説明

ラミネートカードの製造方法,ラミネート装置及びカード印刷装置

【課題】 ラミネート材の剥離に伴う動作不良やその剥離不良がなく、小型化が可能なラミネート装置を提供する。
【解決手段】 カード(1)の1面(1a)と保護膜形成材(2a)を有するラミネートフィルム(2)とを重ねて熱圧着して1面に保護膜形成材を貼着する熱圧着部(LR)と、カードを熱圧着部に供給すると共にその熱圧着部を通過させるよう所定の搬送方向に搬送する搬送手段(R1,R2)と、カードの熱圧着部への供給の際に、カードを、搬送方向の後方側がラミネートフィルムに近づくよう搬送方向に対して傾斜させる傾斜手段(120)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの表面に保護膜がラミネート加工されたラミネートカードを製造するラミネートカードの製造方法,カードに保護膜をラミネート加工するラミネート装置及びカードの表面に印刷をした後その表面にラミネート加工を施すカード印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本格的カード時代の到来により、日常生活において様々な種類のカードが用いられるようになってきた。例えば、その表面に特定情報等が印刷されたカード,テレフォンカード等の磁気カードあるいはICメモリを内蔵したクレジットカードに代表されるICカードなど、である。身分証明等の用途では、表面に顔写真等の画像が印刷されたものもある。
【0003】
このような各種カードは、表面に傷や汚れがつきにくくするために、あるいは、印刷された情報の改竄を防止するために、表面に保護膜がラミネートされる場合が多い。
具体的には、例えば、約10μm〜30μm厚の帯状の透明フィルムと印刷済みのカードの表面とを熱圧着することで、その表面にフィルムを貼着し保護膜とするものである。
【0004】
このラミネート加工をするラミネート装置の一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されたラミネート装置は、プラスチックや上質紙等からなる被記録媒体(カード等)の表面に、PET等の基材上に保護層となる樹脂層が形成された保護体(ラミネートフィルム)を、加熱ローラにより熱圧着して樹脂層をラミネートするものである。
【0005】
このラミネート加工法としては、ラミネートフィルムの基材自体をカードの表面に貼着して保護膜とする方法もある。
この場合、ラミネートフィルムは、基材と接着層とからなり、あらかじめ貼着させる範囲の境界(通常はカードの外形)にハーフカット処理を施されている。
そして、ラミネート加工後に、貼着されない部分がそのハーフカット部で切断されるようにして分離する。
【0006】
また、他のラミネートフィルムとして、キャリア(搬送用台紙)上にラミネートするプリカットされたパッチ(透明フィルム)が所定間隔で貼付されたロール状のラミネートフィルムがある。
このラミネートフィルムのキャリアには、パッチの位置を識別するためのセンサーマークが付与されている。
【0007】
このフィルムを使用するラミネータ装置は、ラミネーションに先立ってセンサでこのセンサマークを検出し, プリカットされたパッチの位置を識別しながらヒートローラで加熱するとともにプラテンローラに圧着し、パッチだけをキャリアから引き離して印刷されたカード表面へ熱圧着する方式となっている。
このようなロール状のラミネートフィルムの場合、カードラミネータ装置によって連続的にカード面へパッチラミネートすることが可能となっている。
【0008】
ところで、このフィルムロール上にパッチを一定間隔にて貼付した場合のキャリアに対する貼付位置は概ね一定しているが、工業製品である以上、ロット間等での位置ずれがばらつきを伴って発生する。
このばらつきは、1つのフィルムロール内では小さく、各ロール毎でのばらつきが大きいことが経験的に知られている。
【0009】
このようなパッチの貼付位置のずれついて図12及び図13を用いて説明する。
図12はフィルムロールの巻き取り方向へのパッチの位置ずれを示す模式図であり、図13はフィルムロールの巻取り方向に直交する方向のパッチ位置ずれを示す模式図である。
【0010】
図12において、パッチ1203は、キャリア1203C上の長手方向に所定ピッチ間隔で貼付されている。
また、この各パッチ1203にそれぞれ対応するセンサーマーク1201がキャリア1203Cの側端部に設けられている。
この図で、正規の位置に貼付されたパッチを破線1202で示している。そして、キャリア1203Cのロール方向におけるセンサーマーク1201から正規位置のパッチまでの距離を矢印1204で、また、貼付位置ずれ量を矢印1205で示している。
【0011】
図13において、パッチ1303は、図12と同様にキャリア1303C上の長手方向に所定ピッチ間隔で貼付されている。
また、この各パッチ1303にそれぞれ対応するセンサーマーク1301がキャリア1303Cの側端部に設けられている。
この図では、正規の位置に貼付されたパッチを破線1302で示している。そして、キャリア1303Cのロール方向に直交する方向おけるセンサーマーク1301から正規位置のパッチまでの距離を矢印1304で、また、貼付位置ずれ量を矢印1305で示している。
このように、パッチの貼付位置が正規位置からずれたままカード面にパッチをラミネートすると、カードに対するパッチのラミネート位置が例えばロット毎にずれることになる。
【特許文献1】特開2001−105493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、ラミネート加工は、通常、カードの製造工程における最終段階の工程である。
例えば、前工程がカード表面への印刷工程であれば、製造効率向上のため、印刷装置の印刷済みカードの排出口とラミネート装置のカード搬入口とを直結し、工程間の時間間隔を短縮してカードの製造が行われる。
また、ラミネート機能を備えたカード印刷装置の場合は、その印刷装置内に印刷機構とラミネート装置に相当するラミネート機構と連結して備え、印刷直後にラミネート加工をする構成とされる。
【0013】
このような印刷装置に採用される印刷方法として、カードが加熱される熱転写方式等の印刷方式が知られている。
例えば、熱転写方式では、熱転写ローラによる加熱によりカード自体が常温よりもかなり高い温度(40℃〜50℃)に昇温される。
この場合、カードは、特にその印刷面側、すなわち、ラミネート加工を施す面側が凹となるように反り易い。
従来のラミネート装置においては、このような形状に反ったカードを、ラミネート装置内を滞りなく搬送できるように、反りを考慮した搬送構造が必要となっていた。
具体的には、圧着ローラ投入直前のラミネートフィルムをガイドするガイドシャフトを、カードの搬送面から充分に離隔した位置に設けるという構造である。
【0014】
そのラミネート装置の一例を、図13を用いて説明する。
図13(a),(b)は、搬送経路とラミネート部とを示す概略図であり、図13(a)は、カードがラミネート部へ投入される直前の状態、図13(b)はカードへのラミネート加工中の状態を示している。
【0015】
図13(a)において、このラミネート装置101は、プレスシャフト81a及びカード搬送ローラ81bの組みからなる第1の搬送ローラ部R1と、プレスシャフト83a及びカード搬送ローラ83bの組みからなる第2の搬送ローラ部R2と、プレスシャフト87a及びカード搬送ローラ87bの組みからなる第3の搬送ローラ部R3とを備えている。
ここで、第3の搬送ローラ部R3のプレスシャフト87aは、後述する理由により、他のシャフトやローラに比べて際だって大きな直径を有している。
【0016】
第2の搬送ローラ部R2と第3の搬送ローラ部R3との間に、ヒートローラ86aとプラテンローラ86bとの組みからなるラミネート部Lが配置される。
このラミネート部Lは、ヒートローラ86aが図の矢印方向に移動し、プラテンローラ86bとの間でラミネートフィルム2とカード1とを熱圧着するように構成されている。
ラミネートフィルム2は、供給リール110と巻き取りリール115との間に、途中、ヒートローラ86aとプラテンローラ86bとの間を通るようにガイドシャフト84,85に案内されつつ張架されている。
【0017】
一方、第1の搬送ローラ部R1と第2の搬送ローラ部R2との間には、搬送されるカード1を支えるカードガイド82が配置されている。
この構成において、カード1は、各搬送ローラ部R1〜R3のプレスシャフトとカード搬送ローラとの間に挟まれて図の矢印Td方向(排出側)に向けて搬送される。
第1及び第2の搬送ローラ間では、カードガイド82により、カード1の印刷面1aとは反対側の面1bが支えられながら搬送される。
【0018】
カード1が、上述したような印刷等の前工程において加熱されると、この図に誇張して示すような、印刷面1a側を凹とする反りを有して搬送される。
このように反ったカード1が搬送され、第2の搬送ローラ部R2を通過する伴い、カード1の先端部1tは図の上方向に反るように第2の搬送ローラ部R2の下流側に搬出される(D部)。
そのため、カード1の先端1tがガイドシャフト84に当たらないように、ガイドシャフト84を、その搬送面Tsからの距離Ht2が充分に大きくなるように配置する必要があった。
【0019】
その際、搬送面Tsからのそれぞれの各ガイドシャフト84,85までの距離Ht2が異なり、カード1の供給側であるガイドシャフト84の方が搬送面Tsから遠い(高い)位置にあって、圧着されるラミネートフィルム2が搬送面TSに対して平行になっていないと、加熱されたヒートローラ86aに巻き付くように接するラミネートフィルム2は、供給側の部分が排出側の部分よりも長い時間ヒートローラ86aに接触するため、長時間加熱される。
そのため、その材質の特性が変化したり、フィルム自体に変形が生じる可能性があり好ましくない。
従って、ラミネートフィルム2と搬送面Tsとが平行になるように二つのガイドシャフト84,85は、搬送面Tsからの距離Ht2が等しくなるように配置する必要がある。
【0020】
しかしながら、図13(b)に示すように、ガイドシャフト85をガイドシャフト84に合わせてその搬送面TSからの距離Ht2が大きくなるように配置すると、ラミネート部Lを通過したカード1は、ラミネートフィルム2に引っ張られることにより、また、カード自体が反りを有することにもより、その先端部1tが搬送面Tsに対してガイドシャフト85側に大きく持ち上がった姿勢になる(E部)。
この姿勢のまま搬送が続くと、プレスシャフト86aが図13(b)の他のプレスシャフト83a等と同等の径の場合、カード1の先端1tがそのプレスシャフト86aに突き当たってしまい、搬送不良となってしまう。
【0021】
そのため、この突き当たりを防止するために、その図に示すように、プレスシャフト86aの直径を充分に大きくする必要があった。
また、径を大きくしたこのシャフトを納めるために、第3の搬送ローラ部R3の位置を、ラミネート部Lから排出側に遠ざける必要があり、ラミネート装置が大型化するという問題があった。
【0022】
一方、不要なラミネートフィルムをカード1からガイドシャフト85の位置で剥離するが、その際、カード1の表面1aとラミネートフィルム2とのなす角度(剥離角度)C1は、カード1の先端部1tが持ち上がっているので、カード1に反りが無い場合、あるいは、ガイドシャフト85の位置が搬送面TSに近い場合の剥離角度Cと比べて、かなり小さい角度になってしまう。
そのため、ラミネートフィルム2が容易に剥離できずに動作不良となったり、剥離できても完全に剥離できずにその一部がカードに残ってしまうという、所謂はがし残りが発生し易いという問題があった。
また、カード1自体を耐熱性を有して反り難い材料で形成するという方法も検討されるが、カードのコストアップを招くことなく、また、ラミネート装置の汎用性を損なうことなく実現するのは難しい。
【0023】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ラミネート材の剥離に伴う動作不良やその剥離不良を生じることがないラミネートカードの製造方法を提供することにある。
また、ラミネート材の剥離に伴う動作不良やその剥離不良がなく、小型化が可能なラミネート装置及びカード印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の手順を有する。
〔1〕すなわち、カード(1)の1面(1a)と保護膜形成材(2a)を有するラミネートフィルム(2)とを重ねて熱圧着部(LR)により熱圧着し、前記1面(1a)に前記保護膜形成材(2a)が貼着されてなるラミネートカード82)を製造するラミネートカードの製造方法において、前記カード(1)を所定の搬送方向に搬送して前記熱圧着部(LR)に供給する供給工程と、前記カード(1)を搬送しつつ前記熱圧着部(LR)を通過させて前記熱圧着を行う熱圧着工程とを有し、前記供給工程において、前記カード(1)を、その前記搬送方向の後方側が前記ラミネートフィルム(2)に近づくように前記搬送方向に対して傾斜させる手順を有するようにした。
【0025】
また、上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
〔2〕すなわち、ラミネート装置(100)を、カード(1)の1面(1a)と保護膜形成材(2a)を有するラミネートフィルム(2)とを重ねて熱圧着して前記1面(1a)に前記保護膜形成材(2a)を貼着する熱圧着部(LR)を備え、前記カード(1)を、前記熱圧着部(LR)に供給すると共に前記熱圧着部(LR)を通過させるよう所定の搬送方向に搬送する搬送手段(R1,R2)と、前記カード(1)の前記熱圧着部(LR)への供給の際に、前記カード(1)を、前記搬送方向の後方側が前記ラミネートフィルム(2)に近づくよう前記搬送方向に対して傾斜させる傾斜手段(120)と、を備える構成にした。
〔3〕また、カード印刷装置(50)を、カード(1)の少なくとも1面(1a)に印刷を行う印刷部(50P)と、印刷された前記1面(1a)と保護膜形成材(2a)を有するラミネートフィルム(2)とを重ねて熱圧着して前記1面(1a)に前記保護膜形成材(2a)を貼着する熱圧着部(LR)と、を備え、前記カード(1)を、前記熱圧着部(LR)に供給すると共に前記熱圧着部(LR)を通過させるよう所定の搬送方向に搬送する搬送手段(R1,R2)と、前記カード(1)の前記熱圧着部(LR)への供給の際に、前記カード(1)を、前記搬送方向の後方側が前記ラミネートフィルム(2)に近づくよう前記搬送方向に対して傾斜させる傾斜手段(120)と、を備える構成にした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ラミネートカードの製造において、ラミネート材の剥離における動作不良や剥離不良を生じることがないという効果を奏する。
また、ラミネート材剥離も良好に行えて剥離不良が発生することがなくラミネート装置やカード印刷装置を小型化できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図10を用いて説明する。
図1は、本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する内部構成図である。
図2は、本発明のラミネート装置の実施例における駆動系を説明する図である。
図3は、本発明のラミネート装置の実施例におけるブロック構成図である。
図4は、本発明のラミネート装置の実施例における要部を説明する図である。
図5は、本発明のラミネート装置の実施例を説明する概略図である。
図6は、本発明のラミネート装置の実施例におけるタイミングチャートである。
図7は、本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する平面図である。
図8は、本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する概略図である。
図9は、本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する分解斜視図である。
図10は、本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する他の分解斜視図である。
【0028】
本発明のラミネート装置の実施例を図1を用いて説明する。
このラミネート装置100は、情報が記録されたカード表面にラミネート加工を行う装置である。
具体的には、カード挿入口101から挿入されたカード1の表面1aにラミネートフィルムを貼着し、その後、カード1を排出口119から排出するものである。
また、この実施例で例示するカードは、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)製であるが、これに限定されるものではない。
以下、この装置について具体的にカード1の搬送経路に沿って説明する。
【0029】
この装置100は、カード搬入経路として、カード挿入口101,カード挿入検出センサ102,プレスシャフト103a及びカード搬送ローラ103bの組からなる第1搬入ローラ部R1,ラミネート位置センサ104、並びに、プレスシャフト105a及びカード搬送ローラ105bの組からなる第2搬入ローラ部R2を備えている。
この搬入経路上を搬送されたカード1の表面1aに対してラミネート加工が施される。
このラミネート加工は、ヒートローラ106a及びヒートプレスシャフト106bの組からなるラミネートローラ部LRで行われる。
【0030】
その後、カード1は、搬出経路を搬送されて排出される。このカード搬出経路として、プレスシャフト107a及びカード搬送ローラ107bの組である第1搬出ローラ部L1,カード排出センサ108,プレスシャフト109a及びカード搬出ローラ109bの組からなる第2搬出部L2、並びに、排出口119を備えている。
【0031】
この第1及び第2搬出部L1,L2のプレスシャフト107a,109a及びカード搬出ローラ107b,109bについて図7を用いて説明する。
図7は、第1搬出ローラ部L1を図1の上方側からみた平面図である。第2搬出ローラ部も当図と同じなので、第1搬出ローラ部を代表して説明する。
このプレスシャフト107における最大外径部の幅W1及びカード搬出ローラ107bのおける最大外径部の幅W2は、カード1の幅Wcに対してほぼ同じ幅かあるいは大きい幅となるように設定されている。
【0032】
これにより、各ローラ107a,107bの端部Eが搬出方向(図の矢印方向)に搬送されるカード1に接することがないので、保護膜(ラミネート片)2aがラミネートされたカード1の表面全体が均一に押圧され、カード1に残留する内部応力の偏りがなくなる。即ち、低応力で均一化される。
従って、各ローラでラミネートした表面に傷がつくことはなく、また、まだ温度が高くて柔らかい保護膜が歪んで皺が形成されることがない。
また、均一に押圧されることで、カードと保護膜の貼着にむらがないので、経時的に剥がれることもない。
【0033】
図1に戻り、ラミネートに供されるラミネートフィルム2は、ヒートローラ106a及びヒートプレスシャフト106bの間を通り供給側リール110と巻き取り側リール115との間に張架されている。
また、ラミネートフィルム2に付されるマーク(詳細は後述する)を検出するエンドマークセンサ111及びフィルムマークセンサ112と、ガイドシャフト113,114が張架経路上に配置される。
さらに、ヒートカム116,ヒートカム押圧位置センサ117及びヒートカム待機位置センサ118が備えられている。このヒートカム等についての詳細は後述する。
第1搬送ローラ部R1及び第2搬送ローラ部R2の間には、カードガイド120が配置されている(図では破線で示している)。このカードガイド120の詳細については後述する。
【0034】
ここで、ラミネートフィルム2の懸架の構造について図9及び図10を用いて説明する。
実施例のラミネート装置は、ラミネートフィルム2の交換を容易にするため、供給側リール110,ガイドシャフト113,ガイドシャフト114,巻き取り側リール115などをベース1004に取り付けて一体化したカセット1100を有する構造となっている。
【0035】
供給側リール110には、ラミネートフィルム2が巻かれたコアボビン1001が挿着されている。
このコアボビン1001は、貫通孔1001dを有し、その内面に軸方向に延在する複数の溝1001cを有する中空軸1001aと、この中空軸1001aの一端側に固定された円盤部1001bとから構成されている。
コアボビン1001の円盤部側にはボビンホルダ1002が嵌め込まれる。
このボビンホルダ1002は、外周面に複数の歯1002cを有する中空軸1002aと、この中空軸1002aの一端側に固定された円盤部1002bとから構成されている。
この円盤部1002bには、スペーサ1003(詳細は後述する)と嵌合する位置決めピン1002b1が中空軸1002aと同じ側に突出して設けられている。
【0036】
ボビンホルダ1002の中空軸1002aは、コアボビン1001における中空軸1001aの貫通孔1001dと嵌合し、コアボビン1001の溝1001cとボビンホルダ1002の歯1002cとが噛み合う構造となっている。
ボビンホルダ1002は、また、供給側モータの駆動部(図示せず)と嵌合し、ラミネートフィルム2に所定のバックテンションを付与している。
【0037】
このような構成により、このラミネート装置は、ラミネートフィルム2を供給側リール110にセットした状態でカセット1100ごと着脱できるので、ラミネータ装置を停止したり分解することなく、簡単にラミネートフィルム2を交換することが可能な構造となっている。
【0038】
また、ラミネートフィルム2を供給リール110にセットする際、コアボビン1001とボビンホルダ1002との間に、所定厚さの円盤状のスペーサ1003を挟みこむ構成となっている。
この所定の厚さは、図13に示すフィルムロール1303cのロール方向と直交する方向のパッチの位置ずれに応じて設定される。
少なくとも、所定厚さのスペーサ1003を所定枚数装着した際に、基準のパッチ位置となるように設定しておけば、スペーサ1003の装着枚数を増減することで、供給リール110の軸方向におけるラミネートフィルム2の位置、すなわち、その方向のパッチの位置を、ベース1004から離れる方向あるいは近づく方向に調整することができる。
このスペーサ1003の厚さは、複数の厚さのスペーサを用意したり、複数の枚数のスペーサを挟み込むことで様々な調整量での調整を実現することができる。
【0039】
これについての具体的な例を以下に示す。
この例では、ラミネートフィルム2の台紙であるキャリアの幅が90mmであり、その台紙に貼付されたパッチの幅が82mmである。
そして、パッチの幅方向であるロール方向に直交する方向の貼付位置のずれは、±1mm以下の範囲で発生する。
このラミネートフィルムに対して、1.0mm厚のスペーサ1003を装着した状態でパッチの位置が基準位置となるように設定されており、このスペーサに更に重ねて0.5mm厚または1.0mm厚のスペーサを装着することで、それぞれ+0.5mm,+1.0mmの補正が可能となる。
一方、基準位置となる1.0mmのスペーサ1003を取り除けば、−1.0mmの補正となり、替わりに0.5mmのスペーサを装着すれば−0.5mmの補正が可能となる。
これは一例であり、もちろんスペーサの厚さはこれに限るものではなく、ラミネートフィルム側のパッチ位置のばらつき量に応じ、種々の厚さのスペーサを用い、これらを組み合わせることで、任意のピッチでの補正が可能となる。
スペーサの材質としては、ABSやナイロン等の樹脂を用いることができる。
金属であってもよいが、これをプレスで形成する際には、エッジのばりが出ないような後処理が必要となる場合がある。
【0040】
上述した実施例においては、スペーサ1003が、コアボビン1001の円盤部1001a及びボビンホルダ1002の円盤部1002aに位置決めされ、脱落しないための位置決めピン1002b1を円盤部1002b側に設けているが、もちろん、スペーサ1003側に設けてもよい。また、ピン状ではなく鉤爪状のものであっても良い。
このスペーサ1003を用いる構成により、ラミネートフィルム2のロール巻き取り方向と直交する方向のパッチの位置ずれに対して、確実に一定量の補正を行うことができる。
スペーサ1003には、ボビンホルダ1002の位置決めピン1002b1と嵌合する孔(図示せず)が設けられており、ボビンホルダ1002と一体となって回転する。尚、巻き取り側リール115についてもこの供給側リール110と同様の構成となっている。
【0041】
次に、駆動系について、その構成を模式的に描いた図2を用いて説明する。図2の各部材の配置は概ね図1と対応しており、図1と共通に記載されている部材は、カード搬送ローラ103b,105b,107b,109b、ヒートカム116及び巻き取り側リール115とである。
【0042】
この装置100は、駆動源としてカード搬送モータ201とヒートカムモータ206とフィルム巻き取りモータ209とを備えている。
カード搬送モータ201の動力は、第1〜第3の動力伝達経路で伝達される。
即ち、第1の動力伝達経路として、ベルト202を介してアイドルギア203に伝達され、さらに、このアイドルギア203に歯合する第2の搬入ローラ部R2のカード搬送ローラ105bに伝達される。
第2の伝達経路として、このカード搬入ローラ105bに巻き掛けられたベルト204を介して第1の搬入ローラ部R1のカード搬送ローラ103bにも伝達される。
第3の伝達経路として、アイドルギア203に歯合する第1の搬出ローラ部L1のカード搬送ローラ107bに伝達され、ベルト205を介して第2の搬出ローラ部L2のカード搬送ローラ109bにも伝達される。
【0043】
一方、ヒートカムモータ206の動力は、ウォームホイール207及びこれに歯合するアイドルギア208を介してヒートカム116に伝達される。
このヒートカム116は、所定形状のカム部116aを有する(図1も参照)。
レバー121はこのカム部116aに図1の下方側から付勢されて当接しており、ヒートカム116が回転するとカム部116aの外周面を摺動し、その形状に沿って図1の上下方向に往復移動する。
このレバー121は、ヒートローラ106aと連結されているので、結果として、ヒートローラ106aはヒートカム116の回転に伴い上下に移動する。
【0044】
また、このヒートカム116の回転位置は、ヒートカム押圧位置センサ117とヒートカム待機位置センサ118とによって検出される。
具体的には、ヒートカム116は図1の時計回り方向に回転し、ヒートカム押圧位置センサ117は、ヒートローラ106aがヒートプレスシャフト106bに押圧され始めることを検出する。
【0045】
ヒートカム待機位置センサ118はヒートローラ106aがヒートプレスシャフト106bから離間し始めたことを検出する。
一方、フィルム巻き取りモータ209の動力は、ウォームホイール210及びこれと歯合するアイドルギア211を介して、巻き取り側リール115に伝達される。
【0046】
次に、ラミネート装置100の構成について、概略ブロック図である図3を用いて説明する。
このラミネート装置100は、制御手段としてCPU304を備えている。
このCPU304には、カード挿入検出センサ102,ラミネート位置センサ104,カード排出センサ108,エンドマークセンサ111,フィルムマークセンサ112,ヒートカム押圧位置センサ117及びヒートカム待機位置センサ118からのセンサ出力情報が入力される。
また、CPU304は、カード搬送モータ201,ヒートカムモータ206及びフィルム巻き取りモータ209にそれぞれ接続されたサーボ回路301,302,303と接続されている。
【0047】
この構成により、CPU304は、入力される各センサ出力情報に基づいて、各モータ201,206,209を、各サーボ回路301,302,303を介して制御する。
【0048】
次に、カードガイド120について図1,図4を用いて説明する。
このカードガイド120は、第1及び第2の搬送ローラ部R1,R2間に配置され、この間を搬送されるカード1のラミネートする面1aとは反対側の面1b側を支持するとともに搬送経路に沿ってガイドするものである。
ここで、図4(a)は、カードガイド120を説明するための斜視図であり、図4(b)は、カードガイド120がカード1を案内する状態を説明する正面図である。
【0049】
カードガイド120は、カード1が挿入口101からラミネートローラ部LRに搬送される間、カード1を搬送経路に沿って支持するものである。
具体的に説明すると、このカードガイド120は、ベース部125aとその両端部から垂設する一対の側部125bとからなる断面がH字状に形成された本体部125よりなり、ベース部125aと側部125bとが交わる内隅部の一部に、その内隅を埋めるように搬送方向の直交方向に傾斜した傾斜面121ak,121bkを有する一対のバンプ部(突起部)121a,121bが設けられているものである。
また、このバンプ部121a,121bには、カード1が当接する際に誘いとなるような搬送方向に傾斜する案内傾斜面121a1,121b1が設けられている。
以下、一対のバンプ部を総称してバンプ部121と称する場合がある。また、一対の傾斜面を総称して121kと称する場合がある。
【0050】
本体125のベース部125aのほぼ中央部には開口部125eが形成され、その開口部125eに第1搬入ローラ部R1のガイド搬送ローラ103bが収納される。
本体125の一方の端部側(図4の左手前側)には、第2搬入ローラ部R2が配設されている。当図ではそのガイド搬送ローラ105bのみを記している。
【0051】
このような構成のカードガイド120に、図4(a)の矢印方向からカードが搬送されると、図4(b)に示すように、カード1の底面1bと側面1cとが成す稜線1dにバンプ部121の傾斜面121kが当接して、カード1はガイド面Tbにて支持される。このガイド面Tbは、搬送面Tsよりも距離Ht1だけ高く、すなわち、搬送面Tsよりもガイドシャフト113側に位置するように設定されている。
【0052】
次に、実施例のラミネート装置100におけるラミネート動作について説明する。
このラミネート装置100において、CPU304は、カード1をラミネートする際のカード1及びラミネートフィルム2の送り速度(ラミネート速度)V2を、カード1の材質や厚さ、あるいは、ラミネートフィルム2の材質や厚さ等の違いに応じて最適化できるように、多段階で制御する。
具体的には、そのラミネート速度V2を、4.0mm/sから9.0mm/sまでの間で0.5mm/sピッチにて設定できるように構成されている。
以下の動作説明では、この各段階のうち、V2=4.0mm/s一定で制御されるものとする。
【0053】
なお、ラミネートフィルム2としては、カード1と略同一の大きさのラミネートフィルム片2aを、台紙2bに連続して張り付けた「パッチフィルム」と呼ばれるタイプのものと、帯状台紙テープに、これと略同一幅の帯状のラミネートフィルムを張り付けた「オーバーレイフィルム」と呼ばれるタイプのものとがある。
このオーバーレイフィルムタイプでは、貼着すべき部分の外形にハーフカット処理がされ、ラミネート後の分離が容易になっている。
【0054】
以下の動作説明では、パッチフィルムタイプのラミネートフィルムを用いた場合を説明する。
また、理解を容易にするために、ラミネート動作を時系列的に第1〜第6期間に区分けして説明する。
【0055】
<第1期間:カード搬入動作>
カード1が人手または図示しない搬入装置等によりカード挿入口101から挿入されると、カード挿入検出センサ102でその挿入が検出される。
カード挿入検出センサ102は、挿入検出信号(Lo)をCPU304に対して送出する。CPU304は、その挿入検出信号に基づいて、サーボ回路301に対してカード搬送モータ201を、カード1が出口方向に搬送される方向に回転するよう指示する。
これにより、カード1は、第1の搬入ローラ部R1のプレスシャフト103aとカード搬送ローラ103b、次いで、第2の搬入ローラ部R2のプレスシャフト105aとカード搬送ローラ105bに挟まれつつラミネートローラ部LRに向けて搬送される。
ここまでの搬送において、カード1は、カードガイド120により図の下方側を支持されている。
【0056】
ここで図5を用いて詳細を説明する。図5(a)は、カード1の先頭端1tが第2の搬入ローラ部R2を通過してガイドシャフト113の近傍(D部)に達した時点を示し、図5(b)は、先頭端1tがガイドシャフト114の近傍(E部)に達した時点を示している。
まず、カード1が第2の搬入ローラ部R2に到達する際には、カードガイド120のバンプ部121におけるガイド面Tbは、搬送面Tsよりも高い位置(ラミネートフィルム2に近い側)にあるので、カード1は、バンプ部121に支持されて搬送面Tsよりも高い位置にあるが、その先頭端1tが第2の搬入ローラ部R2におのずと誘い込まれるように、プレスシャフト105aの径は設定されている。
【0057】
第2の搬入ローラ部R2にカード1が挟み込まれると同時に、カード1の後端側は第1の搬入ローラ部R1から開放される。すると、今度は、バンプ部121により、カード1はその後端側1sが図の矢印D1方向に持ち上げられる。
すなわち、カード1はその後端側1sがラミネートフィルム2に近づくように傾斜させられる。
この状態で、第2の搬入ローラ部R2を通過したカード1の先頭部1tは、カードガイド120が無い場合と比べて相当に低い、搬送面Tsとほぼ同等の位置を以て第2の搬入ローラ部R2から搬出されるので、ラミネートフィルム2のガイドシャフト113の配設位置が搬送面Tsに接近していても、何ら支障なく、このガイドシャフト113の下側に誘導される。
【0058】
従って、カード1がラミネートする側を凹として反っていても、ガイドシャフト113の位置を、搬送面Tsにより近づけて配設することが可能となる。
ラミネートフィルム2と搬送面Tsとは、良好な貼着特性を得るためにできるだけ平行に設定するのがよいので、ガイドシャフト113に合わせてガイドシャフト114も同様の搬送面Tsに近い位置に配設される。
【0059】
ここで、バンプ部121は、上述したように、カード1の面ではなく稜線1dに当接してこれを持ち上げるよう案内する。
そのため、カード1に対して予期せぬ外乱等によって押しつぶすような異常負荷が加わった場合でも、カード1は撓んでその負荷を吸収することができ、搬送が支障なく継続されるので、その動作の信頼性は極めて高い。
また、カード1の表裏面に擦り傷などが生じて品位が低下することはない。
【0060】
この第1期間の搬入動作において、カード1の移動に伴い、カード挿入検出センサ102からの検出信号が送出されなくなったら(Lo→High)、CPU304は、サーボ回路301を介して予め設定された搬送距離だけカード1を搬送した後モータ201を停止させる。
この停止指示は、図6においては次の第2期間の終了時点である。また、この停止指示は、ラミネート位置センサ104の出力に応じて送出してもよい。
ここまでのカード搬送速度V1は、ラミネート加工には直接影響しないので、搬送に支障がない程度の高速で設定することができる。
【0061】
<第2期間:ラミネート位置セット動作>
第1期間から継続してカード搬送モータ201は駆動しており、これによりカード1は出口方向に搬送される。ここで、CPU304は、ラミネート位置センサ104からのカード検出信号が出力されなくなったら(Lo→High)、カード搬送モータ201を停止させる。
ここで、図11に示したようなパッチ1203を貼付したラミネートフィルム2(1203c)を用いる場合には、ラミネートフィルム2(1203c)のロール巻き取り方向へのパッチ1203の貼付ずれ1205に対して、ラミネートフィルム2(1203c)上のパッチ位置を示すセンサーマーク1201を検出して、予め設定されたオフセット分だけカード1を移動した後、停止させる。
これにより、このセンサーマーク1201に対するパッチ1203のずれ量分を、カード1がラミネートされるときの停止位置で補正することができる。
【0062】
<第3期間:ヒートローラ圧着動作>
CPU304は、ラミネート位置センサ104の出力信号がhighになったことを受け、サーボ回路302に指示を行い、ヒーターカムモータ206を駆動してヒートカム116を回転させる。
そして、ヒートローラ押圧位置センサ117からの出力信号により、ヒートローラ106aが押圧される位置にきたことを確認した後、ヒートカムモータ206を停止させる。
【0063】
<第4期間:ラミネート動作>
CPU304は、カード1を出口方向に向けてラミネート速度V2で搬送するように、サーボ回路301を介してカード搬送モータ201を動作させる。この速度V2で搬送させる距離は、少なくともカート1上のラミネートする範囲における搬送方向最大距離である。
また、同時に、フィルム巻き取りモータ209を、ラミネートフィルム2を巻き取る方向に、ラミネート速度V2と同期させて回転するようサーボ回路309に対して指示する。
【0064】
<第5期間:ヒートローラ離間及びフィルム剥がし動作>
CPU304は、サーボ回路302を介してヒートカムモータ206を動作させ、ヒートローラ待機位置センサ118からのカム部116a検出信号が入来した時点で停止させる。また、一方で、カード搬送モータ201を動作させ、カード1を所定の距離だけ搬送した後、停止させる。
【0065】
カード1とラミネートフィルム2とが一体的に搬送され、ガイドシャフト114にカード1の先端部1tが到達すると、そこから下流側においてラミネートフィルム2の台紙2bは、カード1から離れる方向(図1の矢印Bの方向)に引っ張られる。そのため、カード1に貼着した部分(ラミネート片)2a以外の台紙2bが分離して巻き取り側リールに巻き取られる。
【0066】
この状態を図5(b)に示す。上述したように、ガイドシャフト113,114と搬送面Tsとの距離Ht2は、かなり小さく設定されている。そのため、ラミネートフィルム2に引っ張られてカード1の先端部1tが搬送面Tsから持ち上げられる距離も小さい。
従って、カード1のラミネートフィルムが剥離する位置の接線と巻き取られるラミネートフィルム2の面とが成す剥離角度C2が充分に大きくなって、ラミネートフィルム2のカード1からの剥離(分離)が容易となり剥離残りが生じることはない。
また、カード1の先端部1tが搬送面Tsから持ち上げられる距離が小さいので、図5(b)に示すように、プレスシャフト107aにおける、カード1の突き当たりを防止できる径は、従来に比べて相当に小さくできる。
従って、プレスシャフト107aの配設位置も、ガイドシャフト114に極めて接近させている。
この構成により、この実施例のラミネート装置は極めて小型化されている。
【0067】
ラミネートフィルム2の台紙2bには、その台紙上に貼られたラミネートフィルム片2aの所定の貼付ピッチに対応するフィルムマーク(図示せず)が付されている。このフィルムマークをラミネートエンドマークセンサ111が検出したら、フィルム巻取りモータ209を停止させる。
一方、オーバーレイフィルムタイプの場合、カード搬送モータ201の停止にあわせて、フィルム巻取りモータ209を停止させる。
【0068】
<第6期間:カード排紙動作>
CPU304は、サーボ回路301に指示を行ってカード搬送モータ201を駆動させ、カード搬送ローラ107b,109bを、カード1を出口方向に搬送する方向に動作させる。そして、カード排出センサ108がカードを検出しなくなった時点以降にカード搬送モータ201を停止させる。これにより、ラミネートされたカード1はカード排出口119から外部に排出される。
以上詳述した、第1〜第6期間の動作を行うことで、ラミネート加工が施される。
【0069】
次に、他の実施例として、カードへの印刷機能と、印刷したカード表面にラミネート加工を施すラミネート機能との双方を搭載したカード印刷装置50について、図8を用いて説明する。
このカード印刷装置50としての実施例は、印刷部50Pとラミネート部50Lとを有しており、ラミネート部50Lの基本的構成は、上述したラミネート装置100と同様である。
【0070】
図7において、印刷部50Pは、カード挿入口51から人手または図示しない挿入手段により挿入されたカード1は、一対のローラ52a,52bよりなる第1の搬送ローラ部T1により、内部の印刷ヘッド部Hへ搬送される。
印刷ヘッド部Hは、印刷インクを搭載したサーマルヘッド54と、サーマルヘッド54にカード1の印刷面1aを押圧させるために図7の下方からカード1を付勢するプラテンローラ55とを有している。
サーマルヘッド54は、図示しない印刷制御部からの指示により、搭載したインクを加熱し所定の文字や画像を印刷面1aに対して印刷する。
【0071】
その後、カード1は、一対のローラ53a,53bよりなる第2の搬送ローラ部T2により、印刷部50Pに隣接配置されたラミネート部50Lに搬送される。
ラミネート部50Lは、印刷部50Pより搬送された印刷済みカード1を一対のローラ54a,54bよりなる第3の搬送ローラ部T3によってラミネートローラ部LRへ搬送する。
この搬送において、第2及び第3の搬送ローラ部T2,T3間に、カードガイド120が配置されており、このカードガイド120とラミネートローラ部LRとその下流側との構成及び作用は、上述したラミネート装置と同様である。
印刷面1aにラミネート加工がされたカード1は、最終的に、搬出口56から外部に搬出される。
【0072】
このように、実施例のラミネート装置100やカード印刷装置50は、カード1の搬送経路におけるラミネートローラ部LRの直前に、カード1を搬送面Tsよりも高い位置で支持して案内するカードガイド120を備えており、このカードガイド120により、ラミネートローラ部LRに対して搬送されたカード1が投入される時点で、そのカード1の搬送方向Tdの後方側がカードガイド120により持ち上げられ、ラミネートフィルム2に接近するようにその搬送方向に対して傾斜し、その傾斜した状態でラミネートローラ部LRに投入される。印刷による加熱等によりラミネート加工前のカード1が高温となって印刷面1aを凹として反っていたとしても、搬送不良を生じることがなく、また、ラミネート加工後の不要なラミネート材の剥離が容易で、また、その剥離を極めて良好に行えるものである。
また、カード材質が耐熱性の高くない安価な材料であってもラミネート加工が可能であり、極めて汎用性に優れるものである。
【0073】
また、実施例のラミネート装置やカード印刷装置は、少なくともラミネート加工部の直前直後においてカードの搬送路自体に傾斜を設けることなく、同一搬送面上を搬送させながらラミネート加工と反ったカードからのラミネート材の剥離を容易に良好に行えるものであり、搬送路に傾斜を設けた場合に比べて構造が簡単で部品点数も少なく、製造が容易で安価である。
【0074】
また、実施例のラミネート装置やカード印刷装置は、フィルムロールを巻きつけるコアボビン1001と、このコアボビン1001と嵌合するボビンホルダ1002との間に、補正量に応じて設定した厚さを有するスペーサ1003を必要枚数挟み、フィルムロールの巻取りと直交する方向のパッチ位置ずれを補正するのことができる構造としたので、このずれに対して経験に頼った不安定で不確実な補正を行うことなく、安定した一定量の補正をを行うことができる。
【0075】
また、実施例では、サーボ回路を介してモータを制御する例を示したが、サーボ回路を使用せずステッピングモータなどを用いてCPUから直接モータを制御する構成にしてもよい。
カード表面に記録される情報としては、数字や記号等を含む文字やホログラムを含む画像がある。また、記録する方法は、印刷が代表的な例であるが他にも種々の方法があるのは言うまでもない。
また、実施例では、カード1を挿入口101から挿入する形態について説明したが、これに限らず、カード1を複数重ねたカード束をホルダに格納し、そのホルダを装置内部の供給手段に装填するように構成してもよい。
このような挿入口やホルダのように、装置にカードの供給機能を有する供給部を備えていればよい。
【0076】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する内部構成図である。
【図2】本発明のラミネート装置の実施例における駆動系を説明する図である。
【図3】本発明のラミネート装置の実施例におけるブロック構成図である。
【図4】本発明のラミネート装置の実施例におけるタイミングチャートである。
【図5】本発明のラミネート装置の実施例における要部を説明する模式図である。
【図6】本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する平面図である。
【図7】本発明のカード印刷装置の実施例における構成を説明する模式図である。
【図8】本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する概略図である。
【図9】本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する分解斜視図である。
【図10】本発明のラミネート装置の実施例における構造を説明する他の分解斜視図である。
【図11】ラミネートフィルムのパッチ貼付位置ずれの例を説明する図である。
【図12】ラミネートフィルムのパッチ貼付位置ずれの他の例をを説明する図である。
【図13】従来のラミネート装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0078】
1 カード
1a 印刷面
1b (反対側の)面
1c 側面
1d 稜線
2 ラミネートフィルム
2a ラミネート片(保護膜)
2b 台紙
2c フィルムマーク
50 カード印刷装置
50L ラミネート部
50P 印刷部
51 カード挿入口
52a,52b,53a,53b,54a,54b ローラ
100 ラミネート装置
101 カード挿入口
102 カード挿入検出センサ
103a プレスシャフト
103b カード搬送ローラ
104 ラミネート位置センサ
105a プレスシャフト
105b カード搬送ローラ
106a ヒートローラ
106b ヒートプレスシャフト
107a プレスシャフト
107b カード搬送ローラ
108 カード排出センサ
109a プレスシャフト
109b 搬出ローラ
110 供給側リール
111 エンドマークセンサ
112 フィルムマークセンサ
113,114 ガイドシャフト
115 巻き取り側リール
116 ヒートカム
116a カム部
117 ヒートカム押圧センサ
118 ヒートカム待機位置センサ
119 排出口
120 カードガイド
121(121a,121b) バンプ部
121k(121ak,121bk) 傾斜面
125 (カードガイドの)本体
125a ベース部
125b 側部
125e 開口部
201 カード搬送モータ
202,204,205 ベルト
203,208,211 アイドルギア
206 ヒートカムモータ
207,210 ウォームホイール
209 フィルム巻き取りモータ
301,302,303 サーボ回路
304 CPU
1001 コアボビン
1001a 中空軸
1001b 円盤部
1001c 溝
1001d 貫通孔
1002 ボビンホルダ
1002a 中空軸
1002b 円盤部
1002b1 位置決めピン
1002c 歯
1003 スペーサ
1004 ベース
1100 カセット
H 印刷ヘッド部
Ht1,Ht2 距離
L1,L2 第1,第2搬出ローラ部
LR ラミネートローラ部
R1,R2 第1,第2搬入ローラ部
T1,T2 第1,第2の搬送ローラ部
Tb ガイド面
Td 搬送方向
Ts 搬送面
V1 搬送速度
V2 ラミネート速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの1面と保護膜形成材を有するラミネートフィルムとを重ねて熱圧着部により熱圧着し、前記1面に前記保護膜形成材が貼着されてなるラミネートカードを製造するラミネートカードの製造方法であって、
前記カードを所定の搬送方向に搬送して前記熱圧着部に供給する供給工程と、
前記カードを搬送しつつ前記熱圧着部を通過させて前記熱圧着を行う熱圧着工程とを有し、
前記供給工程において、前記カードを、前記搬送方向の後方側が前記ラミネートフィルムに近づくように前記搬送方向に対して傾斜させることを特徴とするラミネートカードの製造方法。
【請求項2】
カードの1面と保護膜形成材を有するラミネートフィルムとを重ねて熱圧着して前記1面に前記保護膜形成材を貼着する熱圧着部を備えたラミネート装置であって、
前記カードを、前記熱圧着部に供給すると共に前記熱圧着部を通過させるよう所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記カードの前記熱圧着部への供給の際に、前記カードを、前記搬送方向の後方側が前記ラミネートフィルムに近づくよう前記搬送方向に対して傾斜させる傾斜手段と、を備えたことを特徴とするラミネート装置。
【請求項3】
カードの少なくとも1面に印刷を行う印刷部と、
印刷された前記1面と保護膜形成材を有するラミネートフィルムとを重ねて熱圧着して前記1面に前記保護膜形成材を貼着する熱圧着部と、を備えたカード印刷装置であって、
前記カードを、前記熱圧着部に供給すると共に前記熱圧着部を通過させるよう所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記カードの前記熱圧着部への供給の際に、前記カードを、前記搬送方向の後方側が前記ラミネートフィルムに近づくよう前記搬送方向に対して傾斜させる傾斜手段と、を備えたことを特徴とするカード印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−256290(P2006−256290A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120757(P2005−120757)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】