説明

リチウム2次電池

【課題】本発明は、リチウム2次電池に関し、本発明によるリチウム2次電池は、サイクル寿命特性が優れている。
【解決手段】本発明によるリチウム2次電池は、金属及び炭素系物質の複合体負極活物質を含む負極;コバルト系、マンガン系、リン酸系、及びこれらの組合せからなる群より選択される第1正極活物質90乃至99質量%及びニッケル系第2正極活物質1乃至10質量%を含む混合正極活物質を含む正極;及び非水系電解質;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム2次電池に関し、より詳細には、サイクル寿命特性が優れているリチウム2次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯用小型電子機器の電源として脚光を浴びているリチウム2次電池は、有機電解液を使用することによって、既存のアルカリ水溶液を使用した電池より放電電圧が2倍以上高く、エネルギー密度が高い電池である。
【0003】
リチウム2次電池の正極活物質としては、LiCoO、LiMn、LiNi1−xCo(0<x<1)などのようにリチウムの挿入が可能な構造からなるリチウム及び遷移金属からなる酸化物が主に使用されている。
【0004】
負極活物質としては、リチウムの挿入及び脱離が可能な人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンを含む多様な形態の炭素系材料が使用されてきたが、安定性及び高容量が要求されているため、最近ではSiなどの非炭素系負極活物質に対する研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サイクル寿命特性が向上したリチウム2次電池を提供する。
【0006】
本発明が目的とする技術的課題は、前記言及された技術的課題に制限されず、言及されないまた他の技術的課題も、下記の記載から当業者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、金属及び炭素系物質の複合体負極活物質を含む負極;コバルト系、マンガン系、リン酸系、及びこれらの組合せからなる群より選択される第1正極活物質90乃至99質量%及びニッケル系第2正極活物質1乃至10質量%を含む混合正極活物質を含む正極;及び非水系電解質;を含む、リチウム2次電池を提供する。
【0008】
その他の本発明の実施態様の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のリチウム2次電池は、サイクル寿命特性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施態様による負極活物質を示した図面である。
【図2】本発明の一実施態様によるリチウム2次電池の構造を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。しかし、これは例示として提示されるものであって、本発明はこれによって制限されず、本発明は請求の範囲の範疇によって定義される。
【0012】
本発明は、負極活物質を含む負極、正極活物質を含む正極、及び非水電解質を含む、リチウム2次電池に関する。
【0013】
前記負極活物質は、炭素系物質及び金属の複合体である。前記炭素系物質の代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に使用することができる。本明細書において、金属とは、熱や電気をよく伝導する特性があり、代表的な例として、アルカリ金属などの一般的な金属以外にも、半導体の性質を有するSiなどのセミメタル(semi−metal)を全て含む。
【0014】
前記結晶質炭素としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形、または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛などの黒鉛を1種または1種以上混合して使用することができる。前記非晶質炭素としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾフェースピッチ炭化物、焼成されたコークスなどを1種または1種以上混合して使用することができる。
【0015】
前記金属としては、Si、Si−T合金(前記Tはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、及びこれらの組合せからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、Sn−Z合金(前記Zはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、及びこれらの組合せからなる群より選択される元素であり、Snではない)、Pb、In、As、Sb、Ag、及びこれらの組合せからなる群より選択されるものを使用することができる。前記元素T及びZは互いに独立的にMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、及びこれらの組合せからなる群より選択される。
【0016】
前記炭素系物質及び金属の複合体は、炭素系物質及び金属を単純に物理的に混合した混合物を使用することができ、気孔が形成された結晶質炭素コア、前記コアの表面に形成された非晶質炭素セル、前記気孔の内部に分散されている金属ナノ粒子、及び前記気孔の内部に存在する非晶質炭素を含むコア−セルタイプを使用することもできる。炭素系物質及び金属の複合体としてコア−セルタイプを使用するのが、副反応を抑制し、寿命特性が向上する長所があるので好ましい。
【0017】
前記混合物を使用する場合、炭素系物質の結晶性を限定する必要はなく、結晶質、非晶質、またはこれらを混合して使用することができる。また、これらの混合比は適切に調節することができ、限定する必要はない。
【0018】
前記コア−セルタイプの複合体負極活物質は、図1に示した構造からなる。図1に示した負極活物質221は、内部に気孔が形成された結晶性炭素コア223及び非晶質炭素セル227を含む。前記気孔は、セル227と連結されないようにコアの内部に形成された閉気孔(closed−pore)229a、及びセル227と連結されて内部にのびて形成された開気孔(open−pore)229bを含む。また、前記開気孔229bの内部に金属ナノ粒子225が分散されていて、前記開気孔229b及び閉気孔229aの全てに非晶質炭素が存在してもよい。
【0019】
前記気孔の形態は、管状または板状であって、コアの内部で網ネットワークを形成する。負極活物質における気孔度は、負極活物質体積全体に対して30乃至50体積%であって、気孔度が前記範囲である場合に、負極活物質の膨張時に活物質の内部で膨張する部分を吸収することができて、寿命特性が向上する長所がある。
【0020】
前記金属ナノ粒子の平均粒径は、600nm以下であるのが好ましく、100nm乃至500nmであるのがより好ましい。また、前記金属ナノ粒子の含有量は、負極活物質重量全体に対して5質量%以上、好ましくは5乃至30質量%である。
【0021】
前記非晶質炭素の含有量は、負極活物質重量全体に対して10乃至15質量%であるのが好ましく、前記結晶質炭素の含有量は、負極活物質重量全体に対して55乃至85質量%であるのが好ましい。前記非晶質炭素の含有量が前記範囲である場合に、金属及び炭素系物質を含む複合体負極活物質を製造することができる。
【0022】
前記コア−セルタイプの複合体負極活物質の平均粒径は、5乃至40μmであるのが適切である。
【0023】
前記コア−セルタイプの複合体負極活物質は次のような方法で製造することができる。まず、結晶質炭素の微細粒子をミリングして結晶質炭素コアを製造する。この時、ミリング工程で微細粒子が凝集して、閉気孔及び開気孔形態の気孔が前記コアの内部に形成される。
【0024】
前記炭素コアを金属ナノ粒子液に浸漬する。前記浸漬工程で金属ナノ粒子液が炭素コアの開気孔に挿入される。
【0025】
次に、前記で形成された生成物及び非晶質炭素前駆体を混合して熱処理を実施して、コア−セルタイプの負極活物質を製造する。前記非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メゾフェースピッチ(mesophase pitch)、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系中質油、またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。
【0026】
前記熱処理は、800乃至1200℃で2乃至10時間実施される。前記熱処理によって前記非晶質炭素前駆体が炭化して非晶質炭素に転換され、前記コアの閉気孔及び開気孔に挿入されて、コアの表面にセルが形成される。
【0027】
前記正極活物質は、コバルト系、マンガン系、リン酸系、及びこれらの組合せからなる群より選択される第1正極活物質を90乃至99質量%及びニッケル系第2正極活物質を1乃至10質量%で含む混合正極活物質である。好ましくは、第1正極活物質を95乃至97質量%で含み、前記第2正極活物質を3乃至5質量%で含む。前記第1正極活物質及び第2正極活物質の含有量が前記範囲である場合に、放電容量及び充放電効率が低下せず、サイクル寿命特性を向上させることができるので好ましい。
【0028】
正極活物質として前記第1及び第2正極活物質を混合して使用すれば、負極の電位が高くならず、充電及び放電過程で負極活物質の構成成分中の金属の利用率を減少させることができる。また、このように金属の利用率が減少すれば、負極活物質及び電解液の副反応が減少し、充電及び放電過程で発生するリチウム源(Li source)の減少がニッケル系化合物によって補充されて、サイクル寿命特性を向上させることができる。
【0029】
前記第1正極活物質は、コバルト系、マンガン系、リン酸系、及びこれらの組合せからなる群より選択され、その例として、下記の化学式1乃至9で示される少なくとも1つの化合物を好ましく使用することができる。
【0030】
[化学式1]
Li1−b(0.90≦a≦1.8、0≦b<0.5)
[化学式2]
Li1−b2−c(0.90≦a≦1.8、0≦b<0.5、0≦c≦0.05)
[化学式3]
LiE2−b4−c(0≦b<0.5、0≦c≦0.05)
[化学式4]
LiCoG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1)
[化学式5]
LiMnG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1)
[化学式6]
LiMn(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1)
[化学式7]
Li(3−f)(PO(0≦f≦2)
[化学式8]
Li(3−f)Fe(PO(0≦f≦2)
[化学式9]
LiFePO
(前記化学式において、AはCo、Mn、及びこれらの組合せからなる群より選択され;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、及びこれらの組合せからなる群より選択され;DはO、F、S、P、及びこれらの組合せからなる群より選択され;EはCo、Mn、及びこれらの組合せからなる群より選択され;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、及びこれらの組合せからなる群より選択され;QはTi、Mo、Mn、及びこれらの組合せからなる群より選択され;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
【0031】
前記第2正極活物質は、下記の化学式10または11で示される化合物を好ましく使用することができる。
【0032】
[化学式10]
LiNi1−j
(前記化学式で、0.8≦g≦2、0≦h≦1であり、eは1乃至2であり、0≦j≦1であり、LはAl、Mn、Mg、Zr、La、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
[化学式11]
LiNiCoL´1−y−z
(前記化学式で、0.65≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦y+z≦1であり、qは1.8乃至2であり、L´はAl、Mn、Mg、Zr、La、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
【0033】
本発明の一実施態様による前記リチウム2次電池は、正極容量に対する負極容量の比であるN/P比率が1.03乃至1.12である。
【0034】
また、本発明の一実施態様によるリチウム2次電池において、前記負極は、前記正極、前記負極、及びリチウム金属対極を含む3電極系電極電位測定装置を使用して測定した電位が0.9V以下であり、0.7乃至0.9Vであるのが好ましい。前記3電極系電極電位測定装置は、正極、負極、及び前記正極及び負極の間に位置するセパレータを含む電極群(electrode element)にセパレータで囲まれたリチウム金属を対極として密着させ、前記正極、負極、及びリチウム金属対極にタップを付着させた後、前記生成物を電池ケースで囲み、電解液を注液して形成された装置である。前記電極群は、円形ゼリーロールタイプ(jelly roll−type)であっても角型ゼリーロールタイプであってもよく、その形態には制限がない。ただし、円形ゼリーロールタイプの場合には、リチウム金属対極を下部に位置させ、角型ゼリーロールである場合には、リチウム金属対極を側面方向(広い対面方向)に位置させることもできる。
【0035】
また、前記リチウム金属対極の形状は、直径約15mmの円形、約1×1cmの正方形または長方形の棒形など、その形態には制限がない。
【0036】
前記電位測定時の充放電は、0.02C乃至0.5C、4.35Vカットオフ充電、及び0.02C乃至0.5C、2.5Vカットオフ放電の条件で実施することができる。
前記負極は、バインダーを含み、選択的に導電剤をさらに含むことができる。また、前記正極は、バインダー及び導電剤を含む。
【0037】
前記バインダーは、活物質粒子を互いによく付着させ、活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレートスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0038】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を起こさない導電性材料であればいずれのものでも使用することができ、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0039】
前記負極及び正極は、電極の種類に関係なく、活物質、バインダー、及び導電剤(負極の場合には選択的である)を溶媒中で混合して、スラリータイプの活物質組成物を製造し、前記組成物を電流集電体に塗布する方法で製造される。このような電極製造方法は、当該分野で公知の内容であるので、本明細書では詳細な説明は省略する。
【0040】
負極に使用される電流集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、及びこれらの組合せからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0041】
前記正極に使用される電流集電体としては、Alを使用することができるが、これに限定されない。
【0042】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0043】
本発明の一実施態様によるリチウム2次電池において、非水電解質は、非水性有機溶媒及びリチウム塩を含む。
【0044】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動する媒質の役割を果たす。
【0045】
非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非陽子性溶媒を使用することができる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができ、前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオン酸塩、エチルプロピオン酸塩、γ−ブチロラクトン、デカノライド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非陽子性溶媒としては、R−CN(Rは炭素数2乃至20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含む)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0046】
前記非水性有機溶媒は、単独または1つ以上を混合して使用することができ、1つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池の性能によって適切に調節することができ、これは当該分野の当業者には広く理解される。
【0047】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネート及び鎖状(chain)カーボネートを混合して使用するのが好ましい。この時、環状カーボネート及び鎖状カーボネートは、1:1乃至1:9の体積比で混合して使用するのが、電解液の性能が優れている。
【0048】
本発明の非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒及び芳香族炭化水素系有機溶媒は、1:1乃至30:1の体積比で混合される。
【0049】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記の化学式12で示される芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0050】
【化1】

(前記化学式で、R乃至Rは各々独立的に水素、ハロゲン、C1乃至C10アルキル基、C1乃至C10ハロアルキル基、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
【0051】
好ましくは、前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、1,2−ジフルオロトルエン、1,3−ジフルオロトルエン、1,4−ジフルオロトルエン、1,2,3−トリフルオロトルルエン、1,2,4−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2−ジクロロトルエン、1,3−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロトルエン、1,2,4−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2−ジヨードトルエン、1,3−ジヨードトルエン、1,4−ジヨードトルエン、1,2,3−トリヨードトルエン、1,2,4−トリヨードトルエン、キシレン、及びこれらの組合せからなる群より選択される。
【0052】
前記非水性電解質は、電池の寿命を向上させるために、ビニレンカーボネートまたは下記の化学式13で示されるエチレンカーボネート系化合物をさらに含むこともできる。
【0053】
【化2】

(前記化学式で、R及びRは各々独立的に水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)、及び炭素数1乃至5のフルオロアルキル基からなる群より選択され、前記R及びRのうちの少なくとも1つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)、及び炭素数1乃至5のフルオロアルキル基からなる群より選択されるが、R及びRの両方が水素ではない)
【0054】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、またはフルオロエチレンカーボネートなどがある。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0055】
前記リチウム塩は、有機溶媒に溶解され、電池の内部でリチウムイオンの供給源として作用して、基本的なリチウム2次電池の作動を可能にして、正極及び負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩は、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、x及びyは自然数である)、LiCl、LiI、及びLiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate;LiBOB)からなる群より選択される1つまたは2つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は、0.1乃至2.0Mの範囲内であるのが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲である場合に、電解質の導電度及び粘度が適切であるので、電解質の性能が優れていて、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0056】
リチウム2次電池の種類によって、正極及び負極の間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどの混合多層膜を使用することができる。
【0057】
図2に本発明のリチウム2次電池の代表的な構造を概略的に示した。図2に示したように、前記リチウム2次電池100は、円筒形で、負極112、正極114、及び前記負極112及び正極114の間に配置されたセパレータ113、前記負極112、正極114、及びセパレータ113に含浸された電解質(図示せず)、電池容器120、及び前記電池容器120を封入する封入部材140を主な部分として構成されている。このようなリチウム2次電池100は、負極112、正極114、及びセパレータ113を順次に積層した後、螺旋状に巻取られた状態で、電池容器120に収納されて構成される。
【0058】
以下、本発明の好ましい実施例及び比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0059】
(実施例1)
1.正極の製造
LiCoO97質量%及びLiNiCoAl1−y−z(x=2、y=1、z=0、q=2、つまりLiNiO)3質量%を混合した混合正極活物質、ポリフッ化ビニリデンバインダー、及びカーボンブラック導電剤をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して、正極活物質スラリーを製造した。この時、前記正極活物質、バインダー、及び導電剤の混合比率は、94:3:3質量%とした。前記正極活物質スラリーをAl箔電流集電体に塗布する通常の電極製造工程で、正極を製造した。
【0060】
2.負極の製造
平均粒径3μmの鱗片状人造黒鉛微細粒子をロータリーミル(rotary mill)でミリングして、平均粒径20μmの人造黒鉛コアを製造した。前記ミリング工程で前記微細粒子が互いに凝集して、製造された人造黒鉛コアの内部に閉気孔及び開気孔形態の気孔が形成された。
【0061】
この時、凝集工程で黒鉛コアの内部に形成される気孔度は40%にした。次に、ビーズミル(beads mill)でシリコンを平均粒径が250nmになるように粉砕して、シリコンナノ粒子を製造した。
【0062】
前記シリコンナノ粒子をアルコールに添加してシリコンナノ粒子溶液を製造した後、前記シリコンナノ粒子溶液に前記人造黒鉛コアを浸漬させた。この時、毛細管現象によってシリコンナノ粒子溶液が人造黒鉛コアの内部の開気孔に挿入された。
【0063】
次に、前記製造された生成物及び石油ピッチを混合し、900℃で3時間熱処理して、負極活物質を製造した。前記熱処理工程によって石油ピッチが炭化してハードカーボンに転換され、人造黒鉛コアの内部の閉気孔及び開気孔に挿入されて、コアの表面にセルが形成された。
【0064】
前記負極活物質、ポリフッ化ビニリデンバインダー、及びカーボンブラック導電剤を94:3:3質量%の比率でN−メチルピロリドン溶媒中で混合して、負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーをCu−箔電流集電体に塗布する通常の電極製造工程で、負極を製造した。
【0065】
前記正極、前記負極、及び非水電解質を使用して、通常の工程でリチウム2次電池を製造した。前記非水電解質としては、1.3MのLiPF6が溶解されたエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートの混合溶媒(3:7体積比)を使用した。また、正極容量に対する負極容量の比であるN/P比率が1.03になるように、正極活物質及び負極活物質の使用量を調節した。
【0066】
(実施例2)
正極活物質としてLiCoO97質量%及びLiNiO3質量%を混合した混合正極活物質を使用したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。
【0067】
(比較例1)
正極活物質としてLiCoOだけを使用したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。
【0068】
前記実施例1乃至2及び比較例1によって製造されたリチウム2次電池のサイクル寿命特性を測定して、その結果を下記の表1に示した。サイクル寿命特性は、常温で、0.5C、4.35Vカット−オフ電圧充電及び0.2C、2.5Vカット−オフ電圧放電の条件で、100回充放電を実施して測定し、測定結果は1回サイクル時の放電容量に対する100回サイクル時の放電容量の比で示した。
【0069】
【表1】

【0070】
前記表1に示したように、混合正極活物質を使用した実施例1及び2が、コバルト系正極活物質だけを使用した比較例1に比べて、サイクル寿命特性が顕著に向上した。
【0071】
前記実施例1乃至2及び比較例1によって製造された正極及び負極を利用して円形タイプのゼリーロールを製造し、前記ゼリーロールにポリエチレンセパレータで囲まれたリチウム金属対極を下部に位置させた。この時、リチウム金属対極は、直径が15mmの円形を使用した。前記正極、負極、及びリチウム金属対極に各々タップを連結した後、その外部を3面をパウチで囲んで電解液を注液して、充電及び放電を実施する3電極方式で負極の電位を測定した。
【0072】
測定された負極の電位を下記の表2に示した。
【0073】
【表2】

【0074】
前記表2に示したように、実施例1及び2の負極の電位が、比較例1より非常に低い。このように低い電位は、負極活物質中のSiの利用率を減少させるので、負極活物質及び非水電解液の副反応を抑制し、サイクル寿命特性を向上させると予測することができ、これは、前記表1に示した結果から明確である。
【0075】
(実施例3)
正極活物質としてLiCoO99質量%及びLiNiO1質量%を混合した正極活物質を使用したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。
【0076】
(実施例4)
正極活物質としてLiCoO95質量%及びLiNiO5質量%を混合した正極活物質を使用したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。
【0077】
(実施例5)
正極活物質としてLiCoO90質量%及びLiNiO10質量%を混合した正極活物質を使用したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。
【0078】
前記実施例2乃至5及び比較例1によって製造されたリチウム2次電池を0.1Cに充放電を1回実施した後の放電容量を測定して、その結果を下記の表3に示した。また、その時の充放電効率を下記の表3に共に示した。
【0079】
【表3】

【0080】
前記表3に示したように、実施例2乃至5は、比較例1と放電容量及び充放電効率がほぼ類似している。
【0081】
前記表1乃至3の結果から、実施例1乃至5のリチウム2次電池は、放電容量及び充放電効率が低下せず、サイクル寿命特性が向上することが分かる。
【0082】
以上で、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することができ、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0083】
100 リチウム2次電池
112 負極
113 セパレータ
114 正極
120 電池容器
140 封入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属及び炭素系物質の複合体負極活物質を含む負極;
コバルト系、マンガン系、リン酸系、及びこれらの組合せからなる群より選択される第1正極活物質90乃至99質量%及びニッケル系第2正極活物質1乃至10質量%を含む混合正極活物質を含む正極;及び
非水系電解質;を含む、リチウム2次電池。
【請求項2】
前記混合正極活物質は、前記第2正極活物質を3乃至5質量%及び前記第1正極活物質を97乃至95質量%で含む、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項3】
前記第1正極活物質は、下記の化学式1乃至9で示される少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載のリチウム2次電池。
[化学式1]
Li1−b(0.90≦a≦1.8、0≦b<0.5)
[化学式2]
Li1−b2−c(0.90≦a≦1.8、0≦b<0.5、0≦c≦0.05)
[化学式3]
LiE2−b4−c(0≦b<0.5、0≦c≦0.05)
[化学式4]
LiCoG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1)
[化学式5]
LiMnG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1)
[化学式6]
LiMn(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1)
[化学式7]
Li(3−f)(PO(0≦f≦2)
[化学式8]
Li(3−f)Fe(PO(0≦f≦2)
[化学式9]
LiFePO
(前記化学式において、AはCo、Mn、及びこれらの組合せからなる群より選択され;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、及びこれらの組合せからなる群より選択され;DはO、F、S、P、及びこれらの組合せからなる群より選択され;EはCo、Mn、及びこれらの組合せからなる群より選択され;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、及びこれらの組合せからなる群より選択され;QはTi、Mo、Mn、及びこれらの組合せからなる群より選択され;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
【請求項4】
前記第2正極活物質は、下記の化学式10または11で示される化合物である、請求項1に記載のリチウム2次電池。
[化学式10]
LiNi1−j
(前記化学式で、0.8≦g≦2、0≦h≦1であり、eは1乃至2であり、0≦j≦1であり、LはAl、Mn、Mg、Zr、La、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
[化学式11]
LiNiCoL´1−y−z
(前記化学式で、0.65≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦y+z≦1であり、qは1.8乃至2であり、L´はAl、Mn、Mg、Zr、La、及びこれらの組合せからなる群より選択される。)
【請求項5】
前記リチウム2次電池は、正極容量に対する負極容量の比であるN/P比率が1.03乃至1.12である、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項6】
前記負極は、前記正極、前記負極、及びリチウム金属対極を含む3電極系電極電位測定装置を使用して測定した電位が0.9V以下である、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項7】
前記複合体負極活物質は、気孔が形成された結晶質炭素コア;前記結晶質炭素コアの表面に形成された非晶質炭素セル;前記気孔の内部に分散されている金属ナノ粒子;及び前記気孔の内部に存在する非晶質炭素;を含む、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項8】
前記金属は、Si、Si−T合金(前記Tはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、及びこれらの組合せからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、Sn−Z合金(前記Zはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、及びこれらの組合せからなる群より選択される元素であり、Snではない)、Pb、In、As、Sb、Ag、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項9】
前記元素T及びZは互いに独立的にMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項8に記載のリチウム2次電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−262914(P2010−262914A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247747(P2009−247747)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】