説明

リファマイシンアナログおよびその使用法

本発明は、種々の細菌感染症を治療または予防するための治療薬として使用することができるリファマイシンアナログを特徴とする。一形態において、アナログは、リファマイシン同様に、25位がアセチル化されている。別の形態において、アナログは25位が脱アセチル化されている。さらに他の形態において、ベンゾキサジノリファマイシン、ベンズチアジノリファマイシンおよびベンズジアジノリファマイシンアナログは、3'-ヒドロキシアナログを含むベンゼン環、および/または4'、5' 位、または4'、6' 位においてベンゼン環を有する様々な融合環系の種々の位置が誘導体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒトによる抗生物質の使用は、同時進行で作動する完全に天然ではない選択を考察するウィンドウである、膨大な規模の進化的試みと見ることができる。50年間で、抗生物質に抵抗性の病原性および共生細菌の種および株の数ならびにそれらが耐性を示す抗生物質の数は全世界で実質的に単調に増加した。結果として、化学療法で容易に治療可能であった感染症はもはや容易に治療可能ではないことがある。耐性の形成および拡散は抗生物質の使用および乱用に起因する可能性があることは明らかである。抗生物質治療に対する細菌感染症の耐性の増加は、広範に証明されており、特に院内感染では一般に認識されている医療問題となっている。例えば、Jones et al., Diagn. Microbiol. Infect. Dis. 31: 379-388, 1998;Murray, Adv. Intern. Med. 42: 339-367, 1997;およびNakae, Microbiologia 13: 273-284, 1997参照。
【0003】
発展した社会では、ヒトの疾病を生ずる細菌の化学療法に対する抗菌耐性の広がりの増加に関する民間および政府の懸念が生じている。効果的な治療がほとんどない多くの病原菌が存在しており、利用可能な薬物に耐性を示す株の数も増加の一途をたどっている。従って、このような病原菌による感染症の治療および予防のための新規抗菌剤および改善された方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、種々の微生物感染症を治療または予防するための治療薬として使用することができるリファマイシンアナログを特徴とする。
【0005】
従って、第1の局面において、本発明は、式:

を有する化合物を特徴とする。
【0006】
式Iにおいて、Aは、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、O-(C1-C4アルカリル)、O-(C6-C12アリール)、O-(C1-C9ヘテロアリール)、またはO-(C1-C4アルクヘテロアリール(alkheteroaryl))である。好ましくは、AはH、OH、O-(C1-C6アルキル)、またはO-(C1-C4アルカリル)である。
【0007】
Wは、式中、R1はH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、O、S、またはNR1である。好ましくは、R1はHまたはC1-C6アルキルである。
【0008】
Xは、式中、R2は、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)である、HまたはCOR2であり、アルキル基の各炭素原子は1つだけの酸素原子に結合している。R2はC6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールを示してもよい。
【0009】
R4は、式中、以下に記載するZの置換基であるR5およびR7は、ともに、結合を示す、または置換されていてもよいC1-C4結合(すなわち、R4とZ置換基は環を形成する)を形成し、かつR6はH、C1-C6アルキル、C1-C6アルカリル、式中、R9はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5、またはNR5R6である。R6はC6-C12アリール、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールを示してもよい。
【0010】
Yは、式中、R3はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、H、Hal、またはOR3である。好ましくは、R3はC1-C6アルキル、またはC1-C4アルカリルである。
【0011】
Zは、式中、nは0または1であり、R8はH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、式中、R10はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、(CR11R12)nNR7R8である。R8はまたC6-C12アリール、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールを示してもよい、またはR8は存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成される。R11およびR12の各々は、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12は存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される。
【0012】
または、式Iの化合物について、A、W、Xの各々は、それぞれ、上記に規定するとおりであり;Zは、式中、R3は先に規定するとおりである、H、Hal、またはOR3であり;R4は、式中、R6は先に規定するとおりである、OR5、SR5、またはNR5R6であり、R5は、以下に記載するYの置換基であるR7とともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し(すなわち、R4とY置換基は環を形成する);Yは、式中、nおよびR8の各々は先に規定するとおりである、(CR11R12)nNR7R8である。
【0013】
一態様において、Wは、式中、R1はHまたはC1-C6アルキルである、O、S、またはNR1である。別の態様において、Xは、式中、R2は1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、または1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)である、HまたはCOR2であってもよく、アルキル基の各炭素原子は1つだけの酸素に結合している。さらに別の態様において、AはOHである。
【0014】
本発明はまた、式Iの化合物および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む薬学的組成物を特徴とする。このような薬学的組成物は、経口投与、局所投与、静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与用に製剤化することができる。
【0015】
別の局面において、本発明は、本発明の化合物または薬学的組成物を動物に投与する段階を含む、動物、好ましくは、哺乳類、最も好ましくは、ヒトの微生物感染症を死滅、治療または予防する方法を特徴とする。本発明はさらに、このような微生物感染症に関連する疾病を治療または予防する段階を特徴とする。このような治療または予防方法は、本発明の組成物の経口、局所、静脈内、筋肉内または皮下投与を含んでもよい。
【0016】
本発明はまた、患者においてアテローム性動脈硬化関連疾病の発症を治療または予防するのに有効な量の式Iの化合物を患者に投与することによって、患者のアテローム性動脈硬化関連疾病の発症を治療または予防する方法を特徴とする。患者は、典型的には、式Iの化合物の投与前に、アテローム性動脈硬化関連疾病を有する(またはその疾病を発症するリスクが高い)またはC.ニューモニエ(C. pneumoniae)に感染しているマクロファージもしくは泡沫細胞を有すると診断されている。
【0017】
本発明はまた、患者のC-反応性タンパク質レベルを低下させるのに十分な量の式Iの化合物を患者に投与することによって、必要としている患者のC-反応性タンパク質レベルを低下させる方法を特徴とする。一態様において、患者は細菌感染症を有すると診断されていない。別の態様において、患者はC.ニューモニエに感染したマクロファージまたは泡沫細胞を有すると診断されている。
【0018】
本発明はまた、患者のマクロファージまたは泡沫細胞におけるC.ニューモニエ複製を低下させるのに有効な量の式Iの化合物を患者に投与することによって、必要としている患者のマクロファージまたは泡沫細胞におけるC.ニューモニエ複製を低下させる方法を特徴とする。
【0019】
本発明はまた、患者のマクロファージまたは泡沫細胞におけるC.ニューモニエ感染症を治療するのに有効な量の式Iの化合物を患者に投与することによって、患者のマクロファージまたは泡沫細胞における持続的なC.ニューモニエ感染症を治療する方法を特徴とする。
【0020】
本発明はまた、感染症を治療するのに有効な量の式Iの化合物を患者に投与することによって、C.ニューモニエの感染に関連する慢性疾病を治療する方法を特徴とする。
【0021】
上記の局面のいずれかにおいて、式Iの化合物の用量は、通常、約0.001〜1000 mg/日である。化合物は毎日投与しても(例えば、2.5〜25 mg/日の単回経口用量)またはあまり高頻度に投与しなくてもよい(例えば、5mg/週、12.5mg/週または25 mg/週の単回経口用量)。治療は1日〜1年であってもまたはさらに長くてもよい。一態様において、式Iの化合物は、1〜7日間は連続して2.5〜100 mgの初回量の化合物を投与し、次に1〜7日ごとに1回、1ヶ月、1年または場合によっては患者の生涯にわたって0.005〜10 mgの維持量の化合物を投与する。
【0022】
望ましい場合には、式Iの化合物は、抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID;例えば、デトプロフェン(detoprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメエート(mechlofenameate)、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメオン(nabumeone)、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリン、サリチル酸コリン、サルセート(salsate)、ならびにサリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム)およびステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、))、抗菌剤(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、アモキシリン、メトロニダゾール、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフマトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アストレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソミシン、ダイベカリン(dibekalin)、イセパマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、テイコプラニン、キヌプリスチンおよびダルフォプリスチン、スルファニルアミド、パラ-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファタリジン、リネゾリド、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン(perfloxacin)、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲサイクリン、AZD2563またはトリメトプリム)、血小板凝集阻害剤(例えば、アブシキシマブ、アスピリン、シロスタゾール、クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド、チクロピジンまたはチロフィバン)、抗凝固剤(例えば、ダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、ヘパリン、チンザパリンまたはワーファリン)、解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)または脂質低下剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、ニコチン酸、ゲムフィブロジル、プロブコール、エゼチミベ、またはアトロバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチンおよびフルバスタチンなどのスタチン)などの1つまたは複数の追加の薬剤と併用投与することができる。これらの追加の薬剤は、式Iの化合物の投与の14日以内、7日以内、1日以内、12時間以内もしくは1時間以内またはそれと同時に投与することができる。追加の治療薬は、式Iの化合物と同じまたは異なる薬学的組成物に存在してもよい。異なる薬学的組成物に存在する場合には、異なる投与経路を使用してもよい。例えば、式Iの化合物は経口投与してもよいが、第2の薬剤は静脈内、筋肉内または皮下注射してもよい。
【0023】
本発明はまた、式Iの化合物をコーティングしたステントを特徴とする。ステントは、例えば、動脈を開いた状態で保持するために使用されるワイヤーメッシュチューブであってもよい。ステントは、典型的には、血管形成術の後に挿入される。
【0024】
本発明はまた、式Iの化合物の治療的に有効な量を含む薬学的組成物を経口投与または患者の罹患耳領域(例えば、耳の鼓膜または外耳道)に局所投与することによって、患者の耳感染症を治療または予防する方法および組成物を特徴とする。本発明の組成物および方法は、手術の結果生じる感染症を治療または予防するためにも使用することができる。
【0025】
本発明はまた、患者の感染症を軽減することができる用量が投与される、式Iの化合物および薬学的に許容される賦形剤を含有する、患者の耳に局所投与するのに好適な薬学的組成物を特徴とする。本発明によると、式Iの化合物は、0.001%〜5%重量/容量(w/v)、好ましくは、0.01%〜3%w/v、さらに好ましくは、0.1%〜1%w/vまたは最も好ましくは、0.1%〜0.4%w/vの量であってもよい。式Iの化合物はまた、患者の耳に挿入するのに好適な多孔性媒体(例えば、スポンジ、ガーゼ、綿またはヒドロセルロースなどのイヤーウィック(ear wick)に含浸されてもよい。望ましい場合には、組成物は1つまたは複数の透過性増強剤(例えば、アルコール、ポリオール、スルホキシド、エステル、ケトン、アミド、オレエート、界面活性剤、アルカン酸、ラクタム化合物、アルカノールまたはそれらの混合物)を含んでもよい。
【0026】
別の局面において、本発明はまた、上記の組成物を使用して患者の耳感染症の発症を治療または予防する方法を特徴とする。式Iの化合物は、液滴によってまたは化合物を含浸した多孔性媒体を外耳道から鼓膜まで挿入することによって感染した耳に投与することができる。本発明の方法および組成物を使用して治療することができる耳感染症には、中耳炎および外耳炎が挙げられる。治療の可能性のある種類の中耳炎には、例えば、急性中耳炎、滲出性急性中耳炎および慢性中耳炎が挙げられる。外耳炎の種類には、急性外耳炎、慢性外耳炎および悪性外耳炎が挙げられる。
【0027】
本発明の化合物はまた、中耳炎(例えば、インフルエンザ菌(H. influenza)、M. カタラーリス(M. catarhalis)またはS. ニューモニエ(S. pneumoniae)の感染症)または外耳炎(例えば、S. インターメディウス(S.intermedius)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、プロテウス種(Proteus spp.)または大腸菌(E. coli)の感染症)に関連する細菌感染症を治療または予防するために耳(例えば、耳の鼓膜または外耳道)に投与されることもできる。
【0028】
本発明の方法および組成物はまた、鼓室形成術、あぶみ骨切除術、腫瘍切除または人工内耳術などの耳の手術手技に関連する感染症に治療に有用である。組成物はまた、耳感染症を生じる可能性のある治療または状態の前に予防的に使用することもできる。従って、式Iの化合物を含有する組成物は、外科的介入(前または後)の少なくとも7日以内に、外科的介入が実施される耳領域に適用することができる。外耳炎罹患患者を治療する場合には、患者の耳に酢酸溶液を投与することに関係する酸性化治療も実施することができる。
【0029】
典型的には、患者は、0.001%〜5%w/v、好ましくは、0.01%〜3%w/v、さらに好ましくは、0.1%w/v〜1%w/vまたは最も好ましくは、0.1%〜0.4%w/vの総量の本発明の化合物の1〜4滴が投与される。組成物は毎日(例えば、1日に1回、2回、3回または4回)またはさらに少ない頻度(例えば、2日に1回または1週間に1回もしくは2回)で投与してもよい。治療は1〜21日間、望ましくは1〜14日間または場合によっては3〜7日間であってもよい。抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤またはステロイド)、麻酔薬、亜鉛塩または他の抗菌剤などの追加の治療薬を本発明の化合物と共に投与することもできる。非ステロイド性抗炎症剤には、例えば、デトプロフェン(detoprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメエート(mechlofenameate)、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメオン(nabumeone)、ナプロキセンナトリウムオキサプロジン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、サリチル酸コリン、サルセート(salsate)、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール、アセトアミノフェンおよびシュードエフェドリンが挙げられ、ステロイドには、例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、フルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン(flurandrenolone)アセトニドおよびフルオロメトロンが挙げられる。本発明による麻酔薬は、例えば、ベンゾカイン、ブタンベン(butamben)ピクレート、テトラカイン、ジブカイン、プリロカイン、エチドカイン、メピバカイン、ブピビカイン(bupivicaine)およびリドカインであってもよい。亜鉛塩は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、炭酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、二酢酸亜鉛(zinc diacetate)三水和物、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、チタン酸亜鉛、テトラフルオロホウ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛およびグリシン酸亜鉛であってもよく、本発明による抗菌剤には、例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、アモキシリン、メトロニダゾール、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフマトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アストレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソミシン、ダイベカリン(dibekalin)、イセパマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、テイコプラニン、キヌプリスチンおよびダルフォプリスチン、スルファニルアミド、パラ-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファタリジン、リネゾリド、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン(perfloxacin)、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲサイクリン、AZD2563またはトリメトプリムが挙げられる。これらの追加の治療薬は、式Iの化合物と同じまたは異なる薬学的組成物に存在してもよい。治療薬が異なる薬学的組成物に存在する場合には、異なる投与経路を使用してもよい。式Iの化合物および第2の治療薬は、例えば、互いの24時間以内に投与してもよく、抗炎症剤は、例えば、経口または静脈内、筋肉内もしくは皮下注射によって投与してもよい。
【0030】
局所投与される本発明の化合物を含有する組成物の効力を増加するためには、患者の感染した耳において少なくとも1日1回かつ本発明の化合物の投与の少なくとも1時間前に壊死組織片および肉芽組織の量を低下させることが望ましい。壊死組織片は、例えば、吸引、過酸化水素を含有する溶液による洗浄、焼灼または微小器具および顕微鏡を使用する手動技法によって除去することができる。感染した耳の肉芽組織の量の低下は、焼灼またはステロイドの投与によって実施することができる。
【0031】
本発明はまた、(i)耳感染症のある患者を治療するのに有効な量の式Iの化合物および(ii)患者の耳に化合物を投与するための取扱説明書を含有する薬学的パックを特徴とする。本発明はまた、式Iの化合物および耳への局所投与に好適な薬学的賦形剤を含有する組成物を特徴とする。望ましい場合には、耳に組成物を適用するためのアプリケーターも含むことができる。望ましくは、組成物は、0.001%〜5%重量/容量(w/v)、好ましくは、0.01%〜3%w/v、さらに好ましくは、0.1%〜1%w/vまたは最も好ましくは、0.1%〜0.4%w/vの量で式Iの化合物を含有し、少なくとも1日、3日間、5日間、7日間、10日間、14日間または21日間治療するのに十分な量で存在する。透過性増強剤が添加されてもよい(アルコール、ポリオール、スルホキシド、エステル、ケトン、アミド、オレエート、界面活性剤、アルカン酸、ラクタム化合物、アルカノールおよびそれらの混合物)。
【0032】
本発明はまた、ピロリ菌(H. pylori)の感染に関連する慢性胃炎、胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍を治療するまたは患者のその疾病または感染症を予防する方法を特徴とする。方法は、患者を治療するのに有効な量の式Iの化合物を患者に、例えば経口により投与する段階を含む。化合物は、通常、0.1〜1000 mg/日(望ましくは、約1〜100 mg/日、さらに望ましくは約1〜50 mg/日、およびよりさらに望ましくは約1〜25 mg/日)で投与される。化合物は毎日(例えば、1日に1回、2回、3回または4回)または少ない頻度(例えば、2日に1回または週に1回もしくは2回)投与してもよい。治療は1〜21日、望ましくは1〜14日または場合によっては3〜7日であってもよい。望ましい場合には、本発明の化合物はプロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール、パントプラゾールおよびロベプラゾール(robeprazole))および/またはビスマス製剤(例えば、コロイド状次クエン酸ビスマスおよび次サリチル酸ビスマス)と共に投与してもよい。
【0033】
本発明はまた、(i)患者のピロリ菌の感染に関連する慢性胃炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍を治療するのに有効な量の式Iの化合物;および(ii)患者に化合物を投与するための取扱説明書を含む薬学的パックを特徴とする。望ましくは、化合物は、0.1〜1000 mg(例えば、1〜50 mgまたは5〜50 mg)の単位量で存在し、少なくとも1日、3日間、5日間、7日間、10日間、14日間または21日間治療するのに十分な量で存在する。パックは、任意で、プロトンポンプ阻害剤および/またはビスマス製剤を含んでもよい。一態様において、式Iの化合物は、プロトンポンプ阻害剤および/またはビスマス製剤を含有する薬学的組成物の形態である。
【0034】
本発明はまた、抗生物質関連細菌性下痢もしくはC. ディフィシル(C. difficile)感染症の患者を治療するまたは患者のその疾病もしくは感染症を予防する方法を特徴とする。方法は、患者を治療するのに有効な量の式Iの化合物を患者に経口投与する段階を含む。化合物は、通常、約0.1〜1000 mg/日(望ましくは、約1〜100 mg/日、さらに望ましくは約1〜50 mg/日、およびよりさらに望ましくは約1〜25 mg/日)で投与される。化合物は毎日(例えば、1日に1回、2回、3回または4回)または少ない頻度(例えば、2日に1回または週に1回もしくは2回)投与してもよい。治療は1〜21日、望ましくは1〜14日または場合によっては3〜7日であってもよい。一態様において、本発明の化合物は、5〜100 mgの初回量が投与され、次にその後1〜50 mgが3〜7日投与される。単回投与(例えば、5〜50 mgの用量)を本発明の方法において使用することもできる。望ましい場合には、式Iの化合物は、第2の抗生物質(例えば、メトロニダゾールまたはバンコマイシン)を同時または逐次的に投与することができる。
【0035】
本発明はまた、(i)抗生物質関連細菌性下痢もしくはC. ディフィシル感染症の患者を治療するのに有効な量の式Iの化合物および(ii)C. ディフィシル感染症を治療または予防するために患者に化合物を投与するための取扱説明書を含む薬学的パックを特徴とする。望ましくは、化合物は1〜1000 mg(例えば、1〜50 mgまたは5〜50 mg)の単位量であり、少なくとも1日、3日間、5日間、7日間、10日間、14日間または21日間治療するのに十分な量で存在する。
【0036】
本発明は、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)感染症の患者を治療する方法を特徴とする。方法は、患者を治療するのに有効な量の式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。一態様において、患者は、化合物を単回経口用量として投与される。
【0037】
本発明はまた、(i)トラコーマ病原体(C. trachomatis)または淋菌(N. gonorrhoeae)感染症の患者を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単回経口用量;および(ii)患者に単回経口用量を投与するための取扱説明書を含む薬学的パックを特徴とする。望ましくは、用量は0.1〜100 mg(例えば、1〜50 mgまたは5〜25 mg)の量である。
【0038】
本発明はまた、潜在期を確立することができる細菌によって生じる細菌感染症に関連する慢性疾病患者を治療する方法を特徴とする。本発明の方法は、細菌感染症の潜在期を治療するのに十分な期間にわたって、十分な量の式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。慢性疾病は炎症性疾病であってもよい。炎症性疾病の例には、喘息、冠動脈疾病、関節炎、結膜炎、鼠径リンパ肉芽腫症(LGV)、子宮頸管炎および卵管炎が挙げられるが、それに限定されるわけではない。慢性疾病は自己免疫(例えば、全身性エリテマトーデス、糖尿病または移植片対宿主病)であってもよい
【0039】
本発明はまた、(i)式Iの化合物および(ii)増殖型の細菌に有効である第2の抗生物質を患者に投与することによって増殖型および非増殖型を有する細菌に感染していると診断された患者を治療する方法を特徴とし、2つの抗生物質は、併用して患者を効果的に治療する量および期間にわたって投与される。関連する局面において、本発明は、式Iの化合物を投与することによって、持続的な細菌感染に関連する慢性疾患を有する患者を治療する方法を特徴とする。
【0040】
上記の局面のいずれかの好ましい態様において、持続的な細胞内細菌感染症は以下の1つによって生じる:クラミジア種(Chlamydia spp.)(例えば、トラコーマ病原体、C.ニューモニエ、C.シッタシ(C. psittaci)、C. スイス(C. suis)、C. ペコルム(C. pecorum)、C. アボルタス(C. abortus)、C. カビエ(C. caviae)、C. フェリス(C. felis)、C. ムリダラム(C. muridarum))、N. ハルトマネラエ(N. hartmannellae)、W. コンドロフィラ(W. chondrophila)、S. ネゲベンシス(S. negevensis)またはP. アカンタメーバ(P. acanthamoeba)。
【0041】
細菌感染症を治療するのに十分な時間は、1週間〜1年の範囲であるが、適宜、個々の患者の生涯まで延長されてもよい。さらに好ましい態様において、治療期間は少なくとも30日、少なくとも45日、少なくとも100日または少なくとも180日である。最終的には、細菌感染が検出されないような期間に治療を延長することが最も望ましい。
【0042】
式Iの化合物は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)およびバンコマイシン耐性腸球菌などの薬剤耐性グラム陽性球菌に有用であり、市中肺炎、上気道および下気道感染症、皮膚および軟部組織感染症、院内肺感染症、骨および関節感染症ならびに他の細菌感染症の治療に有用である。
【0043】
本発明の化合物および方法は、例えば、気道感染症、急性感染性中耳炎、、細菌性肺炎、尿路感染症、併発(complicated)感染症、非併発(noncomplicated)感染症、腎盂腎炎、腹腔内感染症、深部膿瘍、細菌性敗血症、皮膚および皮膚組織感染症、軟部組織感染症、骨および関節感染症、中枢神経系の感染症、菌血症、創傷感染、腹膜炎、髄膜炎、火傷の後の感染症、尿生殖路感染症、消化管感染症、骨盤炎症性疾病、心内膜炎および他の血管内感染症を治療するために使用することができる。
【0044】
本発明の化合物および方法はまた、細菌感染に関連する疾病を治療するために使用することができる。例えば、細菌感染は、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病、喘息、肝硬変、乾癬、髄膜炎、嚢胞性線維症、癌または骨粗鬆症 を生じる炎症を生じることがある。従って、本発明はまた、上記に掲載する細菌感染に関連する疾病を治療する方法を特徴とする。
【0045】
本発明の方法は、エシェリキア種(Escherichia spp.)、エンテロバクター(Enterobacter spp.)、腸内細菌科種(Enterobacteriaceae spp.)、クレブシエラ(Klebsiella spp.)、セラチア種(Serratia) spp.、シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、アシネトバクター種(Acinetobacter spp.)、バシラス種(Bacillus spp.)、ミクロコッカス種(Micrococcus spp.)、アルスロバクター種(Arthrobacter spp.)、ペプトストレプトコッカス種(Peptostreptococcus spp.)、スタフィロコッカス種(Staphylococcus spp.)、エンテロコッカス種(Enterococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、ヘモフィルス種(Haemophilus spp.)、ナイセリア種(Neisseria spp.)、バクテロイデス種(Bacteroides spp.)、シトロバクター種(Citrobacter sp..)、ブランハメラ種(Branhamella spp.)、サルモネラ種(Salmonella spp.)、シゲラ種(Shigella spp.)、プロテウス種(Proteus spp.)、クロストリジウム種(Clostridium spp.)、エリジペロスリックス種(Erysipelothrix spp.)、リステリア種(Listeria spp.)、パスツレラ種(Pasteurella spp.)、ストレプトバシラス種(Streptobacillus spp.)、スピリルム種(Spirillum spp.)、紡錘菌スピロヘータ種(Fusospirocheta spp.)、トレポネーマ種(Treponema spp.)、ボレリア種(Borrelia spp.)、放線菌種(Actinomycetes spp.)、マイコプラズマ種(Mycoplasma spp.)、クラミジア種(Chlamydia spp.)、リケッチア種(Rickettsia spp.)、スピロヘータ種(Spirochaeta spp.)、レジオネラ種(Legionella spp.)、マイコバクテリア種(Mycobacteria spp.)、ウレアプラズマ種(Ureaplasma spp.)、ストレプトマイセス種(Streptomyces spp.)およびトリコモラス種(Trichomoras spp.)などの種々の属の細菌の感染症を治療または予防するために使用することができる。従って、本発明は、特に上記の属に属する細菌による感染症を治療する方法を特徴とする。
【0046】
本発明の方法により治療することができる特定のグラム陽性細菌感染症には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、エンテロコッカス フェーカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faesium)、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、他のストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)および他のクロストリジウム種(Clostridium spp.)による感染症が挙げられる。
【0047】
多剤耐性株の細菌を本発明の方法により治療することができる。耐性株の菌には、ペニシリン耐性、メチシリン耐性、キノロン耐性、マクロライド耐性および/またはバンコマイシン耐性細菌科部が挙げられる。本発明の方法を使用して治療される多剤耐性細菌感染症には、ペニシリン耐性、メチシリン耐性、マクロライド耐性、バンコマイシン耐性および/またはキノロン耐性の肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae);ペニシリン耐性、メチシリン耐性、マクロライド耐性、バンコマイシン耐性および/またはキノロン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);ペニシリン耐性、メチシリン耐性、マクロライド耐性、バンコマイシン-および/またはキノロン耐性化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes);ペニシリン耐性、メチシリン耐性、マクロライド耐性、バンコマイシン耐性および/またはキノロン耐性腸球菌が挙げられる。
【0048】
本発明はまた、患者の非増殖方細菌を根絶するのに十分な量の式Iの化合物を、根絶するのに十分な期間にわたって患者に投与することによって、第1の抗生物質による治療によって患者において根絶されない非増殖型細菌を根絶する方法を特徴とする。
【0049】
本発明の化合物は、ウイルス感染症を治療または予防するためにも使用することができる。
【0050】
別の局面において、本発明は、ジアステレオマーおよびエナンチオマー、塩、溶媒和物および多形などの異性体を含む任意の薬学的に許容される形態の本明細書に記載する化合物を含む薬学的組成物を特徴とする。種々の態様において、組成物は本発明の化合物および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む。
【0051】
別の局面において、本発明は、本発明の化合物および抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗菌剤または抗原虫剤またはその組み合わせの1つまたは複数を同時-投与する段階を含む、動物の微生物感染症を治療する方法を特徴とする。
【0052】
上記の局面のいずれかにおいて、望ましい化合物は以下の式Iの化合物:
(a)AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(b)AがOHであり、XがHであり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(c) AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(d) AがOHであり、XがHであり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(e) AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;および
(f) AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物
を含む。
【0053】
本明細書において使用する「アルキル」および接頭語「アルク(alk)」は直鎖状および分岐鎖状の飽和または不飽和基ならびに環状基、すなわちシクロアルキルおよびシクロアルケニル基を含む。特に明記しない限り、非環状アルキル基は炭素原子数1〜6である。環状基は単環式または多環式であってもよく、好ましくは、環の炭素原子数が3〜8である。
【0054】
例示的な環状基には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびアダマンチル基が挙げられる。アルキル基は1つまたは複数の置換基で置換されていてもまたは未置換であってもよい。例示的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン、アルキルシリル、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキルおよびカルボキシル基が挙げられる。
【0055】
「アリール」は炭素環式芳香環または環系を意味する。特に明記しない限り、アリール基は炭素数6〜18である。アリール基の例には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基およびインデニル基が挙げられる。
【0056】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環状ヘテロ-原子(例えば、O、S、Se、NまたはP)を含有する芳香環または環系を意味する。特に明記しない限り、ヘテロアリール基は炭素数1〜9である。ヘテロアリール基には、フラニル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、オキサトリアゾリル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドール基、インダゾリル基、インドリジニル基、ベンズイソキサゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、シノリニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、フェナントロリニル基、プリニル基およびカルボゾリル基が挙げられる。
【0057】
「複素環」は、少なくとも1つの環状ヘテロ原子(例えば、O、S、Se、NまたはP)を含有する非芳香環または環系を意味する。特に明記しない限り、複素環基は炭素数2〜9である。複素環基には、例えば、ジヒドロピロリル基、テトラヒドロピロリル基、ピペラジニル基、ピラニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基、ジヒドロチオエフェン基、テトラヒドロチオフェン基およびモルホリニル基が挙げられる。
【0058】
アリール、ヘテロアリール、または複素環基は、未置換であってもまたはC1-C6アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、トリフルオロメチル、C1-C6アシル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ニトリル、C1-C6アルコキシカルボニル、アルカリル(ここで、アルキル基は炭素原子数1〜4である)およびアルクヘテロアリール(ここで、アルキル基は炭素原子数1〜4である)からなる群より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0059】
「アルコキシ」は、式中、Rはアルキル基である、式-ORの化学的置換基を意味する。「アリールオキシ」は、式中、R'はアリール基である、式-OR'の化学的置換基を意味する。「アルカリル」は、式中、Rはアルキル基であり、R'はアリール基である、式-RR'の化学的置換基を意味し、「アルクヘテロアリール(alkheteraryl)」は、式中、Rはアルキル基であり、R''はヘテロアリール基である、式RR''の化学的置換基を意味する。
【0060】
「ハライド」または「ヘロゲン」または「ハロ」は臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素を意味する。
【0061】
「非隣接O、S、またはNR」は、ヘテロ原子置換基が、別のヘテロ原子に結合している飽和炭素に結合していない、結合中の酸素、硫黄または窒素ヘテロ原子置換基を意味する。
【0062】
炭素のキラリティーが特定されていない構造の代表例では、その立体中心のどちらのキラル体も可能であることが当業者に考えられるべきである。
【0063】
「ベンゾキサジノリファマイシン」は、式中、WはOである、式(A):

によって記載される化合物を意味する。「ベンズチアジノリファマイシン」は、式中、WはSである、式(A)によって記載される化合物を意味する。「ベンズジアジノリファマイシン」は、式中、WはN-Rである、式(A)によって記載される化合物を意味する。ベンズジアジノリファマイシンでは、Rは例えばHまたはアルキル置換基であってもよい。Rがアルキル置換基である場合には、化合物の命名においてN'-R(例えば、N'-メチル)と言われる。置換基を含有するベンゾキサジノリファマイシン、ベンズチアジノリファマイシンおよびベンズジアジノリファマイシンアナログは、式(A)に提供される番号により番号づけされる。「25-O-デアセチル」リファマイシンは、25位のアセチル基が離脱されているリファマイシンアナログを意味する。この位置がさらに誘導体化されているアナログは、誘導化基の命名が完全な化合物名の「置換基」と交換されている、25-O-デアセチル-25-(置換基)リファマイシン」といわれる。例えば、25-アセチルオキシ基がカルボネート基に変換しており、カルボネートの他方の側が2,3-ジヒドロキシプロピル基に結合しているベンゾキサジノリファマイシンアナログは「25-O-デアセチル-25-(2",3"-ジヒドロキシプロピルカルボノキシ)-ベンゾキサジノリファマイシン」といわれる。
【0064】
「アテローム性動脈硬化症」は、動脈の内層に平滑筋細胞、免疫細胞(例えば、リンパ球、マクロファージまたは単球)、脂質産物(例えば、リポタンパク質またはコレステロール)、細胞の老廃物、カルシウムまたは他の物質の蓄積が進行して、血管が狭窄または閉塞し、アテローム性動脈硬化症関連疾病が発症することを意味する。アテローム性動脈硬化症は、典型的には、大型および中型の動脈内に発症し、しばしば動脈内の慢性炎症状態によって特徴づけられる。
【0065】
「アテローム性動脈硬化症関連疾病」は、アテローム性動脈硬化症によって生じるまたはアテローム性動脈硬化症に関連する任意の疾患を意味する。典型的には、冠動脈のアテローム性動脈硬化症は、通常、冠動脈疾病、心筋梗塞、冠動脈血栓症および狭心症を生じる。中枢神経系に供給する動脈のアテローム性動脈硬化症は、卒中および一過的脳虚血を誘発することが多い。抹消循環では、アテローム性動脈硬化症は間欠性跛行および壊疽を生じ、四肢の生存を危うくすることがある。内蔵循環の動脈のアテローム性動脈硬化症は腸間膜虚血を生じることがある。アテローム性動脈硬化症は腎臓に直接影響することもある(例えば、腎動脈狭窄)。
【0066】
アテローム性動脈硬化症関連疾病が治療される患者は、医療担当者がこのような疾病を有すると診断した患者である。診断は任意の好適な手段によってもよい。全身炎症マーカーを測定することによってアテローム性動脈硬化症を診断するための方法は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,040,147号に記載されている。診断およびモニタリングは、心電図、胸部X-線、心エコー、心臓カテーテル法、超音波(血管壁の厚さを測定するため)またはCPK、CPK-MB、ミオグロブリン、トロポニン、ホモシステインもしくはC-反応性タンパク質の血中レベルの測定を使用してもよい。アテローム性動脈硬化症関連疾病の発症が予防される患者は、このような診断を受けていない患者である。これらの患者に同じ試験(心電図、胸部X-線等)を実施してもまたは試験することなく、1つまたは複数のリスクファクター(例えば、家族歴、高血圧、糖尿病、高コレステロールレベル)の存在により高リスクの患者と同定されていてもよいことを当業者は理解している。従って、本発明の化合物の予防的な投与は、アテローム性動脈硬化症関連疾病の発症を予防していると考えられる。
【0067】
疾病の1つまたは複数の試験(例えば、上記のもののいずれか)が、患者の状態が改善されたまたは患者のリスクが低下したことを示す場合には、アテローム性動脈硬化症関連疾病は治療または予防されている。一例において、C-反応性タンパク質の正常レベルへの低下は、アテローム性動脈硬化症関連疾病が治療または予防されたことを示す。
【0068】
治療または予防を評価する別の手段には、C.ニューモニエの感染の存在の判定が挙げられる。任意の好適な方法を使用することができる(例えば、血中の単球またはアテローム自体(例えば、脂肪線条に存在するマクロファージまたは泡沫細胞)におけるC.ニューモニエの測定、または患者の生物試料中のC.ニューモニエ DNA、RNAもしくはC.ニューモニエに対する抗体の検出)。
【0069】
「壊死組織片」は、耳感染症の患者の感染した耳の粘液性浸出液または落屑表皮を意味する。
【0070】
「イヤーウィック」は、スポンジ、綿、ガーゼ、圧縮ヒドロキシセルロースまたは感染した耳領域への本発明の化合物の透過性を増加するために使用される任意の他の材料を意味する。イヤーウィックは、典型的には、直視下で耳管内に挿入される。その存在は、耳管にガーゼ芯で点耳剤を適用し、耳管の皮膚に溶液を接触させておき、耳管皮膚に圧力を適用する助けとなる。
【0071】
「肉芽組織」は、創傷の初期のフィブリン塊と代わる血管に富んだ組織をいう。血管化は、取り囲んでいる脈管構造からの毛細血管内皮の内殖の結果である。組織はまた、線維芽細胞および白血球も豊富である。
【0072】
「抗生物質関連細菌性下痢症」は、抗生物質治療が消化管の微生物叢のバランスを乱し、C.ディフィシレのような病原性生物が繁茂するのを許している状態を意味する。これらの生物が下痢をもたらす。抗生物質関連細菌性下痢症には、C.ディフィシレ関連性下痢症(CDAD)および偽膜性大腸炎のような状態が含まれる。
【0073】
儀膜性全腸炎または腸炎としても公知の「儀膜性大腸炎」は、儀膜性物質(フィブリン、粘液、壊死上皮細胞および白血球を含む)の形成および便への流入を伴う小腸および大腸の粘膜の炎症を意味する。
【0074】
「自己免疫病」は、自己抗原および個人自身の組織に対する免疫反応によって生じる疾病を意味する。自己免疫病の例には、全身エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症およびグレーブス病が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0075】
「細菌」は、通常、細胞分裂によって増殖する単細胞の原核細胞を意味する。
【0076】
「細菌感染」は、病原性細菌による宿主動物への侵入を意味する。例えば、感染は、通常動物の生体内もしくは生体表面に存在する細菌の過剰増殖または通常動物内もしくは動物表面に存在しない細菌の増殖を含んでもよい。さらに一般的に、細菌感染は、細菌集団の存在が宿主動物に障害となっている任意の状況であってもよい。従って、過剰量の細菌集団が動物生体内もしくは動物生体表面に存在する場合、または細菌集団の存在が動物の細胞もしくは他の組織の障害になっている場合には、動物は細菌感染を「こうむっている」。
【0077】
「慢性疾病」は、急速に終結する急性疾病とは異なり、長い間続く常習的なまたは進行が遅い疾病を意味する。慢性疾病は急激な発症によりまたはゆっくり潜行的に開始することがあるが、数週間、数ヶ月または数年持続する傾向があり、終わりははっきりせず、あいまいである。
【0078】
「免疫無防備状態」は、感染菌、例えば、ウイルス、細菌、真菌および原虫による抗原提示に対する正常な細胞性または液性防御を上昇させる能力の減弱または低下を示す人を意味する。免疫無防備状態であると考えられる人には、栄養失調患者、外科手術および骨髄移植を受けた患者、化学療法または放射線療法を受けた患者、好中球減少患者、HIV感染患者、外傷患者、火傷患者、骨髄異形成症候群によって生じるものなどの慢性または難治性感染症患者ならびに高齢者が挙げられ、それらは全て免疫系が減退している。
【0079】
「炎症性疾病」は、(1)血流の増加を生ずる血管内径の変化、(2)血漿タンパク質および白血球の循環系からの流出を可能にする微小血管の構造的変化、ならびに(3)微小循環からの白血球の遊出および傷害部位への蓄積によって特徴付けられる疾病状態を意味する。急性炎症の典型的な徴候は紅斑、浮腫、圧痛(痛覚過敏)および疼痛である。慢性炎症性疾病は、単核細胞(例えば、マクロファージ、リンパ球および血漿細胞)の浸潤、組織破壊および線維症によって特徴づけられる。炎症性疾病の限定するものではない例には、喘息、冠動脈疾病、関節炎、結膜炎、鼠径リンパ肉芽腫症および卵管炎が挙げられる。
【0080】
「細胞質内封入」は、細胞壁のない複製中の網様体(RB)を意味する。このような封入は、例えば、哺乳類細胞系統のクラミジア試料単離および増殖、次に固定ならびにギムザ染色、ヨウ素染色および免疫蛍光を含む種々の染色方法の1つを使用する染色によって検出することができる。これらの封入は典型的な丸いまたは卵形の外観を有する。
【0081】
「持続的な細菌感染」は、抗菌剤を使用する標準的な治療法により完全に根絶されない感染症を意味する。持続的な細菌感染症は、感染の潜在または潜伏期を確立することができる細菌によって生じ、患者由来の細菌を培養し、抗菌剤の存在下においてインビトロにおいて細菌の生存度を証明するまたは患者における抗菌治療の失敗を判定することによって分類することができる。本明細書において使用する患者の持続感染には、抗菌治療を受けた後の同一種(例えば、トラコーマ病原体)からのクラミジア感染の2年またはそれ以上の期間における3回またはそれ以上の任意の再発または上記の方法による患者の感染の潜在期の検出が挙げられる。インビボにおける持続感染は、抗菌剤による治療後に細菌感染している細胞における16S rRNA転写物の存在を証明するために逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)の使用により同定することができる(Antimicrob. Agents Chemother. 12: 3288-3297, 2000)。
【0082】
「複製期」は、RBの存在によって特徴付けられる細菌細胞周期を意味する。RBはクラミジア(Chlamydia)の活発に複製する型である。それは細胞壁を持たず、細胞の封入体として検出される。
【0083】
本明細書において使用する「治療する」という用語は、予防的および/または治療的目的のために薬学的組成物を投与または処方することをいう。「疾病を予防する」ことは、まだ病気でないが、特定の疾病に罹患しやすいまたはそのリスクにある患者の予防的な治療をいう。「疾病を治療する」ことまたは「治療的治療」のための使用は、患者の状態を改善するために疾病にすでに罹患している患者に治療を与えることをいう。従って、特許請求の範囲および態様において、治療することは、治療的または予防的目的のための動物への投与である。疾病の1つまたは複数の試験(例えば、以下に記載するもののいずれか)が、患者の状態が改善されたことを示す場合には、耳の感染症は治療されている。感染の検出は、患者の含気性耳鏡検査または患者の炎症関連症状(例えば、鼓膜の炎症、鼓膜の発赤、耳の中の流体の存在)の軽減によって実施することができる。症状の軽減はまた、例えば、聴力損失からの回復をチェックするためのオーディオグラムによって判定することができる。本発明の化合物の予防的な投与は耳の感染症の発症を予防すると考えられる。
【0084】
「有効量」は、感染症を治療または予防するのに必要な化合物の量を意味する。微生物感染によって生じるまたはそれに起因する状態の治療的または予防的治療のために本発明を実施するために使用する作用化合物の有効な量は、投与方法、被験者の年齢、体重および全身の健康状態に依存して変わる。最終的には、担当医または獣医が適当な量および投与法を決定する。このような量は「有効な」量といわれる。
【0085】
「微生物感染」という用語は、病原性微生物による宿主動物の侵入をいう。これは、動物の生体内または生体表面に通常に存在する微生物の過剰増殖を含む。さらに一般的には、微生物感染は、微生物集団の存在が宿主動物に障害となっている任意の状況であってもよい。従って、過剰な数の微生物集団が動物の生体内もしくは生体表面に存在する場合または微生物の集団の存在が動物の細胞もしくは他の組織に障害となっている場合には、動物は微生物感染症に「かかっている」。
【0086】
「微生物」という用語は、例えば、細菌、真菌、酵母、ウイルスおよび原虫を含む。
【0087】
「細胞内病原体」は、任意の通性または偏性細胞内微生物による感染を意味する。
【0088】
「偏性細胞内病原体」は、複製するために細胞内位置(例えば、宿主細胞)を使用する必要がある微生物を意味する。
【0089】
「通性細胞内病原体」は、細胞内位置(例えば、宿主細胞)内で生存することができるが、複製するために細胞内環境を必要としない微生物を意味する。
【0090】
「投与」または「投与する」は、所定の用量の薬学的組成物を動物に与える方法であって、例えば、局所的、経口、静脈内、腹腔内または筋肉内方法をいう。好ましい投与方法は、種々の要因、例えば、薬学的組成物の成分、潜在的または実際の疾病の部位および疾病の重症度に応じて異なってもよい。
【0091】
「動物」、「被験者」および「患者」という用語は、具体的に、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコおよびトリだけでなく、多数の他の種を含んでもよい。
【0092】
詳細な説明
本発明者らは新規リファマイシンアナログおよび種々の微生物感染症を治療または予防するためのそれらの用途を発見した。本発明の化合物は、
式中、
(a)Aは、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、O-(C1-C4アルカリル)、O-(C6-C12アリール)、O-(C1-C9ヘテロアリール)、またはO-(C1-C4アルクヘテロアリール)であり;
Wは、式中、R1はH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、O、S、またはNR1であり;
Xは、式中、R2は、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、HまたはCOR2であり、各アルキル炭素は1つだけの酸素原子に結合しており;
Yは、式中、R3はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、H、Hal、またはOR3であり;
R4は、式中、R5は、R7に関連して以下に規定されており、かつR6はH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R9はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5またはNR5R6であり;
Zは、式中、nは0または1であり、R7およびR5はともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し、R8はH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R10はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、またはR8は存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成され、R11およびR12の各々は、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12は存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される、(CR11R12)nNR7R8である;
または
(b)Aは、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、O-(C1-C4アルカリル)、O-(C6-C12アリール)、O-(C1-C9ヘテロアリール)、またはO-(C1-C4アルクヘテロアリール)であり;
Wは、式中、R1はH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、O、S、またはNR1であり;
Xは、式中、R2は、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、HまたはCOR2であり、各アルキル炭素は1つだけの酸素原子に結合しており;
Zは、式中、R3はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、H、Hal、またはOR3であり;
R4は、式中、R5は、R7に関連して以下に規定されており、かつR6はH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリルC1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R9はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5またはNR5R6であり;かつ
Yは、式中、nは0または1であり、R7およびR5はともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し、R8はH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R10はC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、またはR8は存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成され、R11およびR12の各々は、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12は存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される、(CR11R12)nNR7R8である、式I:

またはその薬学的に許容される塩によって記載される。
【0093】
本発明者らは、微生物の増殖を予防、安定化もしくは阻止するまたは微生物を死滅させる方法を同定した。本発明の方法は、微生物または微生物が増殖しやすい部位に本発明の化合物を接触させることに関係する。本発明の化合物は、動物の微生物感染症を治療、安定化または予防するために使用することができる。本発明において、微生物または微生物が感染している部位(例えば、動物の生体内または生体表面の部位)に本発明の化合物を接触させる段階は、動物の微生物感染症を治療、安定化または予防するのに十分な量の化合物を動物に投与する段階を含む。関連する局面において、本発明は、このような微生物感染に関連する任意の疾病を治療する方法を特徴とする。
【0094】
本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症またはそれに関連する疾病、例えば、トラコーマ病原体または淋菌によって生じる性行為感染症、中耳炎および他の耳感染症、抗生物質起因性大腸炎、ピロリ菌の感染に関連する胃炎および潰瘍、グラム陽性菌感染症、市中肺炎、上気道および下気道感染症、皮膚および軟部組織感染症、骨および関節感染症、院内肺感染症、尿路感染症、腎盂腎炎、腹腔内感染症、菌血症、細菌性敗血症、創傷感染、腹膜炎、髄膜炎、火傷の後の感染症、骨盤炎症性疾病および慢性感染に関連する疾病を治療するために使用することができる。
【0095】
アテローム性動脈硬化症およびクラミジア感染に関連する他の疾病
生体液および/または組織の持続的なクラミジア感染の潜在期とヒトにおいてこれまで未知であった病因のいくつかの慢性疾病症候群の関連はWO98/50074に以前に報告された。今日まで、このような疾病には、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性大腸炎、間質性膀胱炎、線維筋痛、自律神経機能障害(神経媒介性低血圧);壊疽性膿皮症および慢性疲労症候群が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0096】
WO98/50074に記載されているように、いくつかの証拠により、クラミジアと広域的な炎症性疾病、自己免疫疾病および免疫不全疾病との関連が確立されている。これらには、(i)生体液および/または組織の持続的なクラミジア感染の潜在期と上記のいくつかの慢性疾病症候群の関連、(ii)アテローム性動脈硬化症とクラミジアの関連の報告されている証拠(Circulation, 96: 404-407, 1997)および(iii)クラミジア感染の潜在期によって確立される持続的感染が感染細胞および免疫系に与える影響の理解が挙げられる。従って、本発明は、本明細書に記載するリファマイシンアナログを使用して、必要としている個人の感染症の潜在期を治療することによって、自己免疫病、炎症性疾病および免疫無防備個人において生じる疾病などの持続的なクラミジア感染の潜在期に関連する慢性疾病を治療する方法を記載する。治療の進行は、本明細書に記載する診断試験を使用してクラミジアの有無を判定して評価することができる。治療対象の疾病に典型的に関連する状態および症状の身体的改善も評価することができる。これらの評価因子に基づいて、医師は抗菌治療を維持するまたは変更することができる。
【0097】
上記の検出方法によって患者がクラミジア感染であると証明される場合には、本明細書に記載する療法を慢性免疫疾病および自己免疫病の治療に使用することができる。これらの疾病には、慢性肝炎、全身性エリテマトーデス、関節炎、甲状腺炎(thyroidosis)、強皮症、糖尿病、グレーブス病、ベーチェット病および移植片対宿主病(移植片拒絶)が挙げられるが、それに限定されるわけではない。本発明の療法はまた、クラミジア種が因子または補因子である任意の疾患を治療するためにも使用することができる。
【0098】
従って、本発明は、本明細書に記載する検出方法によってクラミジア感染に関連することが証明される場合には、上記の免疫および自己免疫疾病以外の所定の範囲の疾患を治療するために使用することができる。例えば、多くが、敗血症症候群、悪液質、急性または慢性細菌感染によって生ずる循環虚脱およびショックを含むが、それに限定されるわけではない一次または二次症状として炎症を生ずる種々の感染症、HIVなどの細菌、ウイルスまたは真菌源による急性および慢性寄生虫病および/または感染病、AIDS(悪液質、自己免疫疾患、AIDSによる認知症および感染症)ならびにウェゲナー肉芽腫症を治療することができる。
【0099】
種々の炎症性疾病には、炎症過程を特徴づけると一般に認められているある特徴がある。これらには、微小血管系の開窓、血液要素の間質空間への漏洩および白血球の炎症部位への遊走が挙げられる。肉眼レベルでは、これは、通常、紅斑、浮腫、圧痛(痛覚過敏)および疼痛という良く知られている臨床徴候を伴う。動脈瘤、痔核、サルコイドーシス、慢性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの慢性炎症性病状ならびに播種性血管内凝固症候群、アテローム性動脈硬化症および川崎病などであるが、それに限定されるわけではない血管炎症性病状を含む慢性炎症性病状および血管炎症性病状などの炎症性疾病も本明細書に記載する方法による治療に好適である。本発明はまた、冠動脈疾患、高血圧、卒中、喘息、慢性肝炎、多発性硬化症、抹消神経障害、慢性または再発性咽頭炎、喉頭炎、気管気管支炎、慢性血管性頭痛(偏頭痛、群発性頭痛および緊張性頭痛を含む)および肺炎などの炎症性疾病を治療するためにも使用することができる。
【0100】
クラミジア感染に関連する場合の治療可能な疾患には、多発性硬化症および急性横断性脊髄炎などの脱髄性疾患を含むが、それに限定されるわけではない神経変性性疾患;皮質脊髄系の病変などの錐体外路および小脳疾患;基底核疾患または小脳疾患;ハンチントン舞踏病および老人性舞踏病などの運動過剰疾患;CNSドーパミン受容体を遮断する薬剤によって誘発されるものなどのなどの薬剤性運動疾患;パーキンソン病などの運動低下疾患;進行性核上(supranucleo)麻痺;小脳の無構造性(astructural)病変などの小脳疾患および脊髄小脳疾患;脊髄小脳変性症(脊髄性運動失調症、フリードライヒ失調症、小脳皮質変性症、多系統変性症(Mencel、Dejerine-Thomas、Shi-DragerおよびMachado Joseph));および全身性疾患(レフサム病、無βリポタンパク質血症、運動失調、毛細血管拡張症およびミトコンドリア多系統疾患);多発性硬化症、急性横断性脊髄炎などの脱髄性コア疾患;神経原性筋萎縮症などの運動単位の疾患(筋萎縮性側索硬化症、乳児脊髄性筋萎縮症および若年性脊髄性筋萎縮症などの前角細胞変性);アルツハイマー病;中年のダウン症候群;びまん性レビー小体病;レビー小体型の老年性認知症;ウェルニッケ-コルサコフ症候群;慢性アルコール依存症;クロイツフェルト-ヤコブ病;亜急性硬化性全脳炎、ハレロルデン-スパッツ(Hallerrorden-Spatz)病;ならびにボクサー認知症または任意のサブセットも挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0101】
悪性病状は、白血病(急性、慢性骨髄球性、慢性リンパ球性および/または骨髄異形成 (myelodyspastic)症候群);リンパ腫(悪性リンパ腫(バーキットリンパ腫または菌状息肉腫)などのホジキンおよび非ホジキンリンパ腫);癌(結腸癌など)およびそれらの転移癌;癌関連血管形成;乳児血管腫;ならびにアルコール性肝炎などであるが、それに限定されるわけではない腫瘍または他の悪性病変に関係することも認識されている。本明細書に記載する診断手法によってクラミジア感染に関連すると証明される場合には、眼血管新生、乾癬、十二指腸潰瘍および女性生殖管の血管形成も治療することができる。
【0102】
耳感染症
耳感染症は、典型的には、中耳または外耳に影響し、例えば、中耳炎、外耳炎および外科的介入によって生じる感染症が挙げられる。難聴などの耳感染症によって生じる多様な二次的な合併症により、このような状態の治療および予防は重要である。
【0103】
式Iの化合物の局所投与は、中耳炎または外耳炎などの耳の感染症を治療または予防する際に有効である。中耳炎または外耳炎の場合には、感染は、主に、インフルエンザ菌、M. カタラーリス、S. ニューモニエ、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)、S. インターメディウス(S. intermedius)、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)、黄色ブドウ球菌、S. カプラ(S. caprae)、S. オーリキュリス(S. auriculis)、S. カピティス(S. capitis)、S. ヘモリティス(S. haemolytis)、緑膿菌(P. aeroginosa)、P. ミラビリス(P. mirabilis)、P. vulgaris(P.ブルカリス)、E. フェーカリス(E. faecalis)または大腸菌によって生じる。式Iの化合物はこれらの耳感染症の各々を治療するために使用することができる。式Iの化合物は、例えば、外科的介入を実施した耳領域に局所的に投与してもよく、または別の方法として、化合物を耳の手術、非侵襲的耳手技もしくは他の種類の手術の前に予防的に患者の耳に投与してもよい。例示的な外科的手技には、例えば、蝸牛インプラント手術、鼓室形成術、中耳腔換気用チューブ挿入、腫瘍切除(例えば、胆脂腫)またはあぶみ骨全体摘出(stapedectomy)が挙げられる。化合物は、外科的介入を実施する耳領域に、例えば、外科的介入の7日、2日、1日、12時間、10時間、6時間、4時間、2時間、1時間または1時間より短い時間前後以内に投与することができる。組成物は一時的な状態の急性治療のために投与してもまたは慢性的に投与してもよい。
【0104】
式Iの化合物は毎日(例えば、1日1回、1日2回、1日3回または1日4回)または頻度少なく(例えば、2日に1回、または1週間に1回もしくは2回)投与してもよい。典型的には、患者は、化合物を含有する1〜4滴の溶液からなる量が投与される。化合物は、任意の好適な担体基剤中に任意の適当な量が含有されてもよく、一般に、組成物の総容量の0.001重量%(w/v)〜5重量%(w/v)、望ましくは0.01重量%(w/v)〜3重量%(w/v)、さらに望ましくは0.1重量%(w/v)〜1重量%(w/v)、よりさらに望ましくは0.1重量%(w/v)〜0.4重量%(w/v)の量で存在する。化合物は、局所投与に好適な剤形で提供される。従って、式Iの化合物を含有する組成物は溶液、エアゾール、ゲル、軟膏、ネブライザーまたは懸濁液の形態であってもよい。または、本発明の化合物は、含浸した多孔性媒体を鼓膜の外耳道に置くことによって投与してもよい。薬学的組成物は、一般に、従来の薬務に準じて製剤化することができる。
【0105】
耳洗浄
外耳道および感染した中耳の外側の組織は、粘液様浸出物または剥離した上皮で覆われていることが多い。局所的に適用される製剤は、一般に、これらの存在物質が除去されないと罹患組織に浸透することができないので、望ましくは、式Iの化合物を投与する前に耳の洗浄を実施する。耳の洗浄は、医療従事者、患者または任意の他の個人によって実施されてもよい。組織片の除去は、顕微鏡および微小器具の助けにより機械的に実施されてもよい。耳の洗浄はまた、過酸化物を含有する溶液を使用して実施されてもよい。過酸化物の濃度は、患者に大きな疼痛または不快を生じない最も高い濃度であるべきである。一例として、50%過酸化物および50%滅菌水の溶液を使用することができる。小型シリンジまたはバルブ型アスピレーターを使用して、30〜40 mLのこの溶液を外耳道に通して戦場することができる。洗浄液は、本発明の化合物を投与する前に排出される(例えば、5〜10分)。
【0106】
肉芽組織
肉芽組織は中耳および外耳道の内側部をしばしば塞ぎ、この蓄積の低下は耳の感染症の回復に有用である。肉芽組織は局所適用された抗菌剤が感染部位に浸透するのを妨害し、望ましくは肉芽組織の量は療法中に低下される。
【0107】
局所的な抗菌液滴は、感染を排除し、誘発性の刺激性炎症を除去することによって肉芽を低下させることができるが、肉芽組織の量は、当技術分野において公知の他の方法を使用して低下させることができる。例えば、局所的なステロイドは中耳肉芽の回復を促進することができ、それによって局所的に送達される抗生物質の浸透を改善することができる。
【0108】
焼灼も肉芽組織の量を低下し、その形成を少なくするために使用することができる。マイクロバイポーラ(microbipolar)焼灼は医療従事者によって適用されうる。例えば、硝酸銀を使用する化学的焼灼を、硝酸銀スティックの形態で感染している耳に適用してもよい。肉芽組織の切除が顕微鏡および微小器具を用いて医療従事者によって実施されてもよい。
【0109】
外耳道酸性化
外耳炎に罹患している患者では、耳の生理学的酸性を回復させるための外耳道の酸性化に関係する治療を実施することができる。罹患している耳に、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、酢酸アルミニウムまたは消毒用アルコールも含んでもよい、酢酸を含有する溶液を投与する。
【0110】
局所製剤
本発明による薬学的組成物は、患者の耳への局所投与のために製剤化することができる。耳感染症のある患者に、有効な量の本発明の化合物を溶液(例えば、液滴)、軟膏、ゲルまたはエアゾール(例えば、ネブライザー)によって投与することができる。組成物は、典型的には、1〜4滴の溶液もしくは懸濁液、または匹敵する量の軟膏、ゲルまたは他の固形もしくは半固形組成物を1日あたり1回、2回、3回またはそれ以上局所適用することによって罹患耳領域に投与される。多孔性媒体またはイヤーウィック(例えば、綿、ガーゼまたは圧縮ヒドロキシセルロース)も、感染耳領域への本発明の化合物の浸透を増加するために使用することができる。直視下で耳管に挿入されるイヤーウィックは、典型的には、耳管に点耳剤を染み込ませ、耳管の皮膚に溶液を接触させておき、耳管の皮膚に圧力を適用する助けとする乾燥スポンジである。イヤーウィックは1日目、2日目または3日またはそれ以上経過してから除去してもよく、適宜交換してもよい。または、イヤーウィック自体に本発明の化合物を含浸させてもよい。これらの製剤は、このような製剤を製造するための公知で従来の方法に従って製造することができる。
【0111】
生理的条件下において水に対する溶解度が高くない本発明の化合物について、溶解度を上昇させるために可溶化賦形剤を使用してもよい。可溶化は、水に不溶性または実質的に不溶性の物質を、この過程においてこれらの物質の化学構造を変化させないで、透明または乳白色の水溶液に変換することができる界面活性化合物による溶解度の改善を意味すると考えられる。この目的に使用される賦形剤は、ヒトに投与するのに安全であるものに制限される。典型的には、このような補助溶媒は、約0.01重量%〜2重量%のレベルが使用される。
【0112】
以下のクラスに属する化合物を含む、種々の可溶化賦形剤を本発明の化合物アナログの製剤化に使用することができる:ポリエトキシル化脂肪酸、PEG-脂肪酸ジエステル、PEG-脂肪酸モノエステル混合物およびジエステル混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール-オイルエステル交換性生物、ポリグリセリン化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステルとグリセロールエステルの混合物、モノグリセリドおよびジグリセリド、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステルまたはイオン性界面活性剤。このような賦形剤は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第60/385,532号に記載されている。
【0113】
耳局所製剤は粘度が異なってもよい。単純な水溶液の粘度より大きい粘度を本発明の組成物に提供するための粘度増強剤の使用は、耳内での滞在時間を延長するために望ましいことがある。このような粘度-構築剤には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたは当業者に公知の他の物質が挙げられる。このような物質は、典型的には、約0.01重量%〜2重量%のレベルが使用される。外耳道の正常な環境は酸性であるので、任意で、これらの製剤は酸性pHを維持するために緩衝剤を含んでもよい。しかし、pHが中性である中耳において治療が必要とされる場合には、pHは応じて調整することができる。
【0114】
耳製剤製品は、典型的には、マルチドーズ形態に包装される。従って、使用中の微生物汚染を防ぐために保存剤が望ましい。好適な保存剤には以下が挙げられる:ポリクオタニウム-1、塩化ベンzルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸または当業者に公知の他の物質。典型的には、このような保存剤は0.001重量%〜1.0重量%のレベルが使用される。
【0115】
耳組織の炎症を低減するために、本発明の化合物が鼓膜を介して中耳および内耳へ拡散することを促進するために透過性増強剤を使用してもよい。透過性増強剤は、薬物が皮膚から拡散して、組織および血流に流入する速度を増加するために薬理学的に活性な薬剤の皮膚への透過性を増加するために使用することができる。化学的な皮膚透過性増強剤は、角質層の物理化学的性質を可逆的に損傷または変更して、拡散抵抗を低下させることによって皮膚の透過性を増加する(Osborne DW, Henke JJ, Pharmaceutical Technology, November 1997, pp 58-86)。透過性増強剤の例には、以下が挙げられるが、それに限定されるわけではない:エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール;n-アルカノール、リモネン、テルペン、ジオキソラン、プロピレングリコール、エチレングリコール、他のグリコールおよびグリセロールなどのポリオール;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、メチルドデシルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、などのスルホキシド;イソプロピルミリステート/パルミテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルおよびカプリン酸/カプリル酸トリグリセリドなどのエステル;ケトン;アセトアミドなどのアミド;トリオレインなどのオレエート;ラウリル硫酸ナトリウムなどの種々の界面活性剤;カプリル酸などの種々のアルカン酸;アゾンなどのラクタム化合物;オレイルアルコールなどのアルカノール;酢酸ジアルキルアミノならびにそれらの混合物。このような透過性増強剤の使用は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,093,417号に開示されている。
【0116】
他の治療剤
本発明の化合物を含有する組成物は、例えば、別のリファマイシンアナログ、麻酔薬、抗菌剤、亜鉛塩、または抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤またはステロイド)などの第2の治療剤を含んでもよい。抗菌剤を混合する場合には、抗菌剤は、好ましくは、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セファロチン(cepalthin)、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフマトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アストレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソミシン、ダイベカリン(dibekalin)、イセパマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、テイコプラニン、キヌプリスチンおよびダルフォプリスチン、スルファニルアミド、パラ-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファタリジン、リネゾリド、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン(perfloxacin)、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、メトロニダゾール、ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲサイクリン、AZD2563またはトリメトプリムである。好ましい非ステロイド性抗炎症剤には、例えば、デトプロフェン(detoprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメエート(mechlofenameate)、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメオン(nabumeone)、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、サリチル酸コリン、サルセート(salsate)、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール、アセトアミノフェンおよびシュードエフェドリンが挙げられ、好ましいステロイドには、例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、フルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン(flurandrenolone)アセトニドおよびフルオロメトロンが挙げられる。本発明による好ましい麻酔薬には、例えば、ベンゾカイン、ブタンベン(butamben)ピクレート、テトラカイン、ジブカイン、プリロカイン、エチドカイン、メピバカイン、ブピビカイン(bupivicaine)およびリドカインが挙げられる。亜鉛塩は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、炭酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、二酢酸亜鉛(zinc diacetate)三水和物、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、チタン酸亜鉛、テトラフルオロホウ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛およびグリシン酸亜鉛であってもよい。本発明の組成物に使用される治療薬は全てこれらの薬剤について現在公知で使用されている用量範囲が使用されうる。
【0117】
患者の臨床状態、療法(治療または予防)の目標、予期される期間および本発明の化合物を投与する感染症の重症度に応じて異なる濃度を使用することができる。用量選択においてさらに考慮されるべきことには、感染症の種類、患者の年齢(例えば、小児、成人または高齢者)、全身の健康状態および合併症が挙げられる。
【0118】
合成
式Iの化合物は、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,610,919号;同第4,983,602号;同第5,786,349号;同第5,981,522号および同第4,859,661号ならびにChem. Pharm. Bull., 41: 148, 1993に開示されているものと同様の方法によって合成することができる。本発明の個々の化合物を製造するために使用する限定するものではない方法を実施例1〜11に提供する。
【0119】
アッセイ法
本発明の化合物は、インビトロアッセイ法における標準的な最小阻止濃度(MIC)を使用して、MICを測定することによって抗菌活性についてスクリーニングすることができる(例えば、Tomioka et al., Antimicrob. Agents Chemother. 37: 67 1993参照)。薬剤は、C.ニューモニエ、トラコーマ病原体、結核菌(M. tuberculosis)(薬剤耐性株を含む)、M. アビウム(M. avium)コンプレックスおよび他の細胞内感染微生物に対してスクリーニングすることができる。標準的なMICアッセイ法は実施例12に提供されている。
【0120】
療法
本発明は、式(I)の化合物を投与することによって、微生物感染に関連する疾病または状態を治療または予防する方法を特徴とする。本発明の化合物は、微生物感染、炎症または感染由来の自己免疫疾病に関連する疾病または状態を治療または予防するために任意の適当な経路によって投与することができる。これらは、単位剤形で薬学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤と共にヒト、愛玩動物、家畜または他の動物に投与することができる。投与は、局所、非経口、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼、心室内(intraventricular)、嚢内、脊髄内、大槽内、腹腔内、鼻腔内、エアゾール、坐剤または経口投与であってもよい。
【0121】
治療用製剤は液体または懸濁液の形態であってもよく;経口投与のためには、製剤は錠剤またはカプセルの形態であってもよく;および鼻腔内投与のためには、粉末、点鼻液またはエアゾールの形態であってもよい。
【0122】
製剤を製造するための当技術分野において公知の方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed., ed. A. R. Gennaro AR.), Lippincott Williams & Wilkins, 2000に見られる。非経口投与のための製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水または生理食塩液、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源のオイルまたは水素化ナフタレンを含有してもよい。生体適合性、生物分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、化合物の放出を制御するために使用することができる。ナノ粒子状製剤(例えば、生物分解性ナノ粒子、固形脂質ナノ粒子(solid lipid nanoparticle)、リポソーム)は化合物の生物分布を制御するために使用することができる。有用である可能性のある他の非経口送達システムには、エチレン-ビニルアセテートコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、植え込み式注入システムおよびリポソームが挙げられる。吸入のための製剤は、賦形剤、例えば、ラクトースを含有してもよく、または例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリコール酸塩(glycholate)およびデオキシコール酸塩を含有する水溶液であってもよく、または点鼻液の形態もしくはゲルとして投与するのための油性溶液であってもよい。
【0123】
製剤中の化合物の濃度は、投与される薬物の用量および投与経路を含む数多くの要因に応じて変わる。
【0124】
化合物は、任意で、薬学業界において通常に使用される無毒性酸添加塩または金属錯体などの薬学的に許容される塩として投与されてもよい。酸添加塩の例には、酢酸、乳酸、パモン酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸等などの有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロース等などのポリマー酸;および塩酸、臭化水素酸、硫酸リン酸等などの無機酸が挙げられる。金属錯体には、亜鉛、鉄等が挙げられる。
【0125】
式Iの化合物が、(i)治療指数が低い(例えば、有害な副作用または毒性反応を生ずる血漿濃度と治療作用を生ずる血漿濃度の差が小さい;一般に、治療指数、TIは、50%有効量(ED50)に対する50%致死量(LD50)の比と規定される);(ii)消化管における吸収ウィンドウが狭い;または(iii)生物学的半減期が短く、血漿レベルを治療レベルに維持するために1日に頻繁な投与を必要とする場合には徐放性製剤による化合物の投与が有用である。
【0126】
放出速度が治療化合物の代謝速度を上回る徐放性を獲得するために多数の方法が追求されている。例えば徐放性は、製剤パラメーターおよび成分(例えば、適当な徐放性組成物およびコーティング)を適当に選択することによって獲得することができる。例として、単回または複数回用錠剤またはカプセル組成物、オイル溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、ペッチおよびリポソームが挙げられる。
【0127】
経口使用用製剤は、混合物中に作用成分および無毒性薬学的に許容される賦形剤を含有する錠剤が挙げられる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤またはフィラー(例えば、スクロースおよびソルビトール)、潤滑剤、流動促進剤および付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油またはタルク)であってもよい。
【0128】
経口使用用製剤は、咀嚼錠として、または作用成分が不活性な固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または作用成分が水もしくはオイル媒体と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
【0129】
本明細書に記載する本発明の化合物の薬学的製剤は、ジアステレオマーおよびエナンチオマーなどの異性体、ラセミ混合物を含む異性体の混合物、塩、溶媒和物およびそれらの多形体を含む。
【0130】
本発明の化合物は、別の抗真菌、抗ウイルス、抗菌もしくは抗原虫化合物またはそれらの組み合わせと併用使用してもよい。療法の活性スペクトルを広域化する目的のためまたは薬剤耐性微生物の発生を低下させるために、補足的な抗菌剤として他の薬剤を使用してもよい。本発明の化合物は、単一感染を効果的に治療するために単独でまたは他の薬学的化合物と併用して使用することができる。例えば、本発明の化合物は、HSV-1を治療するために単独で使用しても、またはアシクロビルと併用使用してもよい。本発明の化合物はまた、多重感染症を治療するために単独で使用してもまたは他の薬学的化合物と併用使用してもよい。例えば、本発明の化合物は、細胞内細菌感染症を治療または予防するためにイソニアジド、ピラジナミドまたはエタンブトールなどの1種または複数種の抗放線菌剤と併用使用することができる。
【0131】
本発明の化合物はまたB型肝炎を治療するためにイントロンAおよび/またはビフラバノイド(biflavanoid)と併用使用することができ;ヘルペスウイルスを治療するためにガンシクロビル、プロガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカーネット、ビダラビン、シドビル(cidovir)および/またはアシクロビルと併用使用することができ;呼吸器系ウイルスを治療するためにリババリン(ribavarin)、アマンチジン(amantidine)および/またはリマンチジンと併用使用することができる。
【0132】
以下の実施例は、本明細書に主張されている方法および化合物が実施され、製造され、評価される方法についての説明を当業者に提供するために記載されている。本実施例は、本発明の例示にすぎないことが意図されており、本発明者らが本発明と考えるものの範囲を限定する意図のものではない。
【0133】
ベンゾキサジノリファマイシン化合物の合成
ベンゾキサジノリファマイシン化合物は、アルコール、アミン、スルフヒドリルおよび/またはカルボン酸官能基の選択的保護および脱保護を必要とする方法を使用して製造することができる。例えば、通常使用されるアミンの保護基には、tert-ブチル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、9-フルオレニルメチル、アリルおよびm-ニトロフェニルなどのカルバメートが挙げられる。アミンの通常使用される他の保護基には、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、スルホンアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミド、トリメチルシリルエタンスルホンアミドおよびtert-ブチルスルホニルアミドなどのアミンが挙げられる。カルボン酸の通常使用される保護基の例には、メチル、エチル、tert-ブチル、9-フルオレニルメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジル、ジフェニルメチル、O-ニトロベンジル、オルト-エステルおよびハロ-エステルなどのエステルが挙げられる。アルコールの通常使用される保護基の例には、メチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、テトラヒドロピラニル、エトキシエチル、ベンジル、2-ナフチルメチル、O-ニトロベンジル、P-ニトロベンジル、P-メトキシベンジル、9-フェニルキサンチル、トリチル(メトキシ-トリチルを含む)およびシリルエーテルなどのエーテルが挙げられる。
【0134】
スルフヒドリルの通常使用される保護基の例には、ヒドロキシルに使用される多数の同じ保護基が挙げられる。また、スルフヒドリルは、酸化型(例えば、ジスルフィド、スルホン酸、スルホン酸エステルまたはスルホン酸アミドとして)で保護されてもよい。保護基は、選択条件(例えば、酸性条件、塩基性条件、求核試薬による触媒、ルイス酸による触媒または水素化)が分子の他の保護基を除いて各々を脱離するのに必要とされるように選択することができる。アミン、アルコール、スルフヒドリルおよびカルボン酸官能基に保護基を付加するのに必要な条件およびそれらの脱離に必要な条件は、T. W. GreenおよびP. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis(第2版)、John Wiley & Sons、1991およびP. J. Kocienski, Protecting Groups, Georg Thieme Verlag、1994(参照により本明細書に組み入れられる)に詳細に提供されている。以下の実施例において、保護基の使用は文字Pで構造中に示されており、任意のアミン、カルボン酸、スルフヒドリルまたはアルコールのPは上記に掲載する保護基のいずれかであってもよい。
【0135】
実施例1. 一般的なカップリング手法
本発明のベンゾキサジノリファマイシン、ベンズチアジノリファマイシンおよびベンズジアジノリファマイシンアナログの合成は全て5'位にアミンを結合するための米国特許第4,965,261号に開示されている一般方法を使用して、図1に示す一般経路により進行しうる。このスキームにおいて、式IIのリファマイシンアザキノンを好適な溶媒、例えば、DMSOに溶解し、二酸化マンガンの存在下においてアミンまたは式IIIと室温において数時間反応させて、式IVのアザキノンを形成する。必要な場合には、式IVのアザキノンを脱保護試薬とさらに反応させて、25位のX、21位および23位のP'を離脱させ、YまたはZの保護基および/または任意のP"保護基を式IIIのアミンと共に導入してもよい。式IIIのアミンがベンゾキノンに結合し、必要があれば、必要な保護基を離脱させたら、R5のアミンとそれぞれ、YまたはZ置換基を保有するフェニル環の炭素との間に環化を実施することができる。環化に使用する化学は、関係する官能基により異なることがある。一例において、AがOHであり、YおよびZが各々水素であり、式IIIのアミンが対称である場合には、アミンの両方の窒素をフェニル環に付加して式中、nは0である、式Vの化合物を形成することができる。
【0136】
いくつかの態様において、リファマイシンアナログをプロドラッグに変換する基などの有用な薬物動態学的特性を導入する基で25位をさらに誘導体化することができる。このような基は当業者に公知であり、その例は、参照により本明細書に組み入れられる、Vch. Verlagsgesellschaft Mbh., 2003によって刊行されているTesta and Mayer, Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism: Chemistry, Biochemistry and Enzymologyに見出すことができる。
【0137】
または、図2に示すように、5'位に離脱基(L)を有する式VIIのアザキノンに、それぞれ、式VIII、IXおよびXにおいて「Nu」によって示される求核性の酸素、硫黄または窒素部分を含有する中間体と反応させることができる。Lは、トリフレートなどのハロゲンまたはスルホネートであってもよい。求核試薬のヘテロ原子が離脱基と置換したら、図1の説明において記載するように、R5アミノ側基の環化を実施することができる。
【0138】
または、Helv. Chim. Acta 56: 2369, 1973に記載されている方法を使用して、式(XIV)のリファマイシンキノンを、オルト位にヒドロキシル、スルフヒドリルまたはアミノ基を有するアニリンと反応させて、アザキノンを製造することができる。図3に示す一例は、それぞれ、式XVIIおよびXVIIIの化合物を製造するための式XVおよびXVIの化合物の使用である。同様に、化合物1002(実施例9に使用)、1003(実施例10に使用)および1004(実施例11に使用)は、式中、XはCOCH3である、式XIVの化合物を2-アミノ-3,6-ジメチルフェノール、2-アミノ-4,5-ジフルオロフェノール、および2-アミノ-チオフェノールと反応させることによって製造することができる。
【0139】
実施例2. 一般的な脱アセチル化手法
図4に示すように、式XIXの化合物(〜100 mmol) をメタノール(5 mL)に溶解し、水酸化ナトリウムの飽和メタノール溶液(5 mL)で室温において0.5 時間〜3時間処理した。次いで、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄し(2×)、Na2SO4で乾燥した。ろ過し、次に真空下溶媒を除去して、式XXのデス-アセチル生成物を得た。望ましい場合には、1〜10%メタノールの塩化メチレン溶液などの適当な溶媒系を使用して、これらの生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0140】
実施例3. 化合物1の合成(タンデムカップリング)
実施例1の一般的なカップリング手法を使用して、表題の化合物を製造した。従って、図5に示すように、化合物100(1.20 g, 1.31 mmol)、N, N'-ジメチルエチレンアミンジアミン(0.6 mL, 5 mmol)および酸化マンガン(IV)(840 mg, 9.7 mmol)を10 mLのDMSO中で室温において36時間撹拌した。反応を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過した。得られた溶液を水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、真空下溶媒を除去して、青色の残渣を得、MPLC(シリカゲル、メタノールの塩化メチレンにおける0〜2%濃度勾配)によって精製して、化合物1を青色の固体(286 mg, 0.323 mmol,収率25%)として得た;ESI(+): 885(M + H+);TLC:Rf=0.35 (19 : 1、methylen chloride:methanol、Whatman MK6F、60 angstrom);UV/Vis:λmax=670.8 nm;およびMp 276〜277℃。
【0141】
実施例4. 化合物1の合成(段階的カップリング)
N-(2-トリメチルシルエトキシカルボニル)-N,N'-ジメチルエチレンジアミンを以下のように製造した:N,N'-ジメチルエチレンジアミン(616 mg, 5.94 mmol)および炭酸ナトリウム水溶液(2M, 25 mL)の撹拌中の溶液に、室温において、2-(トリメチルシリル)エチル-4-ニトロフェニルカルボネート(1.31 g, 4.63 mmol)のエタノール(15 mL)溶液を添加した。反応を1時間加熱還流し、次いで室温において20時間撹拌した。懸濁液を真空下において溶媒を一部除去し、得られたスラリーを水(100 mL)に添加し、塩化メチレン(3×50 mL)で抽出した。有機層をろ過し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下溶媒を除去した。粗残渣をMPLC(シリカゲル、メタノールの塩化メチレンにおける5〜30%濃度勾配)によって精製して、N-(2-トリメチルシリルエトキシカルボニル)-N,N'-ジメチルエチレンジアミンを淡黄色の固体として得た(380 mg, 1.64 mmol,収率35%)。

【0142】
モノ-Teoc-保護ジアミンを使用し、実施例1の一般的なカップリング手法を使用して表題の化合物を製造した。従って、図5に示すように、化合物100(608 mg, 0.664 mmol)、N-(2-トリメチルシリルエトキシカルボニル)-N,N'-ジメチルエチレンジアミン(380 mg, 1.64 mmol)および酸化マンガン(IV)(980 mg, 11.3 mmol)を10 mLのDMSO中で室温において36時間撹拌した。反応を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過した。得られた溶液を水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、次に真空下で溶媒を除去して、青色の残渣を得た。
【0143】
得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチルのヘキサンにおける60〜80%濃度勾配、次いでメタノールの塩化メチレンにおける0〜5%濃度勾配)によって精製して、化合物1aを青色の固体(240 mg, 0.23 mmol,収率35%)として得た。ESI(+) MS:1031(M + H+)。TLC:Rf=0.42(19:1、methylen chloride:methanol、Whatman MK6F、60 angstrom)。
【0144】
DMF中でテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、1.05当量)を反応させることによって、化合物1aを化合物1に続けることができる。Teoc基離脱後、中間体を空気の存在下で環化し化合物1を形成することができる。
【0145】
実施例5. 化合物2の合成
図5に示すように、化合物1(240 mg, 0.271 mmol)を使用して実施例2の一般的な脱アセチル化手法によって表題の化合物を製造し、化合物2(104 mg, 収率45%)を青色の固体として得た。Mp=234〜240℃;ESI(+) MS:843(M + H+);UV/Vis:λmax=670.5 nm。
【0146】
実施例6. 化合物3の合成
図6に示すように、化合物100(1.03 g, 1.13 mmol)、N,N'-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(0.5 mL, 4 mmol)および酸化マンガン(IV)(503 mg, 5.78 mmol)をメチルスルホキシド(10 mL)中で室温において24時間撹拌した。反応を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過した。得られた溶液を水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、真空下溶媒を除去して、青色の残渣を得、MPLC(シリカゲル、メタノールの塩化メチレンにおける1.5〜16.5%濃度勾配)によって精製して、化合物3を青色の固体(420 mg, 0.467 mmol, 収率41%)として得た。ESI(+) MS: 899(M + H+);UV/Vis:λmax=686.3 nm;Mp 236〜240℃。
【0147】
実施例7. 化合物4の合成
図6に示すように、化合物3(136 mg, 0.151 mmol)を使用して実施例2の一般的な脱アセチル化手法によって表題の化合物を製造し、MPLC精製(シリカゲル、メタノールの塩化メチレンにおける2.5〜12.5%濃度勾配)により、化合物4(97 mg, 収率75%)を青色の固体を得た;Mp=225〜230℃;ESI(+)MS:857( M + H+);UV/Vis:λmax=686.0 nm。
【0148】
実施例8. 化合物5の合成
実施例7に示すように、表題の化合物を製造した。化合物1001(25 mg, 0.031 mmol)の撹拌中のDMSO(3 mL)溶液に、酸化マンガン(IV)(21.6 mg, 0.250 mmol)およびN,N'-ジメチルエチレンジアミン(11.1 mg, 0.125 mmol)を添加した。得られた懸濁液を室温において36時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過し、水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、真空下溶媒を除去して、化合物の混合物を得、分取用TLC(10%MeOH/CH2Cl2)によって精製して、化合物5(2.9 mg)を青色の固体として得た;ESI(+):886( M + H+)。
【0149】
実施例9. 化合物6の合成
図8に示すように、表題の化合物を製造した。化合物1002(81 mg, 0.1 mmol)の撹拌中のDMSO(10 mL)溶液に、酸化マンガン(IV)(69 mg, 0.8 mmol)およびN,N'-ジメチルエチレンジアミン(35 mg, 0.4 mmol)を添加し、得られた懸濁液を室温において36時間撹拌した。反応を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過した。得られた溶液を水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、次に真空下溶媒を除去し、化合物の混合物を得、分取用TLC(10%MeOH/CH2Cl2)によって精製して、化合物6(1.0 mg)を得た;ESI(+):898( M + H+)。
【0150】
実施例10. 化合物7の合成
実施例9に示すように、表題の化合物を製造した。化合物1003(82 mg, 0.1 mmol)の撹拌中のDMSO(5 mL)溶液に、酸化マンガン(IV)(69 mg, 0.8 mmol)およびN,N'-ジメチルエチレンジアミン(35 mg, 0.4 mmol)を添加し、得られた懸濁液を室温において36時間撹拌した。反応を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過した。得られた溶液を水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、次に真空下溶媒を除去して、混合物を得、シリカゲルカラム(10%MeOH/CH2Cl2)によって精製して、生成物を緑色の固体として得、分取用TLC(10%MeOH/CH2Cl2)によって精製して、化合物7(3.0 mg)を得た;ESI (+) MS:870 ( M + H+)。
【0151】
実施例11. 化合物8の合成
図10に示すように、表題の化合物を製造した。化合物1004(25 mg, 0.031 mmol)の撹拌中のDMSO(3 mL)溶液に、酸化マンガン(IV)(21.6 mg, 0.250 mmol)およびN,N'-ジメチルエチレンジアミン(11.1 mg, 0.125 mmol)を添加し、得られた懸濁液を室温において36時間撹拌した。反応を塩化メチレンで希釈し、セライト(商標)でろ過した。得られた溶液を水で洗浄し(3×)、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、次に真空下溶媒を除去して、化合物の混合物を得、分取用TLC(10%MeOH/CH2Cl2)によって精製して、化合物8を青色の固体(2.9 mg)として得た;ESI(+) MS:886 ( M + H+)。
【0152】
実施例12. MICアッセイ法
Lee et al., Am. Rev. Respir. Dis. 136: 349(1987)の方法によって、本発明の候補化合物のMICを測定することができる。BACTEC 12Bバイアル(4 mLの7H12B培地)に、試験生物の継代培養の7H9培地の10倍希釈液の0.1 mL(540 nmの光学密度、0.1)を接種し、増殖指数(GI)が999に達するまで37℃において培養する。次いで、両方の培養液を取り出し、100倍希釈し、希釈液の0.1 mLを、候補化合物を含有するまたは含有しないBACTEC 12Bバイアルに接種する。候補化合物を含有するバイアルは、適当に希釈して望ましい濃度とした0.1 mLの候補化合物溶液を保持することができる。1%対照バイアル、上記の接種の100希釈の0.1 mLを、候補化合物を含有しない12Bバイアルに接種する。12Bバイアルは37℃においてインキュベーションし、BACTEC 460 TB機器(Johnston Laboratories, Townsend, Md)を使用して、対照バイアルのGIが30を超えるまで、GI読み値を毎日記録する。候補を含有するバイアルのGIの最終読み値が1%対照より低い場合には、薬物はその細菌集団の99%を超える数を阻止したと考えられ、この濃度がMICと定義される。
【0153】
表1は本発明の化合物の一部の構造およびMIC値を示す。
【0154】
(表1)構造およびMIC値


*AおよびBは以下の部分を示す。

【0155】
本明細書に引用する全ての刊行物、特許出願および特許は、個々の刊行物、特許出願または特許各々が具体的に個別に参照により組み入れられることが示されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。上記の発明は、理解を明確にするために例示および例によって幾分詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱しないで、ある種の変更および改良を加えることができることは、本発明の教示内容を考慮すると当業者に容易に明らかになる。
【0156】
本発明は具体的な態様に関連して記載されているが、さらに改良することができることが理解される。従って、本願は、一般に、当技術分野における公知または習慣的なやり方の範囲内である本発明の開示からの逸脱を含む、本発明の原理に準拠する本発明の任意の変化、使用または適合を含むことが意図されている。
【0157】
他の態様は特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】実施例1に記載する本発明の化合物を製造する手法を示す合成スキームである。
【図2】実施例1に記載する本発明の化合物を製造する手法を示す合成スキームである。
【図3】実施例1に記載する本発明の化合物を製造する手法を示す合成スキームである。
【図4】実施例2に記載する本発明の化合物を製造する手法を示す合成スキームである。
【図5】実施例3〜5に記載する化合物1、1aおよび2を製造する手法を示す合成スキームである。
【図6】それぞれ、実施例6および7に記載する化合物3および4を製造する手法を示す合成スキームである。
【図7】実施例8に記載する本発明の化合物5を製造する手法を示す合成スキームである。
【図8】実施例9に記載する本発明の化合物6を製造する手法を示す合成スキームである。
【図9】実施例10に記載する本発明の化合物7を製造する手法を示す合成スキームである。
【図10】実施例11に記載する本発明の化合物8を製造する手法を示す合成スキームである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式中、
(a)Aが、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、O-(C1-C4アルカリル)、O-(C6-C12アリール)、O-(C1-C9ヘテロアリール)、またはO-(C1-C4アルクヘテロアリール(alkheteroaryl))であり;
Wが、式中、R1がH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、O、S、またはNR1であり;
Xが、式中、R2が、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、HまたはCOR2であり、各アルキル炭素が1つだけの酸素原子に結合しており;
Yが、式中、R3がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、H、Hal、またはOR3であり;
R4が、式中、R5が、R7に関連して以下に規定されており、かつR6がH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R9がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5、またはNR5R6であり;かつ
Zが、式中、nが0または1であり、R7およびR5がともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し、R8がH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R10がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、またはR8が存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成され、R11およびR12の各々が、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12が存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される、(CR11R12)nNR7R8である;
または
(b)Aが、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、O-(C1-C4アルカリル)、O-(C6-C12アリール)、O-(C1-C9ヘテロアリール)、またはO-(C1-C4アルクヘテロアリール)であり;
Wが、式中、R1がH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、O、S、またはNR1であり;
Xが、式中、R2が、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、HまたはCOR2であり、各アルキル炭素が1つだけの酸素原子に結合しており;
Zが、式中、R3がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、H、Hal、またはOR3であり;
R4が、式中、R5が、R7に関連して以下に規定されており、R6がH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリルC1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリール、式中、R9がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5、またはNR5R6、であり;かつ
Yが、式中、nが0または1であり、R7およびR5がともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し、R8がH、C1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、式中、R10がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、C1-C9ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、またはR8が存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成され、R11およびR12の各々が、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12が存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される、(CR11R12)nNR7R8である、式:

を有する化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
(a)Aが、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、またはO-(C1-C4アルカリル)であり;
Wが、式中、R1がH、またはC1-C6アルキルである、O、S、またはNR1であり;
Xが、式中、R2が、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、または1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)である、HまたはCOR2であり、各アルキル炭素が1つだけの酸素原子に結合しており;
Yが、式中、R3がC1-C6アルキル、またはC1-C4アルカリルである、H、Hal、またはOR3であり;
R4が、式中、R5が、R7に関連して以下に規定されており、かつR6がH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、式中、R9がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5、またはNR5R6であり;かつ
Zが、式中、nが0または1であり、R7およびR5がともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し、R8がH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、式中、R10がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、またはR8が存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成され、R11およびR12の各々が、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12が存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される、(CR11R12)nNR7R8である;
または
(b)Aが、H、OH、O-(C1-C6アルキル)、またはO-(C1-C4アルカリル)であり;
Wが、式中、R1がHまたはC1-C6アルキルである、O、S、またはNR1であり;
Xが、式中、R2が、1〜5のOH基で置換されていてもよいC1-C6アルキル、または1〜4のOH基で置換されていてもよいO-(C3-C7アルキル)である、HまたはCOR2であり、各アルキル炭素が1つだけの酸素原子に結合しており;
Zが、式中、R3がC1-C6アルキルまたはC1-C4アルカリルである、H、Hal、またはOR3であり;
R4が、式中、R5が、R7に関連して以下に規定されており、かつR6がH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、式中、R9がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR9、CO2R9、CONHR9、CSR9、COSR9、CSOR9、CSNHR9、SO2R9、またはSO2NHR9である、OR5、SR5、またはNR5R6であり;かつ
Yが、式中、nが0または1であり、R7およびR5がともに、結合を示し、または置換されていてもよいC1-C4結合を形成し、R8がH、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、式中、R10がC1-C6アルキル、C6-C12アリール、C1-C4アルカリル、ヘテロアリール、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、COR10、CO2R10、CONHR10、CSR10、COSR10、CSOR10、CSNHR10、SO2R10、またはSO2NHR10である、またはR8が存在せず、かつNとR5-R7C1炭素結合の間に二重結合が形成され、R11およびR12の各々が、独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C4アルカリル、またはC1-C4アルクヘテロアリールである、またはR12が存在せず、かつNと炭素を保有するR11との間に二重結合が形成される、(CR11R12)nNR7R8である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
(a)AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(b)AがOHであり、XがHであり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(c) AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(d) AがOHであり、XがHであり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;
(e) AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物;および
(f) AがOHであり、XがCOCH3であり、WがOであり、ZがHであり、かつYおよびR4がともに

である化合物
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
薬学的に許容される担体または希釈剤および請求項1記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項5】
動物の微生物感染症または微生物感染によって生じる状態を治療または予防するための薬剤を製造する際の請求項1記載の化合物の使用。
【請求項6】
薬剤が経口投与用、局所投与用、静脈内投与用、筋肉内投与用または皮下投与用である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
動物がヒトである、請求項5記載の使用。
【請求項8】
状態が、市中肺炎、上気道および下気道感染症、皮膚および軟部組織感染症、骨および関節感染症、ならびに院内肺感染症からなる群より選択される、請求項5記載の使用。
【請求項9】
感染症が持続的感染症である、請求項5記載の使用。
【請求項10】
感染症が耳感染症である、請求項5記載の使用。
【請求項11】
微生物感染症が原虫感染症、細菌感染症、ウイルス感染症、または真菌感染症である、請求項5記載の使用。
【請求項12】
微生物感染症が細胞内感染症である、請求項5記載の使用。
【請求項13】
感染症が、グラム陽性球菌によって生じる、請求項5記載の使用。
【請求項14】
感染症が淋菌(N. gonorrhoeae)によって生じる、請求項5記載の使用。
【請求項15】
感染症が、C. ディフィシレ(C. difficile)によって生じる、請求項5記載の使用。
【請求項16】
感染症が、C.ニューモニエ(C. pneumoniae)によって生じる、請求項5記載の使用。
【請求項17】
感染症がピロリ菌(H. pylori)によって生じる、請求項5記載の使用。
【請求項18】
薬剤が、プロトンポンプ阻害剤またはビスマス製剤をさらに含む、請求項17記載の使用。
【請求項19】
微生物感染症が、アナプラズマ ボビス(Anaplasma bovis)、A. カンダウム(A. caudatum)、A. セントラーレ(A. centrale)、A. マルギナーレ(A. marginale)、A. オビス(A. ovis)、A. ファゴサイトフィラ(A. phagocytophila)、A. プラティス(A. platys)、バルトネラ バシフォルミス(Bartonella bacilliformis)、B. クラリゲイア(B. clarridgeiae)、B. エリザベサエ(B. elizabethae)、B. ヘンセレ(B. henselae)、B. ヘンセレファージ(B. henselae phage)、B. クインターナ(B. quintana)、B.テイロリ(B. taylorii)、B.ビンソニ(B. vinsonii)、ボレリア アフゼリ(Borrelia afzelii)、B. アンデルソニ(B. andersonii)、B. アンセリナ(B. anserina)、B. ビセッティ(B. bissettii)、B.ブルグドフェリ(B. burgdorferi)、B. クロシデュラエ(B. crocidurae)、B. ガリニ(B. garinii)、B.ヘルムシ(B. hermsii)、B.ジャポニカ(B. japonica)、B. ミヤモトイ(B. miyamotoi)、B. パルケリ(B. parkeri)、B. レキュレンティス(B. recurrentis)、B.ツルジ(B. turdi)、B. ツリカタエ(B. turicatae)、B. バライシアナ(B. valaisiana)、ブルセラ アボルツス(Brucella abortus)、B.メリテンシス(B. melitensis)、C.シッタシ(C. psittaci)、トラコーマ病原体(C.trachomatis)、コウドリア ルミナンティウム(Cowdria ruminantium)、コクシエラ ブルネッティ(Coxiella burnetii)、エーリキア カニス(Ehrlichia canis)、E.チャフェンシス(E. chaffeensis)、E. エクィ(E. equi)、E. エウィンギ(E. ewingii)、E.ムリス(E. muris)、E. ファゴサイトフィラ(E. phagocytophila)、E. プラティス(E. platys)、E. リスティシ(E. risticii)、E. ルミナンチウム(E. ruminantium)、E. セネツ(E.sennetsu)、ヘモバルトネラ カニス(Haemobartonella canis)、H. フェリス(H.felis)、H.ムリス(H.muris)、マイコプラズマ アルスリディティス(Mycoplasma arthriditis)、M. ブカレ(M. buccale)、M. ファウシウム(M. faucium)、M. フェルメンタンス(M.fermentans)、M. ゲニタリウム(M. genitalium)、M. ホミニス(M.hominis)、M. レイドラウィ(M. laidlawii)、M. リポフィラム(M. lipophilum)、M. オラーレ(M. orale)、M. ペネトランス(M. penetrans)、M. ピルム(M. pirum)、M. ニューモニエ(M. pneumoniae)、M. サリバリウム(M. salivarium)、M. スペルマトフィラム(M. spermatophilum)、リケッチア オーストラリス(Rickettsia australis)、R. コノリイ(R.conorii)、R.フェリス(R. felis)、R. ヘルベチカ(R.helvetica)、R.ジャポニカ(R. japonica)、R. マシリアエ(R. massiliae)、R. モンタネンシス(R. montanensis)、R. ピーコッキイ(R. peacockii)、R. プロワツェキイ(R. prowazekii)、R. リピセファリ(R. rhipicephali)、R. リケッチイ(R. rickettsii)、R. シビリカ(R. sibirica)および R. ティフィ(R. typhi)からなる群より選択される細菌によって生じる、請求項5記載の使用。
【請求項20】
方法が、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、および抗原虫剤からなる群より選択される第2の薬剤をさらに含む、請求項5記載の使用。
【請求項21】
患者のアテローム性動脈硬化関連疾病を治療またはその発症を予防するための薬剤を製造する際の請求項1記載の化合物の使用。
【請求項22】
薬剤が、抗炎症剤、抗菌剤、血小板凝集抑制剤、抗凝固剤、解熱剤、または脂質低下剤からなる群より選択される第2の薬剤をさらに含む、請求項21記載の使用。
【請求項23】
患者が、アテローム性動脈硬化関連疾病を有すると診断されている、請求項21記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−513961(P2007−513961A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543971(P2006−543971)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/041222
【国際公開番号】WO2005/058231
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(505220848)アクティブバイオティクス インコーポレイティッド (4)
【Fターム(参考)】