説明

リモートコントローラ

【課題】 キートップの取替えを手軽にユーザ側で行い得るようにする。キートップやカバーを異なる色やデザインのものに変更してリモートコンローラのカスタマイズを図ることを可能にする。
【解決手段】 操作ボタン91を有するキートップ8と、操作ボタン91を押圧することにより短絡される常開スイッチ71を具備する配線基板7と、制御信号を出力する発信素子26と、駆動用電源と、を偏平箱形のケース1に収容してなる。ケース1が、配線基板7を収容しているケース本体2とそのケース本体2に着脱可能なカバー4とに分かれている。キートップ8を、ケース本体2とカバー4とによって形作られる収容スペースSに配備して、操作ボタン91をカバー4の開口41に臨ませ、操作ボタン91の作用部92をケース本体2の挿通口27を通して配線基板7の常開スイッチ71に臨ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVDプレーヤやコンポーネントステレオといったオーディオビジュアル機器(AV機器)、テレビジョン受像機、その他の各種の電気電子機器を遠隔制御することに用いられるリモートコンローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なこの種のリモートコントローラでは、手で掴むことのできる大きさの偏平な箱形のケースに、多数の常開スイッチを具備するスイッチパターンが形成された配線基板と、その配線基板のスイッチパターンの上記常開スイッチをオンオフ制御するための複数の操作ボタンでなる操作ボタン群を一体に成形したラバー部材を用いて形成されているキートップと、制御信号を発信する発信素子(たとえばLED素子)と、駆動用電源であるバッテリーと、が収容されている。そして、ユーザが、ケースの開口に臨んでいる上記操作ボタンを手の指で押圧すると、その操作ボタンに備わっている作用部が配線基板のスイッチパターンに含まれている上記常開スイッチに接触してその常開スイッチが短絡されるようになっている。
【0003】
この構成を備えたリモートコンローラにおいて、キートップの作用部には、上記した常開スイッチに接触することによってその常開スイッチを短絡させるための導電性を付与する処理が施されている。このような導電性付与処理としては、たとえば、上記作用部の端面に導電塗装を行うという処理を掲げることができる。
【0004】
ところで、上記のように構成されているリモートコンローラでは、ユーザによってケースに収容されている配線基板などに障害が引き起こされたりする事態を防ぐことなどの意図の下で、ユーザは自ら分解修理することが禁止されていて、分解修理は提供元(メーカなど)によって行われることを原則としている場合が多い。そのため、たとえば、上記したキートップの作用部に施されている導電塗装が摩耗などの要因によって消失あるいは劣化しているために、操作ボタンを押圧することによって行われるべき動作に不良が生じた場合には、ユーザは、提供元に修理を依頼したり(修理依頼)、新しいリモートコンローラに買い換えたり(買換え)、様々なメーカの製品に対応している汎用リモートコンローラを導入したりする(汎用リモコンの導入)ことを余儀なくされていた。
【0005】
一方、従来より、ケースに基板とラバートップとを収容したリモコン装置が公知である(たとえば、特許文献1参照)。また、押ボタン背面側に接点導通材を塗布することも公知である(たとえば、特許文献2参照)。さらに、テレビなどのリモコンを透明なフィルム材などで被覆することによって、そのリモコンが汚れるのを防ぐという対策も従来より行われている(たとえば、特許文献3、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−312431号公報
【特許文献2】実用新案登録第3087858号公報
【特許文献3】特開平10−190253号公報
【特許文献4】実用新案登録第3041997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような動作不良が生じた場合に、上記した修理依頼をすることは面倒で煩わしく、買換えを行ったり汎用リモコンを導入することは不経済であるという問題がある反面で、ユーザにとってはユーザ自身が手軽にその動作不良を解消することかできれば便利である。また、ユーザにとっては、リモートコンローラのケースの色や操作ボタンの色やデザインを変更してリモートコンローラのデザインをカスタマイズしたいとう要求もあった。
【0007】
本発明は以上の状況の下でなされたものであり、動作不良の原因となりやすいキートップの取替えを、配線基板などの電気的性能に影響を及ぼすことなく手軽に行うことができるような対策を講じることによって、動作不良が生じた場合でも、面倒で煩わしい修理依頼を行うことなく、また、不経済な買換えや汎用リモコンの導入を行ったりすることなく、ユーザ自身によってその動作不良を解消することのできるリモートコンローラを提供することを目的とする。
【0008】
また、ユーザ自身がリモートコンローラのデザインをカスタマイズすることのできるリモートコンローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るリモートコンローラは、複数の操作ボタンでなる操作ボタン群を有するキートップと、上記操作ボタン群の個々の操作ボタンを押圧することにより短絡される常開スイッチを具備するスイッチパターンが形成された配線基板と、上記キートップ及び配線基板を収容している偏平箱形のケースと、を有している。そして、上記ケースが、上記配線基板を収容しているケース本体とそのケース本体に着脱可能なカバーとに分かれていて、上記キートップが、上記ケース本体とそのケース本体に装着された上記カバーとによって形作られる収容スペースに配備されていると共に、そのキートップの上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンが上記カバーに具備された開口に臨まされ、かつ、それらの操作ボタンに具備された作用部が、上記ケース本体に具備された挿通口を通して上記配線基板のスイッチパターンに臨まされている。
【0010】
この構成であると、ケース本体からカバーを取り外すことによってキートップを交換することが可能である。そのため、たとえば、キートップの作用部の導電塗装が摩耗などの要因によって消失あるいは劣化して動作不良が生じたような場合に、ユーザは、ケース本体からカバーを取り外してキートップを交換するだけでその動作不良を解消することができ、そのようにしても、配線基板などはケース本体に収容されているために、キートップの交換時に配線基板などの電気的性能が悪影響を受けることがない。また、カバーがケース本体に着脱可能であるために、そのカバーを別のデザインのカバーに取り替えたり、上記したようにキートップを別のデザインのものに交換したりしてリモートコンローラのデザインをカスタマイズすることも容易に可能である。それにもかかわらず、ケース本体に装着されたカバーの開口に臨んでいるキートップの操作ボタンを押圧することによってその操作が行われるものであるために、冒頭で説明したリモートコンローラと同様の操作性が得られる。
【0011】
本発明において、上記キートップは上記操作ボタン群が一体に成形されたラバー部材でなり、上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンの作用部に、それらの操作ボタンを押圧することによって上記スイッチバターンに接触する導電層が備わっているという構成を採用することが可能であり、これによれば、キートップの操作ボタンを着色したりその形状を変更したりすることを容易に行うことができるようになる。
【0012】
本発明に係るリモートコンローラは、複数の操作ボタンでなる操作ボタン群を有するキートップと、上記操作ボタン群の個々の操作ボタンを押圧することにより短絡される常開スイッチを具備するスイッチパターンが形成された配線基板と、制御信号を出力する発信素子と、駆動用電源であるバッテリーと、が偏平箱形のケースに収容されているリモートコンローラにおいて、上記ケースが、上記配線基板を収容しているケース本体とそのケース本体に着脱可能なカバーとに分かれていて、そのケース本体に上記発信素子と上記バッテリーとが装備され、上記キートップが、上記ケース本体とそのケース本体に装着された上記カバーとによって形作られる収容スペースに配備されていると共に、そのキートップの上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンが上記カバーに具備された開口に臨まされ、かつ、それらの操作ボタンに具備された作用部が、上記ケース本体に具備された挿通口を通して上記配線基板のスイッチパターンに臨まされ、上記キートップは上記操作ボタン群が一体に成形されたラバー部材でなり、上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンの作用部に、それらの操作ボタンを押圧することによって上記スイッチバターンに接触する導電層が備わっている、という構成を採用することによっていっそう具体化される。この発明の作用などについては、後述する実施形態を参照して詳細に説明する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、動作不良の原因となりやすいキートップの取替えを、配線基板などの電気的性能に影響を及ぼすことなく手軽に行うことが可能であるために、そのキートップに起因する動作不良が生じた場合には、ユーザ側でそのキートップを交換して動作不良を解消することが可能にある。そのために、ユーザにとっては、修理依頼や買換え、汎用リモコンの導入などの面倒で不経済な処置を行うことなく、手軽に動作不良を解消することができるという効果が奏される。また、キートップやカバーを異なる色やデザインのものに変更してリモートコンローラのカスタマイズを図ることも可能であるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るリモートコンローラの外観概略斜視図、図2は同リモートコンローラの概略分解斜視図、図3は同リモートコンローラの要部の断面図、図4はケース本体2とカバー4との着脱方式を例示した説明図、図5はケース本体2とカバー4との他の着脱方式を例示した説明図である。
【0015】
図1又は図2に示したリモートコンローラは、そのケース1が、ケース本体2とカバー4とに分かれていて、カバー4がケース本体2に対して着脱可能になっている。
【0016】
ケース本体2は、下ケース21と上ケース25とを互いに合わせることによって偏平箱形に形作られていて、そのようなケース本体2に配線基板7が収容されている。図1に示したように、この事例では、下ケース21に、配線基板7を支える台座部22のほか、駆動用のバッテリー(不図示)を収容するバーテリースペース23などが備わっているのに対し、上ケース25には、制御信号を出力するLEDなどの発信素子26が収容されていて、その発信素子26が配線基板7の回路パターンに接続されるようになっている。
【0017】
この実施形態では、図1及び図3を併せ見ることによって判るように、複数の操作ボタン91の集まりでなる操作ボタン群9を一体成形したラバー部材でなるキートップ8が、ケース本体2の上面に載架された状態で、ケース本体2とそのケース本体2に装着されたカバー4とによって形作られる収容スペースSに配備されている。そして、キートップ8の操作ボタン群9を形成している個々の操作ボタン91が、カバー4の複数箇所に具備された開口41に各別に臨まされて個々の開口41から外方へ突出しているのに対し、それらの操作ボタン91の裏側に一体に成形されている作用部92が、ケース本体2の上ケース25の複数箇所に具備された挿通口27を通して配線基板7に形成されているスイッチパターンに臨んでいる。図3において、符号71は、配線基板7のスイッチパターンの複数箇所に具備されている1つの常開スイッチを示していて、この常開スイッチ71は、それに対応して配備されている操作ボタン91が押圧されたときに、その操作ボタン91の作用部92の端面に施されている導電層が接触することによって短絡される。
【0018】
このリモートコンローラにおいて、カバー4のそれぞれの開口41に臨んで図1のようにケース1の上面から突き出ている複数の操作ボタン91のいずれかを、そのリモートコンローラを掴んでいる手の指で押圧して押し下げると、配線基板7のスイッチパターンの常開スイッチ71に操作ボタン91の作用部92の導電層が接触してその常開スイッチ71を短絡させるので、そのような操作を経て発信素子26から制御信号が出力される。このときの操作性は、冒頭で説明したリモートコンローラと同様である。
【0019】
この実施形態のリモートコンローラによれば、カバー4がケース本体2に対して着脱可能であるので、そのカバー4を、異なる色や形状のカバーに交換することが可能であるだけでなく、カバー4をケース本体2から取り外してキートップ8を別のキートップに交換することも可能である。したがって、操作ボタン91の作用部92の導電層が摩耗などによって消失したり経時劣化したりして動作不良が生じたようなときには、キートップ8を交換してその動作不良を解消することが可能である。また、キートップ8の操作ボタン91の色や形状を変えたり、カバー4の色や形状を変えたりして、リモートコンローラのデザインをカスタマイズすることも手軽に可能になる。
【0020】
ケース本体2に対してカバー4を着脱可能とするための構成には様々な変形例がある。図4に示した事例では、ケース本体2の一端部に筒形支持部を具備させる一方で、カバー4の一端部にその筒形支持部に嵌脱可能な軸部を具備させておき、その軸部を筒形支持部に嵌合させることによって形成したヒンジ機構12を中心として矢印Rのようにカバー4をケース本体2に開閉可能に連結してある。これによれば、ヒンジ機構12の筒形支持部から軸部を引き抜くことによってカバー4がケース本体2から取り外され、ヒンジ機構12の筒形支持部に軸部を嵌合させることによってカバー4をケース本体2に装着することが可能である。また、図5に示した事例では、ケース本体2の上ケース25の側面に形成した溝部28に、カバー4に具備させた突片42をスライド自在に係合させてあり、これによれば、カバー4を押し引きして突片2を溝部28に対してスライドさせることにより、カバー4をケース2に装着したりケース2から取り外したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るリモートコンローラの外観概略斜視図である。
【図2】同リモートコンローラの概略分解斜視図である。
【図3】同リモートコンローラの要部の断面図である。
【図4】ケース本体とカバーとの着脱方式を例示した説明図である。
【図5】ケース本体とカバーとの他の着脱方式を例示した説明図である。
【符号の説明】
【0022】
2 ケース本体
4 カバー
7 スイッチパターン
8 キートップ
9 操作ボタン群
26 発信素子
27 挿通口
41 カバーの開口
71 常開スイッチ
91 操作ボタン
92 作用部
S 収容スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作ボタンでなる操作ボタン群を有するキートップと、上記操作ボタン群の個々の操作ボタンを押圧することにより短絡される常開スイッチを具備するスイッチパターンが形成された配線基板と、制御信号を出力する発信素子と、駆動用電源であるバッテリーと、が偏平箱形のケースに収容されているリモートコンローラにおいて、
上記ケースが、上記配線基板を収容しているケース本体とそのケース本体に着脱可能なカバーとに分かれていて、
そのケース本体に上記発信素子と上記バッテリーとが装備され、
上記キートップが、上記ケース本体とそのケース本体に装着された上記カバーとによって形作られる収容スペースに配備されていると共に、そのキートップの上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンが上記カバーに具備された開口に臨まされ、かつ、それらの操作ボタンに具備された作用部が、上記ケース本体に具備された挿通口を通して上記配線基板のスイッチパターンに臨まされ、
上記キートップは上記操作ボタン群が一体に成形されたラバー部材でなり、上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンの作用部に、それらの操作ボタンを押圧することによって上記スイッチバターンに接触する導電層が備わっていることを特徴とするリモートコントローラ。
【請求項2】
複数の操作ボタンでなる操作ボタン群を有するキートップと、上記操作ボタン群の個々の操作ボタンを押圧することにより短絡される常開スイッチを具備するスイッチパターンが形成された配線基板と、上記キートップ及び配線基板を収容している偏平箱形のケースと、を有するリモートコンローラにおいて、
上記ケースが、上記配線基板を収容しているケース本体とそのケース本体に着脱可能なカバーとに分かれていて、上記キートップが、上記ケース本体とそのケース本体に装着された上記カバーとによって形作られる収容スペースに配備されていると共に、そのキートップの上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンが上記カバーに具備された開口に臨まされ、かつ、それらの操作ボタンに具備された作用部が、上記ケース本体に具備された挿通口を通して上記配線基板のスイッチパターンに臨まされていることを特徴とするリモートコントローラ。
【請求項3】
上記キートップは上記操作ボタン群が一体に成形されたラバー部材でなり、上記操作ボタン群を形成している個々の操作ボタンの作用部に、それらの操作ボタンを押圧することによって上記スイッチバターンに接触する導電層が備わっている請求項2に記載したリモートコンローラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−67479(P2007−67479A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247197(P2005−247197)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】