説明

リクライニング作動を伴う座席装置

本発明は、リクライニング作動とそれと共に対応する座部上昇作動とを有する座席装置を提供する。装置は、全体にわたり提供される一連の計算された開口部を有する成形された隔壁を備えている増加した快適性を有する着席する支持表面をさらに提供する。座席装置は、椅子柱脚と、椅子柱脚上に取り付けられたベースと、座部支持部と、複数のローラと、複数の湾曲した傾斜部と、背もたれ支持部と、スプリング構成要素と、背もたれと、座部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着席した位置にいるユーザを支持するデバイスに関する。より詳細には、本発明は、後部へのリクライニング作動(movement)を提供する座席装置に関する。さらにより詳細には、本発明は、個別の部位において体の支持を提供し、局所的な必要性を満たすように設計された支持表面を有する座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特にオフィスチェアなどの座席装置の分野における一般的な目標は、ユーザに対して快適性およびフィット性の向上を提供する装置を提供することである。これらの目標を達成することは概して、2つのアプローチのうちの1つ、すなわち、椅子の機構(例えば、椅子またはその個々の部品の調節能力)を改良すること、または椅子によって提供される支持(例えば、座部、背もたれ、または肘掛)を変更することによって椅子の快適性を向上させることを用いる。
【0003】
椅子の快適性および有用性を向上させる方法として椅子の機構を改良するために、これまで多数の様々な試みがなされてきた。椅子の快適性の中心をなす椅子の機構の1つの重要な局面は、椅子リクライニング作動である。
【0004】
リクライニング作動を提供する椅子において、リクライニング旋回点(recline pivot point)は、体の中心にあるか、またはユーザの背中が通常旋回するところ(すなわち、ユーザの股関節を通る軸)にあることが望ましい。リクライニングチェアの旋回点は、通常、理想的な旋回点からずれる。また、ユーザの上半身とユーザの下半身との間の角度が内部のうっ血性体圧を解放するように開く椅子を有することも望ましい。もちろん、ユーザの足が床の上にあるままで、後ろに傾く動作が、よく起るシャツの裾を引っ張るという問題(shirt tail pull problem)を避けるほど十分に厳密に自然の体の動作と同時に起る椅子を提供することも望ましい。
【0005】
椅子の座面および背もたれの快適性を向上させる様々なアプローチもまた公知である。例えば、輪郭削り合成発泡体(contouring synthetic foam)を用いるなど、椅子の座面および背もたれの形状を様々なユーザにフィットさせるために、当分野において多くの作業が行なわれてきた。しかしながら、発泡体は、発泡体の全体における望ましい点において最適な堅さおよび柔らかさを提供する一片の発泡体を作ることが、不可能ではないが、困難であるので、本来不適当な支持部である。発泡体はまた、発泡体クッションとユーザの体との間における熱の蓄積により問題があり得る。発泡体クッションはさらに、ユーザに気に入るような仕上げ外観を持たせるため椅子張りを必要とするという点で望ましくない。このことは椅子に対するコストの追加となるだけでなく、クッションが最適な快適性となるように特別に形成されたとしても、椅子張りの追加は、発泡体の形状および堅さ(または柔らかさ)を変化させ得る。
【0006】
以前から公知の椅子もまた、広範囲のユーザの体に容易にかつ快適にフィットする支持表面を提供しない。快適性を向上させる1つの方法として、製造業者は、いろいろなサイズの椅子(例えば、小形、中形、大形)を用意した。これは明らかに望ましくない。なぜなら、これは、同じ製品の複数の種類を用意することを必要とし、従って、製品の販売業者が同じ製品の複数の種類を在庫にすることを必要とするからである。なおもさらに、そのような「サイズの」椅子を購入するユーザは、いつかはその椅子に合うサイズではなくなり得る。なおもさらに、椅子のサイズ決めは、様々なユーザによる椅子の快適な使用を妨げる。
【0007】
上記のように以前に公知の座席装置の欠点を考慮して、機構的な利点ならびに改良された座部および背もたれの支持を有する座席装置を有し、ユーザに快適性の向上を提供することは有用である。さらに、美学および機能ならびに快適性を最大にするような形式で、そのような椅子を提供することは有用である。これらの利益のすべておよび本明細書において提供される説明によって明らかとなる他の利益は、本発明によって提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、リクライニング作動とそれと共に対応する座部上昇作動とを有する座席装置を提供する。作動の組合せは、着席する位置の範囲全体にわたり増加したレベルのユーザ快適性を提供することにおいて特に有益である。本発明は、U形の座部フレームの使用による増加した快適性を提供する椅子座部をさらに提供する。さらに本発明は、成形された隔壁であってそこに複数の開口部を有する成形された隔壁を備えている1つ以上の支持表面を有する座席装置を提供する。好みにより隔壁は、一般的な形状、表面細部、ならびに別個の部位において体の支持を提供するための開口部のサイズ、数および位置において計算され、ユーザの体に対する局所的な支持ニーズに適合させる。
【0009】
一実施形態において、本発明は、ベースと、湾曲した部分によって相互に連結された上部背もたれ支持部分と下部座部支持部分とを有する湾曲したサポートバーと、座部支持部分のうちの1つおよびベースに取り付けられた1つ以上の傾斜部と、複数の傾斜部と相互に作用するために座部支持部分のもう一方およびベースから延びる1つ以上の運動促進構成要素とを備えている座席装置に関する。好みによりベースは、2つの上方に湾曲した延長部を含む。
【0010】
一特定の実施形態において、運動促進構成要素はローラであり、椅子の座部支持部分は、傾斜部がベース上でローラを横切って転がると、前後に移動する。さらに、座部支持部が前方に移動すると、ローラを横切る傾斜部の動きは、座部支持部分を上方に動かす。ローラを横切る傾斜部の動きは、湾曲したサポートバーの背もたれ支持部分に対するユーザの後方へのもたれる動きに対応する。そのような運動の移動は、湾曲したサポートバーの湾曲した部分によって促進される。好みにより湾曲した部分はスプリングであり、湾曲したスプリングが曲がると、背もたれ支持部に対する後方への圧力によってスプリングに与えられた張力は座部支持部に移動される。一特定の好ましい実施形態において、背もたれ支持部は、ベースに含まれる上方に湾曲した延長部に旋回可能に接続される。背もたれ支持部の旋回は、背もたれ支持部を安定させ、湾曲したスプリングを介して移動される追加の張力を提供する。
【0011】
本発明の座席装置は、オフィスチェアなどの椅子に一般に見出されるようなさらなる構成要素を含み得る。例えば、リクライニングチェアはベースに取り付けられた椅子柱脚をさらに含み得、椅子柱脚はキャスタを含み得る。さらなる実施形態において、椅子は四つ脚の椅子であり得、ベースは脚支持に取り付けられる。さらに椅子はオプションで、肘掛、ヘッドレストまたは他の椅子構成要素を含み得る。もちろん、容易に認識可能であるように、椅子は、背もたれ支持部に取り付けられた背もたれおよび座部支持部に取り付けられた座部をさらに含み得る。
【0012】
一特定の実施形態において、本発明は、次の構成要素を備えている座席装置を提供する。すなわち、椅子柱脚と、椅子柱脚上に取り付けられたベースであって、ベースは2つの上方に湾曲した延長部を含む、ベースと、座部および底部表面を受けるための上部表面を有する座部支持部と、ベースおよび座部支持部の底部表面のうちの一方に取り付けられた複数のローラと、複数のローラと可動に相互に作用するための複数の湾曲した傾斜部であって、傾斜部は、ベースおよび座部支持部の底部表面のうちのもう一方に取り付けられた、複数の湾曲した傾斜部と、上方に湾曲した延長部に旋回するように取り付けられた背もたれ支持部と、座部支持部と背もたれ支持部との間に位置し、かつそれらに堅く接続されるスプリング構成要素と、背もたれ支持部に傾斜可能に取り付けられた背もたれと、座部支持部の上部表面に取り付けられた座部とである。
【0013】
別の局面に従って、本発明は、変化する支持部を有する成形された隔壁支持表面を有する座席装置に関する。変化する支持部は概して、装置の作成の方法およびU形の座部フレームから生ずる。
【0014】
一実施形態において、座席装置は、座部フレームの後部を画定する湾曲した部分を有するU形の座部フレームと、座部フレームの側部を画定する2つの実質的にまっすぐな部分と、座部フレームの前部を画定する開放部分と、中央開口部とを備えている。装置は、座部フレームの中央開口部を越えて広がる成形された隔壁支持表面と、座部フレームの前部の近くで2つの実質的にまっすぐな部分の間に位置する下方に湾曲したセパレータバーと
をさらに備えている。セパレータバーの下方への湾曲は、成形された隔壁支持表面上に座るユーザの体がセパレータバーと接触しないように成形されている。成形された隔壁が座部フレームの後部の近くよりも座部フレームの前部の近くで強く張って広げられるように、セパレータバーは、座部フレームの2つの実質的にまっすぐな部分を押して引き離すようにする。
【0015】
本発明はまた、そのような座席装置を作る方法も提供する。一実施形態において、方法は次のステップを包含する。すなわち、座部フレームの後部を画定する湾曲した部分を備えているU形の座部フレームと、座部フレームの側部を画定する2つの実質的にまっすぐな部分と、座部フレームの前部を画定する開放部分と、中央開口部とを備えているU形の座部フレームとを提供することと、成形された隔壁を提供することと、座部フレームの中央開口部を越えてU形の座部フレームに成形された隔壁を取り付けることと、湾曲したセパレータバーを提供することと、セパレータバーが座部フレームの前部の近くで座部フレームの2つの実質的にまっすぐな部分の間に下方に湾曲するように位置するように、U形の座部フレームにセパレータバーを取り付けることとである。好ましくは、成形された隔壁が座部フレームの後部の近くよりも座部フレームの前部の近くで強く張って広げられるように、座部フレームにセパレータバーを取り付けるステップが成形された隔壁を強く張るように、セパレータバーは全長を有する。
【0016】
別の局面に従って、本発明は、支持表面として有用な成形された隔壁を備えている座席装置に関する。本発明のこの局面に従う一実施形態において、座席装置は、成形された隔壁を備え、隔壁はそこに形成される一連の開口部を有し、開口部のサイズおよび集中状態は、隔壁全体において変化し、隔壁の個別の部位において様々なレベルの体の支持を提供する。
【0017】
一特定の実施形態において、成形された隔壁は、座席装置用の座部として有用である。好みにより、成形された隔壁に形成される開口部は、変化させられ、最適な支持および緩衝性を提供するように計算され、ユーザにとって有益である。例えば、開口部は、開口部のサイズに従って変化され得る。さらに、開口部は、開口部の位置に従って変化され得、特に、より多い数の開口部またはより少ない数の開口部が隔壁の特定の部位全体に存在するように変化し得る。なおもさらに、開口部は、隔壁の特定の部分において所定のサイズであり、隔壁の異なる部分において異なる所定のサイズであるように、計算可能に変化し得る。さらに、開口部は、所定のサイズに従ってパターン化され、尾骨部位などの圧力部位において、さらなる緩衝性を有益に提供し得、一方、脚の下などの他の部位において、さらなる支持を提供し得る。
【0018】
本発明のこの局面に従う別の実施形態において、成形された隔壁は座席装置用の背もたれとして有用である。再び、開口部のサイズおよび位置は、有益である部位において、さらなる支持またはさらなる緩衝性を提供するように変化され得る。例えば、隔壁は、大多数のユーザの腰部に対応する部位においてさらなる支持を提供するように作られ得る。一特定の実施形態において、背もたれ隔壁は、複数の部品から作られ、輪郭を示す隔壁を形成する。そのような輪郭は、背もたれ隔壁に湾曲した面を提供することにおいて有益であり、それは、再び、腰部支持部を提供することにおいて特に有用であり得る。
【0019】
本発明の一実施形態におけるさらに別の実施形態において、成形された隔壁は、複数のウエブ構造によって相互に連結された複数のボス構造から形成される。ウエブ構造およびボス構造は好みにより、一定の間隔をあけて置かれ、その構造間に一連の開口部を形成する。有益にも、ボス構造、ウエブ構造および開口部の寸法は、隔壁全体にわたって変化され、隔壁の個別の部位において様々なレベルの体の支持を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う椅子のベースの正面斜視図である。
【図2】図2は、座部およびそれに取り付けられた背もたれを有する本発明の一実施形態に従う湾曲した支持部の底面斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従う直立した位置の椅子の一部分の側面図の例示である。
【図4】図4は、背もたれが後ろに傾き、かつ座部が高くされた位置にある、本発明の一実施形態に従う椅子の一部分の側面図の例示である。
【図5】図5は、直立位置および後ろに傾いた位置にある、本発明に従う椅子の一実施形態を示す、図3および図4の合成図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に従う椅子のベースの側面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従う椅子の正面斜視図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に従う成形された隔壁から形成される座部の正面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、本発明の特定の実施形態に関して、特に本明細書と共に提供される様々な図面に関して、以下により十分にここで説明される。実際には本発明は、多くの種々の形態で実施され得、本明細書に述べられる実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、それどころか、これらの実施形態は、この開示が、適用可能な法律上の要件を満足するように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の概念を含む。
【0022】
本発明は、個々にまたは任意の組合せで様々な椅子設計に組み入れ得る複数の局面を含む。例えば、椅子を後ろに傾ける(recline)ための本発明の方法および機構は、単独にまたは従来の椅子に組み入れて用いられ得るか、または単一の椅子において成形された隔壁と組み合せて用いられ得る。同様に、本発明の成形された隔壁は、従来の椅子において個々に用いられ得る。本発明の複数の局面が一緒に用いられ得るが、それらは本明細書において別々に説明される。しかしながら、そのような説明は、本発明に従って可能な様々な組合せの範囲を限定することは意図されない。
【0023】
リクライニングタイプの椅子は概して、背部のみが後ろに傾くか、座部と背部が一体として後ろに傾くか、または座部に対して調和した割合で座部の背部が後ろに傾くことを可能にする。背部のみが旋回する場合、このことは概して、「シャツの裾を引っ張る」という公知の問題を引き起こす。この問題は、椅子の背部の旋回が自然の体の動作と調和していない場合、特に深刻である。この問題はまた、背部が後方に傾くと、ユーザの腰が前方にスライドする傾向によって深刻化され得る。
【0024】
座部と背部の両方が一体として後ろに傾く椅子において、後ろに傾いた位置において、座部の前縁によって膝の直ぐ上のユーザの脚の下側に対して過度の圧力を作り、ユーザの脚を床から持ち上げる傾向がある。この問題を克服するために、リクライニング動作の旋回点は、ユーザの脚が床に留まることを可能にするために十分に前方に移動され得る。この配置の望ましくない影響は、ユーザの胴と脚との間の体の角度は変わらないので、その結果、椅子が後ろに傾いたとき、ユーザの目の高さが望ましくないが落ちることである。
【0025】
任意のリクライニングチェアにおいて、リクライニング旋回点は、体の中心にあるか、またはユーザの背中が通常旋回するところ(すなわち、ユーザの股関節を通る軸)にあることが望ましい。リクライニングチェアの旋回点は、通常、理想の旋回点からずれる。また、ユーザの胴と脚との間の角度が内部のうっ血性体圧を解放するように開く椅子を有することも望ましい。もちろん、ユーザの足が床の上にあるままで、後ろに傾く動作が、よく起るシャツの裾を引っ張るという問題を避けるほど十分に厳密に自然の体の動作と同時に起る椅子を提供することも望ましい。さらに、単純な構造であるが、支持フレームに関して座部と背部が分離され別々の外観を強調する、清潔で、魅力的な外観である椅子を提供することが望ましい。
【0026】
好ましい実施形態において、本発明は、ユーザの股関節に旋回の軸を好みにより配置し、ユーザの胴と脚との間の角度を開放するリクライニング作動を有する座席装置を提供する。さらに、本発明の座席装置は、シャツの裾を引っ張るという問題をなおも避けながら、リクライニングすることを可能にする。1つの局面において、本発明は、座席装置がリクライニング動作および同時の座部上昇動作を提供するということにおいて、椅子のユーザの快適性を増加させるように特に適合された座席装置を提供する。
【0027】
一特定の実施形態において、座席装置は概して、ベースと、湾曲したサポートバーと、1つ以上の傾斜部と、傾斜部と相互に作用する1つ以上の運動促進構成要素とを備えている。湾曲したサポートバーは好ましくは、湾曲した部分によって相互に連結される上部背もたれ部分と下部座部支持部分とを備えている。特に有益な実施形態において、サポートバーの湾曲した部分は、スプリング構成要素として機能し、それによってサポートバーの上部と下部との間に力を伝える。本明細書において提供されるさらなる説明によってより明らかになるように、そのような力の移動は、直立の位置から後ろに傾いた位置への動きおよび再び戻る動きの容易さを増進するのに有用である。
【0028】
特定の実施形態において、傾斜部は湾曲したサポートバーの下部座部支持部分に直接にまたは間接的に取り付けられ、運動促進構成要素はベースに取り付けられる。しかしながら、そのような配置は、逆にされ得るかまたは混合され得る(すなわち、座部支持部およびベースの両方の上の傾斜部および運動促進構成要素)。特定の好みの実施形態において、運動促進構成要素は、球形に成形されたローラなどのローラを備えている。単純化のために、運動促進構成要素は、本明細書においてローラの点からのみ言及され得る。同様に、傾斜部およびローラの構成は、傾斜部が座部支持部に取り付けられ、ローラがベースに取付けられるという点から説明され得る。もちろんそのような説明は、本発明の範囲を限定することが意図されるのではなく、理解を容易にするために用いられるのみである。
【0029】
本発明の支持装置は、多数の種々の座席構造での使用を見出し得る。典型的には支持装置は、複数のキャスタ付きの柱脚を備えているオフィスタイプの椅子に組み入れられる。そのような実施形態は、ユーザために椅子の快適性をさらに増加させる高さ調整機構を含み得るということにおいて、特に有益である。しかしながら、標準の4脚の椅子、特に積み重ね可能な椅子などの他の実施形態が想像される。好ましくは本発明の支持装置は、様々な椅子または他の支持部と共に使用するように適用可能であるベースを備えている。
【0030】
本発明に従う座席装置と共に使用するためのベースの一実施形態は、図1において提供される。図1に見られるように、装置に用いられるためのベース10は、概して形状が長方形であり、好ましくは椅子の全幅にほぼ一致する幅を有する。そのような形状および寸法は、概してベース10と残りの椅子の構成要素との相互作用に有用であるが、当業者に認識可能であるように、本開示の利益によって、ベース10は、その機能を限定することなく、所望により種々の形状およびサイズに適合され得る。
【0031】
図1に見られるように特定の実施形態において、ベース10は、ベース10に一体に接続された2つの湾曲した延長部20を含む。湾曲した延長部20は、適切な手段(例えば、ねじ、ボルト、リベットまたは類似のものなど)によってベースに固定される別個の部品であり得る。好ましくはベース10および湾曲した延長部20は、耐久性があり、装置に対して構造上の支持を提供する材料の単一で連続する部品から形成される(モールディングによってなど)。さらに以下に説明されるように、湾曲した延長部20は、ベース10の本体の後部から突き出て、上方に湾曲して、旋回点として働くのに有用な末端部分を提供する。ベース10および湾曲した延長部20は、オフィスチェアなどの座席装置に必要とされる強度および耐久性を提供するような一般に認識される任意の材料を備え得る。例えば、高密度ポリエチレンなどの高分子材料が、ベースおよび湾曲した延長部のうちの1つまたはその両方に用いられ得る。さらに、ファイバグラスなどの強化材料もまた用いられ得る。一実施形態において、ガラス繊維入りナイロンが用いられる。
【0032】
上記のように、本発明のリクライニングチェアは、1つ以上の運動促進構成要素をさらに備えている。そのような構成要素は、対応する傾斜部に対して滑り運動を促進するのに有用な任意の材料または機構を含み得る。より十分に下記に説明されるように、傾斜部および運動促進構成要素は、運動促進構成要素の全体を動く傾斜部または傾斜部の全体を滑るかまたは転がる運動促進構成要素と、滑る方法で相互に作用する別個の構成要素である。この相互作用が与えられるとすると、傾斜部および運動促進構成要素は、活発な使用に耐え得、装置の機能を減少させるような時間の経過によって過度に摩滅しないような材料から形成されることが有益である。さらに、ユーザの重量が傾斜部および運動促進構成要素上で支えられるので、両方共、少なくとも椅子構成要素の重量および平均的な大人の重量、好ましくはそのような重量をはるかに超える重量を支え、なおも装置によって提供される機能的な作動を行なう能力のある高強度の材料から形成されることが有益である。
【0033】
運動促進構成要素は、様々な形態をとり得る。例えば、構成要素は、ローラの形態であり得る。そのようなローラは、実質的に車輪(例えば、ローラスケートまたはインラインスケートの車輪)のような形状であり得る。一つの好ましい実施形態において、ローラは本質的に球形である。そのような実施形態は、装置に安定性を提供するために特に有益である。球形の形状は、特に傾斜部が球形のローラに対応した半円の形状を有し、それによってローラを受けるように特に適合された軌道を備えているとき、傾斜部と接触するローラの表面積を増加させる。従って、ローラは軌道上で自動的に中央になり、ドリフトを避ける。もちろん運動促進構成要素の他の実施形態もまた、本発明によって包含される。例えば、運動促進構成要素は、静止した低摩擦部品またはボールベアリングを含み得る。
【0034】
ローラは、傾斜部との相互作用時に、強度、耐久性、および好みにより摩擦の減少を提供する任意の材料を備え得る。例えば、ローラは、金属または高分子材料から形成され得る。特定の実施形態において、ローラは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低摩擦、高強度の高分子材料から形成される。さらなる実施形態において、ローラは、ウレタンなどの弾性材料を備え、該弾性材料は、傾斜部全体における回転運動の動作を柔らかくし、それによって滑らかな動作を提供する。
【0035】
傾斜部は、同様に好ましくは、ローラとの相互作用時に、強度、耐久性、および好みにより摩擦の減少を提供する任意の材料を備え得る。傾斜部に用いられる例示的な材料は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、PTFEなどを含むが、これらに限定されない。
【0036】
図1に見られるように、ローラ40は、ベース10に実質的に平行である、ローラ40の水平軸を介してベース10に取り付けられ、従って、ベース10に対して前方または後方のいずれかの方向にローラ40による自由な転がり運動を可能にする。図1の実施形態において、ローラ40は、湾曲した延長部20からベース10を横切って延びる線のすぐ内側に取り付けられる。図2を参照して、より明らかであるように、このローラ40の配置は、装置に安定性を提供することにおいて特に有益である。図1の実施形態は、ベース10のいずれの側にも2つのローラのある、4つのローラ40を備えている装置を例示する。再びそのような実施形態は、強度および安定性を提供することに関して特に有益であるが、本発明はこの実施形態によって限定されるべきではない。例えば、一実施形態において、装置は、ベース上の中央に位置するただ1つのローラを備え得る。そのような実施形態において、座部を支持し、バランスを保たせるための追加の要素を含むことがさらに有用であり得る。別の実施形態において、装置は、ベースのいずれの側にも1つのローラがあるか、または1つのローラがベースの前部にあり1つのローラが後部にある、2つのローラを含み得る。さらに別の実施形態において、装置は、ベースのいずれの側にも1つのローラがあり、かつベースの第3の中央の位置に1つのローラがある、3つのローラを備え得る。もちろん、様々な実施形態において、ローラの数に一致する傾斜部の数が用いられることが予期される。ユーザの重量を最も十分に支えるようにローラがベースに位置することが特に有益である。換言すると、ローラは、椅子のユーザの重心の位置に一致するように選択的に位置付けられる。
【0037】
図1に戻ると、1つ以上のローラ40は、傾斜部80に沿ったローラ40の自由な動きを妨げ、加えられた力に対応した運動のみを可能にする運動抵抗機構を含み得る。特定の実施形態において、図1に例示されるように、運動抵抗機構は、スプリング摩擦カップ45を備え得る。スプリング摩擦カップ45は概して、ローラ40との関係において置かれ、その結果、ローラの働きに対応してローラに対して圧力を提供する。好ましくは、スプリング摩擦カップ45は、ローラとの最大の相互作用を提供するように形作られる。図1の実施形態において、スプリング摩擦カップ45は、ローラ40の球形の形状に対応したカップ状の端部を有する円筒形を備えている。さらにスプリング摩擦カップ45は、スプリングなどのバイアス機構によってローラ40との物理的な接触が維持される。スプリング摩擦カップ45は好ましくは、ローラ40に摩擦を与える材料から形成され、それによって、ローラ40が最小の力に対する自由な動きに抵抗するようにする。しかしながら、スプリング摩擦カップ45によって与えられる摩擦量は、十分に小さくあるべきで、その結果、椅子に座っているユーザが、ユーザによる過度の力の入力を必要とすることなく、容易に摩擦に打ち勝ち、椅子の位置を変え得る。下記に、より十分に記述されるように、摩擦カップ45は、事実上のロックとして働き、ユーザの重量によって引き起こされる椅子の動きおよびユーザの筋肉の働きによって引き起こされる椅子の動きに対して、平衡おもりとして働くことによってユーザが椅子の所定の位置を維持するのを助ける。
【0038】
本発明の座席装置のさらなる構成要素は、図2に例示され、図2は、座部100およびそれに取り付けられた背もたれ200を有する湾曲したサポートバー60の底面斜視図を示す。湾曲したサポートバー60は概して、上部背もたれ支持部分62と、下部座部支持部分68と、背もたれ支持部分62と座部支持部分68とを相互に連結する湾曲した部分65とを備えている。湾曲したサポートバー60は、上記のように3つの機能領域を有する単一の部品として特徴付けられ得る。あるいは、湾曲したサポートバーは、組み合わされた3つの別個の部品として特徴付けられ、ひとつの機能ユニットを形成し得る。しかしながら、本明細書において説明されるように、いずれかの特徴に従って、湾曲したサポートバーは、単一の構成要素として形成されかつ形作られる。さらに、図2に示されるように、湾曲したサポートバー60は、椅子のいずれの側にも備えられる(すなわち2つのサポートバー)。以下にさらに論議されるように、湾曲したサポートバー60は、構造的な一体化およびさらなる支持のために1つ以上の構造上のクロスサポートによって相互に連結され、単一の一体化ユニットとしてサポートバー60の機能を促進し、滑らかなリクライニング動作を容易にし得る。好みにより、湾曲したサポートバーおよび任意のクロスサポートは、単一の一体化部品として形成される。1つの好ましい実施形態において、各湾曲したサポートバー60の座部支持部分68は、装置の幅全体に延びるクロスサポートの中で終結する。そのような実施形態において、傾斜部80は、クロスサポートに取り付けられ得る。
【0039】
湾曲したサポートバーに関係して用語「バー」を使用することは、構成要素の範囲を限定する意図はなく、単に説明の目的のために用いられる。湾曲したサポートバーは、従来のバー構造(例えば、本質的に、固体、円筒形または管状である材料の長い部品)を含み得るが、これらに限定されないで、それどころか他の形状および形態を含み得る。例えば、図2に示されるように、湾曲したサポートバーは、実質的に平らにされた部品であり得る。さらに、サポートバーは、その長さに沿って様々な形態を有し、一部の領域において多少なりとも平らにされ、他の領域において多少なりとも四角形または円形であり得る。好ましくは、湾曲したサポートバーは、強度、耐久性および柔軟性(望ましい場合)を提供する材料を備えている。例えば、湾曲したサポートバーは、金属、高強度プラスチックなどを備え得る。
【0040】
湾曲したサポートバー60の湾曲した部分65は、湾曲したサポートバー60に対してある程度の屈曲を可能にするスプリング構成要素として有益に機能する。スプリング構成要素の存在は、多数の利益を提供し、背もたれ構成要素と座部構成要素との間の単なる旋回接続と比較して、特に有利である。例えば、湾曲した部分の屈曲(すなわちスプリング動作)は、座席装置のリクライニング動作を容易にすることおよび椅子の直立位置への容易な戻りを提供することにおいて有用である。従って、本明細書に用いられるように、湾曲したサポートバーの湾曲した部分は、サポートスプリングと呼ばれ得る。
【0041】
図2に戻ると、湾曲したサポートバー60は、それに直接または間接的に取り付けられた複数の傾斜部80をさらに含む。例えば、傾斜部80は、湾曲したサポートバー60の座部支持部分68の表面に直接に取り付けられ得る。あるいは、傾斜部80は、座部支持部分68に一体に取り付けられたクロスサポートに取り付けられ得る。図2において、傾斜部は、コネクタ部品85によって座部支持部分68に取り付けられる。そのようなコネクタ部品は、それが傾斜部80をローラ40と相互に作用する位置に配置するように機能する限り、任意の形状および寸法をとり得る。特定の実施形態において、装置は、座部支持部68のどちらか1つの側の傾斜部80の間に接続要素をさらに備え得る。
【0042】
上記のように、傾斜部80は、ローラ40と相互に作用し、座席装置の座部100に対して、後方および前方への動作および持上げ動作を可能にする。もちろん、上記のように傾斜部80およびローラ40は交換され得、その結果、傾斜部80はベース10に取り付けられ、ローラは湾曲したサポートバー60の座部支持部分68に取り付けられる。
【0043】
上記に全般的に説明される座席装置の特定の構成要素によって、座席装置の実際的な機能およびそれから生ずる特定の利益は、図3〜図7を参照して以下により十分に説明される。
【0044】
支持装置の概略図は、本発明に従うリクライニングチェアの一実施形態を例示する図3〜図5において提供される。図3〜図5の概略図は、特に椅子の動作を例示し、椅子は後ろに傾き、一方、座部は同時に持ち上がり前方に移動する。これらの3つの図は、必ずしも一定の縮尺で描かれず、むしろ、椅子のリクライニング時にスプリング部分の効果と組み合わせて座部を上げかつ前進させる際の傾斜部とローラ40の組合せの機能を明確に表現するために提供される。
【0045】
図3に例示されるように、椅子は直立すなわち静止の位置にある。ベース10は、示され、湾曲した延長部25を含む。ローラ40は、ベース10に取り付けられ、ベース10から多少上方に突き出る。ローラ40をベース10に取り付ける方法が変化し得るように、ローラ40がベース10から上方に突き出る実際の距離は変化し得る。例えば、単純なバーが用いられ得、それによってローラの最大の表面積を露出させる。さらなる実施形態において、取付けは、ローラのより大きな適用範囲を提供しながらローラをベースに確実に取り付ける構成要素による。
【0046】
湾曲したサポートバー60は、傾斜部80が座部支持部分68の底面に形成されて、示される。図3に見られるように、傾斜部80は、座部支持部分68におけるカットアウト部分として見える。そのような実施形態において、湾曲したサポートバー60の座部支持部分68は、湾曲したサポートバー60の残りの部分より断面が実質的に厚くあり得、傾斜部80は、座部支持部分68の中に形成され得る。さらなる実施形態において、傾斜部80は、座部支持部分68の底面から下方に突出し得る。そのような実施形態において、傾斜部80は、座部支持部分68に確実に取り付けられた別個の構成要素であり得る。あるいは、傾斜部80は、座部支持部分68に連続し、単一の構成要素として形成され得る。類似の様々な形態はまた、傾斜部がベースに取り付けられ、ローラが湾曲したサポートバーの座部支持部分に取り付けられる実施形態において可能である。
【0047】
ローラとさらに相互に作用するものは、1つ以上のスプリング摩擦カップ45である。図3の実施形態に関して見られるように、ただ一つのスプリング摩擦カップは必要であるが、複数のカップは用いられ得る。スプリング摩擦カップ45は、スプリングの反対の端部がベース10に取り付けられるスプリングなどによって、ローラと接触するようにバイアスする(bias)。
【0048】
図3における例示にさらに見られるように、座部100は、座部支持部分68の上部面に取り付けられる。さらに背もたれ200は、湾曲したサポートバー60の背もたれ支持部分62に取り付けられて示される。好ましくは、背もたれ200は、背もたれ支持部62に傾斜可能に動くように取り付けられる。特定の実施形態において、背もたれ200を直立の位置にバイアスするバイアス機構が、装置に含められ得る。図3において、バイアス機構は、背もたれ支持部分62と背もたれ200との間に該支持部分に取り付けられたスプリング95を備えている。もちろんバイアス機構のさらなる実施形態もまた、本発明によって包含される。
【0049】
湾曲したサポートバー60は、傾斜部80が直接ローラ40上にあるということにおいて、ベース10と相互に作用する。特定の実施形態において、湾曲したサポートバー60は、湾曲した延長部25の、好みにより湾曲した延長部25の上端近くの旋回する留め金によってベースに固定される。この旋回する留め金は、下記のリクライニング動作のための背もたれリクライニング旋回点150として働く。
【0050】
本発明のリクライニングチェアは、ユーザの重量の利点を有益に獲得し、リクライニング動作および座部持上げ動作の両方を容易にし、かつ直立の座部引下げ位置への容易な戻りを提供する。椅子の占有者が背もたれに対して力を働かせるとき、力は背もたれ支持部に伝えられ、このことがリクライニング動作を引き起こす。この動作のもとに、背もたれ支持部は背もたれリクライニング旋回点の上で後部に傾斜し、背もたれ支持部は背もたれリクライニング旋回点の下で前方に押される。従って、背もたれリクライニング旋回点の下の背もたれ支持部の部分は、プッシャアームと呼ばれ得る。背もたれ支持部のプッシャアーム部分は、湾曲したサポートバーの湾曲した部分(サポートスプリング構成要素)に堅く接続される。プッシャアームが前方に移動すると、それによって、働く力はサポートスプリングを曲げ、プッシャアームの湾曲した形状をより開いた形態に変化させ、それによって傾斜および後ろへの傾きに対する抵抗を増加させる。サポートスプリングは、好みにより椅子を直立の位置に促進させるような形状である。背もたれ支持部および座部支持部の形状および関係が生ずるサポートスプリングは、背もたれ支持部と座部支持部との間の突き出しリンクとして機能し、その結果、背もたれ支持部に加えられるリクライニング力は前進する力として座部支持部に伝えられる。座部支持部が前方に動くと、取り付けられた傾斜部はローラ全体に動き、座部支持部と、取り付けられた座部と、座部占有者とを持ち上げられた位置に運ぶ。
【0051】
後ろに傾いた形状と傾斜部の形状および角度との組合せは好ましくは、占有者の着席重量が後ろに傾く力に対する平衡力として比例して転送されるように計算される。サポートスプリングもまた好ましくは、抵抗の一助となる。装置のリクライニング動作は概して、次の3つの組み合わされた動作によって調整される。すなわち、背もたれリクライニング旋回点における背もたれ支持部の傾斜、背もたれ支持部に対する背もたれ傾斜可能な留め金における背もたれの傾斜、および座部の持上げおよび前方への移動動作である。これら3つの作動の組合せは、自然で、最も快適な体のリクライニング動作に最も忠実にまねるリクライニング作動を提供する。
【0052】
快適性に加えて、リクライニングはまた、オフィスワークなどの仕事をする能力が妨げられないといことにおいて特に有用である。例えば、組み合わされた後ろに傾く作動において、座部は、本明細書に説明される目的を達成するのに有用な距離のみであるが、同時に持ち上がる。具体的には座部の上方への作動は、ユーザの足を床から持ち上げるほど大きくはない。好みにより、座部が持ち上がる距離はユーザに気づかれないほど小さい。特定の実施形態において、座部が上昇する距離は、約0.25インチ〜約1.5インチ、好ましくは約0.5インチ〜約1インチである。
【0053】
座ったユーザが椅子の背部に寄りかかり後ろに傾けると、ユーザの体重からの負荷は、主として座部によって支持されることから一部背もたれによって支持されることに移動され、この負荷移動は対数関係にある。従って、後ろに傾く角度が増加すると、背もたれ支持部に対する下方への力が増加し、増加は後ろに傾く角度と共に大きくなる。さらに、占有者が後ろに傾くと、背もたれは傾斜し、ユーザの上半身の重量からの背もたれに対する更なる負荷がリクライニング動作に移動され、ユーザに対してリクライニング作動をさらに容易にする。
【0054】
上記のように、本発明の支持装置は、特にユーザの快適性を最適化するように設計される。快適性は直感的であるように思われる概念であるので、目的の結果を達成することは困難な努力である。本発明は、装置に対する全体の支持の中にスプリング構成要素を組み込むことが、特に背もたれ支持部が特定の傾斜度を提供するように設計されているとき、リクライニング動作をより自然かつ快適に感じるようにし得ることの実現を具体化する。
【0055】
特定の実施形態に従って、装置によって提供される傾斜度は、ベースの上方に湾曲した延長部への湾曲したサポートバーの背もたれ支持部分の取付け点によって、少なくとも部分的に制御される。特に背もたれ支持部分における取付け点をより高くするかまたはより低くするかによって、傾斜度は、増加または減少させられ得る。さらにそのような配置はまた、リクライニング時プッシャアームによって働く力を増加または減少させる。傾斜度は、スプリング構成要素の力定数によって自然に限定される。さらに傾斜度は、停止機構を含めることによって限定され得る。例えば、ピンは、背もたれ支持部を通るかまたはそこから伸び、かつさらに背もたれリクライニング旋回点の下の点において上部に湾曲した延長部を通ってさらに延びるように位置を定められ得る。上方に湾曲した延長部を通る延長は、好ましくはすべり接合であり、すべり接合の長さは、背もたれ支持部の傾斜を限定し得る。
【0056】
一実施形態において、装置は、上記方法に従って背もたれ支持部が静止位置から約25°の最大後傾を有するように設計される。さらなる実施形態において、背もたれ支持部は、約14°〜約22°または約16°〜約20°の範囲の最大後傾を有する。一特定の実施形態において、背もたれ支持部は約18°の範囲の最大後傾を有する。
【0057】
座部に対して持上げ動作を提供し、それによって占有者を持ち上げる傾斜部の形状は、占有者の後ろに傾いた上半身によって働く増加する負荷よりはむしろ、占有者の下半身によって働く減少する負荷によって決定される。従って、本発明の好ましい実施形態において、傾斜部は、椅子のリクライニング動作が増加すると傾斜部の角度が変化するように有益に設計される。この変化する角度は、傾斜部がローラ全体に前方に移動すると増加する持上げ力を提供する、ローラに対する湾曲を画定する。
【0058】
本発明のリクライニングチェアは、傾斜部によって提供される可変角度によって特有に特徴づけられる。傾斜部角度は、座部における占有者を持ち上げるのに必要な力に対してリクライニング動作に対する抵抗を配分するように可変である。この関係は、椅子の動作の形状、最も詳細には占有者の体に対する後ろに傾いた旋回の位置によって、最も明確に決定される。形状は、特に傾斜部角度に関して最大化される。
【0059】
本発明に従う傾斜部角度は、後ろに傾いた形状、サポートスプリング構成要素の力、動作誘引構成要素の抵抗などを含む様々な要因に従って変化し得る。一特定の実施形態において、傾斜部湾曲の角度は範囲全体において変化し得、その結果、傾斜部角度は下げられた座部位置に一致する傾斜部の部分において最小化され、傾斜部は引き上げられた座部位置に一致する傾斜部の部分において最大化される。特定の実施形態において、最小の傾斜角度は、約5°〜約20°または約6°〜約15°である。一特定の実施形態にいて、最小傾斜部角度は、約8°である。さらに、特定の実施形態に従って、最大の(または最終的な)傾斜部角度は、約25°〜約35°または約27°〜約33°である。一好ましい実施形態において、最大傾斜部角度は、約30°である。
【0060】
上記のように、可変の傾斜部角度は、湾曲した形状から形成される傾斜部に一致する。従って、初期傾斜部角度および究極の傾斜部角度、ならびにその間の湾曲は、傾斜部の湾曲半径の点から画定され得る。一好ましい実施形態において、傾斜部角度およびその湾曲は、約7インチ〜約9インチ、より好ましくは約7.5インチ〜約8.5インチ、最も好ましくは約7.75インチ〜8.25インチの半径によって形成される。
【0061】
傾斜部の形状およびローラは変化し得る。特定の実施形態において、傾斜部は、形状が実質的に線形であり得、ローラは、形状が非一様(例えば、細長)であり得る。例えば、ローラは、実質的に楕円形であり得る。さらなる実施形態において、ローラは球形であり得るが、傾斜部は様々な形状(例えば、部分的に線形かつ部分的に湾曲している)を有し得、それによって様々な引き上げ動作を可能にする。
【0062】
上の説明を考慮して、装置のリクライニング動作は容易に予想され得る。図4において、装置の一実施形態は、後ろに傾いた位置において例示される。その図において見られ得るように、湾曲したサポートバーの背もたれサポート62は、背もたれリクライニング旋回点150の上で後部に傾斜し、旋回点の下で前方に押される。背もたれ200は、背もたれ旋回90において後方に傾斜している。湾曲したサポートバーの湾曲したスプリング部分65は、プッシャバーの突き出し動作によって曲げられ、それによって湾曲の角度を開く。プッシャバーの突き出しと湾曲したスプリング部分65の曲がりとの組合せは、下部座部支持部分68を前方に押すように機能する。従って、下部座部支持部68に取り付けられた傾斜部80はローラ全体40を移動し、傾斜部80の傾斜は下部座部支持部68を前方への動作と同時に上昇させる。もちろん下部座部支持部68に取り付けられた座部100は、同様に上昇し、前方に移動する。
【0063】
背もたれのリクライニングを可能にする支持装置の動作は、同時の座部の引き上げおよび前方への動作と共に、図5においてさらに例示される。図5において提供されるように、本発明に従う椅子の一実施形態は、直立位置および後ろに傾いた位置において示される。
【0064】
本発明の一実施形態に従う座席装置は、完全に組み立てられた状態で、図6〜図8に例示される。この実施形態に従って、ベース10は、椅子柱脚50の上に位置し、該椅子柱脚は好ましくは、高さ調整可能である。湾曲した延長部25は、ベース10から後方かつ上方に延びるように見られる。湾曲したサポートバーは大部分隠され、下部座部支持部分および湾曲した部分は、部分的にベース10および湾曲した延長部25内にありかつそれらによってカバーされる。湾曲したサポートバーの背もたれ支持部分62のみ、図6において容易に見える。この実施形態において、椅子は、背もたれ200と、座部100と、肘掛300とが含まれた状態で示される。背もたれ200は、背もたれ旋回90における背もたれ支持部62の上端に取り付けられる。さらなる実施形態において、肘掛は無い場合がある。同様に様々な型および機能の肘掛が、図に示される肘掛の代わりに用いられ得る。
【0065】
一実施形態において、肘掛300は、背もたれ支持部62を湾曲した延長部25(すなわち、背もたれリクライニング旋回点150)に取り付けるために用いられものと同じ手段によって湾曲した延長部25に取り付けられる。肘掛300は、安定性を加えるために第2の留め金によってさらに固定され得る。
【0066】
図6〜図8に例示される実施形態は、概してフレームに取り付けられた支持材料を有するフレームから形成される背もたれおよび座部を示す。オフィスチェアなどの支持装置において有用であると一般的に認められている任意の材料は、本発明に従って、背もたれおよび座部を形成する際に用いられ得る。例えば、織物材料は、用いられ得、発泡体または他の当て物材料などの1種類以上の緩衝材と組み合わされ得る。特定の実施形態において、ナイロン、ポリエステル、または他の合成もしくは天然の繊維もしくは皮などの様々な材料から作られるメッシュ織物を含む膜形成性材料が用いられ得る。例えば、メッシュタイプ材料に実質的に匹敵するように選択的にミシン目を入れられた皮革を備え得る。そういうものとして、ミシン目は、模様付きかまたは模様なしで、追加の望ましい品質をパネルに与え得る。あるいは、メッシュ織物は、ポリエステル/ナイロン混合などの材料の混合から構成され得る。本発明の一特定の実施形態において、用いられる材料はポリエステル織メッシュを備えている。背もたれおよび座部は、同じかまたは異なる材料を備え、有益な快適性特性を与えるのに有用であるような材料の組合せから形成され得る。
【0067】
別の局面において、本発明は、特に椅子座部に関する。該座席は、本明細書において別のやり方で説明されるように座席装置において特に有用であるが、様々な他の座席装置において用いられ得る。椅子座部は、それが支持表面全体に備えられた様々なレベルの支持を有する成形された隔壁支持表面を提供するということにおいて、特に有用である。
【0068】
一実施形態において、椅子座部は、U形の座席フレームを備えている。図7を参照すると、U形の座席フレームは、座席フレームの後部分を画定する湾曲した部分210を備えている。座席フレームは、湾曲した後部分から前方に延びる2つの側部分220をさらに備えている。好ましくは、側部分220は、特に椅子座部の後部から椅子座部の前部に延びる線に関して実質的にまっすぐである。もちろん側部分は、快適性を増加させるために、所望により曲線の輪郭を描かれ得る。例えば、側部分は、座部フレームの後部分の近くにわずかに下方への湾曲を有し得る。同様に、側部分は、座部フレームの前部分の近くに下方への湾曲を有し得、それによって、滝効果(waterfall effect)を提供する。そのような他の類似の輪郭は、側部分が座部の後部から座部の前部に実質的にまっすぐであるということにおいて、側部分の全体の性質から逸脱することなく提供され得る。換言すると、側部分は、上から見るとき実質的にまっすぐであるが、横から見るとき曲線の輪郭を示し、なおも本発明の境界内であり得る。U形状の座部フレームは、座部フレームの前部を画定する開放部分をさらに備えている。開放部分は、周りを巻くようにして連続するフレームを形成することなく、側部分を終わらせることによって形成される。さらに、中央開口部は湾曲した後部分および2つの側部分によって境界が定められる領域に形成される。
【0069】
フレームに加えて、椅子座部は、セットフレームの中央開口部を越えて広がる成形された隔壁支持表面をさらに備えている。従って、成形された隔壁の前縁は、座部の前縁を確定し、U形の座部フレームは正確には前部フレーム部品を含まない。特定の実施形態において、成形された隔壁は、周りを巻くようにして前縁を形成し得、隔壁は、座部フレームの上部を越えて広がり、前部を包み、座部フレームの底部の一部の位置に取り付く。前部フレーム部品が無いことは、(座ったとき)膝の後ろの脚の後面の部位においてユーザに快適性を提供するために特に有益である。
【0070】
前部フレーム部品を含む完全なフレームを有する公知の椅子において、ユーザの脚の後面は、座部フレームの堅い表面に対して置かれていて、これによってこの部位において圧力増強を引き起こし、このことは明らかに望ましくない。この問題を改善する過去の努力は、前部フレーム部品の上のこの部位に当て物(または余力の当て物)を備えること含む。しかしながら、このことは、この部位における座部の厚さを全体的に増加させ、より大きな圧力を引き起こすことによって(わずかにより大きな部位にわたり広がるが)、単に問題をさらにひどくする。しかしながら、本発明は、前部フレーム部品を除去することによってこの問題を解決する。従って、座ったとき、ユーザの脚は、成形された隔壁によって十分に支持され、ユーザの体重によって働かされた圧力は、前部のフレーム部品の上に集中されるよりはむしろ、支持の表面全体に均等に広がる。
【0071】
本発明は前部フレーム部品を除去することによって圧力増強を減少させるが、そのような除去は構造上の支持を犠牲にしない。それどころか、本発明の特定の実施形態において、椅子座部はまた、フレームの2つの実質的にまっすぐな側部分との間に位置する下方に湾曲したセパレータバーを備えている。好ましくはセパレータバーは、座部フレームの前部の近くに位置する。図8に戻ると、セパレータバー275は、椅子座部200の表面の下に見られ得る。セパレータバー275の位置決めおよび湾曲は、ユーザが座っているとき、ユーザの体とセパレータバー275とが接触するほど成形された隔壁が下向きに曲がらないほどである。しかしながら、セパレータバー275は、異常な激しい力が座部の前部分に加えられた場合(ユーザが椅子座部に立ち上がろうとする場合など)、セパレータバー275は、椅子座部を引き裂いたり、永久に変形させたりする点まで座部が変形するのを阻止する。
【0072】
セパレータバーは、それが座部フレームの2つの実質的にまっすぐな部分の自由な端部を引き離すように押すということにおいて特に有用である。特定の実施形態において、U形の座部フレームは、フレームのまっすぐな部分が実質的に平行かまたはフレームの前部分に向かって実際に内側に斜めに動く傾向があるように(すなわち、まっすぐな部分の自由な端部において)形成される。セパレータバーは、セパレータバーが取り付けられる位置において座部フレームの複数のまっすぐな部分の間の距離よりセパレータバーの全長が大きくなるように形成される。従って、セパレータバーを取り付けるとき、2つのまっすぐな部分の自由な端部は、離れるように押され、従って、隔壁が座部フレームの後部の近くよりも座部フレームの前部の近くにおいてより強く張られるように、以前に取り付けられた成形された隔壁をさらに張る。
【0073】
このことは、ユーザの快適性を増加させるのに特に有益である。少ない度合の引っ張りを有する成形された隔壁の後部分は、より多くの柔軟性を提供し、従って座ったユーザの尾骨部位に対して快適性を加える。さらに、多くの度合の引っ張りを有する隔壁の前部分は、座ったユーザの脚に一致した部位において増加した支持を提供し、このことはより均等に力を隔壁の表面全体に広げるという利益を有し、従って、ユーザの全体の快適性を増加させる。そのような快適性は、座部の前部分を成形することによってなおさらに増加され、滝効果を提供する。
【0074】
上記の観点から、本発明はまた、椅子座部を作る方法を提供する。一実施形態において、方法は、本明細書に説明されるようにU形の座部フレームを提供することと、成形された隔壁を提供することと、座部フレームに隔壁を取り付けることと、本明細書に説明されるように湾曲したセパレータバーを提供することと、好ましくは座部フレームの前部の近くで座部フレームにセパレータバーを取り付けることとを包含する。セパレータバーは、セパレータバーが取り付けられる位置において座部フレームの複数のまっすぐな部分の間の距離より大きい全長を有する。それによって、セパレータバーを取り付け次第、隔壁は、座部の前部分において張られる。隔壁は、セパレータバーを取り付ける前に座部フレームに取り付けられる。隔壁を最初に取り付けるとき、隔壁は張られるかまたは張られないかであり得る。さらに、初期の取付け時、張りの度合は変化され得る。
【0075】
本発明のなおも別の局面に従って、座席装置であって、座部および背部支持のうちの少なくとも1つは成形された隔壁から構成され、隔壁自体は隔壁の表面全体において様々なレベルの支持を提供する、座席装置が提供される。好ましくは、隔壁は、射出成形されたポリウレタンなどのエラストマ材料から形成される。あるいは、成形された隔壁は、メッシュ織物から形成される。さらに成形された隔壁は、本明細書において説明されるように、他のメッシュタイプの材料から形成され得る。概して、隔壁は、任意の柔軟性ある媒体から形成され得る。しかしながら、緩衝性および支持を提供し、材料上に形成される一連の開口部によって強度および耐久性を維持する能力のある任意の材料が本発明に従って用いられ得ることは理解される。特定の実施形態において、薄い発泡体または織物層が隔壁の上に備えられ得る。そのような実施形態において、薄い発泡体または織物層は、美的機能、装飾機能、またはわずかな緩衝機能を提供するためにのみ機能し、ユーザの重量を受けるように下に曲がる隔壁の能力に影響を及ぼさない。さらに、隔壁は、当該分野において有用な任意の方法によって座部支持部に取り付けられ得る。例えば、隔壁は、座部フレームまたは背もたれ全体に配置され、追加のスプラインを使用することによってまたは追加のスプラインを使用することなく、フレームの周りに延びる溝の中に押し込まれる成形された隔壁の縁によってフレームに固定され得る。
【0076】
本発明の成形された隔壁は、隔壁の全体の形状、表面の細部、および開口部が、局所的な体のニーズを満たすのに有益であるような個別の部位においてユーザに体の支持を提供するように計算されるということにおいて、特に特徴づけられる。成形された隔壁は概して、そこに形成される一連の開口部を有するように形成される。開口部は、本明細書に説明されるように様々な方法に従って形成され得、該方法は、様々なレベルの支持および緩衝性を提供することに有益な、特定のパターン、サイズおよび集中状態の開口部の形成を可能にすることにおいて特に有用である。
【0077】
開口部は概して、一連の行と列などのパターンで、成形された隔壁全体に形成され得る。但し、任意の通常のパターンは、開口部の基本的なレイアウトに関して用いられ得る。しかしながら、本発明に従って、隔壁に形成される開口部の通常のパターンに加えて、隔壁全体の様々な位置において開口部のサイズおよび集中状態を変更することによってパターンを変化させることが有益であることがわかった。当業者にとって認識可能であるように、隔壁における開口部のサイズを増加させることは、ユーザの重量に対する隔壁の全体の抵抗を減少させる。同様に、隔壁の所定の部位における開口部の数を増加させること(すなわち、開口部の集中状態)もまた、隔壁の抵抗を減少させる。局所的にまたは隔壁の個別の部位においてそのような変更を行なうことは、隔壁が隔壁全体における様々なレベルの支持および緩衝性を有するように特別に設計されることを可能にする。
【0078】
一特定の実施形態において、隔壁は、そこに形成される一連の開口部を有し得、該一連の開口部は、隔壁の後部の中央部分において異なるパターンの開口部を有するように妨げられる。この部位において、開口部の集中状態は、この部位においてより大きな集中状態を提供するように変更され得、該部位は概して、座ったユーザの尾骨部位に一致する。この部位における開口部の集中状態の増加は、存在する支持材料の量を減少させ、ユーザの尾骨部位が隔壁のこの部位においてより少ない抵抗に出合い、隔壁のこの部位においてより大きな緩衝性を効果的に提供する。
【0079】
本発明の別の実施形態において、上記のように、増加した緩衝効果は、より大きな緩衝性を必要とする隔壁の特定の部位において、隔壁の残りの部分における開口部のサイズと比較して、より大きな開口部を有するように隔壁を形成することによって提供され得る。そのような緩衝効果は、好みにより、隔壁の残りの部分が余力の支持を提供するように形成することによって強化される。例えば、開口部のサイズまたは集中状態が増加され、隔壁の特定の部位において余力の緩衝性を提供する特定の実施形態において、隔壁のそのような部位において通常出合う抵抗は、隔壁の他の部位に移動されることが予期される。上記の実施形態において、より多くの抵抗が尾骨部位に隣接する腿部位およびその前方に移動されることが予期される。従って、着席圧力はユーザの体全体により均等に分配され、尾骨部位などの局所的な高圧力部位を減少させる。従って、隔壁はさらに、より大きな圧力を受けるために隔壁の前方部位においてより大きな支持を提供するように形成され得る。一実施形態において、より大きな圧力を受けるように形成される隔壁の部位は、開口部のより少ない集中状態を有するようにまたはより小さい寸法の開口部を有するように形成され得る。あるいは、そのような部位は、増加した隔壁厚を有するように形成され、厚さは、必要に応じ隔壁全体おいて有益に変化し得る。例えば、隔壁の厚さは、座部の前部分の近くでより大きくなり、ユーザの尾骨に一致する部位においてより薄くなり得る。
【0080】
特定の実施形態において、座部の前部すなわち腿部位における増加した支持は、座部フレームの前部クロスサポートなどのどの堅い支持部品からも離れて一定の間隔に置いた位置にユーザの脚を維持するために提供され得る。この部位に適切な支持を提供することは、ユーザの重量に応答して隔壁が下降しクロスサポートと接触することを防ぐ。従って、より大きなレベルの快適性がユーザに与えられ、クロスサポートからの局所的な圧力は回避される。
【0081】
本発明のさらなる実施形態において、成形された隔壁は、特定の表面細部を含み、ユーザに追加の快適性および支持を提供し得る。表面細部は、隔壁における持ち上げられた部位および凹みを包含し得る。持ち上げられた部位または凹みは、特定の圧力点に治療上の救済を提供するように、または、ユーザの体全体に圧力をさらに分配するかもしくは利益があるように実際に治療上の効果を提供するために(例えば、指圧療法)圧力を増加させるように、計算されかつ位置が定められ得る。
【0082】
一実施形態において、成形された隔壁は、複数のウエブ構造によって相互に連結された複数のボス構造から形成される。ボス構造およびウエブ構造は、離れて一定の間隔に置かれ、構造間に一連の開口部を形成する。有益にも、ボス構造、ウエブ構造および開口部の寸法は、隔壁全体において変化され得、隔壁の個別の部位において様々なレベルの体の支持を提供する。そのような実施形態において、ボス構造はそれ自体、隔壁の持ち上げられた部分を形成し得る。同様に、ウエブ構造は隔壁の凹みを形成し得る。
【0083】
さらなる実施形態において、成形された隔壁は、座席装置の背もたれにおいて用いられ得る。好ましくは、背もたれの隔壁は、計算された複合の湾曲を有し、理想的な背もたれ支持部と調和する。背もたれに対する負荷は座部に対する負荷よりもはるかに小さいので、背もたれにおける隔壁の全厚さは概して、座部において用いられる隔壁厚より少ない。
【0084】
一特定の実施形態において、成形された隔壁は背もたれに用いられ、隔壁における開口部は、最適な支持および快適性を背中の腰部に提供するように特別に計算される。例えば、ユーザの腰部に一致する隔壁の部位における開口部は、好みにより、隔壁の他の部位よりも大きく、該より大きな開口部は腰部位においてより大きな柔軟性を可能にする。このより大きな柔軟性は、椅子の多数の可能性のあるユーザの様々な体に適合することにおいて特に利益がある。成形された隔壁は、背中の自然の輪郭の外形が変位量を制限するのでユーザの背中を支持することの過度の損失は決して無いということにおいて、この発明の実施形態において特に有用である。
【0085】
本発明のさらなる実施形態において、背もたれは、利益のある支持を提供するように組み合わされかつ明確に輪郭の示された複数の部品から形成され得る。例えば、背もたれは、複数の成形された隔壁から形成され得、この場合各隔壁は、ある形状に切られるかさもなければ形成され、その結果、いくつかの隔壁が一緒に組み合わされるとき、ユーザの形状に利益があるように適合させる能力のある椅子の背もたれを形成する。例えば、本発明に従って作られる背もたれは、追加の固体の構造の必要なしに、腰部支持を有するメッシュの背もたれを提供する。従って、本発明に従うメッシュの背もたれは、利益のある輪郭を達成するためにメッシュに圧力を加える当て物のない輪郭を有し得る。
【0086】
いくつかの隔壁は、従来の方法で組み合わされる能力がある。例えば、複数の隔壁は、隔壁を一緒に縫うことによって、それらを一緒に溶接することによって(音波溶接によるなど)、または隔壁を一緒に結ぶために接着剤を用いることによって、組み合わされ得る。典型的には、背もたれ表面は、複数の輪郭の示された隔壁から形成されたとき、少なくとも2つのまっすぐまたは曲線の継ぎ目を有する。好ましい実施形態において、継ぎ目は曲線である。さらなる実施形態において、成形された隔壁から形成された背もたれに提供される輪郭は、背もたれフレームによって提供される。
【0087】
本明細書に述べられる本発明の多くの修正および他の実施形態は、これらの発明が関係し前述の説明において提示される教示の利益を有する当業者に思いつく。従って、本発明が開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、修正および他の実施形態が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるように意図されることは理解されるべきである。本明細書において特定の用語が用いられるが、それらの用語は、一般的かつ説明的な意味のみで用いられ、限定する目的で用いられるのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)椅子柱脚と、
b)該椅子柱脚上に取り付けられたベースであって、該ベースは2つの上方に湾曲した延長部を含む、ベースと、
c)座部および底部表面を受けるための上部表面を有する座部支持部と、
d)該ベースおよび該座部支持部の該底部表面のうちの一方に取り付けられた複数のローラと、
e)該複数のローラと可動に相互に作用するための複数の湾曲した傾斜部であって、該傾斜部は、該ベースおよび該座部支持部の該底部表面のうちのもう一方に取り付けられた、複数の湾曲した傾斜部と、
f)該上方に湾曲した延長部に旋回するように取り付けられた背もたれ支持部と、
g)該座部支持部と該背もたれ支持部との間に位置し、かつそれらに堅く接続されるスプリング構成要素と、
h)該背もたれ支持部に傾斜可能に取り付けられた背もたれと、
i)該座部支持部の該上部表面に取り付けられた座部と
を備えている、座席装置。
【請求項2】
前記座部支持部、前記背もたれ支持部および前記スプリング構成要素は、単一の一体化した構成要素から成る、請求項1に記載の座席装置。
【請求項3】
a)ベースと、
b)湾曲した部分によって相互に連結された上部背もたれ支持部分と下部座部支持部分とを有する湾曲したサポートバーと、
c)1つ以上の傾斜部と、
d)該1つ以上の傾斜部と相互に作用する1つ以上の運動促進構成要素と
を備えている、座席装置。
【請求項4】
前記1つ以上の傾斜部は前記湾曲したサポートバーの前記座部支持部分に取り付けられ、前記1つ以上の運動促進構成要素は前記ベースに取り付けられる、請求項3に記載の座席装置。
【請求項5】
前記1つ以上の傾斜部は前記ベースに取り付けられ、前記1つ以上の運動促進構成要素は前記湾曲したサポートバーの前記座部支持部分に取り付けられる、請求項3に記載の座席装置。
【請求項6】
前記ベースに取り付けられる1つ以上の傾斜部と、前記湾曲したサポートバーの前記座部支持部分に取り付けられる1つ以上の傾斜部とを備え、該ベースの各々に取り付けられる1つ以上の運動促進構成要素と、該傾斜部と相互に作用する該湾曲したサポートバーの該座部支持部分とをさらに備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項7】
1つの傾斜部と、該傾斜部と相互に作用する1つの運動促進構成要素とを備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項8】
2つ以上の傾斜部と、該傾斜部と相互に作用する2つ以上の運動促進構成要素とを備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項9】
前記ベースは、1つ以上の上方に湾曲した延長部を含む、請求項3に記載の座席装置。
【請求項10】
前記湾曲したサポートバーの前記背もたれ支持部分は、前記1つ以上の上方に湾曲した延長部に旋回可能に接続される、請求項9に記載の座席装置。
【請求項11】
前記1つ以上の運動促進構成要素はローラを備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項12】
前記ローラは形状が球形である、請求項11に記載の座席装置。
【請求項13】
前記1つ以上の傾斜部は、湾曲した傾斜部を備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項14】
前記湾曲した傾斜部の湾曲は、約7インチ〜約9インチの半径を有する、請求項13に記載の座席装置。
【請求項15】
前記湾曲した傾斜部の湾曲は、約8°〜約30°の傾斜の範囲にわたって変化する傾斜を有する、請求項13に記載の座席装置。
【請求項16】
前記ローラは一様でない形状を有し、前記1つ以上の傾斜部は形状が実質的に線形である、請求項11に記載の座席装置。
【請求項17】
前記湾曲したサポートバーの前記湾曲した部分はスプリングを備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項18】
前記湾曲したサポートバーの前記背もたれ支持部分に傾斜可能に取り付けられる背もたれをさらに備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項19】
前記湾曲したサポートバーの前記座部支持部分に取り付けられる座部をさらに備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項20】
前記座部は、前記1つ以上の傾斜部と前記1つ以上の運動促進構成要素との間の相互作用によって全面的に支持される、請求項19に記載の座席装置。
【請求項21】
前記座部は、前記湾曲したサポートバーの前記座部支持部分にスライド可能に取り付けられる、請求項19に記載の座席装置。
【請求項22】
前記1つ以上の運動促進構成要素と相互に作用する1つ以上の摩擦誘導の構成要素をさらに備えている、請求項3に記載の座席装置。
【請求項23】
成形された隔壁支持表面を備え、該隔壁は該隔壁に形成される一連の開口部を有し、該開口部のサイズおよび集中状態のうちの少なくとも1つは、隔壁全体において変化し、該隔壁の個別の部位において様々なレベルの体の支持を提供する、座席装置。
【請求項24】
前記成形された隔壁は、エラストマの材料を備えている、請求項23に記載の座席装置。
【請求項25】
前記開口部のサイズは、圧力点に一致する部位において増加される、請求項23に記載の座席装置。
【請求項26】
前記圧力点に一致する部位は、着席したユーザの尾骨部位に一致する部位である、請求項25に記載の座席装置。
【請求項27】
前記開口部の集中状態は、圧力点に一致する部位において増加される、請求項23に記載の座席装置。
【請求項28】
1つ以上の表面の突起または凹みをさらに備えている、請求項23に記載の座席装置。
【請求項29】
複数のウエブ構造によって相互に連結された複数のボス構造からなる成形された隔壁支持表面であって、該ボス構造およびウエブ構造は一定の間隔に置かれ、それらの間に一連の開口部を形成する、成形された隔壁支持表面を備え、該ボス構造、該ウエブ構造および該開口部の寸法は、該隔壁全体において変化され、該隔壁の個別の部位において様々なレベルの体の支持を提供する、座席装置。
【請求項30】
変化する支持部を有する成形された隔壁支持表面を有する座席装置であって、該座席装置は、
a)座部フレームの後部を画定する湾曲した部分と、該座部フレームの側部を画定する2つの実質的にまっすぐな部分と、該座部フレームの前部を画定する開放部分と、中央開口部とを有するU形の座部フレームと、
b)該座部フレームの該中央開口部を越えて広がる成形された隔壁支持表面と、
c)該座部フレームの該前部の近くで該2つの実質的にまっすぐな部分の間に位置する下方に湾曲したセパレータバーと
を備え、
該セパレータバーの該下方への湾曲は、該成形された隔壁支持表面上に座るユーザの体が該セパレータバーと接触しないように成形されており、該成形された隔壁が該座部フレームの後部の近くよりも該座部フレームの該前部の近くで強く張って広げられるように、該セパレータバーは、該座部フレームの該2つの実質的にまっすぐな部分を押して引き離すようにする、座席装置。
【請求項31】
前記座部フレームの前部は、滝効果を提供するように成形される、請求項30に記載の座席装置。
【請求項32】
座席装置を作る方法であって、該方法は、
a)座部フレームの後部を画定する湾曲した部分と、該座部フレームの側部を画定する2つの実質的にまっすぐな部分と、該座部フレームの前部を画定する開放部分と、中央開口部とを備えているU形の座部フレームを提供することと、
b)成形された隔壁を提供することと、
c)該座部フレームの該中央開口部を越えて該U形の座部フレームに該成形された隔壁を取り付けることと、
d)湾曲したセパレータバーを提供することと、
e)該セパレータバーが該座部フレームの前部の近くで該座部フレームの該2つの実質的にまっすぐな部分の間に下方に湾曲するように位置するように、U形の座部フレームに該セパレータバーを取り付けることと
を包含し、
該成形された隔壁が該座部フレームの後部の近くよりも該座部フレームの該前部の近くで強く張って広げられるように、該座部フレームに該セパレータバーを取り付ける前記ステップが該成形された隔壁を強く張るように、該セパレータバーは全長を有する、方法。
【請求項33】
前記座部フレームに前記隔壁を取り付けるステップの間、前記成形された隔壁は強く張られる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記成形された隔壁支持表面上に座るユーザの体が前記セパレータバーに接触しないように、該セパレータバーの下方への湾曲が成形される、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−500148(P2010−500148A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524585(P2009−524585)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/023834
【国際公開番号】WO2008/020824
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(508285891)ヒューマンスケール コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】