説明

リニアアクチュエータのコイル装置及びリニアアクチュエータ

【課題】必ずしも接着等によるコイルワイヤの固定を要することなく、信頼性を向上することができるリニアアクチュエータのコイル装置及びリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】固定子に設けられるコイル16,18を形成する1本のコイルワイヤWは、始端Wsが第1ターミナル44に係止され、ボビン15に巻回されてコイル16を形成し、ガイド溝42に配索されてコイル16,18を直列接続する接続線Wcを形成するとともに、反転した巻き線方向でボビン17に巻回されてコイル18を形成し、再びガイド溝42に配索されて戻り線Wrを形成するとともに、再び反転した巻き線方向でボビン15に所定の調整回だけ巻回されて終端Weが第2ターミナル45に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータのコイル装置及びリニアアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアアクチュエータは、バネを併用し共振させることによって少ない損失で駆動できることから、加振アクチュエータ等として利用されている。そして、このリニアアクチュエータを用いた加振アクチュエータ等は高効率である等優れた性能を発揮できることから、各種防振アクチュエータとしての利用が期待されている。
【0003】
従来、こうしたリニアアクチュエータとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このリニアアクチュエータは、中心軸線に沿って並設された2つのコイルに通電して永久磁石を含む可動子を中心軸線の方向に移動させるもので、隣り合うコイルの巻き線方向は互いに逆方向となっている。
【特許文献1】特開2005−245047号公報
【特許文献2】特開平8−280093号公報(第[0030]段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、隣り合う両コイルの巻き方に関し、具体的な言及がない。
また、特許文献2では、ボイスコイルモータのコイルの巻き方について記載されている。すなわち、筒状のボビンに巻き線方向が互いに逆方向となる2つのコイルを巻装する際、スペーサを使ってコイルワイヤに角部(屈曲部)を発生させないように曲線状に曲げて該コイルワイヤの信頼性を向上させている。スペーサは、巻線後に取り外される。このような構成にあって、コイルワイヤは、樹脂(接着剤)などで固定されている。これは、ボイスコイルモータでは一般的なことである。
【0005】
逆に、コイルワイヤの固定に接着剤を使わなければ、コイルが上下にはみ出さないようにするためのフランジがボビンに必要となる。しかしながら、ボイスコイルモータの場合、固定子及び可動子の間の空隙にできる磁界中にコイルを置くため、磁気回路上の空隙はコイルの厚さによって規定される。そして、空隙の磁束密度は、該空隙の長さに反比例することから、原理的にコイルを薄く巻くことが要求される。従って、コイルは、フランジのないボビンにジグでガイドを構成しながら巻くとともに、ほどけないように接着せざるを得ない。
【0006】
動作原理上も、磁界中に置かれたコイルを流れる電流によるフレミングの左手の法則に従って、コイルに力が発生する。このように、コイル自体に力が加わることからも該コイル(コイルワイヤ)の接着は必須である。
【0007】
以上のことから、特許文献2のコイルの巻き方は、特に言及されていないものの特許文献1が想定する使用条件と相容れないものである。
本発明の目的は、必ずしも接着等によるコイルワイヤの固定を要することなく、信頼性を向上することができるリニアアクチュエータのコイル装置及びリニアアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、固定子に設けられ、中心軸線に沿って並設された磁極を形成する3つのティースの隣り合うティース間に装着された樹脂材からなる第1ボビン及び第2ボビンを有するとともに、前記第1ボビン及び前記第2ボビンに巻き線方向が互いに逆方向でそれぞれ巻装された直列接続の第1コイル及び第2コイルを有し、通電に伴い永久磁石を含む可動子を前記中心軸線に沿って移動させるリニアアクチュエータのコイル装置において、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの外周部に形成され、前記中心軸線に沿って連通する切欠きと、前記切欠きに装着されて前記第1及び第2ボビンに一体に接続され、前記中心軸線に沿って連通する樹脂材からなるガイド溝と、前記中心軸線の方向で前記第2ボビンよりも前記第1ボビンに近い側に配設された第1ターミナル及び第2ターミナルとを備え、前記第1及び第2コイルは、1本のコイルワイヤで形成されており、前記コイルワイヤは、始端が前記第1ターミナルに係止され、前記第1ボビンに巻回されて前記第1コイルを形成し、前記ガイド溝に配索されて前記第1及び第2コイルを直列接続する接続線を形成するとともに、反転した巻き線方向で前記第2ボビンに巻回されて前記第2コイルを形成し、再び前記ガイド溝に配索されて戻り線を形成するとともに、再び反転した巻き線方向で前記第1ボビンに所定の調整回だけ巻回されて終端が前記第2ターミナルに係止されることを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、前記第1及び第2コイルは、1本のコイルワイヤで形成されるものの、これら第1及び第2コイル間のコイルワイヤ(接続線、戻り線)は、前記ガイド溝に配索される前後で巻き線方向が反転されることで、これに伴う張力にて安定した状態で固定・保持される。従って、接着等(樹脂)により前記コイルワイヤを固定することなく、前記第1及び第2コイル(コイル装置)の信頼性を向上することができる。また、前記第1及び第2コイル間のコイルワイヤ(接続線、戻り線)は、前記ガイド溝に納められることで前記ティースの径方向外側への突出を抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリニアアクチュエータのコイル装置において、前記ガイド溝は、前記固定子の周方向に沿って互いに対向する側に突出して前記接続線及び前記戻り線の径方向外側への逸脱を抑制する一対の返し部を有することを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、前記一対の返し部により、前記接続線及び前記戻り線が前記ガイド溝の径方向外側に逸脱することが抑制されるため、前記コイルワイヤをより安定した状態で固定・保持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリニアアクチュエータのコイル装置において、前記返し部の外側面までの前記中心軸線からの径方向の距離は、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの外周面までの前記中心軸線からの径方向の距離以下に設定されていることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記接続線及び前記戻り線ともども前記ガイド溝が前記ティースの外周面よりもその径方向内側内に納められることで、前記接続線及び前記戻り線ともども前記ガイド溝が前記ティースの径方向外側へ突出することを抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータのコイル装置において、前記第1及び第2ボビン並びに前記ガイド溝は、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースに一体形成されていることを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、前記第1及び第2ボビン並びに前記ガイド溝は、前記ティースに一体形成されてユニット化されることで、部品点数が削減される分、組付性を向上させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータのコイル装置を備えたリニアアクチュエータであることを要旨とする。
同構成によれば、信頼性の優れたコイル装置を備えたリニアアクチュエータを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、必ずしも接着等によるコイルワイヤの固定を要することなく、信頼性を向上することができるリニアアクチュエータのコイル装置及びリニアアクチュエータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係るリニアアクチュエータを示す縦断面図である。同図に示されるように、このリニアアクチュエータの備える固定子10は、磁性金属(鉄、磁性ステンレスなど)からなる有蓋円筒状のケース11を有するとともに、該ケース11は、蓋壁の近傍で段部11aを介して拡開されている。そして、ケース11内には、その中心軸線Oに沿って段部11a上に順番に並設された円環状の3つのティース12,13,14が装着されている。これらティース12〜14は、磁性金属にて形成されている。
【0019】
段部11aに隣接配置されて端磁極を形成するティース12は、その内周部からティース13側に突出するボス状の突片12aを有する。また、ティース12に隣接配置されて中央磁極を形成するティース13は、その内周部からティース12,14側にそれぞれ突出するボス状の一対の突片13a,13bを有する。さらに、開口端側に配置されたティース14は、その内周部からティース13側に突出するボス状の突片14aを有する。
【0020】
ティース13には、隣り合う一方のティース12との間に形成される環状の凹部に嵌合する態様で、樹脂材からなる環状の第1ボビンとしてのボビン15がインサート成型にて一体形成されるとともに、該ボビン15には、一側への巻き線方向で第1コイルとしてのコイル16が巻装されている。同様に、ティース13には、隣り合う他方のティース14との間に形成される環状の凹部に嵌合する態様で、樹脂材からなる環状の第2ボビンとしてのボビン17がインサート成型にて一体形成されるとともに、該ボビン17には、前記コイル16に対して反転した他側への巻き線方向で第1コイルとしてのコイル18が巻装されている。中心軸線Oに沿って並設された両コイル16,18は、直列接続されており、通電時には互いに相反する方向の磁界を形成する。
【0021】
前記段部11aとティース12との間には、円盤状の板バネ31の外周縁部が挟持されるとともに、前記ティース14の開口側の端面には、円盤状の板バネ32の外周縁部が接合されている。
【0022】
リニアアクチュエータの備える可動子20は、中心軸線Oの方向で前記2枚の板バネ31,32に挟み込まれている。この可動子20は、板バネ31側及び板バネ32側に配置された磁性金属からなる一対のヨーク21,22を有するとともに、中心軸線Oの方向でこれら両ヨーク21,22にて挟み込まれた永久磁石23を有する。なお、ヨーク21,22は、互いに同等の内径を有する挿通孔21a,22aを有するとともに、ティース12〜14の内径よりも小さい互いに同等の外径を有して円環状に成形されている。
【0023】
ヨーク21は、その内周部から板バネ31側に突出する円筒状の座部21bを形成するとともに、該座部21bにおいて板バネ31の対向面と当接する。同様に、ヨーク22は、その内周部から板バネ32側に突出する円筒状の座部22bを形成するとともに、該座部22bにおいて板バネ32の対向面と当接する。
【0024】
永久磁石23は、例えば中心軸線Oの方向で着磁されたフェライト磁石からなり、前記挿通孔21a,22aの内径と同等の内径を有する挿通孔23aを有するとともに、ヨーク21,22の外径よりも若干小さい外径を有して円環状に成形されている。なお、永久磁石23の中心軸線Oに沿った長さLMは、中央磁極を形成するティース13の中心軸線Oに沿った長さLT以下に設定されている。また、永久磁石23の先端に対し径方向外側に若干突出するヨーク21,22の円環状の突出部は、可動子20の磁極をそれぞれ形成する。
【0025】
リニアアクチュエータの備える非磁性シャフト36は、前記挿通孔21a〜23aの内径と同等の外径を有する軸部36aを備えており、可動子20を挟み込んだ2枚の板バネ31,32を中心軸線Oに沿って貫通して可動子20ともども2枚の板バネ31,32を締結する。すなわち、この非磁性シャフト36は、板バネ31を貫通する軸部36aの一方の先端から径方向外側に延出する頭部36bを有するとともに、板バネ32を貫通する軸部36aの他方の先端部に刻設されたねじ部36cを有する。そして、頭部36bは、中心軸線Oの方向で板バネ31を介して前記座部21bに対向配置されており、その中央部には締結用の六角孔又は四角孔が形成されている。また、ねじ部36cの基端部には、中心軸線Oの方向で板バネ32を介して前記座部22bに対向配置されるワッシャ37が挿入されるとともに、前記ねじ部36cには、ロックナット38が締め付けられる。以上により、非磁性シャフト36は、頭部36b及びロックナット38にて、可動子20ともども2枚の板バネ31,32を締結する。なお、板バネ32は、その縁をばね固定部材33とティース14に挟持されることで固定子10側に固定されている。
【0026】
なお、2枚の板バネ31,32を介して固定子10に浮動支持された可動子20は、中心軸線Oに沿って往復移動可能となっている。そして、2枚の板バネ31,32は、その付勢力にて可動子20を可動範囲の基準位置に復帰させるとともに固定子10との空隙Cを確保する。
【0027】
ここで、可動子20が可動範囲の中央位置にあるとき、ヨーク21は、前記突片12a,13a間の中央位置にその外周面の中央位置が径方向で対向するように配置されるとともに、ヨーク22は、前記突片13b,14a間の中央位置にその外周面の中央位置が径方向で対向するように配置され、更に永久磁石23は、前記ティース13の内周面の中央位置にその外周面の中央位置が径方向で対向するように配置される。このような配置関係にあることで、コイル16,18の非通電時には、前記永久磁石23による磁束は、前記一対のヨーク21,22と、固定子10の中央磁極を形成するティース13との間で閉ループとなる磁気回路を構成する。従って、この状態では、可動子20をその可動範囲の中央位置に保持する力が働く。
【0028】
また、前記両コイル16,18は、通電方向が正逆切り替えられて通電されるようになっており、通電時には、可動子20は、通電方向に応じて形成される互いに相反する方向の磁界により永久磁石23が加振されることで、その可動範囲の中央位置(基準位置)を原点(振動中心)として中心軸線Oに沿って往復移動する。
【0029】
図2は、本実施形態に係るリニアアクチュエータのコイル装置を示す正面図であり、図3(a)(b)は、図2のA−A線に沿った断面図及びその拡大図である。同図に示されるように、前記ティース13の外周部には、前記中心軸線Oに沿って連通する四角溝状の切欠き41が形成されるとともに、該切欠き41には、その全長に亘って樹脂材からなる四角溝状のガイド溝42が装着されている。なお、ガイド溝42は、インサート成型にて切欠き41(ティース13)に一体形成されており、ボビン15,17に臨む両先端は、該ボビン15,17にそれぞれ一体に接続されている。つまり、ガイド溝42は、ボビン15,17とともにティース13に一体形成されている。
【0030】
このガイド溝42は、中心軸線Oに沿って連通しており、コイル16,18を形成する1本のコイルワイヤ(被覆導線などの線材)Wのボビン15,17間の移動(渡り)を許容する。また、固定子10(ティース13)の径方向におけるガイド溝42の両開口端部には、該固定子10の周方向に沿って互いに対向する側に突出する一対の返し部42a,42bが形成されている。返し部42a,42bの外側面までの前記中心軸線Oからの径方向の距離L1は、ティース13の外周面までの前記中心軸線Oからの径方向の距離L2以下に設定されている。
【0031】
前記ボビン15には、所定角度位置において前記中心軸線Oと平行にボビン17の反対側に立設されたホルダ部43が形成されるとともに、該ホルダ部43には互いに絶縁された第1ターミナル44及び第2ターミナル45が保持されている。つまり、これら第1及び第2ターミナル44,45は、中心軸線Oの方向でボビン17よりもボビン15に近い側に配設されている。第1及び第2ターミナル44,45は、コイル16,18(コイルワイヤW)と外部回路(駆動回路)とを電気的に接続するためのものである。
【0032】
このような構成にあって、前記コイルワイヤWは、第1ターミナル44の係止爪44aに始端Wsが係止されており、ボビン15に巻回されてコイル16を形成する。そして、コイルワイヤWは、前記ガイド溝42に配索されてコイル16,18を直列接続する接続線Wcを形成するとともに、反転した巻き線方向でボビン17に巻回されてコイル18を形成する。また、コイルワイヤWは、再び前記ガイド溝42に配索されて戻り線Wrを形成するとともに、再び反転した巻き線方向でボビン15に所定の調整回(1回又は数回)だけ巻回されて調整巻線Waを形成し、更に終端Weが第2ターミナル45の係止爪45aに係止される。
【0033】
従って、コイル16,18は、1本のコイルワイヤWで形成されるものの、ガイド溝42内の接続線Wc及び戻り線Wrは、ガイド溝42に配索される前後で巻き線方向が反転されることで、ティース13の周方向で互いに離隔する側(即ちガイド溝42の各対応する側壁に押圧される側)の張力を有する。そして、コイル16,18間のコイルワイヤW(接続線Wc、戻り線Wr)は、この張力にて安定した状態で固定・保持される。特に、接続線Wc及び戻り線Wrの径方向外側への逸脱は、前記一対の返し部42a,42bにて抑制される。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、コイル16,18は、1本のコイルワイヤWで形成されるものの、これらコイル16,18間のコイルワイヤW(接続線Wc、戻り線Wr)は、ガイド溝42に配索される前後で巻き線方向が反転されることで、これに伴う張力にて安定した状態で固定・保持される。つまり、コイルワイヤWは、始端Ws及び終端Weの係止と、巻回等に伴う張力のみで安定した状態で固定・保持される。従って、接着等(樹脂)によりコイルワイヤWを固定することなく、コイル16,18(コイル装置)の信頼性を向上することができる。また、コイル16,18間のコイルワイヤW(接続線Wc、戻り線Wr)は、ガイド溝42に納められることでティース13の径方向外側への突出を抑制することができる。
【0035】
(2)本実施形態では、一対の返し部42a,42bにより、接続線Wc及び戻り線Wrがガイド溝42の径方向外側に逸脱することを抑制できるため、コイルワイヤWをより安定した状態で固定・保持することができる。
【0036】
(3)本実施形態では、返し部42a,42bの外側面までの前記中心軸線Oからの径方向の距離L1は、ティース13の外周面までの前記中心軸線Oからの径方向の距離L2以下に設定されており、接続線Wc及び戻り線Wrともどもガイド溝42がティース13の外周面よりもその径方向内側内に納められることで、接続線Wc及び戻り線Wrともども前記ガイド溝がティース13の径方向外側へ突出することを抑制することができる。
【0037】
(4)本実施形態では、ボビン15,17及びガイド溝42は、ティース13に一体形成されてユニット化されることで、部品点数が削減される分、組付性を向上させることができる。
【0038】
(5)本実施形態では、信頼性の優れたコイル装置を備えたリニアアクチュエータを提供することができる。
(6)本実施形態では、磁気回路上の空隙は、ティース12〜14とヨーク21,22との空隙Cであり、コイル16,18の厚さに依存しないため、その巻き数やコイルワイヤWの太さ等の自由度を向上することができ、高出力化が可能である。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、ボビン15,17及びガイド溝42は、ティース13と別体であってもよい。この場合、コイル16,18の巻装に先立って、ボビン15,17及びガイド溝42をティース13に接着等することが好ましい。
【0040】
・前記実施形態において、第1及び第2ターミナル44,45(ホルダ部43)は、ボビン15の径方向外側に延在していてもよい。
・前記実施形態において、永久磁石23は、ネオジム磁石などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図。
【図2】同実施形態を示す正面図。
【図3】(a)(b)は、図2のA−A線に沿った断面図及びその拡大図。
【符号の説明】
【0042】
O…中心軸線、W…コイルワイヤ、Wa…調整巻線、Wc…接続線、We…終端、Wr…戻り線、Ws…始端、10…固定子、12〜14…ティース、15…ボビン(第1ボビン)、16…コイル(第1コイル)、17…ボビン(第2ボビン)、18…コイル(第2コイル)、20…可動子、23…永久磁石、41…切欠き、42…ガイド溝、42a,42b…返し部、44…第1ターミナル、45…第2ターミナル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子に設けられ、中心軸線に沿って並設された磁極を形成する3つのティースの隣り合うティース間に装着された樹脂材からなる第1ボビン及び第2ボビンを有するとともに、前記第1ボビン及び前記第2ボビンに巻き線方向が互いに逆方向でそれぞれ巻装された直列接続の第1コイル及び第2コイルを有し、通電に伴い永久磁石を含む可動子を前記中心軸線に沿って移動させるリニアアクチュエータのコイル装置において、
前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの外周部に形成され、前記中心軸線に沿って連通する切欠きと、
前記切欠きに装着されて前記第1及び第2ボビンに一体に接続され、前記中心軸線に沿って連通する樹脂材からなるガイド溝と、
前記中心軸線の方向で前記第2ボビンよりも前記第1ボビンに近い側に配設された第1ターミナル及び第2ターミナルとを備え、
前記第1及び第2コイルは、1本のコイルワイヤで形成されており、
前記コイルワイヤは、
始端が前記第1ターミナルに係止され、前記第1ボビンに巻回されて前記第1コイルを形成し、
前記ガイド溝に配索されて前記第1及び第2コイルを直列接続する接続線を形成するとともに、反転した巻き線方向で前記第2ボビンに巻回されて前記第2コイルを形成し、
再び前記ガイド溝に配索されて戻り線を形成するとともに、再び反転した巻き線方向で前記第1ボビンに所定の調整回だけ巻回されて終端が前記第2ターミナルに係止されることを特徴とするリニアアクチュエータのコイル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリニアアクチュエータのコイル装置において、
前記ガイド溝は、前記固定子の周方向に沿って互いに対向する側に突出して前記接続線及び前記戻り線の径方向外側への逸脱を抑制する一対の返し部を有することを特徴とするリニアアクチュエータのコイル装置。
【請求項3】
請求項2に記載のリニアアクチュエータのコイル装置において、
前記返し部の外側面までの前記中心軸線からの径方向の距離は、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースの外周面までの前記中心軸線からの径方向の距離以下に設定されていることを特徴とするリニアアクチュエータのコイル装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータのコイル装置において、
前記第1及び第2ボビン並びに前記ガイド溝は、前記固定子の中央磁極を形成する前記ティースに一体形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータのコイル装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータのコイル装置を備えたリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−232558(P2009−232558A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73959(P2008−73959)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】