説明

リチウムイオン電池

本発明のリチウムイオン電池は、シェル部分(1)、前記シェル部分内に設けられ、前記シェルとの間に空間(4)が有する電気コア部分(3)、及び前記シェル部分に設けられる非水電解液を含み、前記空間が非水電解液抵抗性フィラーで充填される。本発明のリチウムイオン電池は、高容量、優れた安全性能及びサイクル特性を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年6月26日に中国特許庁へ出願された中国特許出願番号200920133723.3に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容は参照されて本明細書の一部となる。本発明はリチウムイオン電池の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池はこの20数年来急速に開発されてきた。新規エネルギーの1つの形態としてリチウムイオン電池は、例えば、高電圧、高容量、低消費、無メモリー効果、無環境汚染、小型、高比エネルギー、低内部抵抗、低自己放電速度、多数サイクル数、優れた安全性能及び種々の大きさ及び外見などの多くの利点を有する。従って、リチウムイオン電池は最も重要な種類の電池の1つである。今日リチウムイオン電池はますます注目されてきており、ノートブックパソコン及び携帯電話などの種々の種類の電子機器製品に広く使用されてきている。
【0003】
リチウムイオン電池への要求が増加するにつれ、例えば高エネルギー密度を持つ電池やより優れた電気化学的性能を持つ電池の製造技術についての要求もまたより高くなってきている。かかる電池技術の開発の傾向は、リチウムイオン電池の、容量、サイクル特性、安全性能及び高温貯蔵性能の改良に向けられている。
【0004】
当該技術分野においては、かかる電池は、電気コア部分及び電池構造部分の容積と、電解液容積及び保持ガス膨潤容積を含み得るものであることが知られている。現在は、前記構造部分の製造のための射出成形技術及び前記電気コア部分の可圧縮性の限界により、残余空間が前記電池の構造部分内に形成され得る。前記残余空間の存在により、前記電解液の充填量を増加させることができるが、一方使用の際に前記電池は膨潤して前記電極間の距離が大きくなり、それにより前記イオンのためのパスが長くなり、電池サイクル特性を低下させ電池のコスト及び重量を上げることとなる。さらに、前記残余空間は、前記電気コア部分の前記イオン交換膜にシワを生成する原因となり、かかるシワは樹状結晶リチウムの生成の原因となりさらには安全上の問題を引き起こす可能性がある。さらに、前記残余空間の存在により、前記電解液が充填された後、前記セパレーターは前記電解液に浸漬されて膨潤して前記電極プレートと前記セパレーターの表面が充分に接近せず電気容量に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単な構造を持ち、しかも優れた安全性能とサイクル特性を有するリチウムイオン電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施態様は、リチウムイオン電池であって、シェル部分、前記シェル部分内に設けられ、前記シェルとの間に空間が有する電気コア部分、及び前記シェル部分内に配置される非水電解液を含み、前記空間は非水電解液抵抗性フィラーで充填されているリチウムイオン電池を提供するものである。
【0007】
本発明の他の実施態様によると、前記フィラーは、平均直径が約1mm〜15mmの球状粒子を含み得る。本発明の他の実施態様では、前記フィラーは、平均内径が約1mm〜10mmであり、平均外径が約2mm〜15mmである中空球状粒子を含み得る。
【0008】
本発明の実施態様は次の利点を有する。前記シェル部分と前記電気コア部分間の空間が減少し、それにより電池性能が改善され、かつサイクル特性が強化されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、電池の残余空間を模式的に示す図であり、1は電池シェル部分、2は正及び負電極、3は電池の電気コア部分、4は電池内部の残余空間、5は電池突起部及び6は電気接続部を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの実施態様によれば、リチウムイオン電池は、シェル部分、前記シェル部分内に設けられ、前記シェル部分との間に空間を有する電気コア部分、及び前記シェル部分に設けられる非水電解液を含む。前記シェル部分と前記電気コア部分の間の前記空間はフィラーで充填され得る。
【0011】
前記フィラーの量は特に限定されず、前記電池のサイズに応じて調節可能である。
【0012】
本発明の実施態様によると、前記フィラーは、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパークロロエチレン、高密度ポリエチレン及びポリビニリデンクロリドを含む群から選択される1以上の化合物であり得る。前記フィラーが2以上の前記化合物の混合物である場合に、これらの混合比については特に制限はない。
【0013】
本発明の他の実施態様によると、前記フィラーは、粒子、ストリップ又はボード形状であってもよい。具体的には、前記フィラーは、平均直径が1mm〜15mmの球状粒子を含み得る。他の実施態様によれば、前記フィラーは、平均内径が1mm〜10mm、平均外径が2mm〜15mmの中空球状粒子を含み得る。従来技術の電解液のみで残余空間を充填する場合に比較して、本発明によれば、中空球状粒子が前記電池に充填され、それにより充填される電解液の量を低減させ、前記電池のコストを下げることが可能となる。一方で、前記フィラーの存在により、充電及び放電の際に前記電気コア部分の変形が抑制され、前記電極間の距離が短くなり、充電効率及び電池容量が強化され得る。さらには、本発明のいくつかの実施態様によるフィラーは弾性であってよく、充放電の際に前記電池が膨潤する際に、前記内部応力が前記フィラーにより緩和され得る。従って、前記セパレーターのシワの生成が防止され、安全性能が強化されることとなる。
【0014】
巻き取りに使用される前記セパレーターは、知られた全ての種類のリチウムイオン電池セパレーターであってもよい。前記セパレーターは、前記正電極及び負電極プレート間に挟まれ得る。前記セパレーターは、電気的に絶縁性であり、また優れた電解液保持性能を有する。本発明のいくつかの実施態様によると、前記セパレーターは当技術分野で知られる二次リチウムイオン電池で使用されるいかなる種類のセパレーター、例えばポリオレフィンミクロポーラス膜、ポリエチレンフェルト、ガラスファイバフェルト又は超微細ガラスファイバペーパーなどであってよい。
【0015】
前記電池シェル部分は、当技術分野で知られる電池を製造するために使用されるいかなる種類であってよい。いくつかの実施態様によれば、アルミニウム又は鋼鉄製であり得る。
【0016】
前記正電極プレートは当技術分野で知られるいかなる種類であってよい。一般的に前記正電極プレートは集電基板及び正電極材料が前記基板上にコーティング及び/又は充填されている。前記集電基板は、当技術分野で知られるいかなるもの、例えばアルミニウムホイル又は銅ホイルであってもよい。前記正電極材料は正電極活物質及び接着剤を含み、前記正電極活物質はリチウムイオン電池の技術で知られるいかなる種類のものであってもよい。本発明のいくつかの実施態様によると、前記正電極活物質には、LiCoO、LiFePO又はLiMnOなどが含まれる。前記接着剤には、ポリビニリデンフロリド(PVDF)などの当技術分野で知られる全てのものであってもよい。一般的に、前記接着剤の量は、前記正電極活物質の重量の約0.01〜8重量%であってもよい。1つの実施態様によると前記接着剤の量は、前記正電極活物質の重量の約1〜5重量%であってもよい。前記正電極活物質はまた、正電極補助物質を含むこともできる。前記正電極補助物質は当技術分野で知られるものであればよく、例えばアセチレンブラック、導電性カーボンブラック及び導電性グラファイトなどから選択される少なくとも1つの導電性剤であってもよい。前記添加剤の含有量は、前記正電極活物質の重量の約0〜15重量%であり得る。本発明の1つの実施態様によると、前記添加剤は、前記正電極活物質の重量の約0〜10重量%であってもよい。
【0017】
前記負電極プレートは当技術分野で知られるいかなる種類のものであってよく、導電性集電基板及びその上にコーティングされているか又は充填されている負電極活物質を含む。前記導電性基板は銅ホイルなどの当技術分野で知られるものでよい。前記負電極活材料は負電極活物質及び接着剤が含まれ得る。前記負電極活物質には、天然グラファイト及び合成グラファイトなどのリチウムイオン電池で通常使用されるものの1つであってもよい。前記接着剤は、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)及びポリビニルアルコールなどの当技術分野でよく知られるものの1つであればよい。前記接着剤は、前記負電極活物質の重量の約0.01〜10重量%であってもよい。1つの実施態様によれば、前記接着剤は、前記負電極活物質の重量の約1〜9重量%であってもよい。
【0018】
前記セパレーターは、前記正電極プレートと前記負電極プレート間に設けられ、リチウムイオン電池で通常使用される1つであればよい。いくつかの実施態様によれば、前記セパレーターは、ポリプロピレンフェルト、ポリエチレンフェルト、ポリエチレンマクロポーラス膜又は超微細ガラスファイバペーパーなどの材料から作られ得る。これらは電気絶縁性能と、電解液保持性能を有する。
【0019】
前記正電極プレートの製造方法は:広い幅を持つ集電基板上に、正電極活物質及び接着剤を含むスラリーをコーティングし;前記スラリーをコーティングした基板を乾燥し、前記乾燥した基板を巻き、及び前記基板を正電極プレートに切断する、工程を含む。前記正電極活物質及び前記接着剤を溶解する溶媒は当技術分野で知られる1つであり得る。本発明のいくつかの実施態様によると、前記溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。前記溶媒の使用量は、前記スラリーが前記集電基板にコーティングされ得る量であればよい。一般的には、前記溶媒の量は、前記正電極活物質の重量の約40〜90重量%である。具体的な例では前記溶媒の量は、前記正電極活物質の重量の約50〜85重量%である。前記乾燥温度は約50〜160℃である。1つの具体的な例では、前記乾燥温度は約80〜150℃である。前記巻きステップは、前記正電極プレートの厚さを調節するために使用され得る。前記厚さは種々の電池に依存して広い範囲で変更され得る。前記正電極プレートの幅は、異なる要求に応じて切断して調節され得る。前記幅は種々の電池に依存して広い範囲で変更され得る。
【0020】
前記負電極プレートの製造方法は、前記正電極プレートと実質的に同じであり、相違点は、正電極活物質及び接着剤を含むスラリーが、負電極活物質と接着剤を含むスラリーと置換されただけである。
【0021】
前記正電極プレート、前記負電極プレート及びセパレーターの巻き方は前記の通りであり、ここではその詳細は省略する。
【0022】
前記非水電解液は、リチウム塩電解液及び非水溶媒を含み得る。前記リチウム塩電解液は、リチウムヘキサフルオロホスファート(LiPF)、リチウムパークロレート(LiClO)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF)、リチウムヘキサフルオロアルセネート(LiAsF)、リチウムハロゲン化物、リチウムアルミニウムテトラクロリド及びリチウムフルオロ−アルキルスルフォネートを含み群から選択される1以上の電解液であってもよい。前記有機溶媒は、鎖状酸エステル又は環状酸エステルの混合物であってもよい。前記鎖状酸エステルは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート(DPC)及び他のフッ素含有、硫黄含有又は不飽和結合含有鎖状有機酸エステルを含む群から選択される少なくとも1つのエステルであってもよい。前記環状酸エステルは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、スルトン及び他のフッ素含有、硫黄含有又は不飽和結合含有環状有機酸エステルを含む群から選択される1以上の環状酸エステルであってもよい。非水電解液中で、前記リチウム塩電解液の濃度は約0.1〜2mol/Lである。具体的な例によれば、前記リチウム塩電解液の濃度は約0.8〜1.2mol/Lである。
【0023】
前記正電極プレート、負電極プレート及び前記正電極プレート及び前記負電極プレートの間のセパレーターを、前記電気コア部分に巻く方法、及び前記電池を組み立てる方法は当技術分野でよく知られており、従ってここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
ラミネートされたコア部分を含むリチウムイオン電池の第2の実施態様が以下に説明される。
【0025】
本発明のリチウムイオン電池の第2の実施態様は、電池シェル部分、電池極及び電気コア部分を含み得る。前記シェル部分は四角形状又は円筒形状であり、一般的に金属材料からなる。前記電池極は正極及び負極を含み得る。前記電気コア部分は、前記正電極プレート、セパレーター及び前記負電極プレートを、前記電池の厚さの方向に交互に順に積層することにより、又は巻くことにより形成され得る。正導出タブ部及び負導出タブ部が、それぞれの前記正電極及び前記負電極の上部端及び下部端で設けられ得る。いくつかの実施態様によれば、隣接する前記正電極及び前記負電極プレートの前記正導出タブ部及び負導出タブ部は、それぞれ前記電気コア部分の前記上部端及び下部端に設けられるか、または隣接する前記正電極及び前記負電極プレートの前記正導出タブ部及び負導出タブ部の両方が共に、前記電気コア部分の前記上部端及び下部端に設けられる。前記セパレーターは、ポリエチレンミクロポーラス膜又はラミネートされたポリエチレン及びポリエチレンミクロポーラス膜であり得る。上で説明した、前記正電極プレート、前記セパレーター及び前記負電極プレートは電気コア部分を形成するために積層されていてもよいし、巻かれていてもよい。
【0026】
前記正電極は、リチウム遷移金属複合体酸化物であって、特定の構造を有する活物質であり、リチウムイオンと可逆的に反応することができるものである。前記活物質は、LiNi1−yCoO(ここで、0.9≦x≦1.1、0≦y≦1.0)、LiMn2−yBO(ここでBは遷移金属であり、0.9≦x≦1.1、0≦y≦1.0)などの1又はそれらの混合物であってもよい。又は、前記正電極プレートは金属集電体(一般にはアルミニウムホイル)、カーボン系導電剤及び前記正極活物質を前記集電体上に結合させるための接着剤を含み得る。前記カーボン系導電剤には、カーボンブラック、カーボンファイバ、グラファイトなどが挙げられ、前記導電剤の1又はそれらの混合物が選択され得る。前記接着剤は、PVDF、PTFE、VDF−HFP−TFEコポリマー、及びSBRなどのフッ素含有樹脂及びポリオレフィン化合物の1つであってよく、及びこれらの1つまたはそれらの混合物が選択され得る。
【0027】
前記正電極活物質は、カーボン系材料であって、リチウムイオンのインターカレーション及び脱インターカレーションの繰り返しを実現できるものであればよい。本発明の1つの実施態様では、前記負電極活物質は、グラファイト、石油系コーク、有機クラッキングカーボン、MCMB及びMCFを含む群から選択される1以上の物質であってもよい。又は、前記負電極は、金属集電体(通常は銅ホイル)及び前記負電極活物質を前記負集電体へ結合させるための接着剤を含み得る。本発明の他の実施態様によると、前記接着剤は、PVDF、PTFE、VDF−HFP−TFEコポリマー及びSBRなどの1以上のフッ素含有樹脂及びポリオレフィン化合物を含み、それらの1つ又はそれらの混合物が選択され得る。
【0028】
前記正電極及び負電極スラリーは、接着剤を適切な溶媒に溶解して、活物質及び導電剤を前記溶液中に添加し、最終的に適切に前記溶液中に分散させることで形成され得る。本発明の1つの実施態様によれば、前記溶媒は、NMP、DMF、DEF、DMSO、THF、水及びアルコールなどを含む群から選択される1以上の溶媒であってもよい。
【0029】
前記電解液溶液は、電解液塩及び溶媒の混合溶液であり得る。本発明のいくつかの実施態様によると、前記電解液塩はリチウム塩であり、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、リチウムハロゲン化物、リチウムアルミニウムテトラクロリド及びリチウムフルオロ−アルキルスルフォネートなどを含む群から選択される1以上の塩であってもよい。前記溶媒は、鎖状酸エステル及び環状酸エステルの混合物であってもよい。前記鎖状酸エステルは、DMC、DEC、EMC、MPC、DPC、MA、EA、PA、ジメトキシエタン及び他のフッ素含有、硫黄含有又は不飽和結合含有鎖状有機酸エステルを含む群から選択される少なくとも1つのエステルであってもよい。前記環状酸エステルは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、スルトン及び他のフッ素含有、硫黄含有又は不飽和結合含有環状酸エステルを含む群から選択される1以上のエステルであってもよい。
【0030】
本発明の1つの実施によると、前記正電極プレート作製に際して、ある量の正電極活物質、導電剤、接着剤及び溶媒をある比で混合して均一なスラリーを作製し、前記スラリーを前記正電気集電体上に均一にコーティングし、乾燥し、カレンダー加工して前記正電極プレートを作製し、かつその後前記正電極プレートの端のある幅の前記コーティングを取り除いてある幅の前記正電極導出タブ部を露出させ、最後に前記形成された正電極プレートを、ポリプロピレンミクロポーラスセパレーター又はラミネート化ポリエチレン及びポリプロピレンミクロポーラスセパレーターへサンドイッチし、さらに前記セパレーターをシールして正電極プレートバッグを形成する。
【0031】
本発明の1つの実施態様によれば、前記負電極プレートの作製に際して、ある量の負電極活物質、導電剤、接着剤及び溶媒をある比で混合して均一なスラリーを作製し、前記スラリーを前記負電気集電体上に均一にコーティングし、乾燥し、カレンダー加工して前記負電極プレートを作製し、かつその後前記負電極プレートの端のある幅の前記コーティングを取り除いてある幅の前記負電極導出タブ部を露出させ、最後に前記形成された負電極プレートを、ポリプロピレンミクロポーラスセパレーター又はラミネート化ポリエチレン及びポリプロピレンミクロポーラスセパレーターへサンドイッチし、さらに前記セパレーターをシールして負電極プレートバッグを形成する。
【0032】
前記シールされた正電極プレート及び負電極プレートバッグを交互に配置してラミネートしてリチウムイオン電池の電気コア部分を形成する。前記電気コア部分は上部クランププレート及び下部クランププレートで強く挟み込まれ得る。前記導出タブ及び前記電極をフレキシブルコネクタで接続して集電体構造を形成する。いくつかの実施態様によれば、前記フレキシブルコネク及び電極プレート間の接続はリベット留めされ得る。また前記フレキシブルコネクタと前記電極間の接続はボルト留めされ得る。前記電気コア部分を前記電池シェル部分に配置し、その後溶媒EC/DMC=1:1混合物中に1mol/dmの濃度にLiPFを溶解させた電解液を前記電池シェル部分内に注入し、シールされて本発明の実施態様によるリチウムイオン電池を得ることができる。
【0033】
本発明の実施態様によるリチウムイオン電池では、前記シェル部分の長さ、幅及び高さは、50〜800:30〜500:5〜500の比を持ち得る。
【0034】
本発明の1つの実施態様による前記電気コア部分については、長さ、幅及び高さは、45〜795:25〜495:5〜100の比を持ち得る。
【0035】
実施例1
本発明によるリチウムイオン電池を次のように作成した。シェル部分をアルミニウムで作製し、実質的に長方形の平行筒状で、長さ28mm、幅100mm、高さ356mmとした。
【0036】
(1)正電極プレート1の作製
正電極活材料LiCoOの100重量部、導電剤アセチレンブラックの5重量部及び接着剤PVDFの5重量部を、NMPの50重量部中に添加し、混合物を均一に混合した。混合物を、厚さ0.016mmのアルミニウムホイルの上に均一にコーティングした。導出タブ部領域が、前記アルミニウムホイルの一部分から前記正電極活材料を取り除くことにより形成された。その後前記電極プレートを真空オーブン中に入れて約120℃で乾燥した。前記乾燥した集電体を約2010x296x0.138mmのサイズの正電極プレートとなるように切断した。前記正電極プレート上のコーティング物の重量は約149.62gであった。
【0037】
(2)負電極プレート2の作製
正電極活材料合成グラファイトの100重量部及び接着剤PVDFの9重量部を、NMPの50重量部中に添加し、混合物を均一に混合してスラリーを形成した。前記スラリーを、0.012mm厚さの銅ホイルの上に均一にコーティングした。導出タブ部領域が、前記銅ホイルの一部分から前記負電極活材料を取り除くことにより形成した。その後前記電極プレートを真空オーブン中に入れて約120℃で乾燥した。前記乾燥した集電体を約2290x305x0.121mmのサイズの負電極プレートとなるように切断した。前記負電極プレート上のコーティング物の重量は約85.44gであった。
【0038】
(3)フラットタイプ電気コア部分の作製
上記に作製した前記正電極プレート1、前記負電極プレート2及びセパレーター3を巻いて、300x300x50mmのサイズを持つフラットタイプ電気コア部分を作製した。
【0039】
(4)電池の組み立て
LiPFをEC及びDMC混合溶媒(EC/DMCは体積比で約1:1)中に溶解し、LiPFの濃度が約1mol/Lである非水電解液を調製した。各電気コア部分に対する前記非水電解液液の量は約360gである。ステップ(3)で製造したフラットタイプ電気コア部分を28x100x356mmのサイズを持つ電池シェル部分に配置し、平均直径約2mmのPPS粒子及びポリフェニレンオキシド粒子の合計40gを前記電池シェル部分と前記電気コア部分との間の空間に充填した。前記非水電解液を前記電池に注入し、その後電池をカバーボードでシールしリチウムイオン電池C1を製造した。本実施例により2000個の電池を製造した。
【0040】
比較例1
比較例1の製造方法は、前記シェル部分と前記電気コア部分の空間にフィラーを充填しないこと以外は実施例1と同じであった。サンプルTC1とし、2000個製造した。
【0041】
実施例2
実施例2の製造方法は、前記フィラーが30gの、外径2mm及び内径1mmの中空球状ポリテトラフルオロエチレン粒子であること以外は実施例1と同じであった。得られたサンプルをC1とし、2000個製造した。
【0042】
実施例3
実施例3の製造方法は、前記フィラーが30gの、外径12mm及び内径1mmの中空球状HDPE粒子であること以外は実施例1と同じであった。得られたサンプルをC2とし、2000個製造した。
【0043】
実施例4
実施例4の製造方法は、前記フィラーが30gの、外径8mm及び内径5mmの中空球状HDPE粒子であること以外は実施例1と同じであった。得られたサンプルをC4とし、2000個製造した。
【0044】
試験
得られた電池サンプルTC1、C1、C2、C3及びC4の、サイクル特性、電池容量、電池内部抵抗を以下の通り測定した。
【0045】
サイクル特性試験
サイクル特性試験は、市販の装置、BK−7024L/60(Guangdong Lanqi Electronic Experiment Co. Ltd.より入手)を用いて行った。以下の試験条件を用いた。
定電流:約0〜60A;
電流分解能:約10mA;
電流設定精度:約±(0.1%RD+0.1%FS);
試験精度:約±(0.1%RD+0.1%FS);
電圧試験範囲:約0〜5V;
電圧分解能:約1mV;
試験電圧範囲:約2.5〜4.5V;
定電圧設定範囲:DC2.5〜4.5V
定電圧設定精度:約±(0.1%RD+0.1%FS);
電圧試験精度:約±(0.1%RD+0.1%FS);
時間範囲:0〜30000分/操作ステップ;及び
精度:約±0.1%。
試験結果を表2に示した。
【0046】
内部抵抗試験
HK3560(Taiwan Hepu Inner Resistance Test Equipmentより入手)を用いて行った。結果を表1に示した。
【0047】
電池容量試験
前記電池性能の試験のために、前記サンプルを、市販のBCT−0105電池容量試験機(Shenzhen Chaosisi Electronic Co. Ltd.より入手)内に配置して行った。試験結果を表1に示した。
【0048】
【表1】

表1から、本発明の実施態様により製造したサンプルの内部抵抗は約1.0mΩまでであり、これは比較例の1.3mmよりも小さい値であることが分かる。内部抵抗がより小さいほど、安全性能はより高い。本発明の実施例により製造したサンプルの電池容量は57500mAhを達成するが、これは比較例での55000mAhよりも高い。表2から、室温で500サイクル後、比較例のサンプルは96.7%のより低い残留容量を示す。60℃で200サイクル後、比較例のサンプルは95.4%のより低い残留容量を示す。
【0049】
これまで説明のための実施態様が記載されてきたが、当業者には、これらの実施態様の変更・変法などが全て本発明の本質及び原理から離れることなく特許請求の範囲およびその均等の範囲に含まれることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェル部分、
前記シェル部分内に設けられ、前記シェルとの間に空間を有する電気コア部分、
及び前記シェル部分に設けられる非水電解液を含み、
前記空間が非水電解液抵抗性フィラーで充填される、リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記フィラーが粒子性材料である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記粒子性材料が、平均直径約1mm〜15mmを持つ球状粒子である、請求項2に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記粒子性材料が、平均内径が約1mm〜10mm、平均外径が約2m〜15mmを持つ中空球状粒子である、請求項3に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記フィラーが、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパークロロエチレン、高密度ポリエチレン及びポリビニリデンクロリドを含む群から選択される1又は2以上の化合物である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
前記電気コア部分が、正電極プレートと、負電極プレートと、前記正電極プレートと負電極プレート間のセパレーターと、を積層することにより、または巻くことにより形成される、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
前記シェル部分が、長さ:幅:高さの比が、約50〜800:30〜500:5〜500である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
前記電気コア部分が、長さ:幅:高さの比が、約45〜795:25〜495:5〜100である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。

【図1】
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【公表番号】特表2012−531020(P2012−531020A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516492(P2012−516492)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072952
【国際公開番号】WO2010/148842
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510177809)ビーワイディー カンパニー リミテッド (15)
【Fターム(参考)】