説明

リソグラフィー用重合体およびその製造方法、レジスト組成物、ならびに基板の製造方法

【課題】共重合体における構成単位の含有比率のばらつきを改善でき、溶媒への溶解性、およびレジスト組成物に用いたときの感度を向上できる重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】反応器内に単量体および重合開始剤を滴下しながら、該反応器内で2種以上の単量体を重合して重合体(P)を得る。単量体を含有し単量体の組成が互いに異なる溶液S1〜Sm(mは2以上の整数)を用い、溶液S1〜S(m−1)をそれぞれ反応器内へ供給する主工程と、該主工程が終了した後に溶液Smを反応器内に供給する後工程とを行う。溶液Smに含まれる単量体の合計量が全単量体供給量の0.1〜10質量%であり、溶液Smは、単量体α〜αのうち、最も共重合反応速度が遅い単量体を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリソグラフィー用重合体の製造方法、該製造方法により得られるリソグラフィー用重合体、該リソグラフィー用重合体を用いたレジスト組成物、および該レジスト組成物を用いて、パターンが形成された基板を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶素子等の製造工程においては、近年、リソグラフィーによるパターン形成の微細化が急速に進んでいる。微細化の手法としては、照射光の短波長化がある。
最近では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術が導入され、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術及びEUV(波長:13.5nm)リソグラフィー技術が研究されている。
また、例えば、照射光の短波長化およびパターンの微細化に好適に対応できるレジスト組成物として、酸の作用により酸脱離性基が脱離してアルカリ可溶性となる重合体と、光酸発生剤とを含有する、いわゆる化学増幅型レジスト組成物が提唱され、その開発および改良が進められている。
【0003】
ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて用いられる化学増幅型レジスト用重合体としては、波長193nmの光に対して透明なアクリル系重合体が注目されている。
例えば下記特許文献1には、単量体として、(A)ラクトン環を有する脂環式炭化水素基がエステル結合している(メタ)アクリル酸エステル、(B)酸の作用により脱離可能な基がエステル結合している(メタ)アクリル酸エステル、および(C)極性の置換基を有する炭化水素基または酸素原子含有複素環基がエステル結合している(メタ)アクリル酸エステルを用いてなるリソグラフィー用の共重合体が記載されている。
【0004】
ところで、(メタ)アクリル酸エステルの重合体はラジカル重合法で重合されるのが一般的である。一般に、モノマーが2種以上ある多元系重合体では、各モノマー間の共重合反応性比が異なるため、重合初期と重合後期で生成する重合体の共重合組成比が異なり、得られる重合体は組成分布を持つようになる。
共重合体における構成単位の組成比にばらつきがあると、溶媒への溶解性が低くなりやすく、レジスト組成物を調製する際に、溶媒に溶解させるのに長時間を要したり、不溶分が発生することで製造工程数が増加したりする等、レジスト組成物の調製に支障を来たす場合がある。また、得られるレジスト組成物の感度が不充分となりやすい。
これに対して、例えば下記特許文献2には、高い解像度を有するレジストを得るために、相対的に重合速度が速い単量体と遅い単量体の供給比率を前工程と後工程で変化させ、共重合組成分布の狭い重合体を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−145955号公報
【特許文献2】特開2001−201856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に記載されている方法では、リソグラフィー用重合体の溶解性、またはレジスト組成物の感度が充分に改善されない場合がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、共重合体における構成単位の含有比率のばらつきを改善でき、溶媒への溶解性、およびレジスト組成物に用いたときの感度を向上できる重合体の製造方法、該製造方法により得らリソグラフィー用重合体、該リソグラフィー用重合体を用いたレジスト組成物、および該レジスト組成物を用いて、パターンが形成された基板を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、反応器内に単量体および重合開始剤を滴下しながら、該反応器内で2種以上の単量体α〜α(ただし、nは2以上の整数を表す。)を重合して、構成単位α’〜α’(ただし、α’〜α’は単量体α〜αからそれぞれ導かれる構成単位を表す。)からなる重合体(P)を得る重合工程を有するリソグラフィー用重合体の製造方法であって、単量体を含有し単量体の組成が互いに異なる複数の溶液S1〜Sm(mは2以上の整数)を用い、前記重合工程が、溶液S1〜S(m−1)をそれぞれ反応器内へ供給する主工程と、該主工程が終了した後に溶液Smを反応器内に供給する後工程とを有し、前記溶液Smに含まれる単量体の合計量が全単量体供給量の0.1〜10質量%であり、該溶液Smは、単量体α〜αのうち、最も共重合反応速度が遅い単量体を含まないことを特徴とするリソグラフィー用重合体の製造方法である。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記後工程において、前記重合体(P)における構成単位α’〜α’の含有比率を表わす目標組成(単位:モル%)がα’:α’:…:α’であるとき、前記溶液Smが含有する単量体の組成(単位:モル%)をαm1:αm2:…:αmnで表わし、下記(1)〜(3)の手順で求められるファクターをF、F、…F(ただし、F1〜Fのうち最も小さいものは0に置換する。)で表わすと、αm1=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)、αm2=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)、…αmn=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)である、第1の態様のリソグラフィー用重合体の製造方法である。
(1)まず単量体組成が目標組成α’:α’:…:α’と同じである単量体混合物100質量部と重合開始剤と溶媒を含有する滴下溶液を、溶媒のみを入れた反応器内に一定の滴下速度で滴下し、滴下開始からの経過時間がt、t、t…のときに、それぞれ反応器内に残存している単量体α〜αの組成(単位:モル%)M:M:…:Mと、tからtまでの間、tからtまでの間、…にそれぞれ生成した重合体における構成単位α’〜α’の比率(単位:モル%)P:P:…:Pを求める。
(2)前記P:P:…:Pが、目標組成α’:α’:…:α’に最も近い時間帯「tからtr+1までの間(rは1以上の整数。)」を見つける。
(3)該「tからtr+1までの間」におけるP:P:…:Pの値と、経過時間tにおけるM:M:…:Mの値とから、下記式により、ファクターF、F、…Fを求める。F=P/M、F=P/M、…F=P/M
【0009】
本発明の第3の態様は、本発明の製造方法により得られるリソグラフィー用重合体である。
本発明の第4の態様は、本発明のリソグラフィー用重合体、および活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有するレジスト組成物である。
本発明の第5の態様は、本発明のレジスト組成物を、基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して、露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程とを含む、パターンが形成された基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリソグラフィー用重合体の製造方法によれば、構成単位の含有比率のばらつきを改善でき、溶媒への溶解性、およびレジスト組成物に用いたときの感度を向上できる、リソグラフィー用重合体が得られる。
本発明のリソグラフィー用重合体は、構成単位の含有比率のばらつき、および分子量のばらつきが改善され、溶媒への溶解性が良好であり、レジスト組成物に用いたときに高い感度が得られる。
本発明のレジスト組成物は、化学増幅型であり、レジスト溶媒への溶解性が優れ、感度に優れる。
本発明の基板の製造方法によれば、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】参考例1の結果を示すグラフである。
【図2】実施例1の結果を示すグラフである。
【図3】実施例2の結果を示すグラフである。
【図4】比較例1の結果を示すグラフである。
【図5】参考例2の結果を示すグラフである。
【図6】実施例3の結果を示すグラフである。
【図7】実施例4の結果を示すグラフである。
【図8】参考例3の結果を示すグラフである。
【図9】実施例5の結果を示すグラフである。
【図10】実施例6の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
本発明における重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた値である。
【0013】
<重合体(P)>
本発明の重合体(P)は構成単位α’〜α’(ただし、α’〜α’は単量体α〜αからそれぞれ導かれる構成単位を表す。nは2以上の整数を表す。)からなる。nの上限は、本発明による効果が得られやすい点で6以下が好ましい。特に重合体(P)がレジスト用重合体である場合には、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。
例えば、n=3である場合は、重合体(P)は構成単位α’、α’、α’からなる三元系重合体P(α’/α’/α’)であり、n=4の場合は、構成単位α’、α’、α’、α’からなる四元系重合体P(α’/α’/α’/α’)である。
【0014】
重合体(P)の用途は特に限定されない。例えば、リソグラフィー工程に用いられるリソグラフィー用重合体が好ましい。リソグラフィー用重合体としては、レジスト膜の形成に用いられるレジスト用重合体、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜(TARC)、またはレジスト膜の下層に形成される反射防止膜(BARC)の形成に用いられる反射防止膜用重合体、ギャップフィル膜の形成に用いられるギャップフィル膜用重合体、トップコート膜の形成に用いられるトップコート膜用重合体が挙げられる。
リソグラフィー用重合体の重量平均分子量(Mw)は1,000〜200,000が好ましく、2,000〜40,000がより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜10.0が好ましく、1.1〜4.0がより好ましい。
【0015】
重合体(P)の構成単位は、特に限定されず、用途および要求特性に応じて適宜選択される。
レジスト用重合体は、酸脱離性基を有する構成単位および極性基を有する構成単位を有することが好ましく、この他に、必要に応じて公知の構成単位を有していてもよい。
レジスト用重合体の重量平均分子量(Mw)は1,000〜100,000が好ましく、3,000〜30,000がより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.1〜2.5がより好ましい。
【0016】
反射防止膜用重合体は、例えば、吸光性基を有する構成単位を有するとともに、レジスト膜との混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能なアミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の反応性官能基を有する構成単位を含むことが好ましい。
吸光性基とは、レジスト組成物中の感光成分が感度を有する波長領域の光に対して、高い吸収性能を有する基であり、具体例としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環等の環構造(任意の置換基を有していてもよい。)を有する基が挙げられる。特に、照射光として、KrFレーザ光が用いられる場合には、アントラセン環又は任意の置換基を有するアントラセン環が好ましく、ArFレーザ光が用いられる場合には、ベンゼン環又は任意の置換基を有するベンゼン環が好ましい。
上記任意の置換基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。
特に、吸光性基として、保護された又は保護されていないフェノール性水酸基を有する反射防止膜用重合体が、良好な現像性・高解像性の観点から好ましい。
上記吸光性基を有する構成単位・単量体として、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート(実施例のm−6)、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
ギャップフィル膜用重合体は、例えば、狭いギャップに流れ込むための適度な粘度を有するとともに、レジスト膜や反射防止膜との混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能な反応性官能基を有する構成単位を含むことが好ましい。
具体的にはヒドロキシスチレンと、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の単量体との共重合体が挙げられる。
液浸リソグラフィーに用いられるトップコート膜用重合体の例としては、カルボキシル基を有する構成単位を含む共重合体、水酸基が置換したフッ素含有基を有する構成単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0018】
<構成単位・単量体>
重合体(P)は、その構成単位α’〜α’にそれぞれ対応する単量体α〜αを重合させて得られる。単量体はビニル基を有する化合物が好ましく、ラジカル重合しやすいものが好ましい。特に(メタ)アクリル酸エステルは波長250nm以下の露光光に対する透明性が高い。
以下、重合体(P)がレジスト用重合体である場合に、好適に用いられる構成単位およびそれに対応する単量体について説明する。
【0019】
[酸脱離性基を有する構成単位・単量体]
レジスト用重合体は、酸脱離性基を有することが好ましい。「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
レジスト用組成物において、酸脱離性基を有する構成単位を有する重合体は、酸成分と反応してアルカリ性溶液に可溶となり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。
酸脱離性基を有する構成単位の割合は、感度および解像度の点から、重合体を構成する全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0020】
酸脱離性基を有する単量体は、酸脱離性基および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、または、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、またはオキセパニル基を表す。)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0021】
特に、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト組成物を製造する場合には、酸脱離性基を有する単量体の好ましい例として、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、イソプロピルアダマンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、1−エチルシクロヘキシルメタクリレート(実施例のm−2)、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(実施例のm−5)、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、イソプロピルアダマンチルメタクリレートがより好ましい。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
[極性基を有する構成単位・単量体]
「極性基」とは、極性を持つ官能基または極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに後述の親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
【0023】
(ラクトン骨格を有する構成単位・単量体)
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合していてもよい。
共重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0024】
ラクトン骨格を有する単量体としては、基板等への密着性に優れる点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
【0025】
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3−オン、9−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3−オン等が挙げられる。また、類似構造を持つ単量体として、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等も挙げられる。
これらの中でも、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(実施例のm−1)、α−アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(実施例のm−4)、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3−オンがより好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
(親水性基を有する構成単位・単量体)
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、親水性基としてヒドロキシ基またはシアノ基を有することが好ましい。
共重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0027】
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリ酸エステル;単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体;環式炭化水素基を有する単量体(例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル等。)が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有するもの;が挙げられる。
【0028】
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル(実施例のm−7)、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。基板等に対する密着性の点から、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
これらの中でも、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル(実施例のm−3)、2−シアノメチル−2−アダマンチルメタクリレートがより好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<重合開始剤>
重合開始剤は、熱により分解して効率的にラジカルを発生するものが好ましく、10時間半減期温度が重合温度条以下であるものを用いることが好ましい。例えばリソグラフィー用重合体を製造する場合の、好ましい重合温度は50〜150℃であり、重合開始剤としては10時間半減期温度が50〜70℃のものを用いることが好ましい。また重合開始剤が効率的に分解するためには、重合開始剤の10時間半減期温度と重合温度との差が10℃以上であることが好ましい。
重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ化合物、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;が挙げられる。アゾ化合物がより好ましい。
これらは市販品から入手可能である。例えばジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名)、10時間半減期温度66℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V65(商品名)、10時間半減期温度51℃)等を好適に用いることができる。
【0030】
<溶媒>
本発明の重合体の製造方法においては重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、例えば、下記のものが挙げられる。
エーテル類:鎖状エーテル(例えばジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」と記すこともある。)等。)、環状エーテル(例えばテトラヒドロフラン(以下、「THF」と記すこともある。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記すこともある。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば、重合反応終了時の反応器内の液(重合反応溶液)の固形分濃度が20〜40質量%程度となる量が好ましい。
【0031】
<重合体の製造方法>
本発明の重合体の製造方法は、反応器内に単量体および重合開始剤を滴下しながら、該反応器内で2種以上の単量体α〜αを重合して、構成単位α’〜α’からなる重合体(P)を得る重合工程を有する。
該重合工程はラジカル重合法で行われ、本発明では、単量体および重合開始剤を反応器内に滴下しながら、該反応器内で重合を行う滴下重合法を用いる。
【0032】
本発明では、単量体を含有する液として、含有する単量体の組成が互いに異なる複数の溶液S1〜Sm(mは2以上の整数)を用いる。溶液S1〜Smは溶媒を含有することが好ましい。mの上限は特に限定されないが、制御や操作の容易性の点からは4以下が好ましく、3以下がより好ましい。
本発明における重合工程は、溶液S1〜S(m−1)をそれぞれ反応器内へ供給する主工程と、該主工程が終了した後に溶液Smを反応器内に供給する後工程とを有する。主工程は、単量体溶液を滴下して反応容器内で生成される重合体における構成単位の含有比率が目標組成に近くなるように制御することが好ましい。
【0033】
<主工程>
まず、主工程について説明する。
主工程は、1種以上の単量体溶液を滴下により供給する工程を有する滴下重合法であればよく、公知の方法を適宜用いて行うことができる。好ましい実施形態として、以下の第1の実施形態または第2の実施形態が挙げられる。
〔主工程の第1の実施形態〕
主工程で単量体溶液を1種のみ用い、反応容器内に、単量体組成が目標組成と同じである溶液S1を滴下する実施形態が好ましい。
なお、本実施形態において、溶液S1の組成(モル%)は目標組成(モル%)と同一であることが最も好ましいが、該目標組成に対して±10%の範囲内、好ましくは±5%の範囲内の誤差であれば許容される。すなわち該誤差範囲であれば、溶液S1の組成と目標組成とが同じである、とみなすものとする。
【0034】
〔主工程の第2の実施形態〕
主工程で単量体溶液を2種用いる方法としては、反応器内に、重合開始剤を滴下する前または該重合開始剤の滴下開始と同時に、該反応器内に、単量体α〜αを第1の組成で含有する第1の溶液(S1)を供給開始し、該反応器内に第1の溶液(S1)を供給開始した後または該第1の溶液(S1)の供給開始と同時に、該反応器内に単量体α〜αを第2の組成で含有する第2の溶液(S2)を滴下開始し、第2の溶液(S2)の滴下終了よりも前に、第1の溶液(S1)の供給を終了させる方法が好ましい。
以下、主工程の第2の実施形態について説明する。
[第2の溶液(S2)]
第2の溶液(S2)における単量体の含有比率(第2の組成)は、得ようとする重合体(P)における構成単位α’〜α’の含有比率を表す目標組成と同じである。
例えば、重合体(P)が、単量体x、y、zを共重合させて得られる3元系の重合体であって、目標組成(モル%、以下同様。)がx’:y’:z’であるとき、第2の組成(モル%、以下同様。)x:y:zはx’:y’:z’と同じにする。
なお、本実施形態において、所期の効果を得るうえで、第2の組成(モル%)は目標組成(モル%)と同一であることが最も好ましいが、該目標組成に対して±10%の範囲内、好ましくは±5%の範囲内の誤差であれば許容される。すなわち該誤差範囲であれば、第2の組成と目標組成とが同じである、とみなすものとする。
第2の溶液は滴下により反応器に供給する。
【0035】
[第1の溶液(S1)]
第1の溶液(S1)における単量体の含有比率(第1の組成)は、重合体(P)における目標組成と、重合に用いられる各単量体の反応性とを加味して予め求められた組成である。
具体的に、第1の溶液(S1)の第1の組成は、反応器内に存在する単量体の含有比率が第1の組成であるとき、該反応器内に上記第2の溶液(S2)が滴下されると、滴下直後に生成される重合体分子の構成単位の含有比率が目標組成と同じになるように、設計された組成である。この場合、滴下直後に生成される重合体分子の構成単位の含有比率が、滴下された第2の溶液(S2)の単量体の含有比率(目標組成)と同じであるから、滴下直後に反応器内に残存する単量体の含有比率は常に一定(第1の組成)となる。したがって、かかる反応器内に第2の溶液(S2)の滴下を継続して行うと、常に目標組成の重合体分子が生成し続けるという定常状態が得られる。
すなわち本実施形態によれば、重合反応の開始直後から目標組成とほぼ同じ組成の重合体分子が生成され、その状態が継続されるため、主工程で生成される重合体は、構成単位の含有比率のばらつきが低減されたものとなる。
かかる定常状態が得られるような第1の組成が存在することは、本発明者等によって初めて得られた知見である。第1の組成の設計方法は後述する。
第1の溶液(S1)は、予め反応器内に仕込んでおいてもよく、滴下等により反応器に徐々に供給してもよく、これらを組み合わせてもよい。
【0036】
[重合開始剤]
重合開始剤は滴下により反応器に供給する。第2の溶液(S2)に重合開始剤を含有させてもよい。第1の溶液(S1)を滴下する場合は、該第1の溶液(S1)に重合開始剤を含有させてもよい。第1の溶液(S1)、第2の溶液(S2)とは別に、重合開始剤を含有する溶液(重合開始剤溶液)を滴下してもよい。これらを組み合わせてもよい。
主工程における重合開始剤の使用量(主工程における全供給量)は、重合開始剤の種類に応じて、また得ようとする重合体(P)の重量平均分子量の目標値に応じて設定される。
例えば、本発明における重合体(P)がリソグラフィー用重合体である場合、主工程において反応器に供給される単量体の合計(主工程における全供給量)の100モル%に対して、重合開始剤の使用量(主工程における全供給量)は1〜25モル%の範囲が好ましく、1.5〜20モル%の範囲がより好ましい。
【0037】
[第1の溶液(S1)における単量体の含有量]
重合工程で使用される単量体の合計量(全単量体供給量)は、溶液S1〜S(m−1)に含まれる単量体の総和であり、得ようとする重合体(P)の量に応じて設定される。
また該全単量体供給量のうち、第1の溶液(S1)に含まれる単量体の合計量が占める割合が少なすぎると、第1の溶液(S1)を用いることによる所期の効果が充分に得られず、多すぎると重合工程の初期に生成される重合体の分子量が高くなりすぎる。したがって、全単量体供給量に対して、第1の溶液(S1)に含まれる単量体の合計量は3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
【0038】
[第1の溶液(S1)、第2の溶液(S2)の供給]
主工程において、反応器内に重合開始剤を滴下したときに、該反応器内に第1の溶液(S1)が存在していることが必要である。したがって、反応器内に重合開始剤を滴下する前または重合開始剤の滴下開始と同時に、該反応器内に第1の溶液(S1)を供給開始する。
また反応器内に第2の溶液(S2)を滴下したときに、該反応器内に第1の溶液(S1)が存在していることが必要である。したがって、反応器内に第1の溶液(S1)を供給開始した後または第1の溶液(S1)の供給開始と同時に、該反応器内に第2の溶液(S2)を滴下開始する。第2の溶液(S2)の滴下開始は、前記重合開始剤の滴下開始と同時または前記重合開始剤の滴下開始より後であることが好ましい。重合開始剤の滴下開始と第2の溶液(S2)の滴下開始は同時であることが好ましい。第2の溶液(S2)の滴下終了よりも前に、第1の溶液(S1)の供給を終了する。
第2の溶液(S2)の滴下は、連続的でもよく、断続的でもよく、滴下速度が変化してもよい。生成される重合体の組成および分子量をより安定させるためには、連続的に、一定速度で滴下することが好ましい。
第1の溶液(S1)を滴下により供給する場合、連続的でもよく、断続的でもよく、滴下速度が変化してもよい。生成される重合体の組成および分子量をより安定させるためには、連続的に、一定速度で滴下することが好ましい。
【0039】
第1の溶液(S1)は、重合工程の初期に、その全量を供給具体的には、重合開始剤の滴下開始から第2の溶液(S2)の滴下終了までを基準時間とするとき、該基準時間の20%が経過する以前に、第1の溶液(S1)の供給を終了することが好ましい。例えば基準時間が4時間である場合は、重合開始剤の滴下開始から48分経過する以前に、溶液第1の溶液(S1)の全量を反応器内に供給することが好ましい。
第1の溶液(S1)の供給終了は、基準時間の15%以前が好ましく、10%以前がより好ましい。
また基準時間の0%の時点で第1の溶液(S1)の全量が供給されていてもよい。すなわち重合開始剤の滴下開始前に、反応器内に第1の溶液(S1)の全量を仕込んでおいてもよい。
【0040】
[重合開始剤の供給速度]
本実施形態において、主工程における重合開始剤の滴下は、第2の溶液(S2)の滴下終了時まで行ってもよく、その前に終了してもよい。第2の溶液(S2)の滴下終了時まで行うことが好ましい。
重合開始剤の供給速度は一定でもよいが、特に、重合工程の初期における供給量を多くすることにより、重合初期における高分子量成分(ハイポリマー)の生成を抑制し、その結果、重合工程を終えて得られる重合体における分子量のばらつきを低減することができる。かかる分子量の均一化は、リソグラフィー用重合体のレジスト用溶媒への溶解性やアルカリ現像液への溶解性の向上に寄与し、レジスト組成物の感度の向上に寄与する。
重合工程の初期における重合開始剤の供給量によって、重合工程の初期において生成される重合体の重量平均分子量が変化する。したがって、重合開始剤の最適な供給速度は、単量体の種類、単量体の供給速度、重合開始剤の種類、重合条件等によっても異なるが、特に重合工程の初期に生成される重合体の重量平均分子量が目標値に近くなるように設定することが好ましい。
具体的には、前記基準時間の5〜20%が経過する以前の初期段階において、主工程で使用される重合開始剤の全供給量の30〜90%を供給し、その後は該初期段階よりも低速で重合開始剤を供給することが好ましい。
該初期段階は、前記基準時間の5.5〜17.5%が好ましく、6〜15%がより好ましい。該初期段階における重合開始剤の供給量は、主工程で使用される重合開始剤の全供給量の35〜85質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましい。
【0041】
[主工程の好ましい態様]
本実施形態における、主工程の好ましい態様としては、以下の(a)、(b)が挙げられる。
(a)予め反応器内に、単量体α〜αを第1の組成で含有する第1の溶液(S1)を仕込んでおき、反応器内を所定の重合温度まで加熱した後、該反応器内に、主工程で供給される重合開始剤の一部を含む重合開始剤溶液と、単量体α〜αを第2の組成で含有するとともに、重合開始剤の残部を含む第2の溶液(S2)をそれぞれ滴下する。重合開始剤溶液と第2の溶液(S2)は同時に滴下開始するか、または重合開始剤溶液を先に滴下開始する。同時が好ましい。重合開始剤溶液の滴下開始から第2の溶液(S2)の滴下開始までの時間は0〜10分が好ましい。
滴下速度はそれぞれ一定であることが好ましい。重合開始剤溶液は第2の溶液(S2)よりも先に滴下を終了する。
【0042】
(b)反応器内に溶媒のみを仕込み、所定の重合温度まで加熱した後、単量体α〜αを第1の組成で含有するとともに、主工程で供給される重合開始剤の一部を含む第1の溶液(S1)と、単量体α〜αを第2の組成で含有するとともに、該重合開始剤の残部を含む第2の溶液(S2)をそれぞれ滴下する。両液は同時に滴下開始するか、または第1の溶液(S1)を先に滴下開始する。第1の溶液(S1)の滴下開始から第2の溶液(S2)の滴下開始までの時間は0〜10分が好ましい。
滴下速度はそれぞれ一定であることが好ましい。第2の溶液(S2)よりも第1の溶液(S1)の方が先に滴下を終了する。
【0043】
<第1の溶液(S1)の第1の組成の設計方法>
以下、第1の組成の好ましい設計方法を説明する。
得ようとする重合体(P)における構成単位の含有比率(目標組成、単位:モル%)が、α’:α’:…:α’であるとき、第1の組成(単位:モル%)をα11:α12:…:α1nで表わし、下記(1)〜(3)の手順で求められるファクターをF、F、…Fで表わすと、α11=α’/F、α12=α’/F、…α1n=α’/Fとする。
(1)まず単量体組成が目標組成α’:α’:…:α’と同じである単量体混合物100質量部と重合開始剤と溶媒を含有する滴下溶液を、溶媒のみを入れた反応器内に一定の滴下速度で滴下し、滴下開始からの経過時間がt、t、t…のときに、それぞれ反応器内に残存している単量体α〜αの組成(単位:モル%)M:M:…:Mと、tからtまでの間、tからtまでの間、…にそれぞれ生成した重合体における構成単位α’〜α’の比率(単位:モル%)P:P:…:Pを求める。
(2)前記P:P:…:Pが、目標組成α’:α’:…:α’に最も近い時間帯「tからtr+1までの間(rは1以上の整数。)」を見つける。
(3)該「tからtr+1までの間」におけるP:P:…:Pの値と、経過時間tにおけるM:M:…:Mの値とから、下記式により、ファクターF、F、…Fを求める。F=P/M、F=P/M、…F=P/M
【0044】
より具体的に説明すると、例えば、重合体(P)が、単量体x、y、zを共重合させて得られる3元系の重合体であって、目標組成がx’:y’:z’であるとき、第1の組成(モル%、以下同様。)x00:y00:z00は、下記の方法で求められるファクターFx、Fy、Fzを用いて、x00=x’/Fx、y00=y’/Fy、z00=z’/Fzにより算出される値とする。
【0045】
[ファクターFx、Fy、Fzの求め方]
以下、重合体(P)が3元系の重合体である場合を例に挙げて説明するが、2元系または4元系以上でも同様にしてファクターを求めることができる。
(1)まず、単量体組成が目標組成x’:y’:z’と同じである単量体混合物と溶媒と重合開始剤を含有する滴下溶液を、反応器内に一定の滴下速度vで滴下する。反応器内には、予め溶媒のみを入れておく。
滴下開始からの経過時間がt、t、t…のときに、それぞれ反応器内に残存している単量体x、y、zの組成(モル%)Mx:My:Mzと、tからtまでの間、tからtまでの間…にそれぞれ生成した重合体における構成単位の比率(モル%)Px:Py:Pzを求める。
(2)Px:Py:Pzが、目標組成x’:y’:z’に最も近い時間帯「tからtr+1までの間(rは1以上の整数。)」を見つける。
(3)その「tからtr+1までの間」におけるPx:Py:Pzの値と、経過時間tにおけるMx:My:Mzの値とから、下記式により、ファクターFx、Fy、Fzを求める。
Fx=Px/Mx、Fy=Py/My、Fz=Pz/Mz。
ファクターFx、Fy、Fzは、各単量体の相対的な反応性を反映する値であり、重合に用いられる単量体の組み合わせまたは目標組成が変わると変化する。
なお、本実施形態において、第1の組成を上記ファクターを用いて設計する場合、所期の効果を得るうえで、第1の組成(モル%)は該設計値(モル%)と同一であることが最も好ましいが、該設計値に対して±10%の範囲内、好ましくは±5%の範囲内の誤差であれば許容される。すなわち該誤差範囲であれば、第1の組成と上記ファクターを用いて設計された設計値とが同じである、とみなすものとする。
【0046】
<後工程>
後工程では、主工程で用いられる溶液S1〜S(m−1)の供給が終了した反応器内に溶液Smを滴下する。
[溶液Sm]
溶液Smは、単量体α〜αのうち、最も共重合反応速度が遅い単量体を含まない。溶液Sm中の単量体は、単量体α〜αのうち、最も共重合反応速度が遅い単量体のみを含まず、それ以外の単量体からなることが好ましい。
溶液Smに含まれる単量体の合計量は、重合工程で使用される全単量体供給量の0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜7.5質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。0.1質量%以上であると、後工程を設けることによる十分な効果が得られやすい。10質量%以下または7.5質量%以下または5質量%以下であると重合体組成のばらつきを低減する効果が十分に得られやすい。
【0047】
溶液Smにおける単量体の組成は、前記第1の組成の設計方法におけるファクター(F1〜F)うち最も小さいものを0に置換する以外は、同じファクターを用いて、以下の方法で設計される組成が好ましい。
すなわち、得ようとする重合体(P)における構成単位α’〜α’の含有比率を表わす目標組成(単位:モル%)がα’:α’:…:α’であるとき、溶液Smが含有する単量体の組成(単位:モル%)をαm1:αm2:…:αmnで表わし、前記第1の組成の設計方法と同じ(1)〜(3)の手順で求められるファクターをF、F、…F(ただし、F1〜Fのうち最も小さいものは0に置換する。)で表わすと、αm1=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)、αm2=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)、…αmn=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)とする。
なお、本発明において、溶液Smの単量体の組成を上記ファクターを用いて設計する場合、所期の効果を得るうえで、溶液Smの単量体の組成(モル%)は該設計値(モル%)と同一であることが最も好ましいが、該設計値に対して±10%の範囲内、好ましくは±5%の範囲内の誤差であれば許容される。すなわち該誤差範囲であれば、溶液Smの単量体の組成と上記ファクターを用いて設計された設計値とが同じである、とみなすものとする。
【0048】
溶液Smは、S1〜S(m−1)の滴下が終了したら直ちに滴下開始することが好ましい。
溶液Smの滴下は連続的でもよく、断続的でもよく、滴下速度が変化してもよい。時間の経過に伴って、溶液Smの滴下により反応器内へ供給される、単位時間当たりの単量体の供給量が漸次、または段階的に減少することが好ましい。
例えば、溶液Smとして、単量体組成および単量体の含有量(濃度)がいずれも均一である1種の液を用い、滴下速度を連続的に減少させてもよく、段階的に減少させてもよい。または、溶液Smとして、単量体組成は互いに同じ(上記の誤差範囲は許容される)であるが、単量体の含有量(濃度)が互いに異なる2種以上の液を用いてもよい。この場合には、滴下速度が一定であっても、単量体の濃度が減少するように2種以上の液を順次滴下させることによって、単位時間当たりの単量体の供給を漸次、または段階的に減少させることができる。
具体的には、溶液Smの滴下開始から滴下終了までを後滴下時間とし、後工程における単量体の全供給量を後滴下時間で除した値を平均供給速度とするとき、後滴下時間の0%からk%(kは5〜95)までの期間を、該平均供給速度よりも高速で単量体を供給する高速供給期間とし、該高速供給期間に後工程における単量体の全供給量のうちの50〜95質量%を反応器内に供給することが好ましい。
該kは20〜80%がより好ましく、30〜70%がさらに好ましい。該高速供給期間中に反応器内に供給される単量体は、後工程における単量体の全供給量のうちの60〜90質量%がより好ましく、70〜85質量%がより好ましい。
【0049】
後工程において、反応器内に溶液Smを滴下したときに、該反応器内に重合開始剤が存在していることが必要である。したがって、後工程においても反応器内に重合開始剤を供給することが好ましい。
溶液Smに重合開始剤を含有させてもよく、溶液Smとは別に、重合開始剤を含有する溶液(重合開始剤溶液)を滴下してもよい。これらを組み合わせてもよい。
例えば、本発明における重合体(P)がリソグラフィー用重合体である場合、後工程において反応器に供給される単量体の合計(後主工程における単量体の全供給量)の100モル%に対して、重合開始剤の使用量(後工程における重合開始剤の全供給量)は1〜25モル%の範囲が好ましく、1.5〜20モル%の範囲がより好ましい。
【0050】
後工程の終了後、すなわち溶液Smの滴下終了後、必要に応じて、反応器内を重合温度に保持する保持工程、冷却工程、精製工程等を適宜行うことができる。
【0051】
本発明者等の知見によれば、滴下重合において、単量体溶液を滴下して反応容器内で生成される重合体における構成単位の含有比率が目標組成に近くなるように制御しても、単量体溶液の滴下が終了して保持工程に入ると、生成される重合体における構成単位の含有比率と、目標組成との差が次第に広がっていく。具体的には、保持工程における経過時間が長いほど、生成される重合体において、共重合反応速度が最も遅い単量体から導かれる構成単位の組成比が顕著に大きくなる。このことから、単量体溶液の滴下終了時において、反応器内には、共重合反応速度が最も遅い単量体が、目標組成に対して過剰に残っていると考えられる。
本発明では、主工程の後に、そのまま保持工程を行わず、共重合反応速度が最も遅い単量体を含まない溶液Smを滴下する後工程を設けて、反応器内に、共重合反応速度が最も遅い単量体以外の単量体を供給する。これにより、溶液S1〜S(m−1)の滴下終了時の反応器内に、目標組成に対して過剰に残っている、共重合反応速度が最も遅い単量体を効率良く消費しながら重合体を生成させることができるため、主工程後に生成される重合体における構成単位の含有比率と、目標組成との差が経時的に広がるのが防止される。したがって、最終的に得られる重合体(P)における構成単位の含有比率のばらつきを低減できる。
【0052】
また、溶液Smの単量体組成を、上記のファクターを用いた設計方法で得られる組成とすることにより、主工程後に生成される重合体における構成単位の含有比率を目標組成により近づけることができる。
さらに後工程において、溶液Smの滴下によって供給される単量体(共重合反応速度が最も遅い単量体以外の単量体)の、単位時間当たりの供給量を経時的に減少させることにより、反応器内において、共重合反応速度が最も遅い単量体が消費されて目標組成に対して相対的に不足するのを抑制できるため、反応器内の単量体の存在量が少なくなっても目標組成に近い単量体組成の重合体を生成させるうえで好ましい。
したがって、本発明によれば、溶媒への溶解性が良好であり、レジスト組成物に用いた際には高い感度を有する重合体(P)を再現性良く得ることができる。
なお、本発明の重合体はレジスト用途以外の用途にも適用可能であり、溶解性の向上効果が得られるほか、各種性能の向上が期待できる。
【0053】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、本発明のリソグラフィー用重合体をレジスト溶媒に溶解して調製される。レジスト溶媒としては、重合体の製造に用いた上記重合溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明のレジスト組成物が化学増幅型レジスト組成物である場合は、さらに活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、光酸発生剤という。)を含有させる。
【0054】
(光酸発生剤)
光酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物において公知の光酸発生剤の中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
レジスト組成物における光酸発生剤の含有量は、重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0055】
(含窒素化合物)
化学増幅型レジスト組成物は、含窒素化合物を含んでいてもよい。含窒素化合物を含むことにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。すなわち、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなる。また半導体素子の量産ライン等では、レジスト膜に光を照射し、次いでベーク(PEB)した後、次の現像処理までの間に数時間放置されることがあるが、そのような放置(経時)によるレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
含窒素化合物としては、アミンが好ましく、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンがより好ましい。
レジスト組成物における含窒素化合物の含有量は、重合体100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
【0056】
(有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体)
化学増幅型レジスト組成物は、有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体(以下、これらをまとめて酸化合物と記す。)を含んでいてもよい。酸化合物を含むことにより、含窒素化合物の配合による感度劣化を抑えることができ、また、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。
有機カルボン酸としては、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
リンのオキソ酸またはその誘導体としては、リン酸またはその誘導体、ホスホン酸またはその誘導体、ホスフィン酸またはその誘導体等が挙げられる。
レジスト組成物における酸化合物の含有量は、重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0057】
(添加剤)
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これら添加剤の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
【0058】
<パターンが形成された基板の製造方法>
本発明の、パターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
まず、所望の微細パターンを形成しようとするシリコンウエハー等の基板の被加工面上に、本発明のレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、該レジスト組成物が塗布された基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
ついで、レジスト膜に対して、フォトマスクを介して露光を行い潜像を形成する。露光光としては、250nm以下の波長の光が好ましい。例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV光が好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。また、電子線を照射してもよい。
また、該レジスト膜と露光装置の最終レンズとの間に、純水、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリアルキルアミン等の高屈折率液体を介在させた状態で光を照射する液浸露光を行ってもよい。
【0059】
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜にアルカリ現像液を接触させ、露光部分を現像液に溶解させ、除去する(現像)。アルカリ現像液としては、公知のものが挙げられる。
現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして基板上にレジストパターンが形成される。
レジストパターンが形成された基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。
エッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
【0060】
本発明の製造方法により得られるリソグラフィー用重合体は、溶媒への溶解性に優れるとともに、高い感度のレジスト膜を形成できる。
したがって、レジスト組成物を調製する際のレジスト溶媒への重合体の溶解を容易にかつ良好に行うことができる。またレジスト組成物はアルカリ現像液に対する優れた溶解性が得られ、感度の向上に寄与する。またレジスト組成物中の不溶分が少ないため、パターン形成において、該不溶分に起因する欠陥が生じにくい。
したがって本発明の基板の製造方法によれば、本発明のレジスト組成物を用いることによって、基板上に欠陥の少ない、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成できる。また、高感度および高解像度のレジスト組成物の使用が要求される、波長250nm以下の露光光を用いるフォトリソグラフィーまたは電子線リソグラフィー、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を使用するリソグラフィーによる、パターン形成にも好適に用いることができる。
なお、波長250nm以下の露光光を用いるフォトリソグラフィーに用いられるレジスト組成物を製造する場合には、重合体が該露光光の波長において透明であるように、単量体を適宜選択して用いることが好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例、比較例中「部」とあるのは、特に断りのない限り「質量部」を示す。測定方法および評価方法は以下の方法を用いた。
【0062】
(重量平均分子量の測定)
重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、下記の条件(GPC条件)でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
[GPC条件]
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
試料(重合体の場合):重合体の約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
試料(重合反応溶液の場合):サンプリングした重合反応溶液の約30mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1mL/分、
注入量:0.1mL、
検出器:示差屈折計。
【0063】
検量線I:標準ポリスチレンの約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記の条件で分離カラムに注入し、溶出時間と分子量の関係を求めた。標準ポリスチレンは、下記の東ソー社製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いた。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
【0064】
(単量体の定量)
重合反応溶液中に残存する単量体量は次の方法で求めた。
反応器内の重合反応溶液を0.5g採取し、これをアセトニトリルで希釈し、メスフラスコを用いて全量を50mLとした。この希釈液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、東ソー社製、高速液体クロマトグラフHPLC−8020(製品名)を用いて、該希釈液中の未反応単量体量を、単量体ごとに求めた。
【0065】
この測定において、分離カラムはジーエルサイエンス社製、Inertsil ODS−2(商品名)を1本使用し、移動相は水/アセトニトリルのグラジエント系、流量0.8mL/min、検出器は東ソー社製、紫外・可視吸光光度計UV−8020(商品名)、検出波長220nm、測定温度40℃、注入量4μLで測定した。なお、分離カラムであるInertsil ODS−2(商品名)は、シリカゲル粒径5μm、カラム内径4.6mm×カラム長さ450mmのものを使用した。また、移動相のグラジエント条件は、A液を水、B液をアセトニトリルとし、下記の通りとした。また、未反応単量体量を定量するために、濃度の異なる3種類の各単量体溶液を標準液として用いた。
【0066】
測定時間0〜3分:A液/B液=90体積%/10体積%。
測定時間3〜24分:A液/B液=90体積%/10体積%から、50体積%/50体積%まで。
測定時間24〜36.5分:A液/B液=50体積%/50体積%から、0体積%/100体積%まで。
測定時間36.5〜44分:A液/B液=0体積%/100体積%。
【0067】
(重合体の溶解性の評価)
重合体の20部とPGMEAの80部とを混合し、25℃に保ちながら撹拌を行い、目視で完全溶解を判断したのち、曇点に達するまでヘプタンを添加し、ヘプタンの添加量を計測した。曇点到達の判断は目視にて行った。
【0068】
(レジスト組成物の感度の評価)
レジスト組成物を6インチシリコンウエハー上に回転塗布し、ホットプレート上で120℃、60秒間のプリベーク(PAB)を行い、厚さ300nmのレジスト膜を形成した。ArFエキシマレーザー露光装置(リソテックジャパン社製、製品名:VUVES−4500)を用い、露光量を変えながら10mm×10mmの面積の18ショットを露光した。次いで110℃、60秒間のポストベーク(PEB)を行った後、レジスト現像アナライザー(リソテックジャパン社製、製品名:RDA−806)を用い、23.5℃にて2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で65秒間現像した。各露光量のレジスト膜それぞれについて、現像中のレジスト膜厚の経時変化を測定した。
得られたレジスト膜厚の経時変化のデータを基に、露光量(単位:mJ/cm)の対数と、初期膜厚に対する30秒間現像した時点での残存膜厚の割合率(単位:%、以下残膜率という。)との関係をプロットして、露光量−残膜率曲線作成した。この曲線に基づいて、残膜率0%とするための必要露光量(Eth)の値を求めた。すなわち、露光量−残膜率曲線が、残膜率0%の直線と交わる点における露光量(mJ/cm)をEthとして求めた。このEthの値は感度を表し、この値が小さいほど、感度が高いことを示す。
【0069】
<参考例1:後工程で用いられる溶液Smの組成の設計>
本例は、下記式(m−1)、(m−2)、(m−3)で表される単量体m−1、m−2、m−3を重合して、目標組成がm−1:m−2:m−3=40:40:20(モル%)、重量平均分子量の目標値が10,000の重合体を製造する場合の、Smの組成を求めた例である。
本例で使用した重合開始剤はジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(前記V601(商品名))である。重合温度は80℃とした。
【0070】
【化1】

【0071】
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコ(反応器)に、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを67.8部入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記の単量体混合物、溶媒、および重合開始剤を含む滴下溶液を、滴下漏斗より4時間かけて一定の滴下速度でフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
単量体m−1を28.56部(40モル%)、
単量体m−2を32.93部(40モル%)、
単量体m−3を19.82部(20モル%)、
乳酸エチルを122.0部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを2.415部(単量体の全供給量に対して2.5モル%)。
【0072】
上記滴下溶液の滴下開始から3、4,5,6,7時間後に、それぞれフラスコ内の重合反応溶液を0.5gサンプリングし、単量体m−1〜m−3の定量をそれぞれ行った。これにより各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体の質量がわかる。その結果、例えば滴下開始から3時間後と4時間後の結果は表1の通りであった。
【0073】
【表1】

【0074】
次いで、各単量体の分子量を用いて、各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体のモル分率(Mx:My:Mzに該当する。)に換算した。
その結果、例えば滴下開始から3時間後と4時間後の結果は表2の通りであった。
【0075】
【表2】

【0076】
一方、4時間一定速度でフラスコに供給された各単量体の質量(全供給量)から、各サンプリング時までに供給された各単量体の合計質量を求め、これから各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体の質量を引くことで、各サンプリング時において、それまでに供給された単量体のうち重合体へ転化したものの質量を、各単量体について計算した。
次いで差分データをとることによって、サンプリング時とサンプリング時の間に重合体へ転化したもの質量を、各単量体について求め、モル分率に換算した。このモル分率の値は、各サンプリング時とサンプリング時の間に生成した重合体、すなわち滴下からの経過時間(反応時間)がtからtまでの間、tからtまでの間…にそれぞれ生成した重合体における構成単位の含有比率(以下、重合体組成比ということもある。)Px:Py:Pzに該当する。
得られた結果を図1に示す。図1の横軸は、各反応時間帯(サンプリング時とサンプリング時の間)の終了側の反応時間を示している。すなわち、図1において、横軸の反応時間が4時間のときのデータは、滴下開始から3時間後〜4時間後に生成した重合体のデータに該当する(以下、同様)。
【0077】
図1の結果に示されるように、重合体組成比(Px:Py:Pz)が、目標組成である40:40:20に最も近いのは、滴下開始から3時間後〜4時間後に生成した重合体であり、Px:Py:Pz=41:38:20であった。
この値と、滴下開始からの経過時間が3時間後におけるMx:My:Mzの値(表2)を用い、Fx=Px/Mx、Fy=Py/My、Fz=Pz/Mzより、ファクターFx、Fy、Fzを求めると、Fx=1.31、Fy=0.72、Fz=1.23となる。このとき、Fy<Fz<Fxより、Fyは0に置換される。
該ファクターの値と、目標組成を用いてSmの組成x:y:zを求めた。
=40×Fx/(40×Fx+40×Fy+20×Fz)
=40×1.31/(40×1.31+40×0+20×1.23)=68.1モル%。
=40×Fy/(40×Fx+40×Fy+20×Fz)
=40×0/(40×1.31+40×0+20×1.23)=0モル%。
=20×Fz/(40×Fx+40×Fy+20×Fz)
=20×1.23/(40×1.31+40×0+20×1.23)=31.9モル%。
【0078】
<実施例1>
本例では、溶液S1(本明細書において、単にS1ということがある。S2、S3…についても同様。)を滴下する主工程の後に、S2を滴下する後工程を設けた。
参考例1で求めたSmの組成をS2の組成とした。使用する単量体の種類、重合開始剤の種類、重合温度、重合体の目標組成、および重量平均分子量の目標値は参考例1と同じである。S1の単量体組成は目標組成と同じとした。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを67.8部入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記のS1の全量を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下した後、直ちに下記S2のうちの80質量%を1時間かけて滴下した後、残りの20質量%を1時間かけて滴下しさらに80℃の温度を1時間保持した。S1の溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
本例において、S2が含有する単量体の合計量は全単量体供給量の2.18質量%である。
【0079】
(S1)
単量体m−1を28.56部(40モル%)、
単量体m−2を32.93部(40モル%)、
単量体m−3を19.82部(20モル%)、
乳酸エチルを87.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを2.415部(S1における単量体の合計量に対して2.5モル%)。
(S2)
単量体m−1を1.10部(68.1モル%)、
単量体m−3を0.72部(31.9モル%)、
乳酸エチルを34.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.054部(S2における単量体の合計量に対して2.5モル%)。
【0080】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図2に示す。
図1と図2の結果を比べると、参考例1(図1)では、主工程の終了(滴下液の終了)時である反応時間4時間から保持工程の終了時である反応時間7時間の間に生成された重合体は、重合体組成比と目標組成との差が経時的に大きくなっている。
これに対して、主工程の終了(S1の滴下終了)後に、S2を合計2時間供給する後工程を設けた実施例1(図2)では、主工程の終了(反応時間4時間)後も、重合体組成比が目標組成と非常に近い値を示し、反応時間による組成比のばらつきが改善された。
【0081】
[重合体の精製]
反応時間7時間が経過した後に、室温まで冷却して反応を停止させ、フラスコ内の重合反応溶液を、約10倍量のメタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)に撹拌しながら滴下し、白色の析出物(重合体P1)の沈殿を得た。沈殿を濾別し、再度、前記と同じ量のメタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=90/10容量比)へ投入し、撹拌しながら沈殿の洗浄を行った。そして、洗浄後の沈殿を濾別し、重合体湿粉160gを得た。この重合体湿粉のうち10gを減圧下40℃で約40時間乾燥した。得られた重合体P1について、Mw、Mw/Mnを求め、溶解性の評価を行った。結果を表7に示す。
【0082】
[レジスト組成物の製造]
上記重合体湿粉の残りを、PGMEAの880gへ投入し、完全に溶解させて重合体溶液とした後、孔径0.04μmのナイロン製フィルター(日本ポール社製、P−NYLON N66FILTER0.04M(商品名))へ通液して、重合体溶液を濾過した。 得られた重合体溶液を減圧下で加熱してメタノールおよび水を留去し、さらにPGMEAを留去し、重合体の濃度が25質量%の重合体P1溶液を得た。この際、最高到達真空度は0.7kPa、最高溶液温度は65℃、留去時間は8時間であった。
【0083】
得られた重合体P1溶液の400部と、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレートの2部と、溶媒であるPGMEAとを、重合体濃度が12.5質量%になるように混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物を得た。得られたレジスト組成物について上記の方法で感度を評価した。結果を表7に示す。
【0084】
<実施例2>
本例では、予めS1を反応器内に供給し、S2および重合開始剤溶液を滴下する主工程の後に、S3を滴下する後工程を設けた。
参考例1で求めたSmの組成をS3の組成とした。使用する単量体の種類、重合開始剤の種類、重合温度、重合体の目標組成、および重量平均分子量の目標値は参考例1と同じである。S1の単量体組成は上述のファクターを用いた方法で設計した第1の組成と同じとし、S2の単量体組成は目標組成と同じとした。
[S1の第1の組成の設計]
参考例1で求めたファクターの値(Fx=1.27、Fy=0.76、Fz=1.22)と、目標組成を用いて第1の組成を求め、これをS1の単量体組成とした。
00=40/Fx=40/1.27=約31.3モル%。
00=40/Fy=40/0.76=約52.4モル%。
00=20/Fz=20/1.22=約16.3モル%。
【0085】
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記のS1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記のS2重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、S2を4時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにS2の供給終了直後より、下記S3のうちの80質量%を1時間かけて滴下し、残りの20質量%を1時間かけて滴下し、さらに80℃の温度を1時間保持した。S2の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
本例において、S3が含有する単量体の合計量は全単量体供給量の2.15質量%である。
【0086】
(S1)
単量体m−1を3.99部(31.3モル%)、
単量体m−2を7.68部(52.4モル%)、
単量体m−3を2.88部(16.3モル%)、
乳酸エチルを99.3部。
(S2)
単量体m−1を24.03部(40モル%)、
単量体m−2を27.71部(40モル%)、
単量体m−3を16.68部(20モル%)、
乳酸エチルを101.8部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.690部(S1およびS2における単量体の合計量に対して0.7モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを2.0部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを1.280部(S1およびS2における単量体の合計量に対して1.3モル%)。
(S3)
単量体m−1を1.09部(67.6モル%)、
単量体m−3を0.73部(32.4モル%)、
乳酸エチルを34.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.054部(S3における単量体の合計量に対して2.5モル%)。
【0087】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図3に示す。
参考例1(図1)と比べて実施例2(図3)は、主工程の終了(S2の滴下終了)後に、S3を合計2時間供給する後工程を設けたことにより、主工程の終了(反応時間4時間)後も、重合体組成比が目標組成と非常に近い値を示し、反応時間による組成比のばらつきが改善された。
【0088】
[重合体の精製]
実施例1と同様にして、反応時間7時間が経過したフラスコ内の重合反応溶液から、重合体P2を得た。重合体P2のMw、Mw/Mn、溶解性評価の結果を表7に示す。
[レジスト組成物の製造]
実施例1と同様にして、重合体P2を含有するレジスト組成物を調製し、感度を評価した。結果を表7に示す。
【0089】
<比較例1>
実施例1において、後工程で滴下するS2に含まれる単量体の合計量を、全単量体供給量の15.67質量%に変更した。
すなわち、S1およびS2の組成をそれぞれ以下の通りに変更したほかは、実施例1と同様に行った。
(S1)
単量体m−1を28.56部(40モル%)、
単量体m−2を32.93部(40モル%)、
単量体m−3を19.82部(20モル%)、
乳酸エチルを99.3部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを2.415部(S1における単量体の合計量に対して2.5モル%)
(S2)
単量体m−1を9.07部(67.6モル%)、
単量体m−3を6.05部(32.4モル%)、
乳酸エチルを22.7部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.454部(S2における単量体の合計量に対して2.5モル%)。
【0090】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図4に示す。
実施例1(図2)と比べて比較例1(図4)は、全単量体供給量のうち後工程で供給される単量体の割合が多すぎるため、主工程の終了(反応時間4時間)後に生成された重合体の重合体組成比と目標組成との差が大きく、また反応時間によって重合体組成のばらつきが大きい。
【0091】
<参考例2:後工程で用いられる溶液Smの組成の設計>
本例は、下記式(m−4)、(m−5)、前記式(m−3)で表される単量体m−4、m−5、m−3を重合して、目標組成がm−4:m−5:m−3=35:35:30(モル%)、重量平均分子量の目標値が7,000の重合体を製造する場合の、Smの組成を求めた例である。
重合開始剤は参考例1と同じジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを用い、重合温度は80℃とした。
【0092】
【化2】

【0093】
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを31.7部とPGMEA31.7部入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記の単量体混合物、溶媒、および重合開始剤を含む滴下溶液を滴下漏斗より4時間かけて一定の滴下速度でフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
単量体m−4を20.83部(35モル%)、
単量体m−5を30.38部(35モル%)、
単量体m−3を24.78部(30モル%)、
乳酸エチルを57.0部、
PGMEAを57.0部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを4.508部(単量体の全供給量に対して5.6モル%)。
【0094】
上記滴下溶液の滴下開始から3,4,5,6,7時間後に、それぞれフラスコ内の重合反応溶液を0.5gサンプリングし、単量体m−3〜m−5の定量をそれぞれ行った。これにより各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体の質量がわかる。その結果、例えば滴下開始から3時間後と4時間後の結果は表3の通りであった。
【0095】
【表3】

【0096】
次いで、各単量体の分子量を用いて、各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体のモル分率(Mx:My:Mzに該当する。)に換算した。
その結果、例えば滴下開始から3時間後と4時間後の結果は表4の通りであった。
【0097】
【表4】

【0098】
参考例1と同様にして、各反応時間帯に生成された重合体における構成単位の含有比率求めた。その結果を図5に示す。
図5の結果に示されるように、重合体組成比(Px:Py:Pz)が、目標組成である35:35:30に最も近いのは、滴下開始から3時間後〜4時間後に生成した重合体であり、Px:Py:Pz=37.36:32.61:28.95であった。
この値と、滴下開始からの経過時間が3時間後におけるMx:My:Mzの値(表4)を用い、Fx=Px/Mx、Fy=Py/My、Fz=Pz/Mzより、ファクターFx、Fy、Fzを求めると、Fx=1.60、Fy=0.60、Fz=1.50となる。このとき、Fy<Fz<Fxより、Fyは0に置換される。
該ファクターの値と、目標組成を用いてSmの組成x:y:zを求めた。
=35×Fx/(35×Fx+35×Fy+30×Fz)
=35×1.60/(35×1.60+35×0+30×1.50)=55.4モル%。
=35×Fy/(35×Fx+35×Fy+30×Fz)
=35×0/(35×1.60+35×0+30×1.50)=0モル%。
=30×Fz/(35×Fx+35×Fy+30×Fz)
=30×1.50/(35×1.60+35×0+30×1.50)=44.6モル%。
【0099】
<実施例3>
本例では、S1を滴下する主工程の後に、S2を滴下する後工程を設けた。
参考例2で求めたSmの組成をS2の組成として用いた。使用する単量体の種類、重合開始剤の種類、重合温度、重合体の目標組成、および重量平均分子量の目標値は参考例2と同じである。S1の単量体組成は目標組成と同じとした。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを31.7部とPGMEA31.7部入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記のS1の全量を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下した後、直ちに下記S2のうちの80質量%を1時間かけて滴下した後、残りの20質量%を1時間かけて滴下しさらに80℃の温度を1時間保持した。S1の溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
本例において、S2が含有する単量体の合計量は全単量体供給量の2.71質量%である。
【0100】
(S1)
単量体m−4を20.83部(35モル%)、
単量体m−5を30.38部(35モル%)、
単量体m−3を24.78部(30モル%)、
乳酸エチルを40.4部、
PGMEAを40.4部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを4.508部(S1における単量体の合計量に対して5.6モル%)。
(S2)
単量体m−4を1.00部(55.4モル%)、
単量体m−3を1.12部(44.6モル%)、
乳酸エチルを16.6部、
PGMEAを16.6部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.137部(S2における単量体の合計量に対して5.6モル%)。
【0101】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図6に示す。
図5と図6の結果を比べると、参考例2(図5)では、主工程の終了(滴下液の終了)時である反応時間4時間から保持工程の終了時である反応時間7時間の間に生成された重合体は、重合体組成比と目標組成との差が経時的に大きくなっている。
これに対して、主工程の終了(S1の滴下終了)後に、S2を合計2時間供給する後工程を設けた実施例3(図6)では、主工程の終了(反応時間4時間)後も、重合体組成比が目標組成と非常に近い値を示し、反応時間による組成比のばらつきが改善された。
【0102】
[重合体の精製]
実施例1の重合体の精製工程において使用した、メタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)および(メタノール/水=90/10容量比)を、それぞれメタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=85/15容量比)および(メタノール/水=95/5容量比)に変更したほかは、実施例1と同様にして、反応時間7時間が経過したフラスコ内の重合反応溶液から、重合体P3を得た。重合体P3のMw、Mw/Mn、溶解性評価の結果を表7に示す。
[レジスト組成物の製造]
実施例1と同様にして、重合体P3を含有するレジスト組成物を調製し、感度を評価した。結果を表7に示す。
【0103】
<実施例4>
本例では、予めS1を反応器内に供給し、S2および重合開始剤溶液を滴下する主工程の後に、S3を滴下する後工程を設けた。
参考例2で求めたSmの組成をS3の組成として用いた。使用する単量体の種類、重合開始剤の種類、重合温度、重合体の目標組成、および重量平均分子量の目標値は参考例2と同じである。S1の単量体組成は上述のファクターを用いた方法で設計した第1の組成と同じとし、S2の単量体組成は目標組成と同じとした。
[S1の第1の組成の設計]
参考例2で求めたファクターの値(Fx=1.60、Fy=0.60、Fz=1.50)と、目標組成を用いて第1の組成を求め、これをS1の単量体組成とした。
00=35/Fx=35/1.60=約21.8モル%。
00=35/Fy=35/0.60=約58.2モル%。
00=30/Fz=30/1.50=約20.0モル%。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記のS1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記のS2と重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、S2を4時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにS2の供給終了直後より、下記S3のうちの80質量%を1時間かけて滴下した後、残りの20質量%を1時間かけて滴下し、さらに80℃の温度を1時間保持した。S2の溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
本例において、S3が含有する単量体の合計量は全単量体供給量の2.68質量%である。
【0104】
(S1)
単量体m−4を2.60部(21.8モル%)、
単量体m−5を10.13部(58.2モル%)、
単量体m−3を3.30部(20.0モル%)、
乳酸エチルを46.5部、
PGMEAを46.5部。
(S2)
単量体m−4を16.66部(35モル%)、
単量体m−5を24.30部(35モル%)、
単量体m−3を24.00部(30モル%)、
乳酸エチルを26.9部、
PGMEAを33.4部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを1.450部(S1およびS2における単量体の合計量に対して1.8モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを6.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを2.174部(S1およびS2における単量体の合計量に対して2.7モル%)。
(S3)
単量体m−4を1.00部(55.4モル%)、
単量体m−3を1.12部(44.6モル%)、
乳酸エチルを12.2部、
PGMEAを12.2部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.110部(S3における単量体の合計量に対して4.5モル%)。
【0105】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図7に示す。
参考例2(図5)と比べて実施例4(図7)は、主工程の終了(S2の滴下終了)後に、S3を合計2時間供給する後工程を設けたことにより、主工程の終了(反応時間4時間)後も、重合体組成比が目標組成と非常に近い値を示し、反応時間による組成比のばらつきが改善された。
【0106】
[重合体の精製]
実施例3と同様にして、反応時間7時間が経過したフラスコ内の重合反応溶液から、重合体P4を得た。重合体P4のMw、Mw/Mn、溶解性評価の結果を表7に示す。
[レジスト組成物の製造]
実施例1と同様にして、重合体P4を含有するレジスト組成物を調製し、感度を評価した。結果を表7に示す。
【0107】
<参考例3:後工程で用いられる溶液Smの組成の設計>
本例は、前記式(m−1)下記式(m−6)、(m−7)、で表される単量体m−1、m−6、m−7を重合して、目標組成がm−1:m−6:m−7=25:25:50(モル%)、重量平均分子量の目標値が10,000の重合体を製造する場合の、Smの組成を求めた例である。
重合開始剤は参考例1と同じジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを用い、重合温度は80℃とした。
【0108】
【化3】

【0109】
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、PGME129.1部入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記の単量体混合物、溶媒、および重合開始剤を含む滴下溶液を滴下漏斗より4時間かけて一定の滴下速度でフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
単量体m−1を25.95部(25モル%)、
単量体m−6を26.87部(25モル%)、
単量体m−7を39.65部(50モル%)、
乳酸エチルを92.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを9.130部(単量体の全供給量に対して6.5モル%)。
【0110】
上記滴下溶液の滴下開始から3,4,5,6,7時間後に、それぞれフラスコ内の重合反応溶液を0.5gサンプリングし、単量体m−1、m−6、m−7の定量をそれぞれ行った。これにより各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体の質量がわかる。その結果、例えば滴下開始から3時間後と4時間後の結果は表5の通りであった。
【0111】
【表5】

【0112】
次いで、各単量体の分子量を用いて、各サンプリング時においてフラスコ内に残存している各単量体のモル分率(Mx:My:Mzに該当する。)に換算した。
その結果、例えば滴下開始から3時間後と4時間後の結果は表6の通りであった。
【0113】
【表6】

【0114】
参考例1と同様にして、各反応時間帯に生成された重合体における構成単位の含有比率(重合体組成)を求めた。その結果を図8に示す。
図8の結果に示されるように、重合体組成比(Px:Py:Pz)が、目標組成である25:25:50に最も近いのは、滴下開始から3時間後〜4時間後に生成した重合体であり、Px:Py:Pz=24.32:23.54:46.86であった。
この値と、滴下開始からの経過時間が3時間後におけるMx:My:Mzの値(表6)を用い、Fx=Px/Mx、Fy=Py/My、Fz=Pz/Mzより、ファクターFx、Fy、Fzを求めると、Fx=1.30、Fy=0.90、Fz=0.85となる。このとき、Fz<Fy<Fxより、Fzは0に置換される。
該ファクターの値と、目標組成を用いてSmの組成x:y:zを求めた。
=25×Fx/(25×Fx+25×Fy+50×Fz)
=25×1.30/(25×1.30+25×0.90+50×0)=59.1モル%。
=25×Fy/(25×Fx+25×Fy+50×Fz)
=25×0.90/(25×1.30+25×0.90+50×0)=40.9モル%。
=50×Fz/(25×Fx+25×Fy+50×Fz)
=50×0/(25×1.30+25×0.90+50×0)=0モル%。
【0115】
<実施例5>
本例では、S1を滴下する主工程の後に、S2を滴下する後工程を設けた。
参考例3で求めたSmの組成をS2の組成として用いた。使用する単量体の種類、重合開始剤の種類、重合温度、重合体の目標組成、および重量平均分子量の目標値は参考例3と同じである。S1の単量体組成は目標組成と同じとした。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、PGME123.3部入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記のS1の全量を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下した後、直ちに下記S2のうちの80質量%を1時間かけて滴下した後、残りの20質量%を1時間かけて滴下しさらに80℃の温度を1時間保持した。S1の溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
本例において、S2が含有する単量体の合計量は全単量体供給量の2.10質量%である。
【0116】
(S1)
単量体m−1を25.95部(25モル%)、
単量体m−6を26.87部(25モル%)、
単量体m−7を39.65部(50モル%)、
PGMEを59.3部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを9.832部(S1における単量体の合計量に対して7モル%)。
(S2)
単量体m−1を1.25部(59.1モル%)、
単量体m−6を0.73部(40.9モル%)、
PGMEを37.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.162部(S2における単量体の合計量に対して7.0モル%)。
【0117】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図9に示す。
図8と図9の結果を比べると、参考例3(図8)では、主工程の終了(滴下液の終了)時である反応時間4時間から保持工程の終了時である反応時間7時間の間に生成された重合体は、重合体組成比と目標組成との差が経時的に大きくなっている。
これに対して、主工程の終了(S1の滴下終了)後に、S2を合計2時間供給する後工程を設けた実施例5(図9)では、主工程の終了(反応時間4時間)後も、重合体組成比が目標組成と非常に近い値を示し、反応時間による組成比のばらつきが改善された。
【0118】
[重合体の精製]
実施例1の重合体の精製工程において使用した、メタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)および(メタノール/水=90/10容量比)を、いずれもジイソプロピルエーテルに変更したほかは、実施例1と同様にして、反応時間7時間が経過したフラスコ内の重合反応溶液から、重合体P5を得た。重合体P5のMw、Mw/Mn、溶解性評価の結果を表8に示す。
【0119】
<実施例6>
本例では、予めS1を反応器内に供給し、S2および重合開始剤溶液を滴下する主工程の後に、S3を滴下する後工程を設けた。
参考例3で求めたSmの組成をS3の組成として用いた。使用する単量体の種類、重合開始剤の種類、重合温度、重合体の目標組成、および重量平均分子量の目標値は参考例3と同じである。S1の単量体組成は上述のファクターを用いた方法で設計した第1の組成と同じとし、S2の単量体組成は目標組成と同じとした。
[S1の第1の組成の設計]
参考例3で求めたファクターの値(Fx=1.30、Fy=0.90、Fz=0.85)と、目標組成を用いて第1の組成を求め、これをS1の単量体組成とした。
00=25/Fx=25/1.30=19.2モル%。
00=25/Fy=25/0.90=27.8モル%。
00=50/Fz=50/0.85=58.8モル%。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記のS1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記のS2と重合開始剤の供給を同時に開始し、S2を4時間かけて、重合開始剤を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにS2の供給終了直後より、下記S3のうちの80質量%を1時間かけて滴下した後、残りの20質量%を1時間かけて滴下しさらに80℃の温度を1時間保持した。S2の溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
本例において、S3が含有する単量体の合計量は全単量体供給量の1.99質量%である。
【0120】
(S1)
単量体m−1を2.00部(18.2モル%)、
単量体m−6を2.99部(26.2モル%)、
単量体m−7を4.74部(55.6モル%)、
PGMEを139.0部。
(S2)
単量体m−1を23.36部(25モル%)、
単量体m−6を24.19部(25モル%)、
単量体m−7を39.57部(50モル%)、
PGMEを44.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを2.815部(S1およびS2における単量体の合計量に対して2.0モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを5.2部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを4.223部(S1およびS2における単量体の合計量に対して3.0モル%)。
(S3)
単量体m−1を1.25部(59.1モル%)、
単量体m−6を0.73部(40.9モル%)、
乳酸エチルを37.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.132部(S3における単量体の合計量に対して5.0モル%)。
【0121】
参考例1と同様の手順で、各反応時間に生成した重合体における構成単位の含有比率(重合体組成比)を求めた。その結果を図10に示す。
参考例3(図8)と比べて実施例6(図10)は、主工程の終了(S2の滴下終了)後に、S3を合計2時間供給する後工程を設けたことにより、主工程の終了(反応時間4時間)後も、重合体組成比が目標組成と非常に近い値を示し、反応時間による組成比のばらつきが改善された。
【0122】
[重合体の精製]
実施例5と同様にして、反応時間7時間が経過したフラスコ内の重合反応溶液から、重合体P6を得た。重合体P6のMw、Mw/Mn、溶解性評価の結果を表8に示す。
【0123】
<比較例2〜4>
参考例1〜3において、反応時間7時間が経過した後に、室温まで冷却して反応を停止させて得られるフラスコ内の重合反応溶液を用い、実施例1の重合体の精製工程と同様にして比較重合体をそれぞれ得た。得られた比較重合体について、実施例1と同様にしてMw、Mw/Mnを求め、溶解性評価を行った。比較例2,3の結果を表7に示し、比較例4の結果を表8に示す。
また、比較例2、3においては、得られた比較重合体を用い、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し、感度を評価した。その結果を表7に示す。
【0124】
【表7】

【0125】
表7の結果より、実施例1、2で得た重合体は、比較例1(後工程で滴下するSmに含まれる単量体合計量:15.67質量%)、比較例2(後工程で滴下するSmに含まれる単量体合計量:0質量%)で得た重合体と比べて、溶解性が顕著に向上し、レジスト組成物にしたときの感度が向上した。また、後工程で滴下される溶液Smが含有する単量体の合計量が適切に制御されなかった比較例1においては、実施例1に比べて溶解性が顕著に低下した。
実施例3、4で得た重合体は、比較例3(後工程で滴下するSmに含まれる単量体合計量:0質量%)で得た重合体と比べて、溶解性が顕著に向上し、レジスト組成物にしたときの感度が向上した。
【0126】
【表8】

【0127】
表8の結果より、実施例5、6で得た重合体は、比較例4(後工程で滴下するSmに含まれる単量体合計量:0質量%)で得た重合体とそれぞれ比べて、溶解性が顕著に向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器内に単量体および重合開始剤を滴下しながら、該反応器内で2種以上の単量体α〜α(ただし、nは2以上の整数を表す。)を重合して、構成単位α’〜α’(ただし、α’〜α’は単量体α〜αからそれぞれ導かれる構成単位を表す。)からなる重合体(P)を得る重合工程を有するリソグラフィー用重合体の製造方法であって、
単量体を含有し単量体の組成が互いに異なる複数の溶液S1〜Sm(mは2以上の整数)を用い、
前記重合工程が、溶液S1〜S(m−1)をそれぞれ反応器内へ供給する主工程と、該主工程が終了した後に溶液Smを反応器内に供給する後工程とを有し、
前記溶液Smに含まれる単量体の合計量が全単量体供給量の0.1〜10質量%であり、該溶液Smは、単量体α〜αのうち、最も共重合反応速度が遅い単量体を含まないリソグラフィー用重合体の製造方法。
【請求項2】
前記後工程において、前記重合体(P)における構成単位α’〜α’の含有比率を表わす目標組成(単位:モル%)がα’:α’:…:α’であるとき、前記溶液Smが含有する単量体の組成(単位:モル%)をαm1:αm2:…:αmnで表わし、下記(1)〜(3)の手順で求められるファクターをF、F、…F(ただし、F1〜Fのうち最も小さいものは0に置換する。)で表わすと、αm1=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)、αm2=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)、…αmn=α’×F/(α’×F+α’×F+…+α’×F)である、請求項1記載のリソグラフィー用重合体の製造方法。
(1)まず単量体組成が目標組成α’:α’:…:α’と同じである単量体混合物100質量部と重合開始剤と溶媒を含有する滴下溶液を、溶媒のみを入れた反応器内に一定の滴下速度で滴下し、滴下開始からの経過時間がt、t、t…のときに、それぞれ反応器内に残存している単量体α〜αの組成(単位:モル%)M:M:…:Mと、tからtまでの間、tからtまでの間、…にそれぞれ生成した重合体における構成単位α’〜α’の比率(単位:モル%)P:P:…:Pを求める。
(2)前記P:P:…:Pが、目標組成α’:α’:…:α’に最も近い時間帯「tからtr+1までの間(rは1以上の整数。)」を見つける。
(3)該「tからtr+1までの間」におけるP:P:…:Pの値と、経過時間tにおけるM:M:…:Mの値とから、下記式により、ファクターF、F、…Fを求める。F=P/M、F=P/M、…F=P/M
【請求項3】
請求項1および2に記載の製造方法により得られるリソグラフィー用重合体。
【請求項4】
請求項3に記載のリソグラフィー用重合体、および活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有するレジスト組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のレジスト組成物を、基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して、露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程とを含む、パターンが形成された基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−87186(P2012−87186A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233753(P2010−233753)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】