説明

リユースコンテナ

【課題】繰り返し再使用可能であるとともに、梱包作業性に優れ、組み立ても容易なリユースコンテナを提供する。
【解決手段】セットラック10に被梱包体Aを位置決め固定し、被梱包体Aをセットしたセットラック10を内装カバー20の底面板22に設けた緩衝材36上に載置する。内装カバー20の折り曲げ線25b,25cから左右のカバー部35,35を起こしてセットラック10に内装カバー20を被せ、この内装カバー20を介して外装ケース50の底面パネル51上にセットラック10を載置した後、外装ケース50の側面開口部60bに形成するガイド溝61に沿って開閉パネル52をスライドさせ、開閉パネル52で側面開口部60bを塞ぐとともに、上面開口部60aを天板パネル56で覆って外装ケース50に内装カバー20及びセットラック10によって被梱包体Aを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送に際して種々の形状・大きさの物品を梱包するリユースコンテナに関し、特に組み立てが容易で再使用が可能なリユースコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から物品の輸送時などにおいて、物品を梱包する各種のコンテナが知られている。このようなコンテナは梱包する物品(以下、被梱包体と称することがある)の形態に応じて種々のコンテナが存在する。例えば、現金自動預け払い機(ATM:Automated teller machine)の通帳記帳モジュールなどの精密機器の輸送においては、衝撃に対する堅牢性、埃や異物などに対する防塵性並びに緩衝性などを考慮して厳重に梱包している。従来、この種の精密機器は、例えばダンボール箱に物品を収容した状態で緩衝材を敷き詰めるとともに、そのダンボール箱の外側を覆うように板材を枠型に組んだ木枠で梱包していた。しかし、このような従来の梱包方法では木枠の組み立て分解に手間が掛かるとともに、それぞれ材料が異なるダンボール箱、緩衝材、木枠の再使用ができず、省資源化へのニーズにも対応できないばかりでなく、梱包時の組み立て・分解作業の他にも廃棄時の分別にも手間が掛かり効率的な梱包作業が望めない。
【0003】
そこで、近年では梱包時に繰り返して再使用可能な組み立て式コンテナも知られている。このような組み立て式コンテナは、梱包する機器の形状や大きさに応じて種々のものが知られており、例えばアルミ合金といった軽金属で成形した箱型のコンテナや特許文献1などで示す合成樹脂製の組み立て式コンテナなどが知られている。特許文献1に示す組み立て式コンテナは、コンテナの各面を構成する面パネルがPP製パネルによって成形され、その底面パネルの4辺に4枚の側面パネルが折り畳み自在に連結されており、梱包時において各面パネルを箱型に組んで物品を梱包するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−79941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で示す再使用可能な組み立て式コンテナを用いたとしても、例えば、精密機器などを輸送する際、組み立て式コンテナの他にも衝撃などから精密機器を保護するための堅牢な枠体、埃の付着や異物の混入を防ぐためのカバーや衝撃吸収用の緩衝材が必要であり、特に通帳記帳モジュールは、輸送時の衝撃から通帳記帳モジュールを保護するために、コンテナと通帳記帳モジュールとの空隙に緩衝材を敷き詰めると手間がかかるため、堅牢なコンテナ、防塵用のカバー、緩衝材を含めて再使用が可能であるとともに、緩衝効果が高く梱包作業性にも優れたリユースコンテナが望まれていた。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、梱包する物品を衝撃などから保護する堅牢な枠体、保護用のカバー、緩衝材並びに物品を梱包するコンテナをも含めて再使用可能であるとともに、梱包作業性にも優れるとともに、組み立も容易なリユースコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のリユースコンテナは、被梱包体を位置決めして保持するベース板と補強枠とから構成されたセットラックと、該セットラックに被せる直方体状の内装カバーと、該内装カバーを格納する直方体状の外装ケースとから成るリユースコンテナであって、前記ベース板に前記被梱包体を位置決め固定するとともに、前記内装カバーと前記外装ケース間に前記内装カバーを案内して引き出すためのレールを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項1のリユースコンテナによれば、セットラックの底面を形成するベース板に被梱包体を位置決め固定した後、セットラックに内装カバーを被せることによって、被梱包体を固定したセットラックが内装カバーを介して外装ケース内に格納される。内装カバーは外装ケースの内面に設けたレールにより支持される。
【0009】
請求項2のリユースコンテナの前記セットラックは、前記被梱包体を位置決めして保持するベース板が長方形であり、前記補強枠が前記ベース板の長方形を一つの面とした直方体の各辺に配置された補強枠であることを特徴とする。
【0010】
請求項2のリユースコンテナによれば、内装カバーが繰り返し再使用可能であるとともに、
セットラックは、底面のベース板が長方形であり、補強枠が該ベース板の長方形を一つの面とした直方体であるために、その中に格納する被梱包体の形状や大きさに関係なく利用可能なリユースコンテナが提供できる。
【0011】
請求項3のリユースコンテナの前記直方体状の内装カバーは、一枚の連続した合成樹脂シートから成り、底板から折曲した立ち上がり板の中間部分から折り曲げ線を介して左右一対の箱型のカバー部を開閉自在に連設し、前記底板の上面と前記カバー部の内面に複数個の緩衝材を接着して設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3のリユースコンテナによれば、内装カバーが繰り返し再使用可能であるとともに、
内装カバーの底板に設けた複数個の緩衝材に被梱包体を固定したセットラックを載置し、立ち上がり板の中間部分に形成する折り曲げ線から左右一対のカバー部を起こしてセットラックに内装カバーを被せることによって、セットラックのベース板が底板に設けた緩衝材で支持され、かつ、カバー部の内面に固定した緩衝材がセットラックの補強枠に接触する。
【0013】
請求項4のリユースコンテナの前記直方体状の外装ケースは、複数の合成樹脂製パネルから成り、該直方体状の一側面と上面を開口可能として前記各パネルを箱状に組んで構成され、該外装ケースの側面開口部には左右一対のガイド溝を形成し、この一対のガイド溝に沿って開閉パネルをスライドさせて前記側面開口部を開閉自在に構成するとともに、前記上面開口部を天井パネルで覆って当該外装ケースを構成し、該外装ケースの内面にはセットラックを収納した前記内装カバーを案内して引き出すための前記レールを配置し、前記外装ケース内に前記内装カバーを格納したことを特徴とする。
【0014】
請求項4のリユースコンテナによれば、被梱包体をセットしたセットラックを収容した内装カバーを外装ケースに収納する際、底面パネルに設けた緩衝材にセットラックを載置し、外装ケースの側面開口部から内装カバーを挿入して、前記側面開口部に臨むガイド溝に沿って開閉パネルをスライドさせることによって側面開口部を開閉パネルで塞いだ後、外装ケースの上面開口部を天板パネルで塞ぐことによって、外装ケース内に内装カバーを格納する。これにより、被梱包体は内装カバーと外装ケースのそれぞれによって保護される。
【0015】
請求項5のリユースコンテナは、長方形のベース板と、該ベース板の長方形を一つの面とした直方体の各辺に配置された補強枠とから成るセットラックに被梱包体を位置決めして保持し、該セットラックに直方体状の内装カバーを被せ、該内装カバーを更に直方体状の外装ケース内に格納したリユースコンテナであって、該外装ケースの側面開口部には左右一対のガイド溝を形成し、この一対のガイド溝に沿って開閉パネルをスライドさせて前記側面開口部を開閉自在に構成するとともに、前記上面開口部を天井パネルで覆って当該外装ケースを構成し、該外装ケースの内面にはレールを配置して、前記外装ケースから前記内装カバーを案内して引き出すことができるように構成したとことを特徴とする。
【0016】
請求項5のリユースコンテナによれば、内装カバーが繰り返し再使用可能であるとともに、
内装カバーを外装ケースに簡単に差し込み或いは引き出すことができるように構成したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被梱包体として外郭形状が複雑な精密機器を梱包する場合であっても、外装ケースと被梱包体との間の空間部分に緩衝材を敷き詰めて梱包する必要がなく、単に被梱包体を直方体形状のセットラックに固定し、緩衝材を備えた内装カバーでセットラックを覆った状態で外装ケース内に被梱包体をセットラックと共に格納するだけで、緩衝材を敷き詰めるといった充填作業も不要なリユースコンテナを提供することができる。さらには、搬送時などに被梱包体に加わる振動や衝撃を内装カバーの緩衝材並びに外装ケースの緩衝材によって効果的に吸収して極めて安定した状態で搬送することができる。
【0018】
さらに、被梱包体をセットしたセットラックを梱包した内装カバーを外装ケースに積み込む際、外装ケースの側面開口部から内装カバーを水平にスライドさせるように積み込むことができ、被梱包体を梱包した内装カバーを上下方向に高く持ち上げる必要がないため、積み込み作業も容易である。
【0019】
また、被梱包体を梱包する外装ケースは十分な強度剛性を備え、かつ、成形加工も容易である。また、合成樹脂製の外装ケースは軽量で取り扱いも容易であり梱包作業の労力の軽減並びに梱包作業の短縮化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例におけるリユースコンテナの斜視図である。
【図2】同実施例におけるリユースコンテナの開放状態を示す斜視図である。
【図3】同実施例における天井パネルの開閉状態を示す要部の斜視図であり、図3(a)は天井パネルを開いた状態、図3(b)は天井パネルを閉じた状態を示している。
【図4】同実施例における外装ケースの内装カバーを案内するレールの配置状況を示す説明図である。
【図5】同実施例におけるセットラックの構造を示す斜視図である。
【図6】同実施例におけるセットラックのベース板に被梱包体をセットした状態を示す一部分の斜視図である。
【図7】同実施例における内装カバーの展開図である。
【図8】同実施例における内装カバーを組み立てた状態を示す斜視図である。
【図9】同実施例における内装カバーへのセットラックの収納状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての一実施例を図1から図9を参照して説明する。なお、本実施例では、梱包対象として現金自動預け払い機(ATM:Automated teller machine)の通帳記帳モジュール用として最適化した場合を例として説明するが、特に梱包対象として特定の機器に限定されるものではなく、実施例において説明した以外のものに対しても適用可能である。
【0022】
リユースコンテナ1は、被梱包体(通帳記帳モジュール)Aをセットして位置決め保持する直方体のセットラック10と、このセットラック10を保護する緩衝材を備えた直方体の内装カバー20と、更にこの内装カバー20を梱包する直方体の外装ケース50とから成る。
【0023】
セットラック10は、図5などに示すように、全体として長方形の形状を呈する金属製のベース板11と、このベース板11の長方形の形状の四隅から立設され、ベース板の長方形を一つの面として構成される直方体形状の補強枠12とで構成され、ベース板11には被梱包体Aを位置決めするL型金具13と被梱包体Aを固定するアタッチメント金具14が取り付けられており、図5に示すように、L型金具13によって被梱包体Aの一方の両角部を位置決めした状態で被梱包体Aの側部に設けたレール15にアタッチメント金具14を係止してアタッチメント金具14をベース板11にネジ止めした後、ベース板11に補強枠12をネジ止めなどの適宜手段によって固定する。
【0024】
内装カバー20は、その展開図を図7に示すように、折り曲げ線を点線で示している。この内装カバー20は、一枚の連続した合成樹脂シート21から成り、底面板22に左右の立ち上がり板23,24が折り曲げ線25a,25aを介して連設され、その立ち上がり板23,24からさらに左側面板26と右側面板27、天面板28,28、前面板29,29及び後面板30,30、糊代片32,32がそれぞれ折り曲げ線25b,25c,25d,25eを介して連設されている。そして、前面板29と後面板30と糊代片32,32をそれぞれ折り曲げ線25d,25eから垂直に折り曲げ、さらに、折り曲げ線25cから天面板28,28を直角に折り曲げて糊代片32,32を天面板28,28にリベット止めなどによって固定することによって、左側面板26,右側面板27と前面板29,後面板30及び天板28,28によって左右一対の箱型のカバー部35,35が形成される(図8)。このカバー部35,35の内面と底面板22にはセットラック10の各コーナー部とセットラック10の両側縁中央に位置してセットラック10を位置決めする断面L字型の緩衝材36,36・・・が固定されている。さらに、天面板28,28の外面にはカバー部35,35を閉じた状態で固定する面ファスナ40が取り付けられており、前面板29及び後面板30には手かけ用の長孔41が形成されている。
【0025】
外装ケース50は、図1及び図2などに示すように、例えばPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂製の底面パネル51(図1及び図2共に底面のため見えてはいない)と、左右何れか一方の側面の開閉パネル52(図1では左側面、図2では外した状態が図示)と、その反対側の側面パネル53(本実施例では便宜上、右側面パネル53と称する)と、前面パネル54及び後面パネル55と、天板パネル56とから構成されている。この外装ケース50を構成する各パネル51〜56は、それぞれ外縁部が補強フレーム57,57,57・・・で補強されている。また、底面パネル51の四隅にコーナー部材58,58・・・が固定されており、このコーナー部材58に開閉パネル52部分を除く前面パネル54及び後面パネル55と右側面パネル53が固定されている。このような構成を備えることによって、外装ケース50には、開閉パネル52と天板パネル56を取り外すことにより、上面開口部60aと一方の(本実施例では左側)側面開口部60bとが連続した開口部60が形成される(図2参照)。つまり、側面開口部60bに臨む縦方向(図2の状態で垂直方向)の補強フレーム57には開閉パネル52を案内するガイド溝61が形成され、このガイド溝61に沿って開閉パネル52の両側縁に形成する差込部62をスライドさせることによって側面開口部60aを開閉するとともに、上面開口部60aを天板パネル56によって開閉する。
【0026】
図1乃至図3(a)(b)で示すように、外装ケース50の上面開口部60aに臨む各側面パネル52〜55(図2)の四隅には、L型の位置決め用の突起部63を備えた位置決め枠64が固定され、天板パネル56の周囲を補強する補強枠65には突起部63と対応して該突起部63と嵌合する切欠部66が形成されている。また、位置決め枠64には突起部63の両側に位置してそれぞれ一対の係止突起部67が形成され、この係止突起部67と対応する補強枠65には弾性変形可能なフック片68が形成されている。天板パネル56を外装ケース50の上面開口部60aに嵌め込むと、突起部63は、天板パネル56の上面から突き出るような寸法に形成されている。
【0027】
また、図4に示すように、外装ケース50の前面パネル54及び後面パネル55の内面にはそれぞれ複数のガイドレール70,70が固定されるとともに、内装カバー20の外面側はガイドレール70,70に案内されて摺動される。外装ケース50は、締め付けバンド72の両端に固定する結合具73を側面パネル54,55の外面に固定した受け金具74に係合させて外装ケース50を密閉させた状態で固定している。なお、図1などにおいて、符号75は側面パネル54,55の上縁寄りに設けた左右一対の手掛け用の開口部、符号76は外装ケース50をフォークリフトやパレットなどで搬送する際の差込口を形成するための支持台である。
【0028】
以上のように構成される本発明のリユースコンテナ1の組立手順について説明する。まず、図6に示すように、セットラック10のベース板11に設けたL型金具13によって被梱包体Aを位置決めした後、被梱包体Aの側部に設けられているレール15にアタッチメント金具14を係止してアタッチメント金具14をベース板11にネジ止めしてセットラック10に被梱包体Aを位置決め固定した状態でセットラック10のベース板11に補強枠12をねじ止めしてセットラック10を組み立てる。この際、被梱包体Aの側部に設けられているレール15は、被梱包体Aとしての通帳記帳モジュールを銀行端末装置に組み込む際のレールを用いるのが適切である。そして、図9に示すように、被梱包体Aをセットしたセットラック10を内装カバー20の底面板22上に設けた緩衝材36,36上に載置した後、内装カバー20の折り曲げ線25bから左右のカバー部35,35を起こして一方の天面板28に固定した面ファスナ40を他方の天面板28に固定した雌型面ファスナ40aに貼り付けることによって、セットラック10に左右のカバー部35,35を被せた状態で固定する。この後、図2に示すように、セットラック10に固定した被梱包体Aを内装カバー20で覆った状態で外装ケース50に収納する。この際、外装ケース50の側面開口部60bから内装カバー20をレール70により案内して挿入し、底面パネル51上に内装カバー20を介してセットラック10を載置する。そして、側面開口部60bに臨む縦方向の補強フレーム57に形成するガイド溝61に沿って開閉パネル52をスライドさせることによって開閉パネル52で側面開口部60bを塞ぐとともに、各側面パネル52〜55の四隅に形成するL型の位置決め用の突起部63に天板パネル56の四隅に形成する切欠部66を嵌合させながら外装ケース50の上面開口部60aを天板パネル56で塞ぐ。これにより、天板パネル56の補強枠65に形成するフック片68が各側面パネル52〜55の位置決め枠64に形成する係止突起部67に弾性変形しながら係合して天板パネル56が固定される。この後、天板パネル56に取り付けた締め付けバンド72の結合具73を側面パネル54,55に固定した受け金具74に係合させて外装ケース50を密閉する。これにより、外装ケース50内に被梱包体Aが格納され、被梱包体Aの梱包作業が完了する。
【0029】
以上のように本発明のリユースコンテナ1は、セットラック10に被梱包体Aをセットし、セットラック10に内装カバー20を被せることによって、内装カバー20内に設けた緩衝材36により被梱包体Aに加わる衝撃などを吸収するとともに、内装カバー20により被梱包体Aを保護する。さらに、その内装カバー20で覆われた被梱包体Aを外装ケース50内に格納することによって、搬送時などにおいて精密部品である被梱包体Aに加わる振動や衝撃を内装カバー20の緩衝材36によって効果的に吸収して極めて安定した状態で搬送することができる。したがって、従来、梱包対象であるATMの通帳記帳モジュールなど、外郭形状が複雑な精密機械を梱包する場合、梱包体と被梱包体Aとの間の空間部分に緩衝材を敷き詰めるなどして厳重に梱包していたが、本実施例においては、単に被梱包体Aを固定した所定形状(直方体)のセットラック10に内装カバー20を被せることによって、緩衝材を敷き詰めるといった充填作業も不要である。さらに、被梱包体Aを梱包する一番外側の外装ケース50は、上面開口部60aと側面開口部60bとにより連続した開口部60が形成され、内装カバー20を被せたセットラック10を外装ケース50に積み込む際、外装ケース50の側面開口部60bからレール70にスライドさせるように被梱包体Aを積み込むことで被梱包体Aを高く持ち上げる必要がないため、積み込み作業も容易である。また、被梱包体Aを収納する外装ケース50の組み立ても、側面開口部60bに臨む縦方向の補強フレーム57に形成するガイド溝61に沿って開閉パネル52をスライドさせた後、各側面パネル52〜55の四隅に形成するL型の位置決め用の突起部63に天板パネル56の四隅に形成する切欠部66を嵌合させながら外装ケース50の上面開口部60aを天板パネル56で塞ぐことによって、天板パネル56の補強枠65に形成するフック片68が位置決め枠64に形成する係止突起部67に弾性変形しながら係合して天板パネル56を簡単に固定することができる。このため、被梱包体Aの梱包作業も容易であるともに、被梱包体Aを梱包するセットラック10、内装カバー20、外装ケース50は繰り返して使用可能であり、省資源化に向かうニーズにも対応できる。さらに、被梱包体Aの輸送時において十分な強度剛性を備えるとともに、成形加工も容易で軽量化も可能であるため取り扱いも容易である。
【0030】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、被梱包体Aの具体例としてATMの通帳記帳モジュールを例示したが、各種の機器に応じて固定用の各種アタッチメント金具を用意すれば、各種機器の梱包用として広く使用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 リユースコンテナ
11 ベース板
12 補強枠
10 セットラック
20 内装カバー
21 合成樹脂シート
22 底面板
23,24 立ち上がり板
25b,25c,25d,25e 折り曲げ線
35 カバー部
36 緩衝材
50 外装ケース
51 底面パネル
52 開閉パネル
53 側面パネル
54 前面パネル
55 後面パネル
56 天板パネル
60 開口部
60a 上面開口部
60b 側面開口部
61 ガイド溝
70 ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包体を位置決めして保持するベース板と補強枠とから構成されたセットラックと、該セットラックに被せる直方体状の内装カバーと、該内装カバーを格納する直方体状の外装ケースとから成るリユースコンテナであって、前記ベース板に前記被梱包体を位置決め固定するとともに、前記内装カバーと前記外装ケース間に前記内装カバーを案内して引き出すためのレールを設けたことを特徴とするリユースコンテナ。
【請求項2】
前記セットラックは、前記被梱包体を位置決めして保持するベース板が長方形であり、前記補強枠が前記ベース板の長方形を一つの面とした直方体の各辺に配置された補強枠であることを特徴とする請求項1記載のリユースコンテナ。
【請求項3】
前記直方体状の内装カバーは、一枚の連続した合成樹脂シートから成り、底板から折曲した立ち上がり板の中間部分から折り曲げ線を介して左右一対の箱型のカバー部を開閉自在に連設し、前記底板の上面と前記カバー部の内面に複数個の緩衝材を接着して設けたことを特徴とする請求項2記載のリユースコンテナ。
【請求項4】
前記直方体状の外装ケースは、複数の合成樹脂製パネルから成り、該直方体状の一側面と上面を開口可能として前記各パネルを箱状に組んで構成され、該外装ケースの側面開口部には左右一対のガイド溝を形成し、この一対のガイド溝に沿って開閉パネルをスライドさせて前記側面開口部を開閉自在に構成するとともに、前記上面開口部を天井パネルで覆って当該外装ケースを構成し、該外装ケースの内面には前記内装カバーを案内して引き出すための前記レールを配置し、前記外装ケース内に前記内装カバーを格納したことを特徴とする請求項2又は3記載のリユースコンテナ。
【請求項5】
長方形のベース板と、該ベース板の長方形を一つの面とした直方体の各辺に配置された補強枠とから成るセットラックに被梱包体を位置決めして保持し、該セットラックに直方体状の内装カバーを被せ、該内装カバーを更に直方体状の外装ケース内に格納したリユースコンテナであって、該外装ケースの側面開口部には左右一対のガイド溝を形成し、この一対のガイド溝に沿って開閉パネルをスライドさせて前記側面開口部を開閉自在に構成するとともに、前記上面開口部を天井パネルで覆って当該外装ケースを構成し、該外装ケースの内面にはレールを配置して、前記外装ケースから前記内装カバーを案内して引き出すことができるように構成したことを特徴とするリユースコンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−162278(P2012−162278A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22312(P2011−22312)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 2010日本パッケージングコンテスト表彰式 主催者名 社団法人日本包装技術協会 開催日 平成22年10月7日
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)
【Fターム(参考)】