説明

ラベル作成装置

【課題】駆動ローラ及び従動ローラに粘着剤が付着することを防止するラベル作成装置を提供する。
【解決手段】印字された印字済みテープは、固定刃40及び可動刃41の間、及び、第一ローラ及び第二ローラ52の間を通過する。ギヤ42が回転することに伴い、可動刃41は固定刃40側に移動し、印字済みテープの切断を開始する。更にギヤ42が回転すると、第二ローラ52が第一ローラ側に移動し、第一ローラ及び第二ローラ52によって印字済みテープを挟持する。固定刃40及び可動刃41によって印字済みテープから切り取られたラベルは、第一ローラ及び第二ローラ52によって搬送される。ラベルの搬送方向上流側の端が第一ローラ及び第二ローラ52の位置に到達する前に、第二ローラ52はラベルから離間する方向に移動する。第一ローラ及び第二ローラ52は、ラベルの搬送方向上流側の端に接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに印字を行うことによってラベルを作成するラベル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印字面及び粘着面を備えたラベルを作成するラベル作成装置が知られている。例えば特許文献1に記載されたラベル作成装置の場合、ラベル用テープが巻回されたカートリッジが装着される。ラベル用テープは、基材のうち一方の面に粘着剤が塗布され、さらに、粘着剤に剥離紙が貼付されたテープである。ラベル用テープは、装着されたカートリッジ内から繰り出され、サーマルヘッドによって、基材のうち剥離紙が貼付されていない側の面に所望の印字が行われる。その後、印字が行われたラベル用テープは、切断機構によって所望の長さに切断され、ラベルが作成される。
【0003】
切断機構よりも搬送方向下流側に、駆動ローラ及び従動ローラを備えたテープ排出機構が設けられている。駆動ローラ及び従動ローラは、ラベルの作成が行われない状態では離間している。従動ローラは、切断機構によりラベル用テープからラベルが切り取られる直前に、駆動ローラに近接するように移動する。切断機構によって切り取られたラベルは、駆動ローラ及び従動ローラによって押圧される。押圧されたラベルは、駆動ローラが回転駆動することによって搬送され、排出口を介してラベル作成装置の外に排出される。ラベルの排出後、従動ローラは移動して元の位置に戻り、駆動ローラ及び従動ローラは再び離間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−53093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された装置では、駆動ローラ及び従動ローラがラベルを押圧した際、基材と剥離紙との間に挟まれた状態の粘着剤がラベルの端部に僅かに漏れ出る場合がある。駆動ローラ及び従動ローラがラベルを端部まで押圧した場合、ラベルの端部から漏れ出た粘着剤が、駆動ローラ及び従動ローラに付着する。この場合、駆動ローラ及び従動ローラに付着した粘着剤によってラベルが正常に排出されず、排出口付近でラベルが詰まってしまうという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、駆動ローラ及び従動ローラに粘着剤が付着することを防止するラベル作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るラベル作成装置は、印字媒体であるラベル用テープに対して印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段によって印刷が行われた前記ラベル用テープを、所定の長さに切断する切断手段と、前記切断手段によって前記ラベル用テープが切断されることによって作成されたラベルを排出口に向けて搬送するための搬送手段であって、前記ラベルに両面側から接触した接触状態と、前記ラベルのうち少なくとも一方の面から離間した離間状態とに切り替え可能であり、前記接触状態で前記ラベルを搬送する搬送手段と、前記搬送手段を前記接触状態と前記離間状態とに切り替える切り替え手段とを備えたラベル作成装置であって、前記切り替え手段が前記搬送手段を前記接触状態に切り替えることによって、前記搬送手段は前記ラベルに接触して前記ラベルを搬送し、前記ラベルが搬送された結果、前記ラベルの搬送方向上流側端部が前記搬送手段に接近した場合に、前記ラベルの搬送方向上流側端部が前記搬送手段に接触する前に、前記切り替え手段が前記搬送手段を前記離間状態に切り替えることによって、前記搬送手段は前記ラベルから離間することを特徴とする。
【0008】
ラベルは搬送手段によって両面側から挟持されるため、ラベルにおける基材と剥離紙との間の粘着剤が押し出され、ラベルの搬送方向上流側端部から粘着剤が漏れ出る場合がある。ここで本発明によれば、搬送手段がラベルの搬送方向上流側端部に接触する前に、搬送手段を接触状態から離間状態に切り替えることができる。これによって、搬送装置はラベルの搬送方向上流側端部まで押圧しないので、粘着剤がラベルから漏れ出ることを抑制することができる。また、ラベルの搬送方向上流側端部が搬送手段のうち少なくとも一方に接触しなくなるので、搬送手段のうち少なくとも一方に粘着剤が付着することを防止できる。これによって、搬送手段に付着した粘着剤にラベルが付着することで発生する不具合の発生を抑制することができる。例えばラベル作成装置は、ラベルが排出口から正常に排出されない不具合であるラベル詰まりを抑制することができる。
【0009】
また本発明において、前記搬送手段は、第一ローラ及び第二ローラを備え、前記接触状態は、前記ラベルの一方の面側に前記第一ローラが接触し、前記ラベルの他方の面側且つ前記ラベルを挟んで前記第一ローラと対向する位置に前記第二ローラが接触した状態であり、前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方が回転することによって、前記ラベルを前記排出口に向けて搬送してもよい。本発明は、ローラを回転させることによって、ラベルを容易かつ確実に搬送することができる。第一ローラ及び第二ローラは、ラベルを挟んで対向配置するため、ラベルを確実に挟持することができる。従ってラベルは、排出口に向けて確実に搬送される。
【0010】
また本発明において、前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方、前記切断手段、及び、前記切り替え手段を駆動する回転駆動源を備え、前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方は、前記回転駆動源の回転駆動に伴って回転してもよい。第一ローラ及び第二ローラのうち少なくとも一方、切断手段、及び切り替え手段は、共通の回転駆動源によって駆動することになる。従って、これらの動作を容易に連動させることができる。このため、切断手段によりラベル用テープが切断されてラベルが作成された場合、作成されたラベルを、第一ローラ及び第二ローラによって即座に保持し、排出口に向けて搬送することができる。また、ラベルの搬送方向上流側端部が第一ローラ及び第二ローラに接触する直前に、切り替え手段によって第一ローラ及び第二ローラのうち少なくとも一方をラベルから離間させることができる。これによってラベル作成装置は、搬送手段、判断手段、及び切り替え手段による一連の動作を、所定のタイミングで確実に実行させることができる。
【0011】
また本発明において、前記切断手段は、固定刃、可動刃、及び、回転運動を揺動運動に変換する第一変換機構を備え、前記可動刃は揺動可能に軸支されており、前記クランク機構が前記回転駆動源の回転運動を揺動運動に変換して前記可動刃に伝達し、前記可動刃を揺動させることによって、前記固定刃と前記可動刃との間に挟まれた前記ラベル用テープを切断してもよい。これによって切断手段は、回転駆動源の回転運動を、可動刃の揺動運動に効率的に変換することができる。ラベル作成装置は、第一ローラ及び第二ローラのうち少なくとも一方、及び切り替え手段の動作に、切断手段の動作を容易に連動させることができる。
【0012】
また本発明において、前記切り替え手段は、回転運動を揺動運動に変換する第二変換機構を備え、前記カム機構が前記回転駆動源の回転運動を揺動運動に変換して前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方に伝達し、前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方を往復運動させることによって、前記搬送手段を前記接触状態と前記離間状態とに切り替えてもよい。これによって切り替え手段は、回転駆動源の回転運動を、第一ローラ及び第二ローラのうち少なくとも一方の揺動運動に効率的に変換することができる。ラベル作成装置は、第一ローラ及び第二ローラのうち少なくとも一方、及び切断手段の動作に、切り替え手段の動作を容易に連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ラベル作成装置1の外観を示す斜視図である。
【図2】カートリッジ7の概要を示す模式図である。
【図3】内部ユニット20の平面図である。
【図4】切断機構15及び排出機構22の斜視図である。
【図5】切断機構15及び排出機構22の正面図である。
【図6】切断機構15及び排出機構22の背面図である。
【図7】ギヤ42が回転した場合における切断機構15及び排出機構22の様子を示す背面図である。
【図8】ギヤ42が回転した場合における切断機構15及び排出機構22の様子を示す背面図である。
【図9】ギヤ42が回転した場合における切断機構15及び排出機構22の様子を示す背面図である。
【図10】ギヤ42が回転した場合における切断機構15及び排出機構22の様子を示す背面図である。
【図11】ギヤ42が回転した場合における切断機構15及び排出機構22の様子を示す背面図である。
【図12】切断機構15及び排出機構22の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のラベル作成装置1の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下、図1の左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側、上側、及び下側を、其々、ラベル作成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、及び下側という。
【0015】
図1を参照し、ラベル作成装置1の外観について説明する。ラベル作成装置1は、本体部2を備えている。本体部2の形状は、前後方向を長手方向とする略直方体である。本体部2の前壁10に、排出口11、電源ボタン14、及びカッター駆動ボタン16が設けられている。本体部2の上側に、開閉蓋3、及び開閉ボタン4が設けられている。
【0016】
排出口11は、本体部2内で作成されたラベルを外部に排出するための開口部である。開口部の形状は、上下方向を長手方向とする長方形である。ラベルは、幅方向を上下方向とする向きで排出口11から排出される。前壁10のうち排出口11に対して右側に隣接する部分に、電源ボタン14が設けられている。電源ボタン14は、ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行うための押ボタンである。電源ボタン14の下方に、カッター駆動ボタン16が設けられている。カッター駆動ボタン16は、本体部2内に配設された切断機構15(図3参照、詳細後述)を使用者の手動操作で駆動するためのボタンである。カッター駆動ボタン16が押下されることで、印字済テープ109(図3参照、詳細後述)を切断することができる。なおラベル作成装置1は、印字済テープ109を自動的に切断する自動切断機能を備えている。このためユーザは、通常の動作時においては、カッター駆動ボタン16を押下して印字済テープ109を切断する必要はない。
【0017】
開閉蓋3は、本体部2の後端で揺動可能に軸支されている。開閉蓋3は、バネ等の付勢部材によって常時開放方向に付勢されている。開閉蓋3の右側に、開閉ボタン4が設けられている。開閉ボタン4が押下されることによって、開閉蓋3は付勢部材の作用によって開放される。開閉蓋3を開放させることによって、カートリッジ7(図2参照)を本体部2内に装着することが可能な状態となる。
【0018】
図2を参照し、本体部2内に装着されるカートリッジ7について説明する。カートリッジ7は、筐体7Aを備えている。筐体7A内に、第1ロール102、第2ロール104、リボン供給側ロール111、リボン巻取りローラ106、及びテープ送りローラ27が内装されている。
【0019】
第1ロール102は、リール部材102Aの周りに基材テープ101を巻回している。基材テープ101は多層構造を有している。基材テープ101は、リール部材102Aに巻回された状態で、芯側の面(図2の右側)から反対側(図2の左側)に向けて、粘着層101A、ベースフィルム101B、粘着層101C、及び剥離紙101Dが順に積層されている。粘着層101A、101Cは、粘着剤からなる層である。ベースフィルム101Bは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる色付きのフィルムである。剥離紙101Dは、作成されたラベルが使用される際に剥がされる。剥離紙101Dが剥がされることによって粘着層101Cが露になるので、ラベルの貼り付けが可能になる。第2ロール104は、リール部材104Aの周りにカバーフィルム103を巻回している。リボン供給側ロール111は、インクリボン105を巻回している。リボン巻き取りローラ106は、使用済みのインクリボン105を巻き取る。
【0020】
ラベルが作成される工程について説明する。基材テープ101は、第1ロール102からテープ送りローラ27に向けて繰り出される。カバーフィルム103は、第2ロール104から、内部ユニット20(図3参照)に設けられた印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間に向けて繰り出される。同様に、インクリボン105は、リボン供給側ロール111から、印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間に向けて繰り出される。カバーフィルム103及びインクリボン105は、印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間を通過する。通過の過程で、インクリボン105がカバーフィルム103に押し付けられる。印字ヘッド23に設けられた複数の発熱素子が発熱することによって、カバーフィルム103に印字が行われる。印字されたカバーフィルム103は、テープ送りローラ27に向けて搬送される。使用済みのインクリボン105は、リボン巻き取りローラ106によって巻き取られる。
【0021】
基材テープ101、及び、印字が行われたカバーフィルム103は、テープ送りローラ27、及び、内部ユニット20(図3参照)に設けられた圧着ローラ28によって押圧され、接着される。基材テープ101のうち粘着層101A側の面と、カバーフィルム103のうち印字が行われた面とが接した状態になる。以下、接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103を、印字済テープ109ともいう。
【0022】
図3から図6を参照し、本体部2内に設けられた内部ユニット20について説明する。内部ユニット20は、カートリッジホルダ6、印字機構21、切断機構15、及び排出機構22を備えている。以下、其々の構成の詳細について説明する。図3の左側、右側、上側、及び下側が、其々、ラベル作成装置1の前側、後側、左側、及び右側に対応する。また図4の左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側、上側、及び下側が、其々、ラベル作成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、及び下側に対応する。
【0023】
カートリッジホルダ6及び印字機構21について説明する。カートリッジホルダ6は、排出口11(図1参照)から排出される印字済テープ109の幅方向の向きが、ラベル作成装置1の上下方向となる向きで、カートリッジ7を収納する。印字機構21は、印字ヘッド23、ヘッド取付部24、ローラホルダ25、プラテンローラ26、及び圧着ローラ28を備えている。印字ヘッド23は、多数の発熱素子を備えている。印字ヘッド23は、カートリッジホルダ6から立設するヘッド取付部24に取り付けられている。ヘッド取付部24は、カートリッジ7に設けられたテープ送りローラ27(図2参照)よりも後側に配置されている。ローラホルダ25は、カートリッジホルダ6に装着されたカートリッジ7の右側に設けられている。ローラホルダ25は、支持軸29により揺動可能に軸支されている。ローラホルダ25は、前側部分がカートリッジ7に近接する印字位置と、前側部分がカートリッジ7から離間するリリース位置とに移動可能である。ローラホルダ25には、プラテンローラ26及び圧着ローラ28が回転可能に設けられている。ローラホルダ25が印字位置に移動することによって、プラテンローラ26はカバーフィルム103を印字ヘッド23との間に挟持し、圧着ローラ28は基材テープ101及びカバーフィルム103をテープ送りローラ27に押し付ける。
【0024】
切断機構15について説明する。切断機構15は、印字済テープ109を切断することによってラベルを作成する。図3に示すように、切断機構15は、カートリッジホルダ6の前側に設けられている。切断機構15は、固定刃40(図6参照)、可動刃41(図6参照)、ギヤ42(図4参照)、及び駆動モータ43(図4参照)を備えている。
【0025】
固定刃40は板状部材である。図3に示すように、固定刃40は、カートリッジホルダ6の側板44に固定孔を通してネジ等により固定されている。図6に示すように、固定刃40は、刃部12及び柄部13を備えている。柄部13は、ラベル作成装置1の左側から右方に延びている。刃部12は、柄部13の右端から上方に延びている。
【0026】
可動刃41の形状は略V字状である。可動刃41は、刃部45、柄部46、及び屈曲部47を備えている。刃部45及び柄部46は、其々、屈曲部47から異なる方向に延びる板状部材である。屈曲部47には軸孔48が設けられている。可動刃41は、軸孔48に挿通する回転軸(図示せず)を軸とし、屈曲部47を支点として揺動できるように、側板44(図3参照)に支持されている。刃部45は、屈曲部47から上方に延びている。刃部45は、固定刃40の刃部12との間に印字済テープ109を挟み、印字済テープ109を切断する。柄部46は、屈曲部47から下方に延びている。柄部46の下端には、柄部46の延びる方向に沿って長孔49が設けられている。
【0027】
柄部46の前側(図6の奥行き側)に、ギヤ42が設けられている。ギヤ42の形状は略円筒形である(図4参照)。図4に示すように、ギヤ42は、ギアボックス43Aの右端に、前後方向を軸方向として回転可能に軸支されている。ギアボックス43Aの左端に、駆動モータ43が設けられている。駆動モータ43の回転に伴い、ギヤ42は回転する。図6に示すように、ギヤ42の後側(図6の手前側)の面のうち、略円筒形の中心軸以外の部分から、ボス50が後方に突出している。ボス50は、可動刃41の柄部46に設けられた長孔49に挿通している。
【0028】
駆動モータ43の回転に伴いギヤ42が回転した場合、可動刃41は、屈曲部47を支点として揺動する。これによって、固定刃40の刃部12と可動刃41の刃部45とは、近接した状態と離隔した状態とに切り替えられる。具体的には以下のとおりである。まず、ボス50がギヤ42の回転軸に対して左側に位置する場合、可動刃41の刃部45は固定刃40から離れている。駆動モータ43が駆動し、ギヤ42が矢印70方向に回転する。ボス50は、ギヤ42の円周に沿って右側に移動する。可動刃41は揺動し、刃部45は矢印73の方向に移動する。これによって、刃部45は刃部12に近接する。
【0029】
刃部12、45が近接した場合、ラベル作成装置1の後方(図6の手前側)から前方(図6の奥行き側)に向けて搬送される印字済テープ109は、刃部12、45によって挟まれる。これによって、印字済テープ109は切断される。
【0030】
排出機構22について説明する。排出機構22は、切断機構15において切断された後の印字済テープ109を、排出口11から強制的に排出するために、切断された印字済テープ109を搬送する。以下、切断された印字済テープ109を、単にラベルともいう。図3に示すように、排出機構22は、可動刃41の前側、且つ、本体部2の前壁10(図1参照)に設けられた排出口11(図1参照)の近傍に設けられる。排出機構22は、第一ローラ51、及び第二ローラ52を備えている。
【0031】
図4及び5に示すように、ギアボックス43Aの左右略中央部分から上方に向けて、ローラシャフト51Aが延びている。第一ローラ51は、ローラシャフト51Aの上端に固定されている。駆動モータ43の回転に伴い、ローラシャフト51A及び第一ローラ51は回転する。
【0032】
第二ローラ52が支持部材60に設けられている。支持部材60の形状は略三角形である。第二ローラ52は、支持部材60の上端から左側に延びる延設部材55の先端に、回転可能に軸支されている。支持部材60は、左端において回転軸163によって軸支されている。支持部材60は、回転軸163を軸として揺動可能となっている。支持部材60の上端が左側に移動する方向に揺動した場合、延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51に近接する。一方、支持部材60の上端が右側に移動する方向に揺動した場合、延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51から離間する。支持部材60は、回転軸163に設けられたバネ部材62によって、上端が右側に移動する方向に付勢されている。このため図5では、延設部材55に設けられた第二ローラ52は第一ローラ51から離間している。
【0033】
図4に示すように、支持部材60の下端に、後方に向かってボス61が突出している。図6に示すように、ボス61は、可動刃41の柄部46の右端46Aに接触可能である。具体的には以下のとおりである。駆動モータ43の回転に伴いギヤ42が回転すると、可動刃41は屈曲部47を支点として揺動する。ボス50がギヤ42の回転軸に対して左側に位置する場合、柄部46はギヤ42の回転軸に対して左側に位置するので、ボス61と右端46Aとは離れている。駆動モータ43が駆動し、ギヤ42が矢印70方向に回転する。ボス50は、ギヤ42の円周に沿って右方に移動する。これに伴い、柄部46も右方向に移動し、ボス61と右端46Aとは接触する。右端46Aがボス61を右側に押し込むことで、支持部材60はバネ部材62による付勢力に反発して揺動する。これによって、第二ローラ52(図5参照)は第一ローラ51(図5参照)側に移動し、第一ローラ51に近接する。
【0034】
図5に示す状態から更に、第一ローラ51及び第二ローラ52が近接した場合、ラベル作成装置1の後側(図5の奥行き側)から前側(図5の手前側)に向けて搬送されるラベルは、第一ローラ51及び第二ローラ52によって挟まれる。駆動モータ43の回転に伴い、第一ローラ51は回転している。従って、第一ローラ51及び第二ローラ52によって挟まれたラベルは、排出口11に向かって搬送される。
【0035】
図4に示すように、ギヤ42の周壁の一部分に、外周方向に突出したカム42Aが設けられている。ギアボックス43Aのうちギヤ42の近傍に、マイクロスイッチ126が設けられている。マイクロスイッチ126は、近傍にカム42Aがあるか否かを検出することができる。ギヤ42が回転した場合、特定の回転位置において、マイクロスイッチ126はカム42Aを検出する。ラベル作成装置1は、マイクロスイッチ126がカム42Aを検出しているか否かを判断することによって、ギヤ42の回転位置を判断することができる。
【0036】
以上のように、ラベル作成装置1では、可動刃41の揺動による印字済テープ109の切断と、第一ローラ51及び第二ローラ52によるラベルの搬送とは、ギヤ42の回転駆動に基づいて実行されている。双方の作業は連動して実行されることになるので、印字済テープ109の切断及びラベルの搬送は、所定のタイミングで実行される。以下、図7から図11を参照し、詳細について順を追って説明する。
【0037】
図7に示すように、ギヤ42の回転軸に対して左側にボス50が位置している場合、カム42Aはマイクロスイッチ126(図4参照)によって検出される。切断機構15のうち可動刃41の刃部45は、固定刃40の刃部12に対して右方に離間した位置にある。排出機構22のうち支持部材60は、バネ部材62によって延設部材55が右方に移動する方向に付勢されており、且つ、柄部46の右端46Aと、支持部材60のボス61とは離間している。このため第二ローラ52は、第一ローラ51(図5参照)に対して右方に離間した位置にある。以下、図7に示す位置にギヤ42が回転した状態を、待機状態という。
【0038】
ラベル幅の設定及び印字データの生成が行われた後、印字指示がユーザによって実行されたとする。制御部(図示せず)は、カートリッジ7(図2参照)に設けられたテープ送りローラ27(図2参照)及びリボン巻取りローラ106(図2参照)を回転駆動させる。これによって、基材テープ101(図2参照)はテープ送りローラ27に対して繰り出される。同時に、カバーフィルム103(図2参照)は、印字ヘッド23及びプラテンローラ26の間を介してテープ送りローラ27に向けて繰り出される。なおこの段階では、カバーフィルム103に対する印字は実行されていない。
【0039】
基材テープ101及びカバーフィルム103は、テープ送りローラ27及び圧着ローラ28(図2参照)によって押圧され、接着される。接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103は、固定刃40と可動刃41との間、及び、第一ローラ51と第二ローラ52との間を、ラベル作成装置1(図1参照)の後方(図7の手前側)から前方(図7の奥行き側)に向かって通過する。以下、接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103が通過する経路であって、固定刃40と可動刃41との間、及び、第一ローラ51と第二ローラ52との間を経由する経路を、搬送経路ともいう。切断機構15及び排出機構22に対してカートリッジ7が装着されている側を、搬送方向上流側という。切断機構15及び排出機構22に対して排出口11が設けられている側を、搬送方向下流側という。接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103は、搬送経路を通り、搬送方向上流側から下流側に向けて搬送される。
【0040】
ユーザによる印字指示の後、接着された状態の基材テープ101及びカバーフィルム103が所定量搬送された場合、制御部は、印字ヘッド23(図2参照)を発熱させる。これによって、カバーフィルム103への印字が開始される。カバーフィルム103には、印字データに基づいて印字が実行される。印字されたカバーフィルム103と基材テープ101とは、テープ送りローラ27及び圧着ローラ28によって接着され、印字済テープ109(図2参照)が作成される。
【0041】
印字が完了した場合、制御部は、印字ヘッド23の発熱を停止させる。印字済テープ109は、印字ヘッド23による印字が終了した後も、印字済テープ109のうち印字部分が切断機構15に対して搬送方向下流側に位置する状態となるまで、継続して搬送経路を搬送される。印字済テープ109のうち印字部分が切断機構15に対して搬送方向下流側に位置する状態となった後、制御部は、テープ送りローラ27及びリボン巻取りローラ106の回転駆動を停止する。印字済テープ109の搬送は停止され、印字済テープ109が搬送経路に位置した状態になる。
【0042】
制御部は、駆動モータ43(図4参照)の回転を開始させる。ギヤ42が矢印70の方向に回転し、待機状態から85度回転したとする。図8に示すように、ボス50は、ギヤ42の円周に沿って左右略中央に移動する。ボス50の移動に伴い、可動刃41の柄部46の下端は右方に移動する。可動刃41は屈曲部47を支点として揺動し、刃部45の上端は固定刃40側に移動して固定刃40の刃部12に近づく。刃部12、45の下端は重なり合う。搬送経路にある印字済テープ109には、刃部12、45が重なり合うことによって幅方向に切れ目が入る。なおこの時点では、刃部12、45が重なり合う部分の長さは僅かであるので、印字済テープ109は完全に切断されない。
【0043】
また、可動刃41の柄部46の下端が右方に移動したことに伴い、柄部46の右端46Aと支持部材60のボス61とが接触する。しかしながらこの状態では、右端46Aはボス61を移動させないので、支持部材60は揺動しない。このため、延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51(図5参照)側に移動せず、第一ローラ51及び第二ローラ52の間の距離は変化しない。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52は、印字済みテープ109に接触しない。なお、図8に示した状態では、マイクロスイッチ126(図4参照)は待機状態(図7参照)から継続してカム42Aを検出している。
【0044】
ギヤ42が更に矢印70の方向に回転し、待機状態から132度回転したとする。図9に示すように、ボス50は、ギヤ42の円周に沿って左右略中央から右方に移動する。ボス50の移動に伴い、可動刃41の柄部46の下端は更に右方に移動し、刃部45の上端は更に左方に移動して固定刃40の刃部12に近づく。刃部12、45の下端における重なりは大きくなり、印字済テープ109の幅方向に入る切れ目の長さはより長くなる。
【0045】
但し、図9に示す状態では、刃部12、45が重なり合う部分の長さは、ラベル作成装置1において印字可能なラベルのうち最も幅の小さいラベルの幅方向の長さよりも短い。従って図9に示す状態では、基材テープ101及びカバーフィルム103の幅が異なる様々なカートリッジ7が使用された場合でも、すべての場合において、印字済テープ109は完全に切断されず、幅方向の一部分において搬送方向上流側と下流側とが繋がった状態になっている。
【0046】
また、可動刃41の柄部46の下端が右方に移動したことに伴い、柄部46の右端46Aがボス61を右方に移動させる。支持部材60は回転軸163(図5参照)を軸として揺動し、延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51(図5参照)側に移動する。第二ローラ52は、搬送経路に位置する印字済テープ109に接触し、第一ローラ51に向けて押す。印字済テープ109は、第一ローラ51に対して押し付けられる。これによって、第一ローラ51と第二ローラ52とは印字済テープ109に接触し、印字済テープ109を挟持する。
【0047】
第一ローラ51は、駆動モータ43(図4参照)の回転に伴い回転している。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52は、間に挟んだ状態の印字済テープ109を、搬送方向下流側に向けて搬送しようとする。しかしながら印字済テープ109は、切断機構15による切断が完全に行われておらず、搬送方向上流側と下流側とが繋がった状態になっている。また、第二ローラ52の第一ローラ51側への移動量が小さいため、第一ローラ51と第二ローラ52とが印字済テープ109を挟持する力は小さい。このため、第一ローラ51は空回りし、印字済テープ109は搬送方向下流側に搬送されない。
【0048】
ギヤ42が更に矢印70の方向へ回転し、待機状態から170度回転したとする。図10に示すように、ボス50は、ギヤ42の円周に沿って更に右方に移動する。ボス50の移動に伴い、刃部45の上端は更に固定刃40側に移動し、刃部12、45は、下端から上端に至るほぼすべての部分で重なり合う。
【0049】
図10に示す状態では、刃部12、45が重なり合う部分の長さは、ラベル作成装置1において印字可能なラベルのうち最も幅の大きなラベルの幅方向の長さよりも長くなる。従って図10に示す状態では、基材テープ101及びカバーフィルム103の幅が異なる様々なカートリッジ7が使用された場合でも、すべての場合において、印字済テープ109は切断機構15によって搬送方向上流側と下流側とに分断される。印字済テープ109のうち印字された部分は搬送方向下流側に切り離される。切り離された部分がラベルに相当する。
【0050】
図9で、印字済テープ109は、既に第一ローラ51及び第二ローラ52間に挟持された状態となっている。このため、印字済テープ109から搬送方向下流側に切り離されることによって作成されたラベルは、第一ローラ51及び第二ローラ52間に挟持された状態になる。また、可動刃41の柄部46の下端が、図9の場合と比較して更に右方に移動することによって、作成されたラベルに接触した状態の第二ローラ52は第一ローラ51側に更に移動する。第一ローラ51(図5参照)及び第二ローラ52は、強い力でラベルを挟持する。第一ローラ51は空回りすることなく、第二ローラ52との間に挟まれた状態のラベルを搬送方向下流側に向けて搬送する。結果、ラベルは排出口11を介してラベル作成装置1の外部に排出される。
【0051】
ギヤ42が更に矢印70の方向に回転し、待機状態から約180°回転した場合、マイクロスイッチ126をはカム42Aを検出しなくなる。これによって制御部は、ラベルの作成が完了したことを検出する。ギヤ42が更に矢印70の方向へ回転し、待機位置から180度以上回転したとする。この場合、図7から図10の場合とは逆に、ボス50はギヤ42の円周に沿って左方に移動し始める。ボス50の移動に伴い、可動刃41の柄部46の下端は左方に移動するので、刃部45の上端は、固定刃40から離間する方向に移動する。また、柄部46の下端が左方に移動したことに伴い、支持部材60は、バネ部材62の付勢力によってボス61が左方に移動する向きに揺動する。延設部材55の先端に設けられた第二ローラ52は、第一ローラ51(図5参照)から離間する方向に移動する。第二ローラ52がラベルを押し付ける力は、徐々に弱くなる。
【0052】
なお第二ローラ52は、ギヤ42の回転角度が待機位置に対して268度回転未満である状態では、継続してラベルに接触する。このため、第二ローラ52がラベルに接触している間は、切断機構15による切断処理が終了した後も、第一ローラ51及び第二ローラ52によってラベルは搬送され続ける。
【0053】
ギヤ42が待機位置から268度回転したとする。図11に示すように、第二ローラ52はラベルから完全に離間する。同時に第一ローラ51もラベルから離間し、第一ローラ51及び第二ローラ52によるラベルの搬送は終了する。なおこの時点で、ラベルの搬送方向下流側の端は、排出口11からラベル作成装置1の外部に出ている。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52によるラベルの搬送が終了した後も、ラベルは、慣性力及び重力によって排出口11に向かって移動し、排出口11から外部に排出される。
【0054】
ここでラベル作成装置1では、ラベルにおける搬送方向上流側の端、即ち、図10で切断機構15が印字済テープ109を切断した場合における切断部分に、第一ローラ51及び第二ローラ52が接触しないように、第二ローラ52をラベルから完全に離間させる。理由は次のとおりである。印字済テープ109から切り離されたラベルが第一ローラ51及び第二ローラ52によって挟持された場合、基材テープ101の粘着層101A、101C(図2参照)を構成する粘着剤が、第一ローラ51及び第二ローラ52による押圧力によってラベルから押し出され、ラベルの端から外部に漏れ出る可能性がある。漏れ出た粘着剤が第一ローラ51及び第二ローラ52に付着すると、第一ローラ51及び第二ローラ52にラベルが付着してしまってラベル詰まりの原因となる。また、ラベルの表面に粘着剤が付着してしまって見栄えが悪くなる。
【0055】
一方、ラベル作成装置1では、ラベルが搬送されることによってラベルの搬送方向上流側が第一ローラ51及び第二ローラ52に到達する前に、第二ローラ52をラベルから離間させる。同時に第一ローラ51もラベルから離間する。このため第一ローラ51及び第二ローラ52は、ラベルの搬送方向上流側の端の手前で押圧を止めることになるので、粘着剤はラベルの端から外部に漏れ出にくくなる。また、ラベルの搬送方向上流側の端が第一ローラ51及び第二ローラ52に到達する前に、第一ローラ51及び第二ローラ52とラベルとは離間する。このため、粘着剤がラベルの端から外部に漏れ出た場合も、第一ローラ51及び第二ローラ52に粘着剤は付着しない。これによって、第一ローラ51及び第二ローラ52に粘着剤が付着することによる不具合を防止している。
【0056】
なお、印字済テープ109の幅方向の長さに応じて、切断機構15によって印字済テープ109からラベルが切り取られるタイミングは異なる。切断機構15は、固定刃40の刃部12と可動刃41の刃部45とが下端から徐々に重なり合うことによって、印字済テープ109を切断するためである。印字済テープ109の幅方向の長さが大きい場合、幅方向の長さが小さい場合と比較して、刃部12、45が切断に要する長さ分重なり合うまでに時間を要する。従って、印字済テープ109の幅方向の長さが小さい場合、幅方向の長さが大きい場合と比較して、印字済テープ109からラベルが切り取られるタイミングは早くなる。これに対してラベル作成装置1では、印字可能なラベルのうち最も幅の小さいラベルが使用された場合に、ラベルの搬送方向上流側の端に第一ローラ51及び第二ローラ52が接触しないように、第二ローラ52をラベルから完全に離間させている。これによって、基材テープ101及びカバーフィルム103の幅が異なる様々なカートリッジ7が使用された場合でも、すべての場合において、第一ローラ51及び第二ローラ52に粘着剤が付着することを防止できる。
【0057】
ギヤ42が更に回転し、約360度回転したとする。待機状態に戻ることになるので、カム42Aがマイクロスイッチ126(図4参照)によって検出される。制御部は、駆動モータ43(図4参照)の回転を終了させる。ギヤ42の回転は停止する。これによって、ラベルの作成処理は終了する。
【0058】
図12を参照し、切断機構15及び排出機構22の動作タイミングについて説明する。ギヤ42が待機状態から85度回転した場合、固定刃40の刃部12と、可動刃41の刃部45とで重なり合う部分によって、印字済テープ109の切断が開始される(T1、図8参照)。更にギヤ42が回転し、待機状態からの回転角度が132度となった場合、第二ローラ52は第一ローラ51側に移動し、第一ローラ51及び第二ローラ52は印字済テープ109に接触する(T2、図9参照)。印字済テープ109は、第一ローラ51及び第二ローラ52間に挟持される。なおこの時点では、印字済テープ109からラベルが完全に切り取られておらず、印字済テープ109は、切断機構15をに対して搬送方向上流側と下流側とが繋がった状態になっている。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52は、印字済テープ109を搬送できない。
【0059】
更にギヤ42が回転し、待機状態からの回転角度が170度となった場合、印字済テープ109からラベルが切り取られ、切断機構15による切断処理は終了する(T3、図10参照)。印字済テープ109から切り取られたラベルは、第一ローラ51及び第二ローラ52によって挟持された状態になっているので、第一ローラ51が回転することによって、ラベルの搬送が開始される(T4、図10参照)。更にギヤ42が回転し、待機状態からの回転角度が268度となった場合、第一ローラ51及び第二ローラ52はラベルから離間する(T5、図11参照)。第一ローラ51及び第二ローラ52は、ラベルの搬送方向上流側の端が第一ローラ51及び第二ローラ52に到達する前に、ラベルから離間する。このため、第一ローラ51及び第二ローラ52は、ラベルの搬送方向上流側の端に接触せず、ラベルから漏れ出た粘着剤は、第一ローラ51及び第二ローラ52に付着しない。
【0060】
第一ローラ51及び第二ローラ52がラベルから離間することによって、ラベルの搬送は終了する(T6、図11参照)。しかしながら、第一ローラ51及び第二ローラ52による搬送の終了後もラベルは継続して排出口11に向かって移動する。ラベルの搬送方向上流側の端は、第一ローラ51及び第二ローラ52の位置に達する(T7)。ラベルは更に継続して移動し、排出口11からラベル作成装置1の外部に排出される。
【0061】
以上説明したように、ラベル作成装置1は、第一ローラ51及び第二ローラ52がラベルの搬送方向上流側端部に接触する前に、第一ローラ51及び第二ローラ52をラベルから離間させることができる。これによって、第一ローラ51及び第二ローラ52はラベルの搬送方向上流側端部に接触しないので、ラベルの搬送方向上流側の端から粘着剤が漏れ出た場合でも、粘着剤が第一ローラ51及び第二ローラ52に付着することを防止できる。
【0062】
またラベル作成装置1は、第一ローラ51及び第二ローラ52を回転させることによって、ラベルを容易かつ確実に搬送することができる。第一ローラ51及び第二ローラ52は、ラベルを挟んで対向配置するため、ラベルを確実に挟持することができる。従ってラベルは、排出口11に向けて確実に搬送される。
【0063】
またラベル作成装置1は、第一ローラ51の回転、第二ローラ52の移動、及び切断機構15による切断を、共通の駆動モータ43によって駆動することができる。従って、これらの動作を連動させることができる。このため、切断機構15により印字済テープ109からラベルが切り取られた場合、切り取られたラベルを、第一ローラ51及び第二ローラ52によって即座に保持し、排出口11に向けて搬送することができる。また、ラベルの搬送方向上流側端部が第一ローラ51及び第二ローラ52に到達する直前に、支持部材60等によって第一ローラ51及び第二ローラ52をラベルから離間させることができる。これによってラベル作成装置1は、第一ローラ51の回転、第二ローラ52の移動、及び切断機構15による切断の一連の動作を、所定のタイミングで確実に実行させることができる。
【0064】
切断機構15は、駆動モータ43の回転駆動力を、可動刃41の揺動運動に効率的に変換することができる。ラベル作成装置1は、第一ローラ51の回転、及び、第二ローラ52の移動の動作に、切断機構15による切断動作を容易に連動させることができる。また、第二ローラ52を移動させる支持部材60等は、駆動モータ43の回転駆動力を、第二ローラ52の揺動運動に効率的に変換することができる。ラベル作成装置1は、第一ローラ51の回転、及び切断機構15による切断の動作に、第二ローラ52の移動の動作を容易に連動させることができる。
【0065】
なお、印字機構21が本発明の「印刷手段」に相当する。切断機構15が本発明の「切断手段」に相当する。排出機構22が本発明の「搬送手段」に相当する。ギヤ42、ボス50、支持部材60、ボス61、可動刃41の柄部46の右端46A、及び長孔49が、本発明の「切り替え手段」「第二変換機構」に相当する。第一ローラ51及び第二ローラ52がラベルに接触した状態が「接触状態」に相当する。第一ローラ51及び第二ローラ52の少なくとも何れか一方がラベルから離間した状態が「離間状態」に相当する。駆動モータ43が本発明の「回転駆動源」に相当する。ギヤ42、ボス50、及び長孔49が本発明の「第一変換機構」に相当する。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0067】
上記実施形態では、第一ローラ51及び第二ローラ52によってラベルを搬送していたが、本発明は、別の機構によってラベルを搬送しても良い。本発明では、第一ローラ51の回転、第二ローラ52の移動、及び、切断機構15による印字済テープ109の切断は、駆動モータ43の回転駆動力に基づいて実行されていたが、本発明は、第一ローラ51、第二ローラ52、及び駆動モータ43に別々のモータが設けられていても良い。其々のモータが独立して駆動することによって、ラベルの切断、第一ローラ51及び第二ローラ52のラベルに対する接触/離間の切り替え、及び切断機構15による印字済テープ109の切断が行われても良い。切断機構15は、ギヤ42及びボス50が回転し、長孔49によって回転動作が揺動動作に変換される機構を用いることによって、可動刃41を揺動させ、印字済テープ109を切断していた。本発明は、回転動作を揺動動作に変換する構成は、上記実施形態に限定されない。他の機構によって可動刃41を揺動させてもよい。排出機構22は、ギヤ42及びボス50の回転運動が揺動動作に変換される機構を用いることによって、第二ローラ52を揺動させていた。本発明は、回転動作を揺動動作に変換する構成は、上記実施形態に限定されない。他の機構によって第二ローラ52を揺動運動させても良い。本発明では、駆動モータ43が駆動することによって、第一ローラ51は常時回転していたが、本発明はこの構成に限定されない。第一ローラ51は、ラベルを搬送する場合にのみ回転させても良い。また、第一ローラ51及び第二ローラ52の両方を回転させても良い。
【0068】
上記実施形態では、カバーフィルム103に印字を行った後、カバーフィルム103に基材テープ101を貼り付けることによって、ラベルが作成されていたが、本発明は、別のタイプのラベルを作成する場合にも適用することができる。上記実施形態では、第一ローラ51及び第二ローラ52が離間している状態では、印字済みテープ109は第一ローラ51に接触していなかったが、例えば、第一ローラ51は常に印字済みテープ109に接触していてもよい。第二ローラ52のみを、印字済みテープ109と離間する状態と接触する状態とに切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ラベル作成装置
7 カートリッジ
11 排出口
15 切断機構
22 排出機構
23 印字ヘッド
40 固定刃
41 可動刃
42 ギヤ
43 駆動モータ
51 第一ローラ
52 第二ローラ
101 基材テープ
103 カバーフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体であるラベル用テープに対して印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段によって印刷が行われた前記ラベル用テープを、所定の長さに切断する切断手段と、
前記切断手段によって前記ラベル用テープが切断されることによって作成されたラベルを排出口に向けて搬送するための搬送手段であって、前記ラベルに両面側から接触した接触状態と、前記ラベルのうち少なくとも一方の面から離間した離間状態とに切り替え可能であり、前記接触状態で前記ラベルを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を前記接触状態と前記離間状態とに切り替える切り替え手段と
を備えたラベル作成装置であって、
前記切り替え手段が前記搬送手段を前記接触状態に切り替えることによって、前記搬送手段は前記ラベルに接触して前記ラベルを搬送し、
前記ラベルが搬送された結果、前記ラベルの搬送方向上流側端部が前記搬送手段に接近した場合に、前記ラベルの搬送方向上流側端部が前記搬送手段に接触する前に、前記切り替え手段が前記搬送手段を前記離間状態に切り替えることによって、前記搬送手段は前記ラベルのうち少なくとも一方の面から離間することを特徴とするラベル作成装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、第一ローラ及び第二ローラを備え、
前記接触状態は、前記ラベルの一方の面側に前記第一ローラが接触し、前記ラベルの他方の面側且つ前記ラベルを挟んで前記第一ローラと対向する位置に前記第二ローラが接触した状態であり、
前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方が回転することによって、前記ラベルを前記排出口に向けて搬送することを特徴とする請求項1に記載のラベル作成装置。
【請求項3】
前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方、前記切断手段、及び、前記切り替え手段を駆動する回転駆動源を備え、
前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方は、前記回転駆動源の回転駆動に伴って回転することを特徴とする請求項2に記載のラベル作成装置。
【請求項4】
前記切断手段は、固定刃、可動刃、及び、回転運動を揺動運動に変換する第一変換機構を備え、
前記可動刃は揺動可能に軸支されており、
前記第一変換機構が前記回転駆動源の回転運動を揺動運動に変換して前記可動刃に伝達し、前記可動刃を揺動させることによって、前記固定刃と前記可動刃との間に挟まれた前記ラベル用テープを切断することを特徴とする請求項3に記載のラベル作成装置。
【請求項5】
前記切り替え手段は、回転運動を揺動運動に変換する第二変換機構を備え、
前記第二変換機構が前記回転駆動源の回転運動を揺動運動に変換して前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方に伝達し、前記第一ローラ及び前記第二ローラのうち少なくとも一方を揺動させることによって、前記搬送手段を前記接触状態と前記離間状態とに切り替えることを特徴とする請求項3又は4に記載のラベル作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−10286(P2013−10286A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145177(P2011−145177)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】