リフレクタ付きLED用リードフレーム及びそれを用いた半導体装置の製造方法
【課題】樹脂リフレクタを形成した後においてもリードフレームの反り返りによる変形を防止することのできるリフレクタ付きLED用リードフレーム、及び当該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】リフレクタ付きLED用リードフレーム1は、マトリックス状に配列されてなる、LED素子8を搭載するための複数の搭載領域MA、及び複数の搭載領域MAのそれぞれの周囲を取り囲むように樹脂リフレクタ3が設けられる樹脂リフレクタ形成領域RAを有する基材2と、樹脂リフレクタ形成領域RA中のダイシングラインDL上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部4と、樹脂リフレクタ形成領域RA中の樹脂リフレクタ非形成部4を除く領域に設けられてなる樹脂リフレクタ3とを備える。
【解決手段】リフレクタ付きLED用リードフレーム1は、マトリックス状に配列されてなる、LED素子8を搭載するための複数の搭載領域MA、及び複数の搭載領域MAのそれぞれの周囲を取り囲むように樹脂リフレクタ3が設けられる樹脂リフレクタ形成領域RAを有する基材2と、樹脂リフレクタ形成領域RA中のダイシングラインDL上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部4と、樹脂リフレクタ形成領域RA中の樹脂リフレクタ非形成部4を除く領域に設けられてなる樹脂リフレクタ3とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフレクタ付きLED用リードフレーム及びそれを用いて半導体装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)素子を基板上に実装した半導体装置が、表示装置のバックライト、各種電気機器や電子機器の表示灯、車載照明、一般照明等に用いられている。このような半導体装置は、一般に、銅基板等の放熱性基板上に電気絶縁層を介して電極を形成し、この電極上にLED素子を実装してボンディングした後、透光性樹脂で当該LED素子を埋設するようにして封止した構造を有する。
【0003】
このような構成を有する半導体装置は、LED素子を搭載するための複数の搭載領域と、各搭載領域の周囲を取り囲む樹脂リフレクタ形成領域とを有する、銅基板等からなるリードフレームを用意し、当該リードフレームの樹脂リフレクタ形成領域に樹脂リフレクタをトランスファ成型や射出成型等により形成した後、各搭載領域にLED素子を実装し、透光性樹脂でLED素子を埋設するようにして封止し、その後LED素子ごとにダイシングされ個片化されることにより製造される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−182770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにしてリードフレームの樹脂リフレクタ形成領域に樹脂リフレクタをトランスファ成型等により形成すると、トランスファ成型等に用いられる金型のキャビティ内に注入された溶融樹脂の硬化収縮に伴い、樹脂リフレクタ形成後のリードフレームが樹脂リフレクタ形成面を内側にして反り返って変形してしまう。このように変形したリードフレームを用いて半導体装置を製造しようとすると、LED素子を実装する工程においてLED実装装置のステージ上にリードフレームを載置する際の位置合わせが困難となったり、位置合わせ精度が低下したりする場合があるという問題がある。また、LED素子が実装されたリードフレームをLED素子ごとにダイシングする工程においても同様の問題がある。さらに、半導体装置の製造過程における各工程間でのリードフレームの搬送等、リードフレームの取扱性に劣るという問題もある。
【0006】
また、樹脂リフレクタ形成後のリードフレームが反り返って変形してしまうことにより、リードフレーム上に形成された樹脂リフレクタが剥離してしまったり、当該樹脂リフレクタに亀裂が生じてしまったりするという問題もある。さらに、光の反射効率を向上させる目的で、LED素子を実装する基材上に薄膜の銀めっき層等からなる反射層が形成されることがあるが、この場合においても、樹脂リフレクタ形成後のリードフレームの反り返りにより、当該反射層が剥離してしまったり、当該反射層に亀裂が生じてしまったりするという問題もある。
【0007】
上記のような課題に鑑みて、本発明は、樹脂リフレクタを形成した後においてもリードフレームの反り返りによる変形を防止することのできるリフレクタ付きLED用リードフレーム、及び当該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、マトリックス状に配列されてなる、LED素子を搭載するための複数の搭載領域、及び前記複数の搭載領域のそれぞれの周囲を取り囲むように樹脂リフレクタが設けられる樹脂リフレクタ形成領域を有する基材と、前記樹脂リフレクタ形成領域中のダイシングライン上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部と、前記樹脂リフレクタ形成領域中の前記樹脂リフレクタ非形成部を除く領域に設けられてなる樹脂リフレクタとを備えることを特徴とするリフレクタ付きLED用リードフレームを提供する(発明1)。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記樹脂リフレクタは、前記樹脂リフレクタ非形成部により、相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域に分割されており、前記樹脂リフレクタ小領域は、少なくとも1つの前記搭載領域を含むのが好ましい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の最外周に位置する一の部位から当該最外周に位置する他の部位まで連続するのが好ましい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明1〜3)においては、前記樹脂リフレクタ形成領域は、略方形状に構成されており、前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続するのが好ましく(発明4)、かかる発明(発明4)においては、前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続するとともに、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する他の二辺間を直線状に連続するのが好ましい(発明5)。
【0012】
上記発明(発明1〜5)においては、前記樹脂リフレクタ非形成部の短手方向の幅が、0.1〜2mmであるのが好ましい(発明6)。
【0013】
また、本発明は、上記発明(発明1〜6)に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける前記搭載領域上にLED素子を実装する工程と、前記搭載領域上に実装された前記LED素子を封止樹脂により封止する工程と、前記搭載領域上に実装された前記LED素子が前記封止樹脂により封止された前記LED用リードフレームを前記ダイシングラインに沿って切断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明7)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂リフレクタを形成した後においてもリードフレームの反り返りによる変形を防止することのできるリフレクタ付きLED用リードフレーム、及び当該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを示す部分平面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における基材を示す部分平面図である。
【図3】図3は、図1に示す本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームのA−A線における部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を示す工程フロー図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける樹脂リフレクタ非形成部の他の構成例(その1)を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける樹脂リフレクタ非形成部の他の構成例(その2)を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける樹脂リフレクタ非形成部の他の構成例(その3)を示す部分断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを用いて製造された半導体装置の他の構成例(その1)を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを用いて製造された半導体装置の他の構成例(その2)を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける基材の他の構成例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを示す部分平面図であり、図2は、本発明の一実施形態における基材を示す部分平面図であり、図3は、図1に示すリフレクタ付きLED用リードフレームのA−A線における部分断面図である。
【0017】
図1〜3に示すように、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、LED素子を搭載するための複数の搭載領域MA及び複数の搭載領域MAのそれぞれを取り囲むようにして樹脂リフレクタ3が形成される樹脂リフレクタ形成領域RAを有する平板状の基材2と、樹脂リフレクタ形成領域RAに形成されてなる樹脂リフレクタ3と、樹脂リフレクタ形成領域におけるダイシングラインDL上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部4とを備える。
【0018】
基材2としては、従来公知のリードフレーム用基材を用いることができ、例えば、銅、銅合金、42合金(ニッケル41%の鉄合金)等の金属基材;セラミックス、ガラス等の電気絶縁性基材表面に導電性材料層を設けてなる複合基材等や、所望によりそれらの基材の一方の面に銀めっき層を含む反射層を備えるものを用いることができ、基材2の放熱性の観点から金属基材を用いるのが好ましい。なお、本実施形態においては、基材2として金属基材を例に挙げて説明する。
【0019】
基材2の大きさは、各搭載領域MAに実装されるLED素子の大きさ、各搭載領域MAのピッチ等に応じて適宜設計されることができ、例えば、55mm×50mm程度、又はそれ以上の大きさである。また、基材2の厚みは、例えば、0.05〜0.5mm程度である。
【0020】
LED素子を搭載するための搭載領域MAは、基材2上の樹脂リフレクタ形成領域RAに樹脂リフレクタ3を設けた際に基材2表面が露出する略長円形状又は略方形状の領域であり、基材2上に所定のピッチでマトリックス状(複数行×複数列)に配列されている。基材2上における搭載領域MAの数は、特に限定されるものではなく、基材2の大きさ、LED素子の大きさ、各搭載領域MAのピッチ等に応じて適宜設定することができる。各搭載領域MAのピッチは、LED素子の大きさ等に応じて適宜設定することができるが、例えば、1.2〜8mm程度である。ここで、搭載領域MAのピッチとは、縦方向又は横方向に隣接する2つの搭載領域MAの中心点間の距離を意味する。なお、LED素子からの発光の反射効率を向上させることを目的として、基材2の少なくとも各搭載領域MA上に銀めっき層等からなる反射層(厚み3μm程度)が電気めっき等により形成されていてもよい。
【0021】
基材2には、縦方向(又は横方向)に並列する複数の搭載領域MAを縦断(又は横断)するようにして貫通スリット5が形成されており、樹脂リフレクタ形成領域RAにおけるダイシングラインDL上に複数の貫通孔6が形成されている。搭載領域MAを縦断(又は横断)する貫通スリット5が形成されていることで、搭載領域MAが大面積の第1リード部71及び小面積の第2リード部72に分割され、ダイシングされて個片化されて得られる半導体装置において、それらを電気的に独立したものとすることができる。また、ダイシングラインDL上に複数の貫通孔6が形成されていることで、ダイシングすべき金属量を少なくすることができるため、ダイシングブレードにかかる負荷を低減することができるとともに、上金型及び下金型を用いて基材2をクランプし、金型のキャビティ内に樹脂を流し込んで硬化させることで樹脂リフレクタ3を形成するときに、当該貫通孔6を介して樹脂リフレクタ形成領域RAに位置するキャビティのすべてに樹脂を行き渡らせることができる。貫通スリット5の狭幅部の短手方向の幅W1は、特に限定されるものではないが、例えば、200〜600μmの範囲で適宜設定することができる。なお、貫通スリット5及び貫通孔6には、樹脂リフレクタ3と同一の樹脂材料が充填されている。
【0022】
樹脂リフレクタ3は、各搭載領域MAの周囲を取り囲むように、かつ当該搭載領域MAを露出させるようにして、樹脂リフレクタ形成領域RAに設けられる。本実施形態においては、樹脂リフレクタ形成領域RA内のダイシングラインDL上の少なくとも一部に線状の樹脂リフレクタ非形成部4が位置することで、樹脂リフレクタ3は、樹脂リフレクタ非形成部4を介して相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域31に分割されている。なお、各樹脂リフレクタ小領域31には、少なくとも1個の搭載領域MA(本実施形態においては2又は4個の搭載領域MA)が含まれる。
【0023】
樹脂リフレクタ3の内側壁面32は、内側壁面32により囲まれた空間70が上方に向けて拡径するように傾斜している。これにより、樹脂リフレクタ3がLED素子からの発光を上方に効率的に反射する機能を果たすことができる。
【0024】
樹脂リフレクタ3の上底面33の幅(縦方向(又は横方向)に隣接する2つの搭載領域MAの中心点を結ぶ線上における上底面33の幅であって、樹脂リフレクタ非形成部4の存在しない部分の幅)W2は、樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅W3、リフレクタ付きLED用リードフレーム1における樹脂リフレクタ3の強度、縦方向(又は横方向)に隣接する搭載領域MAのピッチ等に応じて適宜設定することができる。
【0025】
なお、樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料としては、電気絶縁性を有する材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリフタルアミド、エポキシ、シリコーン、液晶高分子等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、略方形状の樹脂リフレクタ形成領域RAの対向する二辺間をダイシングラインDLに沿って直線状に連続し、かつ他の対向する二辺間をダイシングラインDLに沿って直線状に連続する樹脂リフレクタ非形成部4を有する。すなわち、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、ダイシングラインDL上に位置する格子状の樹脂リフレクタ非形成部4を有する。LED用リードフレームの一表面に射出成型、トランスファ成型等により樹脂リフレクタを形成すると、樹脂材料の硬化収縮により基材2が反り返って変形してしまうが、樹脂リフレクタ非形成部4を有することで、樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料の硬化収縮に起因する応力ひずみを低減することができ、樹脂リフレクタ3を設けてなるリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り返りによる変形を抑制することができる。
【0027】
樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅(樹脂リフレクタ非形成部4における基材2表面上の幅)W3は、0.1〜2mmであるのが好ましく、0.2〜0.6mmであるのがより好ましい。当該幅W3が0.1mm未満であると、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造過程において、ダイシング装置を用いてダイシングラインDLに沿ってリフレクタ付きLED用リードフレーム1をダイシングする際に、当該幅W3がダイシング装置のダイシングブレードの幅よりも小さいために樹脂の削りカスが発生し、得られる半導体装置の特性が低下してしまうおそれがあり、また狭小な幅W3の樹脂リフレクタ非形成部4を設けるための金型の製造コストが増大し、それに伴いリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置の製造コストが増大してしまうおそれがある。また、当該幅W3が2mmを超えると、リフレクタ付きLED用リードフレーム1上の搭載領域MAのピッチを広げる必要があり、1枚のリフレクタ付きLED用リードフレーム1から得られる半導体装置の数が減少するおそれがある。
【0028】
樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する、樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2表面の合計面積の面積率は、2〜35%であるのが好ましく、10〜35%であるのがより好ましく、15〜35%であるのが特に好ましい。当該面積率が2%未満であると、樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料の硬化収縮に起因する応力ひずみを効果的に低減することが困難となり、リフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り返りによる変形を抑制するのが困難となるおそれがある。また、当該面積率が35%を超えると、リフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り返りによる変形を抑制することができるものの、リフレクタ付きLED用リードフレーム1における樹脂リフレクタ非形成部4に隣接する部分の樹脂リフレクタ3の幅が低減してしまい、かかるリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置に欠陥が生じるおそれがある。半導体装置における欠陥の発生を防止すべく、当該樹脂リフレクタ3の幅を増大させると、搭載領域MAのピッチが増大することになり、結果として1枚のリフレクタ付きLED用リードフレーム1から得られる半導体装置の数が減少し、製造歩留まりが低下してしまう。
【0029】
このような構成を有するリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)及び樹脂リフレクタ非形成部4を形成するための所定のキャビティを有する上金型及び下金型を用いて基材2を両面からクランプし、上金型及び下金型を40〜185℃程度に加熱した状態で射出成型、トランスファ成型等により樹脂材料を流し込み、その後上金型及び下金型を冷却して当該樹脂材料を硬化させることにより、基材2の樹脂リフレクタ形成領域RAに樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)を設けることで製造することができる。このときに、樹脂リフレクタ非形成部4に対応する上金型の構造部が基材2のダイシングラインDL上に位置するようにして、基材2が上金型及び下金型によりクランプされるため、ダイシングラインDL上に樹脂リフレクタ非形成部4を有するリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造することができる。
【0030】
このようにして得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、樹脂リフレクタ3が樹脂リフレクタ非形成部4により相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域31に分割されているため、樹脂の硬化収縮に起因する応力ひずみが低減され、基材2の反り返りによる変形を抑制することができる。具体的には、三次元測定機(ミツトヨ社製,製品名:Crysta-Plus M776)を用いて測定したリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(リフレクタ付きLED用リードフレーム1の中心を基準としたときの、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1のZ軸方向(基材2に対する垂直方向)における最大変位量)を、樹脂リフレクタ非形成部4を有しないリフレクタ付きLED用リードフレームの反り量に対して75%以下にすることができる。その結果として、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造過程において樹脂リフレクタ3や所望により設けられる反射層の剥離、亀裂の発生等を抑制することができるとともに、当該製造過程のLED素子実装工程やダイシング工程における位置合わせを容易に行うことができるとともに、位置合わせ精度を向上させることができるという効果も奏し得る。
【0031】
次に、上述したリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造方法を説明する。図4は、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造方法を示す工程フロー図である。
【0032】
図4に示すように、まず、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1を準備し(図4(A))、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1の第1リード部71にLED素子8の一の端子(図示せず)を接続し(図4(B))、第2リード部72にLED素子8の他の端子部8bをボンディングワイヤ81により接続する(図4(C))。このとき、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる変形が抑制されていることで、例えばワイヤーボンダー等のステージ上にリフレクタ付きLED用リードフレーム1を載置する際の位置合わせを容易に行うことができるとともに、位置合わせ精度を向上させることができる。
【0033】
次いで、LED素子8を搭載した搭載領域MA上の樹脂リフレクタ3の内側壁面32で囲まれる空間70内に封止樹脂9を充填し、LED素子8及びボンディングワイヤ81を封止する(図4(D))。封止樹脂9としては、熱や光による変色、透光性の劣化等に対する耐久性に優れた樹脂材料を用いるのが好ましく、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂と、蛍光物質、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の拡散材料の1種又は2種以上とを含むものを用いることができる。
【0034】
その後、ダイシングラインDLに沿ってダイシングすることにより個片化された半導体装置10を得ることができる(図4(E))。このダイシングをする工程(図4(E))において、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる変形が抑制されていることで、ダイシング装置等のステージ上にリフレクタ付きLED用リードフレーム1を載置する際の位置合わせを容易に行うことができるとともに、位置合わせ精度をも向上させることができる。
【0035】
上述したように、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1によれば、基材2上の樹脂リフレクタ3が樹脂リフレクタ非形成部4により複数の樹脂リフレクタ小領域31に分割されていることで、樹脂の硬化収縮に起因する応力ひずみを低減することができるため、リフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる変形を抑制することができる。したがって、リフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)等の剥離・亀裂の発生等を防止することができるとともに、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置10の製造過程において、ワイヤーボンダー(LED素子実装装置)やダイシング装置等のステージ上に当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を載置する際の位置合わせを容易に行うことができるとともに、当該位置合わせ精度を向上させることができる。
【0036】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0037】
上記実施形態において、リフレクタ付きLED用リードフレーム1は、格子状の樹脂リフレクタ非形成部4を有し、樹脂リフレクタ小領域31がマトリックス状に配設されているが、これに限定されるものではなく、例えば、縦方向又は横方向に連続する直線状の樹脂リフレクタ非形成部4を少なくとも1つ有していてもよい。また、図5に示すように、リフレクタ付きLED用リードフレーム1は、環状の樹脂リフレクタ非形成部4を有していてもよいし、図6に示すように、鉤状の樹脂リフレクタ非形成部4を有していてもよい。さらに、断続的な樹脂リフレクタ非形成部4を有していてもよい。
【0038】
上記実施形態において、樹脂リフレクタ小領域31の外側壁面31aは、基材2表面に対して略垂直に立設されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅W3が上方に向けて広がるように、樹脂リフレクタ小領域31の外側壁面31aが傾斜していてもよい。この場合において、基材2表面の垂直方向に対する外側壁面31aのなす角度(傾斜角度)θは、3〜20度であるのが好ましく、5〜10度であるのがより好ましい。上記傾斜角度θが上記範囲内であることで、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を作製するために用いられる金型の製造コストを低減することができ、結果としてリフレクタ付きLED用リードフレーム1の製造コストを低減することができ、ひいては半導体装置10の製造コストをも低減することができる。また、上記傾斜角度θが上記範囲内であることで、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて半導体装置10を製造する工程におけるダイシングラインDLに沿ってダイシングする際のダイシングブレードの磨耗を抑制することができる。一方、上記傾斜角度θが20度を超えると、樹脂リフレクタ非形成部4に隣接する部分の樹脂リフレクタ3の幅が低減することで樹脂リフレクタ3の強度が低下してしまい、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて半導体装置10を製造する工程におけるダイシングラインDLに沿ってダイシングする際に樹脂リフレクタ3にクラック等が生じ、樹脂リフレクタ3が破損してしまうおそれがある。その結果として、製造歩留まりが低下してしまうおそれがある。
【0039】
上記実施形態において、樹脂リフレクタ非形成部4が一部のダイシングラインDL上に位置するようにして、基材2の樹脂リフレクタ形成領域RA上に樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)が設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、すべてのダイシングラインDL上に樹脂リフレクタ非形成部4が位置するように、樹脂リフレクタ(樹脂リフレクタ小領域31)が設けられていてもよい。すなわち、各樹脂リフレクタ小領域31は、1つの搭載領域MAを有するようにして構成されていてもよい。これにより、半導体装置の製造過程におけるダイシング工程において、ダイシングによる樹脂の削りカスの発生量を大幅に低減することができる。
【0040】
上記実施形態において、ダイシングラインDLは、個片化される1つの半導体装置10に一のLED素子8(搭載領域MA)が含まれるように設定されているが、これに限定されるものではなく、1個の半導体装置10に複数個(例えば、4個)のLED素子8(搭載領域MA)が含まれるように設定されていてもよい。
【0041】
上記実施形態において、リフレクタ付きLED用リードフレーム1における搭載領域MAは、基材2の縦方向(又は横方向)に並列する搭載領域MAを縦断(又は横断)する貫通スリット5により、大面積の第1リード部71及び小面積の第2リード部72に分割されているが、これに限定されるものではなく、例えば、基材2の縦方向(又は横方向)に並列する搭載領域MAの略中央を縦断(又は横断)する貫通スリット5により、略同一面積の第1リード部71及び第2リード部72に分割されていてもよい。この場合において、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置10は、図8に示すように、第1リード部71及び第2リード部72を跨ぐようにして、LED素子8の一方の端子部8aが第1リード部71に接続され、他方の端子部8bが第2リード部72に接続された構成とすることができる。また、図9に示すように、搭載領域MAは、基材2の縦方向(又は横方向)に並列する搭載領域MAを縦断(又は横断)する、2つの平行する貫通スリット5,5により、第1〜第3リード部71〜73に分割されていてもよい。この場合において、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置10は、搭載領域MAの中央(2つの貫通スリット5,5の間)に位置する第3リード部73にLED素子8が実装され、LED素子8の一方の端子部8aが第1リード部71に接続され、他方の端子部8bが第2リード部72に接続された構成とすることができる。
【0042】
上記実施形態において、リフレクタ付きLED用リードフレーム1の樹脂リフレクタ形成領域RAにおける基材2の表面及びその裏面は平坦形状に構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、当該表面及び裏面に溝21,22が形成されていてもよい。当該表面に溝21が形成されていることで、樹脂リフレクタ3を基材2上に強固に接着させることができ、当該裏面に溝22が形成されていることで、ダイシングされる基材2の厚み(金属量)をさらに低減することができ、ダイシングブレードにかかる負荷をさらに低減することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0044】
〔実施例1〕
基材2として厚み0.2mm、横55mm×縦50mmの大きさの銅板を準備し、図2に示す形状の貫通スリット5及び貫通孔6をエッチングにより形成した。なお、縦方向に隣接する搭載領域MAのピッチを3mmとし、横方向に隣接する搭載領域MAのピッチを3.7mmとし、基材2上に13行×13列のマトリックス状に配列された搭載領域MAを設けるように、貫通スリット5及び貫通孔6を形成した。
【0045】
このようにして得られた基材2を150℃に加熱した所定の上金型及び下金型でクランプし、樹脂リフレクタ3を構成するエポキシ樹脂を含む樹脂材料(日立化成社製,製品名:CEL−W−7005,硬化収縮率:0.4%(MD/TD))をキャビティ内に流し込み、その後金型を冷却して樹脂材料を硬化させた。なお、上金型として、4つの搭載領域MAを含む25個の樹脂リフレクタ小領域31、6つの搭載領域MAを含む10個の樹脂リフレクタ小領域31及び9つの搭載領域MAを含む1個の樹脂リフレクタ小領域31をマトリックス状に配列させ得る樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した(縦方向に7本及び横方向に7本の樹脂リフレクタ非形成部4)。なお、樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅W3が0.5mmとなるように設定した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:17%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(リフレクタ付きLED用リードフレーム1の中心を基準としたときの、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1のZ軸方向(基材2に対する垂直方向)における最大変位量,mm)を、三次元測定機(ミツトヨ社製,製品名:Crysta-Plus M776)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0046】
〔実施例2〕
1つの搭載領域MAを含む樹脂リフレクタ小領域31をマトリックス状に配列させ得る、縦方向及び横方向のそれぞれに連続する14本の樹脂リフレクタ非形成部4(格子状の樹脂リフレクタ非形成部4)が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:35%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0047】
〔実施例3〕
13個の搭載領域MAを含む樹脂リフレクタ小領域31を横方向に配列させ得る、樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向に連続する14本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:15%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0048】
〔実施例4〕
13個の搭載領域MAを含む樹脂リフレクタ小領域31を縦方向に配列させ得る、樹脂リフレクタ形成領域RAの横方向に連続する14本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:19%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0049】
〔実施例5〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する2本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:5%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0050】
〔実施例6〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する4本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:10%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0051】
〔実施例7〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する6本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:15%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0052】
〔実施例8〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する8本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:20%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0053】
〔実施例9〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する10本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:25%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0054】
〔実施例10〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向に連続する2本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:2%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0055】
〔比較例1〕
樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有しない上金型を使用し、樹脂リフレクタ非形成部4が設けられないようにした以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0056】
〔比較例2〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、液晶高分子樹脂を含む樹脂材料(住友化学社製,製品名:SCG−223,硬化収縮率:0.32%(MD),0.68%(TD))を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0057】
〔比較例3〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、ポリフタルアミド樹脂を含む樹脂材料(ソルベイ社製,製品名:A4422 LS WH118,硬化収縮率:0.5%(MD),0.6%(TD))を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0058】
〔比較例4〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、ポリフタルアミド樹脂を含む樹脂材料(クラレ社製,製品名:ジェネスタTA112,硬化収縮率:0.46%(MD),0.86%(TD))を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0059】
〔比較例5〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、シリコーン樹脂を含む樹脂材料(東レ・ダウコーニング社製,製品名:OE−6665,硬化収縮率:0.6%)を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0060】
〔比較例6〕
上金型を135℃に加熱し、下金型を150℃に加熱した以外は、比較例2と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0061】
〔比較例7〕
上金型及び下金型を80℃に加熱した以外は、比較例2と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、樹脂リフレクタ形成領域RA内のダイシングラインDL上に樹脂リフレクタ非形成部4を有する実施例1〜10のリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、反り量が極めて小さかった。特に、実施例1〜4及び実施例6〜9から明らかなように、樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率を15%以上としても、反り量にほとんど変化が見られなかった。
【0064】
一方、樹脂リフレクタ形成領域内に樹脂リフレクタ非形成部を有しない比較例1〜7のリフレクタ付きLED用リードフレームは、反り量が大きく、硬化収縮率(MD)の低い樹脂材料を用いた比較例2のリフレクタ付きLED用リードフレームにおいても、実施例1〜9のリフレクタ付きLED用リードフレームよりも反り量が大きかった。また、比較例6及び7から明らかなように、金型の加熱温度を低温にしても、反り量に大きな変化は見られなかった。
【0065】
この結果から、樹脂リフレクタ形成領域内(ダイシングライン上)に樹脂リフレクタ非形成部を有することで、樹脂の硬化収縮に伴うリフレクタ付きLED用リードフレームの反り返りによる変形を効果的に抑制し得ることが確認された。特に、実施例1及び2のように、格子状の樹脂リフレクタ非形成部を有することで、樹脂の硬化収縮に伴うリフレクタ付きLED用リードフレームの反り返りによる変形を極めて効果的に抑制し得ることが確認された。特に、樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率を10〜35%、さらには15〜35%とすることで、リフレクタ付きLED用リードフレームの反り返りによる変形を効果的に抑制し、かつかかるリードフレームのダイシング時における樹脂リフレクタの破損等をも効果的に抑制し得るものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、LED素子を利用する種々の半導体装置の製造に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1…リフレクタ付きLED用リードフレーム
2…基材
3…樹脂リフレクタ
31…樹脂リフレクタ小領域
4…樹脂リフレクタ非形成部
8…LED素子
9…封止樹脂
10…半導体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフレクタ付きLED用リードフレーム及びそれを用いて半導体装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)素子を基板上に実装した半導体装置が、表示装置のバックライト、各種電気機器や電子機器の表示灯、車載照明、一般照明等に用いられている。このような半導体装置は、一般に、銅基板等の放熱性基板上に電気絶縁層を介して電極を形成し、この電極上にLED素子を実装してボンディングした後、透光性樹脂で当該LED素子を埋設するようにして封止した構造を有する。
【0003】
このような構成を有する半導体装置は、LED素子を搭載するための複数の搭載領域と、各搭載領域の周囲を取り囲む樹脂リフレクタ形成領域とを有する、銅基板等からなるリードフレームを用意し、当該リードフレームの樹脂リフレクタ形成領域に樹脂リフレクタをトランスファ成型や射出成型等により形成した後、各搭載領域にLED素子を実装し、透光性樹脂でLED素子を埋設するようにして封止し、その後LED素子ごとにダイシングされ個片化されることにより製造される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−182770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにしてリードフレームの樹脂リフレクタ形成領域に樹脂リフレクタをトランスファ成型等により形成すると、トランスファ成型等に用いられる金型のキャビティ内に注入された溶融樹脂の硬化収縮に伴い、樹脂リフレクタ形成後のリードフレームが樹脂リフレクタ形成面を内側にして反り返って変形してしまう。このように変形したリードフレームを用いて半導体装置を製造しようとすると、LED素子を実装する工程においてLED実装装置のステージ上にリードフレームを載置する際の位置合わせが困難となったり、位置合わせ精度が低下したりする場合があるという問題がある。また、LED素子が実装されたリードフレームをLED素子ごとにダイシングする工程においても同様の問題がある。さらに、半導体装置の製造過程における各工程間でのリードフレームの搬送等、リードフレームの取扱性に劣るという問題もある。
【0006】
また、樹脂リフレクタ形成後のリードフレームが反り返って変形してしまうことにより、リードフレーム上に形成された樹脂リフレクタが剥離してしまったり、当該樹脂リフレクタに亀裂が生じてしまったりするという問題もある。さらに、光の反射効率を向上させる目的で、LED素子を実装する基材上に薄膜の銀めっき層等からなる反射層が形成されることがあるが、この場合においても、樹脂リフレクタ形成後のリードフレームの反り返りにより、当該反射層が剥離してしまったり、当該反射層に亀裂が生じてしまったりするという問題もある。
【0007】
上記のような課題に鑑みて、本発明は、樹脂リフレクタを形成した後においてもリードフレームの反り返りによる変形を防止することのできるリフレクタ付きLED用リードフレーム、及び当該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、マトリックス状に配列されてなる、LED素子を搭載するための複数の搭載領域、及び前記複数の搭載領域のそれぞれの周囲を取り囲むように樹脂リフレクタが設けられる樹脂リフレクタ形成領域を有する基材と、前記樹脂リフレクタ形成領域中のダイシングライン上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部と、前記樹脂リフレクタ形成領域中の前記樹脂リフレクタ非形成部を除く領域に設けられてなる樹脂リフレクタとを備えることを特徴とするリフレクタ付きLED用リードフレームを提供する(発明1)。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記樹脂リフレクタは、前記樹脂リフレクタ非形成部により、相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域に分割されており、前記樹脂リフレクタ小領域は、少なくとも1つの前記搭載領域を含むのが好ましい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の最外周に位置する一の部位から当該最外周に位置する他の部位まで連続するのが好ましい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明1〜3)においては、前記樹脂リフレクタ形成領域は、略方形状に構成されており、前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続するのが好ましく(発明4)、かかる発明(発明4)においては、前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続するとともに、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する他の二辺間を直線状に連続するのが好ましい(発明5)。
【0012】
上記発明(発明1〜5)においては、前記樹脂リフレクタ非形成部の短手方向の幅が、0.1〜2mmであるのが好ましい(発明6)。
【0013】
また、本発明は、上記発明(発明1〜6)に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける前記搭載領域上にLED素子を実装する工程と、前記搭載領域上に実装された前記LED素子を封止樹脂により封止する工程と、前記搭載領域上に実装された前記LED素子が前記封止樹脂により封止された前記LED用リードフレームを前記ダイシングラインに沿って切断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明7)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂リフレクタを形成した後においてもリードフレームの反り返りによる変形を防止することのできるリフレクタ付きLED用リードフレーム、及び当該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを示す部分平面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における基材を示す部分平面図である。
【図3】図3は、図1に示す本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームのA−A線における部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を示す工程フロー図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける樹脂リフレクタ非形成部の他の構成例(その1)を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける樹脂リフレクタ非形成部の他の構成例(その2)を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける樹脂リフレクタ非形成部の他の構成例(その3)を示す部分断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを用いて製造された半導体装置の他の構成例(その1)を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを用いて製造された半導体装置の他の構成例(その2)を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームにおける基材の他の構成例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレームを示す部分平面図であり、図2は、本発明の一実施形態における基材を示す部分平面図であり、図3は、図1に示すリフレクタ付きLED用リードフレームのA−A線における部分断面図である。
【0017】
図1〜3に示すように、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、LED素子を搭載するための複数の搭載領域MA及び複数の搭載領域MAのそれぞれを取り囲むようにして樹脂リフレクタ3が形成される樹脂リフレクタ形成領域RAを有する平板状の基材2と、樹脂リフレクタ形成領域RAに形成されてなる樹脂リフレクタ3と、樹脂リフレクタ形成領域におけるダイシングラインDL上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部4とを備える。
【0018】
基材2としては、従来公知のリードフレーム用基材を用いることができ、例えば、銅、銅合金、42合金(ニッケル41%の鉄合金)等の金属基材;セラミックス、ガラス等の電気絶縁性基材表面に導電性材料層を設けてなる複合基材等や、所望によりそれらの基材の一方の面に銀めっき層を含む反射層を備えるものを用いることができ、基材2の放熱性の観点から金属基材を用いるのが好ましい。なお、本実施形態においては、基材2として金属基材を例に挙げて説明する。
【0019】
基材2の大きさは、各搭載領域MAに実装されるLED素子の大きさ、各搭載領域MAのピッチ等に応じて適宜設計されることができ、例えば、55mm×50mm程度、又はそれ以上の大きさである。また、基材2の厚みは、例えば、0.05〜0.5mm程度である。
【0020】
LED素子を搭載するための搭載領域MAは、基材2上の樹脂リフレクタ形成領域RAに樹脂リフレクタ3を設けた際に基材2表面が露出する略長円形状又は略方形状の領域であり、基材2上に所定のピッチでマトリックス状(複数行×複数列)に配列されている。基材2上における搭載領域MAの数は、特に限定されるものではなく、基材2の大きさ、LED素子の大きさ、各搭載領域MAのピッチ等に応じて適宜設定することができる。各搭載領域MAのピッチは、LED素子の大きさ等に応じて適宜設定することができるが、例えば、1.2〜8mm程度である。ここで、搭載領域MAのピッチとは、縦方向又は横方向に隣接する2つの搭載領域MAの中心点間の距離を意味する。なお、LED素子からの発光の反射効率を向上させることを目的として、基材2の少なくとも各搭載領域MA上に銀めっき層等からなる反射層(厚み3μm程度)が電気めっき等により形成されていてもよい。
【0021】
基材2には、縦方向(又は横方向)に並列する複数の搭載領域MAを縦断(又は横断)するようにして貫通スリット5が形成されており、樹脂リフレクタ形成領域RAにおけるダイシングラインDL上に複数の貫通孔6が形成されている。搭載領域MAを縦断(又は横断)する貫通スリット5が形成されていることで、搭載領域MAが大面積の第1リード部71及び小面積の第2リード部72に分割され、ダイシングされて個片化されて得られる半導体装置において、それらを電気的に独立したものとすることができる。また、ダイシングラインDL上に複数の貫通孔6が形成されていることで、ダイシングすべき金属量を少なくすることができるため、ダイシングブレードにかかる負荷を低減することができるとともに、上金型及び下金型を用いて基材2をクランプし、金型のキャビティ内に樹脂を流し込んで硬化させることで樹脂リフレクタ3を形成するときに、当該貫通孔6を介して樹脂リフレクタ形成領域RAに位置するキャビティのすべてに樹脂を行き渡らせることができる。貫通スリット5の狭幅部の短手方向の幅W1は、特に限定されるものではないが、例えば、200〜600μmの範囲で適宜設定することができる。なお、貫通スリット5及び貫通孔6には、樹脂リフレクタ3と同一の樹脂材料が充填されている。
【0022】
樹脂リフレクタ3は、各搭載領域MAの周囲を取り囲むように、かつ当該搭載領域MAを露出させるようにして、樹脂リフレクタ形成領域RAに設けられる。本実施形態においては、樹脂リフレクタ形成領域RA内のダイシングラインDL上の少なくとも一部に線状の樹脂リフレクタ非形成部4が位置することで、樹脂リフレクタ3は、樹脂リフレクタ非形成部4を介して相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域31に分割されている。なお、各樹脂リフレクタ小領域31には、少なくとも1個の搭載領域MA(本実施形態においては2又は4個の搭載領域MA)が含まれる。
【0023】
樹脂リフレクタ3の内側壁面32は、内側壁面32により囲まれた空間70が上方に向けて拡径するように傾斜している。これにより、樹脂リフレクタ3がLED素子からの発光を上方に効率的に反射する機能を果たすことができる。
【0024】
樹脂リフレクタ3の上底面33の幅(縦方向(又は横方向)に隣接する2つの搭載領域MAの中心点を結ぶ線上における上底面33の幅であって、樹脂リフレクタ非形成部4の存在しない部分の幅)W2は、樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅W3、リフレクタ付きLED用リードフレーム1における樹脂リフレクタ3の強度、縦方向(又は横方向)に隣接する搭載領域MAのピッチ等に応じて適宜設定することができる。
【0025】
なお、樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料としては、電気絶縁性を有する材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリフタルアミド、エポキシ、シリコーン、液晶高分子等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、略方形状の樹脂リフレクタ形成領域RAの対向する二辺間をダイシングラインDLに沿って直線状に連続し、かつ他の対向する二辺間をダイシングラインDLに沿って直線状に連続する樹脂リフレクタ非形成部4を有する。すなわち、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、ダイシングラインDL上に位置する格子状の樹脂リフレクタ非形成部4を有する。LED用リードフレームの一表面に射出成型、トランスファ成型等により樹脂リフレクタを形成すると、樹脂材料の硬化収縮により基材2が反り返って変形してしまうが、樹脂リフレクタ非形成部4を有することで、樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料の硬化収縮に起因する応力ひずみを低減することができ、樹脂リフレクタ3を設けてなるリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り返りによる変形を抑制することができる。
【0027】
樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅(樹脂リフレクタ非形成部4における基材2表面上の幅)W3は、0.1〜2mmであるのが好ましく、0.2〜0.6mmであるのがより好ましい。当該幅W3が0.1mm未満であると、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造過程において、ダイシング装置を用いてダイシングラインDLに沿ってリフレクタ付きLED用リードフレーム1をダイシングする際に、当該幅W3がダイシング装置のダイシングブレードの幅よりも小さいために樹脂の削りカスが発生し、得られる半導体装置の特性が低下してしまうおそれがあり、また狭小な幅W3の樹脂リフレクタ非形成部4を設けるための金型の製造コストが増大し、それに伴いリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置の製造コストが増大してしまうおそれがある。また、当該幅W3が2mmを超えると、リフレクタ付きLED用リードフレーム1上の搭載領域MAのピッチを広げる必要があり、1枚のリフレクタ付きLED用リードフレーム1から得られる半導体装置の数が減少するおそれがある。
【0028】
樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する、樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2表面の合計面積の面積率は、2〜35%であるのが好ましく、10〜35%であるのがより好ましく、15〜35%であるのが特に好ましい。当該面積率が2%未満であると、樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料の硬化収縮に起因する応力ひずみを効果的に低減することが困難となり、リフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り返りによる変形を抑制するのが困難となるおそれがある。また、当該面積率が35%を超えると、リフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り返りによる変形を抑制することができるものの、リフレクタ付きLED用リードフレーム1における樹脂リフレクタ非形成部4に隣接する部分の樹脂リフレクタ3の幅が低減してしまい、かかるリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置に欠陥が生じるおそれがある。半導体装置における欠陥の発生を防止すべく、当該樹脂リフレクタ3の幅を増大させると、搭載領域MAのピッチが増大することになり、結果として1枚のリフレクタ付きLED用リードフレーム1から得られる半導体装置の数が減少し、製造歩留まりが低下してしまう。
【0029】
このような構成を有するリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)及び樹脂リフレクタ非形成部4を形成するための所定のキャビティを有する上金型及び下金型を用いて基材2を両面からクランプし、上金型及び下金型を40〜185℃程度に加熱した状態で射出成型、トランスファ成型等により樹脂材料を流し込み、その後上金型及び下金型を冷却して当該樹脂材料を硬化させることにより、基材2の樹脂リフレクタ形成領域RAに樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)を設けることで製造することができる。このときに、樹脂リフレクタ非形成部4に対応する上金型の構造部が基材2のダイシングラインDL上に位置するようにして、基材2が上金型及び下金型によりクランプされるため、ダイシングラインDL上に樹脂リフレクタ非形成部4を有するリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造することができる。
【0030】
このようにして得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、樹脂リフレクタ3が樹脂リフレクタ非形成部4により相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域31に分割されているため、樹脂の硬化収縮に起因する応力ひずみが低減され、基材2の反り返りによる変形を抑制することができる。具体的には、三次元測定機(ミツトヨ社製,製品名:Crysta-Plus M776)を用いて測定したリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(リフレクタ付きLED用リードフレーム1の中心を基準としたときの、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1のZ軸方向(基材2に対する垂直方向)における最大変位量)を、樹脂リフレクタ非形成部4を有しないリフレクタ付きLED用リードフレームの反り量に対して75%以下にすることができる。その結果として、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造過程において樹脂リフレクタ3や所望により設けられる反射層の剥離、亀裂の発生等を抑制することができるとともに、当該製造過程のLED素子実装工程やダイシング工程における位置合わせを容易に行うことができるとともに、位置合わせ精度を向上させることができるという効果も奏し得る。
【0031】
次に、上述したリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造方法を説明する。図4は、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置の製造方法を示す工程フロー図である。
【0032】
図4に示すように、まず、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1を準備し(図4(A))、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1の第1リード部71にLED素子8の一の端子(図示せず)を接続し(図4(B))、第2リード部72にLED素子8の他の端子部8bをボンディングワイヤ81により接続する(図4(C))。このとき、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる変形が抑制されていることで、例えばワイヤーボンダー等のステージ上にリフレクタ付きLED用リードフレーム1を載置する際の位置合わせを容易に行うことができるとともに、位置合わせ精度を向上させることができる。
【0033】
次いで、LED素子8を搭載した搭載領域MA上の樹脂リフレクタ3の内側壁面32で囲まれる空間70内に封止樹脂9を充填し、LED素子8及びボンディングワイヤ81を封止する(図4(D))。封止樹脂9としては、熱や光による変色、透光性の劣化等に対する耐久性に優れた樹脂材料を用いるのが好ましく、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂と、蛍光物質、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の拡散材料の1種又は2種以上とを含むものを用いることができる。
【0034】
その後、ダイシングラインDLに沿ってダイシングすることにより個片化された半導体装置10を得ることができる(図4(E))。このダイシングをする工程(図4(E))において、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる変形が抑制されていることで、ダイシング装置等のステージ上にリフレクタ付きLED用リードフレーム1を載置する際の位置合わせを容易に行うことができるとともに、位置合わせ精度をも向上させることができる。
【0035】
上述したように、本実施形態に係るリフレクタ付きLED用リードフレーム1によれば、基材2上の樹脂リフレクタ3が樹脂リフレクタ非形成部4により複数の樹脂リフレクタ小領域31に分割されていることで、樹脂の硬化収縮に起因する応力ひずみを低減することができるため、リフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる変形を抑制することができる。したがって、リフレクタ付きLED用リードフレーム1(基材2)の反り返りによる樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)等の剥離・亀裂の発生等を防止することができるとともに、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いた半導体装置10の製造過程において、ワイヤーボンダー(LED素子実装装置)やダイシング装置等のステージ上に当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を載置する際の位置合わせを容易に行うことができるとともに、当該位置合わせ精度を向上させることができる。
【0036】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0037】
上記実施形態において、リフレクタ付きLED用リードフレーム1は、格子状の樹脂リフレクタ非形成部4を有し、樹脂リフレクタ小領域31がマトリックス状に配設されているが、これに限定されるものではなく、例えば、縦方向又は横方向に連続する直線状の樹脂リフレクタ非形成部4を少なくとも1つ有していてもよい。また、図5に示すように、リフレクタ付きLED用リードフレーム1は、環状の樹脂リフレクタ非形成部4を有していてもよいし、図6に示すように、鉤状の樹脂リフレクタ非形成部4を有していてもよい。さらに、断続的な樹脂リフレクタ非形成部4を有していてもよい。
【0038】
上記実施形態において、樹脂リフレクタ小領域31の外側壁面31aは、基材2表面に対して略垂直に立設されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅W3が上方に向けて広がるように、樹脂リフレクタ小領域31の外側壁面31aが傾斜していてもよい。この場合において、基材2表面の垂直方向に対する外側壁面31aのなす角度(傾斜角度)θは、3〜20度であるのが好ましく、5〜10度であるのがより好ましい。上記傾斜角度θが上記範囲内であることで、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を作製するために用いられる金型の製造コストを低減することができ、結果としてリフレクタ付きLED用リードフレーム1の製造コストを低減することができ、ひいては半導体装置10の製造コストをも低減することができる。また、上記傾斜角度θが上記範囲内であることで、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて半導体装置10を製造する工程におけるダイシングラインDLに沿ってダイシングする際のダイシングブレードの磨耗を抑制することができる。一方、上記傾斜角度θが20度を超えると、樹脂リフレクタ非形成部4に隣接する部分の樹脂リフレクタ3の幅が低減することで樹脂リフレクタ3の強度が低下してしまい、リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて半導体装置10を製造する工程におけるダイシングラインDLに沿ってダイシングする際に樹脂リフレクタ3にクラック等が生じ、樹脂リフレクタ3が破損してしまうおそれがある。その結果として、製造歩留まりが低下してしまうおそれがある。
【0039】
上記実施形態において、樹脂リフレクタ非形成部4が一部のダイシングラインDL上に位置するようにして、基材2の樹脂リフレクタ形成領域RA上に樹脂リフレクタ3(樹脂リフレクタ小領域31)が設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、すべてのダイシングラインDL上に樹脂リフレクタ非形成部4が位置するように、樹脂リフレクタ(樹脂リフレクタ小領域31)が設けられていてもよい。すなわち、各樹脂リフレクタ小領域31は、1つの搭載領域MAを有するようにして構成されていてもよい。これにより、半導体装置の製造過程におけるダイシング工程において、ダイシングによる樹脂の削りカスの発生量を大幅に低減することができる。
【0040】
上記実施形態において、ダイシングラインDLは、個片化される1つの半導体装置10に一のLED素子8(搭載領域MA)が含まれるように設定されているが、これに限定されるものではなく、1個の半導体装置10に複数個(例えば、4個)のLED素子8(搭載領域MA)が含まれるように設定されていてもよい。
【0041】
上記実施形態において、リフレクタ付きLED用リードフレーム1における搭載領域MAは、基材2の縦方向(又は横方向)に並列する搭載領域MAを縦断(又は横断)する貫通スリット5により、大面積の第1リード部71及び小面積の第2リード部72に分割されているが、これに限定されるものではなく、例えば、基材2の縦方向(又は横方向)に並列する搭載領域MAの略中央を縦断(又は横断)する貫通スリット5により、略同一面積の第1リード部71及び第2リード部72に分割されていてもよい。この場合において、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置10は、図8に示すように、第1リード部71及び第2リード部72を跨ぐようにして、LED素子8の一方の端子部8aが第1リード部71に接続され、他方の端子部8bが第2リード部72に接続された構成とすることができる。また、図9に示すように、搭載領域MAは、基材2の縦方向(又は横方向)に並列する搭載領域MAを縦断(又は横断)する、2つの平行する貫通スリット5,5により、第1〜第3リード部71〜73に分割されていてもよい。この場合において、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1を用いて得られる半導体装置10は、搭載領域MAの中央(2つの貫通スリット5,5の間)に位置する第3リード部73にLED素子8が実装され、LED素子8の一方の端子部8aが第1リード部71に接続され、他方の端子部8bが第2リード部72に接続された構成とすることができる。
【0042】
上記実施形態において、リフレクタ付きLED用リードフレーム1の樹脂リフレクタ形成領域RAにおける基材2の表面及びその裏面は平坦形状に構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、当該表面及び裏面に溝21,22が形成されていてもよい。当該表面に溝21が形成されていることで、樹脂リフレクタ3を基材2上に強固に接着させることができ、当該裏面に溝22が形成されていることで、ダイシングされる基材2の厚み(金属量)をさらに低減することができ、ダイシングブレードにかかる負荷をさらに低減することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0044】
〔実施例1〕
基材2として厚み0.2mm、横55mm×縦50mmの大きさの銅板を準備し、図2に示す形状の貫通スリット5及び貫通孔6をエッチングにより形成した。なお、縦方向に隣接する搭載領域MAのピッチを3mmとし、横方向に隣接する搭載領域MAのピッチを3.7mmとし、基材2上に13行×13列のマトリックス状に配列された搭載領域MAを設けるように、貫通スリット5及び貫通孔6を形成した。
【0045】
このようにして得られた基材2を150℃に加熱した所定の上金型及び下金型でクランプし、樹脂リフレクタ3を構成するエポキシ樹脂を含む樹脂材料(日立化成社製,製品名:CEL−W−7005,硬化収縮率:0.4%(MD/TD))をキャビティ内に流し込み、その後金型を冷却して樹脂材料を硬化させた。なお、上金型として、4つの搭載領域MAを含む25個の樹脂リフレクタ小領域31、6つの搭載領域MAを含む10個の樹脂リフレクタ小領域31及び9つの搭載領域MAを含む1個の樹脂リフレクタ小領域31をマトリックス状に配列させ得る樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した(縦方向に7本及び横方向に7本の樹脂リフレクタ非形成部4)。なお、樹脂リフレクタ非形成部4の短手方向の幅W3が0.5mmとなるように設定した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:17%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(リフレクタ付きLED用リードフレーム1の中心を基準としたときの、当該リフレクタ付きLED用リードフレーム1のZ軸方向(基材2に対する垂直方向)における最大変位量,mm)を、三次元測定機(ミツトヨ社製,製品名:Crysta-Plus M776)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0046】
〔実施例2〕
1つの搭載領域MAを含む樹脂リフレクタ小領域31をマトリックス状に配列させ得る、縦方向及び横方向のそれぞれに連続する14本の樹脂リフレクタ非形成部4(格子状の樹脂リフレクタ非形成部4)が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:35%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0047】
〔実施例3〕
13個の搭載領域MAを含む樹脂リフレクタ小領域31を横方向に配列させ得る、樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向に連続する14本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:15%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0048】
〔実施例4〕
13個の搭載領域MAを含む樹脂リフレクタ小領域31を縦方向に配列させ得る、樹脂リフレクタ形成領域RAの横方向に連続する14本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:19%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0049】
〔実施例5〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する2本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:5%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0050】
〔実施例6〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する4本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:10%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0051】
〔実施例7〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する6本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:15%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0052】
〔実施例8〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する8本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:20%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0053】
〔実施例9〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向及び横方向のそれぞれに連続する10本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:25%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0054】
〔実施例10〕
樹脂リフレクタ形成領域RAの縦方向に連続する2本の樹脂リフレクタ非形成部4が設けられるように、当該樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有する上金型を使用した以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造した(樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率:2%)。そして、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0055】
〔比較例1〕
樹脂リフレクタ非形成部4に対応する構造部を有しない上金型を使用し、樹脂リフレクタ非形成部4が設けられないようにした以外は、実施例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0056】
〔比較例2〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、液晶高分子樹脂を含む樹脂材料(住友化学社製,製品名:SCG−223,硬化収縮率:0.32%(MD),0.68%(TD))を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0057】
〔比較例3〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、ポリフタルアミド樹脂を含む樹脂材料(ソルベイ社製,製品名:A4422 LS WH118,硬化収縮率:0.5%(MD),0.6%(TD))を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0058】
〔比較例4〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、ポリフタルアミド樹脂を含む樹脂材料(クラレ社製,製品名:ジェネスタTA112,硬化収縮率:0.46%(MD),0.86%(TD))を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0059】
〔比較例5〕
樹脂リフレクタ3を構成する樹脂材料として、シリコーン樹脂を含む樹脂材料(東レ・ダウコーニング社製,製品名:OE−6665,硬化収縮率:0.6%)を用いた以外は比較例1と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0060】
〔比較例6〕
上金型を135℃に加熱し、下金型を150℃に加熱した以外は、比較例2と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0061】
〔比較例7〕
上金型及び下金型を80℃に加熱した以外は、比較例2と同様にしてリフレクタ付きLED用リードフレーム1を製造し、得られたリフレクタ付きLED用リードフレーム1の反り量(mm)を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、樹脂リフレクタ形成領域RA内のダイシングラインDL上に樹脂リフレクタ非形成部4を有する実施例1〜10のリフレクタ付きLED用リードフレーム1は、反り量が極めて小さかった。特に、実施例1〜4及び実施例6〜9から明らかなように、樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率を15%以上としても、反り量にほとんど変化が見られなかった。
【0064】
一方、樹脂リフレクタ形成領域内に樹脂リフレクタ非形成部を有しない比較例1〜7のリフレクタ付きLED用リードフレームは、反り量が大きく、硬化収縮率(MD)の低い樹脂材料を用いた比較例2のリフレクタ付きLED用リードフレームにおいても、実施例1〜9のリフレクタ付きLED用リードフレームよりも反り量が大きかった。また、比較例6及び7から明らかなように、金型の加熱温度を低温にしても、反り量に大きな変化は見られなかった。
【0065】
この結果から、樹脂リフレクタ形成領域内(ダイシングライン上)に樹脂リフレクタ非形成部を有することで、樹脂の硬化収縮に伴うリフレクタ付きLED用リードフレームの反り返りによる変形を効果的に抑制し得ることが確認された。特に、実施例1及び2のように、格子状の樹脂リフレクタ非形成部を有することで、樹脂の硬化収縮に伴うリフレクタ付きLED用リードフレームの反り返りによる変形を極めて効果的に抑制し得ることが確認された。特に、樹脂リフレクタ形成領域RAの面積に対する樹脂リフレクタ非形成部4により露出する基材2の合計面積の面積率を10〜35%、さらには15〜35%とすることで、リフレクタ付きLED用リードフレームの反り返りによる変形を効果的に抑制し、かつかかるリードフレームのダイシング時における樹脂リフレクタの破損等をも効果的に抑制し得るものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、LED素子を利用する種々の半導体装置の製造に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1…リフレクタ付きLED用リードフレーム
2…基材
3…樹脂リフレクタ
31…樹脂リフレクタ小領域
4…樹脂リフレクタ非形成部
8…LED素子
9…封止樹脂
10…半導体装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配列されてなる、LED素子を搭載するための複数の搭載領域、及び前記複数の搭載領域のそれぞれの周囲を取り囲むように樹脂リフレクタが設けられる樹脂リフレクタ形成領域を有する基材と、
前記樹脂リフレクタ形成領域中のダイシングライン上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部と、
前記樹脂リフレクタ形成領域中の前記樹脂リフレクタ非形成部を除く領域に設けられてなる樹脂リフレクタと
を備えることを特徴とするリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項2】
前記樹脂リフレクタは、前記樹脂リフレクタ非形成部により、相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域に分割されており、
前記樹脂リフレクタ小領域は、少なくとも1つの前記搭載領域を含むことを特徴とする請求項1に記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項3】
前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の最外周に位置する一の部位から当該最外周に位置する他の部位まで連続することを特徴とする請求項1又は2に記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項4】
前記樹脂リフレクタ形成領域は、略方形状に構成されており、
前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項5】
前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続するとともに、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する他の二辺間を直線状に連続することを特徴とする請求項4に記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項6】
前記樹脂リフレクタ非形成部の短手方向の幅が、0.1〜2mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のリフレクタ付きLED用リードフレームにおける前記搭載領域上にLED素子を実装する工程と、
前記搭載領域上に実装された前記LED素子を封止樹脂により封止する工程と、
前記搭載領域上に実装された前記LED素子が前記封止樹脂により封止された前記LED用リードフレームを前記ダイシングラインに沿って切断する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
マトリックス状に配列されてなる、LED素子を搭載するための複数の搭載領域、及び前記複数の搭載領域のそれぞれの周囲を取り囲むように樹脂リフレクタが設けられる樹脂リフレクタ形成領域を有する基材と、
前記樹脂リフレクタ形成領域中のダイシングライン上に位置する線状の樹脂リフレクタ非形成部と、
前記樹脂リフレクタ形成領域中の前記樹脂リフレクタ非形成部を除く領域に設けられてなる樹脂リフレクタと
を備えることを特徴とするリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項2】
前記樹脂リフレクタは、前記樹脂リフレクタ非形成部により、相互に接触しない複数の樹脂リフレクタ小領域に分割されており、
前記樹脂リフレクタ小領域は、少なくとも1つの前記搭載領域を含むことを特徴とする請求項1に記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項3】
前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の最外周に位置する一の部位から当該最外周に位置する他の部位まで連続することを特徴とする請求項1又は2に記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項4】
前記樹脂リフレクタ形成領域は、略方形状に構成されており、
前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項5】
前記樹脂リフレクタ非形成部は、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する二辺間を直線状に連続するとともに、前記樹脂リフレクタ形成領域の対向する他の二辺間を直線状に連続することを特徴とする請求項4に記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項6】
前記樹脂リフレクタ非形成部の短手方向の幅が、0.1〜2mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリフレクタ付きLED用リードフレーム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のリフレクタ付きLED用リードフレームにおける前記搭載領域上にLED素子を実装する工程と、
前記搭載領域上に実装された前記LED素子を封止樹脂により封止する工程と、
前記搭載領域上に実装された前記LED素子が前記封止樹脂により封止された前記LED用リードフレームを前記ダイシングラインに沿って切断する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−244086(P2012−244086A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115512(P2011−115512)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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