説明

リスト式チェッキ弁

【課題】組み付けが容易でシール性等も良好なリフト式チェッキ弁を提供する。
【解決手段】上部と下部に通水口が設けられた弁箱1と、その弁箱1内に設けられた上下方向に延びる弁棒4に固定された円盤状の弁体5と、弁棒4を介して弁体5を上下方向に移動可能に支持するブッシュ7と、弁箱1に設けられ、弁体5が着座する弁座10と、弁体5に対し弁座10に着座する方向の弾性力を付勢するスプリング9と、弁体5の開閉を検知する開閉検知手段とを有し、弁体5の下部側に弁体の上下方向の移動をガイドする脚11,20を設け、開閉検知手段が該脚に取り付けたマグネット21と、マグネット21を検知する弁箱1に設けられた磁気近接スイッチ30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送水、無送水を検知する開閉検知手段を備えたリフト式チェッキ弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記形式のリフト式チェッキ弁としては、図4に示す構成のものが知られている。図4において、51は弁箱、52は弁体、53は弁座、54は弁棒、55は下部ガイド、56は上部ガイド、57は弁スプリング、58は緩衝傘、59はシートパッキン、60はバイパス弁である。このような弁において、ポンプによって加圧された水は、弁スプリング57に抗して弁体52を押し上げ、弁体52と弁座53の間の空間を通って上方へ流れる。また、弁体52下側の水流が停止した時、弁スプリング57の弾力により弁体52は下降し弁を閉鎖する。
【0003】
かかるチェッキ弁において、ポンプが作動しているにも拘らず水が送水されていないことを検知するため、弁には弁体52の開閉状態を検知する開閉検知手段を備えている。
【0004】
従来のリフト式チェッキ弁に設けられている開閉検知手段は金属である弁体52に近接配置させて高周波形近接スイッチを用いていた。しかしながら、かかる構成であると、高周波形近接スイッチによる誤動作なく無送水を検知するにはそのスイッチの検出面を弁体52に近づけなくてはならない。このため、高周波形近接スイッチは弁箱内に大きく突入して配置しなければならず、その場合のシールやスイッチ自体の強度等の問題に加えて組み付けコストが嵩む等という問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、組み付けが容易でシール性等も良好なリフト式チェッキ弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、上部と下部に通水口が設けられた弁箱と、該弁箱内に設けられた上下方向に延びる弁棒に固定された円盤状の弁体と、前記弁棒を介して該弁体を上下方向に移動可能に支持する上部支持手段と、前記弁箱に設けられ、前記弁体が着座する弁座と、前記弁体に対し該弁座に着座する方向の弾性力を付勢する付勢手段と、前記弁体の開閉を検知する開閉検知手段と、を有するリスト式チェッキ弁において、前記弁体の下部側に弁体の上下方向の移動をガイドするガイド部材を設け、前記開閉検知手段が該ガイド部材に取り付けたマグネットと、該マグネットを検知する前記弁箱に設けられた磁気センサーとを備えていることを特徴とするリスト式チェッキ弁を提案する。
【0007】
なお、本発明は、前記ガイド部材が前記弁体の下部側に固定され、複数本の脚部を備えた下部ガイドであり、該下部ガイドの脚の1つに前記マグネットが設けられていると、効果的である。
【0008】
さらに、本発明は、前記ガイド部材が前記下部ガイドとは別に設けた脚部材であり、該脚部材に前記マグネットが設けられていると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記磁気センサーはセンサー棒が弁箱の固定部における外形に対して偏心して螺合され、弁外部より前記センサー棒の螺合角度を変えることによりセンサー棒の高さ位置が調整可能であると、効果的である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送水、無送水を弁体の上下動ではなく、弁体に直接又は間接的に固定された脚部の動きから検知するので、センサーの弁箱内に突出させて配置することが防止でき、シール性や構造の簡素化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を好ましい実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るリスト式チェッキ弁を示す断面説明図である。
図1において、符号1は鋳鉄、ステンレス鋳物等から作られたリスト式チェッキ弁の弁箱1であり、弁箱1の上部および下部には通水口2,3が形成されている。弁箱1内には、上下方向に延びる弁棒4を有し、該弁棒4の下部に円形の弁体5が取り付けられている。弁棒4の上部は、弁箱1に支持されたスプリング押さえ6に設けられたブッシュ7に上下方向に移動可能に支持されている。そして、弁体5とスプリング押さえ6の間にはウォーターハンマーを防止するためのスプリング8が挿置され、弁体5に対し後述する弁座10に着座する方向への弾性力を付勢している。
【0011】
弁体5の下面にはシートパッキン9が設けられ、該シートパッキン9が弁座10に着座している。さらに、弁体5の下部側には上下方向の移動をガイドするガイド部材としてのガイド脚11が設けられ、本実施形態のガイド脚11は4方に張り出し、ナット12によって弁棒4に固定されている。なお、符号13はバイパス弁である。
【0012】
このように構成されたチェッキ弁において、送水、無送水を検知するため、弁体5の開閉を検知する開閉検知手段を設けるものがある。本例の開閉検知手段はセンサー脚20に取り付けたマグネット21と、該マグネット21により動作する磁気センサーとしての磁気近接スイッチ30とで構成されている。
【0013】
センサー脚20は、全体がほぼ帯状に形成され、図2に示すように、上部の固定部22と、固定部22の一端からほぼ直角に折れ曲がったマグネット取り付け脚部23とが形成されている。その固定部22には、弁棒4のボルト4aに嵌合する孔22aが形成されるが、その孔22aを形成する位置はトラック形状に形成され、用いる弁の大きさに応じて孔22aを形成する位置をA点とB点に変えることで、部品の共通化を図っている。また、マグネット取り付け脚部23はほぼ弁の内周面に沿って位置され、そのほぼ中央には嵌め込み部が形成され、該嵌め込み部にマグネット21が取り付けられている。なお、符号25はセンサー脚20の強度を得るためのリブである。また、センサー脚20はガイド脚11とともにナット12によって弁棒4に固定されるが、このときセンサー脚20は座金の用も兼ねている。
【0014】
一方、磁気近接スイッチ30は弁箱1のマグネット21に対向する位置に設けられた貫通孔に取り付けられる。この貫通孔は図3に示すように、水平方向に延び、外側面からその途中までは磁気近接スイッチ30のセンサー部が螺合されるネジ部14a、ネジ部14aの終端から内周面までが図1において断面逆コの字状のキャップ31が嵌め込まれる嵌め込み部14bに割り振られている。
【0015】
キャップ31はOリング32を介して貫通孔の嵌め込み部14bに嵌め込まれ、その先端である弁箱内面側には、図3に示すように、センサー脚20のマグネット取り付け脚部23の両側を規制するガイド突起33が設けられている。すなわち、弁体5はマグネット取り付け脚部23の両側がガイド突起33によってガイドされることにより、弁棒4を中心に回転してしまうことがなく、マグネット21が磁気近接スイッチ30の検知されない位置へ移動することが防止される。なお、キャップ31や上記センサー脚20は磁気近接スイッチ30の誤動作させるおそれのない非磁性体、例えば18-8オーステナイト系ステンレス非磁性体等から作られている。
【0016】
また、磁気近接スイッチ30の検知棒30aはキャップ31の軸線に対して上下方向に偏心して設けられている。このように構成すると、マグネット21に対し上下方向の位置調整が外側から行うことができる。すなわち、図1に示す状態において検知棒30aの軸線はキャップ31の軸線に対して下方にずれているが、磁気近接スイッチ30を180度回転すると、検知棒30aの軸線はキャップ31の軸線に対して上方にずれる。かかる構成により、磁気近接スイッチ30の検知棒30aをマグネット21に対して弁の外側から調整することができる。
【0017】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のみに限定されず各種改変することができるものである。
マグネット21は、センサー脚20に設けたが、ガイド脚11の1つに設けてもよい。このように構成すると、センサー脚20を不要にすることができる。ただし、マグネット21をセンサー脚20に設けた場合は、送水、無送水の検知が不要なユーザーに対してマグネットの装着コストが含まれずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るチェッキ弁の縦断面図である。
【図2】(a),(b)はセンサー脚の正面及び平面図である。
【図3】キャップとマグネットの関係を示す説明図である。
【図4】従来のチェッキ弁の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 弁箱
4 弁棒
5 弁体
10 弁座
11 ガイド脚
20 センサー脚
21 マグネット
30 磁気近接スイッチ
31 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部と下部に通水口が設けられた弁箱と、
該弁箱内に設けられた上下方向に延びる弁棒に固定された円盤状の弁体と、
前記弁棒を介して該弁体を上下方向に移動可能に支持する上部支持手段と、
前記弁箱に設けられ、前記弁体が着座する弁座と、
前記弁体に対し該弁座に着座する方向の弾性力を付勢する付勢手段と、
前記弁体の開閉を検知する開閉検知手段と、
を有するリスト式チェッキ弁において、
前記弁体の下部側に弁体の上下方向の移動をガイドするガイド部材を設け、
前記開閉検知手段が該ガイド部材に取り付けたマグネットと、該マグネットを検知する前記弁箱に設けられた磁気センサーとを備えていることを特徴とするリスト式チェッキ弁。
【請求項2】
請求項1に記載のリスト式チェッキ弁において、
前記ガイド部材が前記弁体の下部側に固定され、複数本の脚部を備えた下部ガイドであり、該下部ガイドの脚の1つに前記マグネットが設けられていることを特徴とするリスト式チェッキ弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリスト式チェッキ弁において、
前記ガイド部材が前記下部ガイドとは別に設けた脚部材であり、該脚部材に前記マグネットが設けられていることを特徴とするリスト式チェッキ弁。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかに記載のリスト式チェッキ弁において、
前記磁気センサーはセンサー棒が弁箱の固定部における外形に対して偏心して螺合され、弁外部より前記センサー棒の螺合角度を変えることによりセンサー棒の高さ位置が調整可能であることを特徴とするリスト式チェッキ弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−156326(P2009−156326A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334258(P2007−334258)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(591079753)株式会社熊谷鉄工所 (6)
【Fターム(参考)】