説明

リファキシミンを含む胃抵抗性薬剤組成物

本発明の目的は、1.5〜4.0のpH値において不溶性であり5.0〜7.5のpH値において可溶性であるポリマーにより胃抵抗性にされた微粒子の形状のリファキシミンを含む薬剤組成物、その製造方法、および炎症性腸疾患(IBD)および主にクローン病の治療において有用な医薬製剤の製造におけるその使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、1.5〜4.0のpH値において不溶性であり5.0〜7.5のpH値において可溶性であるポリマーにより胃抵抗性にされた微粒子の形状のリファキシミンを含む薬剤組成物、その製造方法、および炎症性腸疾患(IBD)および主にクローン病の治療において有用な医薬製剤の製造におけるその使用である。
【背景技術】
【0002】
腸器官は、一般的に炎症性腸疾患を呼ばれる多くの炎症性疾患の影響を受ける。特に、クローン病は、口から肛門の種々の消化管の部位に影響を与える重症の慢性炎症性疾患であり、特に、小腸の最後の部分、回腸、結腸またはその両方において、およびある場合には、結腸の粘膜において、並びに肛門領域においても観察することができる。小腸の関係部位において、小腸全壁において炎症、腫張および潰瘍形成が起こり、それが狭窄、潰瘍出血および疼痛を引き起こすが、影響を受けていない組織部分は正常に見える。クローン病は、種々の重症度の炎症性症状と、亀裂または直腸周囲ろう孔を伴うことが多い下痢、腹痛、体重減少のような症状との交互期間を示す。クローン病の患者の2/3〜3/4が、人生のある時点において手術を必要とする。手術は、薬物療法に反応しない症状を取り除く、または、腸における閉塞、穿孔、膿瘍または出血のような合併症を矯正するために用いられる。
【0003】
腸炎症性疾患の原因病理および特にクローン病における腸細菌フローラの役割は、例えば、細菌濃度の高い領域への局在化の頻度(Jannowitz,H.D.著,Inflamm.Bowel Dis.,1998年,第44巻,29〜39頁を参照);糞便流の偏りが、管形成の回復時に再び現れる内部損傷の軽減を決めること(Rutgeerts,P.著,Lancet,1991年,第338巻,771〜774頁を参照);実験モデル、例えば、IL−10遺伝子または他の遺伝子のノックアウトマウスが、「細菌を含まない」条件が維持される場合に自発結腸炎が進行しないことを示すこと(Blumberg R.S.著,Curr.Opin.Immunol.,1999年,第11(6)巻,648〜56頁を参照);腸粘膜の炎症が、糞便物質との接触後に進行すること(Harper P.H.著,Gut,1985年,第26(3)巻,279〜84頁);回結腸吻合からなる外科「治療」後に、抗生物質治療が、内視鏡的および臨床的再発の両方を遅延させること(Cameron J.L.著,Ann.Surg.,1992年,第215頁,546〜52頁を参照);および、ろう孔または膿瘍嚢の存在が、さらに、疾病の進行への細菌の貢献を指摘していること、により証明される。
【0004】
クローン病は、以前には、炎症を低下または制御することができる薬剤、例えば、コルチゾン、サラゾピリン、メサラジン、免疫抑制剤、特定の化学療法剤、抗生物質、および腫瘍壊死因子(TNF)の作用の蛋白阻害剤で治療されていた。炎症性腸疾患の急性相の治療中、非経口栄養補給を確保するために、蛋白、脂質および塩の損失を復帰させるために、および腸を休息させて潰瘍のはん痕化を容易にするために、強度の治療が必要とされることが多い。この治療の目的は、症状の再現頻度を低下させること、および重症急性症状が現れたときにそれを減少させることである。しかしながら、最近の治療では、約50〜70%で急性症状が反応を示すが、患者の80%において再発する。
【0005】
管腔細菌の成長を低下させるため、細菌成長の結果として維持される炎症性状態を減少させるため、疾患、例えば、下痢、腸疼痛および鼓腸の急性相の症状を低下させるため、および敗血症の合併症、例えば、膿瘍、ろう孔および中毒状態を防止および治癒するさせるために、通常、抗生物質が用いられる。
【0006】
最も頻繁に用いられる抗生物質は、全身的に吸収されるものであり、例えば、メトロニダゾール(多くの嫌気性細菌に加えて一部の寄生虫に対して活性)およびシプロフロキサシン(大腸菌および好気性腸内細菌のような細菌に対して活性)である。メトロニダゾールは10〜20mg/kg/日の投与量で4か月間使用され(Sunterland,L.Gut,1991年,第32巻,1071〜5頁)、シプロフロキサシンは1000mg/日の投与量で6週間使用され(Colombel J.F.著,Am.J.Gastoenterol.,1999年,第94巻,674〜8頁)、PranteraはAm.J.Gastoenterol.,1996年,第91巻,328〜32頁において、メトロニダゾールを1000mg/日の投与量でおよびシプロフロキサシンは1000mg/日の投与量で12週間用いる2つの抗生物質の組み合わせを採用した。これらの抗生物質の高い全身性生物学的利用能は、長期治療において観察される副作用の高い出現率の原因となり、その使用に悪影響を与える。メトロニダゾールの使用における副作用の発生率は、投与量および治療期間に依存して、10%から20%に及ぶ。最も頻繁な副作用としては、金属的な味、胃不耐性、悪心、舌炎、頭痛、眩暈、運動失調、痙攣および神経毒性がある。末梢性神経障害が、長期治療患者の50〜85%において記録されたが、治療中断のわずか数か月後には元に戻ることがある。シプロフロキサシン研究において記載された副作用の割合は変動し得るものであり、投与量および治療期間に部分的に依存する。最も頻繁な副作用は、胃腸から生じるものであるが、アミノ転移酵素の増加および皮膚反応もしばしば記載されている。すなわち、当該分野において、消化管の炎症性疾患、例えば、胃腸病変(gastro enteric pathology)のための長期治療オプションが必要とされている。
【0007】
抗生物質に基づく炎症性腸疾患(例えば、胃腸病変)を治療するために用いられる医薬品が、以下の特徴の一または二以上を有することが好ましい:腸の位置での活性、低吸収性、腸管腔における細菌水準制御、微生物に対する広範囲の作用(例えば、腸グラム陽性、グラム陰性、好気性および嫌気性成分)、副作用のない長期治療の可能性、および、高投与量が必要な場合、例えば、長期投与および/または一日当たり複数回数の投与の場合でも、コンプライアンスを容易化する投与の容易性。
【0008】
これらの特性の幾つかを有する抗生物質は、好気性および嫌気性細菌を含む多くのグラム陽性およびグラム陰性細菌に対する広範囲の作用により特徴付けられるリファキシミン(INN;The Merck Index,第XIII版,8304頁を参照)である。健常ボランティアにおける生物学的利用能研究は、経口投与したときに、1%未満のリファキシミンが吸収され、腸管腔においておよび記載された糞便において濃縮すること示した(Descombe J.J.ら著,Pharmacokinetic study of rifaximin after oral administration in healthy volunteers. Int J Clin Pharmacol Res,第14(2)巻,51〜56頁,(1994年))。慢性腸疾患により影響を受けている患者において、リファキシミンが吸収されないことが確認された(Rizzello著,Eur.J.Clin.Pharmacol.(1998年),第54巻,91〜93頁)。さらに、リファキシミンの低吸収プロフィールが、副作用の発生率および薬理学的相互作用の厄介な危険性を低下させる。すなわち、炎症性慢性腸疾患および特にクローン病の治療において、リファキシミンが有用であると考えられる。慢性炎症性腸疾患におけるリファキシミンの潜在的効果が確認された(Gionchetti,P.著、Dig.Dis.Sci.,1999年,第44巻,1220〜1頁を参照;ステロイド治療に難治性の中等度または重度潰瘍性大腸炎の患者におけるリファキシミンの使用を考えた。)。
【0009】
リファキシミンは、伊国特許IT 1154655(1980年)およびEP 0161534(1985年)に記載されており、両特許の全体が参考として全ての目的のためにここに取り込まれる。EP 0161534は、出発材料としてリファマイシンOを用いてリファキシミンを製造する方法を開示している(The Merck Index,第XIII版,8301頁)。
【0010】
リファキシミンの結晶化および乾燥のための手引きが、伊国特許出願MI2003A002144(2003年)、欧州特許出願EP 1557421(2003)、米国特許出願10/728,090(2003)およびPCT特許出願WO2005/044823に記載されており、これらの全ての特許の全体が参考として全ての目的のためにここに取り込まれる。これらの特許に記載されている実験条件により、それぞれ、α形、β形、γ形、δ形またはε形と呼ばれるリファキシミンの多形を形成することができる。
【0011】
リファキシミンは、下痢症候群、変化した腸微生物フローラ、夏季下痢様エピソード、旅行者下痢および全腸炎を伴う、グラム陽性およびグラム陰性細菌により生じる腸急性および慢性感染が部分的または全体的な病因である病状の治療;胃腸手術における感染性合併症の手術前および手術後予防;および共補佐薬としてアンモニア過剰症治療のために、特定の国において、認可されている。リファキシミンは、現時点では、子供用の既成製剤において投与量100mgおよび200mgの錠剤またはカプセルとして、または局所感染の治療のための軟膏として販売されている。
【0012】
市販サンプル、特に200mg錠剤についての研究は、内視鏡的切除後のクローン病の再発の予防におけるリファキシミンの潜在的有用性を示した。しかしながら、臨床的試行におけるプラセボ群の不存在のために、信頼性ある結論を導くことができない(Rizzello著,Gut.,2000年,第47巻,補遺3,A12を参照)。しかしながら、提案された薬量であるリファキシミン200mg錠剤の使用は、一日当たり6個までの錠剤を3か月投与して患者のコンプライアンスが低いので、最適値を下回ると考えるべきである。リファキシミンの200mg錠剤は、Shafran,I.著,Am.J.Gastroenterol.,2003年,第98巻(補遺)S−250に記載されているように、600mg/日で16週間の投与量で、クローン病の治療においても使用されている。
【0013】
このように、当該分野において、腸管内に特異的に配された感染の治療のためのリファキシミン薬剤組成物が必要とされている。以前の組成物は、投与後、胃と腸との間に放出および拡散される。すなわち、リファキシミンが最終的に腸管に達すると、濃度が非常に低いため、投与量を増やす必要が生じる。腸疾患の治療においてリファキシミンの治療効果を最大限にするために、新規薬剤組成物がここに提供され、例えば、腸管内のみにおいて溶解して抗生物質を放出する胃抵抗性フィルムで被覆されたリファキシミン微粒子がある。この新規組成物は、微粒子の高表面積を一部の理由として、有効成分と腸粘膜との間の接触を最大にする。新規組成物は、例えば、小児科用途で、高および低投与量も容易にする。
【0014】
新規胃抵抗性リファキシミン組成物は、胃環境(例えば、断食の状態または食物の存在に依存して約1.5〜約4.0の値)と腸管腔(例えば、検討される管に依存して約5.0〜約7.5の値)との間でpHが相違する有利な形態を採る。
【0015】
新規形態は、リファキシミンの多形も利用する。
【0016】
胃抵抗性フィルムでの薬剤微粒子の被覆は、薬剤分野において長年知られている技術である。これは、通常、造粒と被覆との2つのステップで行われる。それにも拘わらず、リファキシミンを含む多くの活性物質は、非常に細かい粒子寸法により特徴付けられ、例えば、リファキシミンの場合、粒子の約50%が、粒径が10μm〜40μmである。そのような状態において、流動床被覆またはパン技術のような従来のシステムを用いることは非常に困難である。凝集がかなり頻繁に起こる、または、被覆粒子と非被覆粒子のランダムブレンドが一般的に得られる。
【0017】
我々は、驚くべきことに1ステップで同時に粉末の湿潤造粒と一般的に腸溶性被覆と呼ばれる胃環境に抵抗性のポリマーでの形成微粒子の被覆とを可能にする流動床技術を適用することによりリファキシミンの腸溶性被覆微粒子を得ることができることを発見し、これが本発明の目的である。この手段により、含まれる別々のステップである湿潤造粒と微粒子被覆の主な不利益、および、全手順を、特に大規模で行うのに必要な時間および労働が最少化される。この結果は、リファキシミンの特性の組み合わせ、および、リファキシミンの量、腸溶性ポリマーの量、可塑剤の量およびプロセスパラメーターの適当な釣り合いにより生じる。
【0018】
リファキシミンの周囲に完全な被覆層を提供するこの技術の効率は、図1a(リファキシミン胃抵抗性微粒子の走査電子顕微鏡検査)および図1b(リファキシミン胃抵抗性微粒子の単一粒子の走査電子顕微鏡検査)に報告されているようにSEM顕微鏡検査により示され、ここで、リファキシミンが腸溶性ポリマーにより充分に被覆されていることが明らかに示されている。粒子寸法は、大きな塊または非常に細かい粉末を含まず全く均質である。存在する場合、これらの局面の一方または両方が、さらなる医薬製剤中で悪影響を与える。
【0019】
被覆の完全さの確認として、リファキシミンの胃抵抗性微粒子の溶解プロフィールは、図2(溶解プロフィール)に報告されているように、リファキシミンが低pHにおいて完全に維持され、5.0より高いpHにおいて放出されることを示している。
【0020】
腸粘膜の近くでの有効成分の放出を最大限にするために、絶食の状態または食物の存在に依存して1.5〜4.0の値である胃環境と、検討される管に依存して5.0〜7.5の値である腸管腔との大きなpH相違が利用された。この目的のために、5.0〜7.5のpH値において可溶化する特性を有する腸溶性ポリマーが用いられ、以下のポリマーが挙げられる:アクリル酸またはメタクリル酸エステルを含むメタクリル酸コポリマー、例えば、メタクリル酸・エチルアクリレートコポリマー(1:1)およびメタクリル酸・メチルメタクリレートコポリマー(1:2)、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロースおよび酢酸フタル酸セルロース、市場で入手できる産物、例えば、KOLLICOAT(登録商標)、EUDRAGIT(登録商標)、AQUATERIC(登録商標)、AQOAT(登録商標)。
【0021】
これらの胃抵抗性フィルムのリファキシミン粉末または粒子への適用は、流動床被覆技術用の従来の装置を用いて行われる。有機溶媒に溶解されたまたは水に懸濁されたフィルム被覆材は、流動床系において、懸濁液中に維持された粉末または粒子上に空気で噴霧することにより適用される。最も用いられる有機溶媒は:塩化メチレン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸トリエチル、およびエチルアルコールである。あるいは、高分子胃抵抗性材料を、水中に懸濁させて適用することができる。この技術は、溶媒の使用を必要とせず、そのために、毒物学的および安全に係る問題が回避されるので、好ましい。
【0022】
抗凝集特性を有する他の賦形剤、例えば、タルク;可塑化特性を有する他の賦形剤、例えば、アセチル化グリセリド、フタル酸ジエチル、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール;界面活性剤、例えば、ポリソルベートおよびポリオキシエチレンエステル、消泡剤、および、粘着防止剤を、ポリマー材料と共に加えることができる。
【0023】
リファキシミン粉末を被覆する前記技術をうまく適用することは注目に値する。何故ならば、それは、造粒または不活性粒子上への有効成分の層形成のような予備処理を行うことなく腸溶性ポリマーを有効成分上に直接噴霧するための流動床技術の最新技術ではないからである。実際、粉末予備処理を行わないと、幾つかの欠点、例えば、大きな塊の形成、大きな粒径範囲、微粒子の非均質組成、および均一でない被覆層が生じ得る。これらの欠点の幾つかの発生は、リファキシミンと共通しており、その粉末は細かい粒子からなり、極めて疎水性であり、静電的であり、吸湿性であり、粉末中で一般的賦形剤と混合するのが困難である。さらに、それは分離して均質混合物を与えない傾向がある。被覆されたリファキシミンを得る際にそのような好ましくない特性が存在する場合、2ステップ以上および多量の賦形剤が必要となり、ヒト投与用の薬剤強度が制限される。
【0024】
本発明のさらなる利点として、本発明の記載した技術に基づいて調製されたリファキシミンの胃抵抗性微粒子を直接用いてカプセルを充たす、または、賦形剤および、水性懸濁液投与の可能性を与える甘味向上剤と混合することができる。
【0025】
加えて、さらに注目すべきことに、リファキシミンの胃抵抗性微粒子を、従来のビヒクルまたはキャリアを加えて直接圧縮技術により錠剤を調製するために直接用いることもできる。さらなる利点として、錠剤に刻み目を付けることにより、投与強度を調節する、または微粒子の胃抵抗性特性を失うことなく摂取を容易にするために破壊することができる。
【0026】
これらの全ての機会が、リファキシミンの胃抵抗性微粒子を調製するための本発明に記載された技術に有意であり、投与量および薬剤形の広範囲の調節に適している。
【0027】
結論として、本発明は、他の市販されているリファキシミン製剤に対して、著しい向上を示す。これは、胃(例えば、約1.5〜約4.0のpH範囲)において不溶性を維持すると共に腸(例えば、より高いpH、例えば、約5.5〜約7.5)において可溶性であるリファキシミンの胃抵抗性微粒子を、わずか1ステップで製造し、腸における有効成分の最大放出および同時に微粒子の高表面積故に腸粘膜との接触を最大限にすることを意図して高投与量を与える可能性に要約される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、1.5〜4.0のpH値において不溶性であり5.0〜7.5のpH値において可溶性である胃抵抗性ポリマーで被覆されたリファキシミンの微粒子を含む薬剤組成物、その製造方法、および炎症性腸疾患および特にクローン病におけるその使用である。
【課題を解決するための手段】
【0029】
微粒子は、直径が約1μ〜約900μであり、より好ましくは直径が約10μ〜約500μである。
【0030】
胃抵抗性は、約1〜約4.9、約1.4〜約4.2、または約1.5〜約4.0のpH範囲で不溶性である材料を用いて得ることができる。適当なポリマーは、約5.0〜約7.0、5.0〜約7.5、または5.9〜約7.7およびそれ以上のpH範囲では可溶性である。
【0031】
胃抵抗性リファキシミン組成物中で利用されるポリマー材料は、前述のように、腸管腔に合うpH値、例えば、約4.9〜約7.7で可溶化し、所望の場合に腸内で薬剤を放出するための胃抵抗性の腸溶性被覆として用いることができる。適当なポリマー材料としては、例えば、アクリル酸ポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸エステルを含むメタクリル酸コポリマー(例えば、メタクリル酸・エチルアクリレートコポリマー(1:1)およびメタクリル酸・メチルメタクリレートコポリマー(1:2)、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロースおよび酢酸フタル酸セルロース)、並びに、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニルがある。市場で入手できる産物としては、例えば、KOLLIKOAT(登録商標)、EDRAGIT(登録商標)(例えば、EUDRAGIT 40)、AQUATERIC(登録商標)、AQOAT(登録商標)がある。
【0032】
高いpH値で可溶性である腸溶性材料が、結腸特異的送達系のためにしばしば使用され、ここに記載の胃抵抗性リファキシミン組成物中に用いられる。腸溶性ポリマーは、pH感受性でない他の被覆産物と混合することにより修飾することもできる。そのような被覆産物としては、例えば、EUDRAGIT(登録商標)およびEUDRAGIT(登録商標)RLの商品名で現在販売されている少量の塩化メタクリル酸トリメチルアンモニオエチルを含む中性メタクリル酸エステル;EUDRAGIT(登録商標)NE30DおよびEUDRAGIT(登録商標)NE30、EUDRAGIT(登録商標)40の商品名で販売されている官能基を含まない中性エステル分散物;多糖類、例えば、アミロース、キトサン、硫酸コンドロイチン、デキストラン、グアーガム、イヌリンおよびペクチン;および他のpH依存性被覆産物がある。
【0033】
ポリマーは、微粒子の重量の約5%〜約75%である。他の態様において、ポリマーは、微粒子の重量の約10%〜約60%、20%〜約55%、約30%〜約80%、または25%〜約50%である。微粒子の重量に対するポリマーの重量%は、用いられるポリマー、ポリマーの温度、組成物(例えば、バッグ、ピル、カプセル等)および、ポリマーが可溶性であるpHに、部分的に依存することができる。
【0034】
胃抵抗性リファキシミン微粒子は、さらに、希釈剤、可塑剤、抗凝集剤、粘着防止剤、流動促進剤、消泡界面活性剤または着色物質の一または二以上を含んでよい。これらを、他のポリマーおよび被覆(例えば、保護被覆、上被覆、およびフィルム)と共に、以下に記載する。
【0035】
例えばアジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、クエン酸エステル、イソエブカ酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステル、ステアリン酸エステルおよびグリコールを含む可塑剤のような適当な成分を、被覆組成物に混入することができる。代表的可塑剤には、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリアセチン、トリアセチン、トリプロピノイン、ジアセチン、フタル酸ジブチル、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ひまし油、クエン酸トリエチル、多価アルコール、酢酸エステル、三酢酸グリセロール、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タレート(epoxydised tallate)、トリメリト酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−1−オクチル、フタル酸ジ−1−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリト酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、モノカプロン酸グリセリル、およびモノカプリン酸グリセリルがある。当業者により認識されている他の種々の層も考えられる。ポリマー材料中に用いられる可塑剤の量は、典型的に、乾燥ポリマーの重量に基づいて約10%〜約50%、例えば、約10、20、30、40または50%である。
【0036】
腸溶性または他の被覆の上に用いることができる保護層の任意の修飾成分には、腸溶性または他の被覆の後に順次被覆して腸溶性被覆層を通過する水透過率を減少させ、それにより薬剤放出の遅延時間を長くすることができる水透過障壁層(半透過性ポリマー)がある。水または適当な有機溶媒中にポリマーを含む溶液を用いるまたは水性ポリマー分散液を用いる流動床被覆のような被覆技術により、当業者に一般的に知られている被覆を、この目的のために用いることができる。例えば、有用な材料としては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸およびそれらのエステル、ワックス、ゼイン、および水性ポリマー分散物、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL 30D、EUDRAGIT(登録商標)NE 30D、EUDRAGIT(登録商標)40、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、酢酸セルロースラテックスがある。これらのポリマーと、親水性ポリマー、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)、Hercules Corp.)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL(登録商標)、Dow Chemical Corp.)およびポリビニルピロリドンとの組み合わせも用いることができる。
【0037】
消泡剤を、胃抵抗性リファキシミン組成物中に含むこともできる。一つの態様において、消泡剤はシメチコンである。用いられる消泡剤の量は、典型的には、最終的組成物の0%〜0.5%である。他の剤を添加して、封止または障壁層の加工性を向上させることができる。そのような剤としては、例えば、タルク、コロイド状シリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微小化シリカ、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセロール、三珪酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウム、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
胃抵抗性組成物中に用いられるポリマーの量は、典型的に、送達すべき薬剤の量、薬剤送達の速度および位置、薬剤放出の時間的遅延、および組成物中の複数の粒子の寸法を含む所望の薬剤送達特性を達成するように調節される。コポリマー、充填剤、可塑剤、任意の賦形剤および加工助剤を含むポリマー材料の全ての固体成分の組み合わせは、典型的に、約1〜約50重量%の芯部を提供する。
【0039】
胃抵抗性リファキシミン微粒子は、多形および/または原形のリファキシミンを含む。微粒子中の形は混合物または純形態であってよい。リファキシミンの形は、被覆されたリファキシミンの形に、賦形剤の組成に、および微粒子を形成するために用いられるプロセスに、部分的に依存し得る。リファキシミン多形は、前述のリファキシミンのα形、β形、γ形、δ形またはε形から選択される。
【0040】
胃抵抗性材料を含む混合物は、成分を脱塩水中に懸濁し、高速混合系、好ましくはUltra Turaxホモジナイザーで懸濁液を均質化し、固体粒子15%〜30%を含む均質懸濁液を得ることにより調製される。胃抵抗性材料を含む均質懸濁液は、被覆系または流動床装置により適用することができる。
【0041】
本発明において、流動床技術が用いられていた。有効成分を含む混合物が、温かい空気の流動により懸濁液中に維持され、同時に、胃抵抗性懸濁液が、装置の頂部(トップスプレー)または低い部分(ボトムスプレー:Wursterシステム)に適用されたジェットにより噴霧される。例えば、1.8mm噴霧ジェットを有する18インチのWursterシステムを有する流動床タイプGlatt GPG30を用いた。
【0042】
空気流入温度、生成物の温度、およびフィルム適用の速度を含むプロセスパラメーターを特異的に制御する。フィルム適用の速度と空気の温度の釣り合いを取ることにより、非均質胃抵抗性微粒子の形成(生成物の早過ぎる乾燥)または被覆すべき混合物が凝集して生成物の乾燥が遅延することにつながる生成物の過剰加熱を回避する。
【0043】
例えば、胃抵抗性リファキシミンの25kgバッチの調製において、150〜300g/分のジェット噴霧を用いることができる。150〜250g/分のジェット噴霧および1.0〜1.5バールの圧力を用いることもできる。速度および圧力は、独立して操作することができる。噴霧中の生成物の温度は、約20℃〜約40℃の一定温度に維持される。入り口における空気温度は、約40℃〜約75℃、好ましくは約60℃〜約70℃で制御することができる。
【0044】
得られる胃抵抗性微粒子は医薬製剤用に調製されて、水を加えた後に患者にとって心地よい味を有する懸濁液を得る。この目的で、甘味剤、例えば、スクロース、ソルビトール、マンニトール、サッカリン、アセサルフェーム、ネオヘスペレジン;懸濁剤、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、キサンタンガム、寒天;および流動促進剤、例えば、シリカゲルを、胃抵抗性微粒子に加えることができる。
【0045】
双円錐ミキサーまたはVミキサーのような適当な装置において、胃抵抗性微粒子を前述の賦形剤と必要な時間混合して、混合物の中の胃抵抗性微粒子の均質性を得る。胃抵抗性微粒子と賦形剤との割合は1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.5〜1:5である。得られる混合物を、1mg〜3000mg、好ましくは50mg〜800mgの量のリファキシミンを含むバッグに分割することができる。
【0046】
得られたリファキシミンの胃抵抗性微粒子を、適当な賦形剤、例えば、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、微結晶性セルロース(AVICEL(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥澱粉のような希釈剤;デンプン、ゼラチン、糖類、例えばスクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、合成ガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、水、ワックス、アルコールのようなバインダー;タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油、ポリエチレングリコールのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素、タルクのような流動促進剤;トウモロコシおよびジャガイモ澱粉、クロスカルメロース、クロスポビドン、ナトリウム澱粉グリコレートのような崩壊剤、着色剤、スクロース、ソルビトール、マンニトール、サッカリン、アサセルフェーム、ネオヘスペレジンのような甘味剤と混合した後に、錠剤中に直接圧縮することができる。
【0047】
錠剤調製の当業者に知られている従来の技術および装置を適用することができる。双円錐ミキサーまたはVミキサーのような適当な装置において、胃抵抗性微粒子を前述の賦形剤と必要な時間混合して、混合物の中の胃抵抗性微粒子の均質性を得る。
【0048】
リファキシミンの胃抵抗性微粒子は、自由に流動する性能、密着性および潤滑性に関して優れた特性を有し、従って、胃抵抗性微粒子と賦形剤との割合は1:0.2〜1:0.05、好ましくは1:0.15〜1:0.1である。得られる混合物を適当なパンチを用いて圧縮して、リファキシミン50mg〜600mg、好ましくは100mg〜500mgを含む錠剤を得ることができる。前述のように、リファキシミン胃抵抗性微粒子の好ましい特性により、最少量の賦形剤を加えて直接圧縮するのに適したブレンドを得ることができる。胃抵抗性微粒子を93%まで含むブレンドを用いて錠剤を得る可能性が、さらなる利点を提供する:すなわち、患者への良好なコンプライアンスを維持するために適当な寸法で400mgの投与量を維持することができる。
【0049】
錠剤を、引き続いて、従来の親水性フィルムで被覆して、味を遮蔽する特性を達成し、外観を向上させることができる。適当な材料は:ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)、Hercules Corp.)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL(登録商標)、Dow Chemical Corp.)、ポリビニルピロリドンであり得る。
【0050】
リファキシミン胃抵抗性微粒子を含む錠剤を、当業者に知られた従来の手順の後に、セルロースおよび、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなその置換化合物の一または二以上をポリマーとして選択して、フィルムで被覆することができる。セルロースエーテルの代替物は、特定のアクリル酸化合物、例えば、メタクリレートおよびメチルメタクリレートコポリマーである。ポリマーは、水性または有機溶媒系の溶液として用いることができる。可塑剤を混入することにより、被覆フィルムのフレキシビリティーを向上させ;可塑剤の添加により、フィルムの亀裂の危険性が低下し、フィルムの基材への接着性が向上する。典型的可塑剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステルおよびフタル酸エステルが挙げられる。生成物の外観を向上させるために、通常、着色剤が用いられる。アルブミンレーキ、二酸化チタン、酸化鉄のような水溶性および/または有機溶媒可溶性の染料を用いることができる。最後に、EDTAのような安定化剤を被覆に加えることができる。
【0051】
図3に示す写真(錠剤中に圧縮されたリファキシミン胃抵抗性微粒子の走査電子顕微鏡写真)および図2に示すデータは、圧縮が、錠剤中に圧縮された微粒子の胃抵抗性層の一体性を変化させないことを示している。
【0052】
さらに、得られたリファキシミンの胃抵抗性微粒子は、粒子の寸法に関して、および硬質ゼラチンカプセルを充填するように不活性希釈剤および流動促進剤を加えて直接用いることができるような自由流動性能に関して好ましい特性を有する。典型的希釈剤としては、例えば、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウムまたは乾燥澱粉の約1〜約225mgが挙げられる。この場合、0.25〜0.45mg/mlの胃抵抗性微粒子の密度により、胃抵抗性微粒子中のリファキシミンの含量として、従来の000硬質ゼラチンカプセル中にリファキシミンを約140〜250mg充たすことができる。
【0053】
全ての医薬製剤、すなわち、熱溶着バッグ、錠剤およびカプセルを、クローン病を含む炎症性腸疾患の治療において有用に用いることができる。
【0054】
以下の実施例により、本発明の目的をさらに説明するが、限定するものと見なすべきでない。
【0055】
(実施例1)
(胃抵抗性微粒子中のリファキシミン調製)
1.8mm噴霧ジェットを有する18インチのWursterシステムを有する流動床装置Glatt GPC 30に、リファキシミン粉末25000gおよび流動化剤としてのエアロシル125gを負荷する。同時に、攪拌下のミキサーにて、脱塩水48107g、商品名KOLLICOAT(登録商標)MAE 100 Pで販売されているメタクリル酸エチルアクリレートコピリマー9281g、プロピルグリコール1392g、タルク2475g、二酸化チタンFUの557gおよび酸化鉄E172の62gを用いて懸濁液を調製する。懸濁液の固体成分を、高速ホモジナイザー(Ultra Turrax)を用いて、脱塩水中で均質混合する。調製された懸濁液を、流動床装置の噴霧システムに供給し、温かい気流により流動床中に懸濁状に維持されたリファキシミン粉末とエアロシル200との混合物上に1.8mmのノズルを通して1.0〜1.5バールの圧力で霧化する。
【0056】
適用された条件を表1に記載する。
【0057】
【表1】

【0058】
得られた微粒子を、Malvern Mastersizer 2000装置を用いた光散乱技術による粒度分布分析に付して、以下の結果を得る。
【0059】
100%<200μ
99.17%<150μ
99.03%<100μ
48.73%<50μ
6.20%<10μ
胃抵抗性微粒子製剤中のリファキシミンは、合計粒子重量の61.4%に相当する。
【0060】
(実施例2)
(リファキシミンの胃抵抗性微粒子のSEM顕微鏡検査)
SEM Philips515インスツルメントを用いて、観察する。
【0061】
リファキシミン胃抵抗性微粒子を電流30mAにて金でスパッタリングし、約100nmのAu−層を得る。加速電圧15kVを適用する。
【0062】
画像を、CCDカメラでデジタル記録する。
【0063】
リファキシミンの微粒子の画像を図1Aに示し、図1Bには、単一の微粒子の詳細を示す。
【0064】
(実施例3)
(熱溶着バッグ中に調製されたリファキシミンの胃抵抗性微粒子)
実施例1に従って調製された胃抵抗性リファキシミン微粒子9.12kg、ソルビトール19.58kg、アスパルテーム0.49kg、無水クエン酸0.21kg、ペクチン2.10kg、マンニトール2.10kg、ネオヘスペリジンDC0.21kg、チェリー風味1.12kgおよびシリカゲル0.07kgを、0.5mmメッシュの篩上でふるいにかけ、次に、Vミキサー中で20分間混合する。得られる混合物を、リファキシミン800mgに相当する生成物5gを含む熱溶着バッグに分割する。以下の表2に、医薬特有の熱溶着バッグの組成を報告する。
【0065】
【表2】

【0066】
(実施例4)
(圧縮錠剤中に調製されたリファキシミンの胃抵抗性微粒子)
実施例1に従って調製された胃抵抗性リファキシミン微粒子9.3kg、ナトリウム澱粉グリコレート593gおよびステアリン酸マグネシウム100gを、0.5mmメッシュの篩上でふるいにかけ、次に、Vミキサー中で20分間混合する。得られる混合物を、長方形の19×9mmのパンチを備えるロータリー打錠機(Fette 1200)を用いて圧縮して、最終重量718mgにする(リファキシミン400mgの含量に相当する)。
【0067】
錠剤組成を表3に報告する。
【0068】
【表3】

【0069】
錠剤を、次に、従来のパン装置を用いて、ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆して、外観を改良し、味遮蔽特性を達成する。単一のフィルム組成を表4に報告する。
【0070】
【表4】

【0071】
(実施例5)
(硬質カプセル中に調製されたリファキシミンの胃抵抗性微粒子)
実施例1に従って調製された胃抵抗性リファキシミン微粒子9.0kgを、0.5mmの篩にかけ、タルク110gおよびラクトース1.1kgとブレンドする。得られる混合物を、Zanasi LZ64のような従来の装置を用いて、硬質ゼラチンカプセルタイプ000に導入し、リファキシミン含量約270mgに相当する最終重量461.00とする。カプセル組成を表5に報告する。
【0072】
【表5】

【0073】
(実施例6)
(リファキシミン医薬製剤の胃抵抗性微粒子の溶解性能)
医薬製剤の胃抵抗性を、米国薬局方(USP),28a版の247頁に記載の方法に従って評価する。
【0074】
リファキシミン胃抵抗性微粒剤、リファキシミン胃抵抗性微粒剤を含む熱溶着バッグおよびリファキシミン胃抵抗性微粒剤を含む錠剤からなる、実施例1、3および4に記載のリファキシミンの胃抵抗性微粒子を含む医薬製剤の溶解性を、それぞれ、以下の条件を用いて評価する。
【0075】
装置:SOTAX AT7 Smart
媒体:HCl 0.1N、pH1: 2時間後、ラウリル硫酸ナトリウム2%を含むリン酸塩緩衝液を加えてpHを6.8まで上げる
攪拌速度:100rpm
温度:37℃
サンプリング時間:120、135、150および180分
溶解リファキシミンの含量を、HPLC法により測定する。
【0076】
表6に報告する結果は、6回の測定の平均であり、リファキシミンの合計量に対する溶解%として表す。
【0077】
【表6】

【0078】
25℃で12か月貯蔵後、実施例1のように調製した微粒子は、同様の溶解プロフィールを示し、正確には、0.1N塩酸中でpH1で120分後に2.2%であり、リン酸塩緩衝液中でpH6.8で60分後に91.1%である。
【0079】
(実施例7)
(クローン病の治療)
実施例3に記載の胃抵抗性微粒子を含むリファキシミン医薬製剤を、クローン病に影響されている患者においてプラセボに対する臨床的多中心ランダム化トライアルにおいて用いた。CDAI(クローン病活性指数)が200〜300である急性の軽度乃至中等度相の55人のクローン病患者を採用した。一時終点は、研究の最後においてCDAIに定義される150を下回る臨床的寛解を示す患者の%により表した。27人の患者からなるA群と28人の患者からなるB群との2つの群にランダム化された患者を、以下の治療スキームに従って12週間治療した。
【0080】
A群:リファキシミン800mgを、一日2回、合計投与量1600mg/型になるまで投与;
B群:プラセボを、一日2回、有効成分の投与量に相当するような量で投与
治療12週間後の緩解である一時終点が、胃抵抗性組成物を与えた患者51.9%において達成され、プラセボで治療した患者の32.1%で達成される。さらに、リファキシミンで治療した群の一人の患者のみは、治療の失敗により初期に臨床トライアルを止めさせ、プラセボで治療した9人の患者は治療を中断した。
【0081】
結果を表7に要約する。
【0082】
【表7】

【0083】
(実施例8)
(正常により高い蛋白C反応性値により特徴付けられるクローン病患者の治療)
治療の最初に、31人の患者が、進行中の炎症の指数である蛋白C反応性値が正常より高かった。患者を、実施例3に記載のように、リファキシミンで治療した16人と、プラセボで治療した他の患者との2つの群に分割した。
【0084】
臨床的寛解である一時終点は、リファキシミンの新規組成物で治療した患者の62.5%で得られ、プラセボで治療した患者ではわずか20.5%であった。さらに、プラセボで治療した下位群の患者の6人とは異なり、リファキシミンで治療した下位群の患者は誰も研究から外れて治療が失敗することはなかった。
【0085】
表8は得られた結果を示す。
【0086】
【表8】

【0087】
副作用の発生率は、2つの群において類似しており、連続および長期間使用でのリファキシミン組成物の優れた寛容性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1a】リファキシミン胃抵抗性微粒子の走査電子顕微鏡写真である。
【図1b】リファキシミン胃抵抗性微粒子の単一粒子の走査電子顕微鏡写真である。
【図2】リファキシミンの胃抵抗性微粒子の溶解プロフィールを示すグラフである。
【図3】錠剤中に圧縮されたリファキシミン胃抵抗性微粒子の走査電子顕微鏡写真である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃抵抗性リファキシミン微粒子を含む薬剤組成物。
【請求項2】
胃抵抗性リファキシミン微粒子は直径が約1μ〜約900μである請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
胃抵抗性リファキシミン微粒子は直径が約10μ〜約500μである請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
胃抵抗性は、1.5〜4.0のpH値において不溶性であり5.0〜7.7のpH値において可溶性であるポリマーを用いることにより得られる請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
該ポリマーが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニルおよび、メタクリル酸のコポリマーからから選択される請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
胃腸用ポリマーの量が、微粒子の合計重量に対して5重量%〜75重量%である請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
胃抵抗性混合物が、希釈剤、可塑剤、抗凝集剤、粘着防止剤、消泡剤および着色物質も含む請求項4〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
胃抵抗性リファキシミン微粒子が、リファキシミンの一または二以上の多形、または原形を含む請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
リファキシミン多形が、α形、β形、γ形、δ形またはε形から選択される請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
熱溶着バッグに、胃抵抗性リファキシミン微粒子約1〜約3000mg、アスパルテーム、糖、キシリトール、ラクチトール、SPLENDA(登録商標)、シクラミン酸ナトリウム、デキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトースおよびスクロース、またはネオヘスペリジンDCの一または二以上から選択される甘味剤0〜約450mg、クエン酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸または酒石酸の一または二以上から選択される有機酸0〜約50mg、ポリビニルピロリドン(PVP)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、キサンタンガムまたは寒天の一または二以上から選択される懸濁化剤約1〜約500mg、マンニトール0〜約500mg、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトール、キサンタンガム、デキストリンまたはマルトデキストリンのような糖アルコールの一または二以上から選択される糖アルコール0〜約4000mg、果実または植物芳香剤の一または二以上から選択される芳香剤0〜約300mg、およびシリカゲル、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクの一または二以上から選択される流動促進剤0〜約100mgを含んでなる薬剤組成物。
【請求項11】
圧縮錠剤中に、胃抵抗性リファキシミン微粒子約50〜約1000mg、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、微結晶性セルロース(Avice(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉、ラクトース、カオリン、マンニトール塩化ナトリウム、乾燥澱粉の一または二以上から選択される希釈剤約1〜約500mg、澱粉、ゼラチン;スクロース、グルコース、デキストロースおよびラクトースのような糖類、合成ガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、水、ワックスおよびアルコールの一または二以上から選択される結合剤約1〜約500mg、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油およびポリエチレンルリコールの一または二以上から選択される潤滑剤約0〜約20mg、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクの一または二以上から選択される流動促進剤約0〜約20mg、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、トウモロコシおよびジャガイモ澱粉、クロスカルメロース、クロスポビドンおよび澱粉グリコール酸ナトリウムの一または二以上から選択される流動促進剤約0〜約200mg、二酸化チタンおよび酸化鉄の一または二以上から選択される着色剤約0〜約10mg、スクロース、ソルビトール、マンニトール、サッカリン、アセサルフェームおよびネオヘスペレジンの一または二以上から選択される甘味剤約0〜約500mgを含んでなる薬剤組成物。
【請求項12】
セルロース、およびヒドロプロピルセルロース、ヒドロメチルセルロース、ヒドロプロピル−メチルセルロースのようなその置換体、メタクリレートおよびメチルメタクリレートコポリマーのような特定のアクリル酸化合物の一または二以上から選択されるポリマー約0〜約50mg、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステルおよびフタル酸エステルの一または二以上から選択される可塑剤約0〜約5mg、EDTAのような安定化剤約0〜約1mg、およびアルブミンレーキ、二酸化チタンおよび酸化鉄の一または二以上から選択される着色剤約0〜約10mgを含んでなる、錠剤のフィルム被覆用組成物。
【請求項13】
硬質ゼラチンカプセル中に、胃抵抗性リファキシミン微粒子約50〜約450mg、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油およびポリエチレングリコールの一または二以上から選択される潤滑剤約0〜約25mg、およびリン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウムおよび乾燥澱粉の一または二以上から選択される希釈剤約1〜約225mgを含んでなる薬剤組成物。
【請求項14】
炎症性腸疾患の治療のための医薬製剤の製造における、リファキシミン含有胃抵抗性微粒子の使用。
【請求項15】
炎症性腸疾患がクローン病である請求項14に記載の使用。
【請求項16】
クローン病を患っている患者のC反応性蛋白の値が標準値より高い請求項15に記載の使用。
【請求項17】
大きさ約1μ〜約900μの胃抵抗微粒子の形状のリファキシミンを含む薬剤組成物を製造する方法であって、可塑剤、希釈剤、粘着防止剤、抗凝集剤、流動促進剤、消泡剤および着色物質と共に胃抵抗性ポリマーを含む水性懸濁液を、1.0〜1.5バールの圧力下に150〜300g/分の流速でノズルを通して流動床装置中に噴霧し、そこで、50℃〜75℃の温度に温められ拍出量が450〜650m3/時間である気流が、流動性向上剤と混合された有効成分リファキシミンを懸濁状態に維持することを特徴とする方法。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−531743(P2008−531743A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500103(P2008−500103)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002022
【国際公開番号】WO2006/094737
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(304044793)アルファ ワッセルマン ソシエタ ペル アチオニ (8)
【氏名又は名称原語表記】ALFA WASSERMANN S.P.A.
【Fターム(参考)】