説明

ラミネーション方法及びラミネーション装置

【課題】作業の初期から対象物を圧着するダイヤフラムの温度を一定に維持して安定した品質のラミネーションを得ることができるラミネーション方法及びラミネーション装置を提供する。
【解決手段】チャンバの対象物を圧着するラミネーション方法であって、対象物をチャンバに配置するステップS110と、弾性材質のダイヤフラムを第1ヒータに密着させてダイヤフラムを所定の予熱温度に予熱するステップS120と、ダイヤフラムで対象物を圧着するステップS130と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラミネーション方法及びラミネーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に絶縁層を積層する方法として、弾性材質のダイヤフラムを用いて基板に絶縁層を圧着するラミネーション工程が多く用いられている。
【0003】
ラミネーション工程は、均一な品質のために一定の温度で行わなければならないため、ラミネーション工程では一定の温度を維持するためのヒータが用いられている。
【0004】
しかし、ヒータを用いてもラミネーション工程の作業の初期には、ラミネーション工程が安定せず、このため不良品が発生している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、作業の初期から安定した品質のラミネーションが可能なラミネーション方法及びラミネーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、チャンバの対象物を圧着するラミネーション(lamination)方法であって、上記対象物を上記チャンバに配置するステップと、弾性材質のダイヤフラム(diaphragm)を第1ヒータに密着させて上記ダイヤフラムを所定の予熱温度に予熱するステップと、上記ダイヤフラムで上記対象物を圧着するステップと、を含むラミネーション方法が提供される。
【0007】
上記ダイヤフラムの予熱ステップは、上記第1ヒータと上記ダイヤフラムとの間の空気を排出して上記ダイヤフラムを上記第1ヒータに吸着させるステップを含むことができる。
上記ダイヤフラムの予熱ステップは、上記ダイヤフラムの温度を測定して予熱温度に到達したか否かを測定するステップを含むことができる。
上記ダイヤフラムの予熱ステップの前に、上記ダイヤフラムの温度を上記予熱温度に到達させるための上記第1ヒータの予熱時間を決定するステップをさらに含むことができる。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、対象物を収容するチャンバが形成された第1ハウジングと、上記チャンバが密閉されるように上記第1ハウジングに対応して形成された第2ハウジングと、上記チャンバに配置された上記対象物を加圧するように上記第2ハウジングに設けられた弾性材質のダイヤフラムと、上記ダイヤフラムを加熱するように上記第2ハウジングに設けられた第1ヒータと、上記ダイヤフラムの温度を測定する温度測定部と、を含むラミネーション装置が提供される。
【0009】
上記第2ハウジングには、上記ダイヤフラムと上記第1ヒータとの間の空気を排出及び流入する空気圧調節口が形成可能である。
上記第1ハウジングには、上記チャンバ内部の空気を排出及び流入するチャンバ空気出入口が形成可能である。
上記第1ハウジングに設けられ、上記チャンバに収容された上記対象物を支持する弾性部材をさらに含むことができる。
上記弾性部材と上記第2ハウジングとの間に介在された上記対象物を加熱する第2ヒータをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、作業の初期から対象物を圧着するダイヤフラムの温度が一定に維持されて安定した品質のラミネーションを得ることができる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、本発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係るラミネーション方法を示す順序図である。
【図2】本発明の一実施例に係るラミネーション装置を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るラミネーション方法を説明するための図面である。
【図4】本発明の一実施例に係るラミネーション方法を説明するための図面である。
【図5】本発明の一実施例に係るラミネーション方法を説明するための図面である。
【図6】本発明の一実施例に係るラミネーション方法を説明するための図面である。
【図7】本発明の一実施例に係るラミネーション方法におけるダイヤフラムの温度変化を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係るラミネーション方法を示す順序図であり、図2は、本発明の一実施例に係るラミネーション装置を示す断面図である。図3から図6は、本発明の一実施例に係るラミネーション方法を説明するための図面である。
【0014】
本発明の一実施例に係るラミネーション方法は、チャンバ12の対象物5を圧着する方法であって、対象物の配置ステップ(S110)、ダイヤフラムの予熱ステップ(S120)、及び対象物の圧着ステップ(S130)を含む。
【0015】
対象物の配置ステップでは、ステップS110で、ラミネーションを行う対象物5をチャンバ12に配置する。このために、本実施例によるラミネーション装置は、対象物5を収容するチャンバ12の形成された第1ハウジング10を含む。また、本実施例によるラミネーション装置は、空気圧を用いた真空ラミネーション作業を行うために、第1ハウジング10に対応して形成され、チャンバ12を密閉することができる第2ハウジング20を含む。このとき、ラミネーション装置には第1ハウジング10を上下に移動させて第1ハウジング10と第2ハウジング20を結合及び分離する昇降装置11をさらに含むことができる。また、第1ハウジング10と第2ハウジング20との間には密閉を容易にするO−リング16などが介在されてもよい。
【0016】
ダイヤフラムの予熱ステップでは、ステップS120で、弾性材質のダイヤフラム30を第1ヒータ40に密着させてダイヤフラム30を所定の予熱温度に予熱する。具体的に、対象物5を直接圧着するダイヤフラム30が作業の初期からラミネーションに適した温度を有するように、第1ヒータ40にダイヤフラム30を密着させて予熱する。ダイヤフラム30の予熱過程が行われると、図7に示すように、ラミネーションの初期からダイヤフラム30の温度が安定した状態を維持し、初期から安定した品質のラミネーションを行うことができる。
【0017】
このために、本実施例によるラミネーション装置は、チャンバ12に配置された対象物5を加圧するように第2ハウジング20に設けられた弾性材質のダイヤフラム30と、ダイヤフラム30を加熱するように第2ハウジング20に設けられた第1ヒータ40と、を含む。第2ハウジング20にはダイヤフラム30と第1ヒータ40との間の空気を排出及び流入する空気圧調節口22が設けられる。
【0018】
これにより、図3及び図4に示すように、ダイヤフラムの予熱ステップ(S120)では、第1ヒータ40とダイヤフラム30との間の空気を空気圧調節口22を介して排出させダイヤフラム30を第1ヒータ40に吸着させた後にダイヤフラム30を効率的に予熱することができる。ここで、ダイヤフラム30の予熱は、図3に示すように、チャンバ12を減圧する前に行われてもよく、図4に示すように、チャンバ12の減圧後に行われてもよい。また、チャンバ12を減圧するために第1ハウジング10には、チャンバ12内部の空気を排出及び流入するチャンバ空気出入口14が形成されてもよい。しかし、ラミネーション方法においてダイヤフラム30と第1ヒータ40との密着は本実施例に限定されず、公知の様々な方法で行うことができる。
【0019】
一方、ダイヤフラムの予熱ステップ(S120)では、ダイヤフラム30の温度上昇を直接測定して予熱温度に到達したか否かを確認することができる。このために、本実施例によるラミネーション装置はダイヤフラム30の温度を測定する温度測定部50を含む。
【0020】
また、ダイヤフラムの予熱ステップ(S120)の前に、ダイヤフラム30を所定の予熱温度に到達させるための第1ヒータ40の予熱時間を測定または予測して予め決定することができる。予熱時間が予め決定されると、ダイヤフラムの予熱ステップ(S120)中の中間確認を省略でき、予熱過程を簡便に行うことができる。
【0021】
対象物の圧着ステップでは、ステップS130で、予熱したダイヤフラム30で対象物5を圧着する。図5に示すように、本実施例では空気圧調節口22を介して第2ハウジング20とダイヤフラム30との間に空気を注入し、空気圧を用いて予熱したダイヤフラム30で対象物5を圧着する。
【0022】
このとき、圧着が対象物5の両面にて均一に行われるように、第1ハウジング10にはチャンバ12に収容された対象物5を支持するための弾性部材60を設けてもよい。また、圧着時にチャンバ12内部の均一な温度分布のために、弾性部材60と第2ハウジング20との間に配置された対象物5を直接または間接的に加熱する第2ヒータ70をさらに設けてもよい。
【0023】
対象物5の圧着ステップの後には、図6に示すように、空気圧調節口22を介して空気圧を排出して圧着を解除した後に、第1ハウジング10と第2ハウジング20を分離して圧着された対象物5をチャンバ12から取り出すことができる。
【0024】
ここで、本実施例のラミネーション装置及び方法は、例えば、第1ハウジング及び第2ハウジングの駆動が駆動制御部(図示せず)の駆動制御により行われ、第1ヒータ及び温度測定部の測定が温度検知制御部(図示せず)の制御により行われる。各駆動制御等のプログラム(命令)が記憶されたメモリ(図示せず)からCPU(図示せず)は、プログラムを読み出して制御信号を当該駆動制御部(図示せず)、温度検知制御部(図示せず)に出力することにより各駆動制御等が実行される。
【0025】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0026】
5 対象物
10 第1ハウジング
12 チャンバ
14 チャンバ空気出入口
20 第2ハウジング
22 空気圧調節口
30 ダイヤフラム
40 第1ヒータ
50 温度測定部
60 弾性部材
70 第2ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバの対象物を圧着するラミネーション方法であって、
前記対象物を前記チャンバに配置するステップと、
弾性材質のダイヤフラムを第1ヒータに密着させて前記ダイヤフラムを所定の予熱温度に予熱するステップと、
前記ダイヤフラムで前記対象物を圧着するステップと、
を含むことを特徴とするラミネーション方法。
【請求項2】
前記ダイヤフラムの予熱ステップが、
前記第1ヒータと前記ダイヤフラムとの間の空気を排出して前記ダイヤフラムを前記第1ヒータに吸着させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のラミネーション方法。
【請求項3】
前記ダイヤフラムの予熱ステップが、
前記ダイヤフラムの温度を測定して予熱温度に到達したか否かを測定するステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のラミネーション方法。
【請求項4】
前記ダイヤフラムの予熱ステップの前に、
前記ダイヤフラムの温度を前記予熱温度に到達させるための前記第1ヒータの予熱時間を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のラミネーション方法。
【請求項5】
対象物を収容するチャンバが形成された第1ハウジングと、
前記チャンバが密閉されるように前記第1ハウジングに対応して形成された第2ハウジングと、
前記チャンバに配置された前記対象物を加圧するように前記第2ハウジングに設けられた弾性材質のダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムを加熱するように前記第2ハウジングに設けられた第1ヒータと、
前記ダイヤフラムの温度を測定する温度測定部と、
を含むことを特徴とするラミネーション装置。
【請求項6】
前記第2ハウジングには、
前記ダイヤフラムと前記第1ヒータとの間の空気を排出及び流入する空気圧調節口が設けられたことを特徴とする請求項5に記載のラミネーション装置。
【請求項7】
前記第1ハウジングには、
前記チャンバ内部の空気を排出及び流入するチャンバ空気出入口が設けられたことを特徴とする請求項5または6に記載のラミネーション装置。
【請求項8】
前記第1ハウジングに設けられ、前記チャンバに収容された前記対象物を支持する弾性部材をさらに含むことを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載のラミネーション装置。
【請求項9】
前記弾性部材と前記第2ハウジングとの間に介在された前記対象物を加熱する第2ヒータをさらに含むことを特徴とする請求項5から8の何れか1項に記載のラミネーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−121355(P2011−121355A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113412(P2010−113412)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】