ラベルプリンタおよび情報処理装置
【課題】商品に印刷する商品の回収日を自動で算出して印刷することが可能なラベルプリンタを提供する。また、商品に印刷する商品の回収日を自動で算出することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】制御部は、操作部の操作により入力された物品の製造日と、参照テーブルから取得した商品の賞味期限とを加算して商品の賞味期限日を算出する(S120〜S140)。続けて、制御部は、算出した商品の賞味期限日から参照テーブルから取得した商品の回収期間を引いて、商品の撤去日を算出する(S150,S160)。そして、制御部は、商品の撤去日が現在日以前か否かを判断し、商品の撤去日が現在日以前でないと判断した場合には商品の撤去日を暗号化処理してラベルを発行する(S170〜S190,S210)。一方、商品の撤去日が現在日以前であると判断した場合にはエラー表示を行う(S200)。
【解決手段】制御部は、操作部の操作により入力された物品の製造日と、参照テーブルから取得した商品の賞味期限とを加算して商品の賞味期限日を算出する(S120〜S140)。続けて、制御部は、算出した商品の賞味期限日から参照テーブルから取得した商品の回収期間を引いて、商品の撤去日を算出する(S150,S160)。そして、制御部は、商品の撤去日が現在日以前か否かを判断し、商品の撤去日が現在日以前でないと判断した場合には商品の撤去日を暗号化処理してラベルを発行する(S170〜S190,S210)。一方、商品の撤去日が現在日以前であると判断した場合にはエラー表示を行う(S200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品に関する情報が印刷されたラベルを発行するラベルプリンタおよびラベルデータを作成する情報処理装置に関する。詳しくは、物品を店舗等から回収する回収日を自動的に算出するラベルプリンタおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スーパー等の販売店で販売される食料品等の商品には、食品衛生法やJAS法の規定により、商品の内容を適切に表示することが義務付けられている。そのため、商品の包装容器には、名称(品名)、原材料名、内容量、期限表示(消費期限、賞味期限)、保存方法および製造者、製造所の所在地などの項目が印字されたラベルが貼り付けられ、消費者が商品の産地や原材料等を確認できるようになっている。
【0003】
このラベルの編集や発行等は一般にラベルプリンタにより行われる。例えば、特許文献1には、ホストコンピュータからネットワーク経由で送信されてきた商品名や賞味期限等の情報をラベルに印字する印字装置が記載されている。この印字装置によれば、ホストコンピュータから送信されてきた情報を指定された枚数だけ印字することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−299282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、商品に貼り付けられるラベルには商品の賞味期限日や消費期限日(商品期限日)が印刷されるが、商品がラベルに印刷された商品期限日やこの周辺日まで店舗の棚に並べられていると、商品購入者によっては商品の品質が劣化していると思い、その商品や販売店に悪い心象を抱いてしまう場合がある。そのため、販売者は、商品期限日等よりも早い段階(日程)で商品を店舗から引き上げる商品回収日(売り切り日)を設定し、商品が商品期限日に到達する前に店舗の棚から商品を引き上げている。
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載される印字装置では、商品名や賞味期限等の商品情報を印刷したラベルを発行することはできるが、商品の賞味期限日から所定の日数を引いた、商品の回収日を設定、印刷することができなかった。つまり、従来では、商品の回収日をラベルに印刷する機能を備えたラベルプリンタが存在しなかった。そのため、販売者は、商品に貼り付けられているラベルから商品の回収日を把握することができず、販売者の商品の回収作業時の負担が増えてしてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、商品に印刷する商品の回収日を自動で算出して印刷することが可能なラベルプリンタを提供すること目的とする。また、本発明は、商品に印刷する商品の回収日を自動で算出することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るラベルプリンタは、少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、物品毎に設定されている物品の物品期限と、任意に設定可能であって物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した物品期限と操作部により入力された物品の製造日とを加算して物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から回収期間を減算することにより物品の回収日を算出する制御部と、制御部により算出された物品の回収日を少なくとも印刷したラベルを発行する発行部とを備えるものである。
【0009】
また情報処理装置は、少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、物品毎に設定されている物品の物品期限と、任意に設定可能であって物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した物品期限と操作部により入力された物品の製造日とを加算して物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から回収期間を減算することにより物品の回収日を算出する制御部とを備えるものである。
【0010】
本発明においては操作部の操作により物品の製造日が入力される。物品とは、食品(食材)、工具、部品、薬品等を含むものである。物品の製造日が入力されると、物品毎に予め設定されている物品の物品期限と、任意に設定可能であって物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とが制御部により取得される。回収期間とは、物品の物品期限日よりも物品の回収時期を早めるための期間を規定するものである。物品期限および回収期間は、例えばこれらを対応付けて記憶するテーブルから取得することもできるし、ユーザが操作部により任意に設定することもできる。
【0011】
また制御部においては、取得した物品期限と操作部により入力された物品の製造日とが加算されて物品の物品期限日が算出される。さらに、算出された物品期限日から回収期間が減算されることで物品の回収日が算出される。制御部により算出された物品の回収日は、物品の物品期限日と共にラベルプリンタのラベル発行部によってラベルに印刷されて発行されたり、情報処理装置に接続される印刷装置により物品に印刷される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るラベルプリンタおよび情報処理装置によれば、物品の製造日を入力することにより、物品の回収日を自動的に算出し、算出した物品の回収日をラベルや物品に印刷することができるので、ユーザの作業負担の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るラベルプリンタの構成例を示す図である。
【図2】ラベルプリンタのブロック構成例を示す図である。
【図3】ラベルの構成例を示す図である。
【図4】参照テーブルの構成例を示す図である。
【図5】暗号化テーブルの構成例を示す図である。
【図6】商品の回収日の設定範囲を説明するための図である。
【図7】ラベルプリンタの動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】商品の回収日をバーコード化した場合のラベルのレイアウトの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るラベルプリンタにより印刷されるラベルのレイアウトの構成例を示す図である。
【図10】ラベルプリンタの動作の一例を示す図である。
【図11】消費期限用および賞味期限用のラベルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<第1の実施の形態>
[ラベルプリンタの構成例]
図1は、ラベルプリンタ50の外観構成例を示している。ラベルプリンタ50は、ラベルプリンタ本体20とヒンジ部30と操作部62と表示部64とを備えている。ラベルプリンタ本体20は上部筐体20Aと下部筐体20Bとから構成され、上部筐体20Aと下部筐体20Bとがヒンジ部30を介して開閉可能に連結されている。下部筐体20Bの内部には、後述する制御部52やメモリ部60等が設けられている。
【0015】
操作部62は、上部筐体20Aの上面部に設けられ、「0」〜「9」の数字ボタンや確定ボタン、印刷ボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。表示部64は、上部筐体20Aの上面部であって操作部62よりも上方に設けられ、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)などの表示デバイスから構成されている。下部筐体20Bの前面部には、メモリカード90を挿脱するためのスロット70Aと、所定のレイアウトが印刷されたラベル200Aが出力されるラベル排出口74とが設けられている。
【0016】
[ラベルプリンタのブロック構成例]
図2は、ラベルプリンタ50のブロック構成例を示している。ラベルプリンタ50は、制御部52とメモリ部60と操作部62と表示部64とラベル発行部66と通信用インタフェース68とメモリカード用インタフェース70と時計機能部72とを備えている。これらは、互いにバス76を介して電気的に接続されている。
【0017】
メモリ部60は、例えば不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、ラベルデータや後述する参照テーブルTR、暗号化テーブルTC、履歴ファイル等を記憶する。表示部64は、制御部52の表示制御に基づいてラベル200Aの賞味期限日や回収日等のラベルデータを表示したり、ラベル200Aを編集するための入力画面等を表示する。また表示部64は、後述するように、算出した商品の回収日が現在日以前である場合には、商品の回収日の設定が不適当である旨をエラーメッセージとして表示する。
【0018】
操作部62は、商品の製造日や商品の回収期間等の入力やラベル200Aのレイアウトの編集や発行等を行うものであり、ユーザによるボタン操作に応じた操作信号を生成して制御部52に供給する。ラベル発行部66は、例えば熱転写方式が採用され、サーマルヘッドやラベル(ロール紙)を搬送する搬送機構等により構成されている。
【0019】
通信用インタフェース68は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格の接続口(USBポート)により構成され、例えばラベルプリンタ50の背面側に設けられる。通信用インタフェース68には、図示しないケーブルの一端部が着脱可能に接続され、このケーブルの他端部に接続されるコンピュータ等の情報処理装置とデータ通信を行うことが可能となっている。メモリカード用インタフェース70は、メモリカード90が挿脱可能に取り付けられるスロット70A(挿入口)を備えており、例えばラベルプリンタ50の側面部に設けられる。
【0020】
時計機能部72は、日付および時刻をカウントするものであり、制御部52からの指示に基づいて、現在の日付(現在日)および時刻を時計データとして制御部52に供給する。時計データは、現在日を特定する際に用いられる。現在日とは、ユーザがラベル200Aを発行する日(ラベル発行日)を意味しており、商品を販売する販売日がラベル発行日と同日である場合には商品の販売日も現在日に含まれる。なお、時計機能部72は制御部52に組み込んでも良い。
【0021】
制御部52は、CPU(Central Processing Unit)54、ROM(Read Only Memory)56およびRAM(Random Access Memory)58を有している。ROM56は、ラベルプリンタ50を動作させるための各種のプログラムや処理に必要なデータなどを記憶する。RAM58は、CPU54で各種の処理を行うときに得られたデータを一時的に記憶保持するなど、主に各種の処理の作業領域として用いられる。CPU54は、ROM56に記憶されているプログラムを実行して、ラベルプリンタ50が所望の動作となるように各部の制御を行う。
【0022】
また、制御部52は、時計機能部72から現在日を取得すると共に後述する参照テーブルTRから商品毎に予め設定されている商品の賞味期限および回収期間を取得する。続けて制御部52は、取得した商品の賞味期限と商品の製造日とを加算して商品の賞味期限日を算出した後、この賞味期限日から回収期間を引いて商品の回収日を算出する。そして、算出した賞味期限日と回収日とを印刷したラベル200Aを発行するようにラベル発行部66を制御する。
【0023】
メモリカード90は、記憶部の一例であり、例えばSDカードやCFメモリ等の不揮発性メモリから構成され、ラベルプリンタ本体20のスロット70Aに挿脱可能に挿入される。このメモリカード90には、ラベルデータや商品と商品の賞味期限と商品の回収期限とを対応付けた参照テーブルTR等が記憶される。
【0024】
[ラベルの構成例]
図3(A)は商品10に貼り付けられたラベル200Aの構成例を示し、図3(B)はそのラベル200Aの詳細な構成例を示している。ラベル200Aは、例えば商品10の側面部に貼り付けられる。ラベル200Aには、商品の賞味期限日が印刷され、その下方に商品の回収日が印刷される。商品の回収日は、後述する暗号化テーブルTCに基づいて文字変換(暗号化)されて印刷され、ユーザが商品の回収日を直接把握できないようになっている。本例では、例えば商品の回収日が「09.3.16」である場合に(図3(B)上)、この回収日が暗号化処理されて「21 CAF」に変換されて印刷される(図3(B)下)。
【0025】
[参照テーブルの構成例]
図4は、商品名情報と商品の賞味期限情報と商品の回収期間情報とが対応付けられた参照テーブルTRの構成例を示している。回収期間情報とは、商品の賞味期限日よりも商品の回収時期を早めた商品の回収日(売り切り日)を算出するための期間であり、賞味期限日から所定期間だけ繰り上げる日数を規定するものである。この回収期間は、商品毎または一律にユーザが任意に設定することができる。
【0026】
この参照テーブルTRでは、所定の「商品名」のファイルが選択されたとき、選択された「商品名」に対応した「賞味期限」および「回収期間」の少なくとも一方を出力する。例えば、図4に示すように、商品名「ABC」のファイルが選択された場合には賞味期限「30日間」および回収期間「10日間」の少なくとも一方を出力する。
【0027】
参照テーブルTRは、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により作成してメモリカード90に保存して使用しても良いし、サーバからダウンロードしてメモリ部60に保存して使用しても良い。また、参照テーブルTRの商品名情報、賞味期限情報および回収期間情報は、書き換えや追加により変更、更新することもできる。
【0028】
[暗号化テーブルの構成例]
図5は、暗号化テーブルTCの構成例を示している。暗号化テーブルTCは、商品の回収日が算出されると、回収日の年月日の各数字を、所定の文字や数字、記号等に変換して出力するものである。例えば、図5に示すように、回収日の情報として「1」が入力されると、入力値「1」を出力値「A」に変換して出力する。この暗号化テーブルTCは、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により作成してメモリカード90に保存して使用しても良いし、サーバからダウンロードしてメモリ部60に保存して使用しても良い。また、暗号化テーブルTCの入力値および出力値は、書き換えや追加により変更、更新することもできる。
【0029】
[賞味期限日の設定制限]
次に、商品の回収日を設定する際の制限について説明する。図6は、商品の回収日の設定範囲を説明するための図である。なお、本例では、ラベル発行日と商品の販売日とを同日に設定するものとする。一般に商品は、工場において製造され、工場で製造された商品が販売店に輸送される。販売店では、商品の賞味期限日等を印刷したラベル200Aをラベルプリンタ50により発行する。ラベルプリンタ50により発行されたラベル200Aは、商品に貼り付けられた後、店頭において販売される。
【0030】
本例では、商品の製造日を例えば「2月26日」とし、ラベル発行日を例えば「3月12日(現在日)」とする。また、商品の賞味期限の最大期間を例えば「30日間」とし、商品の賞味期限日を「3月25日」とする。このように商品に関する日付を設定したとき、商品の回収日は、後述するように、商品の製造日とユーザにより設定された商品の賞味期限および回収期間とに基づいて算出され、下記(1)の関係で示す設定範囲に制限される。
現在日(ラベル発行日)<回収日<賞味期限日・・・(1)
【0031】
したがって、本実施の形態では、現在日「3月12日」の翌日から賞味期限日「3月25日」の前日までの期間において商品の回収日を設定することが可能とされる。一方、現在日「3月12日」以前、または、賞味期限日「3月25日」以降については、商品の回収日がラベル発行日よりも過去になってしまったり、回収日が賞味期限日を越えてしまうので設定不可能とされる。
【0032】
[ラベルプリンタの動作例]
次に、ラベルプリンタ50の動作の一例について図4〜図7を参照して説明する。図7は、ラベルプリンタ50の動作の一例を示すフローチャートを示している。なお、以下の例では、図4に示した商品名「ABC」,「GHI」のそれぞれが選択された場合について説明する。またラベルプリンタ50のメモリ部60には、コンピュータ等で予め作成されたラベル200Aのレイアウト(ラベルデータ)や参照テーブルTR、暗号化テーブルTCがメモリカード90に保存されているものとする。
【0033】
まず、ステップS100で制御部52は、ラベルプリンタ50においてユーザにより所定のファイル名(フォルダ名)が選択されたか否かを判断する。制御部52は、所定のファイル名が選択されたと判断した場合にはステップS110に進み、所定のファイル名が選択されていないと判断した場合にはファイル名が選択されるまで待機する。
【0034】
ステップS110で制御部52は、ユーザにより選択されたファイル名のレイアウトデータを表示部64の画面に表示する。続けて制御部52は、商品の製造日を入力するための入力画面に切り替える。例えば、情報処理装置等のレイアウト作成画面において発行時変更の設定が行われている項目(例えば賞味期限等)の入力画面を表示する。
【0035】
ステップS120で制御部52は、入力画面においてユーザにより商品の製造日が入力されたか否かを判断する。制御部52は、商品の製造日が入力されたと判断した場合にはステップS130に進む。例えば、図6に示すように、商品が「2月26日」に製造された場合には、商品の製造日として「2月26日」がユーザにより入力される。一方、制御部52は、商品の製造日が入力されていないと判断した場合には、商品の製造日が入力されるまで待機する。
【0036】
ステップS130で制御部52は、商品の賞味期限を取得する。制御部52は、ユーザにより選択されたファイル(ラベルデータ)の商品名に対応した賞味期限をメモリカード90やメモリ部60に記憶されている参照テーブルTRから取得する。例えば、図4に示すように、ユーザにより選択されたファイルの商品名が「ABC」である場合には、参照テーブルTRを参照して商品名「ABC」に対応した商品の賞味期限「30日間」を取得する。またラベルデータの商品名が「GHI」である場合には、商品名「GHI」に対応した商品の賞味期限「20日間」を取得する。
【0037】
ステップS140で制御部52は、商品の製造日と商品の賞味期限とを加算して賞味期限日を取得する。例えば、商品の賞味期限が「30日間」である場合には、図6に示すように、商品の製造日が「2月26日」であるので賞味期限日は「3月25日」となる。また、商品の賞味期限が例えば「20日間」である場合には、商品の製造日が「2月26日」であるので賞味期限日は「3月15日」となる。
【0038】
ステップS150で制御部52は、商品の回収期間を取得する。制御部52は、ユーザにより選択されたファイル(ラベルデータ)の商品名に対応した回収期間をメモリカード90やメモリ部60に記憶されている参照テーブルTRから取得する。例えば、図4に示すように、商品名「ABC」が選択された場合には、商品名「ABC」に対応した回収期間「10日間」を参照テーブルTRから取得する。また、商品名「GHI」が選択された場合には、商品名「GHI」に対応した回収期間「10日間」を参照テーブルTRから取得する。
【0039】
ステップS160で制御部52は、賞味期限日から回収期間を減算して、商品を店頭から回収(撤収)する回収日を算出する。例えば、図6に示すように、商品名「ABC」の賞味期限日が「3月25日」であって回収期間が「10日間」である場合には、賞味期限日「3月25日」から回収期間「10日間」を減算して、商品の回収日「3月16日」を取得する。また、商品名「GHI」の賞味期限日が「3月15日」であって回収期間が「10日間」である場合には、賞味期限日「3月15日」から回収期間「10日間」を減算して、商品の回収日として「3月6日」を取得する。
【0040】
続けて、ステップS170で制御部52は、時計機能部72から現在の日付(現在日)を取得する。例えば、現在日(ラベル発行日)が「3月12日」である場合には、制御部52は、図6に示すように、現在日として時計機能部72から「3月12日(時計データ)」を取得する。
【0041】
ステップS180で制御部52は、算出した回収日が現在日以前(過去)であるか否かを判断する。制御部52は、回収日が現在日以前であると判断した場合にはステップS200に進む。例えば、選択された商品名が「GHI」であってその回収日が「3月6日」であれば、現在日「3月12日」より以前となるので、この場合にはステップS200に進む。一方、回収日が現在日以前でないと判断した場合にはステップS190に進む。例えば、選択された商品名が「ABC」であってその回収日が「3月16日」であれば、現在日「3月12日」より後日となるので、この場合にはステップS190に進む。なお、本例では、現在日を含めて判断しているが、現在日を含めずに判断しても良い。
【0042】
ステップS200で制御部52は、商品の回収日が現在日以前であると判断した場合、算出した回収日が不適当である旨のメッセージを表示部64の画面に表示(エラー表示)する。これにより、ラベル200Aを発行する前段階において、商品の回収日の設定が誤っていることをユーザに警告することができる。制御部52は、エラー表示した後、表示画面を初期画面に切り替えたり、新たに設定した商品の回収期間を入力する入力画面を表示させる。また、ユーザにより操作部62の印刷ボタンが押されたとしても、制御部52はラベル発行部66を発行動作に移行しないように制御する。
【0043】
一方、ステップS190で制御部52は、商品の回収日が現在日以前でないと判断した場合、ステップS160で算出した商品の回収日を暗号化処理する。例えば、商品の回収日が「2009年3月16日」である場合には、図5に示した暗号化テーブルTCを参照して、「2009年3月16日」を「21 CAF」に変換する。なお、この例では、西暦表示を、例えば西暦情報と年号情報とを対応付けた別の暗号化テーブルを用いて年号表示に変換している。
【0044】
ステップS210で制御部52は、商品の回収日の暗号化処理が完了したら、商品の賞味期限日および回収日が新たに書き込まれたラベルデータを生成し、このラベルデータに基づいてラベル200Aを発行する。例えば、図3(B)に示したように、商品名「ABC」のラベル200Aを発行する場合には、賞味期限日が「2009年3月25日」である場合には「賞味期限」に対応した領域に「2009.3.25」を印刷し、商品の回収日が「2009年3月16日」である場合には「回収日」に対応した領域に「21 CAF」を印刷したラベル200Aを発行する。
【0045】
ユーザは、ラベル200Aに印刷された商品の回収日をラベル読み取り装置(スキャナ等)を用いて復号化(解読)処理を行う。ラベル読み取り装置には、上述した暗号化テーブルTCが記憶されている。ラベル読み取り装置は、ラベル200Aの読み込み時に、暗号化テーブルTCを参照して暗号化処理された商品の回収日を復号化処理し、ラベル読み取り装置に設けられた表示部の画面に復号化処理した商品の回収日を表示する。これにより、ユーザは、暗号化された商品の回収日を商品購入者に知られることなく、簡単に把握することができる。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、商品の回収期間を参照テーブルTRから取得していたが、これに限定されることはない。例えば、ユーザが操作部62を操作し、商品の回収期間を直接入力、選択して任意の日数を指定することもできる。この場合、図4に示した参照テーブルTRは、商品名情報と商品に対応した賞味期限情報とが対応付けられた構成となる。これにより、ユーザは、季節や商品サイクルに応じて柔軟に商品の回収期間を設定することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、商品の製造日を入力することにより、商品の回収日を自動的に算出し、算出した商品の回収日をラベル200Aに印刷して発行することができる。これにより、従来では存在しなかった商品の回収日を印刷することが可能な機能を備えたラベルプリンタ50を提供することができる。ユーザは、商品に貼り付けられたラベル200Aから商品を回収する回収日を容易かつ確実に把握することができるので、商品の回収日の確認作業等の省力化を図ることができる。
【0048】
また、商品の回収日を現在日以前に設定した場合には、表示部64の画面にエラーメッセージが表示されるので、ユーザは、商品の回収日を誤って設定したことを的確に把握することができる。なお、本実施の形態では、エラー表示をしてユーザに警告したが、ブザー音や音声等によりユーザに警告しても良い。
【0049】
さらに、本実施の形態によれば、所定のファイル(レイアウト)を選択すると、参照テーブルTRからファイルの商品名に対応した賞味期限および回収期間を取得することができるので、ユーザが賞味期限等を入力、選択する必要がなく、ラベル発行作業における作業負担の軽減を図ることができると共に入力ミスを防止できる。同様に、現在日を時計機能部72から取得するので、入力ミスを防止し、ユーザの作業負担の軽減を図ることができる。
【0050】
<第1の実施の形態の変形例>
上述した例では、商品の回収日の暗号化の一例として、暗号化テーブルTCを用いた文字変換処理を採用していたが、これに限定されることはない。例えば、暗号化の他の例として、バーコード変換処理を採用することもできる。
【0051】
商品の回収日をバーコード変換する場合、第1の実施の形態の図7のステップS190において制御部52は、ステップS160で算出した商品の回収日を、各バーコードの規格に対応したデータに変換する。例えば、JAN−13コードを用いる場合には、商品の回収日を12桁に変換したデータを生成する。そして、制御部52は、変換したデータをバーコードに変換し、変換したバーコードをラベル200Bに印刷するようにラベル発行部66を制御する。
【0052】
図8(A)は通常の商品の回収日が印刷されたラベル200Bの構成例を示し、図8(B)はバーコード変換した商品の回収日が印刷されたラベル200Bの構成例を示している。ラベル200Bには、商品の賞味期限日が印刷され、その下方にバーコード化された商品の回収日が印刷される。バーコードの下方には、通常バーコードに対応した数字(回収日)等も印刷されるが、本例では数字等を印刷していない。これは、バーコードの下方に印刷された数字等から、ユーザが商品の回収日を推測してしまう場合も考えられるからである。
【0053】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る発明について説明する。なお、第2の実施の形態で説明するラベルプリンタ50は、第1の実施の形態で説明したラベルプリンタ50と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
[商品の期限表示]
まず、商品の期限表示について説明する。食品等の商品の保存期間は、商品の特性や品質変化の要因等に基づいて設定されており、商品の品質等が劣化するまでの期間に応じて「消費期限」と「賞味期限」の2種類に分類される。「消費期限」は製造日を含めて概ね5日以内で品質が急速に劣化する商品に設定され、「賞味期限」は製造日を含めて概ね5日を越えても品質が比較的劣化しにくい商品に設定される。
【0055】
従来では、商品毎に設定される商品期限に基づいてユーザが「消費期限」または「賞味期限」の期限表示を選択して、ラベルのレイアウトを作成していた。そのため、入力した商品の商品期限が5日を超えているのに「消費期限」表示を誤って選択してしまったり、入力した商品の商品期限が5日以内であるのに「賞味期限」表示を誤って選択してしまう場合があった。誤った期限表示のラベルを商品に貼り付けてしまった場合には、商品ごと回収しなければならない場合があったり、期限表示が正確なラベルに張り替えなければならなかった。これにより、余計なコストがかかってしまったり、ユーザの作業負担が増えてしまういという問題があった。
【0056】
そこで、第2の実施の形態では、入力される商品の商品期限(日数)に基づいて、商品の期限情報が「賞味期限」に属するか、「消費期限」に属するかを制御部52により判別する。そして、この判別結果に基づいて消費期限用のレイアウトおよび賞味期限用のレイアウトの何れかを選択し、選択したレイアウトに基づくラベルを自動的に発行する。これにより、ユーザが「賞味期限」であるか、「消費期限」であるかを判別する必要がなくなるので、ラベルの発行ミスを防止することができるようになる。
【0057】
[ラベルのレイアウトの構成例]
図9(A)は消費期限用のラベルのレイアウト200R1を示し、図9(B)は賞味期限用のラベルのレイアウト200R2を示している。本例では、例えば一つのファイルに対して、消費期限用のレイアウト200R1と賞味期限用のレイアウト200R2の2パターンのレイアウトが予め用意される。消費期限用のレイアウト200R1と賞味期限用のレイアウト200R2とは、「消費期限」項目200a1と「賞味期限」項目200a2が異なるのみで、その他の「名称」、「品名」、「原材料名」、「価格」、「会社名」、「住所」、「バーコード」の項目は共通している。
【0058】
消費期限用のレイアウト200R1および賞味期限用のレイアウト200R2は、ラベルプリンタ50に接続される情報処理装置により作成したり、サーバに保存されているレイアウトデータをダウンロードして取得する。これらのレイアウト200R1,200R2は、メモリカード90やラベルプリンタ50に内蔵されるメモリ部60等に記憶される。
【0059】
[ラベルプリンタの動作例]
次に、ラベルプリンタ50の動作の一例について説明する。図10は、ラベルプリンタ50の動作の一例を示すフローチャートを示している。図11(A)は消費期限用のラベル200C1を示し、図11(B)は賞味期限用のラベル200C2を示している。まず、第1の実施の形態の図7に示したステップS100,S110と同様に、所定のファイルがユーザにより選択されたか否かを判断し、選択されたファイルを表示部64の画面に表示する。
【0060】
次に、ステップS300で制御部52は、ユーザにより商品の商品期限が入力されたか否かを判断する。本例では、商品の商品期限として例えば「3日」または「10日」が入力された場合について説明する。制御部52は、商品の商品期限が入力されたと判断した場合にはステップS310に進み、商品の商品期限が入力されていないと判断した場合には商品期限が入力されるまで待機する。
【0061】
ステップS310で制御部52は、入力された商品期限が5日以内であるか否かを判断する。つまり、入力された商品期限が、「賞味期限」に属するかまたは「消費期限」に属するかを判断する。制御部52は、商品期限が例えば「3日」である場合、商品期限は5日以内であるので、入力された商品期限が「消費期限」に属すると判断してステップS320に進む。一方、制御部52は、商品期限が例えば「10日」である場合、商品期限は5日を超えるので、入力された商品期限が「賞味期限」に属すると判断してステップS330に進む。
【0062】
まず、入力された商品期限が5日以内である場合について説明する。ステップS320で制御部52は、商品期限が消費期限に属すると判断した場合には、消費期限用のレイアウト200R1を選択する。例えば、入力された商品期限が「3日」である場合には、図9(A)に示した消費期限用のレイアウト200R1をメモリカード90等から読み出す。
【0063】
ステップS340で制御部52は、時計機能部72から現在日を取得する。例えば、現在の日付が「3月12日」である場合には、時計機能部72から現在日として「3月12日」を取得する。
【0064】
ステップS350で制御部52は、現在日と商品期限とを加算して、商品の消費期限日を算出する(現在日+商品期限=消費期限日)。例えば、現在日が「3月12日」であって商品期限が「3日間」である場合には、現在日「3月12日」に商品期限「3日間」を加算して、商品の消費期限日「3月14日」を算出する。
【0065】
ステップS360で制御部52は、算出した商品の消費期限日が印刷された消費期限用のラベル200C1を発行する。制御部52は、読み出した消費期限用のレイアウト200R1の「消費期限」項目の内容情報200b1に、算出した消費期限日「3月14日」を書き込んで、ラベルデータを生成する。そして、例えば、図11(A)に示すように、「消費期限」の内容情報200bの項目欄に「3月14日」が印刷されたラベル200C1を発行する。
【0066】
次に、商品期限が5日以内でない場合について説明する。ステップS330で制御部52は、商品期限が賞味期限に属すると判断した場合には、賞味期限用のレイアウト200R2を選択する。例えば、入力された商品期限が「10日」である場合には、図9(B)に示した賞味期限用のレイアウト200R2をメモリカード90等から読み出す。
【0067】
ステップS370で制御部52は、時計機能部72から現在日を取得する。例えば、現在の日付が「3月12日」である場合には、時計機能部72から現在日として「3月12日」を取得する。
【0068】
ステップS380で制御部52は、現在日と商品期限とを加算して、商品の賞味期限日を算出する(現在日+商品期限=賞味期限日)。例えば、現在日が「3月12日」であって商品期限が「10日間」である場合には、現在日「3月12日」に商品期限「10日間」を加算して、商品の賞味期限日「3月21日」を算出する。
【0069】
ステップS390で制御部52は、算出した商品の賞味期限日が印刷された賞味期限用のラベル200C2を発行する。制御部52は、読み出した賞味期限用のレイアウト200R2の「賞味期限」の内容情報200bに、算出した賞味期限日「3月21日」を書き込んで、ラベルデータを生成する。そして、例えば、図11(B)に示すように、「賞味期限」の内容情報200b2の項目欄に「3月21日」が印刷されたラベル200C2を発行する。
【0070】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、消費期限用のレイアウト200R1と賞味期限用のレイアウト200R2の2種類のレイアウトを予め用意し、制御部52により、入力される商品の商品期限に基づいて商品期限が消費期限に属するか、賞味期限に属するかを判断し、判断結果に基づいて消費期限用のレイアウト200R1および賞味期限用のレイアウト200R2の何れかを選択する。そのため、入力される商品期限が消費期限に属するか、賞味期限に属するかをユーザが判断せずに制御部52が自動的に行うので、期限表示の発行ミスを防止できる。その結果、誤印刷によるラベルの張り替え作業や商品の回収を回避することができ、ユーザの作業負担を増やすことなく、低コスト化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上記第1および第2の実施の形態では、商品の賞味期限における商品の回収日について説明したが、商品の消費期限における商品の回収日を算出する場合にも本発明を適用することができる。
【0072】
また、上述したラベルプリンタ50の制御部52による商品の賞味期限日等の算出制御を、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により行うこともできる。情報処理装置は、上述したラベルプリンタ50と同様に、操作部と制御部とを備えている。情報処理装置の操作部により商品の製造日や賞味期限、回収期間等が入力されると、情報処理装置の制御部では入力された商品の製造日等に基づいて商品の賞味期限日および回収日を算出し、これらの商品情報を含むラベルデータを生成する。
【0073】
印刷装置は、情報処理装置から送信されるラベルデータに基づいて商品のパッケージ等に商品の賞味期限日や回収日を直接または間接的に印刷する。なお、印刷装置は、情報処理装置と別体であって良いし、一体型であっても良い。このように、商品のパッケージに商品の賞味期限日や回収日を印刷するような場合でも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10・・・商品
50・・・ラベルプリンタ
52・・・制御部
60・・・メモリ部
62・・・操作部
64・・・表示部
66・・・ラベル発行部
72・・・時計機能部
90・・・メモリカード
200A,200B,200C1,200C2・・・ラベル
TR・・・参照テーブル
TC・・・暗号化テーブル
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品に関する情報が印刷されたラベルを発行するラベルプリンタおよびラベルデータを作成する情報処理装置に関する。詳しくは、物品を店舗等から回収する回収日を自動的に算出するラベルプリンタおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スーパー等の販売店で販売される食料品等の商品には、食品衛生法やJAS法の規定により、商品の内容を適切に表示することが義務付けられている。そのため、商品の包装容器には、名称(品名)、原材料名、内容量、期限表示(消費期限、賞味期限)、保存方法および製造者、製造所の所在地などの項目が印字されたラベルが貼り付けられ、消費者が商品の産地や原材料等を確認できるようになっている。
【0003】
このラベルの編集や発行等は一般にラベルプリンタにより行われる。例えば、特許文献1には、ホストコンピュータからネットワーク経由で送信されてきた商品名や賞味期限等の情報をラベルに印字する印字装置が記載されている。この印字装置によれば、ホストコンピュータから送信されてきた情報を指定された枚数だけ印字することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−299282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、商品に貼り付けられるラベルには商品の賞味期限日や消費期限日(商品期限日)が印刷されるが、商品がラベルに印刷された商品期限日やこの周辺日まで店舗の棚に並べられていると、商品購入者によっては商品の品質が劣化していると思い、その商品や販売店に悪い心象を抱いてしまう場合がある。そのため、販売者は、商品期限日等よりも早い段階(日程)で商品を店舗から引き上げる商品回収日(売り切り日)を設定し、商品が商品期限日に到達する前に店舗の棚から商品を引き上げている。
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載される印字装置では、商品名や賞味期限等の商品情報を印刷したラベルを発行することはできるが、商品の賞味期限日から所定の日数を引いた、商品の回収日を設定、印刷することができなかった。つまり、従来では、商品の回収日をラベルに印刷する機能を備えたラベルプリンタが存在しなかった。そのため、販売者は、商品に貼り付けられているラベルから商品の回収日を把握することができず、販売者の商品の回収作業時の負担が増えてしてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、商品に印刷する商品の回収日を自動で算出して印刷することが可能なラベルプリンタを提供すること目的とする。また、本発明は、商品に印刷する商品の回収日を自動で算出することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るラベルプリンタは、少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、物品毎に設定されている物品の物品期限と、任意に設定可能であって物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した物品期限と操作部により入力された物品の製造日とを加算して物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から回収期間を減算することにより物品の回収日を算出する制御部と、制御部により算出された物品の回収日を少なくとも印刷したラベルを発行する発行部とを備えるものである。
【0009】
また情報処理装置は、少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、物品毎に設定されている物品の物品期限と、任意に設定可能であって物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した物品期限と操作部により入力された物品の製造日とを加算して物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から回収期間を減算することにより物品の回収日を算出する制御部とを備えるものである。
【0010】
本発明においては操作部の操作により物品の製造日が入力される。物品とは、食品(食材)、工具、部品、薬品等を含むものである。物品の製造日が入力されると、物品毎に予め設定されている物品の物品期限と、任意に設定可能であって物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とが制御部により取得される。回収期間とは、物品の物品期限日よりも物品の回収時期を早めるための期間を規定するものである。物品期限および回収期間は、例えばこれらを対応付けて記憶するテーブルから取得することもできるし、ユーザが操作部により任意に設定することもできる。
【0011】
また制御部においては、取得した物品期限と操作部により入力された物品の製造日とが加算されて物品の物品期限日が算出される。さらに、算出された物品期限日から回収期間が減算されることで物品の回収日が算出される。制御部により算出された物品の回収日は、物品の物品期限日と共にラベルプリンタのラベル発行部によってラベルに印刷されて発行されたり、情報処理装置に接続される印刷装置により物品に印刷される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るラベルプリンタおよび情報処理装置によれば、物品の製造日を入力することにより、物品の回収日を自動的に算出し、算出した物品の回収日をラベルや物品に印刷することができるので、ユーザの作業負担の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るラベルプリンタの構成例を示す図である。
【図2】ラベルプリンタのブロック構成例を示す図である。
【図3】ラベルの構成例を示す図である。
【図4】参照テーブルの構成例を示す図である。
【図5】暗号化テーブルの構成例を示す図である。
【図6】商品の回収日の設定範囲を説明するための図である。
【図7】ラベルプリンタの動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】商品の回収日をバーコード化した場合のラベルのレイアウトの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るラベルプリンタにより印刷されるラベルのレイアウトの構成例を示す図である。
【図10】ラベルプリンタの動作の一例を示す図である。
【図11】消費期限用および賞味期限用のラベルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<第1の実施の形態>
[ラベルプリンタの構成例]
図1は、ラベルプリンタ50の外観構成例を示している。ラベルプリンタ50は、ラベルプリンタ本体20とヒンジ部30と操作部62と表示部64とを備えている。ラベルプリンタ本体20は上部筐体20Aと下部筐体20Bとから構成され、上部筐体20Aと下部筐体20Bとがヒンジ部30を介して開閉可能に連結されている。下部筐体20Bの内部には、後述する制御部52やメモリ部60等が設けられている。
【0015】
操作部62は、上部筐体20Aの上面部に設けられ、「0」〜「9」の数字ボタンや確定ボタン、印刷ボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。表示部64は、上部筐体20Aの上面部であって操作部62よりも上方に設けられ、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)などの表示デバイスから構成されている。下部筐体20Bの前面部には、メモリカード90を挿脱するためのスロット70Aと、所定のレイアウトが印刷されたラベル200Aが出力されるラベル排出口74とが設けられている。
【0016】
[ラベルプリンタのブロック構成例]
図2は、ラベルプリンタ50のブロック構成例を示している。ラベルプリンタ50は、制御部52とメモリ部60と操作部62と表示部64とラベル発行部66と通信用インタフェース68とメモリカード用インタフェース70と時計機能部72とを備えている。これらは、互いにバス76を介して電気的に接続されている。
【0017】
メモリ部60は、例えば不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、ラベルデータや後述する参照テーブルTR、暗号化テーブルTC、履歴ファイル等を記憶する。表示部64は、制御部52の表示制御に基づいてラベル200Aの賞味期限日や回収日等のラベルデータを表示したり、ラベル200Aを編集するための入力画面等を表示する。また表示部64は、後述するように、算出した商品の回収日が現在日以前である場合には、商品の回収日の設定が不適当である旨をエラーメッセージとして表示する。
【0018】
操作部62は、商品の製造日や商品の回収期間等の入力やラベル200Aのレイアウトの編集や発行等を行うものであり、ユーザによるボタン操作に応じた操作信号を生成して制御部52に供給する。ラベル発行部66は、例えば熱転写方式が採用され、サーマルヘッドやラベル(ロール紙)を搬送する搬送機構等により構成されている。
【0019】
通信用インタフェース68は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格の接続口(USBポート)により構成され、例えばラベルプリンタ50の背面側に設けられる。通信用インタフェース68には、図示しないケーブルの一端部が着脱可能に接続され、このケーブルの他端部に接続されるコンピュータ等の情報処理装置とデータ通信を行うことが可能となっている。メモリカード用インタフェース70は、メモリカード90が挿脱可能に取り付けられるスロット70A(挿入口)を備えており、例えばラベルプリンタ50の側面部に設けられる。
【0020】
時計機能部72は、日付および時刻をカウントするものであり、制御部52からの指示に基づいて、現在の日付(現在日)および時刻を時計データとして制御部52に供給する。時計データは、現在日を特定する際に用いられる。現在日とは、ユーザがラベル200Aを発行する日(ラベル発行日)を意味しており、商品を販売する販売日がラベル発行日と同日である場合には商品の販売日も現在日に含まれる。なお、時計機能部72は制御部52に組み込んでも良い。
【0021】
制御部52は、CPU(Central Processing Unit)54、ROM(Read Only Memory)56およびRAM(Random Access Memory)58を有している。ROM56は、ラベルプリンタ50を動作させるための各種のプログラムや処理に必要なデータなどを記憶する。RAM58は、CPU54で各種の処理を行うときに得られたデータを一時的に記憶保持するなど、主に各種の処理の作業領域として用いられる。CPU54は、ROM56に記憶されているプログラムを実行して、ラベルプリンタ50が所望の動作となるように各部の制御を行う。
【0022】
また、制御部52は、時計機能部72から現在日を取得すると共に後述する参照テーブルTRから商品毎に予め設定されている商品の賞味期限および回収期間を取得する。続けて制御部52は、取得した商品の賞味期限と商品の製造日とを加算して商品の賞味期限日を算出した後、この賞味期限日から回収期間を引いて商品の回収日を算出する。そして、算出した賞味期限日と回収日とを印刷したラベル200Aを発行するようにラベル発行部66を制御する。
【0023】
メモリカード90は、記憶部の一例であり、例えばSDカードやCFメモリ等の不揮発性メモリから構成され、ラベルプリンタ本体20のスロット70Aに挿脱可能に挿入される。このメモリカード90には、ラベルデータや商品と商品の賞味期限と商品の回収期限とを対応付けた参照テーブルTR等が記憶される。
【0024】
[ラベルの構成例]
図3(A)は商品10に貼り付けられたラベル200Aの構成例を示し、図3(B)はそのラベル200Aの詳細な構成例を示している。ラベル200Aは、例えば商品10の側面部に貼り付けられる。ラベル200Aには、商品の賞味期限日が印刷され、その下方に商品の回収日が印刷される。商品の回収日は、後述する暗号化テーブルTCに基づいて文字変換(暗号化)されて印刷され、ユーザが商品の回収日を直接把握できないようになっている。本例では、例えば商品の回収日が「09.3.16」である場合に(図3(B)上)、この回収日が暗号化処理されて「21 CAF」に変換されて印刷される(図3(B)下)。
【0025】
[参照テーブルの構成例]
図4は、商品名情報と商品の賞味期限情報と商品の回収期間情報とが対応付けられた参照テーブルTRの構成例を示している。回収期間情報とは、商品の賞味期限日よりも商品の回収時期を早めた商品の回収日(売り切り日)を算出するための期間であり、賞味期限日から所定期間だけ繰り上げる日数を規定するものである。この回収期間は、商品毎または一律にユーザが任意に設定することができる。
【0026】
この参照テーブルTRでは、所定の「商品名」のファイルが選択されたとき、選択された「商品名」に対応した「賞味期限」および「回収期間」の少なくとも一方を出力する。例えば、図4に示すように、商品名「ABC」のファイルが選択された場合には賞味期限「30日間」および回収期間「10日間」の少なくとも一方を出力する。
【0027】
参照テーブルTRは、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により作成してメモリカード90に保存して使用しても良いし、サーバからダウンロードしてメモリ部60に保存して使用しても良い。また、参照テーブルTRの商品名情報、賞味期限情報および回収期間情報は、書き換えや追加により変更、更新することもできる。
【0028】
[暗号化テーブルの構成例]
図5は、暗号化テーブルTCの構成例を示している。暗号化テーブルTCは、商品の回収日が算出されると、回収日の年月日の各数字を、所定の文字や数字、記号等に変換して出力するものである。例えば、図5に示すように、回収日の情報として「1」が入力されると、入力値「1」を出力値「A」に変換して出力する。この暗号化テーブルTCは、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により作成してメモリカード90に保存して使用しても良いし、サーバからダウンロードしてメモリ部60に保存して使用しても良い。また、暗号化テーブルTCの入力値および出力値は、書き換えや追加により変更、更新することもできる。
【0029】
[賞味期限日の設定制限]
次に、商品の回収日を設定する際の制限について説明する。図6は、商品の回収日の設定範囲を説明するための図である。なお、本例では、ラベル発行日と商品の販売日とを同日に設定するものとする。一般に商品は、工場において製造され、工場で製造された商品が販売店に輸送される。販売店では、商品の賞味期限日等を印刷したラベル200Aをラベルプリンタ50により発行する。ラベルプリンタ50により発行されたラベル200Aは、商品に貼り付けられた後、店頭において販売される。
【0030】
本例では、商品の製造日を例えば「2月26日」とし、ラベル発行日を例えば「3月12日(現在日)」とする。また、商品の賞味期限の最大期間を例えば「30日間」とし、商品の賞味期限日を「3月25日」とする。このように商品に関する日付を設定したとき、商品の回収日は、後述するように、商品の製造日とユーザにより設定された商品の賞味期限および回収期間とに基づいて算出され、下記(1)の関係で示す設定範囲に制限される。
現在日(ラベル発行日)<回収日<賞味期限日・・・(1)
【0031】
したがって、本実施の形態では、現在日「3月12日」の翌日から賞味期限日「3月25日」の前日までの期間において商品の回収日を設定することが可能とされる。一方、現在日「3月12日」以前、または、賞味期限日「3月25日」以降については、商品の回収日がラベル発行日よりも過去になってしまったり、回収日が賞味期限日を越えてしまうので設定不可能とされる。
【0032】
[ラベルプリンタの動作例]
次に、ラベルプリンタ50の動作の一例について図4〜図7を参照して説明する。図7は、ラベルプリンタ50の動作の一例を示すフローチャートを示している。なお、以下の例では、図4に示した商品名「ABC」,「GHI」のそれぞれが選択された場合について説明する。またラベルプリンタ50のメモリ部60には、コンピュータ等で予め作成されたラベル200Aのレイアウト(ラベルデータ)や参照テーブルTR、暗号化テーブルTCがメモリカード90に保存されているものとする。
【0033】
まず、ステップS100で制御部52は、ラベルプリンタ50においてユーザにより所定のファイル名(フォルダ名)が選択されたか否かを判断する。制御部52は、所定のファイル名が選択されたと判断した場合にはステップS110に進み、所定のファイル名が選択されていないと判断した場合にはファイル名が選択されるまで待機する。
【0034】
ステップS110で制御部52は、ユーザにより選択されたファイル名のレイアウトデータを表示部64の画面に表示する。続けて制御部52は、商品の製造日を入力するための入力画面に切り替える。例えば、情報処理装置等のレイアウト作成画面において発行時変更の設定が行われている項目(例えば賞味期限等)の入力画面を表示する。
【0035】
ステップS120で制御部52は、入力画面においてユーザにより商品の製造日が入力されたか否かを判断する。制御部52は、商品の製造日が入力されたと判断した場合にはステップS130に進む。例えば、図6に示すように、商品が「2月26日」に製造された場合には、商品の製造日として「2月26日」がユーザにより入力される。一方、制御部52は、商品の製造日が入力されていないと判断した場合には、商品の製造日が入力されるまで待機する。
【0036】
ステップS130で制御部52は、商品の賞味期限を取得する。制御部52は、ユーザにより選択されたファイル(ラベルデータ)の商品名に対応した賞味期限をメモリカード90やメモリ部60に記憶されている参照テーブルTRから取得する。例えば、図4に示すように、ユーザにより選択されたファイルの商品名が「ABC」である場合には、参照テーブルTRを参照して商品名「ABC」に対応した商品の賞味期限「30日間」を取得する。またラベルデータの商品名が「GHI」である場合には、商品名「GHI」に対応した商品の賞味期限「20日間」を取得する。
【0037】
ステップS140で制御部52は、商品の製造日と商品の賞味期限とを加算して賞味期限日を取得する。例えば、商品の賞味期限が「30日間」である場合には、図6に示すように、商品の製造日が「2月26日」であるので賞味期限日は「3月25日」となる。また、商品の賞味期限が例えば「20日間」である場合には、商品の製造日が「2月26日」であるので賞味期限日は「3月15日」となる。
【0038】
ステップS150で制御部52は、商品の回収期間を取得する。制御部52は、ユーザにより選択されたファイル(ラベルデータ)の商品名に対応した回収期間をメモリカード90やメモリ部60に記憶されている参照テーブルTRから取得する。例えば、図4に示すように、商品名「ABC」が選択された場合には、商品名「ABC」に対応した回収期間「10日間」を参照テーブルTRから取得する。また、商品名「GHI」が選択された場合には、商品名「GHI」に対応した回収期間「10日間」を参照テーブルTRから取得する。
【0039】
ステップS160で制御部52は、賞味期限日から回収期間を減算して、商品を店頭から回収(撤収)する回収日を算出する。例えば、図6に示すように、商品名「ABC」の賞味期限日が「3月25日」であって回収期間が「10日間」である場合には、賞味期限日「3月25日」から回収期間「10日間」を減算して、商品の回収日「3月16日」を取得する。また、商品名「GHI」の賞味期限日が「3月15日」であって回収期間が「10日間」である場合には、賞味期限日「3月15日」から回収期間「10日間」を減算して、商品の回収日として「3月6日」を取得する。
【0040】
続けて、ステップS170で制御部52は、時計機能部72から現在の日付(現在日)を取得する。例えば、現在日(ラベル発行日)が「3月12日」である場合には、制御部52は、図6に示すように、現在日として時計機能部72から「3月12日(時計データ)」を取得する。
【0041】
ステップS180で制御部52は、算出した回収日が現在日以前(過去)であるか否かを判断する。制御部52は、回収日が現在日以前であると判断した場合にはステップS200に進む。例えば、選択された商品名が「GHI」であってその回収日が「3月6日」であれば、現在日「3月12日」より以前となるので、この場合にはステップS200に進む。一方、回収日が現在日以前でないと判断した場合にはステップS190に進む。例えば、選択された商品名が「ABC」であってその回収日が「3月16日」であれば、現在日「3月12日」より後日となるので、この場合にはステップS190に進む。なお、本例では、現在日を含めて判断しているが、現在日を含めずに判断しても良い。
【0042】
ステップS200で制御部52は、商品の回収日が現在日以前であると判断した場合、算出した回収日が不適当である旨のメッセージを表示部64の画面に表示(エラー表示)する。これにより、ラベル200Aを発行する前段階において、商品の回収日の設定が誤っていることをユーザに警告することができる。制御部52は、エラー表示した後、表示画面を初期画面に切り替えたり、新たに設定した商品の回収期間を入力する入力画面を表示させる。また、ユーザにより操作部62の印刷ボタンが押されたとしても、制御部52はラベル発行部66を発行動作に移行しないように制御する。
【0043】
一方、ステップS190で制御部52は、商品の回収日が現在日以前でないと判断した場合、ステップS160で算出した商品の回収日を暗号化処理する。例えば、商品の回収日が「2009年3月16日」である場合には、図5に示した暗号化テーブルTCを参照して、「2009年3月16日」を「21 CAF」に変換する。なお、この例では、西暦表示を、例えば西暦情報と年号情報とを対応付けた別の暗号化テーブルを用いて年号表示に変換している。
【0044】
ステップS210で制御部52は、商品の回収日の暗号化処理が完了したら、商品の賞味期限日および回収日が新たに書き込まれたラベルデータを生成し、このラベルデータに基づいてラベル200Aを発行する。例えば、図3(B)に示したように、商品名「ABC」のラベル200Aを発行する場合には、賞味期限日が「2009年3月25日」である場合には「賞味期限」に対応した領域に「2009.3.25」を印刷し、商品の回収日が「2009年3月16日」である場合には「回収日」に対応した領域に「21 CAF」を印刷したラベル200Aを発行する。
【0045】
ユーザは、ラベル200Aに印刷された商品の回収日をラベル読み取り装置(スキャナ等)を用いて復号化(解読)処理を行う。ラベル読み取り装置には、上述した暗号化テーブルTCが記憶されている。ラベル読み取り装置は、ラベル200Aの読み込み時に、暗号化テーブルTCを参照して暗号化処理された商品の回収日を復号化処理し、ラベル読み取り装置に設けられた表示部の画面に復号化処理した商品の回収日を表示する。これにより、ユーザは、暗号化された商品の回収日を商品購入者に知られることなく、簡単に把握することができる。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、商品の回収期間を参照テーブルTRから取得していたが、これに限定されることはない。例えば、ユーザが操作部62を操作し、商品の回収期間を直接入力、選択して任意の日数を指定することもできる。この場合、図4に示した参照テーブルTRは、商品名情報と商品に対応した賞味期限情報とが対応付けられた構成となる。これにより、ユーザは、季節や商品サイクルに応じて柔軟に商品の回収期間を設定することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、商品の製造日を入力することにより、商品の回収日を自動的に算出し、算出した商品の回収日をラベル200Aに印刷して発行することができる。これにより、従来では存在しなかった商品の回収日を印刷することが可能な機能を備えたラベルプリンタ50を提供することができる。ユーザは、商品に貼り付けられたラベル200Aから商品を回収する回収日を容易かつ確実に把握することができるので、商品の回収日の確認作業等の省力化を図ることができる。
【0048】
また、商品の回収日を現在日以前に設定した場合には、表示部64の画面にエラーメッセージが表示されるので、ユーザは、商品の回収日を誤って設定したことを的確に把握することができる。なお、本実施の形態では、エラー表示をしてユーザに警告したが、ブザー音や音声等によりユーザに警告しても良い。
【0049】
さらに、本実施の形態によれば、所定のファイル(レイアウト)を選択すると、参照テーブルTRからファイルの商品名に対応した賞味期限および回収期間を取得することができるので、ユーザが賞味期限等を入力、選択する必要がなく、ラベル発行作業における作業負担の軽減を図ることができると共に入力ミスを防止できる。同様に、現在日を時計機能部72から取得するので、入力ミスを防止し、ユーザの作業負担の軽減を図ることができる。
【0050】
<第1の実施の形態の変形例>
上述した例では、商品の回収日の暗号化の一例として、暗号化テーブルTCを用いた文字変換処理を採用していたが、これに限定されることはない。例えば、暗号化の他の例として、バーコード変換処理を採用することもできる。
【0051】
商品の回収日をバーコード変換する場合、第1の実施の形態の図7のステップS190において制御部52は、ステップS160で算出した商品の回収日を、各バーコードの規格に対応したデータに変換する。例えば、JAN−13コードを用いる場合には、商品の回収日を12桁に変換したデータを生成する。そして、制御部52は、変換したデータをバーコードに変換し、変換したバーコードをラベル200Bに印刷するようにラベル発行部66を制御する。
【0052】
図8(A)は通常の商品の回収日が印刷されたラベル200Bの構成例を示し、図8(B)はバーコード変換した商品の回収日が印刷されたラベル200Bの構成例を示している。ラベル200Bには、商品の賞味期限日が印刷され、その下方にバーコード化された商品の回収日が印刷される。バーコードの下方には、通常バーコードに対応した数字(回収日)等も印刷されるが、本例では数字等を印刷していない。これは、バーコードの下方に印刷された数字等から、ユーザが商品の回収日を推測してしまう場合も考えられるからである。
【0053】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る発明について説明する。なお、第2の実施の形態で説明するラベルプリンタ50は、第1の実施の形態で説明したラベルプリンタ50と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
[商品の期限表示]
まず、商品の期限表示について説明する。食品等の商品の保存期間は、商品の特性や品質変化の要因等に基づいて設定されており、商品の品質等が劣化するまでの期間に応じて「消費期限」と「賞味期限」の2種類に分類される。「消費期限」は製造日を含めて概ね5日以内で品質が急速に劣化する商品に設定され、「賞味期限」は製造日を含めて概ね5日を越えても品質が比較的劣化しにくい商品に設定される。
【0055】
従来では、商品毎に設定される商品期限に基づいてユーザが「消費期限」または「賞味期限」の期限表示を選択して、ラベルのレイアウトを作成していた。そのため、入力した商品の商品期限が5日を超えているのに「消費期限」表示を誤って選択してしまったり、入力した商品の商品期限が5日以内であるのに「賞味期限」表示を誤って選択してしまう場合があった。誤った期限表示のラベルを商品に貼り付けてしまった場合には、商品ごと回収しなければならない場合があったり、期限表示が正確なラベルに張り替えなければならなかった。これにより、余計なコストがかかってしまったり、ユーザの作業負担が増えてしまういという問題があった。
【0056】
そこで、第2の実施の形態では、入力される商品の商品期限(日数)に基づいて、商品の期限情報が「賞味期限」に属するか、「消費期限」に属するかを制御部52により判別する。そして、この判別結果に基づいて消費期限用のレイアウトおよび賞味期限用のレイアウトの何れかを選択し、選択したレイアウトに基づくラベルを自動的に発行する。これにより、ユーザが「賞味期限」であるか、「消費期限」であるかを判別する必要がなくなるので、ラベルの発行ミスを防止することができるようになる。
【0057】
[ラベルのレイアウトの構成例]
図9(A)は消費期限用のラベルのレイアウト200R1を示し、図9(B)は賞味期限用のラベルのレイアウト200R2を示している。本例では、例えば一つのファイルに対して、消費期限用のレイアウト200R1と賞味期限用のレイアウト200R2の2パターンのレイアウトが予め用意される。消費期限用のレイアウト200R1と賞味期限用のレイアウト200R2とは、「消費期限」項目200a1と「賞味期限」項目200a2が異なるのみで、その他の「名称」、「品名」、「原材料名」、「価格」、「会社名」、「住所」、「バーコード」の項目は共通している。
【0058】
消費期限用のレイアウト200R1および賞味期限用のレイアウト200R2は、ラベルプリンタ50に接続される情報処理装置により作成したり、サーバに保存されているレイアウトデータをダウンロードして取得する。これらのレイアウト200R1,200R2は、メモリカード90やラベルプリンタ50に内蔵されるメモリ部60等に記憶される。
【0059】
[ラベルプリンタの動作例]
次に、ラベルプリンタ50の動作の一例について説明する。図10は、ラベルプリンタ50の動作の一例を示すフローチャートを示している。図11(A)は消費期限用のラベル200C1を示し、図11(B)は賞味期限用のラベル200C2を示している。まず、第1の実施の形態の図7に示したステップS100,S110と同様に、所定のファイルがユーザにより選択されたか否かを判断し、選択されたファイルを表示部64の画面に表示する。
【0060】
次に、ステップS300で制御部52は、ユーザにより商品の商品期限が入力されたか否かを判断する。本例では、商品の商品期限として例えば「3日」または「10日」が入力された場合について説明する。制御部52は、商品の商品期限が入力されたと判断した場合にはステップS310に進み、商品の商品期限が入力されていないと判断した場合には商品期限が入力されるまで待機する。
【0061】
ステップS310で制御部52は、入力された商品期限が5日以内であるか否かを判断する。つまり、入力された商品期限が、「賞味期限」に属するかまたは「消費期限」に属するかを判断する。制御部52は、商品期限が例えば「3日」である場合、商品期限は5日以内であるので、入力された商品期限が「消費期限」に属すると判断してステップS320に進む。一方、制御部52は、商品期限が例えば「10日」である場合、商品期限は5日を超えるので、入力された商品期限が「賞味期限」に属すると判断してステップS330に進む。
【0062】
まず、入力された商品期限が5日以内である場合について説明する。ステップS320で制御部52は、商品期限が消費期限に属すると判断した場合には、消費期限用のレイアウト200R1を選択する。例えば、入力された商品期限が「3日」である場合には、図9(A)に示した消費期限用のレイアウト200R1をメモリカード90等から読み出す。
【0063】
ステップS340で制御部52は、時計機能部72から現在日を取得する。例えば、現在の日付が「3月12日」である場合には、時計機能部72から現在日として「3月12日」を取得する。
【0064】
ステップS350で制御部52は、現在日と商品期限とを加算して、商品の消費期限日を算出する(現在日+商品期限=消費期限日)。例えば、現在日が「3月12日」であって商品期限が「3日間」である場合には、現在日「3月12日」に商品期限「3日間」を加算して、商品の消費期限日「3月14日」を算出する。
【0065】
ステップS360で制御部52は、算出した商品の消費期限日が印刷された消費期限用のラベル200C1を発行する。制御部52は、読み出した消費期限用のレイアウト200R1の「消費期限」項目の内容情報200b1に、算出した消費期限日「3月14日」を書き込んで、ラベルデータを生成する。そして、例えば、図11(A)に示すように、「消費期限」の内容情報200bの項目欄に「3月14日」が印刷されたラベル200C1を発行する。
【0066】
次に、商品期限が5日以内でない場合について説明する。ステップS330で制御部52は、商品期限が賞味期限に属すると判断した場合には、賞味期限用のレイアウト200R2を選択する。例えば、入力された商品期限が「10日」である場合には、図9(B)に示した賞味期限用のレイアウト200R2をメモリカード90等から読み出す。
【0067】
ステップS370で制御部52は、時計機能部72から現在日を取得する。例えば、現在の日付が「3月12日」である場合には、時計機能部72から現在日として「3月12日」を取得する。
【0068】
ステップS380で制御部52は、現在日と商品期限とを加算して、商品の賞味期限日を算出する(現在日+商品期限=賞味期限日)。例えば、現在日が「3月12日」であって商品期限が「10日間」である場合には、現在日「3月12日」に商品期限「10日間」を加算して、商品の賞味期限日「3月21日」を算出する。
【0069】
ステップS390で制御部52は、算出した商品の賞味期限日が印刷された賞味期限用のラベル200C2を発行する。制御部52は、読み出した賞味期限用のレイアウト200R2の「賞味期限」の内容情報200bに、算出した賞味期限日「3月21日」を書き込んで、ラベルデータを生成する。そして、例えば、図11(B)に示すように、「賞味期限」の内容情報200b2の項目欄に「3月21日」が印刷されたラベル200C2を発行する。
【0070】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、消費期限用のレイアウト200R1と賞味期限用のレイアウト200R2の2種類のレイアウトを予め用意し、制御部52により、入力される商品の商品期限に基づいて商品期限が消費期限に属するか、賞味期限に属するかを判断し、判断結果に基づいて消費期限用のレイアウト200R1および賞味期限用のレイアウト200R2の何れかを選択する。そのため、入力される商品期限が消費期限に属するか、賞味期限に属するかをユーザが判断せずに制御部52が自動的に行うので、期限表示の発行ミスを防止できる。その結果、誤印刷によるラベルの張り替え作業や商品の回収を回避することができ、ユーザの作業負担を増やすことなく、低コスト化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上記第1および第2の実施の形態では、商品の賞味期限における商品の回収日について説明したが、商品の消費期限における商品の回収日を算出する場合にも本発明を適用することができる。
【0072】
また、上述したラベルプリンタ50の制御部52による商品の賞味期限日等の算出制御を、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により行うこともできる。情報処理装置は、上述したラベルプリンタ50と同様に、操作部と制御部とを備えている。情報処理装置の操作部により商品の製造日や賞味期限、回収期間等が入力されると、情報処理装置の制御部では入力された商品の製造日等に基づいて商品の賞味期限日および回収日を算出し、これらの商品情報を含むラベルデータを生成する。
【0073】
印刷装置は、情報処理装置から送信されるラベルデータに基づいて商品のパッケージ等に商品の賞味期限日や回収日を直接または間接的に印刷する。なお、印刷装置は、情報処理装置と別体であって良いし、一体型であっても良い。このように、商品のパッケージに商品の賞味期限日や回収日を印刷するような場合でも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10・・・商品
50・・・ラベルプリンタ
52・・・制御部
60・・・メモリ部
62・・・操作部
64・・・表示部
66・・・ラベル発行部
72・・・時計機能部
90・・・メモリカード
200A,200B,200C1,200C2・・・ラベル
TR・・・参照テーブル
TC・・・暗号化テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、
前記物品毎に設定されている前記物品の物品期限と、任意に設定可能であって前記物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した前記物品期限と前記操作部により入力された前記物品の前記製造日とを加算して前記物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から前記回収期間を減算することにより前記物品の回収日を算出する制御部と、
前記制御部により算出された前記物品の回収日を少なくとも印刷したラベルを発行する発行部と
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記ラベルに印刷される前記物品の前記回収日を暗号化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ラベルを発行するラベル発行日を取得し、取得した前記物品の前記回収日が前記ラベル発行日以前であるか否かを判断し、前記物品の前記回収日が前記ラベル発行日以前であると判断した場合、前記物品の前記回収日を印刷した前記ラベルを発行することができない旨を告知する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記物品の物品情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記物品の前記回収日が前記ラベル発行日以前であると判断した場合、前記商品の前記回収日を印刷した前記ラベルを発行することができない旨を前記表示部の画面に表示させる
ことを特徴とする請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記物品と前記物品の前記物品期限と前記物品の前記回収期間とが対応付けられたテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記物品を項目情報として含む所定のファイルが前記操作部の操作により選択されたとき、前記物品に対応した前記物品の前記物品期限および前記回収期間を前記テーブルを参照して取得する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
日付および時刻を得るための時計機能部をさらに備え、
前記制御部は、前記ラベル発行日を前記時計機能から取得する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、
前記物品毎に設定されている前記物品の物品期限と、任意に設定可能であって前記物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した前記物品期限と前記操作部により入力された前記物品の前記製造日とを加算して前記物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から前記回収期間を減算することにより前記物品の回収日を算出する制御部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項1】
少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、
前記物品毎に設定されている前記物品の物品期限と、任意に設定可能であって前記物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した前記物品期限と前記操作部により入力された前記物品の前記製造日とを加算して前記物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から前記回収期間を減算することにより前記物品の回収日を算出する制御部と、
前記制御部により算出された前記物品の回収日を少なくとも印刷したラベルを発行する発行部と
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記ラベルに印刷される前記物品の前記回収日を暗号化処理する
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ラベルを発行するラベル発行日を取得し、取得した前記物品の前記回収日が前記ラベル発行日以前であるか否かを判断し、前記物品の前記回収日が前記ラベル発行日以前であると判断した場合、前記物品の前記回収日を印刷した前記ラベルを発行することができない旨を告知する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記物品の物品情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記物品の前記回収日が前記ラベル発行日以前であると判断した場合、前記商品の前記回収日を印刷した前記ラベルを発行することができない旨を前記表示部の画面に表示させる
ことを特徴とする請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記物品と前記物品の前記物品期限と前記物品の前記回収期間とが対応付けられたテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記物品を項目情報として含む所定のファイルが前記操作部の操作により選択されたとき、前記物品に対応した前記物品の前記物品期限および前記回収期間を前記テーブルを参照して取得する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
日付および時刻を得るための時計機能部をさらに備え、
前記制御部は、前記ラベル発行日を前記時計機能から取得する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
少なくとも物品の製造日を入力するための操作部と、
前記物品毎に設定されている前記物品の物品期限と、任意に設定可能であって前記物品期限から所定の期間だけ繰り上げる日数を規定する回収期間とを取得し、取得した前記物品期限と前記操作部により入力された前記物品の前記製造日とを加算して前記物品の物品期限日を算出し、算出した当該物品期限日から前記回収期間を減算することにより前記物品の回収日を算出する制御部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−11526(P2011−11526A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159958(P2009−159958)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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