説明

リボヌクレオシド誘導体またはその塩の製造方法

【課題】安価で容易にかつ高収率で2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体からリボヌクレオシドを製造する方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、特定の金属塩で処理することにより、上記課題が達成できることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボヌクレオシド誘導体またはその塩の製造方法、ウリジンセシウム塩、5−メチルウリジンセシウム塩に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にリボヌクレオシドはリボースと核酸塩基をカップリングすることで製造できる。しかしながら、非天然糖であるL−リボースは高価、希少であり、これを用いてL−リボヌクレオシドを大量に製造することは困難であった。L−糖の中で最も安価かつ入手容易なのはL−アラビノースである。このL−アラビノースを原料にL−リボースを製造することが知られている(非特許文献1)。しかしこの方法では、2位の水酸基を立体反転させるために、その他の水酸基の保護や脱保護だけでなく2位水酸基の酸化および還元という多段階の反応が必要であった。また、L−リボヌクレオシドにするためには、さらに核酸塩基とのカップリングを行わなければならない。
【0003】
一方、L−アラビノースを原料に2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(非特許文献2)もしくは2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)チミン(特許文献1)を製造する方法が知られている。これら化合物は、2もしくは3段階で合成でき、かつ糖と核酸塩基がすでにカップリングされた化合物であるため、L−リボヌクレオシド合成にとって魅力的な原料である。しかしながら、これらのD型の化合物が酸およびアルカリにて加水分解されてD−アラビノヌクレオシドを定量的に与えることが報告されている(非特許文献3)。
【0004】
近年、2,2’−アンヒドロ−1−β−(D−アラビノフラノシル)ウラシルに安息香酸カリウムを作用させることでD−ウリジンを製造する方法が報告されている(非特許文献4)。しかしながら反応時間が4日間かつ高温と実用的な方法とはいえなかった。また、当該化合物に炭酸水素ナトリウムのような塩基を作用させてもD−ウリジンに変換されずにそのまま残ることが報告される(非特許文献5)。このように、2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体をリボヌクレオシドへ変換する効率的な方法は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO02/44194号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nucleosides & Nucleotides, 1999, 18, 187-195
【非特許文献2】Nucleic Acid Chemistry Part 1:Townsend, L. B. and Tipson, R. S. Eds., John Wiley & Sons, New York, pp 347-353
【非特許文献3】Synthetic Procedures in Nucleic Acid Chemistry Volume 1:Zorbach, W. W. and Tipson, R. S. Eds., John Wiley & Sons, New York, pp 369-374
【非特許文献4】J. Org. Chem. 2008, 73, 309-311
【非特許文献5】Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids 2006, 25, 719-734
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安価で容易にかつ高収率で2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体からリボヌクレオシドを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の金属塩で処理することにより、上記課題が達成できることを見出した。
即ち、本発明は以下の態様を含む。
〔1〕 一般式(1):
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または水酸基の保護基を示し、XおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、C1−7アシル基、ニトロ基または保護されていてもよいアミノ基を示し、L体、D体またはラセミ体を示す。)
で表される2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体を、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選択される金属の炭酸塩または炭酸水素塩で処理することを特徴とする、一般式(2):
【0011】
【化2】

【0012】
(式中の各記号は前記と同義である。)
で表されることを特徴とする、リボヌクレオシド誘導体またはその塩の製造方法。
〔2〕 金属の炭酸塩で処理することを特徴とする、〔1〕記載の製造方法。
〔3〕 金属がセシウムであることを特徴とする、〔1〕または〔2〕記載の製造方法。
〔4〕 金属の炭酸塩または炭酸水素塩での処理が、非プロトン性極性有機溶媒を含む溶媒中で行われることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕 非プロトン性極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシドおよびN,N−ジメチルホルムアミドから選択されることを特徴とする、〔4〕記載の製造方法。
〔6〕 溶媒がさらに水を含有し、その添加量が、2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体1モルに対して、0.001〜5モルであることを特徴とする、〔4〕記載の製造方法。
〔7〕 Xが水素原子またはメチルであり、Yが水素原子であることを特徴とする、〔1〕記載の製造方法。
〔8〕 2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体およびリボヌクレオシド誘導体が、いずれもL体であることを特徴とする、〔1〕記載の製造方法。
〔9〕 ウリジンセシウム塩。
〔10〕 回折角度(2θ±0.2°、CuKα)として、7.0°、20.9°、26.1°、26.4°、27.0°に固有X線回折ピークを有することを特徴とする、ウリジンセシウム塩結晶。
〔11〕 5−メチルウリジンセシウム塩。
〔12〕 回折角度(2θ±0.2°、CuKα)として、6.4°、23.6°、26.5°、27.1°、29.6°に固有X線回折ピークを有することを特徴とする、5−メチルウリジンセシウム塩結晶。
【発明の効果】
【0013】
特定の金属塩で処理することにより、安価で容易にかつ高収率で2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体からリボヌクレオシドを製造する方法を提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ウリジンセシウム塩の粉末X線回折チャートを示す。
【図2】5−メチルウリジンセシウム塩の粉末X線回折チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、一般式(1):
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または水酸基の保護基を示し、XおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、C1−7アシル基、ニトロ基または保護されていてもよいアミノ基を示し、L体、D体またはラセミ体を示す。)
で表される2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体(以下、化合物(1)ともいう)を、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選択される金属の炭酸塩または炭酸水素塩で処理することを特徴とする、一般式(2):
【0018】
【化4】

【0019】
(式中の各記号は前記と同義である。)
で表されるリボヌクレオシド誘導体(以下、化合物(2)ともいう)またはその塩の製造方法、である。以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。まず、一般式(1)および(2)中の各記号の定義について詳述する。
【0020】
本明細書中における「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。好適には、フッ素原子、塩素原子または臭素原子である。
【0021】
本明細書中における「C1−10アルキル基」とは、炭素数が1〜10個、好ましくは1〜6個の、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。
【0022】
本明細書中における「置換されていてもよいC1−10アルキル基」の置換基としては、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、保護されていてもよいアミノ基等が挙げられる。なお、当該置換基の個数および置換位置は特に限定されない。
【0023】
本明細書中における「C1−6アルコキシ基」とは、炭素数が1〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基であり、具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0024】
本明細書中における「保護されていてもよいアミノ基」におけるアミノ保護基としては、Protecting Groups in Organic Chemistry 2nd edition (John Wiley&Sons, Inc. 1991)に記載の基が挙げられる。具体的には、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル(Ac))、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、メトキシカルボニル(Moc))、C6−10アリール−カルボニル基(例えば、ベンゾイル(Bz))、C7−11アラルキル基(例えば、ベンジル、トリチル)、C7−11アラルキル−カルボニル(例えば、フェニルアセチル)、C7−11アラルキルオキシ−カルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz))、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等が挙げられる。
【0025】
「置換基を有していてもよいC1−10アルキル基」の具体例としては、フルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、ニトロメチル、シアノメチル、−CH−NH−Boc、−CH−NH−Cbz、−CH−NH−Bzおよび−CH−NH−Ac等が挙げられる。
【0026】
好適な「置換されていてもよいC1−10アルキル基」は、C1−10アルキル基であり、より好適にはC1−6アルキル基であり、特に好適にはメチルである。
【0027】
本明細書中における「C1−7アシル基」とは、炭素数1ないし7個の有機カルボン酸から誘導されるアシル基が挙げられる。具体例としては、C1−7アルカノイル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等のC1−6アルキル−カルボニル基等)、ベンゾイル、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等)、フェノキシカルボニル等が挙げられる。
【0028】
本明細書中における「水酸基の保護基」としては、ベンジル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、1,1−ジフェニルエチル、ナフチルメチル等の置換基を有していてもよいアラルキルエーテル型保護基(当該置換基としては、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。);メチル、tert−ブチル、3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、メトキシメチル等の置換基を有していてもよいアルキルエーテル型保護基(当該置換基としては、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。);トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等のシリル型保護基;アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、4−ニトロベンゾイル等のエステル型保護基等が挙げられる。好適には、ベンジル、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルまたはベンゾイルである。
【0029】
およびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、ベンジル、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルまたはベンゾイルが好適であり、水素原子が特に好適である。
XおよびYは、同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子またはC1−6アルキル基が好適であり、水素原子、メチル、フッ素原子、塩素原子または臭素原子がより好適であり、水素原子またはメチルが特に好適である。Xは、特に好適には水素原子またはメチルであり、Yは、特に好適には水素原子である。
Mは、セシウムが好適である。
化合物(1)は、L体、D体、またはラセミ体でも構わず、原料であるL−アラビノースが入手し易いという観点で、L体が好ましい。
【0030】
化合物(2)の塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)、有機塩(例えば、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩)等の塩が挙げられる。中でも、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩が好適であり、カリウム塩、セシウム塩がより好適であり、セシウム塩が特に好適である。
【0031】
本発明に使用される金属の炭酸塩または炭酸水素塩の金属としては、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属が挙げられる。非プロトン性極性有機溶媒への溶解性や収率が高いという観点から、金属の炭酸塩が好ましく、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムがより好ましく、炭酸カリウム、炭酸セシウムが更に好ましく、炭酸セシウムが特に好ましい。
【0032】
本発明に使用される金属の炭酸塩または炭酸水素塩の使用量は、反応が進行しさえすれば特に制限はないが、炭酸塩または炭酸水素塩の使用量下限値は、化合物(1)に対して、0.3当量が好ましく、0.4当量がより好ましく、0.5当量が更に好ましく、0.6当量が更に一層好ましく、0.7当量が殊更好ましく、0.8当量が特に好ましい。一方、炭酸塩または炭酸水素塩の使用量上限値は、化合物(1)に対して、5当量が好ましく、4当量がより好ましく、3当量が更に好ましく、2当量が更に一層好ましく、1.5当量が殊更好ましく、1.2当量が特に好ましい。
【0033】
本発明に使用される溶媒は、反応が進行しさえすれば特に制限はないが、非プロトン性極性有機溶媒が好ましい。非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等が挙げられる。化合物(1)や金属の炭酸塩または炭酸水素塩が溶解し、生成物が高収率で得られるという観点で、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好適であり、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドがより好適であり、ジメチルスルホキシドが特に好適である。溶媒の使用量は、反応が進行しさえすれば特に制限はないが、化合物(1)1モルに対して、1〜100Lが好ましく、2〜10Lがより好ましい。
【0034】
また、化合物(1)および金属の炭酸塩または炭酸水素塩を溶解して反応を促進できるという観点から、溶媒に水を添加する方が好ましい。水の添加量は、目的とする反応が進行すれば特に制限はないが、水の添加量下限値は、化合物(1)1モルに対して、0.001モルが好ましく、0.01モルがより好ましく、0.1モルが更に好ましく、0.2モルが更に一層好ましく、0.3モルが殊更好ましく、0.4モルが特に好ましい。一方、水の添加量上限値は、化合物(1)1モルに対して、5モルが好ましく、3モルがより好ましく、2モルが更に好ましく、1モルが更に一層好ましく、0.9モルが殊更好ましく、0.8モルが特に好ましい。
【0035】
本発明の反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定はないが、使用する化合物(1)、金属の炭酸塩または炭酸水素塩および溶媒の種類により適宜選択され、50〜180℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。本発明の反応時間は反応が進行しさえすれば特に限定はないが、1〜100時間が好ましく、5〜90時間がより好ましく、10〜80時間が更に好ましい。
【0036】
反応終了後、反応液を濾過することにより、化合物(2)が塩の形態で得られる。この塩は、使用した炭酸塩または炭酸水素塩由来のカリウム塩、ルビジウム塩またはセシウム塩である。この塩を、溶媒中、塩酸、硫酸等の酸で処理することにより、化合物(2)が遊離の形態で得られる。必要により、カラムクロマトグラフィー等の常法により精製してもよい。なお、化合物(2)がカリウム塩、ルビジウム塩およびセシウム塩以外の場合、遊離の化合物(2)を対応する塩基で処理することにより得ることができる。
【0037】
上記反応においては、化合物(1)の開環時にアラビノースの2位の水酸基が反転してリボース型に変換される。金属の炭酸塩または炭酸水素塩の使用により反応系はほぼ中性条件となるので、従来のような、アルカリ条件もしくは酸条件にて副生する、一般式(3)で表されるアラビノヌクレオシドを大幅に抑えることができ、化合物(2)またはその塩を高収率で得ることができる。
【0038】
【化5】

【0039】
(式中の各記号は前記と同義である。)
【0040】
化合物(2)におけるRおよびRが水酸基の保護基である場合、化合物(2)またはその塩を接触還元、加水分解等の常法により当該保護基を除去することにより、RおよびRが共に水素原子の化合物(2)またはその塩が得られる。
【0041】
また、原料である化合物(1)は、アラビノースから非特許文献2または特許文献1に記載の方法に従って容易に合成できる。例えば、Xにメチル以外の置換基を導入する方法はTetrahedron, 1975, 31, 1873-1877を参考にすることができる。また、Yに置換基を導入する方法はTetrahedron Lett., 1973, 14, 1147-1150を参考にすることができる。しかも、目的化合物が、抗ウイルス剤テルビブジンやクレブジンの重要中間体であり、オリゴRNAアプタマー医薬品Spiegelmerのモノマーユニットとして使用される、非常に有用なL体の化合物(2)、即ち、化合物(2−L):
【0042】
【化6】

【0043】
(式中の各記号は前記と同義である。)
またはその塩である場合、原料であるL体の化合物(1)、即ち、化合物(1−L):
【0044】
【化7】

【0045】
(式中の各記号は前記と同義である。)
は、天然から容易に入手できるL−アラビノースを出発原料として合成できる。従って、安価に化合物(2−L)またはその塩を製造することができる。
【0046】
なお、化合物(2)のカリウム塩、ルビジウム塩またはセシウム塩、即ち、化合物(2A):
【0047】
【化8】

【0048】
(式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または水酸基の保護基を示し、XおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、C1−7アシル基、ニトロ基または保護されていてもよいアミノ基を示し、Mはカリウム、ルビジウムまたはセシウムを示し、L体、D体またはラセミ体を示す。)
は新規化合物であり、特にセシウム塩は、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミドを含む有機溶媒に対して不溶であり、単離が容易となる点から、非常に有用な化合物である。
一般に、リボース体とアラビノース体とは、結晶性の差異があるので、少しでも高収率にリボース体(化合物(2))への反応が進行すれば、高収率、高純度のリボース体塩(化合物(2A))を単離することができ、最終的には高収率、高純度のリボース体(化合物(2))を得ることができる。
【0049】
化合物(2)またはその塩(特に化合物(2A))は、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により精製してもよい。化合物(2A)は結晶であるため、再結晶による精製が好ましい。化合物(2)の再結晶溶媒としては、化合物の種類により適宜選択され、特に限定されないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。化合物(2A)の再結晶溶媒としては、化合物の種類により適宜選択され、特に限定されないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0050】
また、化合物(2A)の中でも、L体である化合物(2A−L):
【0051】
【化9】

【0052】
(式中の各記号は前記と同義である。)
が有用であり、Mがセシウムの場合が特に有用である。
L−ウリジンセシウム塩は、回折角度(2θ±0.2°, CuKα)が、7.0,16.5,18.2,19.6,20.9,21.6,22.1,23.5,25.2,25.4,26.1,26.4,27.0,27.4,29.5,29.9,27.4°に回折ピークを有する新規結晶を示す。これらの中でも、7.0,20.9,25.4,26.1,26.4,27.0,27.4,29.5°が主要であり、7.0,20.9,26.1,26.4,27.0,27.4,29.5°がより主要であり、7.0,20.9,26.1,26.4,27.0,27.4°が更に主要であり、7.0,20.9,26.1,26.4,27.0°が特に主要である(図1参照)。
また、L−5−メチルウリジンセシウム塩は、回折角度(2θ±0.2°, CuKα)が、6.4,20.3,21.0,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6,31.3,37.5,38.0,39.3°に回折ピークを有する新規結晶を示す。これらの中でも、6.4,20.3,21.0,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6°が主要であり、6.4,21.0,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6°がより主要であり、6.4,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6°が更に主要であり、6.4,23.6,26.5,27.1,29.6°が特に主要である(図2参照)。
【実施例】
【0053】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、粉末X線回折ピークは、アレー式の半導体検出器X'Celeratorを備えた粉末X線回折装置X’Pert PRO (PANalytical社製)により測定したものである。
【0054】
参考例1 2−アミノ−β−L−アラビノフラノ[1’,2’:4,5]−2−オキサゾリンの合成
L−アラビノース(1.30g,8.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(8.7mL)溶液に炭酸カリウム(59.9mg,0.433mmol)およびシアナミド(437mg,10.4mmol)を加えた後、50℃で5時間撹拌した。溶液を室温に冷却した後、酢酸エチル(8.7mL)を加え、スラリーの状態で14時間撹拌した。このスラリーをろ過し、結晶を1:1酢酸エチル/N,N−ジメチルホルムアミド(4.4mL)および酢酸エチル(4.4mL)で洗浄した。得られた結晶を減圧下乾燥し、目的物(1.46g,収率98%)を無色の結晶として得た。
1H-NMR (D2O) δ 3.51 (1H, dd, J = 12.2, 6.9 Hz), 3.58 (1H, dd, J = 12.2, 5.4 Hz), 3.97-4.02 (1H, m), 4.29-4.32 (1H, m), 4.91 (1H, dd, J = 5.6, 1.2 Hz), 5.89 (1H, d, J = 5.6 Hz).
【0055】
参考例2 2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシルの合成
2−アミノ−β−L−アラビノフラノ[1’,2’:4,5]−2−オキサゾリン(87.08g,500.0mmol)の水(500mL)とエタノール(500mL)の混合溶液にプロピオール酸メチル(73.58g,750mmol)を加え、5時間加熱還流した。反応液を20℃まで冷却した後、減圧下溶媒をできる限り(920mL分)留去した。濃縮残渣(199.5g)を25℃の恒温槽に入れ、そこへアセトン(500mL)を30分かけて滴下し、25から5℃まで冷却し、この温度で2時間熟成した後ろ過した。得られた結晶を、アセトン(250mL)で洗浄し、減圧下乾燥することで、目的物(67.6g,収率60.0%)を無色の結晶として得た。
1H-NMR(D2O)δ3.52-3.62 (2H, m), 4.38-4.41 (1H, m), 4.66-4.67 (1H, m), 5.47 (1H, d, J = 5.9 Hz), 6.19 (1H, d, J = 7.4 Hz), 6.54 (1H, d, J = 5.9 Hz), 7.92 (1H, d, J = 7.4 Hz).
【0056】
実施例1 L−ウリジンセシウム塩の合成
アルゴン気流下、2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(1.14g,5.04mmol)および炭酸セシウム(1.30g,3.99mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(11.4mL)溶液を100℃で14時間加熱撹拌した。この時点でのHPLC定量収率は79.3%であった。得られた懸濁液をろ過して、アセトン(5.0mL)で洗浄して、減圧下乾燥させて、L−ウリジンセシウム塩を結晶として得た。
1H-NMR (D2O) δ 3.70 (1H, dd, J = 12.8, 4.6 Hz), 3.80 (1H, dd, J = 12.8, 3.0 Hz), 4.00-4.05 (1H, m), 4.10-4.14 (1H, m), 4.22-4.25 (1H, m), 5.73 (1H, d, J = 7.7 Hz), 5.83 (1H, d, J = 4.6 Hz), 7.62 (1H, d, J = 7.7 Hz).
mp 201℃(dec.)
回折角度(2θ±0.2°, CuKα):7.0,16.5,18.2,19.6,20.9,21.6,22.1,23.5,25.2,25.4,26.1,26.4,27.0,27.4,29.5,29.9,27.4°に回折ピークを示す。中でも、7.0,20.9,25.4,26.1,26.4,27.0,27.4,29.5°が主要であり、7.0,20.9,26.1,26.4,27.0,27.4,29.5°がより主要であり、7.0,20.9,26.1,26.4,27.0,27.4°が更に主要であり、7.0,20.9,26.1,26.4,27.0°が特に主要である(図1参照)。
【0057】
実施例2 L−ウリジンの合成
実施例1で得られたL−ウリジンセシウム塩結晶を、水(5.0mL)に溶解させ、2mol/Lの塩酸水溶液(2.7mL)を加えてpHを7.5とし、溶媒を減圧下留去した。クロマトグラフィー(シリカゲル80g、溶出液10:1→4:1ジクロロメタン−メタノール)により精製し、目的物(0.83g,収率67.4%)を無色の結晶として得た。
1H-NMR (D2O) δ 3.70 (1H, dd, J = 12.8, 4.4 Hz), 3.80 (1H, dd, J = 12.8, 3.0 Hz), 4.01-4.05 (1H, m), 4.10-4.14 (1H, m), 4.23-4.27 (1H, m), 5.79 (1H, d, J = 8.1 Hz), 5.81 (1H, d, J = 5.1 Hz), 7.77 (1H, d, J = 8.1 Hz).
ESI-MASS 243 (M-H).
【0058】
実施例3 L−5−メチルウリジンセシウム塩の合成
アルゴン気流下、2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)チミン(1.21g,5.04mmol)および炭酸セシウム(1.30g,3.99mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(12.1mL)溶液を120℃で24時間加熱撹拌した。この時点でのHPLC定量収率は84.2%であった。得られた懸濁液をろ過して、アセトン(5.0mL)で洗浄し、減圧下乾燥させて、L−5−メチルウリジンセシウム塩を結晶として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.77 (3H, d, J = 1.2 Hz), 3.70 (1H, dd, J = 12.7, 4.4 Hz), 3.80 (1H, dd, J = 12.7, 3.1 Hz), 3.97-4.02 (1H, m), 4.12-4.15 (1H, m), 4.22-4.25 (1H, m), 5.84 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.45 (1H, d, J = 1.2 Hz).
mp 208℃(dec.)
回折角度(2θ±0.2°, CuKα):6.4,20.3,21.0,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6,31.3,37.5,38.0,39.3°に回折ピークを示す。中でも、6.4,20.3,21.0,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6°が主要であり、6.4,21.0,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6°がより主要であり、6.4,23.6,25.5,26.5,27.1,29.6°が更に主要であり、6.4,23.6,26.5,27.1,29.6°が特に主要である(図2参照)。
【0059】
実施例4 L−5−メチルウリジンの合成
実施例3で得られたL−5−メチルウリジンセシウム塩結晶を、水(5.0mL)に溶解させ、2mol/Lの塩酸水溶液(2.6mL)を加えてpHを7.5とし、溶媒を減圧下留去した。クロマトグラフィー(シリカゲル80g、溶出液10:1→4:1ジクロロメタン−メタノール)により精製し、目的物(0.94g,収率72.3%)を無色の結晶として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.79 (3H, d, J = 1.2 Hz), 3.70 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 3.81 (1H, dd, J = 12.8, 3.0 Hz), 3.99-4.03 (1H, m), 4.12-4.15 (1H, m), 4.23-4.26 (1H, m), 5.82 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.59 (1H, d, J = 1.2 Hz).
ESI-MASS 257 (M-H).
【0060】
実施例5 塩基の検討
アルゴン気流下、水(18μL,1mmol)を添加したN,N−ジメチルホルムアミド(4.07mL)溶媒中で、基質2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(463.0mg,2.05mmol)に対して、表1に示す各塩基(2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシルに対して0.8当量相当量)を使用して、100℃で加熱撹拌反応させた。9時間時点のHPLC定量による結果を表1に示した。
【0061】
【表1】

【0062】
安息香酸カリウムや炭酸水素ナトリウムを塩基として使用した場合には、反応が殆ど進行せず、アラビノ体の生成が優勢になってしまうが(比較例1,2)、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウムとも、良好な収率でウリジンの生成を確認することができた(実施例5−1〜5−4)。
【0063】
実施例6 添加水の検討
アルゴン気流下、N,N−ジメチルホルムアミド(40.71mL)溶媒中、基質2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(4.52g,20.00mmol)に対して、炭酸セシウム(5.21g,16.0mmol,0.8当量)を使用して、表2に示す水量(2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシルに対するモル)を添加して、100℃で加熱撹拌反応させた。HPLC定量による結果を表2に示した。
【0064】
【表2】

【0065】
添加水量が無い場合に比べて、添加する程に反応は促進されるが(実施例6−1〜4)、多すぎるとアラビノ体の生成が増加してくることが分かった(実施例6−5〜6−7)。
【0066】
実施例7 L−ウリジンセシウム塩の調製
2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(4.64g,20.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(40.71mL)溶液に炭酸セシウム(5.21g,16.0mmol)および水(0.18g,20.0mmol)を加えた後、100℃で24時間加熱撹拌した。得られたスラリーをろ過し、N,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)で洗浄した後、その結晶を減圧下50℃で乾燥し、目的物(8.38g,L−ウリジンとして63.9wt%、収率71%)を無色の結晶として得た。
【0067】
実施例8 L−ウリジンの調製
L−ウリジンセシウム塩(16.1g,L−ウリジン含量54.2wt%,35.8mmol)の水(36mL)溶液を氷浴につけ、6mol/L塩酸水溶液を加え、pHを2.0に調整した。室温に戻して1時間撹拌した後、減圧下溶媒を留去した。濃縮残渣にメタノール(160mL)を加え、50℃で30分間加熱撹拌した後、室温に戻し、得られたスラリーをろ過し、不溶結晶を除去した。母液を減圧下濃縮し、濃縮残渣(17.99g)をクロマトグラフィー(シリカゲル200g、溶出液4:1酢酸エチル/メタノール)により精製し、目的物(8.57g,35.1mmol、収率98%)を無色の結晶として得た。
【0068】
比較例1 安息香酸カリウムを塩基として使用したL−ウリジンの合成検討
アルゴン気流下、2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(226.2mg,1.0mmol)および安息香酸カリウム(128.2mg,0.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)溶液を100℃で17時間加熱撹拌した。この時点でHPLC定量を行ったところ、原料の2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシルが205.6mg(90.9%)残存しており、L−ウリジンは16.8mg(6.9%)得られるにとどまった。
【0069】
比較例2 炭酸水素ナトリウムを塩基として使用したL−ウリジンの合成検討
アルゴン気流下、2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシル(226.2mg,1.0mmol)および炭酸水素ナトリウム(67.2mg,0.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)溶液を100℃で14時間加熱撹拌した。この時点でHPLC定量を行ったところ、原料の2,2’−アンヒドロ−1−β−(L−アラビノフラノシル)ウラシルが208.5mg(92.2%)残存しており、L−ウリジンは11.9mg(4.9%)得られるにとどまった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、安価で容易にかつ高収率でリボヌクレオシドが得られる。従って、本発明は、特に、抗ウイルス剤テルビブジンやクレブジンの重要中間体であり、オリゴRNAアプタマー医薬品Spiegelmerのモノマーユニットとして使用されるL−リボヌクレオシドの製造には非常に有用な製造方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】


(式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または水酸基の保護基を示し、XおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、C1−7アシル基、ニトロ基または保護されていてもよいアミノ基を示し、L体、D体またはラセミ体を示す。)
で表される2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体を、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選択される金属の炭酸塩または炭酸水素塩で処理することを特徴とする、一般式(2):
【化2】


(式中の各記号は前記と同義である。)
で表されることを特徴とする、リボヌクレオシド誘導体またはその塩の製造方法。
【請求項2】
金属の炭酸塩で処理することを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
金属がセシウムであることを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
金属の炭酸塩または炭酸水素塩での処理が、非プロトン性極性有機溶媒を含む溶媒中で行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
非プロトン性極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシドおよびN,N−ジメチルホルムアミドから選択されることを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
溶媒がさらに水を含有し、その添加量が、2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体1モルに対して、0.001〜5モルであることを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
【請求項7】
Xが水素原子またはメチルであり、Yが水素原子であることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
2,2’−アンヒドロ−1−アラビノフラノシルヌクレオシド誘導体およびリボヌクレオシド誘導体が、いずれもL体であることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
ウリジンセシウム塩。
【請求項10】
回折角度(2θ±0.2°、CuKα)として、7.0°、20.9°、26.1°、26.4°、27.0°に固有X線回折ピークを有することを特徴とする、ウリジンセシウム塩結晶。
【請求項11】
5−メチルウリジンセシウム塩。
【請求項12】
回折角度(2θ±0.2°、CuKα)として、6.4°、23.6°、26.5°、27.1°、29.6°に固有X線回折ピークを有することを特徴とする、5−メチルウリジンセシウム塩結晶。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−148738(P2011−148738A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11755(P2010−11755)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】