説明

ランプ組立体

【課題】インク等を高速硬化するために使用されるランプ組立体を提供する。
【解決手段】ランプ組立体に、端部部品22と共に形成される細長い放射光源20と、該端部部品22に接続されて前記放射光源20を照射器2内に固定する装着部26とを設け、該装着部26は、該装着部26の方に向けて吸い込まれる空気が前記放射光源20の少なくとも一部の周りと、該放射光源20と該装着部26との間とに流れるようにする形状に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ組立体、特に印刷及び塗装産業においてさまざまな基材材料上のインク等を高速硬化するために使用されるランプ組立体に関する。硬化工程中、基材を細長いランプ組立体の下方の経路で移動させて、基材上の塗膜にランプから放射光を照射することによって、塗膜を連続工程で硬化させる。基材は連続したものであるか、又は順次ランプに送り込まれて通過する複数枚のシートから成っていてもよい。
【背景技術】
【0002】
1つ又は複数の中圧水銀紫外線ランプからの紫外線を当てることによって基材上のインクを硬化させることは既知である。また、アセンブリ内の各ランプに、ランプを部分的に包囲してそれからの放射光を基材の方へ反射する反射面を含む反射体を設けることも既知である。反射面は、一般的に楕円形又は放物線形の凹状輪郭を有し、その輪郭の対称中心線上の頂部付近にランプが取り付けられている。
【0003】
反射体は、硬化性材料が受け取る放射光の強度を強める。材料内への放射光透過度は、硬化における重要な要素であり、透過度は、異なった色及び材料で変化し、強度が強いほど、透過度も高い。
【0004】
既知の構造に伴う問題は、放射光の一部がランプ自体の方へ反射されて戻り、これが硬化に利用可能な放射エネルギの量が減少すると共に、ランプ動作に悪影響を与える可能性があるランプの加熱を生じ、すでに大量にアセンブリが発している熱をさらに増加させることによって、塗膜及び/若しくは基材のひずみ及びゆがみが発生する可能性があることである。
【0005】
この問題は、フランス特許第2334966号で認識されており、この特許は、2つの半割シェルの各々が空洞内の長手方向軸線を中心にしてその対称中心線の各側へ回動するようにした形の反射体を記載している。このフランス特許は、各半割シェルの上縁部をランプの方へ下向きに折り曲げることによって、外側がランプの幅全体にわたってほぼ凹状の形状になるように反射体の上部領域を変形させることを提案している。
【0006】
フランス特許第2334966号に開示されている装置では、その基本的形状の結果として、所望の回動動作を達成するために複雑なシステムが必要であると共に、半割シェルの回動に適応するための空間を設ける必要があり、このことが硬化アセンブリの小型化を求める現在の産業界の要望に矛盾するという欠点がある。やはり回動動作に適応する必要のために、半割シェルの冷却が困難であろう。また、ランプの自己加熱の問題に対してこのフランス特許において提案されている解決策の結果として、問題が発生するであろう。反射体がランプ側へ曲がっていることによって、曲がり部分の過熱が発生し、ランプの隣接領域の冷却がさらに困難になるであろう。
【0007】
ランプ組立体の効果的且つ有効な冷却は不変の問題であり、基材速度を増加できるように高速硬化を行うために、より高いランプ出力を用いるようになったため、この問題がさらに重要になっている。たとえば、そのフランス特許の時代の1975年では、最大ランプ出力がわずか250ワット/インチ(100ワット/cm)程度であった。現在では200〜400ワット/インチ(80〜160ワット/cm)のランプ出力が一般的であり、さらに高い500〜600ワット/インチ(200〜240ワット/cm)の出力のランプもますます使用されるようになっている。さらに、清浄性及び品質を含む紫外線硬化の利点から、熱破損を非常に受けやすい基材を含めたさまざまな基材で使用することができる硬化システムが要求されるようになっている。
【0008】
従来のアセンブリは一般的に、空気だけで冷却されていた。最初の空冷システムでは、熱を排出すために、空気を反射体内からランプの上方に設けられた1つ又は複数の開口を通して抽出した。後のシステムでは、冷却空気をアセンブリに吸い込んで、やはりランプの近くに設けられた開口を通してランプに当てた。
【0009】
高いランプ出力に伴う冷却要件の増加によって、水冷却のみの又は空気冷却と併用した水冷却が使用されるようになった。冷却水は、反射体に取り付けられるか又は反射体内に一体形成される管を通して送られる。
【0010】
英国特許出願第2336895号は、水又は空気によって冷却される反射体と基材との間に一対の板部材が設けられた、印刷インク等を乾燥するUVドライヤを開示している。水によって冷却される放熱板は、基材の下に位置付けられる。ドライヤ自体は空気(反射体の内面及び外面にわたって、反射体が含まれるハウジングの上部まで流れるように案内される)によって冷却される。反射体の内面上を流れる空気が、反射体の頂部に設けられる隙間を通過し、反射体の外面上を通過した空気に合流する。
【0011】
UVランプは、担持体上に取り付けられる。この担持体は、ランプ交換のために、ハウジングから離れるように長軸方向に、ハウジングを出入りするように摺動可能である。担持体は、滑動してハウジング内に入り切ったときにハウジング内に配置される対応の接続構成部品と嵌合する、電気コネクタ構成要素を含む。
【0012】
水冷システムの重大な欠点は、水冷却設備の費用である。さらなる欠点は、ランプを交換できるようにランプ組立体へのアクセスを依然として可能にしながら、閉鎖された水回路を提供する必要があるということである。
【0013】
結果として、市販のシステムの大部分(80%を超える)は、空冷される。ランプ出力が増加するにつれて、許容限界内で温度を維持し、基材への損傷を回避するだけではなく、隣接する設備及び操作者に危害を加えないようにする、より一層効果的且つ有効な空気冷却システムが必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、現在の産業は、硬化アセンブリの小型化を求めている。さらに、ランプ組立体を硬化アセンブリから取り出す必要なく、簡単にランプを交換することのできる硬化アセンブリが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ランプ組立体であって、端部部品と共に形成される細長い放射光源と、端部部品と接続されて放射光源を照射器内に固定する装着部とを備え、装着部は、吸い込まれる空気を装着部の方に向けて、空気が放射光源の少なくとも一部の周りと放射光源と装着部との間に流れるようにする形状であるランプ組立体を提供する。
【0016】
冷却空気流を案内する、放射光源(すなわちランプ)用の装着部を設けることによって、ランプ上の空気流が改善され、ゆえに冷却効率が増加し、したがってランプの寿命が延びると共にランプ効率が増加することが可能であるということが判明している。
【0017】
装着部は、空気を抽出する通路を画定することが好ましい。したがって装着部は、ランプの付近から冷却空気を除去できるようにする。
【0018】
装着部は、一対の離間した細長い板部材を備えてもよく、板部材の各々は、板部材の平面部が切れてなくなったところに端部を有し、端部は、放射光源との間に隙間を画定する。端部は湾曲しているか又は直線でもよいが、放射光源上により高速な空気をもたらすものとして直線が好ましい。
【0019】
最も効果的な冷却をもたらすように隙間が設けられる。弧長150mmに対して、2mm〜4mmの隙間が目下好ましい。隙間は、異なるランプ出力、異なるランプ付属品、異なるランプヘッドの向きに関して異なり得る。この構成は、ランプ上に所望の空気流を生成するのに特に有効であるということが判明している。
【0020】
アセンブリは、端部部品に設けられた電気接続部と、一方の端部部品の電気接続部から他方の端部部品へ延在するケーブルと、ケーブルが通る管とをさらに備え得る。管は装着部に固定される端部部品を含むことがふさわしく、装着部は空気を管上に流し、管、ゆえにケーブルを冷却することが好ましい。
【0021】
この構成の利点は、ランプ組立体を、硬化アセンブリ又は硬化アセンブリがその一部を成す他の照射器の一端から取り出すことが可能であるということである。したがって、両端からのアクセスは不要であり、ランプ交換は迅速且つ容易に実行可能である。ケーブルが含まれている管を冷却することによって、ケーブルの損傷、ゆえにランプの早期故障が回避される。
【0022】
ランプ組立体は、照射器であって、ハウジングと、放射光源が配置される空洞を有するハウジング内に支持される反射体と、空洞表面上に設けられる細長い反射面であって、放射光源を部分的に包囲すると共に、放射光が基材に向かって下方に放射される開口を有する細長い反射面と、空気を装着部の方へ吸い込むファンと、ハウジングの反射体を支持する支持手段であって、反射体及び装着部が共に接続される少なくとも1つの支持部材を含む支持手段とを有する、照射器の一部分を形成することが好ましい。
【0023】
反射体及び装着部が共に接続される少なくとも1つの支持部材を設けることによって、後のランプ交換の際に、ランプ組立体を反射体に対して正確に位置付けられるようになる。ランプは、最大焦点にあるように反射体に対して確実に位置付けられる。
【0024】
支持手段は、装着部のフランジを摺動可能に受け取る穴部を有して、装着部を間に支持する2つの離間した支持部材を含んでもよい。反射体は、2つの部分から形成されてもよく、支持部材は、各々1つの部分を懸吊し、空洞を形成する。
【0025】
反射体を2つの部分で形成するのが一般的である。各部分に支持部材を設けることによって、支持部材は、それらの間に装着部を収容し、反射体空洞に対してランプを正確に配置する効果的且つコンパクトな設計が提供される。
【0026】
支持部材は、突起部を有することがふさわしい。
【0027】
次に、添付の図面を参照して本発明を例としてさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
照射器2は、反射体6が取り付けられたハウジング4を備える。
【0029】
反射体6は、各々が突出部として形成されている2つの反射体本体部材8、10を備える。突出部8、10はそれぞれ、形状表面12を有し、形状表面を組み合わせて空洞14を形成する。
【0030】
反射体本体部材8、10は、照射器6の支持部材としての役割を果たす2つの突起部16、18から懸吊されている。突起部16、18はハウジング4から懸吊されている。
【0031】
反射体6は、ランプ20から放射された放射光を反射する役割をする。ランプ20は、細長い管状の中圧水銀紫外線ランプである。ランプ20は、放射光を放射する中央部分と、ランプ20に電力を供給する電力源にランプ20を接続する端部部品22を有する。
【0032】
ランプ20は、図3に示すランプ組立体24の一部分を形成する。ランプ組立体24は、端部部品22を有するランプ20と、装着部26と、端部部品30を有する管28とを備え、この端部部品30によって管28が装着部26に接続される。
【0033】
管28は、ランプ20の一方の端部部品22から他方の端部部品へ延在するケーブルを収容する寸法になっている。ケーブルは、電力源が、ランプ組立体24の一方の端部からランプ20を横切って接続されるようにする。これは、ランプの交換のために、ハウジング4の1つの端部のみにアクセスが必要であることを意味する。
【0034】
装着部26は、2つの板部材32から成る。板部材32はそれらの間に通路34を画定するように平行に配置される。図2に関して、板部材32はその上端部に、突起部16、18内に形成される穴部38内に収容されるフランジ36を有する。したがって突起部16、18は、ハウジング4内のランプ組立体24を懸吊する、ゆえにランプ20を空洞14内の所望の場所に位置付ける役割も果たす。
【0035】
ランプ20の交換が必要な場合、ランプ20の交換は、ランプ組立体24を摺動させて取り出し、ランプを交換した後、突起部16、18の穴部38内にフランジ36を滑動させて戻し入れ、次に新しいランプ20を空洞14内の所望の場所へ確実に位置付けることで、簡単に達成され得る。
【0036】
板部材32の下部40は、他方の板部材から離れるように外側に曲がっている。この湾曲は、ランプ20の湾曲に沿ったものである。
【0037】
ファン42がハウジング4上に取り付けられ、空気をランプの上方へ、通路34を通って、管28にわたって、ハウジング4の上部へと吸い込む役割を果たす。板部材32及びそれらの湾曲した下部40は、空気を、ランプ20と湾曲した下部40との間のランプ20の周りに流れ、最終的に通路34を通るように案内する。湾曲した下部40を有する板部材32は、空気がファン42によって上方に吸い込まれるときに空気によるランプ20の冷却がもたらされる際に有効であり、これがランプ効率を増加させると共に、ランプ寿命も延ばすということが判明している。
【0038】
分かるように、空気は、管28上にも吸い込まれるため、当該管28に担持されるケーブルを冷却するのに役立つ。これは、ケーブルが過剰に熱せられるのを防ぎ、ゆえにランプ20の早期故障を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】照射器の斜視図である。
【図2】図1の照射器の内部の図である。
【図3】図1及び図2の照射器のランプ組立体の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ組立体であって、端部部品と共に形成される細長い放射光源と、該端部部品に接続されて前記放射光源を照射器内に固定する装着部とを備え、該装着部は、該装着部の方に向けて吸い込まれる空気が前記放射光源の少なくとも一部の周りと、該放射光源と該装着部との間とに流れるようにする形状に構成されていることを特徴とするランプ組立体。
【請求項2】
前記装着部は、前記空気の抽出のための通路を画定している請求項1に記載のランプ組立体。
【請求項3】
前記装着部は、一対の離間した細長い板部材から成り、該板部材の各々は、該板部材の平面部の切れたところに端部を有し、該端部は、前記放射光源との間に隙間を画定している請求項1又は2に記載のランプ組立体。
【請求項4】
前記端部は、直線である請求項3に記載のランプ組立体。
【請求項5】
弧長が150mmの放射光源に対して、前記隙間は2mm〜4mmである請求項3又は4に記載のランプ組立体。
【請求項6】
前記端部部品に設けられた電気接続部と、一方の端部部品の該電気接続部から他方の端部部品へ延在するケーブルと、該ケーブルが通る管とをさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のランプ組立体。
【請求項7】
前記管は、前記装着部に固定される端部部品を含む請求項6に記載のランプ組立体。
【請求項8】
前記装着部は、空気を前記管上に流し、該管を、ゆえに前記ケーブルを冷却する請求項6又は7に記載のランプ組立体。
【請求項9】
照射器であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載のランプ組立体と、ハウジングと、前記放射光源が配置される空洞を有する該ハウジング内に支持される反射体と、前記空洞表面上に設けられる細長い反射面であって、前記放射光源を部分的に包囲すると共に、放射光を基材に向かって下方へ放射するための開口を有する細長い反射面と、空気を前記装着部の方へ吸い込むファンと、前記ハウジングの前記反射体を支持するための支持手段であって、該反射体と前記装着部とが共に接続される少なくとも1つの支持部材を含む支持手段とを備える照射器。
【請求項10】
前記支持手段は、前記装着部のフランジを摺動可能に受けいれる穴部を有して、該装着部を間に支持する2つの離間した支持部材を含む請求項9に記載の照射器。
【請求項11】
前記反射体は、2つの部分から形成され、前記支持部材は、各々1つの部分を懸吊し、前記空洞を形成する請求項10に記載の照射器。
【請求項12】
前記支持部材は、突起部を有する請求項10又は11に記載の照射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−270217(P2008−270217A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108488(P2008−108488)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】