説明

リモコン装置及び遠隔制御システム

【課題】ユーザ操作指示に応じて電気機器へ制御情報を送信するリモコン装置において、簡単な操作によってユーザの所望する制御情報を電気機器へ送信することができる。
【解決手段】ユーザがリモコン装置を把持するときに接触信号のパターンが登録されたパターンと一致するか否かが判断され(#1)、一致すると判断される場合に使用中のユーザは登録パターンに属するユーザであると識別される(#3)。操作指示が行われたと判断される場合(#4でYES)、時刻識別手段からの時刻情報によって使用時刻が識別され場所識別手段からの場所情報によって使用場所が識別される(#5)。#4で検出された操作指示がユーザごとに予め設定された使用場所、使用時刻の組合せのなかにあるか否かが判断され(#6)、ある場合には(#6でYES)、その操作指示に対応する制御情報が送信される(#7)。送信された制御情報について履歴テーブルが更新される(#8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコン装置及び遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具、エアコン等の家庭用電気機器へ種々の制御情報(電源のオンオフや設定の切替等)を送信するリモコン装置は、家庭用電気機器の多機能化に伴って非常に多くの種類の制御情報を送信することが要求されてきている。そのためにリモコン装置に備えられる制御情報を特定するためのボタンの数も増加している。
【0003】
ボタンの数が増加するとリモコン装置上に小さなボタンが密集して設けられるようになってユーザが所望のボタンを容易に見つけることが困難になり電気機器を正確かつ迅速に制御することが困難になる。
【0004】
リモコン装置上のボタン数を減少させるために、個別ユーザごとの使用頻度がボタンによって異なることに着目して、ユーザごとに使用頻度の低いボタンが省略されるように構成されたリモコン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このリモコン装置では、リモコン装置の表面に液晶パネルによって種々の操作ボタン群が表示されるように構成され、ユーザが、ユーザを特定するための番号ボタンを押すと、押された番号ボタンに予め対応付けられた個別ユーザ用の画面が液晶パネル面に表示される。
【0005】
そして、このリモコン装置の個別ユーザ用の画面では、使用頻度の低いボタンの表示が省略され、表示された少数のボタンは使用頻度に応じた大きさで表示されるので、個別のユーザにとって所望のボタンを見つけやすく、それだけ電気機器を容易に制御しやすくなっている。
【0006】
他方、照明器具、エアコン等の家電機器がネットワークによって集中制御可能に接続されたホームネットワークシステムにおいて、ユーザが携帯する携帯端末から個人識別情報を含む種々の情報を集中制御装置へ送信させ、情報を受信した集中制御装置がその個人識別情報に基づいて家電機器を個人に応じた動作状態に制御するように構成されたホームネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−23487号公報
【特許文献2】特開2005−175660号公報
【特許文献3】特開2003−244776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ユーザが多機能化してきている家庭用電気機器を充分に使いこなせない背景には、上述のようにリモコン装置に搭載するボタンの数が増加するのでユーザが所望のボタンを見つけ難いという事情の他に、リモコン装置上のボタン数を無理に少なくするために同一のボタンが複数の機能を兼用するように構成し、そのことによってボタン押し方法が却って複雑になって、ユーザがそのボタン押し方法を失念し易くなってしまったり、正確なボタン押し操作のために手間取るという事情がある。
【0008】
例えば、明るさが5段階に設定できる照明器具の場合、そのリモコン装置には、できるだけボタン数を少なくするために点灯ボタンの他に明るさを増減変化させるための1つの明るさボタンが搭載される。明るさボタンは、例えばユーザがそれを押す度に照明器具の明るさが段階的に増加又は減少するように構成される。
【0009】
ユーザは、上記のように構成されたリモコン装置を使用して所望の明るさで照明器具を点灯させるために、点灯ボタンを押した上に明るさボタンを数回押して調整しなければならず面倒である。そのために、ユーザは、所望する明るさではない状態でもボタン押し操作による細かな調整を途中で中止したり、あるいは最初から行わない場合がある。
【0010】
また、リモコン装置上のボタン数を減らすために上記明るさボタンが他のボタンと兼用される場合には、当該他のボタンを明るさ調整用として日常的に使用しないユーザにとっては、明るさ調整をするためのボタン押し方法自体を失念してしまう可能性がある。
【0011】
一方、ユーザには固有の好みや習慣があることから、個別のユーザが電気機器を使用する上において利用する機能は、そのユーザの生活習慣に依存したほぼ一定の範囲にパターン化される傾向があることが知られている。
【0012】
例えば、上述の明るさが5段階に設定できる照明器具が寝室に設置されている場合に、その寝室を利用するユーザ(Aさん)の利用状況についてみると、ユーザ(Aさん)は、朝の起床時には照明器具を5段階のうち中間の3段階目の明るさで点灯し、夜の就眠前にはやや暗めの2段階目の明るさで点灯する習慣があり、別のユーザ(Bさん)についてみると、ユーザ(Bさん)は、朝の起床時には早期の覚醒を図るために5段階のうち4段階目の明るさで点灯し、夜の就眠前には最も暗めの1段階目の明るさで点灯する習慣があるといったようにほぼパターン化される。
【0013】
そこで、本発明の発明者は、上記のような知見に基づいて、リモコン装置を使用しているユーザが識別され、さらに当該リモコン装置が使用されている場所と時刻が識別されることによって、それらの組合せに対応して予め設定登録された制御情報の中から操作指示に応じて制御情報が選択されるように構成して、ユーザが行う操作指示の種類(ボタンの数)を相当減少させることができることに気付き本発明に想到することができた。
【0014】
なお、上記特許文献2及び特許文献3は、ホームネットワークシステムに関するものであり、ユーザが保持する携帯端末は、各電気機器を直接制御するものではない。
【0015】
本発明は、ユーザ操作指示に応じて制御対象の電気機器へ制御情報を送信するリモコン装置において、予めユーザごとに、操作指示と使用場所と使用時刻の組合せ別に制御情報を設定しておけば、簡単な操作によってユーザの所望する制御情報を電気機器へ送信させ、電気機器を個別ユーザの生活習慣に沿った動作状態に制御することができ、しかもユーザに所望の操作ボタンを探す等の手間を煩わせることがないリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ユーザ操作指示に応じて制御対象の電気機器へ制御情報を送信する信号送信部を備えるリモコン装置において、前記リモコン装置を使用するユーザを識別するためのユーザ識別手段と、前記リモコン装置が使用される場所を識別するための場所識別手段と、前記リモコン装置が使用される時刻を識別するための時刻識別手段と、ユーザごとに、ユーザ操作指示、使用場所、及び使用時刻の組合せ別に予め設定された制御情報が登録された記憶部と、を備え、前記信号送信部は、前記ユーザ識別手段、場所識別手段、及び時刻識別手段によって識別されたユーザ、使用場所、及び使用時刻の組合せに対応し、かつユーザ操作指示に対応する制御情報を前記記憶部に設定登録された制御情報の中から選択して送信することを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、接触センサ及び/又は加速度センサをさらに備え、前記信号送信部は、前記接触センサ及び/又は加速度センサにより検出されたユーザ操作指示に応じて前記記憶部に設定登録された制御情報を選択して送信することを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、送信された制御情報を、前記ユーザ識別手段、場所識別手段、及び時刻識別手段によって識別されたユーザ、使用場所、及び使用時刻の組合せごとに記憶する履歴記憶部を備え、前記信号送信部は、前記履歴記憶部を参照して頻度の高い制御情報を優先して送信すべき制御情報を選択することを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記履歴記憶部は、送信される制御情報の前後において送信される制御情報を、前記ユーザ識別手段、場所識別手段、及び時刻識別手段によって識別されたユーザ、使用場所、及び使用時刻の組合せごとに記憶し、前記信号送信部は、前記履歴記憶部を参照して次に送信すべき制御情報を予測して選択することを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、他のリモコン装置から送信される制御情報を受信可能な信号受信部をさらに備え、前記記憶部は、前記信号受信部によって受信された制御情報を記憶し、ユーザごとに、ユーザ操作指示、使用場所、及び使用時刻の組合せに応じた制御情報として設定登録することを特徴とする。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のリモコン装置と、前記リモコン装置から送信される制御情報によって制御される電気機器から構成されることを特徴とする遠隔制御システムである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、ユーザ操作指示に応じて制御対象の電気機器へ制御情報を送信する信号送信部を備えるリモコン装置において、予めユーザごとに、操作指示と使用場所と使用時刻の組合せ別に制御情報を設定しておけば、簡単な操作によってユーザの所望する制御情報を電気機器へ送信させ、電気機器を個別ユーザの生活習慣に沿った動作状態に制御することができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、上記効果に加えて、信号送信部が接触センサ及び/又は加速度センサにより検出されたユーザ操作指示に応じて予め設定登録された制御情報の中から対応する制御情報を選択して送信するので、ユーザは、操作ボタンを探す等の手間を煩わされることがない。
【0024】
請求項3の発明によれば、さらに、信号送信部が履歴記憶部を参照して頻度の高い制御情報を優先して選択し送信するので、ユーザの操作指示が正確でない場合でも頻度の高い制御情報が優先して送信され、ユーザにとって常に細部まで正確な操作を強いられることがなく使い勝手が良い。
【0025】
請求項4の発明によれば、請求項3の効果に加えて、信号送信部が履歴記憶部を参照して次に送信すべき制御情報を予測して選択し送信するので、ユーザが一連の操作を行う場合に、ユーザの操作指示が正確でない場合でも正しい制御情報が優先して送信され、ユーザにとって常に細部まで正確な操作を強いられることがなく、一連の操作指示を速やかに正確に行うことができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、さらに、信号受信部が受信した他のリモコン装置からの制御情報が、ユーザごとの操作指示、使用場所、及び使用時刻の組合わせに応じた制御情報として設定登録されるので、電気機器の制御情報を記憶部に設定登録するときの手間が簡略化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るリモコン装置1について、図面を参照して説明する。本実施形態のリモコン装置1は、図1に示されるように、細長の直方体形状の筐体2を有し、一方の端面側に制御対象の電気機器(例えば、ハードディスクレコーダ、エアコン、照明器具等)へ制御情報(例えば、電源のオンオフ、空調モードの切替え等)を赤外光Rとして送信する発光ダイオード3と、加速度センサ4を備える。発光ダイオード3は、後述する制御部5(図2)と共に信号送信部を構成する。
【0028】
加速度センサ4は、3次元方向の加速度の大きさが検出可能に構成され、検出された3次元方向ごとの加速度の大きさは、後述の制御部5に送信される。制御部5は、受信した加速度の情報からユーザがリモコン装置1を上下、左右に振る等の動作によってリモコン装置1に与えられる加速度の方向と大きさを識別する。
【0029】
筐体2の他方の端面側には、電気機器に付属の他のリモコン装置10から送信される赤外光rを受信可能なフォトトランジスタ(信号受信部)6と、リモコン装置1自体のモードを切替えるための設定スイッチ7を備える。ユーザが設定スイッチ7を押すことによって、ユーザの操作指示に応じた制御情報が送信される通常モードと、フォトトランジスタ6によって受信された他のリモコン装置10からの制御情報(赤外光r)を後述の記憶部8に記憶する等の種々の設定が行える設定モードとの間でモードを切替えることができる。
【0030】
両端面以外の4つの筐体外周面2a、2b、2c、2dには、比較的幅狭の2つの側面2b、2dにそれぞれ1列に配置された10個の接触センサS3−1〜S3−10、S6−1〜S6−10が備えられ、比較的幅広の上面2aと下面2cにそれぞれ2列に配置された20個の接触センサS1−1〜S1−10、S2−1〜S2−10、S4−1〜S4−10、S5−1〜S5−10が備えられる。各接触センサS1−1〜S6−10は、例えば歪ゲージから構成され接触の有無と共に接触圧力が電流値として検出可能に構成される。
【0031】
各接触センサは、センサ表面が筐体2の外周面から僅かに突出して、ユーザが視覚及び触覚によって容易に位置を認識できる状態で備えられてもよいし、センサ表面が筐体2の外周面の下に埋設され、ユーザが視覚及び触覚によっては容易に位置を認識できない状態で備えられてもよい。また、接触センサS1−1〜S6−10は、ユーザがリモコン装置1を把持するときにユーザの手が触れる部分をほぼ網羅するように備えられ、本実施形態のリモコン装置1では、筐体2の両端面を除く4つの外周面2a、2b、2c、2dが合計60個の接触センサS1−1〜S6−10で覆われているが、接触センサの数や配置は、筐体2の形状に応じて適宜変更される。
【0032】
次に、本実施形態のリモコン装置1の電気的構成について、図2を参照して説明する。本実施形態のリモコン装置1の電気的構成は、発光ダイオード3、加速度センサ4、フォトトランジスタ6、設定スイッチ7、接触センサS1−1〜S6−10、及びそれらに接続されたマイクロコンピュータから構成される制御部5を備える。
【0033】
また、制御部5には時刻を識別するための時計9と、リモコン装置1が使用される場所を識別するために各電気機器から送信される電波(ID信号)を受信する受信部11と、記憶部8が接続される。記憶部8は、ROMとRAMから構成され、ROMにはリモコン装置1の全般的な動作のためのプログラムが格納され、RAMには当該リモコン装置1から送信される制御情報の履歴等が記憶される。
【0034】
本実施形態のリモコン装置1では、接触センサS1−1〜S6−10、制御部5及び記憶部8によってユーザ識別手段が構成され、時計9と制御部5によって時刻識別手段が構成され、受信部11、制御部5及び記憶部8によって場所識別手段が構成される。以下、各識別手段について順に説明する。
【0035】
制御部5は、60個の接触センサS1−1〜S6−10からそれぞれ接触の有無の信号(以下、接触が有るときの信号を接触信号という)と接触圧力の信号(以下、圧力信号という)を受信し、60個の接触センサS1−1〜S6−10のうちどの領域の接触センサから接触信号を受信するか(接触パターン)に基づき、予め記憶部8内に記憶されているユーザごとの接触パターンと照合してリモコン装置1を把持するユーザの識別を行う。
【0036】
また、制御部5は、60個の接触センサS1−1〜S6−10のうちどの接触センサから接触信号を受信するか、どの接触センサからどの程度の圧力信号を受信するか、及びそれらの信号がどのくらいの時間間隔で受信されるか等によってユーザの行う操作指示(電源のオンオフ、設定の切替え等)を識別する。さらに、制御部5は、加速度センサ4から送信される加速度の情報に基づいてリモコン装置1に加えられた加速度の方向と大きさからユーザの行った操作指示を識別する。
【0037】
制御部5は、時計9から時刻信号を受信することによって接触センサS1−1〜S6−10から接触信号を受信するときの時刻(ユーザがリモコン装置1を使用する時刻)を識別する。
【0038】
リモコン装置1は、制御部5が加速度センサ4から送信される加速度の情報に基づいて該リモコン装置1がユーザによって持上げられて移動されたことを識別できるように構成される。また、図12に示されるように、照明器具102、エアコン103等の各電気機器には、電気機器自体のIDを電波信号として送信する送信部102a、103aが備えられる。
【0039】
そして、リモコン装置1がユーザによって移動されたことを識別したときに、制御部5は、受信部11によって電気機器からの電波(ID信号)を受信し、移動後の位置を識別する。例えば、図12に示されるように、ユーザが2階の居間にあるリモコン装置1を持ち上げて寝室に移動した場合には、リモコン装置1は、寝室の照明器具102から電波を受信して、その電波に含まれるID信号から寝室に移動されたことを認識し、リモコン装置1自体の現在位置を識別する。
【0040】
なお、上記場所識別手段については、各電気機器に送信部102a、103aが備えられる代わりに、各部屋に部屋ごとのID信号を送信する専用の送信装置が備えられてもよいし、リモコン装置1自体にGPS(Global Positioning System)衛星からの位置信号を受信するGPS信号受信装置が備えられて、リモコン装置1がそのGPS信号に基づいて場所を識別するように構成されてもよい。
【0041】
以下、制御情報の送信手順について図3を参照して説明し、その中で制御部5の上記各識別手段の動作について具体的に説明する。
【0042】
図3に示されたフローチャートは、制御部5が記憶部8内のROMに格納されたプログラムを読出して実行する制御情報の送信手順である。制御部5は、まず接触センサS1−1〜S6−10から受信する接触信号のパターンが登録されたパターンと一致するか否かを判断する(#1)。
【0043】
この判断処理について、図4と図5を参照して具体的に説明する。図4と図5は、別々のユーザによって把持されたときの60個の接触センサS1−1〜S6−10からの接触信号の有無をマトリクス状に示すものである。マトリクスの横行が接触センサの各列を表す。図4と図5において着色された位置が接触信号を送信する接触センサの位置を表し、図4においては、1列目の接触センサS1−2〜S1−8と、2列目の接触センサS2−2、S2−5〜S2−8と、3列目の接触センサS3−5〜S3−8と、4列目の接触センサS4−4〜S4−8と、5列目の接触センサS5−3〜S5−8と、6列目の接触センサS6−2〜S6−8が接触信号を送信していることが表されている。図5においては、図4と異なった位置の接触センサが接触信号を送信していることが表されている。
【0044】
上記のようにユーザによって把持されたリモコン装置1の接触センサS1−1〜S6−10からは、把持の態様によって異なった位置及び異なった数の接触センサが接触信号を送信し、制御部5は、その接触信号を受信して接触パターンとして認識する。例えば、ユーザAさんがリモコン装置1を把持するときに図4に示される接触パターンが認識され、ユーザBさんがリモコン装置1を把持するときに図5に示される接触パターンが認識される。
【0045】
ユーザによる把持の態様は、ユーザの手の大きさや持ち方の癖等によって各ユーザごとに異なるが、同一のユーザについては、把持する時間や場所が変わっても概ね一定しており、接触パターンも各ユーザごとに概ね一定している。つまり、接触パターンが一致するか否かを判断することによって、ユーザの識別が可能である。
【0046】
そして、記憶部5のRAMには、後述する方法によって予めユーザごとの接触パターンが記憶されており、この予め記憶された接触パターン(以下、登録パターンという)のうちのいずれかと、制御部5が現在認識する接触パターンが一致するか否かが判断される。具体的には、接触パターンを構成する接触信号を送信している接触センサの位置が一致するか否かが判断される。
【0047】
なお、同一のユーザであっても少しは持ち方が変わる場合があるので、接触信号を送信している接触センサの位置が完全に一致する場合以外にも、次のような場合は、接触パターンと登録パターンが一致すると判断する。
【0048】
例えば、ユーザの把持位置がリモコン装置1の長手方向においてずれる場合があり、この場合は、接触信号を送信する接触センサの位置が全体的に接触センサの列に沿った方向にずれる。また、ユーザがリモコン装置1の前後又は上下を間違えて把持する場合があり、この場合には、接触信号を送信する接触センサの位置は全体として前後又は上下が反転した状態となる。
【0049】
これらの場合は、図4及び図5において表される接触パターンの形状が左右に移動したり、左右に反転したりするが、全体の形状が同一であれば、その接触パターンは登録パターンと一致するものとする。さらに、ユーザが把持することによって得られる接触パターンと登録パターンの差異が僅か(全接触センサ数の数パーセント程度)である場合にも、両パターンは一致するものとする。
【0050】
上記の処理によって接触パターンが登録パターンのいずれとも一致しない場合には(#1においてNO)、制御部5は、その接触パターンを新しい接触パターンとして登録し(#2)、記憶部8に記憶する。
【0051】
上記処理によって接触パターンが登録パターンのうちのいずれかと一致すると判断される場合には(#1においてYES)、使用中のユーザは、一致する登録パターンのユーザ(例えば、Aさん)であると識別する(#3)。
【0052】
次に、制御部5は、ユーザによる操作指示が行われたか否かを判断する(#4)。ユーザによる操作指示は、ユーザがリモコン装置1を把持した状態で、例えば人差し指の先で筐体2の外周面を軽く叩く動作や、リモコン装置1全体を左右に振る動作によって行われる。この判断処理について、図6乃至図8を参照して具体的に説明する。
【0053】
図6乃至図8は、いずれも同一のユーザ(Aさん)がリモコン装置1を把持するときの接触パターンを表す。今、ユーザがリモコン装置1を把持したまま親指の先で筐体2の外周面を軽く叩く動作を行うと、親指の先に相当する接触センサS6−2が一定の時間間隔で接触信号を断続して送信する。図6において、暗色に示された部分が接触信号を断続して送信する接触センサS6−2を示す。
【0054】
また、ユーザがリモコン装置1を把持したまま人差し指の先で筐体2の外周面を左右に交互に叩く、又は左右に撫でる動作を行うと、人差し指の先に相当する接触センサS1−2、S2−2が一定の時間間隔で接触信号を断続して送信する。図7において、暗色に示された部分が接触信号を断続して送信する接触センサS1−2、S2−2を示す。
【0055】
さらに、ユーザがリモコン装置1を把持したまま上下に強く握り締めると、リモコン装置1の筐体2の上下面に相当する接触センサS1−2〜S1−8等が所定以上の接触圧力を受け、その圧力値を制御部5に対して送信する。図8において、暗色に示された部分が所定以上の圧力を受ける接触センサを示す。
【0056】
ユーザによる操作指示は、基本的には、ユーザが最初にリモコン装置1を把持した以後に行う経時変化を伴う動作であり、それらの動作によって接触センサS1−1〜S6−10、又は加速度センサ4から制御部5へ送信される信号に経時変化を伴う。以下、上記のようなユーザがリモコン装置1を把持した状態で制御部5が受信する信号の変化を信号変化パターンという。また、図6乃至図8に示される信号変化パターンを生じさせる操作指示を、それぞれ操作指示P1、操作指示P2及び操作指示P3という。
【0057】
制御部5は、加速度センサ4、又は接触センサS1−1〜S6−10から受信する信号において上記のような変化を検出する場合に、ユーザによって操作指示が行われたと判断する(#4においてYES)。
【0058】
次に、制御部5は、その時点における時刻情報とリモコン装置1の場所情報を、時刻識別手段と場所識別手段から取得し、リモコン装置1が使用される時刻と場所を識別する(#5)。例えば、制御部5は、使用時刻が午前7時であり、使用場所が寝室であると識別する。
【0059】
次に、制御部5は、#4において識別した操作指示(例えば、操作指示P1)が記憶部5に予めユーザごとに設定登録されている寝室における午前7時の時間帯における複数の操作指示の中に一致する操作指示があるか否かを判断する(#6)。
【0060】
この判断処理について、例を挙げて詳細に説明する。今、記憶部8には、ユーザ(Aさん)に属する情報が、使用場所、使用時間帯及び操作指示ごとに区分されて、図9に示されるように設定登録されているとする。操作指示P1〜操作指示P3(信号変化パターン)は、それぞれ記憶部5内にディジタル化されて記憶される。
【0061】
図9に示された情報について説明する。使用場所が寝室であり、使用時間帯が午後10時から翌朝午前6時の間において操作指示P1に対応する制御情報は「照明器具102の点灯(明るさ1段階目)」、同じく使用時間帯が午前6時から午後4時の間において操作指示P1に対応する制御情報は「照明器具102の点灯(明るさ4段階目)」、同じく使用時間帯が午後4時から午後6時の間において操作指示P1に対応する制御情報は「照明器具102の点灯(明るさ3段階目)」のように設定されている。なお、照明器具102は、明るさが5段階に設定されるものであるとする。
【0062】
同様に、使用場所が寝室であり、使用時間帯が午後7時から翌朝午前8時の間において操作指示P2に対応する制御情報は「エアコンの電源オン(暖房モード、設定温度20℃)」、同じく使用時間帯が午前8時から午後7時の間において操作指示P2に対応する制御情報は「エアコンの電源オン(暖房モード、設定温度18℃)」である。
【0063】
また、使用場所が居間であって、使用時間帯が午後6時から翌朝午前9時の間において操作指示P2に対応する制御情報は「エアコンの電源オン(暖房モード、設定温度23℃)」、同じく使用時間帯が午前9時から午後6時の間において操作指示P2に対応する制御情報は「エアコンの電源オン(暖房モード、設定温度20℃)」である。
【0064】
さらに、使用場所が居間であって、使用時間帯が午後11時から翌日の午後6時の間において操作指示P3に対応する制御情報は「ハードディスクレコーダの電源オン(通常モード)」、同じく使用時間帯が午後6時から翌日の午後11時の間において操作指示P3に対応する制御情報は「ハードディスクレコーダの電源オン(録画モード)」である。
【0065】
使用場所が玄関であって、使用時間帯が午後5時から翌朝の午前7時の間において操作指示P1に対応する制御情報は「玄関灯の点灯」、同じく使用時間帯が午前7時から午後5時の間において操作指示P1に対応する制御情報は「玄関灯の点灯(補助灯の点灯)」である。
【0066】
なお、記憶部8に設定登録された制御情報は、図9に示されたように、概ね統一されて操作指示P1によって照明器具が点灯され、操作指示P2によってエアコンが電源オンされ、操作指示P3によってハードディスクレコーダが電源オンされるように設定されているが、後に説明するように記憶部8への設定登録は、ユーザがユーザ自身の便利なように任意に行うことができる。例えば、居間と寝室ではエアコンの電源をオンするための操作指示が異なっていてもよいし、仮に居間においてエアコンを制御する必要がない場合には、居間におけるハードディスクレコーダの制御のための操作指示が操作指示P1あるいは操作指示P2で行われるように設定されてもよい。
【0067】
図3のフローチャートに戻って説明する。制御部5は、#4において識別した操作指示(操作指示P1)が、#5において識別した条件(使用場所:寝室、使用時刻:午前7時)の範囲において図9に示されるユーザごとに設定登録された情報の中にあるか否かを判断する(#6)。ないと判断される場合(#6においてNO)には、制御部5はユーザによる次の操作指示を待つ。
【0068】
あると判断される場合(#6においてYES)には、制御部5は、その条件(使用場所:寝室、使用時刻:午前7時)と操作指示(操作指示P1)の組合せに対応する制御情報「照明器具点灯の点灯(明るさ4段階目)」を、信号送信部(発光ダイオード3)から赤外光Rとして送信する(#7)。
【0069】
以上の説明から明らかなように、使用するユーザが同一であり操作指示が同一であっても、使用場所及び使用時刻が異なる場合は、リモコン装置1から送信される制御情報が異なる場合がある。
【0070】
例えば、図9から明らかなように、使用場所が寝室であり使用時刻が午前5時の場合に、ユーザによって操作指示P1が入力されるときは、制御情報「照明器具点灯の点灯(明るさ1段階目)」がリモコン装置1から送信され、照明器具102は、ユーザが覚醒してしまわない程度の最小限の明るさで点灯されるが、使用場所が寝室であって、ユーザが操作指示P1を入力する場合であっても使用時刻が午後5時の場合には、制御情報「照明器具点灯の点灯(明るさ3段階目)」がリモコン装置1から送信され、照明器具102は、夕暮れ時に適した中程度の明るさで点灯される。
【0071】
また、使用場所が玄関であり使用時刻が午前10時の場合に、ユーザによって操作指示P1が入力されるときは、制御情報「玄関灯の点灯(補助灯の点灯)」がリモコン装置1から送信され、昼間であるので玄関灯は、本体ではなく補助灯が点灯される。
【0072】
さらに、図9から明らかなように、ユーザが寝室及び居間においてリモコン装置1を操作してエアコンを電源オンする場合に、寝室において操作指示P2を入力して操作する場合と、居間において同じく操作指示P2を入力して操作する場合では、ユーザがいちいちそれらに適合するような複雑なボタン押し操作を行わなくとも、単一の操作(操作指示P2)によって場所と時刻に適合するように設定温度が細かく調整されてエアコンが運転開始される。
【0073】
再び図3のフローチャートに戻って説明する。制御部5は、信号送信部から送信した制御情報について、記憶部8に記憶されている制御情報履歴テーブルの累積送信回数をインクリメントして制御情報履歴テーブルを更新する(#8)。
【0074】
この処理について、図10を参照して説明する。図10は、制御情報履歴テーブルTの構成例を示す。制御情報履歴テーブルTは、ユーザ、使用場所及び使用時刻の組合せごとに作成される。例えば、図10に示される制御情報履歴テーブルTは、ユーザ(Aさん)の寝室における午前7時から午後1時の間に送信された制御情報に関するものである。
【0075】
制御情報履歴テーブルTには、リモコン装置1が使用開始されてから今までに送信した制御情報についての累積送信回数と頻度が記憶される。頻度は、全制御情報についての累積送信回数の総数に対する該当する制御情報の累積送信回数の割合で表される。
【0076】
例えば、図10に示されるように、制御情報「照明器具点灯」について累積送信回数が32回、頻度が25%、制御情報「照明器具消灯」について累積送信回数が32回、頻度が25%、制御情報「エアコンの電源オン」について累積送信回数が14回、頻度が10%、制御情報「エアコンの電源オフ」について累積送信回数が13回、頻度が9%、のように記憶される。
【0077】
なお、図10の制御情報履歴テーブルTにおける制御情報「照明器具点灯」は、制御情報「照明器具点灯(明るさ1段階目)」、制御情報「照明器具点灯(明るさ4段階目)」、及び制御情報「照明器具点灯(明るさ3段階目)」を総合して集計されたものであるが、記憶部8に設定登録された制御情報ごとに履歴が記録されるものであってもよい。
【0078】
今、例えば、#7の処理において制御部5が制御情報「エアコンの電源オフ」を送信した場合には、制御部5は、#8の処理において制御情報履歴テーブルTの制御情報「エアコンの電源オフ」についての累積送信回数を14回へインクリメントし、頻度を10%へ更新する。
【0079】
次に、制御部5は、#8において更新された制御情報履歴テーブルTに基づいて、送信した制御情報についての頻度が所定値以上か否かを判断する(#9)。例えば、所定値が10%に設定されている場合には、上記の例において、制御情報「エアコンの電源オフ」の頻度は10%に到達するので、制御情報「エアコンの電源オフ」の頻度は所定値以上であると判断される(#9においてYES)。
【0080】
そして、制御情報の頻度が所定値以上であると判断される場合には、制御部5は、その制御情報についての識別条件を緩和する(#10)。
【0081】
この処理について具体的に説明する。制御部5は、ユーザが行った操作指示と同一の操作指示が記憶部8に予め設定登録されている同一ユーザ及び同一条件(使用場所と使用時刻)が組合わされた操作指示の中にあるか否かを、前述のとおり、各操作指示に対応する信号変化パターンが一致するか否かに基づいて判断するが、#9において頻度が所定値以上と判断された制御情報については、この#6における識別条件を緩和する。
【0082】
上記の例に沿ってさらに説明する。今、制御部5は、#6において、例えば、設定登録された操作指示P1に対応する信号変化パターン(接触センサS6−2から接触信号が断続して送信される)と、判断対象とされる操作指示に対応する信号変化パターン(接触センサS5−2から接触信号が断続して送信される)を比較する場合に、識別条件が緩和されないときには、設定登録された操作指示P1に対応する信号変化パターンと判断対象とされる操作指示に対応する信号変化パターンは明らかに異なるので、#6における判断はNOと判断する。
【0083】
ところが、#6における識別条件が緩和されると、例えば、上記の例であれば、断続した接触信号を送信する接触センサ(S6−2とS5−2)の位置は近接した位置であるので、この程度の相違であるならば、信号変化パターンは一致すると看做して#6における判断をYESとする。
【0084】
これをユーザ側の観点からみるならば、ユーザは、例えば、「エアコンの電源オフ」の操作指示を行うつもりで、親指で筐体2の側面を軽く叩く場合でも叩く位置が通常よりずれてしまう場合がある。その場合にも、上記のように識別条件が緩和されていれば、制御部5は、ユーザが本来意図した操作指示(「エアコンの電源オフ」を送信させるための操作指示)であるとして識別する。
【0085】
頻度が高い操作指示(例えば、「照明器具点灯」、「照明器具消灯」等を送信させるための操作指示)については、上記のように識別条件が緩和されても問題はなく、むしろユーザにとって、操作指示の動作を細部まで正確に行うことを強いられることがなく使い勝手がよい。換言すれば、頻度が高い操作指示については、ユーザに要求される操作の正確性の程度が緩和され、ユーザがリモコン装置1を気軽に使用できる。
【0086】
また、制御情報履歴テーブルTに記憶させる情報として、送信された制御情報ごとの頻度等とは別に、頻度の高い制御情報についてその制御情報が送信される前後において送信される制御情報の頻度を記憶させることによって、関連性のある一連の操作については、ユーザに要求される操作の正確性の程度が緩和されて、ユーザが小さな操作ミスをしても制御部5がユーザが本来意図した操作指示として識別できるように構成できる。
【0087】
これについて、図11(a)及び図11(b)を参照して説明する。図11(a)は、制御情報「照明器具点灯」について、リモコン装置1が使用開始されてから今までに制御情報「照明器具点灯」が送信された直前に送信された制御情報の履歴が記憶された制御情報履歴テーブルTaであり、図11(b)は、同様に、リモコン装置1が使用開始されてから今までに制御情報「照明器具点灯」が送信された直後に送信された制御情報の履歴が記録された制御情報履歴テーブルTbである。
【0088】
図11(a)に示される制御情報履歴テーブルTaおいては、制御情報「照明器具点灯」が送信される直前に送信された制御情報は、「エアコンの電源オン」が頻度50%であり、「エアコンの電源オフ」が頻度25%であることが記憶されている。また、図11(b)に示される制御情報履歴テーブルTbおいては、制御情報「照明器具点灯」が送信された直後に送信された制御情報は、「エアコンの電源オフ」が頻度30%であり、「照明器具消灯」が頻度10%であることが記憶されている。
【0089】
これによって、制御部5は、ユーザ(Aさん)が寝室において制御情報「照明器具点灯」を選択する直前には制御情報「エアコンの電源オン」を選択する可能性が高く、制御情報「照明器具点灯」を選択した直後には制御情報「エアコンの電源オフ」が選択される可能性が高いことを認識する。
【0090】
そして、前述の#9と#10における処理とほぼ同様に、図11(a)及び図11(b)の制御情報履歴テーブルTa、Tbにおいて記録された制御情報の頻度が所定値以上となった場合には、その制御情報についての識別条件を緩和する。
【0091】
例えば、今、ユーザ(Aさん)が寝室において行った直前の操作指示が制御情報「エアコンの電源オン」を選択するものであった場合に、制御部5が、次にユーザが行う操作指示を図3のフローチャートに沿って識別するとき、#6の識別処理において制御情報「照明器具点灯」に対応する操作指示の識別条件を緩和する。
【0092】
これによって、ユーザの、次の制御情報「照明器具点灯」に対応する操作指示の動作が正確ではない場合でも、制御部5は、ユーザが本来意図した可能性が高い制御情報「照明器具点灯」を予測して、制御情報「照明器具点灯」に対応する信号変化パターン(操作指示)に近い信号変化パターンが検出される場合には、制御情報「照明器具点灯」を赤外光Rとして送信する。
【0093】
従って、上記の機能は、ユーザによる操作指示の入力が比較的短い時間間隔で次々と実行されるハードディスクレコーダ等の電気機器において特に効果的である。例えば、ハードディスクレコーダにおいて、ユーザが日常的に行っている一連の操作どおりに続けて操作指示を行う場合(例えば、「電源オン」→「再生」→「早送り」等)には、ユーザに要求される操作の正確性の程度が緩和されて、ユーザが小さな操作ミスをしても制御部5はユーザが本来意図した制御情報を送信する。
【0094】
以上のように本実施形態のリモコン装置1では、ユーザがリモコン装置1を把持する態様が一定しないとか、操作指示のときのユーザの手の動作が一定しない等の問題があっても、ユーザが本来意図する可能性の高い制御情報を電気機器へ向けて送信することができる。
【0095】
次に、リモコン装置1の記憶部8に、リモコン装置1の使用場所、使用時刻及び操作指示に対応付けて制御情報を記憶させる手順(以下、設定手順という)について説明する。
【0096】
この設定手順を実行するためには、事前に設定スイッチ7を押してリモコン装置1を設定モードに切替える。なお、この設定スイッチ7に代えて、特定の位置の接触センサ(例えば、接触センサS2−1)に通常では行わない操作(例えば、数秒間の長押し)を行うことを、設定モードへの切替え操作としてもよい。
【0097】
また、設定手順は、リモコン装置1に外部のパソコンが接続されることによって、リモコン装置1の記憶部8に予め複数の電気機器に対応する多数の制御情報が記憶されている場合と、新しい制御情報を他のリモコン装置10からフォトトランジスタ6を介して受信し、記憶部8に記憶させる場合との2通りがある。
【0098】
まず、リモコン装置1の記憶部8に送信すべき制御情報が予め記憶されている場合について説明する。ユーザは、設定スイッチ7を押してリモコン装置1を設定モードに切替えた後、特定の接触センサ(例えば、接触センサS1−1と接触センサS2−1)を押す等によって設定を所望する制御情報(例えば、「エアコンの電源オン(暖房モード、設定温度20℃)」)を選択し、次にその制御情報に対応付けするべき操作指示(例えば、操作指示P2)の動作を行い、続けて使用場所(寝室)と使用時間帯(午後7時から翌日の午前8時)の情報を外部パソコンから入力する。
【0099】
以後、同様にして次の制御情報(例えば、「ハードディスクレコーダの電源オン(通常モード)」)を選択し、その制御情報に対応付けするべき操作指示(例えば、操作指示P3)の動作を行い、続けて使用場所(居間)と使用時間帯(午後11時から翌日の午後6時)の情報を外部パソコンから入力する等の操作を繰返して行う。
【0100】
ユーザが所望する制御情報の全てに対する操作指示の設定が終了すれば、設定スイッチ7を押して設定モードを通常モードへ切替える。上記設定手順によって、記憶部8に予め記憶されていた各制御情報にそれぞれ対応付けて使用場所、使用時刻及び操作指示が記憶される。
【0101】
次に、リモコン装置1の記憶部8に予め記憶されていない新しい制御情報を他のリモコン装置10から取込んで記憶部8に記憶させる場合について説明する。ユーザは、設定スイッチ7を押してリモコン装置1を設定モードに切替えた後、他のリモコン装置10(例えば、エアコンに付属のリモコン装置)を操作して所望の制御情報(例えば、除湿機能動作、温度設定25℃、風量風向自動)を赤外光rとして送信させ、リモコン装置1のフォトトランジスタ(信号受信部)6を介して記憶部8に記憶させる。
【0102】
その後、ユーザはその制御情報に対応付けするべき操作指示(例えば、中指で筐体2の右側面を撫でる動作)を行い、続けて使用場所(例えば、居間)と使用時間帯(例えば、午前10時から午後5時)の情報を外部パソコンから入力する。この手順によって、記憶部8に除湿機能動作、温度設定25℃、風量風向自動を指示する制御情報が、使用場所が居間であるという場所情報と、使用時間帯が午前10時から午後5時であるという時刻情報と、中指で筐体2の右側面を撫でるという操作指示との組合せに対応付けて記憶される。
【0103】
次に、例えば、ユーザは、他のリモコン装置10を操作して制御情報(例えば、暖房機能動作、温度設定22℃、風量風向自動、4時間後に自動停止)を赤外光rとして送信させ、リモコン装置1に記憶させる。その後、ユーザは、その制御情報に対応付けするべき操作指示(例えば、中指で筐体2の右側面を2度叩く)を行い、続けて使用場所(例えば、寝室)と使用時間帯(例えば、午後10時から翌日の午前2時)の情報を外部パソコンから入力する。以後、同様にして他のリモコン装置10から所望の制御情報を送信させ、その制御情報に対応付けするべき操作指示を行い、続けて使用場所と使用時間帯の入力操作を繰返して行う。そして、全ての設定が終了すれば、最後に設定スイッチ7を押して設定モードを通常モードへ切替える。
【0104】
以上のように、本実施形態のリモコン装置1では、設定モードに切替えた上で他のリモコン装置10からの制御情報を簡単に記憶させることができるので、制御対象の電気機器が多数ある場合でも、ユーザは、リモコン装置1でもって、容易にそれら電気機器が制御できるように設定できる。
【0105】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、ユーザ識別手段が接触センサ1−1〜6−10、制御部5及び記憶部8によって構成される代わりに、公知の個人識別装置(例えば、指紋識別装置)によって構成されてもよいし、ユーザ操作指示を入力するための手段が、接触センサ1−1〜6−10及び/又は加速度センサ4によって構成される代わりに、少数のボタンによって構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の一実施形態に係るリモコン装置の斜視図。
【図2】同リモコン装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】同リモコン装置における制御情報の送信手順を示すフローチャート。
【図4】同リモコン装置においてユーザ(Aさん)が把持するときの接触センサによる接触パターンを示す図。
【図5】同リモコン装置においてユーザ(Bさん)が把持するときの接触センサによる接触パターンを示す図。
【図6】同リモコン装置においてユーザが親指で筐体側面を叩くとき(操作指示P1)の信号変化パターンを示す図。
【図7】同リモコン装置においてユーザが人差し指で筐体表面を叩くとき(操作指示P2)の信号変化パターンを示す図。
【図8】同リモコン装置においてユーザが筐体を握り締めるとき(操作指示P3)の信号変化パターンを示す図。
【図9】同リモコン装置において記憶部内に記憶されるユーザ(Aさん)について設定登録された制御情報と、各制御情報に対応付けされた使用場所、使用時刻及び操作指示を示す図。
【図10】同リモコン装置において記憶部内に記憶されるユーザ(Aさん)の寝室における制御情報履歴テーブルを示す図。
【図11】(a)は、同リモコン装置における制御情報「照明器具点灯」が送信される前に送信される制御情報の制御情報履歴テーブルを示す図、(b)は、同リモコン装置における制御情報「照明器具点灯」が送信された後に送信される制御情報の制御情報履歴テーブルを示す図。
【図12】同リモコン装置が宅内で使用される状態を示す図。
【符号の説明】
【0107】
1 リモコン装置
3 発光ダイオード(信号送信部)
4 加速度センサ
5 制御部(信号送信部、ユーザ識別手段、場所識別手段、時刻識別手段)
6 フォトトランジスタ(信号受信部)
8 記憶部(履歴記憶部)
9 時計(時刻識別手段)
10 他のリモコン装置
11 受信部(場所識別手段)
102 照明器具(電気機器)
103 エアコン(電気機器)
S1−1〜S6−10 接触センサ(ユーザ識別手段)
T、Ta、Tb 制御情報履歴テーブル(履歴記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作指示に応じて制御対象の電気機器へ制御情報を送信する信号送信部を備えるリモコン装置において、
前記リモコン装置を使用するユーザを識別するためのユーザ識別手段と、
前記リモコン装置が使用される場所を識別するための場所識別手段と、
前記リモコン装置が使用される時刻を識別するための時刻識別手段と、
ユーザごとに、ユーザ操作指示、使用場所、及び使用時刻の組合せ別に予め設定された制御情報が登録された記憶部と、を備え、
前記信号送信部は、前記ユーザ識別手段、場所識別手段、及び時刻識別手段によって識別されたユーザ、使用場所、及び使用時刻の組合せに対応し、かつユーザ操作指示に対応する制御情報を前記記憶部に設定登録された制御情報の中から選択して送信することを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
接触センサ及び/又は加速度センサをさらに備え、
前記信号送信部は、前記接触センサ及び/又は加速度センサにより検出されたユーザ操作指示に応じて前記記憶部に設定登録された制御情報を選択して送信することを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
送信された制御情報を、前記ユーザ識別手段、場所識別手段、及び時刻識別手段によって識別されたユーザ、使用場所、及び使用時刻の組合せごとに記憶する履歴記憶部を備え、
前記信号送信部は、前記履歴記憶部を参照して頻度の高い制御情報を優先して送信すべき制御情報を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記履歴記憶部は、送信される制御情報の前後において送信される制御情報を、前記ユーザ識別手段、場所識別手段、及び時刻識別手段によって識別されたユーザ、使用場所、及び使用時刻の組合せごとに記憶し、前記信号送信部は、前記履歴記憶部を参照して次に送信すべき制御情報を予測して選択することを特徴とする請求項3に記載のリモコン装置。
【請求項5】
他のリモコン装置から送信される制御情報を受信可能な信号受信部をさらに備え、
前記記憶部は、前記信号受信部によって受信された制御情報を記憶し、ユーザごとに、ユーザ操作指示、使用場所、及び使用時刻の組合せに応じた制御情報として設定登録することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のリモコン装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のリモコン装置と、前記リモコン装置から送信される制御情報によって制御される電気機器から構成されることを特徴とする遠隔制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−227995(P2007−227995A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43305(P2006−43305)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】