるジャンパー線支持部204の外径寸法よりも大きい。
【0049】
ジャンパー線巻き付け部202は、アウターパーツ201における外枠カバー203とジャンパー線支持部204との間に嵌め込まれるようにして、アウターパーツ201の内側に設けられる。ジャンパー線巻き付け部202は、アウターパーツ201に対して、アウターパーツ201およびジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心として相対的に回動可能に設けられている。
【0050】
ジャンパー線巻き付け部202は、ジャンパー線巻き付け部202の一部を、軸心方向に沿って切り欠いたスリット214を備えている。スリット214は、ジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心とする円の半径方向に沿ってジャンパー線巻き付け部202を貫通するように設けられている。これにより、ジャンパー線巻き付け部202の断面形状は、略C字形状をなしている。
【0051】
スリット214は、ジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心とする円の半径方向に対して湾曲あるいは屈曲した形状をなしている。図1および図2においては、ジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心とする円の半径方向に対して、クランク状に屈曲したスリット214が示されている。
【0052】
ラッピング工具100においては、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202とが、アウターパーツ201に設けられたスリット211とジャンパー線巻き付け部202に設けられたスリット214とがラッピング工具100の軸心を中心とする円における同一半径上に位置するような位置関係となった場合に、ジャンパー線抜き取り口215が形成される。
【0053】
この実施の形態においては、ジャンパー線抜き取り口215によって、芯線引き抜き部を実現することができる。ジャンパー線抜き取り口215は、ラッピング工具100の軸心を中心とする円の半径方向に沿って、ラッピング工具100の内側と外側とを連通する。
【0054】
アウターパーツ201に設けられたスリット211およびジャンパー線巻き付け部202に設けられたスリット214は、それぞれ軸心方向を中心とする円の半径方向に対してクランク状に屈曲した形状をなしているため、ジャンパー線抜き取り口215は、各スリット211、214の形状にならって、軸心方向を中心とする円の半径方向に対してクランク状に屈曲した形状をなしている。
【0055】
また、ジャンパー線巻き付け部202は、ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217を備えている。この実施の形態においては、ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217によってジャンパー線の芯線保持部を実現することができる。ジャンパー線挿入口216は、ジャンパー線巻き付け部202の軸心方向における他端側(図1および図2における紙面下側)の面に設けられている。
【0056】
ジャンパー線保持通路217は、ジャンパー線挿入口216から、ジャンパー線巻き付け部202の軸心方向に沿って固定部205側に向かって凹んだ凹穴形状をなしている。ジャンパー線保持通路217は、ラッピング接続に用いるジャンパー線の径よりも大きい開口径で開口している。
【0057】
ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217は、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202とがジャンパー線抜き取り口215を形成するような位置関係になった状態において、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対して反対側に位置するように設けられている。
【0058】
(端子台の構造)
つぎに、ラッピング端子を備えた端子台の構造について説明する。図5−1、図5−2および図5−3は、端子台の構造を示す説明図である。図5−1および図5−2において、端子台500は、複数の端子(ラッピング端子)501を備えている。各端子501は、電気伝導体によって形成され、ジャンパー線502を介して送信される電気信号(電気)の連絡を実現する。端子台500における各端子501は、それぞれが絶縁された状態で、端子板503に固定されている。
【0059】
端子板503において、各端子501はマトリックス状に配列されている。各端子501を備えた端子台500においては、各端子501どうしの間隔などがJIS規格などの所定の規格にしたがって定められている。複数の端子501を備えた端子台500については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0060】
図5−3においては、ラッピング接続作業の状態の一例を示している。図5−3において、ラッピング接続作業に際しては、端子台500における複数の端子501のうちラッピング対象となる端子501、すなわちラッピング端子(図6、図7および図8における符号602を参照)にラッピング工具100を挿入する。ラッピング接続作業に際してのラッピング工具100の動作については、説明を後述する。
【0061】
(ラッピング接続作業)
つぎに、ラッピング接続作業に際してのラッピング工具100の動作について説明する。図6、図7および図8は、ラッピング接続作業に際してのラッピング工具100の動作を示す説明図である。
【0062】
図6、図7および図8において、ラッピング接続作業に際しては、まず、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202との位置関係を、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対するジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の位置が対極側となるような状態とする。また、ラッピング接続作業に際しては、ラッピング接続するジャンパー線601の被覆を剥き、ジャンパー線601の芯線を露出させる。
【0063】
そして、被覆を剥いたジャンパー線601を、当該ジャンパー線601の先端から固定部205側からジャンパー線側路208へ挿入する。ラッピング工具100においては、ジャンパー線側路208がラッピング端子602の軸心方向に沿って延びているため、ジャンパー線601をジャンパー線側路208へ挿入するだけで、ラッピング端子602に沿ってジャンパー線601を通すことができる。
【0064】
ジャンパー線側路208へ挿入したジャンパー線601は、ラッピング工具100の先端側から引き抜き、折り返してジャンパー線挿入口216に挿入する。このとき、ジャンパー線601をカギ爪部材213におけるカギ爪213aに引っ掛ける。この状態で、ラッピング端子挿入口207にラッピング端子602を挿入する(図6を参照)。
【0065】
つぎに、アウターパーツ201に対して、ジャンパー線巻き付け部202を相対的に回転させる。このとき、回転部用開口部212を介してジャンパー線巻き付け部202を把持し、ラッピング端子602に対するアウターパーツ201の位置を固定した状態でジャンパー線巻き付け部202を回転させる。
【0066】
ジャンパー線巻き付け部202を回転させることにより、ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217がラッピング端子602の周囲を回転するようにして移動する。具体的には、ジャンパー線保持通路217内に挿入されているジャンパー線601の芯線は、ラッピング端子602とともにジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線の周囲を回転するようにして移動する。
【0067】
ジャンパー線巻き付け部202を回転させることによるジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の回転移動にともなって、ジャンパー線保持通路217内に挿入されているジャンパー線601の芯線がラッピング端子602に巻き付く(図7を参照)。
【0068】
具体的には、ジャンパー線保持通路217内に挿入されているジャンパー線601の芯線は、ラッピング端子602とともにジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線の周囲を回転するようにして移動しているため、ジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線を内側に巻き込むようにしてラッピング端子602に巻き付く。
【0069】
ラッピング工具100を用いたジャンパー線601の巻き付けは、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対するジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の位置が対極側となるような状態から開始される。このため、ジャンパー線側路208とジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217とが近付いた状態から開始する場合と比較して、ラッピング端子602に対してジャンパー線601を容易に巻き付けることができる。
【0070】
ラッピング端子602に対するジャンパー線601の巻き付けに際しては、ジャンパー線601がカギ爪213aに引っ掛けられているため、ジャンパー線側路208が回転移動している間、ラッピング端子602の周囲におけるジャンパー線601の空回りを防止し、ジャンパー線601に張力をかけておくことができる。これにより、ラッピング端子602の周囲においてジャンパー線601を空回りさせることなく、ジャンパー線601(および芯線)をラッピング端子602に確実に巻き付けることができる。
【0071】
ジャンパー線601の芯線は、ジャンパー線601がラッピング端子602に巻き付くにつれてカギ爪213aから外れる。カギ爪213aは、先端が円錐形をなしているため、ラッピング端子602に対するジャンパー線601(および芯線)の巻きつけに際して、ジャンパー線601はジャンパー線側路208の回転にともなってカギ爪213aから自然と外れる。
【0072】
ジャンパー線側路208は、アウターパーツ201の軸心方向に沿って内径が2段階に変化した形状とされているため、ジャンパー線601における被覆を剥いていない部分が、ジャンパー線側路208におけるジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側に入り込むことを抑制することができる。これによって、ラッピング端子602側に過剰に入り込んだジャンパー線601が、ラッピング端子602の周辺で弛んでいる状況の発生を防止することができる。
【0073】
このように、ジャンパー線601がラッピング端子602側に過剰に入り込むことを防止し、ラッピング端子602の周辺におけるジャンパー線601の弛みを防止することにより、本来、ラッピング端子602に巻き付けるべきジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との間に、被覆付のジャンパー線601を巻き込むことを防止することができる。これによって、ジャンパー線601の芯線をラッピング端子602に確実に巻き付けることができる。
【0074】
そして、ラッピング端子602にジャンパー線601を巻き付けた後、ラッピング工具100をラッピング端子602から引き抜く。このとき、ジャンパー線601に対しては、ラッピング端子602から引き抜かれるラッピング工具100にともなって、ジャンパー線601をラッピング端子602から離反する方向に引っ張る力が作用する。この引っ張る力は、たとえばジャンパー線601自身の自重に起因する。
【0075】
ジャンパー線保持通路217内に挿入されていたジャンパー線601の芯線は、ジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線を内側に巻き込むようにしてラッピング端子602に巻き付いているため、ラッピング端子602から離反する方向に引っ張られたジャンパー線601は、巻き付いている芯線によって巻き込まれた芯線を締め付けるようにして引き締められる。これにより、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とが電気的に接続される。
【0076】
また、ジャンパー線601がラッピング端子602から離反する方向に引っ張られることにより、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の芯線は、ジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線を内側に巻き込みながらラッピング端子602に押しつけるような状態となる。これにより、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とを、より確実に電気的に接続することができる。
【0077】
ラッピング工具100をラッピング端子602から引き抜く際には、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202との位置関係を、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対するジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の位置が反対側となるような状態とする。これにより、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202との位置関係がジャンパー線抜き取り口215を形成するような位置関係とされる。
【0078】
その後、ジャンパー線抜き取り口215を介して、ラッピング工具100からジャンパー線601を引き抜く。これにより、ジャンパー線601の芯線がラッピング端子602に巻き付き、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とが電気的に接続された状態を確立することができる。ジャンパー線抜き取り口215は、軸心方向を中心とする円の半径方向に対してクランク状に屈曲した形状をなしているため、ラッピング接続作業中に、ジャンパー線抜き取り口215からジャンパー線601が不用意に抜けてしまうことを抑制することができる。
【0079】
つぎに、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の状態について説明する。図9および図10は、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の状態を示す説明図である。図9において、一端側がラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の他端側は、図示を省略する通信配線網などに接続される。
【0080】
このため、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601に対しては、ジャンパー線あるいは当該ジャンパー線601に接続する別の通信線の自重などによって、ラッピング端子602から引き抜かれる方向への張力を受けている。上述したように、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601は、当該ジャンパー線601を引っ張る力がかかることにより、巻き付いている芯線によって巻き込まれた芯線を締め付けるようにして引き締められる。
【0081】
このため、一旦ラッピング接続されたジャンパー線601は、巻き付きを緩める作業がなされない限り、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続を、当該接続が良好な状態で維持することができる。すなわち、一旦ラッピング接続されたジャンパー線601は、ジャンパー線601自身にかかる張力によって当該ジャンパー線601自身が緩み防止機能を実現する。これによって、ラッピング接続されたジャンパー線601の緩みを防止するための格別な機構や部材を設けることなく、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続を確実に維持することができる。
【0082】
図10においては、この実施の形態のラッピング工具100を用いて、複数のラッピング端子602にジャンパー線601をラッピング接続した状態を示している。図10において、ラッピング端子602へのジャンパー線601のラッピング接続に際して、この実施の形態のラッピング工具100を用いることにより、各ラッピング端子602におけるジャンパー線601の緩みを防止することができる。
【0083】
これにより、端子台500のように隣接するラッピング端子602どうしの距離が小さく、ラッピング端子602どうしが密集している場合にも、ラッピング端子602にラッピング接続したジャンパー線601どうしが干渉することがない。これによって、ラッピング端子602にラッピング接続したジャンパー線601どうしが干渉することによる混信を防止することができる。
【0084】
(従来のラッピング工具100および従来のラッピング方法)
つぎに、従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法について説明する。図11および図12は、従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法を示す説明図である。図13は、従来のラッピング工具を用いてジャンパー線601を巻き付けたラッピング端子602を示す説明図である。
【0085】
図11、図12および図13において、従来のラッピング工具1100は、略棒形状をなすラッピング工具本体1102に設けられたラッピング端子挿入口1101を備えている。ラッピング端子挿入口1101は、ラッピング工具本体1102の軸心方向における一端面に設けられ、当該軸心方向における他端側へ向かって凹んだ凹穴形状をなしている。
【0086】
ラッピング工具本体1102の軸心方向における一端面において、ラッピング端子挿入口1101の隣には、ジャンパー線挿入口1103が設けられている。ジャンパー線挿入口1103は、ラッピング工具本体1102の軸心方向における一端面において、当該軸心方向における他端側へ向かって凹んだ凹穴形状をなしている。
【0087】
従来のラッピング工具1100を用いたラッピング接続作業に際しては、被覆を剥いたジャンパー線601をジャンパー線挿入口1103に挿入した状態で、ラッピング端子挿入口1101にラッピング端子602を挿入する。そして、ラッピング端子挿入口1101にラッピング端子602を挿入した状態で、ラッピング端子602を中心としてラッピング工具1100を回転させ、ラッピング端子602にジャンパー線601を巻き付ける。ラッピング端子602にジャンパー線601を巻き付けた後は、ラッピング端子602からラッピング工具1100を取り外す。
【0088】
図14および図15は、従来のラッピング工具1100を用いてラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の状態を示す説明図である。図14において、従来のラッピング工具1100を用いてラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601は、ジャンパー線601が振動するなどして当該ジャンパー線601にかかる力が変化した場合などにおいて、巻き付けの程度が緩くなることがあった。
【0089】
巻き付けの程度が緩くなったジャンパー線601は、ジャンパー線601の芯線を形成する材料が有するコシ(弾性)などによって、ジャンパー線601がなす螺旋の直径を大きくする。この結果、ジャンパー線601の芯線がラッピング端子602から離れ、ラッピング端子602に対するジャンパー線601の芯線の接触面積が減少する。この接触面積の減少が進み、ラッピング端子602に対するジャンパー線601の芯線の接触面がなくなった場合、ラッピング端子602とジャンパー線601の芯線との電気的な接続が遮断され、通信不能となってしまう。
【0090】
図15においては、従来のラッピング工具1100を用いて、複数のラッピング端子602にジャンパー線601を接続した状態を示している。図15において、ラッピング端子602に対して従来のラッピング工具1100を用いてラッピングしたジャンパー線601の巻き付けの程度が、上述したようにして緩くなった場合、巻き付けの程度が緩くなることによってジャンパー線601の芯線に弛みが生じることがあった。
【0091】
端子台500においては、複数のラッピング端子602が近距離で隣り合った状態で配列されているため、ジャンパー線601の芯線が弛んだ状態では、当該緩んだジャンパー線601の芯線が隣接するラッピング端子602に接触することがあった。このように、目的とするラッピング端子602以外のラッピング端子602にジャンパー線601の芯線が接触している状況では、1つのラッピング端子602に複数の信号が入力され、混信が生じてしまう。
【0092】
これに対して、この実施の形態のラッピング工具100によれば、各ラッピング端子602におけるジャンパー線601の緩みを防止することができるので、通信不能になる事態や混信が生じる事態の発生を防止し、良好な通信環境を確保するとともに当該良好な通信環境を維持することができる。
【0093】
このように、この実施の形態のラッピング工具100を用いてラッピング接続作業をおこなうことにより、端子台500において密集している端子501のうち該当する端子501すなわちラッピング端子602に対してジャンパー線601を容易にラッピング接続することができるという、従来のラッピング工具1100が実現する機能に加えて、ジャンパー線601とラッピング端子602とを確実に接続し、安定した電気的接続を確保することができる。
【0094】
この実施の形態のラッピング工具100は、一旦ラッピング接続したジャンパー線601を取り外す際にも用いることができる。一旦ラッピング接続したジャンパー線601を取り外す際は、ラッピング端子602に接続されているジャンパー線601を、ジャンパー線抜き取り口215を介してラッピング端子挿入通路206内に導入し、ラッピング端子挿入通路206を介してジャンパー線側路208に導入する。
【0095】
また、ジャンパー線側路208に導入したジャンパー線601が接続されているラッピング端子602を、ラッピング端子挿入通路206に挿入する。この状態で、アウターパーツ201に対して、ジャンパー線支持部204をジャンパー線601の巻き付け方向とは反対側に回転させる。これによって、ラッピング接続されたジャンパー線601の巻付きを緩め、一端ラッピング接続したジャンパー線601を容易に取り外すことができる。
【0096】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、ラッピング接続した後、ラッピング端子602から取り外さずに、装着したまま用いてもよい。これによって、ラッピング接続した箇所をラッピング工具100によって保護することができ、長期にわたって安定した電気的接続を確保することができる。
【0097】
以上説明したように、この実施の形態のラッピング工具100は、ジャンパー線601の芯線(被覆を剥いた導線)を端子であるラッピング端子602に巻きつけることによって当該ジャンパー線601の芯線と当該ラッピング端子602とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具100を実現している。
【0098】
そして、この実施の形態のラッピング工具100は、略円筒形状をなし、内周側に端子の挿入が可能な管状の空間をなすラッピング端子挿入口207および(端子挿入部)が設けられたアウターパーツ201と、アウターパーツ201の内周側であってラッピング端子挿入口207よりも外周側に設けられる略管形状をなし、アウターパーツ201の軸心を中心として当該アウターパーツ201に対して回動可能に設けられたジャンパー線巻き付け部202(インナーパーツ)と、ラッピング端子挿入口207において、アウターパーツ201に対するジャンパー線601の芯線の位置が一定となるように当該ジャンパー線601の芯線をガイドするジャンパー線側路208(ジャンパー線601の芯線ガイド部)と、ジャンパー線巻き付け部202に設けられて、ジャンパー線側路208よりもラッピング端子挿入口207から離間した位置においてジャンパー線601の芯線の先端部を保持するジャンパー線保持通路217(ジャンパー線601の芯線保持部)と、を備えたことを特徴としている。
【0099】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ラッピング接続作業に際して、まず、ジャンパー線側路208によってジャンパー線601の芯線をガイドするとともにジャンパー線保持通路217によってジャンパー線601の芯線の先端部を保持した状態でラッピング端子挿入口207にラッピング端子602を挿入する。そして、この状態で、アウターパーツ201に対してジャンパー線巻き付け部202を回転させる。
【0100】
これにより、ジャンパー線保持通路217によって保持しているジャンパー線601の芯線を、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線およびラッピング端子602に巻き付けることができる。その後、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線をラッピング端子602から離反する方向に引っ張ることにより、ラッピング端子602に巻き付けたジャンパー線601の芯線を当該ラッピング端子602に対してより強く巻き付かせることができる。
【0101】
ジャンパー線601の芯線においてはジャンパー線601の芯線自体にかかる張力によって、当該ジャンパー線601の芯線をラッピング端子602から離反させる方向に引っ張る力が作用している。この発明によれば、ジャンパー線601の芯線にかかる張力を利用して、当該張力がかかっている間はラッピング端子602に巻き付けたジャンパー線601の芯線が常にラッピング端子602に巻き付くような力をかけることができる。これによって、ラッピング端子602に巻き付けたジャンパー線601の芯線の緩みを防止し、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続状態を確保することができる。
【0102】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、アウターパーツ201に設けられ、当該アウターパーツ201の外側からジャンパー線巻き付け部202の回転操作を可能とする回転部用開口部212(操作用開口部)を備えたことを特徴としている。
【0103】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、回転部用開口部212を介して、アウターパーツ201の外側からジャンパー線巻き付け部202を回転させることができる。これによって、ジャンパー線保持通路217によって保持しているジャンパー線601の芯線を、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線およびラッピング端子602に容易に巻き付けることができる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0104】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、ジャンパー線側路208が、ラッピング端子挿入口207に挿入されたラッピング端子602にジャンパー線601の芯線が隣接するように当該ジャンパー線601の芯線をガイドすることを特徴としている。
【0105】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線をラッピング端子602から離反する方向に引っ張った場合に、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とを確実に接触させることができる。これによって、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続状態を確保することができる。
【0106】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、アウターパーツ201に対してジャンパー線巻き付け部202が所定の位置に位置づけられた場合に、ジャンパー線側路208によってガイドされるジャンパー線601の芯線のアウターパーツ201の外側への取り出しを可能とするジャンパー線601のジャンパー線抜き取り口215(芯線引き抜き部)を備えたことを特徴としている。
【0107】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ジャンパー線601の芯線と端子とを電気的に接続した後、ジャンパー線抜き取り口215を介して、ラッピング端子602からラッピング工具100を任意に取り外すことができる。これによって、ラッピング端子602からラッピング工具100を取り外した場合は同じラッピング工具100を用いて複数箇所のラッピング端子602に対するラッピング接続をおこなうことができ、ラッピング端子602にラッピング工具100を取り付けたままの場合はラッピング工具100によってラッピング端子602を保護することができる。
【0108】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、ジャンパー線抜き取り口215が、アウターパーツ201およびジャンパー線巻き付け部202に設けられ、ジャンパー線側路208によるジャンパー線601の芯線のガイド方向に沿って、ジャンパー線側路208と外部とを連通するスリット211、214であることを特徴としている。
【0109】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、簡易な構成によってジャンパー線抜き取り口215を実現することができる。これによって、ラッピング工具100の小型化、軽量化、ラッピング工具100の取り扱い性などの向上を図ることができ、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0110】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、スリット211、214が、軸心を中心とする円の半径方向に対して屈曲あるいは湾曲した形状をなすことを特徴としている。具体的には、この実施の形態においては、クランク状に屈曲したスリット211、214によってジャンパー線抜き取り口215を実現している。
【0111】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ラッピング接続の作業中にジャンパー線側路208内のジャンパー線601の芯線がスリット211、214を介して不用意に外部に抜け出してしまうことを防止できる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、この発明にかかるラッピング工具は、ラッピング接続に用いるラッピング工具に有用であり、特に、隣り合う端子どうしの距離が近い端子台に設けられた端子へのラッピング接続に用いるラッピング工具に適している。
【符号の説明】
【0113】
100 ラッピング工具
201 アウターパーツ
202 ジャンパー線巻き付け部
207 ラッピング端子挿入口
208 ジャンパー線側路
212 回転部用開口部
211、214 スリット
215 ジャンパー線抜き取り口
217 ジャンパー線保持通路
601 ジャンパー線
602 ラッピング端子
【技術分野】
【0001】
この発明は、被覆を剥いた導線を端子に巻きつけることによって当該導線と当該端子とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば通信回線の電子回路への配線作業に際しては、電子回路における該当する端子に電線(ジャンパー線)を接続する作業をおこなう。この接続作業は、たとえば電子回路が備える複数の端子のうち、ジャンパー線の接続対象となるラッピング端子に、被覆を剥いて芯線を露出させたジャンパー線を数回巻きつけることで電気的接続を得る、いわゆるラッピングと称される方法によっておこなうことができる。
【0003】
従来、このようなラッピングによる接続作業は、ラッピング端子に対してジャンパー線を手動で巻きつけたり、ラッピング端子にジャンパー線を巻きつけるラッピング工具を用いたりしておこなっていた。ラッピングによる接続作業をおこなうことによって、はんだ付けによる接続作業をおこなう場合と比較して、接続作業の容易化を図ることができる。
【0004】
また、従来、たとえばラッピング工具の先端部に引っ掛け爪を付けることにより、ジャンパー線のラッピング接続作業の途中で、ジャンパー線がラッピング工具から抜けてしまうことによる作業性の低下を防止するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−82789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1を含む従来の技術では、ラッピング端子にジャンパー線を巻きつけるだけの構造であるため、ラッピング接続作業中にジャンパー線を引っ張ったりしているうちに、ジャンパー線が緩んでしまうという問題があった。緩んだ状態のジャンパー線はラッピング端子から外れやすく、ジャンパー線がラッピング端子から外れてしまった場合は接続が遮断されてしまうことになる。
【0007】
また、上述した特許文献1を含む従来の技術では、ジャンパー線の被覆を剥き過ぎて、芯線が長く露出した状態でラッピングした場合に、被覆を剥き過ぎたジャンパー線が他のラッピング端子と接触し、混信してしまうという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、導線と端子との電気的な接続状態を確保することができるラッピング工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるラッピング工具は、被覆を剥いた導線を端子に巻きつけることによって当該導線と当該端子とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具であって、略円筒形状をなし、内周側に前記端子の挿入が可能な管状の空間をなす端子挿入部が設けられたアウターパーツと、前記アウターパーツの内周側であって前記端子挿入部よりも外周側に設けられる略管形状をなし、前記アウターパーツの軸心を中心として当該アウターパーツに対して回動可能に設けられたインナーパーツと、前記端子挿入部において、前記アウターパーツに対する前記導線の位置が一定となるように当該導線をガイドする導線ガイド部と、前記インナーパーツに設けられて、前記導線ガイド部よりも前記端子挿入部から離間した位置において前記導線の先端部を保持する導線保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、導線ガイド部によって導線をガイドするとともに導線保持部によって導線の先端部を保持した状態で端子挿入部に端子を挿入し、アウターパーツに対してインナーパーツを回転させることにより、導線保持部によって保持している導線を、導線ガイド部によってガイドされている導線および端子に巻き付けることができる。その後、導線ガイド部によってガイドされている導線を端子から離反する方向に引っ張ることにより、端子に巻き付けた導線を当該端子に対してより強く巻き付かせることができる。
【0011】
導線においては導線自体にかかる張力によって、当該導線を端子から離反させる方向に引っ張る力が作用している。この発明によれば、導線にかかる張力を利用して、当該張力がかかっている間は端子に巻き付けた導線が常に端子に巻き付くような力をかけることができる。これによって、端子に巻き付けた導線の緩みを防止することができる。
【0012】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記アウターパーツに設けられ、当該アウターパーツの外側から前記インナーパーツの回転操作を可能とする操作用開口部を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、アウターパーツの外側からインナーパーツを回転させることができるので、導線保持部によって保持している導線を、導線ガイド部によってガイドされている導線および端子に容易に巻き付けることができる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0014】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記導線ガイド部が、前記端子挿入部に挿入された前記端子に前記導線が隣接するように当該導線をガイドすることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、導線ガイド部によってガイドされている導線を端子から離反する方向に引っ張った場合に、導線ガイド部によってガイドされている導線と端子とを確実に接触させることができる。これによって、導線と端子とが接触する面積を増やすことができる。
【0016】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記アウターパーツに対して前記インナーパーツが所定の位置に位置づけられた場合に、前記導線ガイド部によってガイドされる前記導線の前記アウターパーツの外側への取り出しを可能とする導線引き抜き部を備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、導線と端子とを電気的に接続した後、ラッピング端子からラッピング工具を任意に取り外すことができる。これによって、ラッピング端子からラッピング工具を取り外した場合は同じラッピング工具を用いて複数箇所のラッピング端子に対するラッピング接続をおこなうことができ、ラッピング端子にラッピング工具を取り付けたままの場合はラッピング工具によってラッピング端子を保護することができる。
【0018】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記導線引き抜き部が、前記アウターパーツおよび前記インナーパーツに設けられ、前記導線ガイド部による前記導線のガイド方向に沿って、前記端子挿入部と外部とを連通するスリットであることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、簡易な構成によって導線引き抜き部を実現することができる。これによって、ラッピング工具の小型化、軽量化、ラッピング工具の取り扱い性などの向上を図ることができ、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0020】
また、この発明にかかるラッピング工具は、上記の発明において、前記スリットが、前記軸心を中心とする円の半径方向に対して屈曲あるいは湾曲した形状をなすことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、ラッピング接続の作業中に端子挿入部内の導線がスリットを介して不用意に外部に抜け出してしまうことを防止できる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明にかかるラッピング工具によれば、端子に巻き付けた導線の緩みを防止することができるので、導線と端子との電気的な接続状態を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の外観を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の構造を示す説明図(その1)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の構造を示す説明図(その2)である。
【図4】この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の構造を示す説明図(その3)である。
【図5−1】端子台の構造を示す説明図(その1)である。
【図5−2】端子台の構造を示す説明図(その2)である。
【図5−3】端子台の構造を示す説明図(その3)である。
【図6】ラッピング接続作業に際してのラッピング工具の動作を示す説明図(その1)である。
【図7】ラッピング接続作業に際してのラッピング工具の動作を示す説明図(その2)である。
【図8】ラッピング接続作業に際してのラッピング工具の動作を示す説明図(その3)である。
【図9】ラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その1)である。
【図10】ラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その2)である。
【図11】従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法を示す説明図(その1)である。
【図12】従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法を示す説明図(その2)である。
【図13】従来のラッピング工具を用いてジャンパー線を巻き付けたラッピング端子を示す説明図である。
【図14】従来のラッピング工具を用いてラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その1)である。
【図15】従来のラッピング工具を用いてラッピング端子に巻き付けられたジャンパー線の状態を示す説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるラッピング工具の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態)
まず、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具の外観を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100は、被覆を剥いたジャンパー線(図6、図7、図8、図9および図10における符号601を参照)を、接続対象とする端子(図5−1、図5−2および図5−3を参照)に巻きつけることによって、ジャンパー線と端子とを電気的に接続するラッピング接続作業に際して用いる。
【0026】
この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100は、たとえば略円柱形状あるいは棒形状をなしている。また、ラッピング工具100は、ラッピング接続作業をおこなう作業者が片手で操作することができる程度の大きさをなしている。具体的には、ラッピング工具100は、たとえばドライバーなどの工具類の程度の大きさをなしている。
【0027】
ラッピング工具100の先端(図1における紙面下側)には、ラッピング端子挿入口(図2および図3を参照)が設けられている。ラッピング端子挿入口は、ジャンパー線の接続対象となる端子(以下「ラッピング端子」という)を挿入可能な開口径で開口している。
【0028】
ラッピング工具100を用いたラッピング接続作業に際しては、ラッピング端子挿入口にラッピング端子が挿入された状態とし、この状態でラッピング端子を中心としてラッピング工具100を回転させる。このため、ラッピング工具100の先端における外径寸法は、ラッピング端子に隣接する端子どうしの間隔よりも小さくなるような大きさとされている。
【0029】
(ラッピング工具100の構造)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100の構造について説明する。図2、図3および図4は、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100の構造を示す説明図である。
【0030】
図2においては、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100において、ラッピング接続にかかわる機構部を斜め方向から見た状態を示している。図3においては、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100において、ラッピング接続にかかわる機構部を分解して斜め方向から見た状態を示している。図4においては、この発明にかかる実施の形態のラッピング工具100を、図2におけるA−A線で切断した断面を示している。
【0031】
図2、図3および図4において、ラッピング工具100は、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202とを備えている。この実施の形態においては、ジャンパー線巻き付け部202によってインナーパーツを実現することができる。アウターパーツ201は、外枠カバー203とジャンパー線支持部204とを備えている。外枠カバー203およびジャンパー線支持部204は、ともに略円筒形状をなしている。
【0032】
ジャンパー線支持部204は、外枠カバー203の内周側に設けられている。このため、ジャンパー線支持部204の直径寸法は、外枠カバー203の直径寸法よりも小さい。ジャンパー線支持部204は、ジャンパー線支持部204の軸心が外枠カバー203の軸心に重なる状態で、外枠カバー203の内周側に設けられている。ジャンパー線支持部204の軸心方向における寸法は、外枠カバー203の軸心方向における寸法よりも小さい。
【0033】
外枠カバー203とジャンパー線支持部204とは、外枠カバー203およびジャンパー線支持部204の軸心方向における一端側(図1および図2における紙面上側)において、固定部205を介して連結されている。アウターパーツ201は、外枠カバー203および固定部205によって略キャップ形状の外観をなし、この外枠カバー203の内周側に当該外枠カバー203の底面をなす固定部205から突出するようにジャンパー線支持部204を組み合わせて構成されている。
【0034】
ジャンパー線支持部204の内側における略円筒形状をなす空間は、ラッピング端子挿入通路206を構成している。ラッピング端子挿入通路206は、アウターパーツ201を軸心方向(図2および図3における紙面上下方向)に貫通している。図2および図3において符号207は上述したラッピング端子挿入口を示している。
【0035】
この実施の形態においては、ラッピング端子挿入通路206およびラッピング端子挿入口207によって端子挿入部を実現することができる。ラッピング端子挿入口207は、ラッピング端子挿入通路206における一端側の端部によって実現されている。ラッピング端子挿入通路206およびラッピング端子挿入口207は、ラッピング端子の直径寸法より大きい開口径で開口している。
【0036】
ジャンパー線支持部204の軸心方向における寸法が外枠カバー203の軸心方向における寸法よりも小さいため、アウターパーツ201は、軸心方向における一端側においてはジャンパー線支持部204の内径と同じ開口径で開口し、軸心方向における他端側(図1および図2における紙面下側)においては外枠カバー203の内径と同じ開口径で開口している。
【0037】
ジャンパー線支持部204は、ジャンパー線側路208を備えている。この実施の形態においては、ジャンパー線側路208によってジャンパー線の芯線ガイド部を実現することができる。ジャンパー線側路208は、アウターパーツ201を軸心方向に貫通している。ジャンパー線側路208は、ラッピング端子挿入通路206に沿って、当該ラッピング端子挿入通路206の周縁部分に連続するように設けられている。
【0038】
これにより、アウターパーツ201の一端側に位置する固定部205においては、アウターパーツ201を軸心方向に貫通するラッピング端子挿入通路206とジャンパー線側路208とによって、円における外縁部分の一部を外周側へ引き出した、略鍵穴状の開口が形成されている。
【0039】
ジャンパー線側路208は、ジャンパー線側路口209を境にして内径が異なっている。ジャンパー線側路208は、ジャンパー線側路口209よりも固定部205側の内径が、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側の内径よりも大きくなるように形成されており、これにより、ジャンパー線側路208の内径はアウターパーツ201の軸心方向に沿って2段階に変化している。
【0040】
ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線の芯線の外径寸法(断面の直径寸法)と同等であって、かつ、被覆を剥いていない状態のジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも小さいことが好ましい。
【0041】
あるいは、ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線の芯線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも若干大きく、かつ、被覆を剥いていない状態のジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも小さいものであってもよい。
【0042】
いずれの場合にも、ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線側路208におけるジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側に、被覆を剥いていない状態のジャンパー線が容易に入り込まない程度とされていることが好ましい。
【0043】
また、ジャンパー線側路208のうち、ジャンパー線側路口209よりも固定部205側におけるジャンパー線側路208の内径は、ジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)と同等あるいはジャンパー線の外径寸法(断面の直径寸法)よりも大きいことが好ましい。
【0044】
アウターパーツ201は、外枠カバー203およびジャンパー線支持部204の一部を、軸心方向に沿って切り欠いたスリット211を備えている。スリット211は、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に沿って、外枠カバー203およびジャンパー線支持部204をそれぞれ切り欠くように設けられている。外枠カバー203およびジャンパー線支持部204に設けられた各スリット211は、アウターパーツ201の軸心に対して同一の角度位置に設けられている。これにより、アウターパーツ201の断面形状は、略C字形状をなしている。
【0045】
アウターパーツ201に設けられた各スリット211は、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に対して湾曲あるいは屈曲した形状をなしている。図1および図2においては、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に対して、クランク状に屈曲したスリット211が示されている。
【0046】
外枠カバー203には、アウターパーツ201の軸心を中心とする円の半径方向に沿って外枠カバー203を貫通する回転部用開口部212が設けられている。この実施の形態においては、回転部用開口部212によって操作用開口部を実現することができる。この回転部用開口部212は、軸心方向における外枠カバー203の略中央部分に設けられている。また、回転部用開口部212は、アウターパーツ201の軸心を中心とする円周に沿って複数設けられている。
【0047】
アウターパーツ201において、軸心方向における他端側(図1および図2における紙面下側)には、カギ爪部材213が設けられている。カギ爪部材213は、略円錐形状をなすカギ爪213aと、当該カギ爪213aを外枠カバー203において支持する支持部材213bとを備えている。カギ爪部材213は、カギ爪213aの先端を軸心方向においてアウターパーツ201の固定部205から離反する方向に向けた状態で、外枠カバー203に固定されている。
【0048】
ジャンパー線巻き付け部202は、略円筒形状をなしている。ジャンパー線巻き付け部202の外径寸法は、アウターパーツ201における外枠カバー203の内径寸法よりも小さい。ジャンパー線巻き付け部202の内径寸法は、アウターパーツ201におけるジャンパー線支持部204の外径寸法よりも大きい。
【0049】
ジャンパー線巻き付け部202は、アウターパーツ201における外枠カバー203とジャンパー線支持部204との間に嵌め込まれるようにして、アウターパーツ201の内側に設けられる。ジャンパー線巻き付け部202は、アウターパーツ201に対して、アウターパーツ201およびジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心として相対的に回動可能に設けられている。
【0050】
ジャンパー線巻き付け部202は、ジャンパー線巻き付け部202の一部を、軸心方向に沿って切り欠いたスリット214を備えている。スリット214は、ジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心とする円の半径方向に沿ってジャンパー線巻き付け部202を貫通するように設けられている。これにより、ジャンパー線巻き付け部202の断面形状は、略C字形状をなしている。
【0051】
スリット214は、ジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心とする円の半径方向に対して湾曲あるいは屈曲した形状をなしている。図1および図2においては、ジャンパー線巻き付け部202の軸心を中心とする円の半径方向に対して、クランク状に屈曲したスリット214が示されている。
【0052】
ラッピング工具100においては、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202とが、アウターパーツ201に設けられたスリット211とジャンパー線巻き付け部202に設けられたスリット214とがラッピング工具100の軸心を中心とする円における同一半径上に位置するような位置関係となった場合に、ジャンパー線抜き取り口215が形成される。
【0053】
この実施の形態においては、ジャンパー線抜き取り口215によって、芯線引き抜き部を実現することができる。ジャンパー線抜き取り口215は、ラッピング工具100の軸心を中心とする円の半径方向に沿って、ラッピング工具100の内側と外側とを連通する。
【0054】
アウターパーツ201に設けられたスリット211およびジャンパー線巻き付け部202に設けられたスリット214は、それぞれ軸心方向を中心とする円の半径方向に対してクランク状に屈曲した形状をなしているため、ジャンパー線抜き取り口215は、各スリット211、214の形状にならって、軸心方向を中心とする円の半径方向に対してクランク状に屈曲した形状をなしている。
【0055】
また、ジャンパー線巻き付け部202は、ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217を備えている。この実施の形態においては、ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217によってジャンパー線の芯線保持部を実現することができる。ジャンパー線挿入口216は、ジャンパー線巻き付け部202の軸心方向における他端側(図1および図2における紙面下側)の面に設けられている。
【0056】
ジャンパー線保持通路217は、ジャンパー線挿入口216から、ジャンパー線巻き付け部202の軸心方向に沿って固定部205側に向かって凹んだ凹穴形状をなしている。ジャンパー線保持通路217は、ラッピング接続に用いるジャンパー線の径よりも大きい開口径で開口している。
【0057】
ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217は、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202とがジャンパー線抜き取り口215を形成するような位置関係になった状態において、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対して反対側に位置するように設けられている。
【0058】
(端子台の構造)
つぎに、ラッピング端子を備えた端子台の構造について説明する。図5−1、図5−2および図5−3は、端子台の構造を示す説明図である。図5−1および図5−2において、端子台500は、複数の端子(ラッピング端子)501を備えている。各端子501は、電気伝導体によって形成され、ジャンパー線502を介して送信される電気信号(電気)の連絡を実現する。端子台500における各端子501は、それぞれが絶縁された状態で、端子板503に固定されている。
【0059】
端子板503において、各端子501はマトリックス状に配列されている。各端子501を備えた端子台500においては、各端子501どうしの間隔などがJIS規格などの所定の規格にしたがって定められている。複数の端子501を備えた端子台500については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0060】
図5−3においては、ラッピング接続作業の状態の一例を示している。図5−3において、ラッピング接続作業に際しては、端子台500における複数の端子501のうちラッピング対象となる端子501、すなわちラッピング端子(図6、図7および図8における符号602を参照)にラッピング工具100を挿入する。ラッピング接続作業に際してのラッピング工具100の動作については、説明を後述する。
【0061】
(ラッピング接続作業)
つぎに、ラッピング接続作業に際してのラッピング工具100の動作について説明する。図6、図7および図8は、ラッピング接続作業に際してのラッピング工具100の動作を示す説明図である。
【0062】
図6、図7および図8において、ラッピング接続作業に際しては、まず、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202との位置関係を、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対するジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の位置が対極側となるような状態とする。また、ラッピング接続作業に際しては、ラッピング接続するジャンパー線601の被覆を剥き、ジャンパー線601の芯線を露出させる。
【0063】
そして、被覆を剥いたジャンパー線601を、当該ジャンパー線601の先端から固定部205側からジャンパー線側路208へ挿入する。ラッピング工具100においては、ジャンパー線側路208がラッピング端子602の軸心方向に沿って延びているため、ジャンパー線601をジャンパー線側路208へ挿入するだけで、ラッピング端子602に沿ってジャンパー線601を通すことができる。
【0064】
ジャンパー線側路208へ挿入したジャンパー線601は、ラッピング工具100の先端側から引き抜き、折り返してジャンパー線挿入口216に挿入する。このとき、ジャンパー線601をカギ爪部材213におけるカギ爪213aに引っ掛ける。この状態で、ラッピング端子挿入口207にラッピング端子602を挿入する(図6を参照)。
【0065】
つぎに、アウターパーツ201に対して、ジャンパー線巻き付け部202を相対的に回転させる。このとき、回転部用開口部212を介してジャンパー線巻き付け部202を把持し、ラッピング端子602に対するアウターパーツ201の位置を固定した状態でジャンパー線巻き付け部202を回転させる。
【0066】
ジャンパー線巻き付け部202を回転させることにより、ジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217がラッピング端子602の周囲を回転するようにして移動する。具体的には、ジャンパー線保持通路217内に挿入されているジャンパー線601の芯線は、ラッピング端子602とともにジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線の周囲を回転するようにして移動する。
【0067】
ジャンパー線巻き付け部202を回転させることによるジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の回転移動にともなって、ジャンパー線保持通路217内に挿入されているジャンパー線601の芯線がラッピング端子602に巻き付く(図7を参照)。
【0068】
具体的には、ジャンパー線保持通路217内に挿入されているジャンパー線601の芯線は、ラッピング端子602とともにジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線の周囲を回転するようにして移動しているため、ジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線を内側に巻き込むようにしてラッピング端子602に巻き付く。
【0069】
ラッピング工具100を用いたジャンパー線601の巻き付けは、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対するジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の位置が対極側となるような状態から開始される。このため、ジャンパー線側路208とジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217とが近付いた状態から開始する場合と比較して、ラッピング端子602に対してジャンパー線601を容易に巻き付けることができる。
【0070】
ラッピング端子602に対するジャンパー線601の巻き付けに際しては、ジャンパー線601がカギ爪213aに引っ掛けられているため、ジャンパー線側路208が回転移動している間、ラッピング端子602の周囲におけるジャンパー線601の空回りを防止し、ジャンパー線601に張力をかけておくことができる。これにより、ラッピング端子602の周囲においてジャンパー線601を空回りさせることなく、ジャンパー線601(および芯線)をラッピング端子602に確実に巻き付けることができる。
【0071】
ジャンパー線601の芯線は、ジャンパー線601がラッピング端子602に巻き付くにつれてカギ爪213aから外れる。カギ爪213aは、先端が円錐形をなしているため、ラッピング端子602に対するジャンパー線601(および芯線)の巻きつけに際して、ジャンパー線601はジャンパー線側路208の回転にともなってカギ爪213aから自然と外れる。
【0072】
ジャンパー線側路208は、アウターパーツ201の軸心方向に沿って内径が2段階に変化した形状とされているため、ジャンパー線601における被覆を剥いていない部分が、ジャンパー線側路208におけるジャンパー線側路口209よりも固定部205から離間する側に入り込むことを抑制することができる。これによって、ラッピング端子602側に過剰に入り込んだジャンパー線601が、ラッピング端子602の周辺で弛んでいる状況の発生を防止することができる。
【0073】
このように、ジャンパー線601がラッピング端子602側に過剰に入り込むことを防止し、ラッピング端子602の周辺におけるジャンパー線601の弛みを防止することにより、本来、ラッピング端子602に巻き付けるべきジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との間に、被覆付のジャンパー線601を巻き込むことを防止することができる。これによって、ジャンパー線601の芯線をラッピング端子602に確実に巻き付けることができる。
【0074】
そして、ラッピング端子602にジャンパー線601を巻き付けた後、ラッピング工具100をラッピング端子602から引き抜く。このとき、ジャンパー線601に対しては、ラッピング端子602から引き抜かれるラッピング工具100にともなって、ジャンパー線601をラッピング端子602から離反する方向に引っ張る力が作用する。この引っ張る力は、たとえばジャンパー線601自身の自重に起因する。
【0075】
ジャンパー線保持通路217内に挿入されていたジャンパー線601の芯線は、ジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線を内側に巻き込むようにしてラッピング端子602に巻き付いているため、ラッピング端子602から離反する方向に引っ張られたジャンパー線601は、巻き付いている芯線によって巻き込まれた芯線を締め付けるようにして引き締められる。これにより、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とが電気的に接続される。
【0076】
また、ジャンパー線601がラッピング端子602から離反する方向に引っ張られることにより、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の芯線は、ジャンパー線側路208内に挿入されているジャンパー線601の芯線を内側に巻き込みながらラッピング端子602に押しつけるような状態となる。これにより、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とを、より確実に電気的に接続することができる。
【0077】
ラッピング工具100をラッピング端子602から引き抜く際には、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202との位置関係を、ラッピング工具100の軸心を間にしてジャンパー線側路208に対するジャンパー線挿入口216およびジャンパー線保持通路217の位置が反対側となるような状態とする。これにより、アウターパーツ201とジャンパー線巻き付け部202との位置関係がジャンパー線抜き取り口215を形成するような位置関係とされる。
【0078】
その後、ジャンパー線抜き取り口215を介して、ラッピング工具100からジャンパー線601を引き抜く。これにより、ジャンパー線601の芯線がラッピング端子602に巻き付き、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とが電気的に接続された状態を確立することができる。ジャンパー線抜き取り口215は、軸心方向を中心とする円の半径方向に対してクランク状に屈曲した形状をなしているため、ラッピング接続作業中に、ジャンパー線抜き取り口215からジャンパー線601が不用意に抜けてしまうことを抑制することができる。
【0079】
つぎに、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の状態について説明する。図9および図10は、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の状態を示す説明図である。図9において、一端側がラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の他端側は、図示を省略する通信配線網などに接続される。
【0080】
このため、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601に対しては、ジャンパー線あるいは当該ジャンパー線601に接続する別の通信線の自重などによって、ラッピング端子602から引き抜かれる方向への張力を受けている。上述したように、ラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601は、当該ジャンパー線601を引っ張る力がかかることにより、巻き付いている芯線によって巻き込まれた芯線を締め付けるようにして引き締められる。
【0081】
このため、一旦ラッピング接続されたジャンパー線601は、巻き付きを緩める作業がなされない限り、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続を、当該接続が良好な状態で維持することができる。すなわち、一旦ラッピング接続されたジャンパー線601は、ジャンパー線601自身にかかる張力によって当該ジャンパー線601自身が緩み防止機能を実現する。これによって、ラッピング接続されたジャンパー線601の緩みを防止するための格別な機構や部材を設けることなく、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続を確実に維持することができる。
【0082】
図10においては、この実施の形態のラッピング工具100を用いて、複数のラッピング端子602にジャンパー線601をラッピング接続した状態を示している。図10において、ラッピング端子602へのジャンパー線601のラッピング接続に際して、この実施の形態のラッピング工具100を用いることにより、各ラッピング端子602におけるジャンパー線601の緩みを防止することができる。
【0083】
これにより、端子台500のように隣接するラッピング端子602どうしの距離が小さく、ラッピング端子602どうしが密集している場合にも、ラッピング端子602にラッピング接続したジャンパー線601どうしが干渉することがない。これによって、ラッピング端子602にラッピング接続したジャンパー線601どうしが干渉することによる混信を防止することができる。
【0084】
(従来のラッピング工具100および従来のラッピング方法)
つぎに、従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法について説明する。図11および図12は、従来のラッピング工具および従来のラッピング工具を用いたラッピング方法を示す説明図である。図13は、従来のラッピング工具を用いてジャンパー線601を巻き付けたラッピング端子602を示す説明図である。
【0085】
図11、図12および図13において、従来のラッピング工具1100は、略棒形状をなすラッピング工具本体1102に設けられたラッピング端子挿入口1101を備えている。ラッピング端子挿入口1101は、ラッピング工具本体1102の軸心方向における一端面に設けられ、当該軸心方向における他端側へ向かって凹んだ凹穴形状をなしている。
【0086】
ラッピング工具本体1102の軸心方向における一端面において、ラッピング端子挿入口1101の隣には、ジャンパー線挿入口1103が設けられている。ジャンパー線挿入口1103は、ラッピング工具本体1102の軸心方向における一端面において、当該軸心方向における他端側へ向かって凹んだ凹穴形状をなしている。
【0087】
従来のラッピング工具1100を用いたラッピング接続作業に際しては、被覆を剥いたジャンパー線601をジャンパー線挿入口1103に挿入した状態で、ラッピング端子挿入口1101にラッピング端子602を挿入する。そして、ラッピング端子挿入口1101にラッピング端子602を挿入した状態で、ラッピング端子602を中心としてラッピング工具1100を回転させ、ラッピング端子602にジャンパー線601を巻き付ける。ラッピング端子602にジャンパー線601を巻き付けた後は、ラッピング端子602からラッピング工具1100を取り外す。
【0088】
図14および図15は、従来のラッピング工具1100を用いてラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601の状態を示す説明図である。図14において、従来のラッピング工具1100を用いてラッピング端子602に巻き付けられたジャンパー線601は、ジャンパー線601が振動するなどして当該ジャンパー線601にかかる力が変化した場合などにおいて、巻き付けの程度が緩くなることがあった。
【0089】
巻き付けの程度が緩くなったジャンパー線601は、ジャンパー線601の芯線を形成する材料が有するコシ(弾性)などによって、ジャンパー線601がなす螺旋の直径を大きくする。この結果、ジャンパー線601の芯線がラッピング端子602から離れ、ラッピング端子602に対するジャンパー線601の芯線の接触面積が減少する。この接触面積の減少が進み、ラッピング端子602に対するジャンパー線601の芯線の接触面がなくなった場合、ラッピング端子602とジャンパー線601の芯線との電気的な接続が遮断され、通信不能となってしまう。
【0090】
図15においては、従来のラッピング工具1100を用いて、複数のラッピング端子602にジャンパー線601を接続した状態を示している。図15において、ラッピング端子602に対して従来のラッピング工具1100を用いてラッピングしたジャンパー線601の巻き付けの程度が、上述したようにして緩くなった場合、巻き付けの程度が緩くなることによってジャンパー線601の芯線に弛みが生じることがあった。
【0091】
端子台500においては、複数のラッピング端子602が近距離で隣り合った状態で配列されているため、ジャンパー線601の芯線が弛んだ状態では、当該緩んだジャンパー線601の芯線が隣接するラッピング端子602に接触することがあった。このように、目的とするラッピング端子602以外のラッピング端子602にジャンパー線601の芯線が接触している状況では、1つのラッピング端子602に複数の信号が入力され、混信が生じてしまう。
【0092】
これに対して、この実施の形態のラッピング工具100によれば、各ラッピング端子602におけるジャンパー線601の緩みを防止することができるので、通信不能になる事態や混信が生じる事態の発生を防止し、良好な通信環境を確保するとともに当該良好な通信環境を維持することができる。
【0093】
このように、この実施の形態のラッピング工具100を用いてラッピング接続作業をおこなうことにより、端子台500において密集している端子501のうち該当する端子501すなわちラッピング端子602に対してジャンパー線601を容易にラッピング接続することができるという、従来のラッピング工具1100が実現する機能に加えて、ジャンパー線601とラッピング端子602とを確実に接続し、安定した電気的接続を確保することができる。
【0094】
この実施の形態のラッピング工具100は、一旦ラッピング接続したジャンパー線601を取り外す際にも用いることができる。一旦ラッピング接続したジャンパー線601を取り外す際は、ラッピング端子602に接続されているジャンパー線601を、ジャンパー線抜き取り口215を介してラッピング端子挿入通路206内に導入し、ラッピング端子挿入通路206を介してジャンパー線側路208に導入する。
【0095】
また、ジャンパー線側路208に導入したジャンパー線601が接続されているラッピング端子602を、ラッピング端子挿入通路206に挿入する。この状態で、アウターパーツ201に対して、ジャンパー線支持部204をジャンパー線601の巻き付け方向とは反対側に回転させる。これによって、ラッピング接続されたジャンパー線601の巻付きを緩め、一端ラッピング接続したジャンパー線601を容易に取り外すことができる。
【0096】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、ラッピング接続した後、ラッピング端子602から取り外さずに、装着したまま用いてもよい。これによって、ラッピング接続した箇所をラッピング工具100によって保護することができ、長期にわたって安定した電気的接続を確保することができる。
【0097】
以上説明したように、この実施の形態のラッピング工具100は、ジャンパー線601の芯線(被覆を剥いた導線)を端子であるラッピング端子602に巻きつけることによって当該ジャンパー線601の芯線と当該ラッピング端子602とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具100を実現している。
【0098】
そして、この実施の形態のラッピング工具100は、略円筒形状をなし、内周側に端子の挿入が可能な管状の空間をなすラッピング端子挿入口207および(端子挿入部)が設けられたアウターパーツ201と、アウターパーツ201の内周側であってラッピング端子挿入口207よりも外周側に設けられる略管形状をなし、アウターパーツ201の軸心を中心として当該アウターパーツ201に対して回動可能に設けられたジャンパー線巻き付け部202(インナーパーツ)と、ラッピング端子挿入口207において、アウターパーツ201に対するジャンパー線601の芯線の位置が一定となるように当該ジャンパー線601の芯線をガイドするジャンパー線側路208(ジャンパー線601の芯線ガイド部)と、ジャンパー線巻き付け部202に設けられて、ジャンパー線側路208よりもラッピング端子挿入口207から離間した位置においてジャンパー線601の芯線の先端部を保持するジャンパー線保持通路217(ジャンパー線601の芯線保持部)と、を備えたことを特徴としている。
【0099】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ラッピング接続作業に際して、まず、ジャンパー線側路208によってジャンパー線601の芯線をガイドするとともにジャンパー線保持通路217によってジャンパー線601の芯線の先端部を保持した状態でラッピング端子挿入口207にラッピング端子602を挿入する。そして、この状態で、アウターパーツ201に対してジャンパー線巻き付け部202を回転させる。
【0100】
これにより、ジャンパー線保持通路217によって保持しているジャンパー線601の芯線を、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線およびラッピング端子602に巻き付けることができる。その後、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線をラッピング端子602から離反する方向に引っ張ることにより、ラッピング端子602に巻き付けたジャンパー線601の芯線を当該ラッピング端子602に対してより強く巻き付かせることができる。
【0101】
ジャンパー線601の芯線においてはジャンパー線601の芯線自体にかかる張力によって、当該ジャンパー線601の芯線をラッピング端子602から離反させる方向に引っ張る力が作用している。この発明によれば、ジャンパー線601の芯線にかかる張力を利用して、当該張力がかかっている間はラッピング端子602に巻き付けたジャンパー線601の芯線が常にラッピング端子602に巻き付くような力をかけることができる。これによって、ラッピング端子602に巻き付けたジャンパー線601の芯線の緩みを防止し、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続状態を確保することができる。
【0102】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、アウターパーツ201に設けられ、当該アウターパーツ201の外側からジャンパー線巻き付け部202の回転操作を可能とする回転部用開口部212(操作用開口部)を備えたことを特徴としている。
【0103】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、回転部用開口部212を介して、アウターパーツ201の外側からジャンパー線巻き付け部202を回転させることができる。これによって、ジャンパー線保持通路217によって保持しているジャンパー線601の芯線を、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線およびラッピング端子602に容易に巻き付けることができる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0104】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、ジャンパー線側路208が、ラッピング端子挿入口207に挿入されたラッピング端子602にジャンパー線601の芯線が隣接するように当該ジャンパー線601の芯線をガイドすることを特徴としている。
【0105】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ジャンパー線側路208によってガイドされているジャンパー線601の芯線をラッピング端子602から離反する方向に引っ張った場合に、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602とを確実に接触させることができる。これによって、ジャンパー線601の芯線とラッピング端子602との電気的な接続状態を確保することができる。
【0106】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、アウターパーツ201に対してジャンパー線巻き付け部202が所定の位置に位置づけられた場合に、ジャンパー線側路208によってガイドされるジャンパー線601の芯線のアウターパーツ201の外側への取り出しを可能とするジャンパー線601のジャンパー線抜き取り口215(芯線引き抜き部)を備えたことを特徴としている。
【0107】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ジャンパー線601の芯線と端子とを電気的に接続した後、ジャンパー線抜き取り口215を介して、ラッピング端子602からラッピング工具100を任意に取り外すことができる。これによって、ラッピング端子602からラッピング工具100を取り外した場合は同じラッピング工具100を用いて複数箇所のラッピング端子602に対するラッピング接続をおこなうことができ、ラッピング端子602にラッピング工具100を取り付けたままの場合はラッピング工具100によってラッピング端子602を保護することができる。
【0108】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、ジャンパー線抜き取り口215が、アウターパーツ201およびジャンパー線巻き付け部202に設けられ、ジャンパー線側路208によるジャンパー線601の芯線のガイド方向に沿って、ジャンパー線側路208と外部とを連通するスリット211、214であることを特徴としている。
【0109】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、簡易な構成によってジャンパー線抜き取り口215を実現することができる。これによって、ラッピング工具100の小型化、軽量化、ラッピング工具100の取り扱い性などの向上を図ることができ、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0110】
また、この実施の形態のラッピング工具100は、スリット211、214が、軸心を中心とする円の半径方向に対して屈曲あるいは湾曲した形状をなすことを特徴としている。具体的には、この実施の形態においては、クランク状に屈曲したスリット211、214によってジャンパー線抜き取り口215を実現している。
【0111】
この実施の形態のラッピング工具100によれば、ラッピング接続の作業中にジャンパー線側路208内のジャンパー線601の芯線がスリット211、214を介して不用意に外部に抜け出してしまうことを防止できる。これによって、ラッピング接続の作業に際しての作業性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、この発明にかかるラッピング工具は、ラッピング接続に用いるラッピング工具に有用であり、特に、隣り合う端子どうしの距離が近い端子台に設けられた端子へのラッピング接続に用いるラッピング工具に適している。
【符号の説明】
【0113】
100 ラッピング工具
201 アウターパーツ
202 ジャンパー線巻き付け部
207 ラッピング端子挿入口
208 ジャンパー線側路
212 回転部用開口部
211、214 スリット
215 ジャンパー線抜き取り口
217 ジャンパー線保持通路
601 ジャンパー線
602 ラッピング端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆を剥いた導線を端子に巻きつけることによって当該導線と当該端子とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具であって、
略円筒形状をなし、内周側に前記端子の挿入が可能な管状の空間をなす端子挿入部が設けられたアウターパーツと、
前記アウターパーツの内周側であって前記端子挿入部よりも外周側に設けられる略管形状をなし、前記アウターパーツの軸心を中心として当該アウターパーツに対して回動可能に設けられたインナーパーツと、
前記端子挿入部において、前記アウターパーツに対する前記導線の位置が一定となるように当該導線をガイドする導線ガイド部と、
前記インナーパーツに設けられて、前記導線ガイド部よりも前記端子挿入部から離間した位置において前記導線の先端部を保持する導線保持部と、
を備えたことを特徴とするラッピング工具。
【請求項2】
前記アウターパーツに設けられ、当該アウターパーツの外側から前記インナーパーツの回転操作を可能とする操作用開口部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のラッピング工具。
【請求項3】
前記導線ガイド部は、前記端子挿入部に挿入された前記端子に前記導線が隣接するように当該導線をガイドすることを特徴とする請求項1または2に記載のラッピング工具。
【請求項4】
前記アウターパーツに対して前記インナーパーツが所定の位置に位置づけられた場合に、前記導線ガイド部によってガイドされる前記導線の前記アウターパーツの外側への取り出しを可能とする導線引き抜き部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のラッピング工具。
【請求項5】
前記導線引き抜き部は、前記アウターパーツおよび前記インナーパーツに設けられ、前記導線ガイド部による前記導線のガイド方向に沿って、前記端子挿入部と外部とを連通するスリットであることを特徴とする請求項4に記載のラッピング工具。
【請求項6】
前記スリットは、前記軸心を中心とする円の半径方向に対して屈曲あるいは湾曲した形状をなすことを特徴とする請求項5に記載のラッピング工具。
【請求項1】
被覆を剥いた導線を端子に巻きつけることによって当該導線と当該端子とを電気的に接続するラッピング接続に用いるラッピング工具であって、
略円筒形状をなし、内周側に前記端子の挿入が可能な管状の空間をなす端子挿入部が設けられたアウターパーツと、
前記アウターパーツの内周側であって前記端子挿入部よりも外周側に設けられる略管形状をなし、前記アウターパーツの軸心を中心として当該アウターパーツに対して回動可能に設けられたインナーパーツと、
前記端子挿入部において、前記アウターパーツに対する前記導線の位置が一定となるように当該導線をガイドする導線ガイド部と、
前記インナーパーツに設けられて、前記導線ガイド部よりも前記端子挿入部から離間した位置において前記導線の先端部を保持する導線保持部と、
を備えたことを特徴とするラッピング工具。
【請求項2】
前記アウターパーツに設けられ、当該アウターパーツの外側から前記インナーパーツの回転操作を可能とする操作用開口部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のラッピング工具。
【請求項3】
前記導線ガイド部は、前記端子挿入部に挿入された前記端子に前記導線が隣接するように当該導線をガイドすることを特徴とする請求項1または2に記載のラッピング工具。
【請求項4】
前記アウターパーツに対して前記インナーパーツが所定の位置に位置づけられた場合に、前記導線ガイド部によってガイドされる前記導線の前記アウターパーツの外側への取り出しを可能とする導線引き抜き部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のラッピング工具。
【請求項5】
前記導線引き抜き部は、前記アウターパーツおよび前記インナーパーツに設けられ、前記導線ガイド部による前記導線のガイド方向に沿って、前記端子挿入部と外部とを連通するスリットであることを特徴とする請求項4に記載のラッピング工具。
【請求項6】
前記スリットは、前記軸心を中心とする円の半径方向に対して屈曲あるいは湾曲した形状をなすことを特徴とする請求項5に記載のラッピング工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5−1】
【図5−2】
【図5−3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5−1】
【図5−2】
【図5−3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−272442(P2010−272442A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124964(P2009−124964)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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