説明

リウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[G]キナゾリン誘導体

L−Glu−γ−D−Gluジペプチド基を含有する式(I)のシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体であって:式中:Rは、アミノ、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル、C1−4フルオロアルキル又はメトキシ−C1−4アルキルであり;Rは、水素、C1−4アルキル、C3−4アルケニル、C3−4アルキニル、C2−4ヒドロキシアルキル C2−4ハロゲノアルキル又はC1−4シアノアルキルであり;そしてArは、フェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイル、ピリジンジイル又はピリミジンジイルであり、これらは、ハロゲノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオ−ロメチル、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有することができる。化合物(I)は、所望により医薬的に受容可能な塩又はエステルの形態であってもよく;リウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロペンタ[g]キナゾリン誘導体の使用に関する。更に特定的には、これは、リウマチ様関節炎(RA)及び急性骨髄性白血病(AML)の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
チミジル酸シンターゼ(TS)を阻害するその能力、そして、更に各種の細胞系に対するその抗癌活性、の両方に関して良好なレベルの活性を示すシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体が開発されている。
【0003】
WO94/11354A1(British Technology Group Limited)は、以下の式:
【0004】
【化1】

【0005】
の三環式化合物を開示し、式中、Rは、水素、アミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ヒドロキシアルキル又はC1−4フルオロアルキルであり;
は、水素、C1−4アルキル、C3−4アルケニル、C3−4アルキニル、C2−4ヒドロキシアルキル C2−4ハロゲノアルキル又はC1−4シアノアルキルであり;
Arは、フェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイル、ピリジンジイル又はピリミジンジイルであり、これらは、ハロゲノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有することができ;そして
は、以下の式:
−NHCH(COH)−A−Y
−NH−A−Y
の基の一つであるか、
或いはRは、L−アラニン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン及びL−フェニルアラニンからなる群から選択されるN−連結の天然に存在するアミノ酸である。化合物の中で、開示されているものは、L−Glu−γ−D−Glu化合物CB300638であり、更にClinical Cancer Research,5,November 1999(Supplement)at #566(Theti et al.)及びProceedings of the American Association for Cancer Research,41,March 2000 at #33(Jackman et al)、並びにJ.Med.Chem.,2000,43,1910−1926中で記述され、ここでこれは、1923頁に化合物7bとして開示されている。
【0006】
WO95/30673A1(British Technology Group Limited)は、以下の式:
【0007】
【化2】

【0008】
のシクロペンタ−[g]キナゾリンを開示し、式中、Rは、水素、アミノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ヒドロキシアルキル又はC1−4フルオロアルキルであり;
は、水素、C1−4アルキル、C3−4アルケニル、C3−4アルキニル、C2−4ヒドロキシアルキル、C2−4ハロゲノアルキル又はC1−4シアノアルキルであり;
Arは、フェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイル、ピリジンジイル又はピリミジンジイルであり、これらは、ハロゲノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有することができ;そして
は、以下の式:
−A−Ar−A−Y
−A−CON(R)CH(Y)Y
−A−X−Ar
の基の一つである。
【0009】
葉酸受容体のα−アイソフォーム(α−FR、膜結合性葉酸結合タンパク質)は、グリコシルホスファチジルイノシトールにより繋留された細胞膜タンパク質であり、これは、葉酸に対して、そして更に生物学的に関連する還元された葉酸塩に対して非常に強い親和性を有する(Kd約0.1nM)。葉酸塩の内部移行の機構は、受容体依存性エンドサイトーシスである。α−FRは、多くの細胞腫、特に卵巣起源のものにおいて過剰発現し、ここでこれは、90%の場合において、高度に、そして均質に過剰発現する;Cancer Res.51,5329−5338,1991(Campbell et al,1991)を参照されたい。更に、高いα−FRの発現は、侵襲性の白金耐性疾病及び不良な予後に関係する−Int.J.Cancer 74,193−198,1997及びInt.J.Cancer 79,121−126,1998(両方ともToffoli et al)を参照されたい。β−アイソフォームは、上皮性及び非上皮性起源の腫瘍において広く発現し、発現レベルは、一般的にそれぞれ低/中及び高であり、Critical Rev.Therap.in Drug Carrier Systems 15,587−627,1998(Reddy and Low)中で概説されている。
【0010】
葉酸受容体(α及びβ)は、幾つかの成人の正常な組織において発現する(低ないし中程度の発現)。シクロペンタ−[g]キナゾリンの一般的な群のある種の化合物は、α−葉酸受容体を発現しているヒト腫瘍細胞系において、RFC(還元型葉酸キャリアー)に対する親和性に対して高いレベルの選択性を有することが報告されている。このような化合物は、WO03/020300A1、WO03/020706A1及びWO03/020748A1(BTG International Limited)中で開示されている。化合物中で、開示されているものは、L−Glu−γ−D−Glu化合物CB300945であり、更にTetrahedron,63(7),12 February 2007,1537−1543(Bavetsias et al.)及びCancer Research 65,15 December 2005,11721−11728(Gibbs et al)中で記述されている。
【0011】
FR−βは、通常胎盤組織及び造血細胞中に見出され、ここでこれは、骨髄単球性の系統中で発現し、そして特に好中球の熟成中、或いは単球又はマクロファージの活性化中に増加する。然しながら、正常な造血細胞におけるFR−βの発現は、例えば活性化されたマクロファージの場合とは異なり、これが葉酸塩と結合し、そして内部移入することができないことにおいて非機能性である。FR−βは、慢性の骨髄性白血病(CML)を持つ患者からの悪性細胞、及びAMLを持つ患者の概略70%からの悪性細胞上に発現する。
【0012】
WO03/072091−A1(The Ohio.State University Research Foundation)は、FR−βの発現が、骨髄性白血病の患者からの悪性細胞上で、FR−β誘導因子によって増加しているという発見を使用している。骨髄性白血病細胞、好ましくはAML細胞中で発現するFR−βは、非機能的である正常な造血細胞の殆んどにおいて発現するFR−βとは異なり、葉酸塩と結合し、そして内部移行することにおいて機能的である。このような機能性のFR−βは、葉酸複合化治療剤の標的である。
【0013】
Jansenは、13th International Symposium on Chemistry & Biology of Pteridines & Folates entitled“Antifolates in chronic inflammatory diseases/rheumatoid arthritis:what can we learn from cancer and vice versa,”Pteri−dines,16:46,2005から要約中で、メトトレキセート(MTX)が、リウマチ様関節炎を持つ患者のための治療管理における主力薬物であることを示している。彼は、更にシクロペンタ[g]キナゾリンベースのTS阻害剤が、葉酸に近い結合親和性を示し、そして従って癌、並びに炎症性疾病の治療における興味あるFR標的薬物であることができることを推測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際特許出願公開WO94/11354A1(British Technology Group Limited)
【特許文献2】WO95/30673A1(British Technology Group Limited)
【特許文献3】WO03/020300A1(BTG International Limited)
【特許文献4】WO03/020706A1(BTG International Limited)
【特許文献5】WO03/020748A1(BTG International Limited)
【特許文献6】WO03/072091−A1(The Ohio.State University Research Foundation)
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Clinical Cancer Research,5,November 1999(Supplement)at #566(Theti et al.)
【非特許文献2】Proceedings of the American Association for Cancer Research,41,March 2000 at #33(Jackman et al)
【非特許文献3】J.Med.Chem.,2000,43,1910−1926
【非特許文献4】Cancer Res.51,5329−5338,1991(Campbell et al,1991)
【非特許文献5】Int.J.Cancer 74,193−198,1997(Toffoli et al)
【非特許文献6】Int.J.Cancer 79,121−126,1998(Toffoli et al)
【非特許文献7】Critical Rev.Therap.in Drug Carrier Systems 15,587−627,1998(Reddy and Low)
【非特許文献8】Tetrahedron,63(7),12 February 2007,1537−1543(Bavetsias et al.)
【非特許文献9】Cancer Research 65,15 December 2005,11721−11728(Gibbs et al)
【非特許文献10】Abstract from the 13th International Symposium on Chemistry & Biology of Pteridines & Folates entitled“Antifolates in chronic inflammatory diseases/rheumatoid arthritis:what can we learn from cancer and vice versa,”Pteri−dines,16:46,2005。
【発明の概要】
【0016】
本出願人等は、シクロペンタ[g]キナゾリンの一般的群のある種の化合物が、β葉酸受容体を発現する細胞系に対して予期せぬほど高いレベルの選択性を有することをいまや見出した。このような化合物は、二つの構造的特徴、即ち、いわゆる三環式構造、及び葉酸と比較した場合のグルタミン酸側鎖に対する修飾を有する。従って、本発明は、以下の式(I):
【0017】
【化3】

【0018】
のL−Glu−γ−D−Gluジペプチド基を含有するシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体を含んでなり、式中:
は、アミノ、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル、C1−4フルオロアルキル又はメトキシ−C1−4アルキルであり;
は、C1−4アルキル、C3−4アルケニル、C3−4アルキニル、C2−4ヒドロキシアルキル C2−4ハロゲノ−アルキル又はC1−4シアノアルキルであり;そして
Arは、フェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイル、ピリジンジイル又はピリミジンジイルであり、これらは、ハロゲノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有することができる。
【0019】
化合物(I)は、所望により、
リウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のための
医薬的に受容可能な塩又はエステルの形態であってもよい。
【0020】
本発明の化合物は、一つ又はそれより多い以下の利益を示す:
1. 生理学的濃度の葉酸塩中で増殖し、そしてRFCの正常な発現を保有する場合の、β−FRを過剰発現している細胞に対する高い選択性;
2. 強力なTS阻害、RFCに対する低親和性、及びβ−FRに対する中ないし高親和性;
3. TS特異的活性、そしてin vivoのヒドロラーゼに対して耐性である;並びに
4. 中程度のβ−FR発現を伴う一次チャイニーズハムスター卵巣細胞系のスクリーニングにおける選択的活性。
【0021】
本明細書中で、用語アルキル、アルケニル及びアルキニルは、直鎖及び分枝鎖の両方を含むが、しかしプロピルのような個々のアルキル基に対する言及は、直鎖基に対してのみ特定的である。類似な慣例は、他の一般的用語に対して適用される。更に、シクロペンタ[g]キナゾリン核に対して使用される番号付け系は、以下の式:
【0022】
【化4】

【0023】
に示すような慣用的なものである。
アミノ酸残基は、本明細書中では標準的な方法(Pure and Applied Chemistry,1974,40,317及びEuropean Journal of Biochemistry 1984,138,9)で命名される。従って、例えば、γ−グルタミルは、文脈によってHNCH(COH)CHCHCO−又は−NHCH(COH)CHCHCO−基を意味し、これらの基の炭素原子は、位置1としてのα−カルボキシル基の炭素原子から番号付けされる。
【0024】
本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンが少なくとも三つの不斉炭素原子[−N(R)−基の三環系への接続の点、及びL−Glu−γ−D−Glu基のα−炭素原子等として存在する]を含有し、そして従ってラセミの及び光学的に活性な形態で存在することができることが観察されるものである。本発明が、ラセミの及び光学的に活性な形態の両方を包含することは理解されることであり、このような光学的に活性な形態が立体特異的合成によって、又は異性体化合物の分離によって、如何にして得ることができるかは、普通の一般的知識の問題である。一つの異性体が、これが示す活性の特質のために、又はより優れた物理的特性、例えば水に対する溶解度のために、他方より更に興味深いものであることができることは認識されるものである。
【0025】
式(I)のシクロペンタ[g]キナゾリンが、互変異性の現象を示し、そして本明細書中に示された式が、可能な互変異性の形態の一つのみを表すことができることも更に理解されることである。
【0026】
式(I)のある種のシクロペンタ[g]キナゾリンが、例えば水和された形態のような溶媒和された、並びに溶媒和されていない形態で存在することができることも更に理解されることである。
【0027】
又はRのための、それがC1−4アルキルである場合の、或いはそれがAr上に存在することができるC1−4アルキル置換基のための適した意義は、例えば、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルである。
【0028】
Ar上に存在することができるC1−4アルコキシ置換基のための適した意義は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ又はブトキシである。
Ar上に存在することができるハロゲノ置換基のための適した意義は、例えば、フルオロ、クロロ又はブロモである。
【0029】
のための、それがC3−4アルケニルである場合の適した意義は、例えば、プロパ−2−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル又は2−メチルプロパ−2−エニルであり;そしてそれがC3−4アルキニルである場合は、例えば、プロパ−2−イニル又はブタ−3−イニルである。
【0030】
のための、それがC2−4ヒドロキシアルキルである場合の適した意義は、例えば、2−ヒドロキシエチル又は3−ヒドロキシプロピルであり;それがC2−4ハロゲノアルキルである場合は、例えば、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、3−フルオロプロピル、3−クロロプロピル又は3−ブロモプロピルであり;そしてそれがC1−4シアノアルキルである場合は、例えば、シアノメチル、2−シアノエチル又は3−シアノプロピルである。
【0031】
Arのための、それがフェニレンである場合の適した意義は、例えば、1,3−又は1,4−フェニレン、特に1,4−フェニレンである。
Arのための、それがチオフェンジイルである場合の適した意義は、例えば、チオフェン−2,4−ジイル又はチオフェン−2,5−ジイルであり;それがチアゾールジイルである場合は、例えば、チアゾール−2,4−ジイル又はチアゾール−2,5−ジイルであり;それがピリジンジイルである場合は、例えば、ピリジン−2,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,6−ジイル又はピリジン−3,5−ジイルであり;そしてそれがピリミジンジイルである場合は、例えば、ピリミジン−2,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル又はピリミジン−4,6−ジイルである。
【0032】
示したように、Arは、一つ又は二つの置換基を保持することができる。Arにおける好ましい置換のレベルは、置換が存在する場合、二つの置換基又は特に一つの置換基のいずれかであり;そしてこの一つ又は二つの置換基は、好都合には−CO−L−Glu−γ−D−Glu基に結合する原子に隣接する位置にあることができ、フルオロのようなハロゲノ置換基が好ましい。
【0033】
本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンの適した医薬的に受容可能な塩の形態は、例えば、無機又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸又はマレイン酸との酸付加塩;或いはアルカリ金属、例えばナトリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウム、又はアンモニウム、例えばテトラ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0034】
本発明のシクロペンタ[g]キナ−ゾリンの適した医薬的に受容可能なエステルの形態は、例えば、6個までの炭素原子の脂肪族アルコールとのエステル、例えばメチル、エチル又はtert−ブチルエステルである。
【0035】
化合物は、三つのカルボキシル基を含有する。塩又はエステルは、一酸−二塩又は−エステル、二酸−一塩又は−エステル或いは三塩又は−エステルでさえあることができる。
好ましくはRは、C1−4アルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルである。更に好ましくは、Rは、メチル、又は特に、ヒドロキシメチルである。
【0036】
好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、プロパ−2−エニル、プロパ−2−イニル、2−ヒドロキシ−エチル、2−フルオロエチル、2−ブロモエチル又は2−シアノエチルである。更に好ましくは、Rは、メチル、又は特に、プロパ−2−イニルである。
【0037】
好ましくは、Arは、クロロ及び特にフルオロからなる群から選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有してもよい1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、或いはピリジン−2,5−ジイルである。更に好ましくは、Arは、1,4−フェニレン又は2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン若しくは特に2−フルオロ−1,4−フェニレンのように2−フルオロ置換基を有する1,4−フェニレンであるか、或いはピリジン2,5−ジイルである。最も好ましくはArは、1,4−フェニレン又は2−フルオロ−1,4−フェニレンである。
【0038】
好ましい本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、
が、C1−4アルキル又はC1−4ヒドロキシアルキル、特にヒドロキシメチルであり;
は、メチル、エチル、プロピル、プロパ−2−エニル、プロパ−2−イニル、2−ヒドロキシエチル、2−フルオロエチル、2−ブロモエチル又は2−シアノエチルであり;そして
Arは、クロロ及び特にフルオロからなる群から選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有してもよい1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル或いはピリジン−2,5−ジイルである;
式(I)を有する。
【0039】
更に好ましい本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、
が、メチル又はヒドロキシメチルであり;
は、メチル又はプロパ−2−イニルであり;そして
Arは、1,4−フェニレン、又は2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン若しくは特に2−フルオロ−1,4−フェニレンのように2−フルオロ置換基を有する1,4−フェニレンであるか、或いはピリジン2,5−ジイルである;
式(I)を有する。
【0040】
特に好ましい本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、
が、メチル又はヒドロキシメチルであり;
は、メチル又は好ましくはプロパ−2−イニルであり;そして
Arは、1,4−フェニレン又は2−フルオロ−1,4−フェニレンである;
式(I)を有する。
【0041】
具体的な特に好ましい本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは:
N−{N−{4−[N−(2−メチル−4−オキソ−3,4,7,8−テトラヒドロ−6H−シクロペンタ[g]キナゾリン−6−イル)−N−(プロパ−2−イニル)アミノ]ベンゾイル}−L−γ−グルタミル}−D−グルタミン酸;又は
N−{N−{4−[N−(2−ヒドロキシメチル−4−オキソ−3,4,7,8−テトラヒドロ−6H−シクロペンタ[g]−キナゾリン−6−イル)−N−(プロパ−2−イニル)アミノ]ベンゾイル}−L−γ−グルタミル}−D−グルタミン酸;或いは医薬的に受容可能なこれらの塩又はエステル;
並びにこれら二つの化合物の6S異性体;
である。
【0042】
本発明の化合物は、立体異性体の混合物として存在することができるが、これらが、一つの光学的に活性な異性体の形態に分割されることが好ましい。このような要求は、化合物の合成を複雑にし、そして従ってこれらが、所望の活性を達成することに一致しながら、可能な限り僅かな不斉炭素原子を成分として含有することが好ましい。
【0043】
然しながら先に示したように、本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、少なくとも三つの不斉炭素原子を含有する。これらの中で、環系の6位におけるものは、好ましくは6Rよりはむしろ6S配向を有する。従って本明細書中で先に記載した好ましい化合物は、この不斉炭素原子においてこのような立体配置を有するか、或いは好ましくはないが、これらの不斉炭素原子の一つ又は両方が分割されていない混合物である。
【0044】
本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、化学的に関係する化合物の調製に適用可能ないずれもの既知の方法によって調製することができる。
本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、それ自体活性であることができるか、又はin vivoで活性な化合物に転換されるプロドラッグであることができる。本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンは、シクロペンタ[g]キナゾリンを医薬的に受容可能な希釈剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物の形態で、ヒトを含む温血動物に投与することができる。
【0045】
組成物は、経口使用、例えば錠剤、カプセル、水性又は油性溶液、懸濁液或いは乳液;局所使用、例えばクリーム、軟膏、ゲル或いは水性若しくは油性溶液又は懸濁液;鼻腔使用、例えば嗅ぎ薬、鼻腔噴霧剤又は鼻腔点滴剤;膣又は直腸使用、例えば座薬;吸入による投与、例えば乾燥粉末のような微細に分割された粉末、微結晶の形態又は液体エアゾール;舌下又は頬側使用、例えば錠剤又はカプセル;或いは非経口使用(静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は注入使用を含む)、例えば滅菌水性又は油性溶液、乳液或いは懸濁液のために適した形態であることができる。一般的に、上記の組成物は、慣用的な賦形剤を使用して慣用的な方法で調製することができる。
【0046】
シクロペンタ[g]キナゾリンは、通常温血動物に動物の身体面積の平方メートル当り50−25000、特に50−5000mg、即ち概略1500、特に1−100mg/kgの範囲の投与量で投与されるものである。然しながら、所望する場合、この範囲外の投与量を使用することができ、そして特に、皮下への注入を含む好ましい投与のモードが使用される場合、投与量の範囲を、1−1000mg/kgに増加することができる。好ましくは、10−250mg/kg、特に30−150mg/kgの範囲の日量が使用される。然しながら、日量は、治療される宿主、投与の特定の経路、及び治療される病気の重篤度によって必然的に変化するものである。従って、最適投与量は、いずれもの特定の患者を治療している医師によって決定されることができる。
【0047】
従って、本発明は、更にリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病を治療するための、このような治療を必要とする患者における方法を含み、これは、前記患者に有効な量の本明細書中で先に定義したとおりのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体を投与することを含んでなる。
【0048】
化合物は、通常動物の身体面積の平方メートル当り5−25000mg、特に5−500mg、即ち概略0.1−500、特に0.1−10mg/kgの範囲の投与量で投与されるものである。然しながら、所望する場合、この範囲外の投与量を使用することができる。本発明のシクロペンタ[g]キナゾリンの局所投与を使用することができる。従って、例えば、局所投与において、例えば0.1ないし10mg/kgの範囲の日量を使用することができる。
【0049】
キナゾリンを含有する組成物は、単位剤形、即ちそれぞれが単位投与量或いは単位投与量の倍数又は約数を含んでなる分離した部分の形態、例えば錠剤或いはカプセルとして処方することができる。このような単位剤形は、例えば、1−250又は1−500mgの範囲の量のシクロペンタ[g]キナゾリンを含有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、RA−滑膜組織の免疫組織化学的検査:(A)ウサギアイソタイプ染色、(B)FR−β染色及び(C)マクロファージ染色(3A5)の光学顕微鏡観察である。(D)FR−β、(E)CD−68(マクロファージ)並びに(F)D及びEの混合の免疫蛍光(二重)染色。注記:核は青に染色(Dapi染色)されている。
【図2】図2は、(A)MTX治療前のRA患者(n=15)の滑膜組織中の3A5(マクロファージ)及びFR−β活動性細胞/mm間の相関である。滑膜の下部ライニング層中の活動性細胞数の中位値/mmは、FR−βに対して126(範囲:9−630)であり、そして3A5に対して219(範囲:11−622)であった。直線回帰:R=0.64、p=0.04。(B)MTXによる4ヶ月の治療後のDAS28の改良(ΔDAS28)及びマクロファージ上のFR−β発現間の相関(活動性細胞/mm)である(R=0.31;p=0.11)。
【図3】図3は、滑膜組織及びex vivoで培養されたRA末梢血リンパ球(PBL)中のFR−βのmRNA発現である。FR−βのmRNA発現の中位値は、末梢血リンパ球(PBLs;n=9)、単球(n=9)、ex vivo培養マクロファージ(n=25)、ex vivo活性化T−細胞(n=22)及びRA患者の滑膜組織(n=7)中で決定した。これらの試料中のFR−β発現は、CHO−β細胞(FR−βで形質移入したチャイニーズハムスター卵巣細胞;これらの細胞中の発現を1.00と設定した)中の発現のパーセントとして示している。
【図4】図4は、新規な世代の葉酸アンタゴニストに対するFR−α(白色の棒)及びFR−β(灰色の棒)の相対的結合親和性である。薬物のFR−α及びFR−βの結合親和性は、材料及び方法の部において記載されるような、FRαを発現しているKB細胞及びFRβで形質移入されたCHO−β細胞の[H]−葉酸置換によって決定した。結合親和性は、葉酸結合親和性に対するパーセントとして与えられる。結果は、3−5回の別個の実験の平均±SDである(SD<30%)。比較のために、葉酸アンタゴニストに対するRFCの親和性は、以前に刊行されたデータに基づき:++++(高親和性)、+++(中親和性)、++(低親和性)、+(不良な親和性)、+/−(非常に不良な親和性)として与えられている。
【図5】図5は、1μMの葉酸を伴う又は伴わないBGC945(A)、CB300635(B)、及び葉酸(1μM)又はロイコボリン(20nM)の補充を伴う又は伴わないAG2034(C/D)によるCHO/WT及びCHO/FR−β細胞の増殖の阻害である。結果は三つの実験の平均である(SD<20%)。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0051】
実施例1:リウマチ様関節炎の患者の滑膜組織中の活性化されたマクロファージに対する、新規な世代の葉酸アンタゴニストのための潜在的な放出経路としての葉酸受容体−βの開発。
【0052】
序論
葉酸アンタゴニストのメトトレキセート(MTX)は、リウマチ様関節炎(RA)を持つ患者の治療において最も広く適用されている疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARD)の主力薬物である。これは、単一の薬剤として、又は他のDMARD(例えばスルファサラジン及びヒドロキシクロロキン)との組合せのいずれかとして使用され、そしてMTXの使用は、生物学的薬剤(抗−TNFα又は−CD20モノクローナル抗体)に関係する殆どの治療戦略において必須である。
【0053】
MTXの細胞薬理学における第1の中心的段階は、少なくとも三つの異なった経路;還元型葉酸キャリヤー(RFC)、膜結合型葉酸受容体(MFR)、又はプロトン結合(低pH)葉酸輸送体(PCFT)によって仲介することができる、その細胞への進入である。後者の輸送体は、主として腸管内の葉酸塩取込みに関係している。他の輸送経路は、天然の還元型葉酸補助因子及びMTXのような葉酸アンタゴニストの取込みを促進することによって、免疫コンピテント細胞に対する生理学的及び薬理学的関連性を抱える。RFC及びMFRは、(抗)葉酸取込みの機構(膜貫通型キャリヤー対エンドサイトーシス/ポトサイトーシス)、基質特異性(低親和性葉酸/高親和性MTX対高親和性葉酸/低親和性MTX)及び組織特異性(常在型対制限発現)においてかなり異なる。
【0054】
MFRに対して、三つのアイソフォーム(α、β及びγ)が同定されている。MFRのα−アイソフォームは、癌の特異的型(卵巣癌)において過剰発現し、一方γ−アイソフォームは、造血細胞から分泌されるタンパク質である。FR−βアイソフォームの選択的発現は、RAの患者及び関節炎の動物モデルの炎症性滑膜流体中の活性化されたマクロファージについて記載されている。その後、FR−βは、関節炎の画像化のために、そして治療的には、毒素及び他の小/大分子の、選択的抗体誘導又は葉酸複合体誘導放出のために魅力ある標的として認識された。これまで、葉酸アンタゴニストを伴うFRの標的化は、癌細胞/FRαを過剰発現している組織においてのみ調査されていた。
【0055】
過去数十年にわたって、第二世代の葉酸アンタゴニストが設計され、そしてRFCによる輸送障害、ポリグルタミル化障害、標的酵素DHFRの活性の増加及び/又は薬物流出の亢進を含むMTXに対する耐性の通常の機構を回避する観点から、臨床的に評価されてきた。この背景に基づき、第二世代の抗葉酸剤は、RFCによってより効率的に輸送される、更に効率的にポリグルタミル化される、又はポリグルタミル化とは独立の、或いはDHFR以外の葉酸代謝における他の主要酵素、例えばチミジル酸シンターゼ(TS)又はグリシンアミドリボヌクレオチドトランスフォーミラーゼを標的とする化合物を含んでいた。本研究において、本出願人等は、個別の第二世代の抗葉酸剤が滑膜組織中のFR−βを発現している細胞及び/又はRA患者の免疫コンピテント細胞に対する選択的標的薬物として作用するか否かを研究することを設定した。本出願人等は、TS阻害剤であるBGC945を、高FR−β結合親和性及び低RFC親和性の判定基準を満足し、これによってFR−βを発現している細胞中の選択的薬物取込みを可能にする、プロトタイプの抗葉酸薬物として規定した。
【0056】
材料及び方法
薬物
葉酸は、Sigma Chem.Co,St.Louis,MOから、L−ロイコボリンは、Merck Eprova,Schaffhausen,Switzerlandから、メトトレキセートは、Pharmachemie,Haarlem,Netherlandsから、そしてペメトレキセド/ALIMTA(登録商標)(Eli Lilly)は、VUmc薬品部から入手した。以下の葉酸アンタゴニスト薬物は、示した会社/研究所から入手した;ラルチトレキセド/Tomudex(登録商標)/ZD1694(AstraZeneca,UK)、PT523及びPT644(Dr.A.Rosowsky,Harvard Medical School,Boston,MA)、GW1843(Glaxo Welcome,USA)、CB300635(Institute of Cancer Research,Sutton,UK)、BGC9331及びBGC945(6RS及び6S)(BTG International Limited,London,UK)、5,10−ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)(Eli Lilly,Indianapolis,IN)、及びAG2034(Agouron/Pfizer Pharmaceuticals,San Diego,CA)。これらの葉酸アンタゴニストの化学構造を、表2及び表3に示す。[3’,5’,7,9−H]葉酸(20−40Ci/mmol,MT783)は、Moravek,Brea,CAから購入した。
【0057】
細胞系
野生型チャイニーズハムスター卵巣(CHO−WT)細胞、FR−βで形質移入したCHO細胞(CHO−FR−β)及びFR−αを発現しているヒト上咽頭類表皮KB細胞(American Type Culture Collection,Manassas,VA)を、10%の胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、0.15mg/mlのプロリン並びに100単位/mlのペニシリン及びストレプトマイシンで補充された葉酸を含まないRPMI1640培地(Gibco,Grand Island,NY)中で増殖した。CHO−FR−β及びKB細胞の[H]葉酸結合能力は、それぞれ0.5−1pmol/10細胞及び20−40pmol/10細胞であった。ヒト単球−マクロファージTHP1細胞(American Type Culture Collection,Manassas,VA)を、10%の胎児ウシ血清、2mMのL−グルタミン、0.15mg/mlのプロリン並びに100単位/mlのペニシリン及びストレプトマイシンで補充された、2.2μMの葉酸を含有するRPMI1640培地(Gibco,Grand Island,NY)中で増殖させた。全ての細胞系を、37℃で5%のCOを含有する加湿された雰囲気中に保った。
【0058】
滑膜組織試料
本研究において、本出願人等は、治療前、及びMTXによる4ヶ月の治療(MTXの出発時投与量:7.5mg/週;15mg/週で12週かけて段階的に増加)後の活動性疾患を持つ15人のRA患者の膝関節由来の滑膜組織生検体を分析した。活動性疾患は、≧6の関節膨張又は関節疼痛、並びに医師及び患者の評価による中程度又はそれより悪いレベルの疾患活動性(疾患活動性スコア−28;DAS−28)と定義した。全ての患者は少なくとも1箇所の臨床的に関係する膝関節を有していた。低投与量のプレドニゾン(<10mg/日)及び併用の安定した非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の投与の治療は許可された。いずれの患者も研究に登録する前にMTXを使用したことはなかった。他のDMARDを摂取していた患者において、28日間の休薬期間後、治療は中止された。関節鏡検査法が、Leiden University Medical Center(Netherlands)及びLeeds University Medical Centre(UK)のMedical Ethics committeesによって認可された関節研究の一部として、以前に記述されているように行われた。Arthritis Rheum.2002;46(8):2034−2038及び2000;43(8):1820−1830(両方ともKraan et al)を参照されたい。
【0059】
非炎症性の対照滑膜組織として、本出願人等は、Dr.B.J.van Royen,department of Orthopedic Surgery,VU University Medical Center,Amsterdam,Netherlandsによって提供された機械的関節損傷を持つ患者からの七つの試料を含めた。末梢血試料の収集のために、全ての患者はインフォームドコンセントの書式にサインし、そして‘DMARD耐性’の研究は、Medical Ethics committee of the VU University Medical Center,Amsterdam,Netherlandsによって許可された。
【0060】
FR−βの免疫組織化学的検査
RA患者及び対照からの滑膜組織生検体のクライオスタット切片(4μm)の免疫組織化学的染色は、以前に記述されているような3段階の免疫ペルオキシダーゼ法を使用して行った。Cancer Res.2001;61(8):3458−3464(Maliepaard et al.)及び2000;60(18):5269−5277(Scheffer et al)を参照されたい。切片を、FR−βに対する特異的抗体(希釈1:3000)、アイソタイプ対照:正常なウサギ血清)で染色した。マクロファージ及びT−細胞を、3A5(希釈1:100)及び抗−CD3−PE(希釈1:25;Dako,Glostrap,Denmark)モノクローナル抗体(アイソタイプ対照:マウス免疫グロブリン)でそれぞれ染色した。ピオチニル化ブタ抗−ウサギIgG(Dako;希釈1:200)及びウサギ抗−マウスIgG(Dako;希釈1:300)を、二次抗体として使用した。0.4mg/mlのAEC(アミノエチルカルバゾール)を使用して、色の展開を行った。ヘマトキシリンによる対比染色後、スライドを設置した。染色部分を以前に記述されているように、デジタル画像分析によってFR−β、3A5及びCD3発現に対して分析した。Arthritis Res.Ther.2005;7(4):R862−R867(Haringman et al)を参照されたい。簡単には、それぞれのマーカーのために、代表的領域を400×の倍率を使用して画像獲得のために使用した。これらの領域を、3ピクセル重複させて6個の高倍率視野(hpfs)に分割した。活動性の細胞を、18の連続したhpfsを分析し、mm当りの内膜ライニング層及び滑膜下部ライニング中の活性な細胞の数を記録することによって評価した。
【0061】
二重標識免疫蛍光検査法
FR−βを、ブタ−抗−ウサギHRP−標識抗体(希釈1:200;Dako,Glostrup,Denmark)によって検出し、そして展開は、製造業者の説明書によってローダミン/チラミン(thyramin)(赤色蛍光)(希釈1:1000)によった。CD68は、ヤギ−抗−マウスビオチニル化抗体(希釈1:100;Dako,Glostrup,Denmark)によって、ストレプトアビジンAlex−488を基質として使用して(希釈1:750;緑色蛍光;Molecular Probes,Eugene,OR)検出した。スライドを、1μg/mlのDAPIを含有する(核の染色のため)Vectashield(Vector Laboratories Inc.,Burlingame,CA)を伴って設置した。細胞を、蛍光顕微鏡(Leica DMRB,Rijswijk,Netherlands)を使用して試験した。
【0062】
RA患者の末梢血細胞の単離及び培養条件
末梢血単核細胞を、新しく得た血液試料からFicoll−Paque Plus(Amersham Pharmacia Biotechnologies,UK)の勾配遠心(400×gにおいて35分)によって単離した。遠心後、界面を注意深く収集し、そして1%BSAで補充したリン酸緩衝塩溶液(PBS)を使用して三回洗浄した。リンパ球画分を数え、そして10%FCS、2mMのL−グルタミン並びに100μg/mlのペニシリン及びストレプトマイシンを含有するIMDM培養培地(Invitrogen,Breda,Netherlands)中に再懸濁した。単球を、培養フラスコ中の37℃における2時間のインキュベーション後、付着によって単離し、続いて単球を、10ng/mlのマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)(Strathmann Biotech,Hamburg,Germany)の存在中で7日間培養することによって、RNAを抽出するか、又はマクロファージを分化した。
【0063】
単球の付着後の懸濁液中に残った末梢血リンパ球(PBL)を、RNA単離のために収集するか、又はこれらを、1×10細胞/mlの密度で、モノクローナル抗−CD28(5μg/ml、CLB−CD28/1,Sanquin,Amsterdam,Netherlands)及び抗−CD3(1μg/ml、CLB−T3/4.E,Sanquin,Netherlands)で、ヤギ抗−マウス(Dako,Glostrup,Denmark)で被覆された24ウェルプレート中でインキュベートすることによる、T−細胞の活性化のために使用した。48時間の刺激後、活性化されたT−細胞をRNA単離のために収集し、そして活性化状態を、流動細胞計測法(FACScalibur,Becton & Dickinson)を使用して、CD25発現を測定することによって決定した。
【0064】
RA患者の滑膜組織及び末梢血細胞中のFR−βのmRNA発現
RA患者からの滑膜組織(n=7)、PBL(n=9)、単球(n=9)、マクロファージ(n=25)、及び活性化されたT−細胞(n=22)からのRNAを、Qiagen RNeasy Plus単離キット(Qiagen,Venlo,Netherlands)を使用して、製造業者によって提供された説明書に従って単離した。RNAの単離に先だって、冷凍した滑膜組織を、液体窒素で予備冷却した乳鉢中で粉砕してこれを粉末化し、その後、RPE緩衝液を加えた。全RNA濃度を、Nanodrop ND−1000分光光度計(Nanodrop Technologies,Wil−mington,USA)を使用して決定した。以前に記述されているようなリアルタイム逆転写−PCR(RT−PCR)法を、FR−β及びグリセルアルデヒド−3−リン酸(参照遺伝子)に対するmRNAレベルを同時に測定するために使用した。Cancer Res.2006;66(11):5875−5882(Qi et al)を参照されたい。
【0065】
逆転写段階は、Applied Biosystems(Foster City,CA)からのTaqman逆転写試薬を使用して、製造業者のプロトコルに従って行った。簡単には、400ngの全RNAを、ランダムヘキサマープライマー(50μmol/L)、RNアーゼ阻害剤(1単位/μL)、MultiScribe逆転写酵素(5単位/μL)、及びデオキシヌクレオシド三リン酸混合物(それぞれ2.5mmol/L)と逆転写緩衝液中で混合した。10μLの反応混合物を、まず25℃で10分間、次いで48℃で30分間、そして最後に95℃で5分間インキュベートした。
【0066】
その後のFR−βに対するリアルタイムPRC段階は、12.5μLのPRC Mastermix(Applied Biosystems)、それぞれ0.5μLの順方向及び逆方向プライマー(CTGGCTCCTTGGCTG−AGTTC、’GCCCAGCCTGGTTATCCA)並びに0.5μLのTaqmanプローブ(6FAM−TCCTCCCAGACTACCTGCCCTCAGC−TAMERA)の存在中で行った。対照のGAPDH遺伝子のためのプライマー及びTaqmanプローブを、Applied Biosystemsから購入した。PCR条件は、50℃で2分間、次いで95℃で10分間、続いて95℃でそれぞれ15秒間の40サイクル、そして最後に60℃で1分間であった。発生した蛍光データを、Gene Amp 5700配列決定装置(Applied Biosystems)によってモニター及び記録した。全ての試料を三重で設定し、そしてGAPDH値に正規化した。
【0067】
新規な世代の葉酸アンタゴニストに対するFR−β/FR−α及びRFC結合親和性の分析
H]−葉酸並びに新規な抗葉酸薬物の、FR−β及びFR−αへの競合的結合に対するインタクトな細胞の結合アッセイを、本質的に以前に記述されているように行った。Mol.Pharmacol.1995;48:459−47及びCancer Res.1995;55(17):3795−3802(両方ともWesterhof et alを参照されたい。簡単には、CHO−β細胞(FR−βで形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞)及びKB細胞(FR−αを発現している細胞)を、PBS+1mMのEDTA中のインキュベーションによって剥離した。剥離した細胞を、氷冷のHEPES緩衝生理食塩水(140mMのNaCl、20mMのHEPES、6mMのKCl、2mMのMgCl、6mMのD−グルコース、NaOHでpH7.4)中に、それぞれ3×10及び1×10細胞/mlの細胞濃度で懸濁した。1mlの細胞懸濁液を100pmの[H]−葉酸(比放射能:2,000dpm/pmol)を含有する一連のエッペンドルフ試験管に、天然の葉酸塩又は葉酸アンタゴニストの、非存在或いは増加する濃度の存在中で加えた。4℃で10分後、細胞をエッペンドルフ遠心機(30秒、10,000rpm)中で遠心し、上清を吸引し、そして細胞ペレットを200μlの水中に再懸濁し、そして放射能を分析した(Optima Gold scintillation fluid,United Technologies,Packard,Brussels,Belgium)。[H]の非特異的結合(通常、特異的結合の<2%)を、1000倍mol過剰の非標識葉酸の存在中で細胞に伴った放射能を測定することによって決定した。FR−β及びFR−αからの[H]葉酸の50%を置換するために必要な天然の葉酸塩及び選択された葉酸アンタゴニストの濃度を決定し、そして葉酸に対する結合親和性として示した。比較として、天然の葉酸塩及び葉酸アンタゴニストに対するRFCの親和性のデータを、以前の研究から示す。Mol Pharmacol 1995;48:459−471 Westerhof et al.)及びCancer Res.2005;65(24):11721−11728(Gibbs et al)を参照されたい。
【0068】
細胞増殖阻害アッセイ CHO−WT及びCHO−FRβ細胞を、24ウェルの細胞培養プレートの個々のウェルに1×10/cmの密度で播種した。24時間後、8種の濃度(2.5倍の増加で)の葉酸アンタゴニスト薬物を、1μMの葉酸の非存在又は存在(FRを遮断)中で加えた。72時間のインキュベーション後、細胞をトリプシン化によって回収し、そして以前に記述されているように細胞の生存率を数えた。Mol.Pharmacol.1999;55(4):761−769(Jansen et al)を参照されたい。
【0069】
他の実験において、ヒト単球−マクロファージTHP1を、葉酸アンタゴニストの抗増殖効果に対して試験した。この目的のために、1.25×10細胞を含有する1mlの細胞懸濁液を、24ウェルの組織培養プレートの個々のウェルに入れ、そして8種の濃度(2.5倍の増加で)の葉酸アンタゴニスト薬物と共にインキュベートした。72時間の薬物暴露後、血球計算器で細胞の計数を行い、そして生存率をトリパンブルー排除によって確認した。
【0070】
結果
滑膜組織のFR−βの免疫組織化学的検査
全てのRAの滑膜組織の免疫組織化学的染色は、内膜のライニング層並びに滑膜下部ライニング中のFR−βの高い発現を示した。FR−βに対する染色パターンは、3A5(マクロファージ)染色と一致し、一方T−細胞領域は、染色を示さなかった(図1A−C)。事実、更に詳細な蛍光顕微鏡分析は、滑膜組織の浸潤性マクロファージ及び内膜マクロファージの細胞膜上の、FR−β及びCD68(マクロファージマーカー)の共局在を証明した(図1D−F)。対照の整形外科の非炎症性滑膜組織におけるFR−βに対する染色は、マクロファージの低い数と一致して、観察されなかった(示していない)。
【0071】
染色の結果を、コンピュータ支援のデジタル画像分析によって分析した。有意な相関が滑膜下部ライニング層中の3A5及びFR−β発現間に見出された(細胞数/mm)(p=0.04)(図2A)。活動性細胞数の中位値/mmは、FR−βに対して126(範囲9−630)及び3A5に対して219(範囲11−622)であった。マクロファージの中位数は、MTXによる4ヶ月の治療によって減少した(滑膜下部ライニング層の活動性細胞数は219から119/mmへ、p=0.14)。MTXによる4ヶ月の治療後のFR−βの発現は、DAS28の改良(△DAS28)と正に相関した(r=0.31)が、統計的有意には達しなかった(p=0.11)(図2B)。
【0072】
RA患者のRA滑膜細胞及び末梢血細胞中のFR−βのmRNAの発現
滑膜組織中のFR−βの発現差異を更に確認するために、FR−βのmRNAレベルを、リンパ球、ex vivoで活性化されたT−細胞、及び末梢血単球、並びにex vivoで単球由来のマクロファージを含むRA患者の末梢血細胞のものと比較するように滑膜組織生検体中のPCR分析によって決定した。FR−βのmRNAレベルをCHO−FR−β細胞(100%に設定)と比較して示す。FR−βのmRNA発現の順位は、RA−滑膜組織において最高(CHO−β細胞と比較して17%の中位値)であり>ex vivoの単球由来のマクロファージ(CHO−β細胞と比較して3%)>末梢血リンパ球(PBL)(0.7%)>>単球(0.02%)、そしてex vivoで活性化されたT−細胞(<0.001%)であった(図3)。
【0073】
葉酸アンタゴニストに対するFR−β対FR−αの結合親和性
選択された葉酸アンタゴニストに対するFR−αの結合親和性は、Westerhof et alによって以前に報告されていたが、しかしこれらが、FR−βアイソフォームとどの程度重複し又は異なっているかは確立されていなかった。この目的のために、DHFR、TS、及びGARTFアーゼの一連の葉酸ベース阻害剤に対するFR−βによる結合親和性対FR−αを決定し、そして図4に示した。葉酸に関しては、FR−β及びFR−αの両方は、DHFRの葉酸アンタゴニスト阻害剤の群に対してやや低い親和性を示した。MTXに対するFR−βの親和性は、葉酸に対するものより概略50倍低い。PT523に対する結合親和性は、MTXに対するものより顕著に低く(葉酸の0.3%)、一方PT523の5−メチル類似体であるPT644は、MTXに対比する親和性を示した。注目すべきは、FR−αは、全ての試験された葉酸ベースのTS阻害剤に対して良好な親和性を示すが、しかしペメトレキセド、ラルチトレキセド及びBGC9331に対するFR−βの結合親和性は、FR−αより顕著に低かった(16−30倍)。FR−βの高い結合親和性の保持は、TS阻害剤CB300635(葉酸の161%)及び(6RS)−BGC945(葉酸の89%)並びに(6S)−BGC945(葉酸の46%)に対して観察された。FR−βは、更にGARTFアーゼ阻害剤DDATHF(葉酸の27%)、及びAG2034(葉酸の54%)に対して熟達した結合親和性を示したが、FR−αのこれらの化合物に対する親和性は2.5倍高かった。まとめれば、これらの結果は、葉酸アンタゴニストに対するFR−βの結合親和性における幅広い差を証明し、これらの中で、幾つかの葉酸アンタゴニストはMTXに対するより顕著に高い結合親和性を明らかにした。
【0074】
FR−βを発現している細胞の葉酸アンタゴニスト誘導の増殖阻害
現在の研究において使用される葉酸アンタゴニストが、マクロファージ様型の細胞に対して潜在的な増殖阻害効果をすべて伝達するものであるか否かを研究するために、このパラメータをヒト単球−マクロファージTHP1細胞に対して研究した(表1)。THP1細胞の主要な輸送経路としてのRFCと一致して、強力な増殖阻害効果が、RFCに対して不良な親和性を有する二つの化合物CB300635及びBGC945を除く、全ての葉酸アンタゴニストに対して観察された。THP1細胞系はFR−陰性であるため(活性化された滑膜マクロファージとは対照的に)、FR−βが最高の結合親和性を示した三つの葉酸アンタゴニスト(CB300635、AG2034及びBGC945)を、CHO−FR−β細胞の細胞増殖阻害を誘発することによって、FR−βを標的とするその効力に対して評価した。CHO/WT細胞に対して、BGC945のみが>1000nMの細胞外濃度において増殖阻害を誘導した(図5A)。顕著なことは、CHO/FR−β細胞の増殖阻害は、BGC945の顕著に低い濃度(10−50nM)において誘導された。これらの細胞培養物への葉酸の添加は、FRの遮断と一致して、BGC945の活性を完全に抑制した。FR−βに対して最高の結合親和性を示したにもかかわらず、CB300635は、CHO/FR−β細胞の増殖阻害を誘導することにおいて顕著に強力ではない(図5B)。葉酸の同時投与がCB300635の活性を抑制する概念は、FR−βが、この化合物の細胞内取込みに関係することを示唆している。最後にAG2034は、細胞への進入のための経路として恒常的に発現するRFC及びFRの両方を使用することができる(図5)。このように、AG2034は、CHO/WT細胞に、そして広い範囲のCHO/FR−β細胞に対して増殖阻害の潜在性を示す(図5C/D)。同時に、FR−β遮断(葉酸で)及びRFC遮断(LVで)によるAG2034の増殖阻害効果の抑制は、部分的のみである(図5C/D)。
【0075】
考察
MTXがRAの治療のための多くの治療管理における主力薬物であるために、MTXに対する治療反応を予想及び/又は改良することにおいて援助することができる遺伝子的、生化学的及び代謝的パラメーターの説明は、少なからぬ最近の興味を受けている。本研究は、活性化された滑膜のマクロファージにおいて、葉酸受容体βアイソフォームによって主として仲介される、MTXの細胞膜輸送の役割に特異的に焦点を当てている。FRと恒常的に発現するRFCの分子並びに機能的特質が少なからず異なっているという概念を仮定すれば、FR−βの特質のよりよい理解は、RFCよりもFR−βを選択的に標的化することによってよりよい治療手段(a better therapeutic window)を促進するかもしれない。
【0076】
本明細書において、本出願人等は、FR−β発現が主としてRA患者の内膜ライニング層及び滑膜下部ライニング中にマクロファージと共局在し、そして従って葉酸アンタゴニストに対して魅力ある標的であることができることを示した。その幾つかは証明された抗癌活性を持つ一連の第二世代の葉酸アンタゴニストの結合親和性に対するスクリーニングにより、DHFR阻害剤の群が全てやや低いFR−β親和性を有することが明らかにされた。これは、FRのαアイソフォームが、以前に報告された2,4−NH−ベースの構造を持つ葉酸アンタゴニストに対して低い親和性を有することを証明する、構造と活性の関係と一致する(表2参照)。興味あることには、FRαがチミジル酸シンターゼの全ての試験された葉酸ベース阻害剤に対する比較的高い結合親和性を証明したが、一方FR−βに対して、これは、3環構造及び/又はグルタミン酸側鎖修飾の共通の化学的特質を共有する三つの化合物(CB300635、GW1843及びBGC945)に対してのみ保持された(表2及び3参照)。後者の修飾は、更にRFCによって輸送されるその能力を顕著に抑制し、そして従って、より大きいFRの選択性に寄与する。事実、BGC945によるFR−αに対する、そしてRFCではない選択的標的化は、FRαを過剰発現している細胞系において証明された。葉酸ベースTS阻害剤に加えて、FR−βも、葉酸ベースGARTFアーゼ阻害剤(AG2034及びDDATHE)に対して中ないし高結合親和性を示し、これは、これらを、RFC及びFRの両方によって輸送されることができる葉酸アンタゴニスト薬物として分類する。
【0077】
FR−βで形質移入されたCHO細胞を、抗増殖効果を伝達することによる葉酸アンタゴニストのFR−βで仲介される細胞取込みの効率を評価するためのモデル系として使用した。この細胞系モデルは、[H]−葉酸結合レベル及びRA患者の滑膜組織中のFR−βのmRNAレベルと適合性であるFR−βのmRNAレベルに基づき、臨床的に典型的であることができる(図4)。対照の(RFCを発現している)CHO細胞とFR−βで形質移入された細胞との間の活性の最大の差は、RFCによる輸送に対する不良な親和性及び高いFR−β結合親和性と一致して、BGC945に対して観察される。BGC945のFR−βで仲介される取込みは、過剰の葉酸による受容体の遮断によって阻害することができ、滑膜組織/血漿中を循環する天然の葉酸塩が、受容体占有/競合又は受容体下方制御のいずれかによって、in vivoのBGC945の潜在的活性を減弱することができることを暗示した。
【0078】
実施例2:本発明の化合物
表3は、本発明の以下の化合物の構造を示す:
・CB300638(BGC638) ・CB300944
・(6S)−CB300638 ・CB300945(BGC945)
・CB300935 ・(6S)−CB300945
・CB300936 ・CB300947
・CB300940 ・CB300951。
【0079】
これらは、WO94/11354A1、WO03/020300A1、WO03/020706A1、WO03/020748A1、J Med.Chem.,2000,43,1910−1926、Tetrahedron,63(7),2007,1537−1543(Bavetsias et al.)及びCancer Research 65,2005,11721−11728(Gibbs et al)中に与えられた方法によって調製した。
【0080】
実施例3:製剤
以下は、式(I)のシクロペンタ[g]キナゾリンを、特に医薬的に受容可能な塩の形態で含有する、ヒトにおける治療的又は予防的使用のための代表的な医薬的剤形を例示する:
(a)錠剤I mg/錠剤
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 100
ラクトース 欧州局方 182.75
クロスカルメロースナトリウム 12.0
トウモロコシデンプンペースト(5重量/容量%のペースト)2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0。
【0081】
(b)錠剤II mg/錠剤
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 50
ラクトース 欧州局方 223.75
クロスカルメロースナトリウム 6.0
トウモロコシデンプン 15.0
ポリビニルピロリドン(5重量/容量%のペースト) 2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0。
【0082】
(c)錠剤III mg/錠剤
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 1.0
ラクトース 欧州局方 93.25
クロスカルメロースナトリウム 4.0
トウモロコシデンプンペースト(5重量/容量%のペースト)0.75
ステアリン酸マグネシウム 1.0。
【0083】
(d)カプセル mg/カプセル
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 10.0
ラクトース 欧州局方 488.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5。
【0084】
(e)注射I (50mg/ml)
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 5.0重量/容量%
1M水酸化ナトリウム溶液 15.0容量/容量%
0.1M塩酸 (pHを7.6に調節)
ポリエチレングリコール400 4.5重量/容量%
注射用水 100%まで。
【0085】
(f)注射II (10mg/ml)
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 1.0重量/容量%
リン酸ナトリウムBP 3.6重量/容量%
0.1M塩酸溶液 15.0容量/容量%
注射用水 100%まで。
【0086】
(g)注射III (1mg/ml、pH6に緩衝)
シクロペンタ[g]キナゾリン塩 0.1重量/容量%
リン酸ナトリウムBP 2.26重量/容量%
クエン酸 0.38重量/容量%
ポリエチレングリコール400 3.5重量/容量%
注射用水 100%まで。
【0087】
上記の製剤は、製薬技術において公知の慣用的な方法によって調製することができる。錠剤(a)ないし(c)は、慣用的な手段によって、例えば酢酸フタル酸セルロースの被覆で腸溶被覆することができる。
【0088】
表1.ヒト単球−マクロファージTHP1細胞に対する葉酸アンタゴニストの増殖阻害効果
【0089】
【表1】

【0090】
THP1細胞は、2.2μMの葉酸(これはいずれものFR活性を遮断するものである)を含有するRPMI−1640培地中で増殖した。
薬物暴露時間;72時間。結果は三つの別個の実験の平均±S.D.である。
【0091】
表2.比較化合物の構造
【0092】
【表2−1】

【0093】
【表2−2】

【0094】
表3.本発明の化合物の構造
【0095】
【表3−1】

【0096】
【表3−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のための以下の式(I):
【化1】

[式中:
は、アミノ、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル、C1−4フルオロアルキル又はメトキシ−C1−4アルキルであり;
は、水素、C1−4アルキル、C3−4アルケニル、C3−4アルキニル、C2−4ヒドロキシアルキル C2−4ハロゲノ−アルキル又はC1−4シアノアルキルであり;そして
Arは、フェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイル、ピリジンジイル又はピリミジンジイルであり、これらは、ハロゲノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有することができる。]
のL−Glu−γ−D−Gluジペプチド基を含有するシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体であって、化合物(I)は、所望により医薬的に受容可能な塩又はエステルであってもよい;前記化合物。
【請求項2】
が、C1−4アルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルである、請求項1に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項3】
が、メチル又はヒドロキシメチルである、請求項2に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項4】
が、メチル、エチル、プロピル、プロパ−2−エニル、プロパ−2−イニル、2−ヒドロキシエチル、2−フルオロエチル、2−ブロモエチル又は2−シアノエチルである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項5】
が、メチル又はプロパ−2−イニルである、請求項4に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項6】
Arが、クロロ及び特にフルオロからなる群から選択される一つ又は二つの置換基を所望により保有してもよい1,4−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル或いはピリジン−2,5−ジイルである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項7】
Arが、1,4−フェニレン、一つの2−フルオロ置換基を有する1,4−フェニレン又はピリジン−2,5−ジイルである、請求項6に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項8】
Arが、1,4−フェニレン又は2−フルオロ−1,4−フェニレンである、請求項7に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項9】
前記シクロペンタ[g]キナゾリン誘導体が:
N−{N−{4−[N−(2−メチル−4−オキソ−3,4,7,8−テトラヒドロ−6H−シクロペンタ[g]キナゾリン−6−イル)−N−(プロパ−2−イニル)アミノ]ベンゾイル}−L−γ−グルタミル}−D−グルタミン酸;又は
N−{N−{4−[N−(2−ヒドロキシメチル−4−オキソ−3,4,7,8−テトラヒドロ−6H−シクロペンタ[g]−キナゾリン−6−イル)−N−(プロパ−2−イニル)アミノ]ベンゾイル}−L−γ−グルタミル}−D−グルタミン酸;
或いは医薬的に受容可能なこれらの塩又はエステル;
を含んでなる、請求項1に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項10】
前記シクロペンタ[g]キナゾリン誘導体が、その6S異性体として存在する、請求項9に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項11】
前記シクロペンタ[g]キナゾリン誘導体が、医薬的に受容可能な希釈剤又は担体と一緒に投与される、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のリウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のためのシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体。
【請求項12】
リウマチ様関節炎又は急性骨髄性白血病の治療のための、このような治療を必要とする患者において、有効な量の請求項1ないし11のいずれか1項に記載のシクロペンタ[g]キナゾリン誘導体を、前記患者に投与することを含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−515384(P2011−515384A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500282(P2011−500282)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000687
【国際公開番号】WO2009/115776
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】