説明

リミットスイッチ及び機械式駐車装置

【課題】リミットスイッチの回転不能状態にある検知レバーを元位置に確実に復帰させる。
【解決手段】検知レバー37を強制復帰させる補助レバー45を検知レバー37に取り付ける。ローラ39とストライカ23とが押動接触するまでは、検知レバー37先端をストライカ23と干渉するようにストライカ23との相対移動軌跡上に位置させるとともに、補助レバー45先端をストライカ23と干渉しないようにストライカ23との相対移動軌跡から離間させる。ローラ39とストライカ23との押動接触により検知レバー37が回転すると、補助レバー45先端をストライカ23と干渉するようにストライカ23との相対移動軌跡上に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動物体の位置検知や作動限界検知に使用されるリミットスイッチ及び該リミットスイッチを使用した機械式駐車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、荷役機械や機械式駐車装置においては、パレットやリフト等の移動物体の位置検知手段としてローラレバー式リミットスイッチが多用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなリミットスイッチは、概ね、ハウジング内に収容されプランジャがバネ機構により進退可能に付勢された状態で突設された内蔵スイッチと、上記ハウジングに一端が外部に突出するように回転可能に支承された回転軸と、該回転軸の一端に回転一体に取り付けられ先端にローラが回転自在に軸支された検知レバーとを備えている。上記回転軸の他端側にはカム部材が回転一体に取り付けられ、該カム部材には上記プランジャを押動するカム部が一体に形成されている。また、上記回転軸には復帰用捻りコイルバネが巻き付けられている。そして、このリミットスイッチでは、ローラと移動物体に取り付けられたストライカとの非接触状態にあっては、プランジャはバネ機構により進出していて内蔵スイッチは非作動状態にあるが、ローラと上記ストライカとの相対的な押動接触により検知レバー及び回転軸が捻りコイルバネのバネ力に抗して一体に回転し、カム部材のカム部によりプランジャを押動して後退させることにより内蔵スイッチを作動させるようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平5−62669号公報
【特許文献2】特開2003−86058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如きローラレバー式リミットスイッチは、種々の厳しい環境の下で使用されることがある。例えば、機械式駐車装置においては、入庫車両に付着した雪や雨水がパレット上に落下したり、あるいは駐車装置の枠組体や躯体を伝わることでリミットスイッチにも付着する。冬季寒冷地では、駐車装置が屋外に露出して設置されている場合において、例えば夜間等のように長時間不使用のままにあると、リミットスイッチの検知レバーが取り付けられた回転軸周りに雪や雨水が付着して凍結することがある。特に、パレットに取り付けられたストライカがリミットスイッチのローラに押動接触した状態で、つまり検知レバー及び回転軸を捻りコイルバネのバネ力に抗して一体に回転させてリミットスイッチが作動したままで上記凍結状態にあると、その後にパレットの移動によってストライカがローラから離間しても、検知レバーを上記捻りコイルバネのバネ力で元位置に復帰回転させることができない。このように元位置復帰動作が行われないと、誤検知となってその後の駐車装置全体の制御が不能となってしまう。検知レバーの回転不能事態は、回転軸周りに異物が噛み込んだ場合にも起こり得る。
【0005】
図7は、上記不具合が多段式駐車装置の横行パレット101の移動を検知するリミットスイッチ103で発生した場合を示す。そのうち、図7(a)は横行パレット101が右行し、該横行パレット101に取り付けられた台形状ストライカ105がリミットスイッチ103の検知レバー107先端のローラ109に接触する直前の状態である。図7(b)はストライカ105がローラ109を押動し、検知レバー107を回転軸111回りに所定角度回転させてリミットスイッチ103が作動した状態である。図7(c)は図7(b)の状態で回転軸111周りに付着した雪や雨水が凍結して検知レバー107が元位置に復帰回動できなくなった場合において、横行パレット101が左行し始めた状態である。
【0006】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上述の如きローラレバー式リミットスイッチ等のように検知レバーを有するリミットスイッチにおいて、回転不能状態にある検知レバーを元位置に確実に復帰させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、この発明は、検知レバーに復帰用の補助レバーを取り付けたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、この発明は、ハウジングに回転可能に支承された回転軸を該回転軸に回転一体に設けられた検知レバーの先端被動部と検知対象物体との押動接触により回転させ、上記ハウジング内の内蔵スイッチに進退可能に付勢された状態で突設されたプランジャを上記回転軸の回転動作に連係して後退させて上記内蔵スイッチを作動させるように構成されたリミットスイッチ及び該リミットスイッチを使用した機械式駐車装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1乃至4に記載の発明は、前者のリミットスイッチに関するものであり、そのうち、請求項1に記載の発明は、上記検知レバーには、該検知レバーを強制復帰させる補助レバーが取り付けられ、上記先端被動部と検知対象物体とが押動接触するまでは、上記検知レバー先端は検知対象物体と干渉するように該検知対象物体との相対移動軌跡上に位置するとともに、上記補助レバー先端は検知対象物体と干渉しないように該検知対象物体との相対移動軌跡から離間し、一方、上記先端被動部と検知対象物体との押動接触により上記検知レバーが回転すると、上記補助レバー先端は検知対象物体と干渉するように該検知対象物体との相対移動軌跡上に位置することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、補助レバー先端は、先端被動部と検知対象物体との押動接触により検知レバーが回転した状態で、上記検知対象物体と接触又は僅かな隙間をあけて接近していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、補助レバー先端は、先端被動部と検知対象物体との押動接触により検知レバーが回転した状態で、上記検知対象物体と所定距離だけ離間していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、先端被動部は、検知レバー先端に回転自在に軸支されたローラ、検知レバー先端に一体に設けられた膨出球状体及び検知レバーの先細先端部のいずれかで構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、後者の機械式駐車装置、つまり複数の格納スペース間をパレットが移動することで車両を入出庫するようにした機械式駐車装置に関するものであり、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリミットスイッチが駐車装置の固定側に上記パレットの移動範囲に対応して設けられ、検知対象物体が上記パレットに設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至5に係る発明によれば、検知レバーの先端被動部と検知対象物体との押動接触後に、例えば、冬季寒冷地において、検知レバーの回転軸周りに付着した雪や雨水が凍結したり、回転軸周りに異物が噛み込んだりして検知レバーが回転不能の状態にあっても、上記先端被動部と検知対象物体とが離間すると、補助レバーと検知対象物体とが相対的に押動接触するため、上記検知レバーを強制的に回転させて元位置に確実に復帰させることができ、誤検知や誤制御を未然に防止することができる。また、検知レバーと一体に回転軸も回転するため、回転軸周りの凍結氷塊の粉砕や異物の排除が行われ、その後のリミットスイッチの作動を正常に行わせることができる。
【0015】
特に、請求項2に係る発明によれば、検知レバーの先端被動部と検知対象物体との押動接触により検知レバーが回転した状態で、補助レバー先端が上記検知対象物体と接触又は僅かな隙間をあけて接近しているので、この状態から上記先端被動部と検知対象物体とが離間すると、即座に補助レバー先端と検知対象物体とが押動接触して検知レバーを回転させるため、リミットスイッチが正常であるか異常であるかに拘わらず、補助レバーが検知レバーの元位置復帰の役目を担う。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、検知レバーの先端被動部と検知対象物体との押動接触により検知レバーが回転した状態で、補助レバー先端が上記検知対象物体と所定距離だけ離間しているので、リミットスイッチの正常時には、その後に上記先端被動部と検知対象物体とが離間すると、検知レバーはこの離間動作に追従して自動的に元位置に復帰する。一方、リミットスイッチの異常時には、上記先端被動部と検知対象物体とが離間し始めても、検知レバーは回転復帰しないが、その後に補助レバー先端と検知対象物体とが押動接触して検知レバーを元位置に回転復帰させる。つまり、補助レバーはリミットスイッチの異常時にのみ検知レバーの元位置復帰の役目を担う。また、リミットスイッチの正常時には、補助レバー先端と検知対象物体とが押動接触しないので、請求項2の場合に比べて接触回数つまり接触音が少なくなって好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1はこの発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのピット三段昇降横行式駐車装置の全体概略構成を示す。
【0019】
この駐車装置は、複数本の支柱1及び梁3により枠組まれた枠組体5を骨格として構築され、格納スペースS1〜S3を上下に3段、左右に3列形成している。これら格納スペースS1〜S3のうち上段及び中段格納スペースS1,S2は地上に設けられているが、下段格納スペースS3は地面7を掘削して形成されたピット9内に設けられている。そして、地上階の中段格納スペースS2列前端を乗入面とし、入庫車両Vはこの乗入面から中段格納スペースS2列に位置する空パレットPに乗り入れる一方、出庫車両Vは中段格納スペースS2列に位置するパレットPから乗入面を経て乗り出すようになっている。なお、図1では乗入面側から見て奥の支柱1及び梁3を示し、その前方の支柱1及び梁3は現していない。
【0020】
上記格納スペースS1〜S3は全てが常に格納スペースとして利用されるのではなく、図示のように、3つの上段格納スペースS1にはパレットPが1枚ずつ配置され、3つの下段格納スペースS3にもパレットPが1枚ずつ配置されているが、中段格納スペースS2列にはパレットPが2枚しかなく、3つの中段格納スペースS2のうち1つを空スペースとしている。
【0021】
つまり、上段格納スペースS1に車両Vを入庫する場合や、上段格納スペースS1から車両Vを出庫する場合には、その下方の中段格納スペースS2のパレット(横行パレット)Pをその隣の中段格納スペースS2に横行させて空スペースを形成し、上段格納スペースS1のパレットPが乗入面に下降できるようになっている。
【0022】
下段格納スペースS3に車両Vを入庫する場合や、下段格納スペースS3から車両Vを出庫する場合には、その上方の中段格納スペースS2のパレットPをその隣の中段格納スペースS2に横行させて空スペースを形成し、下段格納スペースS3のパレットPが乗入面に上昇できるようになっている。
【0023】
上記上段及び下段格納スペースS1,3のパレットPは、上部の梁3に設置されたモータ11等からなる昇降機構13に駆動連結されたチェーン15で吊り下げられ、図示しないロッキング装置により一方のパレットPをロックして他方のパレットPを昇降させるようになっている。
【0024】
中段格納スペースS2に車両Vを入庫する場合には、乗入面から中段格納スペースS2のパレットP上にそのまま乗り入れればよく、逆に中段格納スペースS2から車両Vを出庫する場合には、中段格納スペースS2のパレットPから乗入面を経て乗り出せばよい。
【0025】
したがって、各段のパレットPは上述の如き動きをすればよいことから、上段格納スペースS1のパレットPは横行せず、昇降するだけである。下段格納スペースS3のパレットPも上段格納スペースS1のパレットPと同様に横行せず、昇降するだけである。中段格納スペースS2のパレットPは、左右に隣り合う中段格納スペースS2を横行レール17に沿って横行するようになっている。
【0026】
上記駐車装置の固定側である枠組体5には、複数のローラレバー式リミットスイッチ19が上記パレットPの移動範囲に対応して設けられている。具体的には、図1で左端の支柱1を除く3本の支柱1のピット9上方には、上から順に4個のリミットスイッチ19がブラケット20(図3参照)によりそれぞれ設置され、最上部のリミットスイッチ19は、パレットPが上段格納スペースS1の上昇停止位置に上昇したこと、及びパレットPが下段格納スペースS3の下降停止位置に下降したことを検知して各々のパレットPを停止させるためのものである。その下に接近する上から2番目のリミットスイッチ19は、パレットPが上段格納スペースS1の上昇停止位置に接近したことを検知して該パレットPの上昇速度を減速させるためのものである。上から3番目のリミットスイッチ19は、上段格納スペースS1のパレットPが乗入面に下降したことを検知して該パレットPを停止させるためのものである。上から4番目のリミットスイッチ19は、下段格納スペースS3のパレットPが乗入面に上昇したことを検知して該パレットPを停止させるためのものである。
【0027】
図1で右端の除く3本の支柱1のピット9底部寄りには、パレットPが下段格納スペースS3の下降停止位置に接近したことを検知して該パレットPの下降速度を減速させるためのリミットスイッチ19が同じくブラケット20によりそれぞれ設置されている。
【0028】
3つの中段格納スペースS2の各々には、T形状のブラケット21が横行レール17に立設されて配置されている。3つの中段格納スペースS2のうち図1で右端の中段格納スペースS2には、図1で右側のパレットPが右行してきたことを検知して該パレットPを停止させるリミットスイッチ19が1つ上記ブラケット21上面に設置されている。図1で中央の中段格納スペースS2には、図1で右側のパレットPが左行してきたことを検知して該パレットPを停止させるリミットスイッチ19がブラケット21上面に、図1で左側のパレットPが右行してきたことを検知して該パレットPを停止させるリミットスイッチ19が上記ブラケット21下面に1つずつ設置されている。図1で左端の中段格納スペースS2には、図1で左側のパレットPが左行してきたことを検知して該パレットPを停止させるリミットスイッチ19が1つ上記ブラケット21下面に設置されている。
【0029】
一方、上記パレットPには、検知対象物体としてのストライカ23が各リミットスイッチ19に対応して設けられている。図6に中段格納スペースS2を横行するパレットPの後部に取り付けられた台形状のストライカ23を例示し、他のストライカ23はリミットスイッチ19との関係で同様に機能するので図示省略する。
【0030】
上記リミットスイッチ19は、図2に示すように、内蔵スイッチ25が収容されたハウジング27を備え、上記内蔵スイッチ25には、プランジャ29がバネ等の図示しない付勢機構により進退可能に付勢された状態で突設されている。上記ハウジング27は一端にヘッド部31を有し、該ヘッド部31に回転軸33が一端側を外部に突出するように回転可能に支承され、上記ヘッド部31内の回転軸33には捻りコイルバネ35が巻き付けられている。上記回転軸33のヘッド部31外に突出する端部には、検知レバー37が基端に形成された取付孔37aに回転軸33を挿入することで回転一体に取り付けられ、該検知レバー37先端には先端被動部としてのローラ39が軸41で回転自在に軸支されている。
上記回転軸33のヘッド部31に位置する他端側には、カム部材43が回転一体に取り付けられ、該カム部材43外周には上記プランジャ29を押動するカム部43aが一体に形成されている。そして、上記回転軸33を上記検知レバー37先端のローラ39とパレットPのストライカ23との押動接触により捻りコイルバネ35のバネ力に抗して回転させ、プランジャ29を回転軸33の回転動作に連係して後退させて内蔵スイッチ25を作動させるようになっている。
【0031】
この発明の特徴として、上記検知レバー37の基端には、該検知レバー37を強制復帰させる「ヘ」の字形状の補助レバー45が、パレットP(ストライカ23)の移動方向に対して検知レバー37の上流側に位置するようにネジ47で上記検知レバー37と共締めされて取り付けられている(図6参照)。各々のリミットスイッチ19は、このような姿勢になるように枠組体5(支柱1,横行レール17)に取り付けられている(図3乃至図5参照)。そして、上記ローラ39とストライカ23とが押動接触するまでは、上記検知レバー37先端はストライカ23と干渉するように該ストライカ23との相対移動軌跡(図3乃至図5に矢印で示す)上に位置するとともに、上記補助レバー45先端はストライカ23と干渉しないように該ストライカ23との相対移動軌跡から離間している(図6(a)参照)。図6(a)は横行パレットPが右行し、ストライカ23がリミットスイッチ19の検知レバー37先端のローラ39に接触する直前の状態である。一方、上記ローラ39とストライカ23との押動接触により上記検知レバー37が回転すると、上記補助レバー45先端はストライカ23と干渉するように該ストライカ23との相対移動軌跡上でストライカ23の移動方向に対して検知レバー37の上流側に位置し、ストライカ23と接触又は僅かな隙間をあけて接近している(図6(b)参照)。この状態で、ストライカ23がローラ39を押動し、検知レバー37を回転軸33回りに所定角度回転させてリミットスイッチ19が作動する。
【0032】
そして、検知レバー37先端のローラ39とストライカ23との押動接触後に、例えば、冬季寒冷地において、検知レバー37の回転軸33周りの雪や雨水が凍結したり、回転軸33周りに異物が噛み込んだりして検知レバー37が回転不能の状態にあっても、図6(c)に示すように、パレットPが左行して上記ローラ39とストライカ23とが離間すると、ストライカ23が補助レバー45に押動接触するため、上記検知レバー37を強制的に回転させて元位置に確実に復帰させることができ、誤検知や誤制御を未然に防止することができる。
【0033】
また、検知レバー37と一体に回転軸33も回転するため、回転軸33周りの凍結氷塊の粉砕や異物の排除が行われ、その後のリミットスイッチ19の作動を正常に行わせることができる。
【0034】
さらに、上述の如く検知レバー37のローラ39とストライカ23との押動接触により検知レバー37が回転した状態で、補助レバー45先端が上記ストライカ23と接触又は僅かな隙間をあけて接近しているので、この状態から上記ローラ39とストライカ23とが離間すると、即座に補助レバー45先端とストライカ23とが押動接触して検知レバー37を回転させるため、リミットスイッチ19が正常であるか異常であるかに拘わらず、補助レバー45が検知レバー37の元位置復帰の役目を担う。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、補助レバー45先端を、ローラ39とストライカ23との押動接触により検知レバー37が回転した状態で、ストライカ23と接触又は僅かな隙間をあけて接近させたが、ストライカ23と所定距離だけ離間させてもよい。そして、これによれば、リミットスイッチ19の正常時には、その後に上記ローラ39とストライカ23とが離間すると、検知レバー37はこの離間動作に追従して自動的に元位置に復帰する。一方、リミットスイッチ19の異常時には、上記ローラ39とストライカ23とが離間し始めても、検知レバー37は回転復帰しないが、その後に補助レバー45先端とストライカ23とが押動接触して検知レバー37を元位置に回転復帰させる。つまり、補助レバー45はリミットスイッチ19の異常時にのみ検知レバー37の元位置復帰の役目を担う。また、リミットスイッチ19の正常時には、補助レバー45先端とストライカ23とが押動接触しないので、上記の実施の形態の場合に比べて接触回数つまり接触音が少なくなって好ましい。
【0036】
また、上記の実施の形態では、リミットスイッチ19として検知レバー37の先端被動部をローラ39で構成したローラレバー式を例示したが、ローラ39の代わりに検知レバー先端に膨出球状体を一体に設けて先端被動部を構成したり、あるいは検知レバーの先端を先細に形成して該先細先端部で先端被動部を構成してもよい。
【0037】
さらに、上記の実施の形態では、上述の如き補助レバー45を有するリミットスイッチ19をピット三段昇降横行式駐車装置に適用した場合を例示したが、あらゆるタイプの機械式駐車装置に適用することができるものである。そのほか、機械式駐車装置以外の他の装置において移動物体の位置検知や作動限界検知をする必要がある場合にも使用することができ、場合によっては、リミットスイッチを移動物体側に、検知対象物体を装置固定側に設けてよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、移動物体の位置検知や作動限界検知に使用されるリミットスイッチ及び該リミットスイッチを使用した機械式駐車装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態に係るピット三段昇降横行式駐車装置の概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態に係るリミットスイッチにおいて検知レバー及び補助レバーを回転軸から外した状態の斜視図である。
【図3】図1のA部拡大斜視図である。
【図4】図1のB部拡大斜視図である。
【図5】図1のC部拡大斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態に係るリミットスイッチの作用説明図である。
【図7】従来例のリミットスイッチの作用説明図である。
【符号の説明】
【0040】
5 枠組体(固定側)
19 リミットスイッチ
23 ストライカ(検知対象物体)
25 内蔵スイッチ
27 ハウジング
29 プランジャ
33 回転軸
37 検知レバー
39 ローラ(先端被動部)
45 補助レバー
P パレット
S1〜S3 格納スペース
V 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに回転可能に支承された回転軸を該回転軸に回転一体に設けられた検知レバーの先端被動部と検知対象物体との押動接触により回転させ、上記ハウジング内の内蔵スイッチに進退可能に付勢された状態で突設されたプランジャを上記回転軸の回転動作に連係して後退させて上記内蔵スイッチを作動させるように構成されたリミットスイッチであって、
上記検知レバーには、該検知レバーを強制復帰させる補助レバーが取り付けられ、
上記先端被動部と検知対象物体とが押動接触するまでは、上記検知レバー先端は検知対象物体と干渉するように該検知対象物体との相対移動軌跡上に位置するとともに、上記補助レバー先端は検知対象物体と干渉しないように該検知対象物体との相対移動軌跡から離間し、一方、上記先端被動部と検知対象物体との押動接触により上記検知レバーが回転すると、上記補助レバー先端は検知対象物体と干渉するように該検知対象物体との相対移動軌跡上に位置することを特徴とするリミットスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のリミットスイッチにおいて、
補助レバー先端は、先端被動部と検知対象物体との押動接触により検知レバーが回転した状態で、上記検知対象物体と接触又は僅かな隙間をあけて接近していることを特徴とするリミットスイッチ。
【請求項3】
請求項1に記載のリミットスイッチにおいて、
補助レバー先端は、先端被動部と検知対象物体との押動接触により検知レバーが回転した状態で、上記検知対象物体と所定距離だけ離間していることを特徴とするリミットスイッチ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリミットスイッチにおいて、
先端被動部は、検知レバー先端に回転自在に軸支されたローラ、検知レバー先端に一体に設けられた膨出球状体及び検知レバーの先細先端部のいずれかで構成されていることを特徴とするリミットスイッチ。
【請求項5】
複数の格納スペース間をパレットが移動することで車両を入出庫するようにした機械式駐車装置であって、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリミットスイッチが駐車装置の固定側に上記パレットの移動範囲に対応して設けられ、
検知対象物体が上記パレットに設けられていることを特徴とする機械式駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−134161(P2007−134161A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325897(P2005−325897)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(593139271)新明和エンジニアリング株式会社 (109)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】