説明

リモコン

【課題】化粧ボタンを介して押しボタン式のスイッチを操作するリモコンにおいて、化粧ボタンの操作面のどこを押しても十分な手ごたえをもってスイッチが確実に押し込まれるリモコンを提供する。
【解決手段】化粧パネル3の化粧ボタン挿通窓9から化粧ボタン4の操作面12aが露出するように構成されたリモコンにおいて、化粧ボタン4のボタン本体部12の基端部外周にフランジ部13を形成し、このフランジ部13から延出して形成さる化粧ボタン取付部14を化粧パネル3に取り付けて、化粧ボタン4に弾性を付与するとともに、フランジ部13aにおいて、化粧パネル3の背面と対面する面に凸状部16を形成してフランジ部13aと化粧パネル3とを密着させ、化粧ボタン4の揺動支点となる部分の遊びをなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はリモコンに関し、より詳細には、装置本体の正面に化粧パネルが装着されているリモコンにおいて、装置本体の正面に設けられた押しボタン式のスイッチを押下操作するために化粧パネルに取り付けられる化粧ボタンと化粧パネルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置などに用いられるリモコンは、一般に、リモコンの電装部品を収容した装置本体と、この装置本体の正面に装着される化粧パネルとで構成されている。
【0003】
ところで、このようなリモコンにおいて、装置本体の正面に押しボタン式のスイッチを設ける場合、この押しボタン式スイッチの操作部(押下げられる部分)が化粧パネルの正面に露出するように、押しボタン式のスイッチ自体を装置本体の正面から突出させる構成を採用するのが構造的にはシンプルであるが、デザイン上の観点から、化粧ボタンを介在させて、この化粧ボタンによって押しボタン式のスイッチを操作するように構成することがある。
【0004】
たとえば、リモコン表面に露出する押しボタン式のスイッチの操作ボタンに透明感を与えたいような場合には、透明な材料で化粧ボタンを形成し、この化粧ボタンの背面(装置本体と対向する面)に白色などの着色(印刷)を施すことがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−175737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような化粧ボタンを用いて押しボタン式のスイッチを操作する構成には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0007】
すなわち、化粧ボタンの背面に印刷を施す場合、当該化粧ボタンの背面には段差を設けることができないので、当該化粧ボタンの背面は断面が略円弧状となる曲面(R面)とされ、その頂点部分(押しボタン式スイッチに最も近接する部分)を用いて押しボタン式のスイッチを押し込むように構成しているが、たとえば、この化粧ボタンの操作面(化粧パネルの正面に露出する化粧ボタンの正面)が略長方形状に形成されるような場合には、化粧ボタンの背面の長手方向両端付近は押しボタン式のスイッチとの距離が離れてしまうことから、上記操作面の長手方向両端のうち一端付近を押下操作したときには押しボタン式のスイッチが十分に押し込まれない事態が起こり得る。
【0008】
また、このような事態の発生を回避するために、化粧ボタンの基端部外周にフランジを形成しておき、操作面の長手方向両端のうちの一端が押下操作されたときには、操作が行われた端部とは反対側の端部にあるフランジを化粧パネルの背面と接触させて、この接触部分を揺動支点にして化粧ボタンを押下げるようにすることも考えられるが、この種の化粧ボタンは、一般に樹脂成型品とされることから、成型されたフランジが押しボタン式のスイッチ側に反っている場合があり、そのような場合、化粧ボタンの長手方向の一端を押下げても他端側のフランジが化粧パネルの背面に接触せずに(または、接触が不十分となって)、化粧ボタンの揺動支点として機能せず、押しボタン式のスイッチが予定通りに押し込まれない事態が起こり得る。
【0009】
そして、このように押しボタン式のスイッチの押し込みが不十分となる場合、化粧ボタンの操作者には押しボタン式のスイッチが押し込まれる際に生ずるクリック感が伝わらず、物足りない感触(手ごたえ)が残るという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、化粧ボタンを介して押しボタン式のスイッチを操作するように構成されたリモコンにおいて、化粧ボタンの操作面のどこを押しても十分な手ごたえをもって押しボタン式のスイッチが確実に押し込まれるリモコンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係るリモコンは、装置本体の正面に化粧パネルが装着されているリモコンであって、上記化粧パネルの所定位置に設けられた開口部から、上記装置本体の正面に設けられた押しボタン式のスイッチを押下操作するための化粧ボタンの操作面が上記化粧パネルの正面に露出するように設けられているものにおいて、上記化粧ボタンは、上記化粧パネルの開口部に嵌合可能な形状の操作面を有するボタン本体部と、このボタン本体部の基端部外周に形成されたフランジ部と、このフランジ部の張出方向に延出して形成され、上記化粧パネルと接着されることによって上記ボタン本体部に対して押下操作に抗する弾性を付与する化粧ボタン取付部とを有してなり、上記フランジ部は、上記化粧パネルの背面と対面する面に上記化粧パネルに向かって突出する凸状部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、この請求項1に係る発明では、リモコンの装置本体の正面に設けられた押しボタン式のスイッチを押下操作するための化粧ボタンが、ボタン本体部の基端部外周に形成されるフランジ部からその張出方向に延出して形成されている化粧ボタン取付部を化粧パネルに接着することによって、ボタン本体部に押下操作に抗する弾性を付与しつつ、化粧パネルに取り付けられている。
【0013】
その際、このリモコンでは、上記フランジ部において化粧パネルの背面と対面する面に化粧パネルに向かって突出する凸状部が形成されていることから、フランジ部と化粧パネルの背面との接触にあたり、フランジ部がこの凸状部の高さに応じて反った状態で当接されることとなる。つまり、フランジ部の成型にあたり、フランジ部が化粧パネルの背面から離れる方向に反っていた場合であっても、フランジ部に形成された上記凸状部がこの反りを吸収するように作用して、フランジ部が化粧パネルの背面に確実に当接される(接触する)ことになる。そのため、このリモコンでは、化粧ボタンの操作面の中央部分から外れた端部に対して押下操作がなされた場合でも、当該操作がなされた端部と操作面の中央部分を挟んで反対の位置にあるフランジ部は化粧パネルの背面と接触しているので、当該接触部分を揺動支点として化粧ボタンが押し下げられることとなり、押しボタンスイッチを確実に押し込むことができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載のリモコンは、装置本体の正面に化粧パネルが装着されているリモコンであって、上記化粧パネルの所定位置に設けられた開口部から、上記装置本体の正面に設けられた押しボタン式のスイッチを押下操作するための化粧ボタンの操作面が上記化粧パネルの正面に露出するように設けられているものにおいて、上記化粧ボタンは、上記化粧パネルの開口部に嵌合可能な形状の操作面を有するボタン本体部と、このボタン本体部の基端部外周に形成されたフランジ部と、このフランジ部の張出方向に延出して形成され、上記化粧パネルと接着されることによって上記ボタン本体部に対して押下操作に抗する弾性を付与する化粧ボタン取付部とを有してなり、上記化粧パネルは、上記化粧ボタンのフランジ部と対面する部位に上記フランジ部に向かって突出する凸状部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
すなわち、上記請求項1に係る発明では、化粧ボタンのフランジ部と化粧パネルの背面とを密着させるためにフランジ部に凸状部を設けていたのに対し、この請求項2に係る発明では、化粧パネルにおいて、化粧ボタンのフランジ部と対面する部位にフランジ部に向かって突出する凸状部を形成させている。したがって、このリモコンにおいても、フランジ部と化粧パネルの背面との接触は、化粧パネルの背面に設けられた凸状部によってなされるので、フランジ部の成型にあたり、フランジ部が化粧パネルの背面から離れる方向に反っていても、化粧パネルに形成された凸状部がこの反りを吸収するように作用して、フランジ部が化粧パネルの背面と確実に当接することになる。そのため、このリモコンにおいても、化粧ボタンの操作面の中央部分から外れた端部に対して押下操作が行われた場合、当該操作がなされた端部と操作面の中央部分を挟んで反対の位置にあるフランジ部は化粧パネルの背面と接触しているので、この接触部分を揺動支点として化粧ボタンが押し下げられることとなり、押しボタンスイッチを確実に押し込むことができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載のリモコンは、請求項1または2に記載のリモコンにおいて、上記化粧ボタンは、その操作面が略長方形状とされるとともに、その長手方向の両端に形成される上記フランジ部が可及的に長く設定されていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、この請求項3に係る発明では、化粧ボタンの操作面を略長方形状とする場合、その操作面の長手方向の長さが長くなるに伴って、操作面の長手方向両端のうちの一方の端部を押下げて操作するときに必要となる押下げストロークが深くなることから、この請求項3に係る発明では、ボタン本体部の長手方向の両端に形成されるフランジ部を可及的に長く設定することで、化粧ボタン操作時の揺動支点をボタン本体の操作によって力が加わる力点部分から遠ざけて、操作時に化粧ボタンを深く押し込み易いようにしている。
【0018】
なお、ここで「可及的に長く」とは、化粧パネルの背面の構造との関係で許される範囲で可能な限りとの意味である。
【0019】
また、本発明の請求項4に記載のリモコンは、請求項1から3のいずれかに記載のリモコンにおいて、上記化粧ボタンは、複数のボタン本体部を有してなり、隣接する各ボタン本体部が上記化粧ボタン取付部を介して連結されていることを特徴とする。
【0020】
すなわち、この請求項4に係る発明では、化粧ボタンが複数のボタン本体部を有しており、隣接する各ボタン本体部が上記化粧ボタン取付部を介して連結されているので、化粧パネルに化粧ボタンを取り付ける際に一度に多くの化粧ボタンを取り付けることができ、化粧ボタンの取付に要する手間を少なくすることができる。
【0021】
また、本発明の請求項5に記載のリモコンは、請求項1から4のいずれかに記載のリモコンにおいて、上記化粧ボタンは、上記ボタン本体部が透明または半透明に形成されるとともに、上記ボタン本体部の基端面はその中央領域が下方に張り出して略円弧状の曲面を呈するように構成されていることを特徴とする。
【0022】
すなわち、この請求項5に係る発明では、化粧ボタンのボタン本体部が、透明または半透明に形成され、ボタン本体部の基端面はその中央領域が下方に張り出す略円弧状の曲面を呈するように構成されているので、化粧ボタンの背面に着色などの印刷処理を施すことができ、見栄えの良いリモコンを提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、化粧ボタンは押下操作に抗する弾性が付与された状態で、かつ、化粧ボタンの基端部外周に形成されるフランジと化粧パネルの背面とが確実に接触しているので、化粧ボタンの操作面の中央部だけでなく、操作面の端部を操作したときでも、常に、押しボタン式のスイッチが押し込まれ、操作者に心地よいクリック感を伝えつつ押しボタン式のスイッチを確実に操作できるようになる。
【0024】
また、本発明によれば、化粧ボタンの操作面が略長方形状に形成され、押しボタン式のスイッチを操作するために必要となる化粧ボタンの押下げストロークが深くなる場合であっても、化粧ボタンの長手方向両端に形成されるフランジ部が可及的に長く設定されることから、化粧ボタンの押下操作が容易に行えて押しボタン式のスイッチを確実に操作でき、操作者に心地よいクリック感を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るリモコンの外観構成の一例を示す斜視図である。
【図2】同リモコンの化粧パネルの背面の状態の一例を示す正面図である。
【図3】同リモコンの化粧ボタンの構成を説明する説明図であって、図3(a)は化粧ボタンの正面図を、図3(b)は図3(a)のb−b線に沿った断面図を示している。
【図4】同リモコンの化粧ボタンの外観を示す部分拡大斜視図である。
【図5】同リモコンにおいて化粧パネルに化粧ボタンを取り付ける手順を示す説明図であって、図5(a)は化粧ボタンを取り付ける前の化粧パネルの状態を示す部分拡大斜視図であり、図5(b)は化粧ボタンを化粧パネルに取り付けた状態を示す部分拡大斜視図である。
【図6】同リモコンにおいて、化粧ボタンの押下操作に伴う化粧ボタンの動作を示す説明図であって、図6(a)は押下操作前の状態を示す化粧ボタン周辺の部分拡大断面図であり、図6(b)は押下操作時の状態を示す化粧ボタン周辺の部分拡大断面図である。
【図7】同リモコンの他の実施形態において、化粧ボタンの押下操作に伴う化粧ボタンの動作を示す説明図であって、図7(a)は押下操作前の状態を示す化粧ボタン周辺の部分拡大断面図であり、図7(b)は押下操作時の状態を示す化粧ボタン周辺の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係るリモコンは、給湯装置などの被操作機器を遠隔操作するために用いられる遠隔操作装置であって、図1は、本発明を浴室の壁面に設置されるタイプのリモコンに適用した状態を図示している。
【0027】
この図1に示すリモコン1は、装置本体2(図6参照)と、この装置本体2の正面に装着される化粧パネル3と、上記装置本体2の正面に備えられた押しボタン式のスイッチ5(図6参照)を押下操作するために設けられた化粧ボタン4とを主要部として構成されている。
【0028】
装置本体2は、リモコン1が給湯装置(図示せず)の遠隔操作装置として機能するために必要な各種電装部品を筐体内に収容してなるもので、その正面には、上記化粧ボタン4を介して操作されるようになっている押しボタン式のスイッチ5と、リモコン1の表示部を構成する表示デバイス(たとえば、液晶パネルなど)6と、上記化粧ボタン4を用いずに操作可能とされている複数の操作スイッチを整列配置してなる操作スイッチ群7などが配設されている。
【0029】
化粧パネル3は、ABS樹脂などの樹脂材料からなる一体成型品であって、上記装置本体2の正面と上下左右の側面を収容・被覆できるように容器状に形成されており、この化粧パネル3の内側の空間に上記装置本体2が嵌合・収容されるようになっている。
【0030】
そして、この化粧パネル3には、上記装置本体2を化粧パネルに収容した際に、上記表示デバイス6および上記操作スイッチ群7が化粧パネル3の正面に露出されるように、これらに対応する位置を開口してなる表示部等の露出窓8が形成されている。
【0031】
また、化粧パネル3の上記押しボタン式のスイッチ5に対応する所定位置には、押しボタン式のスイッチ5の数に応じてそれぞれ化粧ボタン挿通窓(開口部)9が開口されている(図2参照)。図1に示す化粧パネル3では、この化粧ボタン挿通窓9が、上記表示部等の露出窓8の両側にそれぞれ3個ずつ上下に等間隔で並列して配設されている。なお、化粧ボタン挿通窓9の開口形状は、後述する化粧ボタン4のボタン本体部12(操作面12a)の形状に応じて、ボタン本体部12に形成される操作面12aが化粧ボタン挿通窓9に嵌合(挿通)可能な形状に設定される。
【0032】
化粧パネル3の背面は、図2に示すように、上記化粧ボタン4を化粧パネル3に取り付けるときに化粧ボタン4の位置決めに用いるガイドリブ10と、上記化粧ボタン4を化粧パネル3に接着(具体的には超音波溶着)する際に化粧ボタン4と溶着させるための接着リブ11とが設けられている。ガイドリブ10は、後述する化粧ボタン4の形状に合わせて、化粧パネル3の背面の適所に突出して設けられており(図5(a)参照)、このガイドリブ10で囲まれた部分に化粧ボタン4を嵌め合わせることで、化粧ボタン4の位置決めができるようになっている(図5(b)参照)。また、接着リブ11は、上下に配置された上記化粧ボタン挿通窓9,9の間の中間位置にそれぞれ設けられている(図2参照)。
【0033】
化粧ボタン4は、アクリル樹脂などの樹脂材料で構成された透明または半透明の一体成型品であって、上記化粧パネル3に取り付けられた状態で、化粧パネル3の外側から化粧パネル3の内側に設けられた押しボタン式のスイッチ5を操作するために用いられる部品である。
【0034】
具体的には、この化粧ボタン4は、図3および図4に示すように、ボタン本体部12と、このボタン本体部12の基端部外周に形成されるフランジ部13と、このフランジ部13の張出方向に延出して形成される所定形状の化粧ボタン取付部14とを有して構成されている。
【0035】
ボタン本体部12は、図4に示すように、その正面側の先端部に左右に細長い略長方形状の操作面12aを有する略柱状のブロックで構成されている。なお、操作面12aは、上記押しボタン式のスイッチ5を操作する際にユーザが直接指で触れる部位(化粧ボタン4の操作面となる部位)であることから、他のボタン本体部12と区別できるように点字に類する点字突起部15が適宜形成されている。
【0036】
また、このボタン本体部12は、その背面側の基端面12bの中央領域が下方に張り出された略円弧状の曲面(R面)を呈するように構成されている。具体的には、図3(b)に示すように、基端面12bの中央部分が最も下方に張り出して形成されるとともに、ボタン本体12の長手方向に向かって緩やかな曲線を描きながらフランジ部13に差し掛かったところでこの張り出し部分がなくなるようなR面を呈している。なお、本実施形態では、上述したように、ボタン本体部12は透明または半透明になっているので、この基端面12bを白色などで着色(印刷)することによって、化粧ボタン4に意匠効果が施されている。
【0037】
フランジ部13は、上記ボタン本体部12の基端部の外周を水平方向に張り出して形成された薄い板状の部位であって、このフランジ部13は、化粧ボタン4を化粧パネル3に取り付けたときに、上記化粧ボタン挿通窓9の背面周縁部分と重なって化粧ボタン4が化粧パネル3の正面側に過剰に突出するのを防止する役割を担っている。
【0038】
そして、本実施形態では、上記ボタン本体部12の長手方向両端に形成されたフランジ部13aは、ボタン本体部12の長手方向に沿って形成されているフランジ部13bに比して長く張り出して形成されている。
【0039】
ここで、ボタン本体部12の長手方向両端に形成されたフランジ部13aを長く張り出しているのは、後述するように、ボタン本体部12の操作面12aの左右いずれかの端部が操作されたときには、操作された端部とは反対の端部に形成されているフランジ部13aを揺動支点として化粧ボタン4が押しボタン式のスイッチ5を押し込むように作用することになるので、フランジ部13aを長く設定する(つまり、揺動支点を操作者の力が加わる力点から遠ざける)ことによって、化粧ボタン4が深く押し下げられるようにするためである。
【0040】
したがって、ボタン本体部12の長手方向両端に形成されるフランジ部13aは可及的に長く設定するのが好ましい。すなわち、化粧パネル3の背面の構造(具体的には、ボタン本体12の配設位置の左右両側の空きスペース)との関係で許される範囲で可能な限り長く設定される。
【0041】
そして、本実施形態では、このように長く張り出して形成されたフランジ部13aにおいて、上記化粧パネル3の背面と対面する面に化粧パネル3に向かって突出する凸状部16が形成されている。この凸状部16は、化粧ボタン4を化粧パネル3に取り付けたときに、フランジ部13(具体的には、フランジ部13aに形成された凸状部16)と化粧パネル3の背面とが常に接触状態を保つように(換言すれば、これらの間に隙間が生じないように)するために設けられている。すなわち、このボタン本体部12の長手方向両端に形成されるフランジ部13aは、上述したように、操作時に化粧ボタン4の揺動支点となることがあるので、常に化粧パネル3の背面と接触状態を維持して遊び(隙間)がない状態を保ち、揺動支点として機能し得るようにしている。
【0042】
そのため、この凸状部16の高さ寸法(フランジ部13bにおいて化粧パネル3の背面と対面する面からの高さ寸法)L1は(図3(b)参照)、上述した機能を果たし得るように設定される。具体的には、この高さ寸法L1は、フランジ部13aを成型する際に生じるフランジ部13aの反り(フランジ部13aが化粧パネル3の背面から離れる方向に生じる反り)を考慮して、この反りよりも凸状部16の高さ寸法L1が高くなるように設定される。
【0043】
なお、図示例では、凸状部16がフランジ部13aの略全面にわたって形成されている場合を示したが、フランジ部13aと化粧パネル3との接触状態が保たれるのであればその具体的な形状は適宜変更可能である。ただし、この凸状部16は、上述したように、化粧ボタン4の揺動支点として機能することになるので、できるだけフランジ部13aの先端部分を含んで形成されるようにしておくのが望ましい。
【0044】
化粧ボタン取付部14は、化粧ボタン4を化粧パネル3に取り付ける際の接着しろ(超音波溶着の施工個所)を構成する部位であって、本実施形態では、この化粧ボタン取付部14は、上記接着しろとしての機能に加えて、ボタン本体部12に対して押下操作に抗する弾性(弾力)を付与する役割と、隣接するボタン本体部12同士を連結する連結部としての役割も果たすように構成されている。
【0045】
このような役割を果たす化粧ボタン取付部14は、上述したフランジ部13の張り出し方向に延出して形成されている。具体的には、ボタン本体部12の長手方向に沿って形成されるフランジ部13bの左端または右端からボタン本体部12に操作時の弾力を与える揺動アーム部14aが延出形成されており、この揺動アーム部14aの先に化粧パネル3の背面と接着させるための接着しろ部14bが形成されている。すなわち、ボタン本体部12は、揺動アーム部14aによって化粧パネル3との接着部位(つまり、接着しろ部14b)から一定の距離が保たれるようになっており、この揺動アーム部14aを介することでボタン本体部12には押下操作に抗する弾性が付与されている。
【0046】
なお、この揺動アーム部14aは、図3(a)に示すように、ボタン本体部12の上下に一対設けられるフランジ部13b,13bの左端または右端に交互に設けられており、ボタン本体部12の操作面12aの左右いずれの端部が操作された場合でもほぼ均等な弾力が得られるようにされている。また、上記接着しろ部14bは、化粧ボタン4を上記化粧パネル3のガイドリブ10に嵌め合わせたときに、上記接着リブ11と対応するように配置されている。また、この接着しろ部14bにおいて化粧パネル3の背面と対面する面は、上述したフランジ部13bにおいて化粧パネル3の背面と対面する面と同一平面となっており、上述したフランジ部13aの凸状部16はこの面から寸法L1だけ突出するようになっている。
【0047】
また、本実施形態では、装置本体2の押しボタン式のスイッチ5は、上下に3個ずつ設けられているので、これに対応して化粧ボタン4には3個のボタン本体12が上述した化粧ボタン取付部14によって上下に並列して連結されている。
【0048】
しかして、このように構成された化粧ボタン4は、図5(b)に示すように、化粧パネル3の背面に突出して設けたガイドリブ10で囲まれたところに化粧ボタン4を嵌め合わせて、ボタン本体部12の操作面12aが化粧ボタン挿通窓9から化粧パネル3の正面に突出状態で露出するようにセット(化粧ボタン4のフランジ部13が化粧パネル3の背面に接触するようにセット)して、この状態で化粧パネル3に取り付けられる。つまり、この状態で上記接着しろ部14bのところが超音波溶着される。なお、この工程は、上記表示部等の露出窓8の左右両側についてそれぞれ行われる。
【0049】
このようにして、化粧パネル3への化粧ボタン4の取り付けが完了すると、次に、化粧パネル3に装置本体2を嵌合・収容し、これによりリモコン1が形成されている。
【0050】
次に、このように構成されたリモコン1における化粧ボタン4の動作を図6に基づいて説明する。
【0051】
図6は、化粧ボタン4の押下操作に伴う化粧ボタン4の動作を示す説明図であって、図6(a)は押下操作前の状態を示す化粧ボタン周辺を模式的に示した部分拡大断面図であり、図6(b)は押下操作時の状態を示す化粧ボタン周辺を模式的に示した部分拡大断面図である。
【0052】
なお、図において符号20は、押しボタン式スイッチ5における操作ボタンを示しており、また、符号21は上記操作ボタン20が押下されることによって制御基板上の接点(図示せず)を導通させるスイッチ本体を示している。また、符号22は装置本体2に貼付された防水シートを示している。
【0053】
本実施形態に示すリモコン1では、化粧ボタン4の操作面12aに対する操作(押下操作)が行われる前は、図6(a)に示すように、化粧ボタン4の長手方向両端に形成されたフランジ部13a,13aの凸状部16,16がそれぞれ化粧パネル3の背面と密着するように接触している。つまり、この凸状部16は、上述したように、フランジ部13から延出されている接着しろ部14bの化粧パネル3の背面と対面する面から寸法L1だけ突出して形成しているので、この高さ寸法L1によって凸状部16は化粧パネル3の背面に付勢された状態で当接されている。
【0054】
そして、化粧ボタン4の操作面12aの長手方向の端部(図において矢符で示す位置)に対して押下操作がなされると、このリモコン1では、上記凸状部16が化粧パネル3の背面と密着状態(つまり、遊びがない状態)で接触しているので、その押下操作によって当該操作が行われた側と反対側にある凸状部16を揺動支点としてボタン本体部12が旋回揺動し、これによってボタン本体部12の基端面12bで下方に張り出している中央領域部分が操作ボタン20の頭部を押し込むように作用する。つまり、化粧ボタン4の揺動支点となる側の凸状部16が隙間のない状態で化粧パネル3の背面と接触状態を維持しているので、押下操作に伴って速やかに操作ボタン20の押し込みが開始される。
【0055】
しかも、本実施形態では、フランジ部13aが左右に可及的に長く張り出して形成されているので、操作面12aの長手方向の端部に押下操作がなされた場合、押下操作がなされた場所(力点)から揺動支点が遠いので、化粧ボタン4を深く操作することができ、操作ボタン20を確実に押し込むことができる。
【0056】
したがって、化粧ボタン4の操作面12aの中央部だけでなく、操作面12aの端部が操作されたときでも、常に、押しボタン式のスイッチ5の操作ボタン20が確実に押し込まれ、操作者に心地よいクリック感を伝えつつ押しボタン式のスイッチ5を確実に操作できるようになる。
【0057】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を図7に基づいて説明する。
この図7に示すリモコンは、上述した実施形態1に示すリモコンにおいて凸状部16を設ける位置を改変したものであって、その他の基本構成は実施形態1に示すリモコン1と共通するので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
すなわち、この実施形態2に示すリモコンでは、上記フランジ部13aと化粧パネル3の背面との接触状態を保つための凸状部16′が化粧パネル3の背面、すなわち、化粧ボタン4のフランジ部13と対面する部位にフランジ部13に向かって突出して形成されている。
【0059】
そのため、この実施形態2に示すリモコンでは、化粧ボタン4のフランジ部13aにおいて、化粧パネル3の背面と対面する面は、ボタン本体部12の長手方向に沿って形成されるフランジ部13bや接着しろ部14bにおいて化粧パネル3の背面と対面する面と同一平面を形成している。
【0060】
なお、このように凸状部16′の位置を化粧パネル3側に変更しても上述した実施形態1と同様の作用効果が得られ、本実施形態に示すリモコンでも化粧ボタン4を深く操作することができ、押しボタン式のスイッチ5の操作ボタン20が確実に押し込まれ、操作者に心地よいクリック感を伝えつつ押しボタン式のスイッチ5を確実に操作できる。
【0061】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0062】
たとえば、上述した実施形態では、化粧ボタン4の操作面12aは、左右に細長い略長方形状を呈するように構成した場合を示したが、操作面12aの形状は適宜変更可能である。ただし、ボタン本体部12は、化粧ボタン挿通窓9に挿通されるものであることから、ボタン本体部12は操作面12aの形状に対応した柱状のブロックで形成される。
【0063】
また、上述した実施形態では、化粧ボタン4の操作面12aを左右に細長い略長方形状にしているので、長手方向両端のフランジ部13aのみを可及的に長く設定したが、操作面12aの形状に応じて長く設定するフランジ部13の位置は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 リモコン
2 装置本体
3 化粧パネル
4 化粧ボタン
5 押しボタン式のスイッチ
6 表示デバイス
7 操作スイッチ群
8 表示部等の露出窓
9 化粧ボタン挿通窓(開口部)
10 ガイドリブ
11 接着リブ
12 ボタン本体部
12a 操作面
13 フランジ部
14 化粧ボタン取付部
16 凸状部
20 押しボタン式スイッチの操作ボタン
21 押しボタン式スイッチのスイッチ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の正面に化粧パネルが装着されているリモコンであって、前記化粧パネルの所定位置に設けられた開口部から、前記装置本体の正面に設けられた押しボタン式のスイッチを押下操作するための化粧ボタンの操作面が前記化粧パネルの正面に露出するように設けられているものにおいて、
前記化粧ボタンは、前記化粧パネルの開口部に嵌合可能な形状の操作面を有するボタン本体部と、このボタン本体部の基端部外周に形成されたフランジ部と、このフランジ部の張出方向に延出して形成され、前記化粧パネルと接着されることによって前記ボタン本体部に対して押下操作に抗する弾性を付与する化粧ボタン取付部とを有してなり、
前記フランジ部は、前記化粧パネルの背面と対面する面に前記化粧パネルに向かって突出する凸状部が形成されていることを特徴とするリモコン。
【請求項2】
装置本体の正面に化粧パネルが装着されているリモコンであって、前記化粧パネルの所定位置に設けられた開口部から、前記装置本体の正面に設けられた押しボタン式のスイッチを押下操作するための化粧ボタンの操作面が前記化粧パネルの正面に露出するように設けられているものにおいて、
前記化粧ボタンは、前記化粧パネルの開口部に嵌合可能な形状の操作面を有するボタン本体部と、このボタン本体部の基端部外周に形成されたフランジ部と、このフランジ部の張出方向に延出して形成され、前記化粧パネルと接着されることによって前記ボタン本体部に対して押下操作に抗する弾性を付与する化粧ボタン取付部とを有してなり、
前記化粧パネルは、前記化粧ボタンのフランジ部と対面する部位に前記フランジ部に向かって突出する凸状部が形成されていることを特徴とするリモコン。
【請求項3】
前記化粧ボタンは、その操作面が略長方形状とされるとともに、その長手方向の両端に形成される前記フランジ部が可及的に長く設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリモコン。
【請求項4】
前記化粧ボタンは、複数のボタン本体部を有してなり、隣接する各ボタン本体部が前記化粧ボタン取付部を介して連結されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリモコン。
【請求項5】
前記化粧ボタンは、前記ボタン本体部が透明または半透明に形成されるとともに、前記ボタン本体部の基端面はその中央領域が下方に張り出す略円弧状の曲面を呈するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のリモコン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−178291(P2012−178291A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41194(P2011−41194)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】