説明

リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法,リチウム二次電池用正極,およびリチウム二次電池

【課題】正極での電気抵抗を減少させて合剤密度を増加させることができるリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体,その製造方法,およびこれを含む正極およびリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】本発明のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体は,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質と,正極活物質の表面に付着された導電剤とを含む。ここで,導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体,その製造方法,およびこれを含む正極およびリチウム二次電池に関し,より詳しくは,正極の抵抗を減少させて合剤密度を増加させることができる,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体,その製造方法,およびこれを含む正極およびリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,電子製品,電子機器,通信機器の小型化,軽量化,および高性能化が急速に進み,これによって,これら製品の電源として使用される二次電池の性能改善が大きく要求されている。このような要求を満たす二次電池としてリチウム二次電池があり,リチウム二次電池は,硫黄系物質を正極活物質として使用するリチウム硫黄電池とリチエイテッド転移金属酸化物を正極活物質として使用するリチウムイオン電池とに大きく分類することができる。
【0003】
正極活物質は,リチウム二次電池の電池性能および安全性に最も重要な役割を果たす物質であって,カルコゲナイド(chalcogenide)化合物が使用されており,その例として,LiCoO,LiMn,LiNiO,LiNi1‐xCo(0<x<1),LiMnOなどの複合金属酸化物が研究されている。このような正極活物質をカーボンブラックのような導電剤,バインダー,および溶媒と混合して正極活物質スラリー組成物を製造した後,アルミニウム箔などの薄い金属板にコーティングして,リチウムイオン二次電池用正極として使用する。
【0004】
正極活物質のうちのLiMn,LiMnOなどのMn系正極活物質は,合成も容易で,値段が比較的安く,環境に対する汚染の恐れも少ないので,魅力のある物質ではあるが,容量が小さいという短所がある。一方,LiCoOなどのCo系正極活物質は,良好な電気伝導度,高い電池電圧,そして優れた電極特性を示すが,値段が高いという短所がある。また,LiNiOなどのNi系正極活物質は,上述した正極活物質のうちで最も値段が安く,最も高い放電容量の電池特性を示すが,合成が難しいという短所がある。
【0005】
このような正極活物質のうち,Co系正極活物質が主に使用されてきたが,近年では,より高容量の電池を開発するために,容量の高いNi系正極活物質に対する研究が活発に行われている。
【0006】
しかし,Ni系正極活物質は,形状が球形であるので,極板の製造時の最大合剤(正極活物質,バインダー,および導電剤の混合物をいう)密度が3.2g/ccにすぎない。また,一般に,極板の製造時の合剤密度を増加させるために,圧延工程を実施して,この圧延工程によって活物質粒子が圧力によって押されながら滑る過程で高い合剤密度を有する極板が製造されるが,Ni系正極活物質は,硬度(hardness)が低く,圧延時に粒子が滑らずに押されるため極板が破られるので,合剤密度をそれ以上増加させることができない。従って,合剤密度が低いため,物質そのものの容量が高くても,実際の電池の製造時に高容量の電池を製造するのが難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は,このような課題に鑑みてなされたもので,本発明の目的は,正極での電気抵抗を減少させて合剤密度を増加させることができる,新規かつ改良されたリチウム二次電池用導電剤/正極活物質,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法,導電剤/正極活物質複合体を含むリチウム二次電池用正極および正極を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質と,正極活物質の表面に付着された導電剤とを含み,導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含むことを特徴とする,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体が提供される。
【0009】
本発明によれば,2種以上の導電剤および正極活物質の複合体を利用して極板を製造するためのスラリーのミキシング時に,追加的に導電剤を添加する必要なく,バインダーのみを添加することによって,極板内のバインダーの含量を減少させることができる。また,導電剤層が不導体であるバインダーと接触して,バインダーによる電気的抵抗の増加を最少化することができる。これにより,より減少した正極の抵抗およびより増加した合剤密度を有する正極を提供することができる。
【0010】
ここで,第1導電剤の比表面積を,例えば700〜1200m/gとすることができ,第2導電剤の比表面積を,例えば40m/g〜80m/gとすることができる。また,第1導電剤のタップ密度を,例えば0.02〜0.1g/cc,好ましくは0.05〜0.09g/ccとすることができ,第2導電剤のタップ密度を0.1〜1g/cc,好ましくは0.2〜0.5g/ccとすることができる。
【0011】
第1導電剤は,例えば,ケッチェンブラック,ブルカンブラック,プリンテックス,およびブラックパールからなる群より選択される少なくとも一つとすることができる。また,第2導電剤は,例えば,スーパーP,アセチレンブラック,デンカブラック,およびカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも一つとすることができる。
【0012】
また,第1導電剤および第2導電剤は,例えば,25:75〜75:25,より好ましくは50:50〜60:40の重量比で含まれるようにすることができる。
【0013】
正極活物質としては,例えば,LiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上とすることができる。なお,ここで,Bは,CoまたはMnである。Dは,TiまたはMoである。Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものである。Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。
【0014】
導電剤および正極活物質の重量比は,例えば3:97〜20:80,より好ましくは5:95〜15:85である。また,導電剤/正極活物質複合体の比表面積は,例えば10〜200m/g,より好ましくは20〜200m/gである。さらに,導電剤/正極活物質複合体のタップ密度は,例えば0.5〜5g/cc,より好ましくは1〜4g/ccである。
【0015】
導電剤は,約5μm以上,例えば約7〜10μmの厚さを有して,正極活物質表面に形成させることができる。
【0016】
また,本発明の他の観点によれば,第1導電剤および第2導電剤を混合した後に,正極活物質を添加して,メカノフュージョン,プラネタリーミキシング(planetary mixing)および混練からなる群より選択される方法で処理して正極活物質表面に導電剤層を形成する段階を含むことを特徴とする,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法が提供される。
【0017】
ここで,第1導電剤の比表面積を,例えば200〜1500m/g,第2導電剤の比表面積を,例えば100m/g以下とすることができる。また,第1導電剤のタップ密度は,例えば0.02〜0.1g/cc,第2導電剤のタップ密度は,例えば0.1〜1g/ccとすることができる。
【0018】
第1導電剤は,例えばケッチェンブラック,ブルカンブラック,プリンテックス,およびブラックパールからなる群より選択される少なくとも一つである。また,第2導電剤は,例えばスーパーP,アセチレンブラック,デンカブラック,およびカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも一つである。第1導電剤および第2導電剤は,例えば25:75〜75:25の重量比で含まれるようにしてもよい。
【0019】
正極活物質は,例えばLiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi,(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上である。なお,Bは,CoまたはMnである。Dは,TiまたはMoである。Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものである。Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。
【0020】
導電剤および正極活物質の重量比は,例えば3:97〜20:80とすることができる。また,導電剤層は,約5μm以上,例えば約7〜10μmの厚さを有するようにしてもよい。
【0021】
さらに,本発明の他の観点によれば,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質と,正極活物質の表面に付着された導電剤とを含む導電剤/正極活物質複合体およびバインダーを含み,導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含むことを特徴とする,リチウム二次電池用正極が提供される。
【0022】
ここで,第1導電剤の比表面積は,例えば約700〜1200m/gとすることができ,第2導電剤の比表面積は,例えば約40〜80m/gとすることができる。また,第1導電剤のタップ密度は,例えば0.02〜0.1g/cc,より好ましくは0.05〜0.09g/ccとすることができる。一方,第2導電剤のタップ密度は,例えば0.1〜1g/cc,より好ましくは0.2〜0.5g/ccとすることができる。
【0023】
第1導電剤は,例えばケッチェンブラック,ブルカンブラック,プリンテックス,およびブラックパールからなる群より選択される少なくとも一つとすることができる。また,第2導電剤は,例えばスーパーP,アセチレンブラック,デンカブラック,およびカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも一つとすることができる。
【0024】
第1導電剤および第2導電剤は,例えば25:75〜75:25の重量比で含まれるようにしてもよい。
【0025】
正極活物質は,例えばLiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM,(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上であるとすることができる。なお,Bは,CoまたはMnである。Dは,TiまたはMoである。Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものである。Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。
【0026】
導電剤および正極活物質の重量比は,例えば3:97〜20:80,より好ましくは5:95〜15:85とすることができる。また,導電剤/正極活物質複合体の比表面積は,例えば10〜200m/gとすることができる。さらに,導電剤/正極活物質複合体のタップ密度は,例えば0.5〜5g/ccとすることができる。
【0027】
導電剤は,約5μm以上の厚さを有し,正極活物質の表面に形成させることもできる。
【0028】
また,正極活物質複合体とバインダーとは,例えば98:2〜90:10の重量比で含まれるようにすることもできる。
【0029】
ここで,リチウム二次電池用正極は,1.0〜2.4g/ccの合剤密度を有するように形成してもよい。
【0030】
また,本発明の他の観点によれば,上記に説明した構成のリチウム二次電池用正極と,リチウムの可逆的な挿入および脱離が可能な負極活物質を含む負極と,電解液とを含むリチウム二次電池を提供することができる。かかるリチウム二次電池は,例えばモータ駆動型電池である。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明によれば,正極での電気抵抗を減少させて合剤密度を増加させることができるリチウム二次電池用導電剤/正極活物質,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法,導電剤/正極活物質複合体を含むリチウム二次電池用正極および正極を含むリチウム二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
(第1の実施形態)
まず,本発明の第1の実施形態にかかるリチウム二次電池用導電剤/正極活物質について説明する。
【0034】
一般に,正極の製造時には,正極活物質を1種の導電剤で囲む。このように1種の導電剤で正極活物質の周囲を囲むことにより,正極活物質の電子伝導性を向上させて,正極内の導電剤であるカーボンの含量を増加させることができる。しかし,高率では電子伝導性が低下するという問題点があった。また,電子伝導性を向上させるために,スラリーのミキシング時に導電剤を追加的に添加しなければならないので,正極活物質の含量が減少して合剤密度の増加に限界があった。
【0035】
これに対して,本実施形態にかかるリチウム二次電池用導電剤/正極活物質は,2種以上の導電剤で正極活物質を囲んで導電剤/正極活物質複合体を形成することによって,正極での抵抗を減少させて合剤密度を増加させることができる。
【0036】
つまり,かかる物質は,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質と,正極活物質の表面に付着された導電剤とを含み,導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含む,導電剤/正極活物質複合体である。
【0037】
より好ましくは,導電剤は,700m/g〜1200m/gの比表面積を有する第1導電剤および40m/g〜80m/gの比表面積を有する第2導電剤を含むことができる。第1導電剤および第2導電剤の比表面積が各々1500m/gおよび100m/gより大きい場合には,合剤密度が小さくなって単位体積あたりの導電剤の量の減少および正極活物質の周囲における導電剤の量の減少によって電子供給経路が減少し,結果的に電池の電気化学的特性が低下する。また,第1導電剤および第2導電剤の比表面積が上記範囲より小さい場合には,タップ密度が大きくなって接触する電解液の量が減少する。
【0038】
第1導電剤は,タップ密度が0.02〜0.1g/ccであるのが好ましく,より好ましくは,タップ密度が0.05〜0.09g/ccである。また,第2導電剤は,タップ密度が0.1〜1g/ccであるのが好ましく,より好ましくは,タップ密度が0.2〜0.5g/ccである。
【0039】
第1導電剤のタップ密度が0.02g/cc未満および第2導電剤のタップ密度が0.1g/cc未満である場合,複合体形成時ミキシング特性が急激に低下し充分に混合されないという問題点がある。一方,第1導電剤のタップ密度が0.1g/ccを超過および第2導電剤のタップ密度が1g/ccを超過する場合,活物質表面に稠密に導電剤層が形成されるため,電解液含浸特性が減少したり,含浸時導電剤層の体積膨張によって導電剤層が活物質から分離されるという問題点がある。
【0040】
このような第1導電剤および第2導電剤としては,例えばカーボン系物質を使用することができ,より詳しくは,第1導電剤としてはケッチェンブラック(ketjen black),ブルカンブラック(XC72,Cabot社製),プリンテックス(Printex(登録商標)XE 2b,DeGussa社製),およびブラックパール(Black pearl(登録商標)2000,Cabot社製)からなる群より選択される少なくとも一つを使用するのが好ましく,より好ましくは,ケッチェンブラックを使用することができる。また,第2導電剤は,スーパーP(MMM carbon社製),アセチレンブラック(Acetylene Black AB100,CP chem社製),デンカブラック(Denka Black(登録商標)100PまたはHS100,Denka社製),およびカーボンブラック(Carbon black)からなる群より選択される少なくとも一つを使用するのが好ましく,より好ましくは,スーパーPおよびアセチレンブラックからなる群より選択される少なくとも一つを使用することができる。
【0041】
上記第1導電剤および第2導電剤は,25:75〜75:25の重量比で含まれるのが好ましく,より好ましくは,50:50〜60:40の重量比で含ませることができる。このとき,重量比が25:75未満であれば,導電剤/正極活物質複合体の比表面積が減少して電子伝導性が低下するという問題点がある。一方,75:25を超過すると,比表面積が増加しすぎて合剤密度が減少するという問題点がある。
【0042】
上記正極活物質において,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な化合物(リチエイテッド挿入化合物)は,LiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される1種以上である。より好ましくは,リチウムコバルトオキシド,リチウムニッケルオキシド,およびリチウムマンガンオキシドからなる群から選択される1種以上である。
【0043】
なお,このとき,Bは,CoまたはMnであり,Dは,TiまたはMoである。また,Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものであり,Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。そして,Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。
【0044】
複合体を形成する時,導電剤および正極活物質の重量比は3:97〜20:80であるのが好ましく,より好ましくは,5:95〜15:85である。重量比が3:97未満である場合には,導電剤が不足して出力が低下するという問題点がある。一方,20:80を超える場合には,エネルギー密度が減少して正極活物質との混合がよく行われないという問題点がある。
【0045】
このような2種の導電剤および正極活物質を含む本実施形態にかかる導電剤/正極活物質複合体は,好ましくは,10〜200m/g,より好ましくは,20〜200m/g,さらに好ましくは,30〜120m/g,最も好ましくは,40〜60m/gの比表面積を有する。導電剤/正極活物質複合体の比表面積が200m/gより大きい場合には,スラリーミキシング時,分散特性が低下する問題点がある。一方,10m/gより小さい場合には,比表面積の減少で電気化学反応特性改善効果が微々するという問題があって好ましくない。また,導電剤/正極活物質複合体は,好ましくは0.5〜5g/cc,より好ましくは,1〜4g/cc,最も好ましくは,1.5〜3g/ccのタップ密度を有する。タップ密度が記載された範囲にある場合には,電池の電気化学的特性を向上させる効果が大きいが,タップ密度を外れてタップ密度が0.5g/ccより小さい場合には,ミキシングのとき,分散がよくできないという問題がある。一方,5g/ccより大きい場合には,極板密度が増加して電解液含浸特性が低下するという問題があって好ましくない。
【0046】
また,上記導電剤/正極活物質表面には,5μm以上の厚さ,より好ましくは,7〜10μmの厚さで導電剤層を形成する。このように正極活物質の周囲に導電剤層が厚く形成されるほど正極内カーボンの含量がより増加して好ましい。
【0047】
次に,本実施携帯にかかる導電剤/正極活物質複合体の製造方法について説明する。
【0048】
上記導電剤/正極活物質複合体は,第1導電剤および第2導電剤を混合した後に,正極活物質を添加して,メカノフュージョン,プラネタリーミキシング(planetary mixing)および混練(kneading)からなる群より選択された方法で処理して正極活物質表面に導電剤層を形成することによって製造することができる。この中でも,メカノフュージョン処理によって複合体を製造するのがより好ましい。
【0049】
メカノフュージョン処理とは,乾式状態で物理的な回転力によって混合物を形成する方法であって,構成物質間の静電気的な結着力が形成される。正極活物質および導電剤に対してメカノフュージョン処理を施すことにより,導電剤が正極活物質の周囲を囲んで導電剤層を形成するようになる。導電剤の物性によって,メカノフュージョン処理後に形成される導電剤層の厚さは異なるが,既存のケッチェンブラック単独で形成された導電剤層の平均の厚さが5μm未満であるのに比べて,本実施形態にかかる導電剤層の平均の厚さは5μm以上であり,好ましくは,7〜10μmである。このように,正極活物質の周囲に導電剤コーティング層が厚く形成されるほど,正極内のカーボンの含量がより増加する。これによって,電子伝導性も向上して瞬間出力が向上し,その結果,高出力電池,例えば,モータ駆動用電池に有用に使用することができる。
【0050】
また,導電剤および活物質の単純混合によって複合体を形成する従来の方法に比べて,メカノフュージョン処理によって活物質の表面に導電剤層を形成する場合には,活物質粒子の表面での導電剤の濃度がはるかに増加する。なお,導電剤/正極活物質複合体の形成に使用される第1導電剤,第2導電剤,および正極活物質は上記で説明した物質と同一である。
【0051】
次に,上記導電剤/正極活物質を含むリチウム二次電池用正極について説明する。
【0052】
より詳しくは,二次電池用正極は,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質および正極活物質の表面に付着された導電剤を含む導電剤/正極活物質複合体と,バインダーとを含む。そして,導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含む。
【0053】
ここで,正極活物質,第1導電剤および第2導電剤は,上記で説明した物質と同一である。
【0054】
バインダーとしては,リチウム二次電池で一般的に使用されるバインダーであればいずれも使用可能であり,ポリフッ化ビニリデン,ポリテトラフルオロエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリビニルピロリドン,およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上を使用するのが好ましい。
【0055】
本実施形態にかかるリチウム二次電池用正極は,上記正極活物質/導電剤の複合体を利用して極板を製造するためのスラリーのミキシング時に,追加的に導電剤を添加する必要なく,バインダーのみを添加することを特徴とする。従って,極板内のバインダーの含量を減少させることができ,導電剤コーティング層が不導体であるバインダーと接触してバインダーによる電気的抵抗の増加を最少化して,正極の抵抗を減少させることができる。
【0056】
上記バインダーおよび複合体は,正極形成組成物に2:98〜10:90の重量比で含まれるのが好ましく,3:97〜5:95の重量比で含まれるのがより好ましい。重量比が2:98未満である場合には,結着力が不足してコーティング層の剥離が発生するという問題点がある。一方,10:90を超える場合には,不導体であるバインダーの含量が多すぎて電子伝導性が遮断されて出力が低下するという問題点がある。
【0057】
本実施形態にかかる正極は,1.0〜2.4g/cc,より好ましくは1.3〜1.8g/ccの合剤密度を有する。ここで,合剤密度とは,集電体に塗布された活物質層の密度を意味する。
【0058】
本実施形態にかかる2種の導電剤および正極活物質の複合体を含むリチウム二次電池用正極の合剤密度は約1.8g/ccであり,従来の1種の導電剤を使用したときの合剤密度(約1.6g/cc)より優れている。また,2種の導電剤を混合して正極活物質の微細構造を制御することによって,電解液の含浸を均一にすることができる。これにより,電解液および正極活物質の接触が均一になって電気化学反応が均一になり,電池の寿命特性も向上する。
【0059】
次に,リチウム二次電池用正極と,リチウムイオンの挿入/脱離が可能な負極活物質を含む負極と,電解液とを含むリチウム二次電池について説明する。
【0060】
まず,リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な負極活物質としては,例えば,結晶質または非晶質の炭素,炭素複合体,リチウム金属,またはリチウム合金などを使用することができる。
【0061】
電解液は,リチウム塩および非水性有機溶媒を含み,このリチウム塩は,有機溶媒に溶解され,電池内でリチウムイオンの供給源として作用して,基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし,正極および負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0062】
上記リチウム塩としては,例えば,LiPF,LiBF,LiSbF,LiAsF,LiCFSO,LiN(CFSO,Li(CFSON,LiCSO,LiClO,LiAlO,LiAlCl,LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで,xおよびyは自然数である),LiCl,およびLiIからなる群より選択される1種以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は,0.8〜1.4Mの範囲内で使用するのが好ましい。リチウム塩の濃度が0.8M未満である場合には,電解質の伝導度が低下して電解質の性能が低下する。一方,1.4Mを超える場合には,電解質の粘度が増加してリチウムイオンの移動性が低下するという問題点がある。
【0063】
非水性有機溶媒は,電池の電気化学反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を果たす物質である。非水性有機溶媒としては,カーボネート系,エステル系,エーテル系,またはケトン系溶媒を使用することができる。カーボネートとしては,例えば,ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),ジプロピルカーボネート(DPC),メチルプロピルカーボネート(MPC),エチルプロピルカーボネート(EPC),メチルエチルカーボネート(MEC),エチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート(PC),ブチレンカーボネート(BC)などが使用できる。また,エステル系溶媒としては,例えば,n‐メチルアセテート,n‐エチルアセテート,n‐プロピルアセテートなどが使用でき,エーテル系溶媒としては,例えば,ジブチルエーテルなどが使用できる。さらに,ケトン系溶媒としては,例えば,ポリメチルビニルケトンなどが使用できる。
【0064】
このような非水性有機溶媒のうちカーボネート系溶媒の場合,環状(cyclic)カーボネートおよび鎖状(chain)カーボネートを混合して使用するのが好ましい。この場合,環状カーボネートおよび鎖状カーボネートは1:1〜1:9の体積比で混合して使用するのが好ましい。かかる範囲内の体積比で混合される場合のみ,電解質の性能が好ましく現れる。
【0065】
また,本実施形態にかかる電解質は,カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。芳香族炭化水素系有機溶媒としては,下記の(1)式の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【化1】

【0066】
ここで,R1はハロゲン,炭素数1〜10のアルキル基,およびこれらの組み合わせからなる群より選択され,qは0〜6の整数である。
【0067】
上記芳香族炭化水素系有機溶媒の具体的な例としては,例えば,ベンゼン,フルオロベンゼン,トルエン,フルオロトルエン,トリフルオロトルエン,およびキシレンなどがある。芳香族炭化水素系有機溶媒を含む電解質で,カーボネート溶媒および芳香族炭化水素系有機溶媒の体積比は1:1〜30:1であるのが好ましく,かかる範囲内の体積比で混合される場合のみ,電解質の性能が好ましく現れる。
【0068】
ここで,図1に,本実施形態にかかる正極を含むリチウム二次電池の一例を示す。図1に示すように,正極5,負極6,および正極5および負極6の間に存在するセパレータ7を含む電極組立体4がケース8に入れられた後に,ケース8の上部に電解液が注入されて,キャッププレート11とガスケット12とにより密封して組立てられた角形リチウムイオン電池3の断面図である。なお,本発明にかかるリチウム二次電池は,かかる形状に限定されず,例えば,本発明の正極活物質を含んで電池として作動できる円筒形,パウチなどのいかなる形状とすることも可能である。
【0069】
また,かかるリチウム二次電池は,高い合剤密度および低い抵抗を有する正極を含むことによって,高容量の電池特性を示す。従って,例えばモータ駆動型電池にも利用することができる。
【0070】
以下,本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし,下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず,本発明は下記の実施例に限定されない。
【実施例】
【0071】
(比較例1)
ケッチェンブラック200g(平均比表面積1417m/g,タップ密度0.06g/cc)をリチウムニッケルコバルトアルミニウムオキシド(LiNi0.81Co0.15Al0.04)1800gと共にメカノフュージョン(細川社製)に投入した。その後,10kWの負荷をかけてから2000rpmで90分間メカノフュージョン処理して,導電剤/正極活物質複合体(R1)を製造した。
【0072】
(比較例2)
カーボンブラックの代わりに,スーパーP200g(MMM carbon社製)(平均比表面積66.59m/g,タップ密度0.16g/cc)を使用することを除き,比較例1と同一条件で導電剤/正極活物質複合体(R2)を製造した。
【0073】
(比較例3)
ケッチェンブラック200g(平均比表面積1417m/g,タップ密度0.06g/cc)をリチウムニッケルコバルトアルミニウムオキシド(LiNi0.81Co0.15Al0.04)1800gと共に単純混合して,導電剤/正極活物質複合体(R3)を製造した。
【0074】
(比較例4)
ケッチェンブラック(平均比表面積1417m/g,タップ密度0.06g/cc)およびスーパーP(MMM carbon社製)(平均比表面積66.59m/g,タップ密度0.16g/cc)を50:50の重量比で混合した後に,リチウムニッケルコバルトアルミニウムオキシド(LiNi0.81Co0.15Al0.04)1800gと共に単純混合して,導電剤/正極活物質複合体(R4)を製造した。
【0075】
(実施例1)
ケッチェンブラック(平均比表面積1417m/g,タップ密度0.06g/cc)およびスーパーP(MMM carbon社製)(平均比表面積66.59m/g,タップ密度0.12g/cc)を25:75の重量比で混合した。その後,LiNi0.81Co0.15Al0.041800gと共にメカノフュージョン(細川社製)に投入した後に,10kWの負荷をかけてから2000rpmで90分間メカノフュージョン処理して,導電剤/正極活物質複合体(R5)を製造した。このとき,正極活物質:導電剤の混合重量比は95:5とした。
【0076】
(実施例2)
ケッチェンブラック(平均比表面積1417m/g,タップ密度0.06g/cc)およびスーパーP(MMM carbon社製)(平均比表面積66.59m/g,タップ密度0.12g/cc)を75:25の重量比で混合して使用することを除き,実施例1と同一条件にして導電剤/正極活物質複合体(R6)を製造した。
【0077】
(実施例3)
ケッチェンブラック(平均比表面積1417m/g,タップ密度0.06g/cc)およびスーパーP(MMM carbon社製)(平均比表面積66.59m/g,タップ密度0.12g/cc)を50:50の重量比で混合して使用することを除き,実施例1と同一条件にして導電剤/正極活物質複合体(R7)を製造した。
【0078】
(実施例4)
ブルカンブラック(平均比表面積254m/g,タップ密度0.09g/cc)およびアセチレンブラック(製品名:AB100,CP chem社製)(平均比表面積75m/g,タップ密度0.2g/cc)を50:50の重量比で混合して使用することを除き,実施例1と同一条件にして導電剤/正極活物質複合体(R8)を製造した。
【0079】
(正極活物質の特性評価)
まず,比較例1と実施例1〜3とによって製造された各々の導電剤/正極活物質複合体(R1,およびR5〜R7)の断面を電子走査顕微鏡(SEM)で撮影した。その結果を図2A〜2Dに示した。
【0080】
なお,図2Aは,比較例1のケッチェンブラック単独で処理して製造された導電剤/正極活物質複合体(R1)の断面を撮影したSEM写真である。また,図2Bは,実施例1ケッチェンブラックおよびスーパーPの混合比率を多様にして製造された導電剤/正極活物質複合体(R5)の断面を撮影したSEM写真である。そして,図2Cは,実施例2のケッチェンブラックおよびスーパーPの混合比率を多様にして製造された導電剤/正極活物質複合体(R6)の断面を撮影したSEM写真である。また,図2Dは,実施例3のケッチェンブラックおよびスーパーPの混合比率を多様にして製造された導電剤/正極活物質複合体(R7)の断面を撮影したSEM写真である。
【0081】
図2A〜2Dから,導電剤の物性によって,メカノフュージョン処理される程度が異なることが分かるが,比較例1の複合体R1のケッチェンブラック単独で形成された導電剤層の厚さは3.8μmであるのに比べて,2種の導電剤を混合して製造された複合体R5,R6およびR7での導電剤層の厚さは各々7μm,8μm,10μmで,平均5μm以上であった。したがって,本実施形態にかかる2種以上の導電剤を混合使用することにより,はるかに厚い導電剤層を得ることができる。これにより,導電剤であるカーボンの含量および電子伝導性をより増加させることができ,瞬間出力が優れているので,例えば,モータ駆動用電池のような高出力電池に使用するのに適することが分かる。
【0082】
次に,図3Aおよび図3Bに,比較例1および比較例2によって製造された導電剤/正極活物質複合体(R1およびR2)での導電剤の分布を示したSEM写真を示す。
【0083】
図3Aおよび3Bに示すように,比較例1の複合体R1でのケッチェンブラックおよび比較例2の複合体R2でのスーパーPの分布を観察してみると,ケッチェンブラックよりスーパーPがはるかに固まることが分かる。つまり,ケッチェンブラックは比表面積が広く,タップ密度が低くて電極ミキシング特性が優れている反面,スーパーPは比表面積が狭く,タップ密度が高い。従って,導電剤中のスーパーPの含量が一定以上に増加するようになれば,電極の合剤密度は増加する反面,比表面積が減少し,ケッチェンブラックを使用する場合より反応面積が減少して電気化学的特性が低下する。従って,優れた電気化学的特性を得るためには,ケッチェンブラックのように比表面積が広くタップ密度が低い導電剤とスーパーPのように比表面積が狭くタップ密度が高い導電剤とを最適な混合比率で混合することが重要であることが分かる。
【0084】
また,図4A〜4Dに,比較例1のケッチェンブラック単独で処理して製造した導電剤/正極活物質複合体R1および実施例1,2,および3のケッチェンブラックおよびスーパーPの混合比率を多様にして製造した導電剤/正極活物質複合体(R5,R6およびR7)の表面SEM写真を示す。
【0085】
図4A〜4Dに示すように,ケッチェンブラックのみを処理した比較例1のR1に比べて,スーパーPがさらに添加された実施例1,2,および3の場合に,表面がより荒くなることが分かる。また,スーパーPがさらに添加された量が多いほど導電剤層の表面がより荒くなることが分かる。導電剤層が荒いほど反応面積が増加し,荒い表面によって電解液の含浸面積も増加して,結果的に電気化学反応特性が向上する。また,その後の電極形成組成物のミキシング時に,バインダー接触面積の増加によって結着特性が向上して合剤密度が増加する。
【0086】
次に,図5および図6に,実施例3によって製造された導電剤/正極活物質複合体(R7)および比較例4によって製造された導電剤/正極活物質複合体(R4)の断面図を示したSEM写真を示す。
【0087】
図5および図6に示すように,2種の導電剤を使用して正極活物質をメカノフュージョン処理した実施例3の導電剤/正極活物質複合体R7の場合,2種の導電剤と正極活物質が単純混合された比較例4の導電剤/正極活物質複合体R4に比べて正極活物質の周囲に相対的に多いことが確認できる。
【0088】
また,以下に,比較例1および実施例1〜3で製造された導電剤/正極活物質複合体に対して測定した粒度分析(PSA:particle size analyze),比表面積(BET),タップ密度(tap density)の結果を,表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
表1に示すように,実施例2の導電剤/正極活物質複合体R6は,平均粒度(D50)が最も大きく,活物質の周囲の導電剤層が最も厚いことが分かる。しかし,実施例3の導電剤/正極活物質複合体R7が最大粒度(D90)が最も大きく,導電剤層の最大の厚さはR7が最も厚いことが分かる。また,実施例3の導電剤/正極活物質複合体R7は,D10およびD90の差が最も大きいが,これはメカノフュージョン処理時の制御条件の設定が最適化されずに発生するもので,導電剤層の厚さが不均一であることを意味する。比表面積も実施例3の導電剤/正極活物質複合体R7が最も大きく,電気化学反応特性の側面で最も有利であることが分かる。
【0091】
また,図2Dの写真から,実施例3の導電剤/正極活物質複合体R7は導電剤層の厚さが他の条件に比べて不均一であるが,最少の厚さが5μm以上で他の条件より薄くなく,最大の厚さは10μmにまで至って,メカノフュージョン処理効率が優れていることが分かる。しかし,メカノフュージョン処理効率は優れている反面,タップ密度は最も低い。これは,相対的に活物質の周囲に密度の低いケッチェンブラックが均一に分布するためであり,このため,比表面積は最も高い。このように相対的に低いタップ密度で多くの電解液を含浸させることができ,比表面積が大きくて反応面積が大きいので,全般的な電池の電気化学反応特性が向上する。また,実施例3の導電剤/正極活物質複合体R7と共にケッチェンブラック:スーパーPが50:50の組成比である場合,特にタップ密度が低い。これより,比表面積が大きいのは,メカノフュージョン処理効率が前記組成で最も優れており,2種の導電剤間の混合が均一になるためであることが分かる。
【0092】
(充放電試験用テストセル製造)
実施例1〜4の正極活物質およびポリフッ化ビニリデンを各々90:10の比率でN‐メチルピロリドンで混合して,正極スラリーを製造した。
【0093】
また,比較例1〜3の正極活物質は,導電剤(super‐P,MMM carbon社製)およびポリフッ化ビニリデンを各々80:10:10の比率でN‐メチルピロリドンで混合して,正極スラリーを製造した。
【0094】
上記正極スラリーをアルミ箔(Al‐foil)上にコーティングして,薄い極板(約40〜50μm,基材の厚さを含む)の形態に形成した後に,約135℃で3時間以上乾燥させて,圧延(pressing)して正極極板を製造した。製造された正極極板のうち,実施例3および比較例4によって製造された複合体を各々含む正極極板のX線回折パターンを図7に示した。
【0095】
図7からわかるように,実施例3および比較例4の正極極板は,X線回折パターン上同じ角度(2θ)でピークが観察された。この結果より,電極内に存在する物質の化学的特性は変化されず,同一の結晶構造を結晶体であることがわかる。つまり,メカノフュージョン処理による活物質またはカーボンの有する化学的特性は変化しないことがわかる。
【0096】
上記正極を作用極とし,金属リチウム箔を対極として,作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを挿入して,電解液としてエチレンカーボネート,エチルメチルカーボネート,プロピレンカーボネート,およびフルオロベンゼンの混合溶液(30:55:5:10の体積比)にLiPFが1モル/Lの濃度になるように溶解したものを使用して,2016コインタイプ(coin type)のハーフセル(half cell)を製造した。
【0097】
上記電池を4.2Vまで充電した後,3.0Vまで放電を2回繰り返して,再び4.2Vまで充電した。その後,1MHzから10MHzまでスキャンしながら電池のACインピーダンスを測定した。その結果を図8に示す。
【0098】
図8は,実施例1〜3および比較例4による導電剤/正極活物質複合体を含む電池のACインピーダンスを測定した結果を示したグラフである。図8において,ラインの上に存在する点の横軸の値(Z’)は電解質の抵抗を意味し,グラフの半円部分は活物質への電子伝達およびイオン伝達に対する抵抗を示す。ここで,グラフの半円部分とは,図8のグラフの起点(Z’が約2.5の点)からZ’が増加する際に,Z’’が増加して減少した後に再度増加し始めるまでの部分をいい,例えば実施例1の場合,Z’の値が2.5〜3.8の部分をいう。
【0099】
図8からわかるように,抵抗値はケッチェンブラックのように比表面積が大きい導電剤の含量が多ければ多いほど低い。比表面積が広い導電剤が電極内に存在するようになると活物質との接続面積および電解液が分布する面積が相対的に広くなるためである。しかし,比較例4の場合,実施例1よりも抵抗が大きい。これは,活物質と導電剤の分布および接続の問題で,実施例1の場合,メカノフュージョン処理によって活物質の周囲に充分な厚さを有する導電剤層が形成されるだけでなく,ミキシング時タップ密度が低い導電剤の分散が向上されて活物質と導電剤の混合特性が向上されるためである。このような理由で比較例4の場合,比表面積が大きいケッチェンブラックの含量が多くても活物質との円滑な接続が行われないため抵抗が増加する。
【0100】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体,その製造方法,およびこれを含む正極およびリチウム二次電池に適用可能であり,より詳しくは,正極の抵抗を減少させて合剤密度を増加させることができる,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体,その製造方法,およびこれを含む正極およびリチウム二次電池に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるリチウム二次電池の構造を概略的に示した断面図である。
【図2A】比較例1によって製造された導電剤/正極活物質複合体の断面を撮影したSEM写真である。
【図2B】実施例1によって製造された導電剤/正極活物質複合体の断面を撮影したSEM写真である。
【図2C】実施例2によって製造された導電剤/正極活物質複合体の断面を撮影したSEM写真である。
【図2D】実施例3によって製造された導電剤/正極活物質複合体の断面を撮影したSEM写真である。
【図3A】比較例1によって製造された導電剤/正極活物質複合体における導電剤の分布を撮影したSEM写真である。
【図3B】比較例2によって製造された導電剤/正極活物質複合体における導電剤の分布を撮影したSEM写真である。
【図4A】比較例1によって製造された導電剤/正極活物質複合体の表面を撮影したSEM写真である。
【図4B】実施例1によって製造された導電剤/正極活物質複合体の表面を撮影したSEM写真である。
【図4C】実施例2によって製造された導電剤/正極活物質複合体の表面を撮影したSEM写真である。
【図4D】実施例3によって製造された導電剤/正極活物質複合体の表面を撮影したSEM写真である。
【図5】実施例3によって製造された導電剤/正極活物質複合体の断面を撮影したSEM写真である。
【図6】比較例4によって製造された導電剤/正極活物質複合体の断面を撮影したSEM写真である。
【図7】実施例3および比較例4によって製造された導電剤/正極活物質複合体を含む正極極板のX線回折パターンを示したグラフである。
【図8】実施例1〜3,および比較例4によって製造された導電剤/正極活物質複合体を含む電池のACインピーダンスを測定した結果を示したグラフである。
【符号の説明】
【0103】
3 リチウム二次電池
4 電極組立体
5 正極
6 負極
7 セパレータ
8 ケース
11 キャッププレート
12 ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質と;
前記正極活物質の表面に付着された導電剤と;
を含み,
前記導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含むことを特徴とする,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項2】
前記第1導電剤は,比表面積が700〜1200m/gであり,第2導電剤は比表面積が40m/g〜80m/gであることを特徴とする,請求項1に記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項3】
前記第1導電剤は,タップ密度が0.02〜0.1g/ccであり,第2導電剤はタップ密度が0.1〜1g/ccであることを特徴とする,請求項1または2のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項4】
前記第1導電剤は,タップ密度が0.05〜0.09g/ccであり,第2導電剤はタップ密度が0.2〜0.5g/ccであることを特徴とする,請求項1または2のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項5】
前記第1導電剤は,ケッチェンブラック,ブルカンブラック,プリンテックス,およびブラックパールからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項6】
前記第2導電剤は,スーパーP,アセチレンブラック,デンカブラック,およびカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項7】
前記1導電剤および前記第2導電剤は,25:75〜75:25の重量比で含まれることを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項8】
前記1導電剤および前記第2導電剤は,50:50〜60:40の重量比で含まれることを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項9】
前記正極活物質は,LiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする,請求項1〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
(ここで,Bは,CoまたはMnである。Dは,TiまたはMoである。Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものである。Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。)
【請求項10】
前記導電剤および前記正極活物質の重量比は,3:97〜20:80であることを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項11】
前記導電剤および前記正極活物質の重量比は,5:95〜15:85であることを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項12】
前記導電剤/正極活物質複合体の比表面積は,10〜200m/gであることを特徴とする,請求項1〜11のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項13】
前記導電剤/正極活物質複合体の比表面積は,20〜200m/gであることを特徴とする,請求項1〜11のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項14】
前記導電剤/正極活物質複合体のタップ密度は,0.5〜5g/ccであることを特徴とする,請求項1〜13のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項15】
前記導電剤/正極活物質複合体のタップ密度は,1〜4g/ccであることを特徴とする,請求項1〜13のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項16】
前記導電剤は,5μm以上の厚さを有し,正極活物質表面に形成されることを特徴とする,請求項1〜15のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項17】
前記導電剤は,7〜10μmの厚さを有し,正極活物質表面に形成されることを特徴とする,請求項1〜15のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体。
【請求項18】
第1導電剤および第2導電剤を混合した後に,正極活物質を添加して,メカノフュージョン,プラネタリーミキシングおよび混練からなる群より選択される方法で処理して正極活物質表面に導電剤層を形成する段階を含むことを特徴とする,リチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項19】
前記第1導電剤の比表面積は,200〜1500m/gであり,
前記第2導電剤の比表面積は,100m/g以下であることを特徴とする,請求項18に記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項20】
前記第1導電剤のタップ密度は,0.02〜0.1g/ccであり,
前記第2導電剤のタップ密度は,0.1〜1g/ccであることを特徴とする,請求項18または19のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項21】
前記第1導電剤は,ケッチェンブラック,ブルカンブラック,プリンテックス,およびブラックパールからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする,請求項18〜20のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項22】
前記第2導電剤は,スーパーP,アセチレンブラック,デンカブラック,およびカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする,請求項18〜21のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項23】
前記第1導電剤および前記第2導電剤は,25:75〜75:25の重量比で含まれることを特徴とする,請求項18〜22のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項24】
前記正極活物質は,LiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi,(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする,請求項18〜23のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
(ここで,Bは,CoまたはMnである。Dは,TiまたはMoである。Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものである。Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。)
【請求項25】
前記導電剤および前記正極活物質の重量比は,3:97〜20:80であることを特徴とする,請求項18〜24のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項26】
前記導電剤層は,5μm以上の厚さを有することを特徴とする,請求項18〜25のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項27】
前記導電剤層は,7〜10μmの厚さを有することを特徴とする,請求項18〜25のいずれかに記載のリチウム二次電池用導電剤/正極活物質複合体の製造方法。
【請求項28】
リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な正極活物質と,前記正極活物質の表面に付着された導電剤とを含む導電剤/正極活物質複合体およびバインダーを含み,
前記導電剤は,比表面積が200〜1500m/gである第1導電剤および比表面積が100m/g以下である第2導電剤を含むことを特徴とする,リチウム二次電池用正極。
【請求項29】
前記第1導電剤は,比表面積が700〜1200m/gであり,
前記第2導電剤は,比表面積が40〜80m/gであることを特徴とする,請求項28に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項30】
前記第1導電剤は,タップ密度が0.02〜0.1g/ccであり,
前記第2導電剤は,タップ密度が0.1〜1g/ccであることを特徴とする,請求項28または29のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項31】
前記第1導電剤は,タップ密度が0.05〜0.09g/ccであり,
前記第2導電剤は,タップ密度が0.2〜0.5g/ccであることを特徴とする,請求項28または29のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項32】
前記第1導電剤は,ケッチェンブラック,ブルカンブラック,プリンテックス,およびブラックパールからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする,請求項28〜31のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項33】
前記第2導電剤は,スーパーP,アセチレンブラック,デンカブラック,およびカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする,請求項28〜32のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項34】
前記第1導電剤および前記第2導電剤は,25:75〜75:25の重量比で含まれることを特徴とする,請求項28〜33のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項35】
前記正極活物質は,LiNiO,LiCoO,LiMnO,LiMn,LiNi(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1),LiNiCoMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1),LiNiM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiCoM,(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMnM(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),LiMn(ここで,0.90≦a≦1.1,0.001≦b≦0.1),DS,LiDS,V,LiV,LiEO,LiNiVO,Li(3‐x)(PO(ここで,0≦X≦3),Li(3‐x)Fe(PO(ここで,0≦X≦2)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする,請求項28〜34のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
(ここで,Bは,CoまたはMnである。Dは,TiまたはMoである。Eは,Cr,V,Fe,Sc,およびYからなる群より選択されるものである。Fは,V,Cr,Mn,Co,Ni,およびCuからなる群より選択されるものである。Mは,Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,およびVからなる群より選択される少なくとも一つの遷移金属またはランタン系元素である。)
【請求項36】
前記導電剤および前記正極活物質の重量比は,3:97〜20:80であることを特徴とする,請求項28〜35のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項37】
前記導電剤および前記正極活物質の重量比は,5:95〜15:85であることを特徴とする,請求項28〜35のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項38】
前記導電剤/正極活物質複合体の比表面積は,10〜200m/gであることを特徴とする,請求項28〜37のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項39】
前記導電剤/正極活物質複合体のタップ密度は,0.5〜5g/ccであることを特徴とする,請求項28〜38のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項40】
前記導電剤は,5μm以上の厚さを有し,前記正極活物質の表面に形成されることを特徴とする,請求項28〜39のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項41】
前記正極活物質複合体と前記バインダーとは,98:2〜90:10の重量比で含まれることを特徴とする,請求項28〜40のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項42】
前記リチウム二次電池用正極は,1.0〜2.4g/ccの合剤密度を有することを特徴とする,請求項28〜41のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項43】
請求項28〜請求項42のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極と;
リチウムの可逆的な挿入および脱離が可能な負極活物質を含む負極と;
電解液と;
を含むことを特徴とする,リチウム二次電池。
【請求項44】
モータ駆動型電池であることを特徴とする,請求項43に記載のリチウム二次電池。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−128119(P2006−128119A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314501(P2005−314501)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】