説明

ランドリモニタシステム

【課題】衣類等のモニタリング処理および折り畳み処理を連続して行いつつ不良品の衣類等を払い除けることで、処理効率を向上させたランドリモニタシステムを提供する。
【解決手段】システム制御部182は、ランドリモニタ10の不良品払出スイッチが押されたならば不良品の衣類等を汚染品であると代替して識別して識別データを出力し、折り畳み機20は、この識別データに基づいて、不良品の衣類等を汚染品バスケットに収容する、ようなランドリモニタシステム1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力発電所等の放射線管理区域内で作業した業務従事者が着用し、洗濯(除染)を完了した衣類等を、放射性物質による汚染状態によって分別するためのランドリモニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等の放射線管理区域(以下、本明細書中において管理区域と略称する)内で作業する業務従事者は、管理区域内での作業中に体の表面に放射性物質が付着することを防止するために、体表面をできる限り覆うための専用の服・帽子・手袋等(以下、本明細書中において衣類等という)を着用して管理区域内に入域する。この衣類等は入域中に放射性物質等によって汚染されているおそれがあるので、業務従事者は、管理区域から退域する際に、この衣類等を管理区域の所定位置で脱いで退域する。脱いだ衣類等は、洗濯により除染され、その後に放射性物質による汚染状態が検査されて、放射性物質による汚染状態が許容範囲内にあるものだけが回収され、再度の使用に供される。
【0003】
この洗濯後の衣類等の放射性物質による汚染状態を検査し、その結果に基づいて正常品の衣類等であるか汚染品の衣類等であるかを分別する装置がランドリモニタであり、ランドリモニタの分別結果に基づいて正常品の衣類等を折り畳んで正常品バスケットに回収し、汚染品の衣類等を折り畳むことなくそのままの状態で汚染品バスケットに回収する装置が折り畳み機である。これらランドリモニタおよび折り畳み機を総称して以下ランドリモニタシステムと略称する。
【0004】
このようなランドリモニタシステムに係る従来技術としては、例えば、特許文献1(特開2002−296352号公報,発明の名称:ランドリーモニタ用折畳み機)に記載のものが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−296352号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
衣類等に孔・傷があるような場合には、体の表面に放射性物質が付着するおそれが生じるため、最早使用が不可能である。また、衣類等にひどい汚損があるような場合も使用が好ましくない。これらのような状態の衣類等は不良品と判定されて廃棄される。不良品は今後使用しないため放射能汚染の有無も検出されない。このため、不良品は、通常ではランドリモニタシステムにより検査されることはない。
【0007】
しかしながら、業務従事者が衣類等が不良品であることを見過ごして洗濯し、ランドリモニタシステムにより検査されることがある。
ランドリモニタ内に衣類等を挿入している最中に検査員が目視等により衣類等が不良品であると判断したとき、検査員が作業服をコンベアの搬送方向と逆方向(自分側の方向)に引くとコンベアなどに負荷が掛かり装置の故障、作業服の断裂などを生じる場合がある。そこで、(1)そのまま通常搬送するか、または、(2)測定中断スイッチを押す、という処理を行うこととなる。しかしながら、(1),(2)の処理のいずれにも問題がある。
【0008】
(1)通常搬送する。
通常搬送するとランドリモニタにより不良品の衣類等に対して正常品か汚染品かが判定される検査工程が行われ、不良品ではあるが放射能汚染のない正常品である場合にはその後に折り畳み機による作業服の折りたたみ工程が行われる。折り畳み完了までかなりの時間を要するため、不良品の払い除けが完了するまで時間を要するという問題がある。
また、折り畳んだ不良品を払い除ける必要があるが、払い除けるのを忘れると次工程に不良品が正常品として搬送されるためこの点でも問題がある。
【0009】
(2)非常停止スイッチを押す。
非常停止スイッチを押すと、ランドリモニタおよび折り畳み機の両者が停止する。ランドリモニタ内にある衣類等は排出口から引っ張り出すことは容易であるが、折り畳み機内に停滞している衣類等は、特許文献1の図1で示す第1折りナイフで第1折り工程中、第2折りに搬送するコンベアに挟まれて停止中、または、第2折りナイフで第2折り工程中など様々な状態で停止することがある。衣類等を取り出すには、装置の各カバーを外して手動でコンベアを送ったり、ナイフを戻したりして、取り出しやすい位置まで衣類等を搬送してから手作業で取り出すので、かなりの時間を費やしてしまう。
【0010】
さらにまた、正常品の衣類等、および、汚染品の衣類等のおのおのの枚数を管理している場合は、不良品が正常品バスケットに回収された場合は取り除いて現状の枚数から1枚マイナスカウントする必要がある。また、不良品が汚染品バスケットに回収された場合も同様である。万が一業務従事者がマイナスカウントする処理を忘れた場合は、枚数誤差が生じるなどの問題が発生する。
【0011】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、衣類等のモニタリング処理および折り畳み処理を連続して行いつつ不良品の衣類等を払い除けることで、処理効率を向上させたランドリモニタシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明のランドリモニタシステムは、
原子力発電所等の放射性物質取扱施設内で作業した業務従事者が着用した衣類等を搬送部が搬送し、放射線検出部が衣類等の放射能汚染の有無を検出して検出データを出力するランドリモニタと、
ランドリモニタからの検出データに基づいて、放射能汚染がない正常品の衣類等であるか放射能汚染がある汚染品の衣類等であるかを識別するための識別データを出力するシステム制御部と、
システム制御部からの識別データに基づいて、ランドリモニタから搬送された正常品の衣類等を折り畳んで正常品バスケットに収容し、また、汚染品の衣類等をそのまま汚染品バスケットに収容する折り畳み機と、
を有するランドリモニタシステムであって、
ランドリモニタは、搬送部の搬入側付近に不良品を払い出すための不良品払出スイッチを備え、
システム制御部は、ランドリモニタの不良品払出スイッチが押されたならば不良品の衣類等を汚染品であると代替して識別して識別データを出力する出力手段として機能し、
折り畳み機は、この識別データに基づいて、不良品の衣類等を汚染品バスケットに収容する、
ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る発明のランドリモニタシステムは、
請求項1に記載のランドリモニタシステムにおいて、
前記ランドリモニタは、衣類等が本体内から排出されたことを検出する出口側のセンサを備え、
前記システム制御部の出力手段は、ランドリモニタの不良品払出スイッチが押され、かつ出口側のセンサが排出を検出したならばランドリモニタから排出された不良品の衣類等を汚染品であると代替して識別して識別データを出力する手段であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る発明のランドリモニタシステムは、
請求項1または請求項2に記載のランドリモニタシステムにおいて、
前記システム制御部は、
衣類等が正常品であると判断された場合に正常品カウントデータを1繰り上げ、また、衣類等の汚染品であると判断された場合に汚染品カウントデータを1繰り上げるよう管理する枚数管理手段と、
不良品払出スイッチが押された場合には正常品カウントデータおよび汚染品カウントデータを加増せずそのまま維持するキャンセル手段と、
として機能する。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明によれば、衣類等のモニタリング処理および折り畳み処理を連続して行いつつ不良品の衣類等を払い除けることで、処理効率を向上させたランドリモニタシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
続いて、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態のランドリモニタシステムを構成するランドリモニタおよび折り畳み機の内部構成図、図2はランドリモニタの外観を示す斜視図、図3は操作パネルの説明図、図4はランドリモニタの内部断面図である。なお、図1において中央の太い矢印は衣類等の移動経路を示している。また、図1において、各種のコンベアやナイフは実際には見えない部分にあるが、図を見やすくするために、これらを細い実線で示した。
【0017】
ランドリモニタシステム1は、図1で示すように、ランドリモニタ10および折り畳み機20を備える。
ランドリモニタ10は、図2で示すような外観を有し、また、図1,図4で示すように、放射性物質取扱施設で作業した業務従事者が着用した衣類等の一例である作業服30が、洗濯後(除染後)に本体内へ搬送され、その放射能汚染の有無を検査する装置である。
折り畳み機20は、図1で示すように、ランドリモニタ10の識別結果に基づいて正常品の作業服30を折り畳んで正常品バスケット270に回収し、また、汚染品である作業服30を折り畳むことなくそのままの状態で汚染品バスケット280に回収する装置である。
【0018】
続いてランドリモニタ10の詳細について説明する。
ランドリモニタ10は、外観上は図2で示すように、被検物である作業服30を搬送するための搬送部100と、装置を操作するためのスイッチ類や表示器等を備えた操作パネル110と、メンテナンス時に開けられるメンテナンス扉120と、「挿入可」表示灯130と、音声発生部140と、不図示の表示灯付き運用モード切換スイッチが収納される運用モードスイッチ収納部150と、プリンタ160と、非常停止スイッチ170と、が設けられている。
そして、ランドリモニタ10の内部構造では、図4で示すように、さらに制御駆動部181と、システム制御部182と、作業服30からの放射線を検出する放射線検出部190と、を備えている。なお、システム制御部182はランドリモニタ10内に設置されているが、ランドリモニタシステム1全体を制御するものとする。また、システム制御部182を折り畳み機20側に配置したり、別置きとするようにしても良い。
【0019】
このうち搬送部100は、不図示の駆動用モータやモータの動力を伝える駆動伝達ベルトと、駆動伝達ベルトに駆動される下側駆動ローラ101および上側駆動ローラ102と、これら下側駆動ローラ101および上側駆動ローラ102でそれぞれに駆動されるゴム製の下側ベルト103および上側ベルト104と、これらの下側ベルト103および上側ベルト104に適当な張力を付与する上下それぞれ不図示のテンションローラおよび不図示のテンション調節機構と、搬送される作業服30の位置を検知する入口側光電センサ105および出口側光電センサ106と、で構成されている。
【0020】
搬送部100では、下側駆動ローラ101と、下側駆動ローラ101に掛けられる下側ベルト103と、下側ベルト103が掛けられた複数の固定位置ローラ・テンションローラと、で下側のコンベアを構成している。この下側駆動ローラ101は、下側ベルト103が弛むことを避けるために、衣類等を搬送する部分の出口側に配置されて、下側ベルト103を引っ張っている。なお、作業服30が搬送される部分の下側ベルト103の下側には不図示の搬送部ガイド板が配備されている。
【0021】
また、搬送部100では、上側駆動ローラ102と、上側駆動ローラ102に掛けられる上側ベルト104と、上側ベルト104が掛けられた複数の固定位置ローラ・テンションローラと、で上側のコンベアを構成している。この上側駆動ローラ102は、上側ベルト104が弛むことを避けるために、衣類等を搬送する部分の出口側に配置されて、上側ベルト104を引っ張っている。
【0022】
入口側光電センサ105は、それぞれ投光器および受光器からなる。例えば上側が投光器で下側が受光器というものである。入口側光電センサ105は投光器と受光器との間の作業服30の有無を検出する。
出口側光電センサ106も同様に、それぞれ投光器および受光器からなる。例えば上側が投光器で下側が受光器というものである。出口側光電センサ106も投光器と受光器との間の作業服30の有無を検出する。
【0023】
操作パネル110は、図3で示すように、故障および異常が復旧した後に警報をリセットする警報リセットスイッチ、測定を開始させる測定開始スイッチ、測定を終了させる測定終了スイッチ、という操作部スイッチ111、不良品を払い出すための不良品払出スイッチ112、非常停止するための非常停止スイッチ113、機器の故障や異常等の各種情報を表示するLCDによる操作表示器114を備える。また、図示しないが測定した作業服30の枚数をカウントするカウンタをリセットするカウンタリセットスイッチ等も備えている。これらはいずれもシステム制御部182まで通信可能に接続される。後述するがシステム制御部182が信号処理等を一括管理するものである。
【0024】
メンテナンス扉120は、内部機構をメンテナンスするときに開けられる扉である。制御駆動部181・システム制御部182・放射線検出部190に直接作業することが可能となる。
「挿入可」表示灯130は、被検物たる作業服30の装置内部滞留等の異常がない場合に点灯される。
【0025】
音声発生部140は、報知部の一具体例であり、例えば、「ピンポン」という音を発生する。
運用モードスイッチ収納部150は、不図示の表示灯付き運用モード切換スイッチを収納しており、運用モードが、通常測定用の自動モード、線源を用いた放射線検出器の校正時等に適用される校正モード、またはメンテナンス時に適用される手動モードに切り替えられる。
【0026】
プリンタ160は、各種データを印刷する。
非常停止スイッチ170は、非常停止が必要なときに押下して搬送を停止させる。操作パネル110の非常停止スイッチ113と併用することができる。
制御駆動部181は、上記した搬送部100を駆動制御する。
システム制御部182は、制御駆動部181と、操作パネル110と、「挿入可」表示灯130と、音声発生部140と、不図示の表示灯付き運用モード切換スイッチと、プリンタ160と、非常停止スイッチ170と、放射線検出部190と、折り畳み機20が内蔵する不図示の制御部と、が接続されている。このシステム制御部182により後述するような随時制御や情報処理という一連の処理が行なわれる。
放射線検出部190は、プラスチックシンチレータ検出器191と、これを囲む鉛シールド192と、不図示の信号処理回路とで構成されている。
【0027】
続いて折り畳み機20について説明する。この折り畳み機20は、図1で示すように、搬入コンベア200、第1折りナイフ210、折り畳みコンベア220、第2折りナイフ230、第2折りコンベア240、スタッカコンベア250、バタフライ板260、正常品バスケット270、汚染品バスケット280、補助コンベア290を備える。
【0028】
このような折り畳み機20は、一連のコンベアからなる折りたたみ用コンベア装置と、衣類の中間部を折りたたみ用コンベア装置のコンベア間に送り込むための折りたたみ手段であるナイフ作動機構と、折りたたまれた正常衣類を管理区域の外の正常衣類収納部へ直接に搬出するための正常衣類搬出部と、で構成されている。
【0029】
折り畳み機20は、ランドリモニタ10から搬出された作業服30をその間に挟んで搬入する1対の搬入コンベア200と、搬入コンベア200から作業服30の前半部を受け取る補助コンベア290と、第1折りナイフ210によって搬入コンベア200の下面との間に作業服30の中間部が挿入されて作業服30を2つ折りにする折り畳みコンベア220と、第2折りナイフ230によって折り畳みコンベア220の下面との間に2つ折りされた作業服30の中間部が挿入されて作業服30を4つ折りにする第2折りコンベア240と、で構成されている。
【0030】
ナイフ作動機構は、さらに、作業服30を2つ折りにするための第1折りナイフ210を備え、この第1折りナイフ210を機械的に駆動する第1折りナイフ作動機構と、作業服30を4つ折りにするための第2折りナイフ230を備え、この第2折りナイフ230を機械的に駆動する第2折りナイフ作動機構と、で構成されている。
【0031】
正常衣類搬出部は、第2折りコンベア240の後半と、4つ折りされた作業服30をバタフライ板260の上部まで搬送するスタッカコンベア250と、搬送されてきた4つ折りの作業服30を下方の正常衣類収納部である正常品バスケット270に積み重ねて収容させる状態で落下させるためのバタフライ板260と、で構成されている。
【0032】
正常品バスケット270は、正常品であってナイフ動作機構により折り畳まれた作業服30を重ねて収容する。
汚染品バスケット280は、汚染品の作業服30を収容する。
【0033】
続いてランドリモニタシステム1の動作、つまりランドリモニタ10および折り畳み機20の一連の動作について説明する。まず、通常時の一連の動作について説明する。ランドリモニタ10は管理区域内に設置されているものとする。また、ランドリモニタ10は、「挿入可」表示灯130が点灯され、被検物たる作業服30の装置内滞留等の異常がない状態であるものとする。
【0034】
管理区域内で業務従事者に着用された作業服30は洗濯(除染)され、その後に、検査員がランドリモニタ10の搬入側(図1,図2,図4で示す左側の搬入口)の搬送部100の下側ベルト103の上に作業服30を載置するものとする。そして操作パネル110の測定開始ボタンを操作して搬送開始させると、システム制御部182は、音声発生部140に「ピンポン」という音を発生させる制御を行い、さらに制御駆動部181を介して搬送部100を駆動制御する。搬送部100は作業服30をランドリモニタ10内に搬送する。
【0035】
搬送された作業服30は、放射線検出部190で放射能汚染の有無を検査する。具体的には、その作業服30から放射される放射線量が上下のプラスチックシンチレータ検出器191によって計測され、放射線量を検出データとしてランドリモニタ10のシステム制御部182へ送信する。ランドリモニタ10のシステム制御部182は、検出データを用いて演算処理を行い、計測された放射線量が許容範囲内であれば、その作業服30は正常品であると判断して正常品カウントデータを1繰り上げ、また、許容範囲を超えるならば、その作業服30は汚染品と判断して汚染品カウントデータを1繰り上げるように管理する枚数管理手段として機能している。
【0036】
枚数の表示は、操作パネル110の操作表示器114に正常枚数XX枚、汚染枚数YY枚と表示する方法と、プリンタ160により正常枚数XX枚、汚染枚数YY枚と示す表を印刷する方法と、の2通りの表し方がある。検査結果や設定値等は表示された後、システム制御部182は、正常品か汚染品かを表す識別データを後段の折り畳み機20の不図示の制御部へ送信する出力手段として機能する。また、作業服30は後段の折り畳み機20へ搬送される。
【0037】
折り畳み機20の不図示の制御部は、ランドリモニタ10からの識別データに基づいて、管理区域内に設置されているランドリモニタ10から搬出された作業服30を正常品と汚染品とに分別して、上記の折りたたみ用コンベア装置、ナイフ作動機構、正常衣類搬出部を駆動制御して、正常品か汚染品かを仕分けることとなる。
【0038】
具体的には、ランドリモニタ10から折り畳み機20へ搬送された作業服30は、Aの位置から、折り畳み機20の一対の搬入コンベア200によって折り畳み機20内に搬入されてその上部へ急上昇していく。作業服30の搬入は、搬入コンベア200の搬入口近傍に設置された不図示の光電スイッチで検知され、その光電スイッチで搬入された衣類の長さが計測される。
【0039】
搬入された作業服30が正常品である場合には、その作業服30のほぼ半分が搬入コンベア200によって搬入されると、その作業服30の長さのほぼ半分が搬入コンベア200から補助コンベア290に移動した時点で、第1折りナイフ210が、不図示の第1折りナイフ作動機構によって矢印の方向に駆動されて、作業服30の中央部を搬入コンベア200と折り畳みコンベア220との間に押し込む。中央部を押し込まれた作業服30は、搬入コンベア200と折り畳みコンベア220との間に挟まれて右方へ送られて2つ折り(第1折り)の状態となる。
【0040】
続いて、2つ折りされた作業服30が折り畳みコンベア220からその長さのほぼ半分を垂れ下がらせた状態に至った時に、第2折りナイフ230が、不図示の第2折りナイフ作動機構によって矢印の方向に駆動されて、2つ折りされた作業服30の中央部を折り畳みコンベア220と第2折りコンベア240との間に押し込む。押し込まれた作業服30は、折り畳みコンベア220と第2折りコンベア240との間に挟まれて左方へ送られ、4つ折り(第2折り)の状態となる。4つ折りされた作業服30は、第2折りコンベア240及びスタッカコンベア250によって、閉じられたバタフライ板260の中央部に運ばれて静止する。作業服30が静止した状態で、バタフライ板260が下方へ開けられて、4つ折りされた作業服30は、正常品バスケット270内(矢印Bの方向)へ落下して、積み重ねて収納された状態となる。
【0041】
また、搬入された作業服30が汚染品である場合には、その作業服30は、正常品と同様に搬入コンベア200から補助コンベア290にその先端部が移されるが、その先端部が管理区域内にある内に、第1折りナイフ210によって作業服30の先端部を搬入コンベア200と折り畳みコンベア220との間に押し込まれ、搬入コンベア200と折り畳みコンベア220との間に挟まれて右方へ送られる。一方、作業服30の先端が折り畳みコンベア220の右側に下垂してくる前に、第2折りナイフ230が矢印の方向に駆動されて、折り畳みコンベア220の右端の下方に空間が空けられる。この状態で、汚染品の作業服30が、搬入コンベア200と折り畳みコンベア220との間に挟まれて右方に搬送され、折り畳みコンベア220の右端から下垂して、矢印C1の方向に落下し、汚染品バスケット280内に折り畳まれないで収納される。
【0042】
続いて、本発明の特徴をなす不良品発生時のランドリモニタシステム1の動作について説明する。測定物である作業服30を搬送部100に載置し、操作部スイッチ111の測定開始ボタンを押下するとランドリモニタ10が搬入開始する。そしてランドリモニタ10へ作業服30を搬入している途中で、検査員がランドリモニタ10内へ搬入されつつある作業服30が不良であると気づいたとき、検査員が操作パネル110にある不良品払出スイッチ112を押すと、システム制御部182へ信号が入力され、システム制御部182は、自らが受信したことを検査員が判るように1秒ほど不良品払出スイッチ112自らを点灯させて知らせるように制御する。このように不良品であることが判明したが、搬送はそのまま続いていく。
【0043】
ここに、操作部スイッチ111の測定開始ボタンを押下してから、作業服30が搬送部100の下側ベルト103および上側ベルト104の間を搬送されていき、さらに出口側光電センサ106が作業服30有りの状態の間に、不良品払出スイッチ112を押下すれば、不良品と設定することができる。そして出口側光電センサ106が作業服30なしの状態になったならば不良品の設定ができなくなるものとする。搬送が終了するまでは長期間にわたるため、設定できないという事態の発生を回避している。
【0044】
システム制御部182は、ランドリモニタ10の不良品払出スイッチ112が押され、かつ出口側光電センサ106が排出を検出したならばランドリモニタ10から排出された不良品の作業服30を汚染品であると代替して識別して識別データを出力する手段として機能する。折り畳み機20の不図示の制御部は、識別データに基づいて、ランドリモニタ10から搬送された不良品の作業服30を、折り畳み機20内では汚染品の作業服30として扱う。
【0045】
この際、システム制御部182は、ランドリモニタ10の不良品払出スイッチ112が押されたならば、上記の正常品カウントデータ、または、汚染品カウントデータを1繰り上げる枚数管理を行わず、正常品カウントデータや汚染品カウントデータを1加算せずそのまま維持するキャンセル手段として機能する。これにより、不良品を誤って汚染品や正常品として枚数を数えないようにしている。
【0046】
そして、折り畳み機20は、作業服30を汚染品(払出品)と認識し、折り畳みせずに汚染品バスケット280内に収納させる。検査員は汚染品バスケット280内の不良品の作業服30を回収することとなる。なお、汚染品の発生率は極めて低いため不良品が何枚も立て続けに発生することはなく(例えば100枚の作業服に対して汚染品が1枚発生する)、検査員が不良品払出スイッチ112を押下した時を基準として所定時間経過後(例えば2〜5分後)に汚染品バスケット280内に排出された作業服30を不良品であるものとして容易に判別できる。
【0047】
以上、本発明のランドリモニタシステムによれば、操作パネルを介して不良品である作業服の払い出しを行えるようにしたため、不良品払出スイッチを押すと不良品の作業服が汚染品として直接搬出される。したがって、従来のようにランドリモニタシステムを止める必要がなくなる。
【0048】
また、作業服の正常品、汚染品の各々の枚数を管理している場合に不良衣類の処理時は枚数のカウントアップしないように内部処理する。したがって、従来技術のように現状の枚数から1枚マイナスするなどの作業もなくなり、検査員が枚数を引くのを忘れることに起因する枚数誤差が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のランドリモニタシステムを構成するランドリモニタおよび折り畳み機の内部構成図である。
【図2】ランドリモニタの外観を示す斜視図である。
【図3】操作パネルの説明図である。
【図4】ランドリモニタの内部断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1:ランドリモニタシステム
10:ランドリモニタ
100:搬送部
101:下側駆動ローラ
102:上側駆動ローラ
103:下側ベルト
104:上側ベルト
105:入口側光電センサ
106:出口側光電センサ
110:操作パネル
111:操作部スイッチ
112:不良品払出スイッチ
113:非常停止スイッチ
114:操作表示器
120:メンテナンス扉
130:「挿入可」表示灯
140:音声発生部
150:運用モードスイッチ収納部
160:プリンタ
170:非常停止スイッチ
181:制御駆動部
182:システム制御部
190:放射線検出部
191:プラスチックシンチレータ検出器
192:鉛シールド
20:折り畳み機
200:搬入コンベア
210:第1折りナイフ
220:折り畳みコンベア
230:第2折りナイフ
240:第2折りコンベア
250:スタッカコンベア
260:バタフライ板
270:正常品バスケット
280:汚染品バスケット
290:補助コンベア
A:衣類搬入位置
B:正常衣類搬出方向
C,C1:汚染衣類搬出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所等の放射性物質取扱施設内で作業した業務従事者が着用した衣類等を搬送部が搬送し、放射線検出部が衣類等の放射能汚染の有無を検出して検出データを出力するランドリモニタと、
ランドリモニタからの検出データに基づいて、放射能汚染がない正常品の衣類等であるか放射能汚染がある汚染品の衣類等であるかを識別するための識別データを出力するシステム制御部と、
システム制御部からの識別データに基づいて、ランドリモニタから搬送された正常品の衣類等を折り畳んで正常品バスケットに収容し、また、汚染品の衣類等をそのまま汚染品バスケットに収容する折り畳み機と、
を有するランドリモニタシステムであって、
ランドリモニタは、搬送部の搬入側付近に不良品を払い出すための不良品払出スイッチを備え、
システム制御部は、ランドリモニタの不良品払出スイッチが押されたならば不良品の衣類等を汚染品であると代替して識別して識別データを出力する出力手段として機能し、
折り畳み機は、この識別データに基づいて、不良品の衣類等を汚染品バスケットに収容する、
ことを特徴とするランドリモニタシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のランドリモニタシステムにおいて、
前記ランドリモニタは、衣類等が本体内から排出されたことを検出する出口側のセンサを備え、
前記システム制御部の出力手段は、ランドリモニタの不良品払出スイッチが押され、かつ出口側のセンサが排出を検出したならばランドリモニタから排出された不良品の衣類等を汚染品であると代替して識別して識別データを出力する手段であることを特徴とするランドリモニタシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のランドリモニタシステムにおいて、
前記システム制御部は、
衣類等が正常品であると判断された場合に正常品カウントデータを1繰り上げ、また、衣類等の汚染品であると判断された場合に汚染品カウントデータを1繰り上げるよう管理する枚数管理手段と、
不良品払出スイッチが押された場合には正常品カウントデータおよび汚染品カウントデータを加増せずそのまま維持するキャンセル手段と、
として機能することを特徴とするランドリモニタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−304188(P2008−304188A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148758(P2007−148758)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】