説明

リニアアクチュエータ

【課題】 NS極を配した可動体を軸方向に移動自在に設け、この可動体に対向させてモータで回転する回転磁極板を配し、その誘導磁力で可動体を前後に往復動させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、この回転磁極板の回転力をウエイトを設けたはずみ車でアシストするようにすることを目的とする。
【解決手段】 電動モータ1の軸1a上にはずみ車2とNS極からなる回転磁石3とを順に設け、この回転磁石3に対向させてNS極からなる可動磁石4をガイド5を介してガイドレール6上に滑動自在に保持させた。また前記可動磁石3は、その基端部分がガイド5の上面に接着固定されており、ガイド5の裏側はコ字型の枠体になっており、このコ字型枠体の内方の両側面から突出させた突帯5aでT字型ガイドレール6のT字型部分を把持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を用いて回転運動を往復運動に変えるリニアアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアクチュエータとして特許文献1のような異なる磁極を交互に配した円盤状の可動体を軸方向に移動自在に軸支し、この可動体に対向させて回転磁極板を配し、その誘導磁力で可動体を前後に往復動させるものが開示されている。然しながらこのものは可動体を円滑に効率良く回転させる手段に関しては何ら配慮されていない。
【特許文献1】特開平9−121530号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、NS極を配した可動体を軸方向に移動自在に設け、この可動体に対向させてモータで回転する回転磁極板を配し、その誘導磁力で可動体を前後に往復動させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、この回転磁極板の回転力をウエイトを設けたはずみ車でアシストするようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のリニアアクチエータは、請求項1記載のように、電動モータ1の軸1a上にはずみ車2とNS極からなる回転磁石3とを順に設け、この回転磁石3に対向させてNS極からなる可動磁石4をガイド5を介してガイドレール6上に滑動自在に保持させたものである。
【0005】
また請求項2記載のように、前記可動磁石3は、その基端部分がガイド5の上面に接着固定されており、ガイド5の裏側はコ字型の枠体になっており、このコ字型枠体の内方の両側面から突出させた突帯5aでT字型ガイドレール6のT字型部分を把持するようにした。さらに請求項3記載のように、前記はずみ車2は円板上であってその円周の一部にウエイト7を設けた。
【0006】
また請求項4記載のように、モータ1の回転軸1aに一部にウエイトを設けた第1ギヤ11を連結し、この第1ギヤ11に第2ギヤ12を噛み合せ、さらに第1ギヤ11及び第2ギヤ12の先に回転磁石3を各連結し、この回転磁石3に対向させて可動磁石4をガイドレール6上に滑動自在に保持させると共に、この可動磁石4のそれぞれの作動をロッド13及びロッド15を介してクランク14、16に各伝達するようにした。更に請求項5記載のように、前記クランク14とクランク16とをロッド17で連結し、さらに前記クランク16にはずみ車2を連結して回転ぶれを無くするようにしたこと等を特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
はずみ車を用いることにより回転磁石の円滑な回転が維持され、また回転部に掛かる磁気抵抗を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明リニアアクチエータの最適な実施形態は、電動モータ1の軸1a上にはずみ車2とNS極からなる回転磁石3とを順に設け、この回転磁石3に対向させてNS極からなる可動磁石4をガイド5を介してガイドレール6上に滑動自在に保持させたものである。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の最適なひとつの実施例を図面に基づき説明する。図1、図2は本発明のリニアアクチュエータの作動原理図であって、電動モータ1の軸1a上にはずみ車2とNS極からなる回転磁石3とを順に設け、この回転磁石3に対向させてNS極からなる可動磁石4をガイド5を介してガイドレール6上に滑動自在に保持させた。
【0010】
すなわちリニアに往復動する可動磁石4は、図3に示すようにその基端部分が樹脂製のガイド5の上面に接着固定されており、ガイド5の裏側はコ字型の枠体になっており、このコ字型枠体の内方の両側面から突出させた突帯5aでT字型ガイドレール6のT字型部分を把持するようにした。尚、はずみ車2は円板であってその円周の一部にウエイト7を設けてあり、8は軸受であり、9はガイド5の往復動距離を規制するストッパである。
【0011】
仮にはずみ車2を不搭載時は、回転磁石3を90度〜180度以内で回転させると回転磁石3のNS極が反転しN極が上でS極が下になり、対面させて配した可動磁石4のNS極とが反発する関係となり、図2において可動磁石3が右側へ移動する。詳述すれば、回転磁石3の回転中は可動磁石4も回転力が掛かるが追従せず、可動磁石3の右移動は極性が反転後に瞬時に発生し、回転磁石2と可動磁石3の距離はその間変化しない。そのため力の伝達ロスが少ない。
【0012】
永久磁石3の右移動後、モータ1を開放すると回転磁石3と可動磁石3間の吸引力により回転磁石3を回転させ、可動磁石3が左移動して初期の状態に自動復帰する。
【0013】
モータ1の回転軸1aに掛かる力は、0度〜180度回転させると反対方向への回転力が発生する。0度、180度点で最小、90度点が最大となる。また180度〜360度で 時計回り方向への回転力が外力無しに発生し、270度点が最大となる。モータ1の回転を開放した場合は、吸引力によるものなので加速し0度点が最大点になる。
【0014】
モータ1の回転軸1aへのアシストは以下の通りである。右回転時に0度〜180度には逆方向の力が掛かり、180度〜360度の時は、順方向の力が掛かる。この力は同永久磁石の反発力、吸引力によるものなので逆方向と順方向の力はほぼ同じになる。
【0015】
また図4に示すように、モータ1の回転軸1aに取り付けるはずみ車2に回転磁石3と可動磁石4の複合した磁気抵抗10が発生し、それと同等のウエイト7を搭載するとほぼ等価となる。従ってモータ1の回転軸1aへのアシストが出来、回転軸1aを回転させるための力は軽減できる。回転磁石3の反発力、吸引力は回転軸1aの回転力で発生している訳ではなく回転磁石3、可動磁石4の磁力で決まる。またはずみ車2のウエイト7は往復運動部に搭載している訳ではないので往復運動を阻害しない。回転軸1aの力の軽減は同一入力で回転軸1aの回転速度を上げて出力部のタイミングを改善する。
【実施例2】
【0016】
第2実施例のものは、図5に示すように実施例1の本機を2台設置したものである。すなわちモータ1の回転軸1aに一部にウエイト7を設けた第1ギヤ11を連結し、この第1ギヤ11に第2ギヤ12を噛み合せて第1ギヤ11と第2ギヤ12とが同期するようにした。また第1ギヤ11の先に回転磁石3を連結し、第1実施例と同様にこの回転磁石3に対向させて可動磁石4をガイドレール6上に往復動自在に保持させた。そしてこの可動磁石4の作動をロッド13を介してクランク14に伝達するようにした。
【0017】
また第2ギヤ12の先に回転磁石3を連結し、同様にこの回転磁石3に対向させて可動磁石4をガイドレール6上に往復動自在に保持させた。そしてこの可動磁石4の作動は、ロッド15及びこのロッドに連結するロッド17を介してクランク16に伝達され、またこのロッド17はクランク14とクランク16とを連結するようにした。
【0018】
これらクランク14、16を用いて往復運動へと変換することにより高出力が得られる。この時、はずみ車2の一部に搭載したウエイト7によるはずみ車2の回転ぶれは2台を連結することにより解消される。こうして本発明のアクチュエータの入力アシストが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のリニアアクチエータの斜視図である。
【図2】本発明のリニアアクチエータの作動原理図である。
【図3】可動磁石ガイドの断面図である。
【図4】はずみ車の正面図である。
【図5】第2実施例の概要図である。
【符号の説明】
【0020】
1 電動モータ
2 はずみ車
3 回転磁石
4 可動磁石
5 ガイド
6 ガイドレール
7 ウエイト
8 軸受
9 ストッパ
10 磁気抵抗
11 第1ギヤ
12 第2ギヤ
13、15、17、 ロッド
14、16 クランク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(1)の軸(1a)上にはずみ車(2)とNS極からなる回転磁石(3)とを順に設け、この回転磁石(3)に対向させてNS極からなる可動磁石(4)をガイド(5)を介してガイドレール(6)上に滑動自在に保持させたリニアアクチエータ。
【請求項2】
前記可動磁石(3)は、その基端部分がガイド5の上面に接着固定されており、ガイド(5)の裏側はコ字型の枠体になっており、このコ字型枠体の内方の両側面から突出させた突帯(5a)でT字型ガイドレール(6)のT字型部分を把持するようにした請求項1記載のリニアアクチエータ。
【請求項3】
前記はずみ車(2)は円板上であってその円周の一部にウエイト(7)を設けた請求項1記載のリニアアクチエータ。
【請求項4】
モータ(1)の回転軸(1a)に一部にウエイトを設けた第1ギヤ(11)を連結し、この第1ギヤ(11)に第2ギヤ(12)を噛み合せ、さらに第1ギヤ(11)及び第2ギヤ(12)の先に回転磁石(3)を各連結し、この回転磁石(3)に対向させて可動磁石(4)をガイドレール(6)上に滑動自在に保持させると共に、この可動磁石(4)のそれぞれの作動をロッド(13)及びロッド(15)を介してクランク(14、16)に各伝達するようにしたリニアアクチエータ。
【請求項5】
前記クランク(14)とクランク(16)とをロッド(17)で連結し、さらに前記クランク(16)にはずみ車(2)を連結して回転ぶれを無くするようにした請求項4記載のリニアアクチエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−104817(P2007−104817A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292337(P2005−292337)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(305034649)
【出願人】(505374613)
【Fターム(参考)】