説明

リライト表示機能付き情報媒体

【課題】カード基材上の一部分に熱ラミネートで設けられるリライト記録層の部分に反りの発生がなく、外観上の見栄えとリライト記録層上への印字性を保持するリライト表示機能付き情報媒体の提供。
【解決手段】カード基材20の表面の一部分に熱ラミネートで設ける、該基材20のサイズより小さなサイズのリライト記録層21を有するリライト表示機能付き情報媒体1において、カード基材20の表裏全面に厚みと延伸方向を揃えた二軸延伸PETフィルムでなる外装シート23を設け、この外装シート23の両面に熱可塑性樹脂層24が塗布されているリライト表示機能付き情報媒体1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の繰り返し書き換えが可能なリライト記録層を有するリライト表示機能付き情報媒体に関するものであり、特に、リライト表示面の一部分に熱ラミネートで設けるリライト記録層の部分に反りの発生のないリライト表示機能付き情報媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乗車定期券や各種ポイントカード類等において、乗車期限、ポイント数等の表示の繰り返し書き換えが可能な接触ICカード、非接触型ICカードや各種ポイントカードなどが知られ、その表示面に表示の繰り返し書き換えが可能なリライト記録層を有するカード類が数多く発行されている。
【0003】
上記カード類に使用するレライト記録層は、サーマルヘッドやレーザー光の熱で記録可能な熱リライト記録層が一般的に使用されていて、例えば、記録時の到達温度によって生じる透明状態と白濁状態の差から可視画像を形成する白濁型リライトや、記録時の到達温度によって生じる発色状態と消色状態の差から可視画像を形成するロイコ型リライトがある。
【0004】
上記のリライト記録層のカードへの形成として、例えば、基材シートの表裏面に表裏シート基材を熱圧着により積層し、その表シート基材をリライト記録層としたものがあり、このように熱圧着により積層したカードは、反りやねじれが発生してしまうという問題点がある。この問題点を解消する技術として、多面付けによるシートと略同一サイズのリライト記録層を有するシート基材をラミネートした後、カードサイズに打ち抜いてプラスチックカードとする技術において、上記表裏シート基材を同一ロール原反より切り出された基材で構成され、そのシート基材の一方をリライト記録層とし、他の一方を文字印刷層として組合せる際に、両者のMD方向(原反の巻取り方向)、TD方向(MD方向に対し垂直方向で引き延ばされて疎となった分子配列に対する左右方向)を合致させて積層するプラスチックカードがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2002−1821号公報 しかしながら、上記の従来技術においては、カード片面の全面にリライト記録層が施されたものであり、これに対し、例えば、図4(a)の模式図に示すように、カードサイズより小さいサイズのリライト記録層(11)を有するリライト表示機能付きカード(3)では、カード基材(10)の表面の一部分にベース基材上のリライト記録層(11)を、図4(b)に示すように部分的に熱圧でラミネートしてカード基材(10)に埋め込むと、リライト記録層(11)を備えたベース基材(12)は、リライト印字・消去といった書き換え時に加わる熱に耐える必要性から、二軸延伸PETフィルムのような耐熱性に優れる樹脂を使用しているため、例えば、図4(c)に示すように、リライト記録層(11)を備えたベース基材の部分がカード基材(10)の収縮に影響され最表面のリライト記録層(11)を備えたベース基材に反りが発生し、得られるリライト表示機能付きカード(3)が見栄えに欠け、かつリライト記録層(11)上への印字にかすれなどの不具合が生じるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、カード基材上の一部分に熱ラミネートで設ける該基材のサイズより小さなサイズのリライト記録層を有するリライト表示機能付き情報媒体において、前記熱ラミネートで設けられるリライト記録層に反りの発生がなく、見栄えとリライト記録層上への印字性に優れるリライト表示機能付き情報媒体の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、カード基材上の一部に該基材のサイズより小さいサイズのリライト記録層用ベース基材上に形成されたリライト記録層が熱ラミネートで設けられるリライト表示機能付き情報媒体において、前記カード基材の表裏全面に厚みと延伸方向を揃えた二軸延伸PETフィルムでなる外装シートを設けたことを特徴とするリライト表示機能付き情報媒体としたものである。
【0008】
また、請求項2の発明では、前記外装シートの両面に厚み5〜15μmの熱可塑性樹脂がコーティングされていることを特徴とする請求項1記載のリライト表示機能付き情報媒体としたものである。
【0009】
また、請求項3の発明では、前記カード基材は、耐熱性の低い熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のリライト表示機能付き情報媒体としたものである。
【0010】
また、請求項4の発明では、前記カード基材中に非接触型ICチップとアンテナ素子が埋設されている非接触型ICカードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリライト表示機能付き情報媒体としたものである。
【0011】
また、請求項5の発明では、前記カード基材の表面側に接触型ICカードモジュールを備えた接触型ICカードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリライト表示機能付き情報媒体としたものである。
【0012】
さらにまた、請求項6の発明では、前記カード基材の表面に磁気記録層を備えた磁気カードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリライト表示機能付き情報媒体としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0014】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、カード基材上の一部に該基材のサイズより小さいサイズのリライト記録層用ベース基材上に形成されたリライト記録層が熱ラミネートで設けられるリライト表示機能付き情報媒体において、前記カード基材の表裏全面に厚みと延伸方向を揃えた二軸延伸PETフィルムでなる外装シートを設けたことによって、カード基材上の一部に小さなサイズのベース基材付リライト記録層を熱ラミネートした部分の二軸延伸PETフィルムでなる表裏外装シートの熱収縮によって、その表裏外装シートが互いに引っ張り合い、厚み、延伸方向(縦横とも)が揃っている表裏外装シートのため、互いに引っ張り合う力が均衡して反りが無くなるという作用効果を有し、よって見栄えとリライト印字性に優れるリライト表示機能付き情報媒体とすることができる。
【0015】
さらに、上記請求項1に係る発明によれば、二軸延伸PETフィルムでなる外装シートをカード基材の最外層にすることによって、表裏が各種耐性に優れるとともにこのリライト表示機能付き情報媒体の形状に対する支配力を最大化することができる。
【0016】
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記カード基材を、耐熱性の低い熱可塑性樹脂とすることによって、カード基材(コアシート)上の一部に熱ラミネートで設けられるリライト記録層を埋め込む際に、このカード基材を構成する耐熱性の低い熱可塑性樹脂が流動することで埋め込みの負荷を低減し、表面を平滑にし易いリライト表示機能付き情報媒体とすることができる。
【0017】
さらにまた、上記請求項2に係る発明によれば、カード基材に耐熱性の低い熱可塑性樹脂を用いることによって、この樹脂が熱ラミネート時に最も早く流動するため、二軸延伸PETフィルムでなる外装シート及びその上への印刷に対する負荷を吸収し、外観品質の劣化(印刷絵柄の歪み、割れ等)を軽減することができる。
【0018】
また、上記請求項3に係る発明によれば、前記外装シートの両面に厚み5〜15μmの熱可塑性樹脂がコーティングされていることによって、カード基材と外装シートとのラミネートを容易にするとともに、このコーティングされた熱可塑性樹脂がリライト記録層の熱ラミネートの際に流動するため、カード基材上の一部に設けられるリライト記録層が埋め込まれる際に発生する端部の溝を埋めて表面をより平滑にするリライト表示機能付き情報媒体とすることができる。コーティングされた熱可塑性樹脂の厚みが5μmに満たないと端部の溝を埋めるという効果が不足し、15μmを越えるとその材料及び厚みのバラツキ等が増えるので好ましくない。
【0019】
また、上記請求項4、5、6に係る発明によれば、カード表面の一部にリライト記録層を有するリライト表示機能付き情報媒体において、リライト記録層の部分が熱ラミネートによる反りがなく、見栄えとリライト印字性に優れる非接触型ICカード、接触型ICカード、磁気カードとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
本発明は、例えば、図1の側断面を表す模式図に示すように、表示の繰り返し書き換えが可能なリライト記録層(21)が表示面の一部に形成されたリライト表示機能付き情報媒体(1)であり、特に、表示面の一部分に熱ラミネートで設けるリライト記録層(21)の部分に反りが発生せず、見栄えとリライト印字性に優れたリライト表示機能付き情報媒体(1)に関する発明である。
【0022】
上記請求項に係る発明のリライト表示機能付き情報媒体は、図1および図2に示すようにコアシートといわれるカード基材(20)の表面側の一部にこのカード基材(20)のサイズより小さいサイズのリライト記録層(21)を熱圧によるラミネートで設けたリライト表示機能付き情報媒体(1)であり、このリライト記録層(21)は、これと同じサイズのリライト記録層用ベース基材(22)上に形成されている。
【0023】
そして、上記カード基材(20)の表裏全面には、厚み及び縦横の延伸方向を揃えた二軸延伸PETフィルムでなる外装シート(23)がラミネートされていて、その表面側の外装シート(23)上の一部に上記のリライト記録層(21)がリライト記録層用ベース基材(22)とともに熱ラミネートで埋め込まれるように形成されている。
【0024】
このように、カード基材(20)の表裏全面に厚みと延伸方向(縦横とも)を揃えた二軸延伸PETフィルムでなる外装シート(23)を設けたことによって、カード基材(20)の表面側の一部に小さなサイズのベース基材(22)付リライト記録層(21)を熱圧でラミネートした部分の二軸延伸PETフィルムでなる表裏外装シート(23)の熱収縮によって、その表裏外装シート(23)が互いに引っ張り合い、厚み、および延伸方向(縦横とも)が揃っている表裏外装シート(23)のため、表裏外装シート(23)の互いに引っ張り合う力が均衡して反りが無くなるという作用効果を有するリライト表示機能付き情報媒体(1)である。
【0025】
上記外装シート(23)としては、耐熱性と加工適性のある結晶性樹脂からなるシートであればよく、その結晶性樹脂としては、本発明では二軸延伸PETフィルムとしたものであり、その厚みは50〜70μm程度とすることが好ましい。
【0026】
また、リライト記録層用のベース基材(22)としては、上記外装シート(23)と同様に耐熱性と加工適性のある結晶性樹脂からなるシートであればよく、特に限定するものではないが、上記外装シート(23)と同じ二軸延伸PETフィルムがより好適に使用され、その厚みは20〜30μm程度とすることが好ましい。
【0027】
また、上記リライト記録層用のベース基材(22)上へ形成するリライト記録層(21)としては、情報記録を書換えできる層であり可逆性記録材料として、白濁型リライト及びロイコ型リライトがあり、その白濁型リライトとしては、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂中に、ベヘン酸、エイコサン二酸、コハク酸、アジピン酸、蓚酸、ペンタデカン二酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸を分散させ、加熱、冷却によって記録層が白濁化、透明化を繰り返す現象を利用するものである。
【0028】
また、リライト記録層(21)の可逆性記録材料としてのロイコ型リライトとしては、高温加熱下では酸の性質を示し、低温加熱下では塩基の性質を示す両性化合物である顕減色剤とロイコ化合物をポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂中に分散させたもの。両性化合物である上記顕減色剤は熱の作用によって酸の性質を示したり塩基の性質を示すため、高温加熱下では酸として作用し放出された水素イオンがロイコ化合物のラクトン環を開環させてロイコ化合物を顕色させる一方、低温加熱下では塩基として作用し、上記ラクトン環を閉環させてロイコ化合物を減色させる現象を利用するものである。この顕減色剤としてヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシサルチル酸、没食子酸等が使用される。また、ロイコ化合物として、ラクトン、サルトン、スピロフラン等を部分骨格とするクリスタルバイオレットラクトン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が使用される。
【0029】
また、上記請求項に係る発明では、例えば、図1に示すカード基材(20)として、コアシートとも言われ、耐熱性の低い熱可塑性樹脂を用いることを特徴とするものであり、その耐熱性の低い熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂の非晶体からなり、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシヴァリレート)、ポリビニルアルコール、ABS等の合成樹脂類、天然樹脂類、またはそれらの樹脂の変性樹脂などを単独または組み合わせた複合体、アロイ体、ブレンド体等の非晶性固体を使用することができる。その中でも熱特性や加工性(エンボス性等)の点から白色のポリ塩化ビニルが一般的に使用されてきたが、近年の環境保護の面から、100〜120℃で軟化、流動する非結晶性の樹脂シートとしての白色の非結晶性PET共重合体、詳細にはテレフタル酸とグリコールに1,4シクロヘキサンジメタノール(1,4CMH)を共重合した共重合体(イーストマンケミカル社の製品の商標で以下PET−Gという)シートが好適なカード基材(20)として使用することができ、その厚みとしては、上記の外装シート(23)の厚みを勘案して650μm程度が好ましい値である。
【0030】
このように、カード基材(20)として耐熱性の低い熱可塑性樹脂(白色PVCや白色
PET−G等シート)を用いることによって、この樹脂が熱ラミネート時に最も早く流動するため、二軸延伸PETフィルムでなる外装シート(23)及びその上への印刷(図示せず)に対する負荷を吸収し、外観品質の劣化(印刷絵柄の歪み、割れ等)を軽減することができる。
【0031】
また、上記請求項に係る他の発明では、例えば、図1に示すように、二軸延伸PETフィルムでなる表裏の外装シート(23)の両面に厚み5〜15μmのコーティングされた熱可塑性樹脂層(24)が形成されていることを特徴としたものである。
【0032】
コーティングされた熱可塑性樹脂層(24)の厚みが5μmに満たないと端部の溝を埋めるという効果が不足し、15μmを越えるとその材料及び厚みのバラツキ等が増えるので好ましくない。
【0033】
上記熱可塑性樹脂層(24)の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂等透明でコーティング可能な熱可塑性樹脂であれば特に限定しないが、熱ラミネートの際に流動し、かつコーティングされる外装シート(23)として二軸延伸PETフィルムが用いられていることから、この二軸延伸PETフィルムと密着等で相性のよいポリエステル系樹脂などがより好適なコーティング剤として使用することができる。
【0034】
このように、表裏の外装シート(23)の両面にコーティングによる熱可塑性樹脂層(24)を施すことによって、カード基材(20)と外装シート(23)とのラミネートを容易にするとともに、例えば、図3(a)の模式図に示すように、従来の外装シート(23)の表面に熱可塑性樹脂層がない場合では、リライト記録層(21)を熱圧でラミネートする際に、このリライト記録層(21)の端部(21a)に溝(30)ができるが、本発明のように、外装シート(23)の両面にコーティングされた熱可塑性樹脂層(24)を施すことによって、このコーティングされた熱可塑性樹脂層(24)がリライト記録層(21)を熱ラミネートする際の熱で流動するため、例えば、図3(b)の模式図に示すように、その端部の溝を熱可塑性樹脂層(24)で埋めて表面をより平滑にし、外観的にも見栄えのするようにするとともに、熱圧でラミネートし埋め込みする際に発生するリライト記録層用ベース基材(22)付きリライト記録層(21)の収縮する力を緩和し、二軸延伸PETフィルムでなる外装シート(23)への影響を少なくしてカードの平面性を維持するようにすることができる。
【0035】
さらにまた、上記請求項に係る他の発明では、カード表面の一部にカード基材(10)よりサイズの小さいリライト記録層(21)を有するリライト表示機能付き情報媒体(1)として、例えば、図1に示すように、カード基材(10)中に非接触ICチップとアンテナでなる非接触ICインレット(32)を埋め込んだ非接触ICカードとすることができる。
【0036】
また、特に図示しないが、カード基材の表面側に接触型ICモジュールを備えた接触型ICカードやカード基材の表面に磁気記録層を設けた磁気カードとすることもでき、上記いずれのカードにおいても、熱ラミネートされたリライト記録層の部分には反りがなく、よって外観的にも見栄えがよく、かつリライト印字性を損なわないカードとすることができる。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0038】
<実施例1>
上下2枚の白色のPET−G:PG700M(太平化学社製)をカード基材とし、それらの間に非接触ICインレットを挟むようにして積層したものを熱ラミネートして厚み650μmの非接触ICインレットを内蔵したコアシートを作成した。
【0039】
上記で得られたコアシートの表裏面に、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムでなる外装シートの両面に厚み10μmのポリエステル系樹脂を塗布したものを積層し、この積層に際し、コアシートの長手方向に表裏面に積層する2枚の二軸延伸PETフィルムの縦延伸方向が一致するようにした。
【0040】
続いて、上記のように積層で得られた、カード基材上の外装シート面の一部に30×50mmで、厚み25μmの二軸延伸PETフィルムにリライト記録層を施したリライト記録シートを貼付した後、全体を熱圧でラミネートして一体化し、その後所定のサイズ(54×86mm)に打ち抜き、リライト表示機能付きの非接触ICカードを作成した。
【0041】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0042】
<比較例1>
外装シートにPET−Gを使用した以外は、実施例1と同様にしてリライト表示機能付きの非接触ICカードを作成した。
【0043】
上記で得られたリライト表示機能付きの非接触ICカードの反り量を測定した結果を表1に示した。
【0044】
【表1】

上記表1より、従来の構成の比較例1では、JIS X6301の規格である1.5mm以下を満足することは困難であるが、本発明の構成の実施例1では、この規格を充分にクリアするものであった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のリライト表示機能付き情報媒体の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明のリライト表示機能付き情報媒体の一実施例を説明する完成図である。
【図3】本発明のリライト表示機能付き情報媒体を構成するコーティング層の効果を説明するもので、(a)は、従来のコーティング層のない場合の模式図であり、(b)は、本発明のコーティング層がある場合の模式図である。
【図4】従来のリライト記録層を施したリライト表示機能付きカードの状態を示すもので、(a)は、リライト記録層をカード基材に貼付した側面模式図であり、(b)は、リライト記録層をカード基材に熱ラミネートで埋め込んだ図であり、(c)は、ラミネートされたリライト記録層の部分が熱収縮により反りが発生した側面模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1‥‥リライト表示機能付き情報媒体
3‥‥従来のリライト表示機能付きカード
10‥‥従来のカード基材
11‥‥従来のリライト記録層
20‥‥カード基材
21‥‥リライト記録層
21a‥‥リライト記録層の端部
22‥‥リライト記録層用のベース基材
23‥‥外装シート
24‥‥熱可塑性樹脂層
25‥‥リライト記録シート
30‥‥溝
32‥‥非接触ICインレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材上の一部に該基材のサイズより小さいサイズのリライト記録層用ベース基材上に形成されたリライト記録層が熱ラミネートで設けられるリライト表示機能付き情報媒体において、前記カード基材の表裏全面に厚みと延伸方向を揃えた二軸延伸PETフィルムでなる外装シートを設けたことを特徴とするリライト表示機能付き情報媒体。
【請求項2】
前記外装シートの両面に厚み5〜15μmの熱可塑性樹脂がコーティングされていることを特徴とする請求項1記載のリライト表示機能付き情報媒体。
【請求項3】
前記カード基材は、耐熱性の低い熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のリライト表示機能付き情報媒体。
【請求項4】
前記カード基材中に非接触型ICチップとアンテナ素子が埋設されている非接触型ICカードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリライト表示機能付き情報媒体。
【請求項5】
前記カード基材の表面側に接触型ICカードモジュールを備えた接触型ICカードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリライト表示機能付き情報媒体。
【請求項6】
前記カード基材の表面に磁気記録層を備えた磁気カードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリライト表示機能付き情報媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−107261(P2009−107261A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283331(P2007−283331)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】