説明

リチウムマイクロ電池及びその製造方法

基板(11)上の固体薄膜の積層体(10)により形成されたマイクロ電池であって、前記積層体(10)は、前記基板(11)からはじまって連続的に続く、第1の電極(14)と固体電解質(15)と第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリとを備える。前記電解質の第1の面(18)と第2の面(20)とは、それぞれ、前記第1の電極(14)の主面(19)と前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリの主面(21)と接する。前記第1の電極(14)の前記主面(19)の面積は、前記アセンブリの前記主面(21)の面積よりも小さく、前記固体電解質(15)の前記第1の面(18)の面積は、前記固体電解質(15)の前記第2の面(20)の面積よりも小さい。さらに、前記固体電解質(15)は前記基板(11)と接していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の固体薄膜(solid thin layer)の積層体(stack)により形成されたリチウムマイクロ電池(lithium microbattery)に関する。積層体は、基板からはじめて、第1の電極と固体電解質と、少なくとも1つの薄膜から形成された第2の電極/電流コレクタのアセンブリとを備え、電解質の第1の面と第2の面とは、第1の電極の主面(main surface)と第2の電極/電流コレクタのアセンブリの主面とにそれぞれ接している。これらの主面は、互いに向かい合っており、第1の電極の主面の面積(dimension)は、アセンブリの主面の面積よりも小さい。
【0002】
また、本発明はこのようなマイクロ電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムマイクロ電池は、「全固体電池(all-solid-state battery)」と呼ばれ、リチウムを動作させる(implementing)2つの電極を備える蓄電池(storage battery)である。ハイブリッドシステムは、リチウムを動作させる1つの電極を備えるものとしてのみ存在する。リチウムマイクロ電池は、少なくとも1つの電極におけるLiイオンの挿入(insertion)及び抽出(extraction)の原理に基づくものである。通常、正電極(positive electrode)は、この構造において一定量のLiカチオンを挿入することができるような少なくとも1つの材料を備える。
【0004】
リチウム電池は、高い質量密度と、高いエネルギー蓄積有効表面(useful energy storage surface)と、その低い有毒性とのために、特に興味深いものである。しかしながら、リチウムマイクロ電池は、空気、特に水蒸気に非常に敏感である。リチウムマイクロ電池の活性な積層体を保護するために、通常、パッケージングは、外部コンタクト(external contact)から積層体を分離するように行われ、これによって、外部環境に起因する汚染を防ぐ。
【0005】
マイクロ電池は、マイクロエレクトロニクス産業で使用される従来技術により、特に、物理気相成長法(PVD)又は化学気相成長法(CVD)により基板上に連続的に堆積させた複数の固体薄膜の積層である積層体の形状を持つ。
【0006】
リチウムマイクロ電池の構造は、積層体を形成する異なる複数の薄膜上のパターンをエッチングすることにより得ることができる。リチウム電池のパターンの正確な形成(definition)は、主に2つの方法を用いて行われる。第1の方法は機械的マスクによる方法であり、薄膜を形成する活性材料をステンシルタイプのマスクを通じて堆積させるものである。ステンシルタイプのマスクは金属から形成され、マイクロ電池を構成する異なる要素の最終的な形状を正確に形成するように設計されている。この方法は、通常、小さなサイズの、特にミリメートルの面積のマイクロ電池に対して行うマスクの方法としては効果的なものではなく、機械的マスクによる方法は、特定の汚染、且つ、薄膜にダメージを与えるというリスクをも有する。この方法の実施は複雑であり、その結果、産業上要求される収率に適合することができない。さらに、このマスクによる方法は、次世代の集積回路の面積の仕様と適合せず、その結果、マイクロエレクトロニクス分野のアプリケーションに適合することが難しい。
【0007】
第2の方法は、マイクロファブリケイション法(microfabrication method)であり、マイクロエレクトロニクス分野に由来する技術の塊(bricks)を行うことである。この方法は、薄膜を形成する材料をウェハ全体に(in full wafer)堆積することと、次いで薄膜の上にフォトリソグラフィーによりマスクを形成することと、最後にマスクを通じたエッチングにより薄膜にパターンを転写することと、から成る。フォトリソグラフィーは、例えばシリコン又は酸化シリコンから形成された対象層の表面の上に薄膜形状のフォトレジストを塗布し、次いでフォトレジストを放射光で感光することから成る。現像液は、感光されたフォトレジスト(ポジティブ樹脂)、又は、感光されていないフォトレジスト(ネガティブ樹脂)を除去することができ、これによって対象層のある部分が露出する。マイクロファブリケイション法は、面積の限界に逆らうことが可能であり、且つ、パターンの溶解を増加させることが可能であるにもかかわらず、マスクの様々な層と、積層体の活性材料と適合しないこともある非水溶液(non-aqueous solution)と、の使用を伴うような複雑さを有したままである。これらの欠点は、通常、積層を構成する異なる層の間の機能的界面の劣化を招くこととなる。
【0008】
しかしながら、E.J.Jeonらの“Characterization of All-Solid-State Thin-Film Batteries with V2O5 Thin-Film Cathodes Using Ex situ and In Situ Processes”(Journal of The Electrochemical Society,2001,148(4),P. A318-A322)に強調されているように、マイクロ電池の電気化学的性質は、その構造と密接に関連しており、特に、正電極を構成する例えば五酸化バナジウム(V)から形成された薄膜と、電解質を形成する例えば窒化リン酸リチウム(lithium and phosphorous oxynitride (LiPON))から形成された薄膜との間の界面の品質に関連している。
【0009】
異なるマイクロ電池の構造が存在し、特に、シンメトリーな電極を有する構造及び非シンメトリーな電極を有する構造である。
【0010】
シンメトリーな構造を有するマイクロ電池は、カソードと固体電解質とリチウムのアノードとから形成された積層体を備える。正電極及び負電極とそれぞれ接する電解質は第1の界面と第2の界面とを形成する。第1及び第2の界面の面積は同一であり、シンメトリーなマイクロ電池を特徴付ける。第1及び第2の界面が同一面積であるようなこのようなマイクロ電池は、例えば米国特許文献US−A−5314765に記載されている。
【0011】
現在、通常の非シンメトリーな構造のほとんどは、第1及び第2の界面の異なる面積により特徴付けられる。
【0012】
特許文献US−A−2008153000及びWO0173873には、例えば、基板と接する電解質層を有するリチウム蓄電池のためのアセンブリが記載されている。
【0013】
特に、文献US−A−2008032236は、図1に示すような非シンメトリーな電極を有するマイクロ電池が記載されており、このマイクロ電池は、基板1上に、第1の電流コレクタ3と、固体電解質5に覆われた第1の電極4と、第2の電極6と、第2の電流コレクタ7とで連続的に構成された積層体2を備える。固体電解質5は、第1の電極4の各端部とオーバーラップするように第1の電極4の外周(perimeter)を越えて延び、これによって、第1の電極の側端部(lateral edges)は全体的に覆われることとなる。積層体2は、積層体2を構成する要素に対して不活性であり、且つ、積層体2が密閉され外部の汚染から保護されるように設計されたコーティング8によりパッケージングされる。そして、リチウムマイクロ電池を移動させることと、ダメージが与えられるというリスクなしに開放された空気中に保管することを可能にする。次いで、コンタクトの接続は、コーティング8の上に金属層9を堆積し、コーティング8に形成された孔を通じて第2の電流コレクタ7と連結されることにより形成される。この非シンメトリーな構造は、界面の抵抗と、電極の体積膨張に関係する機械的ストレスとを、電極の面積と積層体2中での電極の位置とを調整することにより制御することを可能にする。電極が固体電解質5との弱い界面抵抗を有するように大きな電極/電解質界面であるように、積層体2中での電極の位置は選択される。同様に、低い熱膨張の支配下にある電極は、固体電解質5により覆われた第1の電極を形成することとなる。
【0014】
しかしながら、従来技術の非シンメトリーな構造は欠点を有する。第1の電極4を覆う固体電解質5は、第1の電流コレクタ3又は基板1の表面の部分とのコンタクトを形成する。このコンタクトはマイクロ電池のパフォーマンスを減少させる。この欠点は、基板1と電解質との、又は、第1の電流コレクタと電解質との性質に基づくおおよその大きさの反応から生じるものである。化学種(species)の制御できない拡散現象は、電解質5から基板1への、又は、電解質5から第1の電流コレクタ3へとして観察される電気化学反応を含む。
【0015】
他の欠点は、非シンメトリーなマイクロ電池のパフォーマンスに影響する。特に、マイクロ電池を形成する要素に対しての機械的なダメージの存在は、特に固体電解質5を形成する要素に対しての機械的なダメージの存在は、マイクロ電池を用いている際に観察される。リチウムマイクロ電池のオペレーションは、マイクロ電池の充電及び放電を行っている際のリチウムイオンによる電流の移送に基づくものであり、電極は、電極内でのリチウムイオンの挿入、及び、脱離(de-insertion)とも呼ばれる抽出に起因する変形を受ける。電極はすばやい体積変化を繰り返し、機械的ダメージを生じさせる。特に、第1の電極4を完全に覆う固体電解質5はこれらの体積変形にさらされ、クラック、亀裂又は裂けを生じることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、従来技術の欠点が改善されたマイクロ電池及びこのようなマイクロ電池の製造方法を提供することである。
【0017】
特に、本発明の目的は、最適なエネルギー蓄積効率(energy storage efficiency)と、電気抵抗変化と、長い寿命とを示す高いパフォーマンスのリチウムマイクロ電池を提供することである。マイクロ電池は、簡単に実施でき、経済的で、且つ、マイクロエレクトロニクス分野で行われる技術と馴染みの良い工業的製造方法により製造するように設計されている。
【0018】
本発明によれば、この目的は、添付の請求の範囲によるリチウムマイクロ電池及びその製造方法により達成することができる。
【0019】
特に、固体電解質の第1の面の面積が、固体電解質の第2の面の面積と比べて小さいリチウムマイクロ電池であって、固体電解質が基板と接触しないこととにより、この目的を達成することができる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、第1の電極が少なくとも1つの側面を有し、側面14aは固体電極により完全に覆われていない。
【0021】
好ましい実施形態によれば、電解質はその断面において台形(trapezoid
shape)を有し、その台形の有する短底辺(small base)と長底辺(large base)とはそれぞれ電解質の第1及び第2の面を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、従来技術によるリチウムマイクロ電池の断面を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかるリチウムマイクロ電池の断面を示す。
【図3】図3は、本発明の他の実施形態にかかるリチウムマイクロ電池の断面を示す。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態にかかるリチウムマイクロ電池の断面を示す。
【図5】図5は、図2のリチウムマイクロ電池の異なる形成工程を示す断面図である。
【図6】図6は、図2のリチウムマイクロ電池の異なる形成工程を示す断面図である。
【図7】図7は、図2のリチウムマイクロ電池の異なる形成工程を示す断面図である。
【図8】図8は、図2のリチウムマイクロ電池の異なる形成工程を示す断面図である。
【図9】図9は、図2のリチウムマイクロ電池の異なる形成工程を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明にかかるリチウムマイクロ電池において得られた電流−電圧曲線(galvanostatic cycling curve)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
他の利点及び特徴は、本発明の特定の実施形態についての下記の説明により、さらに明らかにされる。本発明の特定の実施形態は、単なる例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の特定の実施形態は、添付の図面により示される。
【0024】
図2を参照すると、マイクロ電池は、基板11上の積層体10により形成される。積層体10は薄膜により形成され、薄膜は有利には50μm未満の膜厚、好ましくは10μm未満の膜厚を有する。薄膜の膜厚の最小限界値は、原子層の膜厚程度のものが好ましく、例えば数ナノメートルである。
【0025】
基板11は、シリコンウェハ又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含むシリコンウェハであることができる。基板11は、酸化シリコン(SiO)といった誘電体膜から形成されたパッシベーション層12、又は、SiO層と窒化シリコン層(SiNi)とから連続的に形成された二重層(bilayer)により覆われることができる。積層体10は、電流コレクタ13と第1の電極14と固体電解質15と第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリとを連続的に備える。第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは少なくとも1つの薄膜から形成される。
【0026】
第1の特有の実施形態によれば、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは、第2の電極16を形成する薄膜と、電流コレクタ17を構成する薄膜とを備える。図2に示されるように、電流コレクタ17は第2の電極16上に形成され、固体電解質15は第1の電極14と第2の電極16との間に堆積される。
【0027】
電流コレクタ13及び17は、通常、例えば、白金(Pt)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)といった金属から形成される。
【0028】
第1の電極14は、例えば放電の際の正電極(カソード)であることができ、第2の電極16は、例えば放電の際の負電極(アノード)であることができる。
【0029】
第1の電極14が負電極であって、第2の電極16が正電極であるような構造も形成することができる。
【0030】
第1の電極14の活性材料として用いられる材料は、例えば硫化銅(II)又は硫化銅(I)(CuS又はCuS)、オキシ硫化タングステン(tungsten oxysulphides)(WO)、二硫化チタン(TiS)、オキシ硫化チタン(titanium oxysulphides)(TiO)、又は、酸化バナジウム(V)といった非リチウム材料、もしくは、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、五酸化バナジウムリチウム(lithium and vanadium pentoxide)(LiV)、又は、リン酸鉄リチウム(lithium and iron phosphate)(LiFePO)といった例えばリチウムべースの混合酸化物のようなリチウム材料とすることができる。
【0031】
第2の電極16は、好ましくは、遷移金属及びその合金と、半金属及びその合金と、リチウムを挿入することができる材料(lithium intercalation or insertion material)と、から選択される1つ又は複数の材料から成る。第2の電極16は、Liイオンを生成する生成体、又は、リチウム挿入活性材料(lithium intercalation active material)であることができる。第2の電極16の活性材料として用いられる材料は、例えばシリコン(Si)、例えばシリコン/ゲルマニウム合金(SiGe)といった合金、スズ/銅合金(CuSn)といった合金の非リチウム材料、又は、炭素又はリチウムが挿入された材料、又は、オキシ窒化スズケイ素(tin and silicon oxynitrides)(SiTON)、窒化スズ(SnNx)、窒化インジウム(InN)、二酸化スズ(SnO)といったスズ酸化物、又は、酸化コバルト(Co)から選択されるリチウム挿入用材料であることができる。第2の電極16の活性材料として用いられる材料はリチウム材料であることができる。第2の電極16を構成する1つの材料又は複数の材料は、有利には30%未満のリチウム原子を備える。第2の電極16は、例えば、SiLi又はGeLi合金といった、もしくは、ニッケル酸リチウム(LiNiO)といったリチウムベースの混合酸化物といったリチウム原子を30%未満含むようなリチウムベースの金属合金により形成することができる。
【0032】
固体電解質15はリチウムイオンLiの伝導が可能な材料から成る。電気的に絶縁で、且つ、イオン伝導する材料を選択することが好ましい。固体電解質15は、窒化リン酸リチウム (LiPON)、又は、窒化リン酸ケイ素リチウム(lithium phosphosilicate oxynitride)(LiSiPON)といったリチウムベースの化合物であることが好ましい。
【0033】
第2の電極16と電流コレクタ17とは、ウェット処理エッチングに対して多少敏感な1つ又は複数の材料から成る。
【0034】
図2に示すように、固体電解質15は基板11上に形成された第1の電極14と第2の電極16との間に堆積される。
【0035】
電流コレクタ13は2つの部分に形成されることができる(図2)。第1の電極14は、電流コレクタ13の2つの部分のうちの1つの上に形成され、第1の電極14は電流コレクタ13のうちの上記の部分の外周を超えることなく、さらに、基板11又は基板11のパッシベーション層12に接しないように形成される。
【0036】
電解質15の第1の面18は第1の電極14の主面19と接しており、この主面は第1の電解質/電極の界面を形成している。電解質15の第2の面20は、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリの主面21に接しており、この主面は第2の電解質/電極の界面を形成している。詳細には、電解質15の第2の面20は、第2の電極16の主面21に接している。主面19及び21は互いに向かい合っており、その結果、図2に示される断面において平行である。第1の電極14の主面19の面積は、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリの主面21の面積に比べて小さく、さらに詳細には、第2の電極16の主面21の面積に比べて小さい。
【0037】
第1の電解質/電極の界面は、第2の電解質/電極の界面と比べて小さい。さらに、図2の示すように、第1の電極14は少なくとも1つの側面14aを有し、この側面は主面19と垂直である。固体電解質15は、主面19を越えて伸びることが可能ではあるが、第1の電極14の外側(perimeter)を超えて伸びることはない。これによって、固体電解質15と、基板11又はパッシベーション層12又は電流コレクタ13との間の接触を防ぐことができる。電流コレクタ13が第1の電極14と基板11との間に堆積された場合には、電解質15は電流コレクタ13と接することはできない。さらに、基板11はパッシベーション層12を有し、電解質15はパッシベーション層12と接することはない。その結果、電解質15は基板11と接しないばかりか、電流コレクタ13ともパッシベーション層12とも接することはない。
【0038】
有利には、固体電解質15は、第1の電極14の側面14aの全体を覆うことはない。言い換えると、固体電解質15で完全に覆われている側面14aはない。従って、様々な側面14aを有する第1の電極14においては、例えば立方体形状を有し、固体電解質15により完全に覆われている側面14aはない。
【0039】
好ましい実施形態によれば、有利には固体電解質15は、第1の電極14の1つ又は複数の側面14a(図2中において電極14の右側及び左側)とオーバーラップすることなしに第1の電極14の主面19を覆う。固体電解質15の第1の面18の面積は、第1の電極14の主面19の面積とほぼ等しく、電解質15の第2の面20の面積は、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリの主面21の面積とほぼ等しい。特に、電解質15の第2の面20の面積は、第2の電極16の主面21の面積とほぼ等しい。
【0040】
電解質15の第1の面18の面積は、電解質15の第2の面20の面積と比べて小さいものである。第2の電解質/電極の界面は第1の電解質/電極界面と比べて大きいものである。
【0041】
図2の断面図に示されるように、有利には固体電解質15は台形形状(trapezoid shape)を有し、この台形は、電解質15の第1の面18と電解質15の第2の面20とをそれぞれ構成する短底辺と長底辺とを有する。台形の意味するところは、不等辺四辺形(trapezium)のような形状であることを意味する。断面においては、台形の短底辺は、台形の長底辺よりも基板11に近いところにある。従って、電解質15の側壁(図2においては左右に位置する)は、X−O−Y座標系(xOy coordinates system)に対して負の傾きを有する(図2)。さらに、電解質15が第1の電極14の各側面上にはみ出た(overspill)場合には電解質15の断面の外観において変形があっても、電解質は台形の外観を維持する。
【0042】
マイクロ電池の最終的な形状を決定するマイクロ電池のパターンに従って、固体電解質15は、逆ピラミッド型又は逆円錐型の形状を有し、その頂点は基板11と向かい合う。
【0043】
電解質15の第1の面18の差し渡し(diameter)、幅又は長さと、電解質15の第2の面20に対応する差し渡し、幅又は長さとの間の差Δdは、0.2μmから2000μmの間である。詳細には、電解質15の第1の面18と第2の面20の円形の断面においては、差Δdは差し渡しの間の差に対応する。四角形の断面においては、差Δdは側面(side)の長さの間の差に対応し、長方形の断面においては、差Δdは幅又は長さの間の差に対応する。図2に示すように、差ΔdはΔd1とΔd2との積算値に等しい。差Δdは固体電解質15の外周全体に亘って均一に分配されることが好ましく、例えば、例えば差Δd1はΔd2と等しい。
【0044】
積層体10は、有利には1μmから10μmの間である膜厚を持つ。
【0045】
図3に示される他の特有な実施形態によれば、固体電解質15は、第1の電極14の主面19を覆い、第1の電極14の少なくとも1つの側面14aの一部を覆うように側面上にはみ出ている。しかしながら、基板11又はパッシベーション層12又は電流コレクタ13と接触することを避けるために、固体電解質15は、第1の電極14の側面14aの全体を完全に覆うものではない。
【0046】
図4に示される他の特有の実施形態によれば、固体電解質15は、第1の電極14の主面19を覆い、且つ、第1の電極14の少なくとも1つの側面14aを覆うことなしに、主面19を越えて横に延びる。固体電解質15は、第1の電極14の端部の1つ又はその複数の端部(図4の右端部及び左端部)のうちのいくつかを超えて延びることができる。
【0047】
シンメトリーな構造と比較すると、上記の構造は、固体電解質15と基板11又は電流コレクタ13との間の化学種の拡散のリスクをさけつつ、同時に、Liイオンと第2の電極16との間の交換を支援することができる。
【0048】
リチウムマイクロ電池の製造方法は、以下を連続的に備える:
− 基板11上に第1の電極14をウェハ全体に堆積し、次いで、固体電解質15と第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリを形成するための少なくとも1つの薄膜を堆積し、
− 第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリを選択的にエッチングし、
− ウェット処理を用いて固体電解質15と第1の電極14とを選択的にエッチングする。ウェットエッチングは、少なくとも1つのエッチング水溶液を用いて行われる。
【0049】
図5から図9に示される第1の特有の実施形態によれば、製造方法は、公知の方法を用いた、パッシベーション層12を備えた基板11上の電流コレクタ13の形成を備える。電流コレクタ13は、例えば、CVD法又はPVD法による堆積と、それに続くフォトリソグラフィーとウェットエッチング処理とにより得ることができる。
【0050】
図5に示されるように、第1の電極14と固体電解質15と第2の電極16と電流コレクタ17とは、例えばPVD法又はCVD法による堆積法といった周知の方法を用いて、連続的に基板11上に薄膜形状のものとしてウェハ全体に堆積される。第1の電極14を形成する薄膜は電流コレクタ13を覆う。薄膜の膜厚の典型的な値は、0.1μmから5μmの間である。
【0051】
第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは、第2の電極16を構成する薄膜と、電流コレクタ17を構成する薄膜とを備え、対応する薄膜は少なくとも1つのマスク22を通じて連続的にエッチングされる。マスク22は、図6に示されるように、マイクロ電池の全体のパターンを備え、好ましくは、電流コレクタ17上にフォトリソグラフィーにより形成される。マスク22により定められたパターンは、選択的エッチングにより電流コレクタ17に転写される。これは図6中の垂直な矢印により模式的に示される。パターンの転写は、有利には、電流コレクタ17と第2の電極16とに連続的に行われる。その結果、電流コレクタ17と第2の電極16とは、マスク22を通じて連続的にエッチングされる。マスク22は、マスク22の性質に特有の公知技術を用いて除去される(図7)。
【0052】
他の実施形態によれば、電流コレクタ17及び第2の電極16を構成する薄膜は、連続して行われる2つの異なるエッチング法によりエッチングされる。例えば、それは、電流コレクタ17に対して選択的にエッチングするウェットエッチング処理と、それに続く第2の電極16に対して選択的にエッチングするドライエッチング処理とである。また、異なる化学エッチング溶液を用いる2つの連続したウェットエッチングによっても行うことができる。第2のマスクは、ここでは図示しないが、好ましくはフォトリソグラフィーによって得ることができ、第2の電極16を選択的にエッチングするために用いることができる。
【0053】
他の図示しない実施形態によれば、有利には、電流コレクタ17、及び/又は、第2の電極16の選択的エッチングの後に残されたマスク22、及び/又は、第2のマスクは、選択的エッチングに続く工程において除去され、特別なプロセス工程を必要としない。
【0054】
好ましい実施形態においては、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリの選択的エッチングは、例えば活性イオンエッチング(RIE)といったドライ処理、及び/又は、ウェット処理により行われる。このドライ処理は、パターンの精度を高くし、高選択性を確保することを可能にする。
【0055】
図8に示されるように、固体電解質15と第1の電極14とは、エッチング水溶液を用いた周知の方法によるウェット処理により選択的にエッチングされる。金属リチウムは、エッチング水溶液に対して反応過多であるため、第2の電極16は、金属リチウムから実質的に構成される(constitute essentially)必要はない。
【0056】
ウェットエッチング処理は固体電解質15と第1の電極14とに対して選択的である(図8)。電流コレクタ17、及び/又は、第2の電流コレクタ16は、このエッチング工程のためのハードマスクとしての機能を有する。パターンは固体電解質15と第1の電極14とに転写される(図9)。
【0057】
この選択的エッチングで用いられる化学エッチング溶液の水としての性質(aqueous nature)は、固体電解質15の特徴的な形状を獲得することを可能にする(図9)。先に説明したように、電解質15の第1の面18の面積は、第1の電極14の主面19の面積とほぼ等しく、電解質15の第2の面20の面積は、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリの主面21とほぼ等しく、電解質15の第1の面18の面積は、電解質15の第2の面20の面積よりも小さい。
【0058】
エッチング溶液の性質に依存して、固体電解質15と第1の電極14との選択的ウェットエッチングは、有利には、材料に応じた異なる横方向のエッチングレート(lateral etching rate)を有する等方性を持つ。従って、固体電解質15はその断面において台形形状を持ち、その台形は、電解質15の第1の面18及び第2の面20をそれぞれ構成する長底辺及び短底辺を有する(図9)。
【0059】
図示しない他の実施形態によれば、第1の電極14もその断面においては台形形状を持ち、その台形は、電流コレクタ13と第1の電極14との間に形成された界面と、第1の電極14と固体電解質15との間に形成された界面とをそれぞれ構成する長底辺及び短底辺を有する。
【0060】
固体電解質15のエッチングは、アルカリ性の水溶液を用いて行うことが好ましく、固体電解質15は、有利には、例えばLiPONといったリチウムベースの化合物である。
【0061】
固体電解質15と第1の電極14とは、ウェット処理により連続的にエッチングされることが好ましい。従って、マイクロ電池の構成要素を形成するために、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリを選択的にエッチングするためのマスクを用いる多くの工程を減らして1つの工程にすることができる。この方法は、電流コレクタ17の存在により、連続的エッチングを行った際にマイクロ電池の機能的界面を形成することを可能にする。
【0062】
用いられるエッチング溶液に対して低い反応性を有する電流コレクタ13及び17を選択することが好ましい。
【0063】
電極がリチウムベースの混合酸化物により形成された場合には、熱アニール工程は、電極を形成する薄膜の結晶化を促進させ、それによりその挿入容量(insertion capacity)を改善するために必要となる場合がある。第1の電極14に対しては、このアニール工程は、電極を形成する薄膜をウェハ全体に堆積した後に行うことができる。
【0064】
積層体10は、最終的にはカバー23により密閉され、接続コンタクト24は、例えばレーザーアブレーションといった公知の処理を用いて形成される(図2)。
【0065】
第2の特有の実施形態によれば、マイクロ電池は“Liフリー”マイクロ電池である。マイクロ電池の初回充電の前に、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは、当初薄膜により形成されている。薄膜は、金属リチウム以外の金属又は金属合金により構成される。この薄膜は、金属リチウムの電界析出(electrolytic deposition)のめっき層(plating layer)を形成する。マイクロ電池の充電を行っている際に、析出したリチウムは活性化する。文献US−B−6168884に記載されているように、初回充電の前には、マイクロ電池は、第2の電極16を形成する金属リチウムの薄膜を備えてはいない。マイクロ電池の充電が行われている際に、第2の電極16は金属リチウムの電界析出により形成される。マイクロ電池の初回充電の後には、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは、電流コレクタ17を構成する薄膜と、第2の電極16を構成する金属リチウムの薄膜とにより形成される(図2)。
【0066】
第2の特有の実施形態にかかるマイクロ電池の製造方法は、マイクロ電池の初回充電の前に、第2の電極16と電流コレクタ17とを1つの薄膜から構成し、この薄膜を形成する材料に対してのみエッチングを選択的に行うことを除いて、先に説明した第1に実施形態と同じである。
【0067】
先に説明した第1の特有の実施形態においては、例えば、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリを2つの薄膜から形成した場合、1つの薄膜は第2の電極16を構成し、他の薄膜は電流コレクタ17を構成し、この第2の電極16は金属リチウムから実質的に構成される必要はなく、電流コレクタ17は金属又は合金から形成することができる。一方、第2の実施形態においては、例えばリチウムフリーマイクロ電池の場合においては、金属リチウムから形成された第2の電極16を持つマイクロ電池は、初回充電の後にこの方法により得られる。金属リチウムの薄膜は、実際には、マイクロ電池の初回充電の後に固体電解質15と第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリとの間に形成される。次いで、金属リチウムの薄膜は第2の電極16を構成し、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリを当初形成していた薄膜は電流コレクタ17を構成し、且つ、金属又は合金から形成することができる。“Liフリー”マイクロ電池の形成方法においては、金属リチウムは決して存在することなく、エッチング溶液は金属リチウムに触れることはない。
【0068】
図示しない第3の特有の実施形態によれば、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは1つの薄膜から成る。1つの薄膜は、電極及び電流コレクタとしての両方の役割を行う。第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは、金属リチウム以外の金属又は合金から形成された薄膜から成ることができる。
【0069】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。特に、電流コレクタ13のすべて又は部分を覆う第1の電極14を有するマイクロ電池を形成することができる。
【0070】
すべての場合において、マイクロ電池の初回充電の前には、第2の電極16/電流コレクタ17のアセンブリは、金属リチウムから実質的に構成されていない。
【0071】
(実施例)
最適化された構造を有するリチウムマイクロ電池は本発明の製造方法を用いて形成される。積層体10は、SiO+Siパッシベーション二重層12を持つシリコン基板11上に得ることができる。電流コレクタ13は、250nmの膜厚のタングステンの薄膜を堆積し、フォトリソグラフィーを行い、続いて、Micropur Technicにより販売されているTungsten Etch(R) Bathに、25℃において2分間浸漬することによるウェットエッチングを行うことにより形成される。次いで、ウェハ全体への堆積は、以下の薄膜の形成を連続的に行うことにより行われる。
− 第1の電極14を形成する膜厚1μmのLiV
− 固体電解質15を形成する膜厚1.5μmのLiPON、
− 第2の電極16を形成する膜厚0.1μmのSi、
− 電流コレクタ17を形成する膜厚0.25μmのTi。
【0072】
電流コレクタ17と第2の電極16との連続的なTi/Siエッチングは、以下の条件下で活性イオンエッチング反応器中でのSFプラズマを用いた活性イオンエッチングにより行われる。圧力25mTorr、電源パワー100W、自己バイアス電圧180V、温度80℃、SFガス流量25sccm、300秒。
【0073】
固体電解質15と第1の電極14との連続的なLiPON/LiVウェットエッチングは、アルカリ性の化学エッチング溶液を用いて行われる。この溶液は、体積5の水に対して、体積1のアンモニウムを25℃において30秒混合することにより生成する。
【0074】
このようにして形成された積層体10は、エポキシタイプの感光型高分子樹脂(photosensitive polymer resin)を堆積し、続いてフォトリソグラフィーを行うことによりパッケージングされる。
【0075】
最後に、第2の電極16の面にコンタクト接続を形成するために、Shipleyから市販されているポジティブ感光型高分子樹脂S1828と、Shipleyから市販されているMF319タイプの基本的な現像液(developer)とを用いた、堆積されたTiのセルフアライン(self-aligned)の“リフトオフ(lift-off)”を使用する。
【0076】
得られたリチウムマイクロ電池は、5×5mmの面積であり、台形形状の固体電解質15と、固体電解質15の外周全体に亘って均一に分配された100μmの特徴あるディメンションΔdとを有する。
【0077】
図10は、上記の例にかかる方法により形成されたマイクロ電池の定電流モード(galvanostatic mode)のサイクルに対応する。充電及び放電曲線の態様は酸化還元対(redox pairs)に対応する。3.2Vと2.8Vとにおけるプラトー電圧(voltage plateau)の存在は、リチウム挿入プロセスの間にLiV中の相変態(phase transformation)に置き換える(translate)ことができ、注目すべきものである。プラトー電圧は、充電及び放電において観察され、関連する低い機械的ストレスを明らかにする。
【0078】
水溶液はリチウムベースの材料に対して損傷を与えることがある。さらに、従来技術の全体において、特に、文献US−S−2008032236中においては、リチウムマイクロ電池のウェットエッチング処理のためのこのようなエッチング溶液の使用をやめている。それにもかかわらず、驚くことに、最適化された電気化学パフォーマンスを有するマイクロ電池の構造を得ることができる。
【0079】
さらに、リチウムマイクロ電池を形成する異なる層を堆積しエッチングする複雑な工程をしばしば要求する従来技術の製造方法と異なり、本発明にかかる製造方法は、容易に実施ができシンプルである。特徴的なのは、この製造方法において、エッチング水溶液を用いることと、1回のフォトリソグラフィーのマスクを用いる工程を使用することである。
【0080】
リチウムマイクロ電池のこのような製造方法は、マイクロエレクトロニクス分野で行われている技術となじみが良く、特に、このようなリチウムマイクロ電池をマイクロ部品(micro-component)と一体化することができ、製造コストを削減することができる。
【0081】
本発明のマイクロ電池は、多くの産業上のアプリケーション中で見出すことができ、特に、部品の最小化と、長い寿命を有する、小さくさらにパワフルな蓄電池を自発的に要求する(autonomy requirement)マイクロエレクトロニクス分野中で見出すことができる。本発明にかかるマイクロ電池の使用は、特に、空間の制約が最重要なシステムや、例えば、スマートカード、スマートラベル、電話やポータブルマイクロコンピューターといった小型コミュニケーションツールで構成されるマイクロエレクトロニクスや、内部クロックやマイクロシステムの電源において推奨する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(11)上の固体薄膜の積層体(10)により形成されたリチウムマイクロ電池であって、前記積層体(10)は、前記基板(11)からはじまって連続的に続く、第1の電極(14)と、固体電解質(15)と、少なくとも1つの薄膜から形成された第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリとを備え、前記電解質の第1の面(18)と第2の面(20)とは、それぞれ、前記第1の電極(14)の主面(19)と前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリの主面(21)と接し、これらの前記主面(19、21)は互いに向き合っており、前記第1の電極(14)の前記主面(19)の面積は、前記アセンブリの前記主面(21)の面積よりも小さく、
前記固体電解質(15)の前記第1の面(18)の面積は、前記固体電解質(15)の前記第2の面(20)の面積よりも小さく、前記固体電解質(15)は前記基板(11)と接していないことを特徴とするリチウムマイクロ電池。
【請求項2】
前記第1の電極(14)は少なくとも1つの側面(14a)を有し、前記側面(14a)は前記固体電解質(15)により完全には覆われていないことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ電池。
【請求項3】
前記電解質(15)の前記第1の面(18)の面積は、前記第1の電極(14)の前記主面(19)の面積とほぼ等しく、前記電解質(15)の前記第2の面(20)の面積は、前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリの前記主面(21)の面積とほぼ等しく、前記電解質(15)の前記第1の面(18)の面積は、前記電解質(15)の前記第2の面(20)の面積よりも小さい、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ電池。
【請求項4】
前記固体電解質(15)は断面において台形形状を有し、前記台形形状は、前記電解質(15)の前記第1及び第2の面(18、20)をそれぞれ構成する短底辺及び長底辺を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のマイクロ電池。
【請求項5】
前記電解質(15)の前記第1の面(18)の差し渡し、幅又は長さと、それに対応する前記電解質(15)の前記第2の面(20)の差し渡し、幅又は長さとの間の差(Δd)は、0.2μmから2000μmの間であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のマイクロ電池。
【請求項6】
前記固体電解質(15)は、リチウムベースの化合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のマイクロ電池。
【請求項7】
前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリは、前記第2の電極(16)を構成する薄膜と、前記電流コレクタ(17)を構成する薄膜とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のマイクロ電池。
【請求項8】
前記第2の電極(16)は、遷移金属及びその合金と、半金属及びその合金と、リチウムを挿入することができる材料と、から選択された1つ又は複数の材料から成ることを特徴とする請求項7に記載のマイクロ電池。
【請求項9】
前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリは、1つの薄膜から成ることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載のマイクロ電池。
【請求項10】
前記電流コレクタ(17)、又は、前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリは、金属又は金属合金から形成される1つの薄膜から成ることを特徴とする請求項7から9のいずれか1つに記載のマイクロ電池。
【請求項11】
請求項1から10に記載のリチウムマイクロ電池の製造方法であって、
− 前記基板(11)上に、前記第1の電極(14)と、次いで前記電解質(15)と、前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリを形成するための少なくとも1つの薄膜と、をウェハ全体に堆積し、
− 前記アセンブリを選択的にエッチングし、
− 前記固体電解質(15)と前記第1の電極(14)とをウェット処理により選択的にエッチングし、前記ウェットエッチングは、少なくとも1つのエッチング水溶液を用いて行われる、
ことを連続的に備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記固体電解質(15)と前記第1の電極(14)とは、ウェット処理により連続的にエッチングされることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリは、前記第2の電極(16)を構成する薄膜と、前記電流コレクタ(17)を構成する薄膜とを備え、これらの前記薄膜は、少なくとも1つのマスク(22)を通じて連続的にエッチングされることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記固体電解質(15)はリチウムベースの化合物であり、前記エッチング水溶液はアルカリ溶液であることを特徴とする請求項11から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電極(16)/電流コレクタ(17)のアセンブリの選択的エッチングは、ドライエッチング処理であることを特徴とする請求項11から14のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−520552(P2012−520552A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500177(P2012−500177)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052778
【国際公開番号】WO2010/105917
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】