説明

リチウムイオン二次電池

【課題】リチウムイオン二次電池において、正極集電体の腐食を抑制しうる手段を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池10は、正極集電体12の表面に正極活物質層15が形成されてなる正極と、負極集電体11の表面に負極活物質層13が形成されてなる負極と、正極活物質層と負極活物質層との間に介在し、液体電解質を含む電解質層17とを含む単電池層19を備える発電要素21を有する。そして、正極集電体の少なくとも1つがステンレス鋼を含み、液体電解質が下記化学式1:


式中、xは4〜12である、で表されるフッ化ドデカホウ酸塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、および燃料電池車(FCV)の開発が進められている。これらのモータ駆動用電源としては繰り返し充放電可能な二次電池が適しており、特に高容量、高出力が期待できるリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が注目を集めている。
【0003】
非水電解質二次電池は、その構成要素として、正極、負極、および正極と負極との間に介在する電解質層を含む単電池層を有している。
【0004】
電解質層の構成として、例えば、微多孔質樹脂シートからなるセパレータに液体電解質が含浸されてなるものが知られている。この液体電解質は、有機溶媒と、リチウムイオン二次電池においてはリチウム塩とをその必須成分として含む。
【0005】
従来、リチウムイオン二次電池の電解質層に含まれる液体電解質を構成するためのリチウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)などの含フッ素リチウム塩が用いられている(特許文献1を参照)。かような含フッ素リチウム塩は広い電位窓を有し、有機溶媒に溶媒しやすく、高い電気伝導度を有する点で、リチウムイオン二次電池に広く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6346351号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、リチウムイオン二次電池の正極を構成する正極集電体としては、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材料が用いられることが多い。
【0008】
しかしながら、これらの金属材料を正極集電体の構成材料として用いたリチウムイオン二次電池において特許文献1に記載のような含フッ素リチウム塩を含む液体電解質を用いると、正極集電体を構成する金属材料が溶出するという問題が生じることが判明した。これは、高温運転時にリチウム塩が分解して生成するフッ化物イオン(F)が、正極集電体の構成材料である金属材料を腐食するためであると考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池において、正極集電体の腐食を抑制しうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、正極集電体の構成材料としてステンレス鋼を採用し、かつ、特定のリチウム塩を用いて液体電解質を構成することで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極集電体の表面に正極活物質層が形成されてなる正極と、負極集電体の表面に負極活物質層が形成されてなる負極と、正極活物質層と負極活物質層との間に介在し、液体電解質を含む電解質層とを含む単電池層を備える発電要素を有する。そして、正極集電体の少なくとも1つがステンレス鋼を含み、液体電解質が下記化学式1:
【0012】
【化1】

【0013】
式中、xは4〜12である、
で表されるフッ化ドデカホウ酸塩を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明のリチウムイオン二次電池において液体電解質を構成するフッ化ドデカホウ酸塩は、フッ化物イオン(F)を生成せずにステンレス鋼を含む正極集電体の表面に優先的に吸着する。その結果、正極集電体の活性面の露出が抑制され、ひいては正極集電体の腐食が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
リチウムイオン二次電池は、たとえば、形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池などさまざまな形態・構造である。下記実施形態においても、これらの形態が適用可能であるが、ここでは積層型(扁平型)電池構造を採用した場合について説明する。もちろん、巻回型(円筒型)電池など積層型(扁平型)電池構造以外の構造のものでも実施可能である。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点で有利である。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す模式断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。詳しくは、高分子−金属複合ラミネートシートを電池の外装として用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素21を収納し密封した構成を有している。
【0020】
発電要素21は、負極集電体11の両面に負極活物質層13が配置された負極と、電解質層17と、正極集電体12の両面に正極活物質層15が配置された正極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの負極活物質層13とこれに隣接する正極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。
【0021】
これにより、隣接する負極、電解質層および正極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、本実施形態のリチウムイオン電池10は、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。発電要素21の両最外層に位置する最外層負極集電体には、いずれも片面のみに負極活物質層12が配置されている。なお、図1とは負極および正極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層正極集電体が位置するようにし、該最外層正極集電体の片面のみに正極活物質層が配置されているようにしてもよい。もちろん、図1に示すように発電要素21の両最外層に負極が位置する場合に、最外層(負極)集電体の両面に負極活物質層を配置して、発電要素の最外層に位置する負極活物質層を機能させない構成としてもよい。
【0022】
正極集電体11および負極集電体12には、各電極(正極および負極)と導通される負極集電板25および正極集電板27がそれぞれ取り付けられている。そして、これらの集電板(25、27)はそれぞれ、ラミネートシート29の端部に挟まれるようにしてラミネートシート29の外部に導出されている。負極集電板25および正極集電板27はそれぞれ、必要に応じて負極リードおよび正極リード(図示せず)を介して、各電極の負極集電体11および正極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
【0023】
以下、上述したリチウムイオン二次電池の構成要素について説明するが、下記の形態のみには限定されない。
【0024】
[正極(正極集電体、正極活物質層)]
正極は、正極集電体12の表面に正極活物質層15が形成されてなる構造を有する。
【0025】
本実施形態のリチウムイオン二次電池10の特徴の1つは、正極集電体12の構成材料がステンレス鋼である点にある。正極集電体12をステンレス鋼から構成し、後述する特定の塩を液体電解質に含めることで、正極集電体12の腐食が抑制されうる。
【0026】
ステンレス鋼は、約12%以上のCrを含有するFe−Cr−(Ni)系合金であり、組成上は、Cr系ステンレス鋼とCr−Ni系ステンレス鋼とに大別される。また、組織構造上は、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト−フェライト二相ステンレス鋼、析出硬化ステンレス鋼に分類される。ここで、オーステナイト系としては、例えば、SUS201、SUS202、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS305、SUS316、SUS317が挙げられる。また、オーステナイト・フェライト系としては、SUS329J1が挙げられる。さらに、マルテンサイト系としては、SUS403、SUS420が挙げられる。また、フェライト系としては、SUS405、SUS430、SUS430LXが挙げられる。そして、析出硬化系としては、SUS630が挙げられる。なかでも、本実施形態においては、好ましくは、オーステナイト系ステンレス鋼またはオーステナイト−フェライト二相ステンレス鋼が用いられる。かような形態によれば、フッ化物イオン(F)による応力腐食割れを抑制することができ、正極集電体12の腐食がより一層抑制されうるという点で、好ましい。また、これらのステンレス鋼はニッケル(Ni)を含有するが、本実施形態において液体電解質を構成するのに用いられるフッ化ドデカホウ酸塩はニッケルに優先的に吸着し、ステンレス鋼の表面を被覆することができる。かようなメカニズムによっても、もちろん、上記で列挙したもの以外のステンレス鋼が、正極集電体12の構成材料として用いられてもよい。なお、本実施形態のリチウムイオン二次電池10においては、正極を構成するすべての正極集電体12がステンレス鋼から構成されている。ただし、本発明の技術的範囲はかような形態のみには限定されず、少なくとも1つの正極集電体12がステンレス鋼から構成されていればよい。
【0027】
他の好ましい実施形態において、正極集電体12を構成するステンレス鋼が、窒素(N)またはモリブデン(Mo)を含有するものであることが好ましい。かようなステンレス鋼としては、例えば、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS354Nなどが挙げられる。かような形態によれば、ステンレス鋼の腐食(孔食)隙間割れが抑制され、正極集電体12の腐食がより一層抑制されうるという点で、好ましい。
【0028】
さらに他の好ましい実施形態では、正極集電体12を構成するステンレス鋼における炭素含有量が0.3質量%以下であるか、または、正極集電体12を構成するステンレス鋼がチタン(Ti)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)を含有するものであることが好ましい。ステンレス鋼における炭素含有量を少なくすることで、ステンレス鋼の鋭敏化(Fe23)が抑制される。また、ステンレス鋼に炭素と反応しうる元素(Ti、Nb、Ta)を含ませることによっても同様に、ステンレス鋼の鋭敏化を抑制することができる。このようにステンレス鋼の鋭敏化を抑制することにより、ステンレス鋼の腐食をより一層抑制することが可能となるため、好ましい。ここで、チタン(Ti)を含有するステンレス鋼としてはSUS321が挙げられ、ニオブ(Nb)を含有するステンレス鋼としてはSUS347が挙げられ、タンタル(Ta)を含有するステンレス鋼としてはSUS348が挙げられる。
【0029】
続いて、正極活物質層15について、説明する。正極活物質層15は正極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電性材料、バインダなどをさらに含みうる。
【0030】
正極活物質は、特にリチウムの吸蔵放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質が利用されうる。具体的には、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物、LiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物、LiNi0.5Mn0.5などのLi−Ni−Mn系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
【0031】
導電性材料は、活物質層の導電性を向上させることを目的として配合される。本実施形態において用いられうる導電性材料は特に制限されず、従来公知の形態が適宜参照されうる。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;気相成長炭素繊維(VGCF)等の炭素繊維;グラファイトなどの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電性材料を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
【0032】
バインダとしては、以下に制限されることはないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル、およびアクリル樹脂(例えば、LSR)などの熱可塑性樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂、ならびにスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などのゴム系材料が挙げられる。
【0033】
[負極(負極集電体、負極活物質層)]
負極は、負極集電体11の表面に負極活物質層13が形成されてなる構造を有する。
【0034】
負極集電体11の構成材料について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。負極集電体11の構成材料としては、例えば、金属や導電性高分子が採用されうる。具体的には、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、銅、銀、白金、ステンレスまたはカーボンが挙げられ、これらは単体、合金または複合体をなしてもよい。なお、非導電性高分子からなる基材に導電性フィラーが分散されてなる構成を有する構造体もまた、負極集電体の一形態として採用されうる。
【0035】
負極活物質層13は負極活物質を含み、必要に応じて上記と同様の導電性材料、バインダなどをさらに含みうる。
【0036】
負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料からなるものであれば特に制限されないが、リチウムと合金化しうる元素を含むことが好ましい。リチウムと合金化しうる元素を含む形態としては、リチウムと合金化しうる元素の単体、これらの元素を含む酸化物および炭化物等が挙げられる。リチウムと合金化しうる元素を用いることにより、従来の炭素材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量の電池を得ることが可能となる。リチウムと合金化しうる元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、負極活物質は、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、SiまたはSnの元素を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。酸化物としては、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、一酸化スズ(SnO)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
この他、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム金属等の金属材料、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質が使用可能である。場合によっては、これらの負極活物質が2種以上併用されてもよい。
【0038】
[電解質層]
電解質層17は、正極活物質層と負極活物質層との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
【0039】
本実施形態において、電解質層17は、液体電解質(電解液)を含む。そして、液体電解質(電解液)を用いることから、電解質層17にはセパレータが用いられることが必要である。ここで、セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
【0040】
液体電解質は、有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が挙げられる。そして、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、電解質層17に含まれる液体電解質が、特定の塩を含む点に特徴を有する。具体的には、本実施形態の液体電解質は、下記化学式1:
【0041】
【化2】

【0042】
で表されるフッ化ドデカホウ酸塩を含む。
【0043】
従来技術によると、アルミニウムからなる正極集電体がリチウム塩由来のフッ化物イオン(F)等の影響を受けて溶出する。そうすると、溶出したアルミニウムは負極側において還元されて金属アルミニウムとして析出する。その結果、電池の内部抵抗が上昇し、かつ、容量維持率も低下するという問題があった。これに対し、本実施形態のリチウムイオン二次電池10によれば、上記所定のフッ化ドデカホウ酸塩を含む液体電解質を、ステンレス鋼からなる正極集電体12と組み合わせて採用することで、正極集電体12の腐食を抑制することが可能となる。その結果、従来技術における上述した問題が解決され、耐久性に優れる電池が提供されうることになるのである。
【0044】
なお、上記化学式1のフッ化ドデカホウ酸塩の使用は、正極集電体からなるステンレス鋼の使用との組み合わせが必須である。例えば、アルミニウムからなる正極集電体を用いたリチウムイオン二次電池において当該フッ化ドデカホウ酸塩を用いて液体電解質を構成しても、アルミニウムの腐食(溶出)を防止することはできない。これは、上記フッ化ドデカホウ酸塩からはフッ化物イオン(F)が生成しないため、正極集電体としてのアルミニウム表面にフッ化アルミニウム(AlF)の皮膜が形成されないことによる。本実施形態のリチウムイオン二次電池では、フッ化ドデカホウ酸塩がフッ化物イオン(F)を生成せずにステンレス鋼を含む正極集電体の表面に優先的に吸着する。その結果、正極集電態の活性面の露出が抑制され、ひいては正極集電体の腐食が抑制されるのである。
【0045】
化学式1において、xは、4〜12である。より好ましい形態において、化学式1におけるxは、12であることが好ましい。すなわち、化学式1で表されるフッ化ドデカホウ酸塩のなかでも、x=12であるLi1212が液体電解質の支持塩として含まれることが好ましい。かような形態によれば、電池性能の低下の原因となりうる分解物が生成しにくく、電池の耐久性を向上させうるという利点がある。これは、フッ化ドデカホウ酸塩が水素原子を含まないことで、電池の運転温度(80℃程度)においても酸化側の電位に対する耐久性が高いためと考えられる。この際、液体電解質における初期のフッ化物イオン(F)濃度および塩化物イオン(Cl)濃度がそれぞれ、1質量ppm以下であると、さらに好ましい。かような形態によれば、これらのハロゲン化物イオンの存在に起因するステンレス鋼の腐食が十分に抑制され、電池の耐久性を向上させることが可能となるため、好ましい。
【0046】
なお、本実施形態においても、液体電解質は、上記化学式1のフッ化ドデカホウ酸塩以外のリチウム塩を支持塩として含んでもよい。かようなリチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAlF、LiAsF、LiSbFなどの従来公知のリチウム塩が挙げられる。ただし、上述した理由から、これらのハロゲン原子含有リチウム塩の含有量は多すぎないほうが好ましい。その一方で、これらのハロゲン原子含有リチウム塩は、液体電解質におけるリチウム塩の解離を向上させうる。これにより、電池の使用による電池の内部抵抗の上昇を抑制することができる。したがって、他の好ましい形態において、液体電解質は、LiPF、LiBF、LiAlF、LiAsFおよびLiSbFからなる群から選択される1種または2種以上のリチウム塩を、0.1M以下の濃度で含有する。
【0047】
本実施形態において、液体電解質は、上述した成分以外の添加剤をさらに含んでもよい。本実施形態において用いられうる添加剤の1種として、不飽和結合を有する環式炭酸エステルが挙げられる。かような化合物の具体例としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートがより好ましい。これらの環式炭酸エステルは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0048】
さらに、本実施形態において、液体電解質は、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物を含んでもよい。これらのスルトン化合物もまた、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
本実施形態において、液体電解質が上述したような不飽和結合を有する環式炭酸エステルやスルトン化合物を含むと、電池を構成する活物質の表面に安定な皮膜を形成することが可能となる。その結果、電池の使用による電池の内部抵抗の上昇を抑制することができ、電池の耐久性を向上させうるため、好ましい。
【0050】
本実施形態におけるこれらの添加剤(環式炭酸エステル、スルトン化合物)の添加量(合計量)は特に制限されないが、上述した有機溶媒と支持塩との合計量100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%であり、さらに好ましくは0.8〜3質量%であり、特に好ましくは1〜2質量%である。上述した添加剤の添加量がかような範囲内の値であれば、添加による上記の効果が必要なだけ、かつ十分に発揮されうる。
【0051】
[正極集電板および負極集電板]
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅である。なお、負極集電板25と正極集電板27とでは、リチウムと合金化せず、かつ腐食の進行が電池寿命の期間許容できる条件であれば同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
【0052】
[正極リードおよび負極リード]
また、図示は省略するが、集電体11と集電板(25、27)との間を負極リードや正極リードを介して電気的に接続してもよい。負極および正極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
【0053】
[外装]
外装としては、図1に示すようなラミネートシート29が用いられうる。ラミネートシートは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。なお、場合によっては、従来公知の金属缶ケースもまた、外装として用いられうる。
【0054】
本実施形態のリチウムイオン二次電池10においては、液体電解質にフッ化ドデカホウ酸塩が含まれている。また、正極集電体はステンレス鋼から形成されている。フッ化ドデカホウ酸塩は、フッ化物イオン(F)を生成せずにステンレス鋼を含む正極集電体の表面に優先的に吸着する。その結果、正極集電体の活性面の露出が抑制され、ひいては正極集電体の腐食が抑制されるという効果が発揮される。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例のみに限定されることはない。
【0056】
<実施例1>
1.正極の作製
正極活物質としてLiFePO(平均粒子径:10μm)85質量%、導電助剤としてアセチレンブラック(平均粒子径:0.1μm)5質量%、およびバインダとしてPVdF10質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して、正極スラリーを作製した。次に、正極スラリーを、正極集電体であるステンレス(SUS304)箔(厚さ:10μm)の片側に塗布し乾燥させ、プレス処理を施して、正極活物質層を有する正極を作製した。
【0057】
2.負極の作製
負極活物質としてハードカーボン(平均粒子径:10μm)90質量%、およびバインダとしてPVdF10質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるNMPを適量添加して、負極スラリーを作製した。次に、負極スラリーを、負極集電体である銅箔(厚さ:10μm)の片側に塗布し乾燥させ、プレス処理を施して、負極活物質層を有する負極を作製した。
【0058】
3.電解液の作製
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)との混合溶媒(1:1(体積比))を溶媒とした。この溶媒に、リチウム塩であるLi1212を0.4Mの濃度で添加して、電解液を作製した。
【0059】
4.電池の完成工程
上記で作製した正極および負極を、活物質層どうしが向き合うように、セパレータ(ポリエチレン微多孔膜、厚さ:25μm)を介して積層した。
【0060】
これらの正極および負極のそれぞれにタブを溶接し、アルミラミネートフィルムからなる外装中に密封して、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0061】
<実施例2>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS316を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0062】
<実施例3>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS316Nを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0063】
<実施例4>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS354Nを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0064】
<実施例5>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS304Lを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0065】
<実施例6>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0066】
<実施例7>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS329を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0067】
<実施例8>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS321を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0068】
<実施例9>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS347を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0069】
<実施例10>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304に代えてSUS348を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0070】
<実施例11>
電解液として、LiPFを0.1Mの濃度でさらに溶解させたものを用いたこと以外は、上述した実施例5と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0071】
<実施例12>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304Lに代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した実施例11と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0072】
<実施例13>
実施例1で調製した電解液100質量%に対して、ビニレンカーボネート(VC)を1質量%の濃度で添加したものを電解液として用いたこと以外は、上述した実施例5と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0073】
<実施例14>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304Lに代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した実施例13と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0074】
<実施例15>
実施例1で調製した電解液100質量%に対して、ビニレンカーボネート(VC)および1,3−プロパンスルトン(PS)をそれぞれ1質量%の濃度で添加したものを電解液として用いたこと以外は、上述した実施例5と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0075】
<実施例16>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304Lに代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した実施例15と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0076】
<実施例17>
実施例11で調製した電解液100質量%に対して、ビニレンカーボネート(VC)を1質量%の濃度で添加したものを電解液として用いたこと以外は、上述した実施例11と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0077】
<実施例18>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304Lに代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した実施例17と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0078】
<実施例19>
実施例11で調製した電解液100質量%に対して、ビニレンカーボネート(VC)および1,3−プロパンスルトン(PS)をそれぞれ1質量%の濃度で添加したものを電解液として用いたこと以外は、上述した実施例11と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0079】
<実施例20>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304Lに代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した実施例19と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0080】
<比較例1>
正極集電体として、ステンレス箔に代えてアルミニウム箔(厚さ:20μm)を用いた。また、リチウム塩として、Li1212に代えてLiPFを1.0Mの濃度で用いた。これらの点以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0081】
<比較例2>
正極集電体として、ステンレス箔に代えてアルミニウム箔(厚さ:20μm)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0082】
<比較例3>
リチウム塩として、Li1212に代えてLiPFを1.0Mの濃度で用いたこと以外は、上述した実施例5と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0083】
<比較例4>
正極集電体を構成するステンレスとして、SUS304Lに代えてSUS316Lを用いたこと以外は、上述した比較例3と同様の手法により、積層型リチウムイオン二次電池を完成させた。
【0084】
<電池の評価>
上記の各実施例・各比較例において作製した電池について、0.2Cにて8時間充電(CCCV、上限電圧3.6V)を行なった後、0.2Cで放電(CC、下限電圧2.0V)を行ない、この際の放電容量を測定して、これを初期放電容量とした。
【0085】
また、各電池をSOC50%に充電し、1Cで10秒間放電した際の電位差ΔEを流れた電流値で除して、得られた値を初期電池抵抗とした。
【0086】
さらに、各電池について0.2Cにて8時間充電(CCCV、上限3.6V)を行なった後、80℃に設定した恒温槽に30日間保管することにより、保存試験を行なった。
【0087】
30日間の保存試験の後、上記と同様の手法により、放電容量および電池抵抗を測定した。保存試験後の放電容量および電池抵抗の、初期放電容量および初期電池抵抗のそれぞれを100%としたときの値を、下記の表1に示す。
【0088】
【表1−1】

【0089】
【表1−2】

【0090】
<考察>
比較例1では、アルミニウムからなる正極集電体に含フッ素リチウム塩を組み合わせている。その結果、容量維持率が十分に確保されないばかりでなく、電池の内部抵抗の上昇が著しい。これは、含フッ素リチウム塩由来のフッ化物イオン(F)によってアルミニウム集電体が腐食(溶出)した結果と考えられる。
【0091】
比較例2では、アルミニウムからなる正極集電体にフッ化ドデカホウ酸塩を組み合わせている。その結果、容量維持率および内部抵抗の双方において問題が生じている。これは、含フッ素リチウム塩を用いた場合とは異なり、アルミニウム集電体の表面にフッ化アルミニウム(AlF)の皮膜が形成されず、アルミニウムの腐食(溶出)が防止されないためと考えられる。
【0092】
比較例3および4では、ステンレス鋼からなる正極集電体に含フッ素リチウム塩を組み合わせている。その結果、容量維持率が十分に確保されず、また、電池の内部抵抗の上昇も依然として十分に抑制することができていない。これは、上述した比較例1と同様に、含フッ素リチウム塩由来のフッ化物イオン(F)によってステンレス鋼からなる集電体が腐食(溶出)した結果と考えられる。
【0093】
一方、本発明の構成を有する実施例1〜20では、比較例1〜4と比較して、容量維持率および抵抗上昇率ともに改善されていることがわかる。
【0094】
実施例1と実施例2〜4との比較から、本発明において、正極集電体を構成するステンレス鋼が窒素(N)またはモリブデン(Mo)を含有すると、容量維持率がより一層改善されることがわかる。
【0095】
また、実施例1と実施例5および6との比較から、本発明において、正極集電体を構成するステンレス鋼における炭素含有量が少ないと、容量維持率がより一層改善されることがわかる。同様に、実施例1と実施例8〜10との比較から、本発明において、正極集電体を構成するステンレス鋼がTi、Nb、またはTaを含有すると、容量維持率がより一層改善されることがわかる。これらの結果は、ステンレス鋼の鋭敏化(Fe23)が抑制されたことによるものと考えられる。
【0096】
さらに、実施例1と実施例11および12との比較から、液体電解質が含フッ素リチウム塩を支持塩としてさらに含有すると、容量維持率がより一層改善されることがわかる。同様に、実施例1と実施例13〜16との比較から各種添加剤の添加効果が、実施例1と実施例17〜20との比較から含フッ素リチウム塩/添加剤の併用効果が確認された。
【符号の説明】
【0097】
10 リチウムイオン二次電池、
11 負極集電体、
12 正極集電体、
13 負極活物質層、
15 正極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 負極集電板、
27 正極集電板、
29 ラミネートシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体の表面に正極活物質層が形成されてなる正極と、
負極集電体の表面に負極活物質層が形成されてなる負極と、
前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、液体電解質を含む電解質層と、
を含む単電池層を備える発電要素を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記正極集電体の少なくとも1つが、ステンレス鋼を含み、
前記液体電解質が、下記化学式1:
【化1】

式中、xは4〜12である、
で表されるフッ化ドデカホウ酸塩を含む、リチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記ステンレス鋼が、オーステナイト系ステンレス鋼またはフェライト−オーステナイト2相系ステンレス鋼である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記ステンレス鋼が、窒素またはモリブデンを含有する、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記ステンレス鋼は、炭素含有量が0.3質量%以下であるか、または、Ti、NbまたはTaを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記xが12であり、初期の前記液体電解質におけるフッ化物イオン濃度および塩化物イオン濃度がそれぞれ1質量ppm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記液体電解質が、LiPF、LiBF、LiAlF、LiAsFおよびLiSbFからなる群から選択される1種または2種以上のリチウム塩を0.1M以下の濃度で含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
前記液体電解質が、ビニルカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、または1,3−プロパンスルトンを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。

【図1】
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【公開番号】特開2011−134690(P2011−134690A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295692(P2009−295692)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】