説明

リソグラフィー用共重合体およびその精製方法

【課題】リソグラフィー性能の低下要因となるリソグラフィー溶媒等への難溶解性の成分を除去できる共重合体の精製方法、および、この精製方法により得られる共重合体を提供することを目的とする。
【解決手段】リソグラフィー用共重合体を、良溶媒に溶解させて共重合体溶液を調製する工程と、前記共重合体溶液に、前記共重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶し且つFedorsの方法による溶解度パラメーターの値が18MPa1/2以下である貧溶媒を、前記共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する工程(貧溶媒添加工程)と、前記貧溶媒添加工程後の共重合体溶液を濾過する工程とを備える共重合体の精製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリソグラフィー用共重合体およびその精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶素子等の製造工程においては、近年、リソグラフィーによるパターン形成の微細化が急速に進んでいる。微細化の手法としては、照射光の短波長化がある。
最近では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術が導入され、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術及びEUVエキシマレーザー(波長:13nm)リソグラフィー技術が研究されている。
また、例えば、照射光の短波長化およびパターンの微細化に好適に対応できるレジスト組成物として、酸の作用により酸脱離性基が脱離してアルカリ可溶性となる重合体と、光酸発生剤とを含有する、いわゆる化学増幅型レジスト組成物が提唱され、その開発および改良が進められている。
【0003】
ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて用いられる化学増幅型レジスト用共重合体としては、波長193nmの光に対して透明なアクリル系共重合体が注目されている。
例えば下記特許文献1には、単量体として、(A)ラクトン環を有する脂環式炭化水素基がエステル結合している(メタ)アクリル酸エステル、(B)酸の作用により脱離可能な基がエステル結合している(メタ)アクリル酸エステル、および(C)極性の置換基を有する炭化水素基または酸素原子含有複素環基がエステル結合している(メタ)アクリル酸エステルを用いてなるレジスト用の共重合体が記載されている。
【0004】
ところで、半導体分野において、より高い集積度が求められるようになると、レジスト組成物には、高解像度を達成するためにリソグラフィー性能の向上が求められるとともに、現像欠陥数を減らす要求もこれまで以上に重要になってきた。このような現像欠陥を減らす方策として、共重合体溶液について微細な孔径のフィルターを用いて濾過を行う方法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、パターンが微細化するにつれて除去すべき凝集物は微小になり、また、フィルターの微孔径化には限界があることから、微細化に対応した凝集物の除去が困難となることが問題となっていた。
【0005】
そこで、特許文献3では、凝集物の除去効率を上げるために、リソグラフィー用共重合体溶液に貧溶媒を接触させることによって共重合体中の高分子量成分を析出させた後、除去する方法が記載されている。しかしながら、高分子量成分を析出させることによって粘調な沈殿物が生成するため、容器の壁面に沈澱物が付着することや、沈殿物を濾別する際にフィルターが目詰まりするなど、製造上において問題があった。
【0006】
そこで、特許文献4では、沈殿物が析出しない範囲で貧溶媒を接触させた後、濾別する方法が記載されている。しかしながら、貧溶媒の種類には制限がなく、特定の溶解度パラメーターを有する貧溶媒により、構成単位の共重合比率が偏った成分を除去することについては、何ら考慮されていないことから、リソグラフィー性能に結びつくアルカリ溶解性を改善するには効率が悪いことが懸念されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−145955号公報
【特許文献2】特開2005−189789号公報
【特許文献3】特開2008−38118号公報
【特許文献4】特開2009−235185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した各従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、リソグラフィー性能の低下要因となる難溶解性成分を除去できるリソグラフィー用共重合体の精製方法、およびこの精製方法により得られる共重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、リソグラフィー用共重合体を、良溶媒に溶解させて共重合体溶液を調製する工程と、前記共重合体溶液に、前記共重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶し且つFedorsの方法による溶解度パラメーターの値が18MPa1/2以下である貧溶媒を、前記共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する工程(貧溶媒添加工程)と、前記貧溶媒添加工程後の共重合体溶液を濾過する工程とを備える共重合体の精製方法である。
【0010】
本発明の第2の態様は、リソグラフィー用共重合体を、良溶媒に溶解させて共重合体溶液を調製する工程と、前記共重合体溶液に、前記共重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶する貧溶媒を、前記共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する工程(貧溶媒添加工程)と、前記貧溶媒添加工程後の共重合体溶液中の難溶解成分を分離する工程とを備えることを特徴とする共重合体の精製方法である。
本発明の第3の態様は、上記精製方法により得られるリソグラフィー用共重合体である。
本発明の第4の態様は、上記リソグラフィー用共重合体を含むリソグラフィー組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の精製方法により、リソグラフィー溶媒等への難溶解性成分を効率的に除去できるので、リソグラフィー性能に優れたリソグラフィー用共重合体および該リソグラフィー用重合体を含むリソグラフィー組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
【0013】
<リソグラフィー用共重合体>
本発明において精製の対象となるリソグラフィー用共重合体は、リソグラフィー工程に用いられる共重合体であれば、特に限定されずに適用することができる。
例えば、レジスト膜の形成に用いられるレジスト用共重合体、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜(TARC)、またはレジスト膜の下層に形成される反射防止膜(BARC)の形成に用いられる反射防止膜用共重合体、ギャップフィル膜の形成に用いられるギャップフィル膜用共重合体、トップコート膜の形成に用いられるトップコート膜用共重合体が挙げられる。
【0014】
レジスト用共重合体の例としては、酸脱離性基を有する構成単位の1種以上と、極性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体が挙げられる。
【0015】
反射防止膜用共重合体の例としては、吸光性基を有する構成単位と、レジスト膜と混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能なアミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の反応性官能基を有する構成単位とを含む共重合体が挙げられる。
吸光性基とは、レジスト組成物中の感光成分が感度を有する波長領域の光に対して、高い吸収性能を有する基であり、具体例としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環等の環構造(任意の置換基を有していてもよい。)を有する基が挙げられる。特に、照射光として、KrFレーザ光が用いられる場合には、アントラセン環又は任意の置換基を有するアントラセン環が好ましく、ArFレーザ光が用いられる場合には、ベンゼン環又は任意の置換基を有するベンゼン環が好ましい。
上記任意の置換基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。
これらのうち、吸光性基として、保護された又は保護されていないフェノール性水酸基を有するものが、良好な現像性・高解像性の観点から好ましい。
上記吸光性基を有する構成単位・単量体として、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
ギャップフィル膜用共重合体の例としては、狭いギャップに流れ込むための適度な粘度を有し、レジスト膜や反射防止膜との混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能な反応性官能基を有する構成単位を含む共重合体、具体的にはヒドロキシスチレンと、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の単量体との共重合体が挙げられる。
液浸リソグラフィーに用いられるトップコート膜用共重合体の例としては、カルボキシル基を有する構成単位を含む共重合体、水酸基が置換したフッ素含有基を有する構成単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0017】
<レジスト用共重合体>
以下、リソグラフィー用共重合体の代表例としてレジスト用共重合体(以下、単に共重合体ということもある。)を挙げて本発明を説明するが、他のリソグラフィー用共重合体も同様に適用できる。
レジスト用共重合体は、レジスト膜の形成に用いられる共重合体であれば、特に限定されずに適用することができる。
【0018】
[酸脱離性基を有する構成単位・単量体]
「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が共重合体の主鎖から脱離する基である。
酸脱離性基を有する構成単位を含む共重合体は、レジスト組成物として用いた場合、酸によってアルカリに可溶となり、レジストパターンの形成を可能とする作用を奏する。
酸脱離性基を有する構成単位の含有量は、感度および解像度の点から、共重合体を構成する全構成単位のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0019】
酸脱離性基を有する単量体は、酸脱離性基、および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
【0020】
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、または、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、またはオキセパニル基を表す。)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0021】
特に、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト組成物を製造する場合には、酸脱離性基を有する単量体の好ましい例として、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
[極性基を有する構成単位・単量体]
「極性基」とは、極性を持つ官能基または極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用共重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに後述の親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
【0023】
(ラクトン骨格を有する構成単位・単量体)
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合していてもよい。
共重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0024】
ラクトン骨格を有する単量体としては、基板等への密着性に優れる点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
【0025】
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3−オン、9−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3−オン等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。また、類似構造を持つ単量体として、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等も挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
(親水性基を有する構成単位・単量体)
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用共重合体は、親水性基としてヒドロキシ基、シアノ基を有することが好ましい。
共重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0027】
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリ酸エステル、単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体、環式炭化水素基を有する単量体((メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル等。)が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有する単量体が挙げられる。
【0028】
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。基板等に対する密着性の点から、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<重合開始剤>
重合開始剤を使用する重合では、重合開始剤のラジカル体が反応溶液中に生じ、このラジカル体を起点として単量体の逐次重合が進行する。本発明のレジスト用共重合体の製造に用いられる重合開始剤は、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましく、10時間半減期温度が重合温度条以下であるものを用いることが好ましい。例えばリソグラフィー用重合体を製造する場合の好ましい重合温度は50〜150℃であり、重合開始剤としては10時間半減期温度が50〜70℃のものを用いることが好ましい。また重合開始剤が効率的に分解するためには、重合開始剤の10時間半減期温度と重合温度との差が10℃以上であることが好ましい。
重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ化合物、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;が挙げられる。アゾ化合物がより好ましい。
【0030】
<溶媒>
上記製造方法においては重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、例えば、下記のものが挙げられる。
エーテル類:鎖状エーテル(例えばジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等。)、環状エーテル(例えばテトラヒドロフラン(以下、「THF」と記すこともある。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記すこともある。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば、重合反応終了時の反応器内の液(重合反応溶液)の固形分濃度が20〜40質量%程度となる量が好ましい。
【0031】
<リソグラフィー用共重合体の製造方法>
以下、リソグラフィー用共重合体の製造方法の代表例としてレジスト用共重合体の製造方法を挙げて説明するが、他のリソグラフィー用共重合体も同様に適用できる。
レジスト用共重合体は、ラジカル重合法によって得ることができる。重合方法は特に限定されず、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法を適宜用いることができる。
特に、光線透過率を低下させないために、重合反応終了後に残存する単量体を除去する工程を容易に行える点、重合体の分子量を比較的低くしやすい点から、溶液ラジカル重合法が好ましい。そのうちで、製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性のある重合体を簡便に得やすい点から、滴下重合法が更に好ましい。
【0032】
滴下重合法においては、重合容器内を所定の重合温度まで加熱した後、単量体及び重合開始剤を、各々独立に、又は任意の組み合わせで、重合容器内に滴下する。単量体は、単量体のみで滴下してもよく、又は単量体を溶媒に溶解させた単量体溶液として滴下してもよい。重合容器に予め溶媒を仕込んでもよく、仕込まなくてもよい。重合容器に予め溶媒を仕込まない場合、単量体または重合開始剤は、溶媒がない状態で重合容器中に滴下される。
【0033】
上記重合開始剤は、単量体に直接に溶解させてもよく、単量体溶液に溶解させてもよく、又は溶媒のみに溶解させてもよい。単量体及び重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく、各々独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよい。または、各々独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合して、重合容器中に滴下してもよい。上記単量体及び重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
なお、滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、又は単量体や重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。滴下は、連続的又は間欠的に行ってもよい。
【0034】
上記のような例で製造された共重合体溶液は、メタノール、水等の多量の貧溶媒中に滴下して共重合体を析出させ、その後、その析出物を濾別し十分に乾燥する。この工程は一般に「再沈」と呼ばれ、場合により不要となることがあるが、共重合体溶液中に残存する未反応の単量体やオリゴマー、あるいは重合開始剤等を取り除くために有効である。これらの未反応物は、そのまま残存しているとレジスト性能に悪影響を及ぼす可能性があるので、できるだけ取り除くことが好ましい。
【0035】
上記のように再沈して得た共重合体には、分子量ならびに単量体の組成に分布が存在するため、溶媒への溶解性に乏しい成分が存在する。このような難溶解性成分は溶媒中で凝集体を形成して、現像欠陥の発生などレジスト性能低下の原因となりうるので、難溶解性成分を共重合体もしくは共重合体溶液から選択的に取り除くことが、レジスト性能の低下を抑制する上で重要である。このような難溶解性成分を除去する手法として、良溶媒に溶解させた共重合体溶液に適量の貧溶媒を加えることで難溶解性成分の凝集体を形成させ、その凝集体を分離除去することができる。
【0036】
難溶解性成分とは、例えば、重合過程で生成する高分子量成分や構成単位の共重合比率が偏った成分であることが推察され、この難溶解性成分が存在することによって、リソグラフィー用溶媒への溶解性や、アルカリ現像液への溶解性が低下し、その結果、現像欠陥等のリソグラフィー性能が低下する。
【0037】
<精製方法>
<共重合体溶液を調整する工程>
本発明の精製方法では、まず、リソグラフィー用共重合体を良溶媒に溶解させて、共重合体溶液を調製する工程を有する。共重合体を溶解する良溶媒としては、共重合体が溶解する溶媒であれば特に限定されないが、例えば、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状若しくは分岐状のケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類のほか、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0038】
<貧溶媒添加工程>
次いで、前記工程で調製した共重合体溶液に、共重合体は溶解しないが、前記良溶媒には相溶する貧溶媒を、共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する(貧溶媒添加工程)。
貧溶媒は、貧溶媒単体では共重合体を溶解しないが、重合体を溶解する良溶媒には相互溶解する溶媒であり、共重合体に含まれる難溶解性成分の凝集体を形成させるために用いられるものである。
貧溶媒は、重合体が溶解しない溶媒であれば特に限定されないが、例として、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、1−メ
トキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂
環式炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル類、水などが挙げられる。
【0039】
現像特性に結びつくアルカリ現像液への溶解性を担う酸脱離性基が設計組成比よりも少ない難溶解性成分を除去する必要があることから、上記貧溶媒のFedorsの方法による溶解度パラメーターの値が、18MPa1/2以下であることが好ましく、16MPa1/2以下であることがさらに好ましい。前記有機溶媒の溶解度パラメーターは、例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」、第4版(Wiley-Interscience、2003、VII-675頁〜VII-711頁)に記載の方法により求めることができる。また、前記有機溶媒の溶解度パラメーターとして、該文献の表1(VII-683頁)、表7〜8(VII-688頁〜VII-711頁)の値を採用できる。前記有機溶媒が複数の溶媒の混合溶媒である場合の溶解度パラメーターは、公知の方法により求めることができる。例えば、混合溶媒の溶解度パラメーターは、加成性が成立するとして、各溶媒の溶解度パラメーターと体積分率との積の総和として求めることができる。
上記溶解度パラメーターを有する有機溶媒として、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル類などが挙げられる。
【0040】
共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する貧溶媒量は、目視で判断することも可能であるが、例えば、紫外可視分光光度計により測定される光の透過率によって定量的に判断することができる。該透過率の測定波長は、測定対象であるレジスト用共重合体を用いて形成されたレジスト膜が透明性を示さない波長を用いる。例えばレジスト用共重合体がアクリル系重合体である場合には、測定波長として可視光領域の波長が好ましく、具体的には380〜780nmが好適である。共重合体溶液に貧溶媒を添加し、難溶解性成分が析出するにつれて透過率は低下する。
貧溶媒を添加する量を判断する具体的な透過率は、75〜90(%)が好ましく、82〜88(%)がより好ましい。透過率がこの範囲内にあると、難溶解性成分の除去効率が上がり、かつ、沈殿物析出による容器壁面への付着や濾別フィルターの目詰まりが抑制できるため好ましい。
【0041】
貧溶媒を添加する際には、まずレジスト用共重合体を良溶媒に完全に溶解させ、紫外可視分光光度計により透過率をモニターしながら貧溶媒を添加し、透過率が上記の好ましい範囲に達した時点で貧溶媒の添加を止める方法が好ましい。
【0042】
本明細書における良溶媒とは、常温(25℃)において、レジスト用共重合体を、5質量倍量以下の溶媒量で完全に溶解できる溶媒をいう。特に3質量倍量以下の溶媒量でレジスト用共重合体を完全に溶解できるものを用いることが好ましい。なお「完全に溶解」とは上記透過率が100%である状態をいう。試験溶液に用いる良溶媒は1種単独の溶媒でもよく2種以上の混合物でもよい。混合溶媒の場合は、混合後に上記良溶媒の条件を満たすものであれば、良溶媒として用いることができる。
一方、貧溶媒とは、常温(25℃)において、レジスト用共重合体に対し、5質量倍量の単独溶媒を加えて撹拌しても全く溶解しない溶媒をいう。特に10質量倍量の単独溶媒を加えても全く溶解しないものを用いることが好ましい。混合溶媒の場合は、混合後に上記貧溶媒の条件を満たすものであれば、貧溶媒として用いることができる。
【0043】
<分離工程>
次いで、前記貧溶媒添加工程後の共重合体溶液中の難溶解性成分を分離除去する。分離除去する方法は特に限定されないが、例えば、濾過、遠心分離、デカンテーションなどが挙げられる。分離除去する溶液量や分離効率から、濾過による分離除去が好ましい。
また、上記精製工程時の温度に関しては、精製に用いる溶媒が揮発せず、かつ、効率的に分離除去できる溶液粘度を有することが必要なことから、0〜40℃であることが好ましい。
【0044】
濾過に用いるフィルターは、材質は重合体溶液によって劣化しないものであれば特に限
定されないが、例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポ
リイミドなどを挙げることができる。また、孔径は0.01μm〜1.0μmであること
が望ましく、さらに0.02μm〜0.5μmであることがさらに好ましい。孔径がこの範囲内にあると、生成した凝集物を除去する能力が維持されるとともに、フィルター目詰まりなどの不具合も生じないため、好ましい。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
共重合体を合成するために用いた単量体(M−1)〜(M−3)を下記に示す。
【化1】

【0047】
実施例1
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチル72.6部を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げ、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(M−1、α−GBLMA)30.6部、1−エチルシクロヘキシルメタクリレート(M−2、ECHMA)35.3部、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル(M−3、HAdMA)21.2部、乳酸エチル130.7部、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V−601(製品名))2.6部を混合した混合溶液を滴下漏斗より一定速度で4時間かけてフラスコ中に滴下し、その後、80℃の温度を3時間保持した。
次いで、得られた反応溶液を約7倍量のメタノールと水との混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)に撹拌しながら滴下し、白色の析出物の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別し、再び約7倍量のメタノールと水との混合溶媒(メタノール/水=85/15容量比)に投入した。これを濾別、回収し、減圧下60℃で約40時間乾燥し、共重合体Aの粉末を得た。
【0048】
この共重合体Aを共重合体濃度が10質量%となるように良溶媒であるPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に溶解させて共重合体溶液100gを得た。溶液の温度は常温(25℃)とした。
この共重合体溶液に、Fedorsの方法による溶解度パラメーターの値が15MPa1/2であるn−ヘプタンを、共重合体が析出しない範囲で攪拌しながら13.8g添加した。紫外可視分光光度計として、島津製作所社製、UV−3100PC(製品名)を用い、光路長10mmの石英製角型セルに前記貧溶媒添加後の溶液を入れ、波長450nmにおける透過率を測定したところ、波長450nmにおける透過率は85%であり、共重合体が析出せず、添加量が適当であることを確認した。
【0049】
この共重合体溶液を、孔径0.04μmのPTFEフィルターを用いて濾過した後、得られた濾過溶液を約10倍量の水に撹拌しながら滴下し、白色の析出物(共重合体A−1)の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別、回収し、減圧下60℃で約40時間乾燥し、共重合体A−1の粉末を得た。
【0050】
比較例1
実施例1で得られた共重合体Aを共重合体濃度が10質量%となるように良溶媒であるPGMEAに溶解させて共重合体溶液100gを得た。溶液の温度は常温(25℃)とした。
この共重合体溶液に、Fedorsの方法による溶解度パラメーターの値が30MPa1/2であるメタノールを共重合体が析出しない範囲で攪拌しながら116.6g添加した。紫外可視分光光度計として、島津製作所社製、UV−3100PC(製品名)を用い、光路長10mmの石英製角型セルに前記貧溶媒添加後の溶液を入れ、波長450nmにおける透過率を測定したところ、波長450nmにおける透過率は85%であり、共重合体が析出せず、添加量が適当であることを確認した。
【0051】
この共重合体溶液を、孔径0.04μmのPTFEフィルターを用いて濾過した後、得られた濾過溶液を約10倍量の水に撹拌しながら滴下し、白色の析出物(共重合体A−2)の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別、回収し、減圧下60℃で約40時間乾燥し、共重合体A−2の粉末を得た。
【0052】
比較例2
実施例1で得られた共重合体Aを共重合体濃度が10質量%となるように良溶媒であるPGMEAに溶解させて共重合体溶液100gを得た。溶液の温度は常温(25℃)とした。
【0053】
この共重合体溶液を、孔径0.04μmのPTFEフィルターを用いて濾過した後、得られた濾過溶液を約10倍量の水に撹拌しながら滴下し、白色の析出物(共重合体A−3)の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別、回収し、減圧下60℃で約40時間乾燥し、共重合体A−3の粉末を得た。
【0054】
(共重合体の重量平均分子量)
共重合体A−1〜3について重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を以下の方法で測定した。
約20mgのサンプルを5mLのTHFに溶解し、0.5μmのメンブランフィルターで濾過して試料溶液を調製し、この試料溶液を東ソー製ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)装置:HCL−8220(製品名)を用いて、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。この測定において、分離カラムは、昭和電工社製、Shodex GPC LF−804L(製品名)を3本直列にしたものを用い、溶剤はTHF(テトラヒドロフラン)、流量1.0mL/min、検出器は示差屈折計、測定温度40℃、注入量0.1mLで、標準ポリマーとしてポリスチレンを使用した。測定結果を表1に示す。
【0055】
(共重合体における構成単位の組成比)
共重合体A−1〜3における各構成単位の組成比(単位:モル%)を、1H−NMRの測定により求めた。
この測定において、日本電子(株)製、JNM−GX270型 超伝導FT−NMRを用い、約5質量%のサンプル溶液(溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド)を直径5mmφのサンプル管に入れ、観測周波数270MHz、シングルパルスモードにて、H 64回の積算を行った。測定温度は60℃で行った。測定結果を表1に示す。
【0056】
[感度評価]
共重合体A−1〜3をそれぞれ用いてリソグラフィー用のレジスト組成物を調製し、これを用いてドライリソグラフィーを行ったときの感度を以下の方法で測定した。
(レジスト組成物の調製)
下記の配合成分を混合してレジスト組成物を得た。
レジスト用共重合体:10部、
光酸発生剤(みどり化学(株)社製、製品名:TPS−105、トリフェニルスルホニウムトリフレート):0.2部、
レベリング剤(日本ユニカー(株)社製、製品名:L−7001):0.2部、
溶媒(PGMEA):90部。
【0057】
(ドライリソグラフィー)
上記で得たレジスト組成物を、6インチシリコンウエハー上に回転塗布し、ホットプレート上で120℃、60秒間プリベーク(PB)して、厚さ300nmの薄膜を形成した。ArFエキシマレーザー露光装置(リソテックジャパン社製、製品名:VUVES−4500)を用い、露光量を変えて18ショットの露光を行った。1ショットは10mm×10mmの矩形領域に対する全面露光である。次いで110℃、60秒間のポストベーク(PEB)を行った後、レジスト現像アナライザー(リソテックジャパン社製、製品名:RDA−790)を用い、23.5℃にて2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で65秒間現像し、現像中のレジスト膜厚の経時変化を測定した。各露光量ごとに、初期膜厚に対する、60秒間現像した時点での残存膜厚の割合(以下、残膜率という。単位:%)を求めた。
得られたデータを基に、露光量(mJ/cm)の対数と、残膜率(%)との関係をプロットした曲線(以下、露光量残膜率曲線という)を作成し、該露光量残膜率曲線が残膜率=0%の直線と交わる点における露光量(mJ/cm)(以下、Ethという)の値を求めた。Ethとは、残膜率0%とするための必要露光量であり、感度を表す。Ethが小さいほど感度が高い。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1の結果に示されるように、所定の溶解度パラメーター値を有する貧溶媒を、共重合体を析出させない範囲で添加して濾過をすることによって(実施例1)、所定の溶解度パラメーター値を有さない貧溶媒を共重合体を析出させない範囲で添加して濾過する場合(比較例1)及び貧溶媒を添加せず濾過する場合(比較例2)の場合と比べて、感度を示すEthの値が小さくなっている。
上記のとおり、本発明の精製方法によって、リソグラフィー性能が向上することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィー用共重合体を、良溶媒に溶解させて共重合体溶液を調製する工程と、前記共重合体溶液に、前記共重合体を溶解しないが前記溶良媒には相溶し且つFedorsの方法による溶解度パラメーターの値が18MPa1/2以下である貧溶媒を、前記共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する工程(貧溶媒添加工程)と、
前記貧溶媒添加工程後の共重合体溶液を濾過する工程とを備える共重合体の精製方法。
【請求項2】
リソグラフィー用共重合体を、良溶媒に溶解させて共重合体溶液を調製する工程と、
前記共重合体溶液に、前記共重合体を溶解しないが前記良溶媒には相溶する貧溶媒を、前記共重合体による沈殿が析出しない範囲で添加する工程(貧溶媒添加工程)と、
前記貧溶媒添加工程後の共重合体溶液中の難溶解性成分を分離する工程とを備える共重合体の精製方法。
【請求項3】
前記貧溶媒のFedorsの方法による溶解度パラメーターの値が18MPa1/2以下である請求項2記載の共重合体の精製方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の精製方法により得られるリソグラフィー用共重合体。
【請求項5】
請求項4に記載のリソグラフィー用共重合体を含むリソグラフィー組成物。

【公開番号】特開2012−31266(P2012−31266A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171051(P2010−171051)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】