説明

ラモトリジンの改良製剤

環境のpHと関係なくGI管全体で著しく類似した放出速度を示す、ラモトリジン(lamothgine)の1日1回投与の持続放出製剤を提供する。本製剤は、ラモトリジン、有機酸、放出促進ポリマー及び放出制御ポリマーを含む。神経学的障害を治療する製剤の使用も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2007年7月18日に出願された、米国特許出願第11/779,562号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ラモトリジン(化学名3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−as−トリアジン)は、フェニルトリアジン類の抗てんかん薬である。この薬物は典型的には、成人患者及び小児患者(すなわち、2歳以上の子ども)の双方における、部分発作並びに原発性及び続発性の全身性強直間代発作に対して、単独療法及び他の抗てんかん剤との併用治療の両方で使用される。ラモトリジンはまた、レノックス・ガストー症候群に伴う発作への適応があると共に、双極I型障害の維持治療としての適応があり、標準療法で急性の気分エピソードを治療した患者における気分エピソード(例えば、鬱、躁、軽躁、混合エピソード)の発症までの時間を遅延させる。
【0003】
ラモトリジンは現在、グラクソスミスクラインからLamictal(商標)という商品名で各種強度の即時放出(「IR」)錠剤並びに咀嚼可能な分散性錠剤として入手可能である。本形態において、ラモトリジンは、経口投与後迅速に吸収され、初回通過代謝を無視することができる(絶対的バイオアベイラビリティが98%である)。ラモトリジンは主としてグルクロン酸抱合によって代謝され、ラモトリジンの主要代謝産物は不活性な2−N−グルクロニド抱合体である。しかしながら、ラモトリジンのIR製剤は、血中薬物濃度の急上昇及び/又は曝露レベルに伴う副作用を引き起こす。
【0004】
ラモトリジンの「調節」放出剤形(すなわち、持続放出等、IR以外の剤形)は、即時放出剤形に伴う副作用のうちの少なくとも幾らかを緩和することができる。ラモトリジンは、pHが上昇するにつれて溶解度が低減するため、薬物の「調節」放出剤形の開発は難しいものとなっている。薬物の放出速度がpHによって著しく変動すると、in vivoでの薬物の剤形の性能が、消化管の状態及び消化管の種々の区域における剤形の滞留時間によって影響を受ける。ラモトリジン等の薬物の放出を改善するために、製剤においてクエン酸等の酸性化剤を使用することが一般常識となっている。しかしながら、このアプローチによっては、pHが6.8以上の緩衝液媒体中でラモトリジンの放出を促進することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、環境のpHとは関係なくGI管全体で著しく類似した放出速度を示す、ラモトリジン製剤が必要とされている。製剤は、ラモトリジンの持続放出製剤、特に、1日1回投与に好適なラモトリジンの持続放出製剤であることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一部、ラモトリジンと放出均等化組成物とを混合した医薬製剤を提供することによって、上述の必要性の幾つかに対処するものである。一実施の形態において、かかる組成物は、放出促進ポリマー及び有機酸の組合せを含む。
【0007】
本発明の別の実施の形態において、ラモトリジン製剤は持続放出製剤である。ラモトリジンの持続放出は、放出制御ポリマーを製剤中に含有させることによって実現することができる。得られる製剤は、環境のpHとは関係なくGI管全体で著しく類似した放出速度を示す。ラモトリジンの持続放出製剤は、1日1回投与に好適であり得、種々の剤形、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、カプレット、トローチ、サッシェ、カシェ、パウチ及びスプリンクルが採用される。
【0008】
さらに、哺乳動物被験体における神経学的障害を治療する方法であって、本発明の対象である任意のラモトリジン製剤を該被験体に投与することを含む、方法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ラモトリジンのpH溶解度プロファイルを示す図である。
【図2】選択された賦形剤の存在下でのラモトリジンの溶解度を示す図である。
【図3】酸(pH1.1)溶出媒体中及びリン酸緩衝液(pH6.8)溶出媒体中での対照ラモトリジンIRペレット(製剤B)の溶出プロファイルを示す図である。
【図4】クエン酸を含有するがEudragit L100−55を含有しないラモトリジンIRペレット(製剤A)の溶出プロファイルを示す図である。
【図5】酸(pH1.1)溶出媒体中、リン酸緩衝液(pH6.8)溶出媒体中、及び媒体変更した(最初の2時間は酸媒体(pH1.1)中で溶出を行った後、リン酸緩衝液(pH6.8)に変更して2時間〜20時間溶出を行った)場合の(腸溶性ポリマー及び有機酸を含有する)本発明の一実施形態に係るラモトリジン持続放出錠剤(製剤C)の溶出プロファイルを示す図である。
【図6】リン酸緩衝液媒体中での3つの例示的なラモトリジン持続放出(CR−F、CR−M及びCR−S)プロトタイプの放出プロファイルを示す図である。
【図7】図6に溶出プロファイルを示す3つの例示的なプロトタイプ(ラモトリジンCR−F、CR−M及びCR−S)のヒトでのPKプロファイルを示す図である。
【図8】3つの例示的なプロトタイプ(ラモトリジンCR−F、CR−M及びCR−S)のコンピュータによる定常状態のPKプロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ラモトリジンの溶解度はpHに依存する。図1は、ラモトリジンがpH1.2ではpH7.4でのおよそ20倍可溶であることを示し、図2は、薬物の溶解度に対する賦形剤の効果を示す。要約すると、これらの2つの図から、医薬製剤からのラモトリジンの放出速度が、pHによって決まるか、又は依存することが示唆される。それゆえ、in vivoでのラモトリジン製剤の「性能」(すなわち、放出速度)は、pHが異なるGI管の区域に沿った製剤の位置及びそれらの区域における製剤の滞留時間に応じて変動する可能性が高い。本発明の製剤は、放出及び性能のばらつきを最小化する。
【0011】
本明細書において、別段明示しない限り、薬物の「放出の速度」又は「放出速度」とは、単位時間当たりに剤形から放出される薬物の量、例えば、1時間当たりに放出される薬物のmg(mg/時間)又は1時間当たりに放出される合計薬用量の割合を指す。剤形の薬物放出速度は、典型的には、in vitroでの薬物放出の速度、すなわち、適切な条件下、好適な液体中で測定される、単位時間当たりに剤形から放出される薬物の量として測定される。
【0012】
本発明者らは、意外なことに、ラモトリジンと、放出促進ポリマー及び有機酸の組合せを含む「放出均等化」組成物とを混合することにより、(等価な用量のIR製剤と比較して)溶解度が向上し、溶出が向上し、且つ環境のpHとは関係なく消化管(「GI」)全体で著しく類似した放出速度を示すラモトリジン製剤が得られることを見出した。本明細書における「放出均等化」組成物とは、「GI」管全体で著しく類似した放出速度を示す組成物である。本発明において、「著しく類似した放出速度」という用語は、低pHでのプロファイルと高pHでのプロファイルとの間の類似性因子fが少なくとも50であることを意味する(「業界向けガイダンス:即時放出固体経口剤形の溶出試験(Guidance for Industry: Dissolution testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms)」、米国保健社会福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)医薬品評価研究センター(Center for Drug Evaluation and Research)(CDER)、1997年8月、fの定義を参照されたい)。類似性因子(f)は、誤差平方和の対数逆数平方根変換値であり、二曲線間の溶出パーセント(%)の類似性の指標である:
=50Clog{[1+(1/n)3(R−T)]C100}
【0013】
本発明の放出均等化組成物は、薬学的に許容される有機酸、及び放出促進ポリマーを含む。任意の薬学的に許容される有機酸並びにかかる酸の組合せが、本発明の実施に際して使用され得る。何ら限定するものではないが、好適な酸は、クエン酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸及びマレイン酸である可能性があり、中でもフマル及びクエン酸が好ましい。酸は、放出均等化製剤中に、1重量%〜20重量%の量、好ましくは5重量%〜20重量%の量で含有され得る。
【0014】
放出促進ポリマーは、pH4.5以上で可溶な腸溶性ポリマーによって表すことができる。かかるポリマーとしては、限定するものではないが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、メチルアクリレート−メタクリル酸共重合体、及びメタクリレート−メタクリル酸−オクチルアクリレート共重合体が挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、Eudragit L100−55を放出促進ポリマーとして使用する。放出促進ポリマーは、放出均等化製剤中に、5重量%〜50重量%の量、好ましくは10重量%〜35重量%の量で含有され得る。
【0015】
図3は、酸(pH1.1)溶出媒体又はリン酸緩衝液(pH6.8)溶出媒体中での、放出均等化組成物を含まないラモトリジン製剤の溶出プロファイルを示す。予想されるように、プロファイルは、pHによって著しく変動する。
【0016】
図4は、放出促進腸溶性ポリマーを含まない放出均等化組成物におけるラモトリジンの溶出プロファイルを示す。酸(pH1.1)媒体中での溶出プロファイルとリン酸緩衝液(pH6.8)媒体中での溶出プロファイルとの間には有意差がある。一方、図5は、本発明によって教示される(すなわち、有機酸及び腸溶性ポリマーの両方を含有する)放出均等化製剤におけるラモトリジンの溶出プロファイルを示す。なお、本製剤からのラモトリジンの放出は、いずれの溶出媒体においても同様であり、本発明の製剤のpH非依存性を強調するものである。図5には、媒体変更(最初の2時間は酸(pH1.1)媒体中で溶出を行った後、媒体をリン酸緩衝液(pH6.8)に変更して溶出を行う)した同一製剤の溶出プロファイルも示す。プロファイルは、酸媒体及びリン酸緩衝液媒体中で得られたものと同様である。
【0017】
本発明のさらなる実施形態では、「放出制御」ポリマーを、本発明の製剤中にさらに包含させて、GI管全体で放出速度が著しく類似したラモトリジンの「持続放出」製剤を提供することができる。持続放出製剤(本明細書において、「制御放出」又は「CR」とも称する)は、少なくとも2時間に渡ってin vitroでその薬物の80%を放出する(T80)ものである。
【0018】
ラモトリジンの持続放出製剤は、放出制御ポリマー(複数可)が他の成分と放出均等化製剤(例えば、有機酸及び放出促進ポリマー)中に混合されてもよく、又はラモトリジン含有マトリクス上へのコーティングによって供給されてもよい。放出制御ポリマー、例えば、エチルセルロース、Eudragit RL、Eudragit RS、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)及びPVA−PEG共重合体を使用して、持続放出コーティングを形成することができる。
【0019】
本発明者らは、驚くべきことに、放出制御ポリマーを放出均等化組成中に含有させると、放出制御ポリマーが、放出の速度を制御するだけでなく、放出均等化組成物の有効性を相乗的に改善することも見出した。相乗性の程度は、以下に示す実施例2及び図6から分かるように、放出制御ポリマーの性質及び分子量によって決まる。
【0020】
かかる相乗作用に好適なポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、微結晶セルロース等の粉末セルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩及びエチルセルロース;アルギン酸塩、グァーガム及びキサンタンガム等のガム;Noveon Inc.(オハイオ州シンシナティ)から各種分子量グレードで入手可能なCarbomers(別名Carbopol(商標))等の架橋ポリアクリル酸誘導体;カラギーナン;ポリビニルピロリドン及びその誘導体、例えばクロスポビドン;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールから成る群から選択され得る。
【0021】
放出制御ポリマーは、製剤中に最大50重量%の量で含有させることができる。本発明の特定の実施形態において、放出制御ポリマーは、好ましくはPolyox(商標)類のポリエチレンオキサイドである。Polyox(商標)は、Dow Chemicalから入手可能な水溶性直鎖ポリエチレンオキサイドポリマーである。
【0022】
実施例2及び実施例3並びに図6から分かるように、本発明のラモトリジン組成物の放出プロファイルは、異なる分子量のポリエチレンオキサイドを利用して選択的に調整することができる。本発明によって提供されるこの調整性のレベルにより、治療の目標及び様相により適合したラモトリジンの持続放出製剤を開発することができる。
【0023】
IR製剤に対する持続放出製剤の利点は、IR体で投与した際の血中薬物濃度の急上昇に伴う副作用、例えば、眩暈、運動失調、傾眠、頭痛、複視、かすみ目、悪心、嘔吐、及び発疹のレベルが低減することである。副作用はほとんど知られておらず、治療及び患者側でのコンプライアンスが良好なものとなる。
【0024】
さらに別の実施形態において、本発明に係るラモトリジンの持続放出製剤は、定常状態の最高血漿中濃度(Cmax)がCminIR〜CmaxIRの110%の範囲にある薬物動態プロファイルを示す(ここで、CminIR及びCmaxIRはそれぞれ、1日2回投与と同一投与量のラモトリジンによって生じる最低血漿中濃度及び最高血漿中濃度である)。別の実施形態において、本発明に係るラモトリジンの持続放出製剤は、定常状態の相対AUCがAUCIRの80%〜125%の範囲にある薬物動態プロファイルを示す(ここで、AUCIRは、1日2回投与の即時放出製剤と同一投与量のラモトリジンによって生じる曲線下面積である)。
【0025】
本発明において、1日2回投与を、12時間毎に均等な用量で2回、同一量のラモトリジンを投与することと定義する。さらに、ここで、AUCを血漿中濃度−時間曲線下面積と定義する。このAUCは、体循環に到達する未代謝薬物の総量に正比例する。
【0026】
ラモトリジンの持続放出製剤は、1日1回投与用に設計することができるが、1日2回等の他の投与様式も可能である。本発明の製剤は、任意の固体経口剤形、例えば、限定するものではないが、錠剤、カプセル剤、カプレット、トローチ、サッシェ、カシェ、パウチ及びスプリンクル中に含有させることができる。剤形中のラモトリジンの量は、5mg〜500mgで変動し得る。
【0027】
本発明の製剤は、ラモトリジン治療の適応があるか又は望ましい哺乳動物被験体のすべての障害又は病態の治療又は予防に使用することができる。何ら限定されるものではないが、かかる障害は、てんかん、レノックス・ガストー症候群、及び躁鬱病を含む。
【0028】
本発明の製剤は、当該技術分野において既知の種々の方法によって調製することができ、例えば、充填剤、結合剤、滑沢剤その他、種々の標準的な医薬賦形剤を含む。
【実施例】
【0029】
実施例I.対照ラモトリジン即時放出(「IR」)ペレット
表1は、ラモトリジンIRペレットの2つの対照製剤(製剤A及び製剤B)の組成を示す。製剤A及び製剤Bは、KG−5高剪断造粒機(Key International、ニュージャージー州イングリッシュタウン)中で乾燥構成成分を混合して調製した。その後、顆粒をDG−L2ドーム造粒機(LCI Corporation、ノースカロライナ州シャーロット)を用いて押し出した。QJ−400Gスフェロナイザー(LCI Corporation、ノースカロライナ州シャーロット)を用いて押出物を球状化した。40℃のオーブン内で一晩、ペレットを乾燥させた。酸(pH1.1)媒体及びリン酸緩衝液(pH6.8)媒体中で溶出試験を行った。図3及び図4に溶出プロファイルを示す。どちらの製剤もpH依存性の放出プロファイルを示した。
【0030】
【表1】

【0031】
実施例II.本発明のラモトリジン錠剤組成物
表2は、本発明に係る製剤Cの組成を示す。Keyの高剪断造粒機を用い、造粒液としては水を用いて製剤を造粒した。薬物及び賦形剤をボールに加え、ブレード速度約260RPMで約1分間乾式混合した。合計112gの脱イオン水を加えて造粒した。このロットを、最終的な品温が50℃を超えないように流動床乾燥機(GPCG−1)内で乾燥させた。造粒の水分量を湿度計を用いて求めたところ、1.53重量%であることが判明した。乾燥顆粒を18メッシュの篩で篩別し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、回転式打錠機で錠剤化した。標的とする錠剤の重量及び硬さはそれぞれ、333mg及び8kp〜10kpであった。酸(pH1.1)中、リン酸緩衝液(pH6.8)中、及び媒体を変更する(溶出実施2時間の時点で溶出媒体を酸から緩衝液に変更する)場合の錠剤溶出を試験した。図5に溶出プロファイルを示す。
【0032】
【表2】

【0033】
実施例III.ラモトリジン持続放出(CR−F、CR−M及びCR−S)臨床バッチ
高速、中速及び低速の持続放出プロファイルを示す、本発明の3つのプロトタイプを製造した(それぞれ、ラモトリジンCR−F、CR−M及びCR−S)。表3に、これらのプロトタイプの組成を示す。これらのプロトタイプは、実施例IIに示したものと同様の加工工程に従って製造した。製品はヒトでの薬物動態(PK)試験に使用した。
【0034】
【表3】

【0035】
図6は、リン酸緩衝液媒体(pH6.8)におけるこれらのプロトタイプの溶出プロファイルを示す。
【0036】
実施例IV.ヒトでの予備的薬物動態試験及びコンピュータによるモデリング
ヒトでの予備的薬物動態試験を行い、1日1回投与する100mg用量の、3つの例示的なラモトリジン持続放出(CR−F、CR−M、CR−S)錠剤、及び1日2回投与する50mg用量の即時放出Lamictal(登録商標)錠剤(2×25mg錠剤)の、絶食条件下、合計日用量100mgでの薬物動態を評価した。
【0037】
【表4】

【0038】
3つの例示的な制御放出製品に関しては、血液試料(1×3ml)を、0時間、すなわち、投薬時(投薬前30分以内)並びに(治療A、治療B、及び治療Cでは)投薬から0.25時間後、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、16時間後、18時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後及び96時間に採取した。参照製品の採血時間は、0時間、すなわち、投薬時(投薬前30分以内)並びに1回目の投薬から0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、11.833時間後(2回目の投薬の10分前までに)、12.5時間後、13時間後、13.5時間後、14時間後、14.5時間後、15時間後、16時間後、17時間後、18時間後、20時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後及び96時間後であった。血漿試料は、LC−MS機器を用いて分析した。
【0039】
図7は、3つの持続放出製品及び参照製品に対する、血漿中ラモトリジン濃度対時間のプロファイルを示す。図8は、コンピュータによる定常状態の血漿中ラモトリジン濃度対時間のプロファイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラモトリジン又はその塩と、薬学的に許容される有機酸、及び放出促進ポリマーを含む放出均等化組成物とを混合した、ラモトリジンの医薬製剤であって、GI管全体で類似性因子が少なくとも50の著しく類似した放出の速度を示す、製剤。
【請求項2】
前記放出促進ポリマーが腸溶性ポリマーである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記腸溶性ポリマーがpH4.5以上で可溶である、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、メチルセルロースフタレート、エチルヒドロキシセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートアセテート、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、メチルアクリレート−メタクリル酸共重合体及びメタクリレート−メタクリル酸−オクチルアクリレート共重合体から成る群から選択される、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記腸溶性ポリマーがEudragit L100−55である、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
前記有機酸が、クエン酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸及びマレイン酸から成る群から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記有機酸がクエン酸又はフマル酸である、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
持続放出製剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤の定常状態の最高血漿中濃度(Cmax)が、CminIR〜CmaxIRの110%の範囲であり、CminIR及びCmaxIRはそれぞれ、1日2回投与(BID)の即時放出製剤と同一投与量のラモトリジンによって生じる最低血漿中濃度及び最高血漿中濃度である、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤の定常状態の相対AUCが、AUCIRの80%〜125%の範囲であり、AUCIRが、1日2回投与(BID)の即時放出製剤と同一投与量のラモトリジンによって生じる曲線下面積である、請求項8に記載の製剤。
【請求項11】
エチルセルロース、Eudragit RL、Eudragit RS、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)及びPVA−PEG共重合体から成る群から選択される放出制御ポリマーのコーティングをさらに含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項12】
前記放出均等化組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、粉末セルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩及びエチルセルロース;アルギン酸塩、グァーガム、キサンタンガム;架橋ポリアクリル酸誘導体;カラギーナン;ポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールから成る群から選択される放出制御ポリマーをさらに含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項13】
前記放出制御ポリマーがポリエチレンオキサイドである、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
ラモトリジン又はその塩を5mg〜500mg含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
有機酸を5重量%〜20重量%含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
放出促進ポリマーを5重量%〜50重量%含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
放出制御ポリマーを最大50重量%含む、請求項12に記載の製剤。
【請求項18】
1日1回投与に好適である、請求項8に記載の製剤。
【請求項19】
環境のpHとは関係なくGI管全体で類似性因子が少なくとも50の著しく類似した放出速度を示す、ラモトリジンの持続放出製剤であって、ラモトリジン又はその塩、放出均等化組成物及び放出制御ポリマーを含む、製剤。
【請求項20】
前記放出均等化組成物が、有機酸及び放出促進ポリマーを含み、且つラモトリジンと混合されてマトリクスを形成する、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
前記放出制御ポリマーが、前記マトリクス中に混合され、且つ放出の速度を制御すると共に前記有機酸及び前記放出促進ポリマーと相乗的に前記放出プロファイルを均等化するという二重の機能を有する、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
前記放出制御ポリマーが前記マトリクス上にコーティングされている、請求項20に記載の製剤。
【請求項23】
前記放出制御ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、粉末セルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩及びエチルセルロース;アルギン酸塩、グァーガム、キサンタンガム;架橋ポリアクリル酸誘導体;カラギーナン;ポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレンオキサイド;並びにポリビニルアルコールから成る群から選択される、請求項21に記載の製剤。
【請求項24】
前記放出制御ポリマーがポリエチレンオキサイドである、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
前記放出制御ポリマーが、エチルセルロース、Eudragit RL、Eudragit RS、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)及びPVA−PEG共重合体から成る群から選択される、請求項22に記載の製剤。
【請求項26】
GI管全体で類似性因子が少なくとも50の著しく類似した放出速度を示すラモトリジン製剤を含む、経口剤形。
【請求項27】
前記製剤が、互いに混合されてマトリクスを形成する、ラモトリジン又はその塩、薬学的に許容される有機酸、及び放出促進ポリマーを含む、請求項26に記載の剤形。
【請求項28】
前記製剤が持続放出製剤である、請求項27に記載の剤形。
【請求項29】
前記製剤が、放出制御ポリマーをさらに含む、請求項28に記載の剤形。
【請求項30】
前記放出制御ポリマーが、前記マトリクス中に混合され、且つ放出の速度を制御すると共に前記有機酸及び前記放出促進ポリマーと相乗的に放出プロファイルを均等化するという二重の機能を有する、請求項29に記載の剤形。
【請求項31】
前記放出制御ポリマーを前記マトリクス上にコーティングする、請求項29に記載の剤形。
【請求項32】
1日1回投与に好適である、請求項28に記載の経口剤形。
【請求項33】
錠剤、丸剤、カプセル剤、カプレット、トローチ、サッシェ、カシェ、パウチ及びスプリンクルから成る群から選択される、請求項26に記載の剤形。
【請求項34】
哺乳動物被験体における神経学的障害を治療する方法であって、環境のpHとは関係なくGI管全体で類似性因子が少なくとも50の著しく類似した放出速度を示すラモトリジン製剤を、該被験体に投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記神経学的障害が、てんかん、レノックス・ガストー症候群及び躁鬱病から成る群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記製剤が、互いに混合されてマトリクスを形成する、ラモトリジン又はその塩、薬学的に許容される有機酸、及び放出促進ポリマーを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記製剤が持続放出製剤である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記製剤が放出制御ポリマーをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記放出制御ポリマーが、前記マトリクス中に混合され、且つ放出の速度を制御すると共に前記有機酸及び前記放出促進ポリマーと相乗的に前記放出プロファイルを均等化するという二重の機能を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記放出制御ポリマーを前記マトリクス上にコーティングする、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記製剤を1日1回投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
環境のpHとは関係なくGI管全体で類似性因子が少なくとも50の著しく類似した放出速度を示すラモトリジンの持続放出製剤であって、互いに混合されてマトリクスを形成する、治療的有効量のラモトリジン又はその塩、フマル酸、Eudragit L100−55及びポリエチレンオキサイドを含む、製剤。
【請求項43】
1日1回投与する、請求項42に記載の製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−533711(P2010−533711A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516966(P2010−516966)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/074872
【国際公開番号】WO2009/011705
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(506339316)スパーナス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】