説明

ラミネート電池構造体

【課題】複数枚のラミネート電池を、位置を固定して安定して保持することができるラミネート電池構造体を提供すること。
【解決手段】ラミネート電池構造体1は、可撓性のシート状容器31内に平板状の電池本体32が収容され、電池本体32から一対のシート状の電極がシート状容器31の外部に引き出されてなるラミネート電池3を積層方向Dに複数枚積層してなる。保持枠2は、一対の第2枠部22の内側部分に、シート状容器31のシート端部310を差し込む差込凹部を積層方向Dに複数隣接して形成してなると共に、一対の第2枠部22の内側部分に、複数枚のラミネート電池3における電池本体32の板面方向における四方の角部321の位置決めを行う位置決め突起部223を積層方向Dに複数隣接して設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート電池を複数枚積層してなるラミネート電池構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より種々の形式の電池があるが、その中でも、アルミニウム基材等の表面を絶縁性の樹脂で被覆してなる可撓性のシート状容器内に電池本体を収容してなるラミネート電池(ラミネートセル)は、製造及び取扱いが容易であり、かつ安価であることから多くの需要が期待されている。ラミネート電池は、複数枚を積層し、各電池の電極間を並列接続又は直列接続のいずれの接続方法によっても柔軟に接続して用いることができる。
【0003】
例えば、特許文献1の組電池及び単電池においては、ラミネートセルを保持部材によって保持して単電池を形成しており、ラミネートセルは、保持部材を構成する一対の弾性部の弾性特性を利用して保持されている。また、単電池を積層して組電池を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−108693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等においても、複数枚のラミネートセルを積層してまとめて保持する技術については開示されていない。この場合、複数枚のラミネートセルを安定して保持するために保持枠に対して工夫をする必要がある。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、複数枚のラミネート電池を、位置を固定して安定して保持することができるラミネート電池構造体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、可撓性のシート状容器内に平板状の電池本体が収容され、該電池本体から一対のシート状の電極が上記シート状容器の外部に引き出されてなるラミネート電池を積層方向に複数枚積層してなり、
該複数枚積層したラミネート電池は、樹脂製の保持枠内に保持されており、
上記各ラミネート電池の四方の側部には、上記電池本体よりも外方に上記シート状容器の端部が突出してなるシート端部が形成されており、
上記保持枠は、その四方の枠部のうちの少なくとも互いに対向する枠部の内側部分に、上記シート端部を差し込む差込凹部を上記積層方向に複数隣接して形成してなると共に、四方の枠部のうちの少なくとも互いに対向する枠部の内側部分に、上記複数枚のラミネート電池における上記電池本体の板面方向における四方の角部の位置決めを行う位置決め突起部を上記積層方向に複数隣接して設けてなることを特徴とするラミネート電池構造体にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明のラミネート電池構造体においては、積層した複数枚のラミネート電池を保持する保持枠の形状に工夫をしている。
具体的には、本発明の保持枠は、四方の枠部のうちの少なくとも互いに対向する枠部の内側部分に、ラミネート電池のシート端部を差し込む差込凹部を積層方向に複数隣接して形成してなる。これにより、複数枚のラミネート電池は、シート端部を差込凹部に差し込むことによって、互いに積層した状態で安定して保持枠に保持される。
また、保持枠は、四方の枠部のうちの少なくとも互いに対向する枠部の内側部分に、複数枚のラミネート電池における電池本体の板面方向における四方の角部の位置決めを行う位置決め突起部を積層方向に複数隣接して設けてなる。これにより、複数枚のラミネート電池は、その電池本体の四方の角部を位置決め突起部によって支持することによって、互いに積層した状態で特に電極の引出方向及びこれに直交する方向の位置が固定される。
それ故、本発明のラミネート電池構造体によれば、複数枚のラミネート電池を、位置を固定して安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例における、ラミネート電池構造体を示す斜視図。
【図2】実施例における、ラミネート電池構造体を示す正面図。
【図3】実施例における、保持枠を複数積層した状態のラミネート電池構造体を示す平面図。
【図4】実施例における、ラミネート電池のシート状容器における電極の引出端部を拡大して示す断面説明図。
【図5】実施例における、ラミネート電池構造体の保持枠における第2枠部を拡大して示す図で、図2におけるA−A線矢視断面説明図。
【図6】実施例における、ラミネート電池構造体の保持枠における第2枠部を拡大して示す図で、図2におけるB−B線矢視断面説明図。
【図7】実施例における、ラミネート電池のシート状容器における引出方向のシート端部を拡大して示す断面説明図。
【図8】実施例における、ラミネート電池のシート状容器における左右方向のシート端部を拡大して示す断面説明図。
【図9】実施例における、保持枠における枠部に設けた嵌合部の周辺を拡大して示す断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述した本発明のラミネート電池構造体における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記電極は、上記ラミネート電池の一方の側部と他方の側部とから引き出されており、上記一方の側部から引き出されたすべての電極は、互いに平行な状態で一方側の連結バスバーの対面部と対面して連結されており、上記他方の側部から引き出されたすべての電極は、互いに平行な状態で他方側の連結バスバーの対面部と対面して連結されており、上記各連結バスバーに冷却フィンの機能を持たせることができる(請求項2)。
この場合には、複数枚のラミネート電池を、容易に電気的に並列接続することができると共に、連結バスバーによって連結した状態であっても、発熱し易い電極を冷却し易くすることができる。
【0011】
また、上記保持枠は、上記積層方向に複数積層してあり、上記保持枠における上記積層方向の一方側端面には、該保持枠に隣接する保持枠との絶縁性を確保するための絶縁板部が、上記電極に対する上記積層方向に対向して設けてあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、いずれかの保持枠における複数枚のラミネート電池と、この保持枠に隣接する保持枠における複数枚のラミネート電池とを、電気的に直列接続する際に、絶縁板部によって互いに接続しない部分同士の絶縁性を確保することができる。
【0012】
また、上記保持枠は、別々に形成した4つの枠部を当該保持枠に設けた嵌合部同士の嵌め合いによって組み立ててあり、上記4つの枠部は、上記電極の引出方向に位置する一対の第1枠部と、残りの一対の第2枠部とからなり、上記位置決め突起部は、上記一対の第2枠部の内側部分における上記引出方向の両側に設けてあり、上記位置決め突起部によって上記ラミネート電池における上記電池本体の上記引出方向の側部をガイドすると共に、上記一対の第2枠部の内側端によって上記ラミネート電池における上記電池本体の残りの側部をガイドするよう構成することができる(請求項4)。
この場合には、4つの枠部をビス等の固定具を用いることなく簡単に組み立てることができる。そのため、保持枠の組付が容易である。
また、位置決め突起部と一対の第2枠部の内側端とによって、複数枚のラミネート電池の位置決めを一層容易に行うことができる。
【0013】
また、上記ラミネート電池構造体は、車載用のものとすることができる(請求項5)。
この場合には、保持枠によって各ラミネート電池を安定して保持することにより、車における振動等から各ラミネート電池を保護することができる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明のラミネート電池構造体にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例のラミネート電池構造体1は、図1〜図4に示すごとく、可撓性のシート状容器31内に平板状の電池本体32が収容され、電池本体32から一対のシート状の電極33A、33Bがシート状容器31の外部に引き出されてなるラミネート電池(ラミネートセル)3を積層方向Dに複数枚積層してなる。複数枚積層したラミネート電池3は、その四方の側部を保持する保持枠2内に保持されている。各ラミネート電池3の四方の側部には、電池本体32よりも外方にシート状容器31が突出してなるシート端部310が形成されている。保持枠2は、四方の枠部21、22のうちの互いに対向する枠部22の内側部分に、シート端部310を差し込む差込凹部222を積層方向Dに複数隣接して形成してなると共に、四方の枠部21、22のうちの互いに対向する枠部22の内側部分に、複数枚のラミネート電池3における電池本体32の板面方向における四方の角部321の位置決めを行う位置決め突起部223を積層方向Dに複数隣接して設けてなる。
【0015】
以下に、本例のラミネート電池構造体1につき、図1〜図9を参照して詳説する。
本例において、引出方向Hとは、ラミネート電池3における電極33A、33Bを引き出す方向のことをいい、左右方向Wとは、ラミネート電池3の面方向において引出方向Hに直交する方向のことをいう。また、積層方向Dとは、複数枚のラミネート電池3を積層する方向のことをいう。
本例のラミネート電池構造体1は、車載用バッテリーを構成する。
図7、図8に示すごとく、本例のシート状容器31は、電池本体32を収容する袋形状に形成されている。シート状容器31は、内側が絶縁樹脂312によって被覆された一対のアルミニウムシート(アルミラミネートフィルム)311を用いて形成されている。本例の一対の電極33A、33Bは、ラミネート電池3の一方の側部から引き出したプラス電極33Aと、ラミネート電池3の他方の側部から引き出したマイナス電極33Bとからなる。
【0016】
図7に示すごとく、シート状容器31の上下方向(電極33A、33Bの引出方向H)のシート端部310は、一対のアルミニウムシート311の各絶縁樹脂312と、プラス電極33A及びマイナス電極33Bの表面に施工した各絶縁樹脂331とを溶着させて形成してある。図8に示すごとく、シート状容器31の左右方向W(電極33A、33Bの引出方向Hに直交する横方向)のシート端部310は、一対のアルミニウムシート311の互いに対面する絶縁樹脂312同士を溶着させて形成する、又は連続するアルミニウムシート311から形成してある。
また、ラミネート電池3の内部においては、電池本体32を配置した隙間30に電解液が入れられている。本例のラミネート電池3は、リチウム系の電池である。
【0017】
図7、図8に示すごとく、本例のラミネート電池3は、板形状の電池本体32を、一対のアルミニウムシート311によって両面から包み込み、電池本体32における一方の側部に設けたシート状のプラス電極33Aと、電池本体32における他方の側部に設けたシート状のマイナス電極33Bとを、一対のアルミニウムシート311の端部同士の間から引き出して形成されている。
シート状容器31のシート端部310は、シート状容器31において各電極33A、33Bを引き出した引出方向Hの両側と、左右方向Wの両側とに形成されている。
【0018】
図4に示すごとく、本例のプラス電極33Aのすべてとマイナス電極33Bのすべてとは、いずれもラミネート電池3の面方向に平行に引き出されている。積層方向Dに重なって面方向に平行に引き出されたすべてのプラス電極33A同士は、一方側の連結バスバー4によって挟み込まれた状態で結合され、面方向に平行に引き出されたすべてのマイナス電極33B同士も、他方側の連結バスバー4によって挟み込まれた状態で結合されている。
各連結バスバー4においては、板金を切り開いて各電極33A(33B)に対面する対面部41が形成されている。また、すべてのプラス電極33Aは、互いに平行な状態で一方側の連結バスバー4の対面部41と対面して連結されており、すべてのマイナス電極33Bは、互いに平行な状態で他方側の連結バスバー4の対面部41と対面して連結されている。各連結バスバー4により、複数枚のラミネート電池3を、容易に電気的に並列接続することができる。
【0019】
また、連結バスバー4によって各電極33A(33B)を連結する際には、連結バスバー4の対面部41との間に電極33A(33B)を挟持するためのスペーサ42を用いる。このスペーサ42は、連結バスバー4と別体に形成することができ、一体に形成することもできる。
そして、各電極33A(33B)は、各連結バスバー4の対面部41とスペーサ42との間に両面から挟持されて連結されている。また、本例においては、電極33A(33B)、連結バスバー4、スペーサ42に設けた貫通穴内にボルト51を挿通し、ボルト51とナット52とによって電極33A(33B)、連結バスバー4、スペーサ42を締め付けて、各電極33A(33B)を電気的に一体化することができる。なお、各連結バスバー4は、板金を折り曲げて波形状に形成することもできる。
【0020】
図1、図2に示すごとく、本例の保持枠2は、別々に形成した4つの枠部21、22を保持枠2に設けた嵌合部25同士の嵌め合いによって、四角枠形状に組み立ててある。4つの枠部21、22は、電極33A、33Bの引出方向Hに位置する一対の第1枠部21と、残りの一対の第2枠部22とからなる。第1枠部21は、ラミネート電池3においてプラス電極33A又はマイナス電極33Bを引き出した側に位置し、第2枠部22は、第1枠部21に直交する側に位置している。
本例の一対の第1枠部21は部品が共通化されており、一対の第2枠部22も部品が共通化されている。
【0021】
図6に示すごとく、本例の保持枠2における差込凹部222は、第2枠部22の内側部分において、積層方向Dに複数隣接して形成してある。図1、図2に示すごとく、本例の保持枠2における位置決め突起部223は、一対の第2枠部22の内側部分における引出方向Hの両側に設けてある。この位置決め突起部223によって、ラミネート電池3における電池本体32の引出方向Hの側部がガイドされ、一対の第2枠部22の内側端225によって、ラミネート電池3における電池本体32の残りの側部がガイドされている。
【0022】
図4に示すごとく、本例のシート状容器31は、電池本体32を収容する部分に対する引出方向Hの外側位置に、電極33A、33Bとの間に隙間を形成して、電池本体32を収容する部分の厚みよりも縮小した補助部分34を有している。
また、一対の第1枠部21には、複数枚のラミネート電池3における電極33A(33B)を差し込んで配置するための差込穴213が形成されている。
【0023】
図2に示すごとく、本例の位置決め突起部223は、電池本体32の角部321に隣接して、ラミネート電池3のシート状容器31における補助部分34に対向して形成されている。
図5に示すごとく、位置決め突起部223における積層方向Dの内側部分には、シート状容器31の補助部分34をガイドするガイド凹部224が、ラミネート電池3の配設数と同じ数だけ形成されている。位置決め突起部223は、シート状容器31の補助部分34をガイドしつつ、ラミネート電池3が引出方向Hに位置ずれしないようにガイドすることができる。
【0024】
図1、図2に示すごとく、保持枠2における引出方向Hの端部には、ラミネート電池3の電極33A、33Bを突出させるための配置凹部23が形成されている。保持枠2における左右方向Wの両側には、引出方向Hに突出して配置凹部23を形成する突出部24が形成されている。第1枠部21は、左右方向Wに形成した枠部分と、左右方向Wの両端部に形成した係合部分211とによって配置凹部23を形成している。第2枠部22は、第1枠部21の係合部分211を係合する被係合部分221を有している。突出部24は、第1枠部21の係合部分211と第2枠部22の被係合部分221とによって形成されている。
【0025】
図9に示すごとく、第1枠部21に設けた嵌合部25は、弾性変形爪251によって形成されており、第2枠部22に設けた嵌合部25は、弾性変形爪251を係止させる係止穴252によって形成されている。弾性変形爪251は、第1枠部21の係合部分211から内側へ突出して形成されており、係止穴252は、第2枠部22の被係合部分221に形成されている。なお、弾性変形爪251を第2枠部22に形成し、係止穴252を第1枠部21に形成することもできる。
【0026】
図1に示すごとく、本例の各連結バスバー4には、冷却フィンの機能を持たせており、連結バスバー4を介して高温に加熱され易い電極33A、33Bを冷却することができる。
より具体的には、第1枠部21における配置凹部23内には、各ラミネート電池3の電極33A、33B及び連結バスバー4が配置されており、各第2枠部22の突出部24(第1枠部21の係合部分211及び第2枠部22の被係合部分221)には、左右方向Wへ貫通する貫通口241が形成されている。この貫通口241は、保持枠2における上下左右の4箇所の突出部24に形成されている。そして、左右方向Wの一方の貫通口241から配置凹部23内へ冷却風Aを導入し、この冷却風Aによって連結バスバー4を介して電極33A、33Bを冷却した後、この冷却後の冷却風Aを左右方向Wの他方の貫通口241から排出することができる。
【0027】
また、図1、図4に示すごとく、本例の保持枠2には、引出方向Hのシート端部310及び電極33A、33Bの基端部分に対して冷却風Aを流して、電極33A、33Bを冷却する冷却通路26が形成されている。この冷却通路26は、保持枠2の上下の位置において、配置凹部23に対する引出方向Hの内側位置に左右方向Wに貫通して形成されており、ラミネート電池3の左右方向Wに沿って冷却風Aを通過させるよう形成されている。冷却通路26は、ラミネート電池3によって複数に仕切られた部分に冷却風Aを通過させることができる。
また、冷却通路26には、シート状容器31において電極33A、33Bを引き出したシート端部310からガスが漏洩した場合に、このガスを通過させることもできる。また、冷却通路26には、保持枠2の差込凹部222等における隙間を介して、シート状容器31の左右のシート端部310も連通されている。これにより、シート状容器31における四方のシート端部310から漏洩したガスを冷却通路26へ回収できるようになっている。
【0028】
図3に示すごとく、本例のラミネート電池構造体1は、接続電池組11(図5、図6参照)を構成する複数枚のラミネート電池3を保持する保持枠2を複数積層配置し、接続電池組11を構成する複数枚のラミネート電池3同士を、電気的に直列接続するよう構成されている。つまり、本例のラミネート電池構造体1においては、各接続電池組11を構成する複数枚のラミネート電池3は電気的に並列に接続され、各接続電池組11同士は電気的に直列に接続される。
【0029】
より具体的には、一方の接続電池組11における連結バスバー4と、他方の接続電池組11における連結バスバー4とが隣り合うよう並ぶ状態で、保持枠2同士を積層する。そして、一方の保持枠2の接続電池組11における連結バスバー4と、他方の保持枠2の接続電池組11における連結バスバー4とを外付バスバー61によって接続して、2つの接続電池組11を電気的に直列接続する。接続電池組11は、任意の数だけ積層し、各保持枠2における左右の側枠部22に設けた凹部226(図2参照)に締付部材を配置して、この締付部材によって一体化することができる。
外付バスバー61は、各電極33A、33Bを配置したラミネート電池構造体1の引出方向Hの一方側と他方側とにおいて互いに隣接する接続電池組11を交互に接続している。外付バスバー61が表側に現れていない接続電池組11同士の間は、裏側において外付バスバー61によって接続されている。
【0030】
また、図3に示すごとく、本例のラミネート電池構造体1は、複数枚のラミネート電池3を保持する保持枠2を複数個積層し、複数個積層された保持枠2に対する積層方向Dの両側から、導通性のプレート端子部201を設けた絶縁性エンドプレート20をそれぞれ積層して構成されている。複数個の保持枠2は、絶縁性エンドプレート20同士の間に締付部材を掛け渡して、積層保持枠組12として組み付けられている。積層保持枠組12において一方の端部に積層された保持枠2である端部保持枠2Aにおける連結バスバー4と、端部保持枠2Aに隣接する絶縁性エンドプレート20におけるプレート端子部201とは外付バスバー61によって接続されている。積層保持枠組12は、外付バスバー61を接続したプレート端子部201からワイヤーハーネスによって外部と電気的に接続される。
【0031】
また、図4に示すごとく、保持枠2は、複数枚のラミネート電池3の積層方向Dと同じ方向に複数積層してあり、各保持枠2における積層方向Dの一方側端面には、この各保持枠2に隣接する保持枠2との絶縁性を確保するための絶縁板部28が、電極33A、33Bに対する積層方向Dに対向して設けてある。
互いに隣接する保持枠2においては、一方の保持枠2に設けた絶縁板部28によって、一方の保持枠2におけるプラス電極33Aと、この保持枠2に隣接する他方の保持枠2におけるマイナス電極33Bとの絶縁性を確保することができる。この絶縁性は、外付バスバー61によって接続しない連結バスバー4同士の間で確保することができる。
絶縁板部28は、保持枠2の第1枠部21において、左右の係合部分211に掛け渡して形成されている。また、各保持枠2の第1枠部21における配置凹部23の他方側端面は、開放されている。
【0032】
図1、図2、図5に示すごとく、各保持枠2には、互いに積層配置する際の位置決めを行うための突起271とこの突起271を配置する凹部272とが、積層方向Dの一方側端面と他方側端面とに形成されている。そして、各保持枠2は、突起271と凹部272との位置決めによって、互いに平行に積層される。
【0033】
図6に示したように、本例の保持枠2においては、一対の第2枠部22の内側部分に、ラミネート電池3のシート端部310を差し込む差込凹部222が、ラミネート電池3の積層数と同じ数だけ積層方向Dに隣接して形成してある。
また、図5に示したように、保持枠2においては、一対の第2枠部22の内側部分に、複数枚のラミネート電池3における電池本体32の板面方向における四方の角部321の位置決めを行う位置決め突起部223が積層方向Dに複数隣接して設けてある。さらに、一対の第2枠部22の内側部分に設けた位置決め突起部223には、ラミネート電池3の補助部分34をガイドするガイド凹部224が、ラミネート電池3の積層数と同じ数だけ積層方向Dに隣接して形成してある。
【0034】
これにより、複数枚のラミネート電池3は、シート状容器31の左右の側部におけるシート端部310を差込凹部222に差し込み、かつシート状容器31の補助部分34をガイド凹部224に差し込んで、保持枠2に対して安定して保持することができる。また、複数枚のラミネート電池3は、位置決め突起部223によって引出方向Hの位置決めがなされると共に、一対の第2枠部22の内側端225によって左右方向Wの位置決めがなされる。そして、各ラミネート電池3は、その四方の角部321を位置決め突起部223によって支持することによって、互いに積層した状態で特に電極33A、33Bの引出方向H及びこれに直交する方向の位置が固定される。
それ故、本例のラミネート電池構造体1によれば、複数枚のラミネート電池3を、位置を固定して安定して保持することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ラミネート電池構造体
11 接続電池組
2 保持枠
21 第1枠部
22 第2枠部
222 差込凹部
223 位置決め突起部
225 内側端
25 嵌合部
3 ラミネート電池
31 シート状容器
310 シート端部
32 電池本体
321 角部
33A、33B 電極
34 補助部分
4 連結バスバー
A 冷却風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のシート状容器内に平板状の電池本体が収容され、該電池本体から一対のシート状の電極が上記シート状容器の外部に引き出されてなるラミネート電池を積層方向に複数枚積層してなり、
該複数枚積層したラミネート電池は、樹脂製の保持枠内に保持されており、
上記各ラミネート電池の四方の側部には、上記電池本体よりも外方に上記シート状容器の端部が突出してなるシート端部が形成されており、
上記保持枠は、その四方の枠部のうちの少なくとも互いに対向する枠部の内側部分に、上記シート端部を差し込む差込凹部を上記積層方向に複数隣接して形成してなると共に、四方の枠部のうちの少なくとも互いに対向する枠部の内側部分に、上記複数枚のラミネート電池における上記電池本体の板面方向における四方の角部の位置決めを行う位置決め突起部を上記積層方向に複数隣接して設けてなることを特徴とするラミネート電池構造体。
【請求項2】
請求項1に記載のラミネート電池構造体において、上記電極は、上記ラミネート電池の一方の側部と他方の側部とから引き出されており、
上記一方の側部から引き出されたすべての電極は、互いに平行な状態で一方側の連結バスバーの対面部と対面して連結されており、上記他方の側部から引き出されたすべての電極は、互いに平行な状態で他方側の連結バスバーの対面部と対面して連結されており、
上記各連結バスバーに冷却フィンの機能を持たせたことを特徴とするラミネート電池構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラミネート電池構造体において、上記保持枠は、上記積層方向に複数積層してあり、
上記保持枠における上記積層方向の一方側端面には、該保持枠に隣接する保持枠との絶縁性を確保するための絶縁板部が、上記電極に対する上記積層方向に対向して設けてあることを特徴とするラミネート電池構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のラミネート電池構造体において、上記保持枠は、別々に形成した4つの枠部を当該保持枠に設けた嵌合部同士の嵌め合いによって組み立ててあり、
上記4つの枠部は、上記電極の引出方向に位置する一対の第1枠部と、残りの一対の第2枠部とからなり、
上記位置決め突起部は、上記一対の第2枠部の内側部分における上記引出方向の両側に設けてあり、
上記位置決め突起部によって上記ラミネート電池における上記電池本体の上記引出方向の側部をガイドすると共に、上記一対の第2枠部の内側端によって上記ラミネート電池における上記電池本体の残りの側部をガイドするよう構成したことを特徴とするラミネート電池構造体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のラミネート電池構造体において、該ラミネート電池構造体は、車載用のものであることを特徴とするラミネート電池構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−171245(P2011−171245A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36253(P2010−36253)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】