説明

リリーフバルブ構造

【課題】リリーフバルブのリリーフ油圧を可変とするリリーフバルブ構造を簡単な構造で実現する。
【解決手段】オイルポンプ11から吐出されたオイルが入力ポート43から導入される弁収容室と、前記弁収容室に摺動自在に収容され、一端側に設けた受圧室面でオイルの圧力を受けるスプール弁と、前記スプール弁が摺動することにより開口するリリーフポート44と、前記スプール弁を前記一端側に付勢するリターンスプリング42とを備えるリリーフバルブ30を備えるリリーフバルブ構造において、前記弁収容室の他端に設けた背圧室と、前記背圧室に連通する導出油路36と、一端が導出油路36に連結されるとともに他端がドレン油路57に連結されてエンジン1の回転に同期して回転する遠心ガバナー71によって、導出油路36からドレン油路57に流れる油量をコントロールする油圧可変機構70とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リリーフバルブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の回転により駆動されるオイルポンプから吐出されるオイルの最高油圧をコントロールするために、オイルポンプの下流にリリーフバルブが設けられるリリーフバルブ構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。ばねによってリリーフ油圧が設定される通常のリリーフバルブはリリーフ油圧が一定であるため、リリーフ油圧は内燃機関の高回転時に対応した高い油圧に設定されるが、特許文献1のリリーフバルブ構造では、リリーフバルブの背圧室に供給する油圧を変更することで、リリーフバルブのリリーフ油圧を可変にしている。このように、リリーフバルブのリリーフ油圧を可変とし、内燃機関の中低速回転域でのリリーフ油圧を下げることで、中低速回転域でのオイルポンプの負荷を低減でき、動力の損失を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−191634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のリリーフバルブ構造では、オイルの粘度をセンサーで検出し、この検出結果に基づいてECUがコントロールバルブを切り替えて、上記背圧室の油圧をコントロールするため、リリーフバルブの全体構造が複雑になり、コストも増加するという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、リリーフバルブのリリーフ油圧を可変とするリリーフバルブ構造を簡単な構造で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、オイルポンプ(11)から吐出されたオイルが入力ポート(43)から導入される弁収容室(40)と、前記弁収容室(40)に摺動自在に収容され、一端(40A)側に設けた受圧室面(41A)でオイルの圧力を受けるスプール弁(41)と、前記スプール弁(41)が摺動することにより開口するリリーフポート(44)と、前記スプール弁(41)を前記一端(40A)側に付勢するリターンスプリング(42)とを備えるリリーフバルブ(30)を備えるリリーフバルブ構造において、前記弁収容室(40)の他端(40B)に設けた背圧室(22)と、前記背圧室(22)に連通する導出油路(36)と、一端が前記導出油路(36)に連結されるとともに他端がドレン油路(57)に連結されてエンジン(1)の回転に同期して回転する遠心ガバナー(71)によって、前記導出油路(36)から前記ドレン油路(57)に流れる油量をコントロールする油圧可変機構(70)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、リリーフバルブの弁収容室の一端側の受圧室面でオイルの圧力を受けるスプール弁と、スプール弁が摺動することにより開口するリリーフポートと、弁収容室の他端に設けた背圧室と、背圧室に連通する導出油路と、一端が導出油路に連結されるとともに他端がドレン油路に連結されてエンジンの回転に同期して回転する遠心ガバナーによって導出油路からドレン油路に流れる油量をコントロールする油圧可変機構とが設けられ、リリーフポートが開口するリリーフ油圧を機械式で可変とすることができ、リリーフ油圧を可変とするリリーフバルブ構造を簡単な構造で実現できる。
【0006】
また、上記構成において、前記入力ポート(43)に繋がる入力油路(32)を分岐して分岐油路(37)を設けるとともに、該分岐油路(37)にオリフィス(38)を設け、該分岐油路(37)を前記導出油路(36)に連通させた構成としても良い。
この場合、入力ポートに繋がる入力油路を分岐して分岐油路を設けるとともに、この分岐油路にオリフィスを設けて導出油路に連通させるため、入力油路から分岐した分岐油路から導出油路に供給される油圧で背圧室の背圧をコントロールでき、簡単な構造でリリーフ油圧をコントロールできる。また、背圧室の油圧及びリターンスプリングの付勢力でリリーフ油圧が設定されるため、リターンスプリングの付勢力を小さくでき、小型のリターンスプリングを使用できる。
【0007】
また、前記スプール弁(41)のリリーフ油圧(P2)は、前記リターンスプリング(42)の付勢力と背圧面に加わる油圧との合計の大きさとほぼ同一としても良い。
この場合、スプール弁のリリーフ油圧は、リターンスプリングの付勢力と背圧面に加わる油圧との合計の大きさとほぼ同一であるため、導出油路の油量のわずかな変化でリリーフ油圧をコントロールできる。
さらに、前記オイルポンプ(11)の下流側に、背圧(Q)をコントロールされる前記リリーフバルブ(30)と並行して、背圧をコントロールされない別のリリーフバルブ(31)を設けた構成としても良い。
この場合、オイルポンプの下流側に、背圧をコントロールされるリリーフバルブと並行して、背圧をコントロールされない別のリリーフバルブが設けられるため、エンジンの回転が速くなりリリーフバルブの背圧が高くなりすぎた際、オイルポンプの油圧が過度に高くなることを防止できる。
【0008】
また、前記リリーフバルブ(30)は、油圧が所定値以上になった際に前記リリーフポート(44)を開口する可変開口機構(85)を有する構成としても良い。
この場合、リリーフバルブは、油圧が所定値以上になった際にリリーフポートを開口する可変開口機構を有するため、エンジンの回転が速くなりリリーフバルブの背圧が高くなりすぎた際、上述の別のリリーフバルブを設けなくともオイルポンプの油圧が過度に高くなることを防止できる。
また、前記可変開口機構(85)は、前記スプール弁(41)の外周を摺動自在に設けられた外套部材(49)と、前記外套部材(49)を閉弁方向に押圧する第2リターンスプリング(53)とを設け、油圧が所定値以上に成った際、前記外套部材(49)を摺動して前記リリーフポート(44)を開口する構成としても良い。
この場合、可変開口機構は、スプール弁の外周を摺動自在に設けられた外套部材と、外套部材を閉弁方向に押圧する第2リターンスプリングとを設け、油圧が所定値以上に成った際、外套部材を摺動してリリーフポートを開口するため、簡単な構造で可変開口機構を設けることができる。
【0009】
さらに、前記油圧可変機構(70)は、軸に前記ドレン油路(57)と連絡する油路(73)が設けられエンジン(1)の回転に同期して回転する回転軸(72)と、前記ドレン油路(57)と連通し前記回転軸(72)の周面(72A)に開口する開口孔(74)と、該開口孔(74)を開閉するボール部材(75)と、該ボール部材(75)の外周に嵌装され、前記ボール部材(75)と反対側にウェイト部(79)が設けられ、支点(77)を中心に揺動して前記ボール部材(75)の離脱を抑えるウェイト部材(76)とを有する構成としても良い。
この場合、油圧可変機構は、ドレン油路と連絡する油路が設けられエンジンの回転に同期して回転する回転軸と、ドレン油路と連通し回転軸の周面に開口する開口孔と、開口孔を開閉するボール部材と、ボール部材の外周に嵌装され、ボール部材と反対側にウェイト部が設けられ、支点を中心に揺動してボール部材の離脱を抑えるウェイト部材とを有し、回転軸の回転に伴って支点を中心にウェイト部が外側に移動することで、ウェイト部材がボール部材の離脱を抑える力が変化するため、簡単な構成でリリーフバルブのリリーフ油圧を可変とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るリリーフバルブ構造では、弁収容室の他端に設けた背圧室と、背圧室に連通する導出油路と、一端が導出油路に連結されるとともに他端がドレン油路に連結されてエンジンの回転に同期して回転する遠心ガバナーによって導出油路からドレン油路に流れる油量をコントロールする油圧可変機構とが設けられ、背圧室の油圧をコントロールする機構を、エンジンの回転に同期して回転する遠心ガバナーによって機械式で設けることができるため、リリーフポートが開口するリリーフ油圧を機械式で可変とすることができ、リリーフ油圧を可変とするリリーフバルブ構造を簡単な構造で実現できる。
【0011】
また、入力ポートに繋がる入力油路を分岐して分岐油路を設けるとともに、この分岐油路にオリフィスを設けて導出油路に連通させるため、分岐油路から導出油路に供給される油圧で背圧室の背圧をコントロールでき、簡単な構造でリリーフ油圧をコントロールできる。また、背圧室の油圧及びリターンスプリングの付勢力でリリーフ油圧が設定されるため、リターンスプリングの付勢力を小さくでき、小型のリターンスプリングを使用できる。
また、スプール弁のリリーフ油圧は、リターンスプリングの付勢力と背圧面に加わる油圧との合計の大きさとほぼ同一であるため、導出油路の油量のわずかな変化でリリーフ油圧をコントロールできる。
【0012】
また、背圧をコントロールされるリリーフバルブと並行して、背圧をコントロールされない別のリリーフバルブが設けられるため、油圧可変機構の回転が速くなりリリーフバルブの背圧が高くなりすぎた際、オイルポンプの油圧が過度に高くなることを防止できる。
さらに、リリーフバルブは、油圧が所定値以上になった際にリリーフポートを開口する可変開口機構を有するため、エンジンの回転が速くなりの回転が速くなりリリーフバルブの背圧が高くなりすぎた際、上述の別のリリーフバルブを設けなくとも、オイルポンプの油圧が過度に高くなることを防止できる。
【0013】
また、可変開口機構は、油圧が所定値以上に成った際、外套部材を摺動してリリーフポートを開口するため、簡単な構造で可変開口機構を設けることができる。
また、油圧可変機構は、ドレン油路と連絡する油路が設けられエンジンの回転に同期して回転する回転軸と、ドレン油路と連通し回転軸の周面に開口する開口孔と、開口孔を開閉するボール部材と、ボール部材の外周に嵌装され、ボール部材と反対側にウェイト部が設けられ、支点を中心に揺動してボール部材の離脱を抑えるウェイト部材とを有し、回転軸の回転に伴って支点を中心にウェイト部が外側に移動することで、ウェイト部材がボール部材の離脱を抑える力が変化するため、簡単な構成でリリーフバルブのリリーフ油圧を可変とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るリリーフバルブ構造を示す構成図である。
【図2】リリーフバルブの断面図である。
【図3】遠心ガバナーを示す図である。
【図4】エンジンの回転数とリリーフバルブ構造のリリーフ油圧との関係を示すグラフである。
【図5】リリーフバルブがリリーフ油圧に達した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るリリーフバルブ構造について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るリリーフバルブ構造を示す構成図である。
エンジン1は、自動二輪車等の車両のエンジンであり、エンジン1の潤滑個所にオイルを送る潤滑装置10を備えている。
潤滑装置10は、エンジン1のクランクケースに設けられており、複数の歯車列を介してエンジン1のクランクシャフト(不図示)と連結されてエンジン1の回転と同期して駆動されるオイルポンプ11と、オイルポンプ11によって送出されるオイルを貯留するオイルパン12と、オイルポンプ11をエンジン1の各潤滑個所に連通させるオイルギャラリ13と、オイルポンプ11の吐出圧が所定値を超えないように油圧を制限するリリーフバルブ構造14とを備えている。オイルポンプ11の吸入口は、吸入油路15によってオイルパン12に接続される。
【0016】
リリーフバルブ構造14は、オイルギャラリ13に接続されるリリーフバルブ30と、リリーフバルブ30のリリーフ油圧よりも高圧のリリーフ油圧に設定される高圧用リリーフバルブ31(別のリリーフバルブ)とを有している。リリーフバルブ構造14には、リリーフバルブ30のリリーフ油圧を可変にする油圧可変機構70が接続され、油圧可変機構70は、エンジン1の回転に同期して回転する遠心ガバナー71を有している。
リリーフバルブ30の入口は、オイルポンプ11の吐出口よりも下流側でオイルギャラリ13から分岐する入力油路32によってオイルギャラリ13と接続される。リリーフバルブ30の出口は、排出油路33によってオイルポンプ11の吸入油路15に接続される。
高圧用リリーフバルブ31の入口は、オイルポンプ11の吐出口よりも下流側でオイルギャラリ13から分岐する油路34によってオイルギャラリ13と接続される。高圧用リリーフバルブ31の出口は、油路35によってオイルポンプ11の吸入油路15に接続される。
【0017】
図2は、リリーフバルブ30の断面図である。
図2に示すように、リリーフバルブ30は、オイルポンプ11から吐出されたオイルが導入される円筒状の弁収容室40と、弁収容室40に摺動自在に収容される円柱状のスプール弁41と、スプール弁41を弁収容室40の一端40A側に付勢するリターンスプリング42と、リリーフバルブ30の入口となる入力ポート43と、リリーフバルブ30の出口となるリリーフポート44と、弁収容室40の他端40Bを閉塞するとともにリターンスプリング42を支持する閉塞部材45とを備えて構成される。
【0018】
弁収容室40の一端40A側には、入力ポート43に連通する受圧室21が形成される。
スプール弁41は、弁収容室40の内周面40Cに摺接する円筒状の基部46と、基部46よりも小径の円柱状に形成され、基部46と略同軸に受圧室21へ延びる軸部47とを有している。基部46の内部には、リターンスプリング42の端部が当接するばね支持穴46Aが形成され、スプール弁41は、ばね支持穴46Aと閉塞部材45との間で圧縮された状態で配置されるリターンスプリング42によって常に押圧されており、その先端の受圧室面41Aは一端40Aに当接している。受圧室面41Aには、面取り部41Bが形成されており、入力ポート43の油圧は、面取り部41Bを含む受圧室面41Aを介してスプール弁41の軸方向に作用する。
【0019】
また、基部46と閉塞部材45との間の空間は、スプール弁41を一端40A側へ押圧する油圧が供給される背圧室22となっている。ここでは、スプール弁41を一端40A側へ押圧する油圧を背圧Qと呼ぶ。
本実施の形態では、背圧室22に背圧Qを供給することで、リターンスプリング42の付勢力と背圧室22の油圧力との両方の力によってスプール弁41を一端40A側へ付勢し、背圧室22の背圧Qを油圧可変機構70によってコントロールすることで、リリーフバルブ30が作動してリリーフバルブ30からオイルが排出される圧力、すなわち、リリーフ油圧を可変としている。背圧室22の壁部には、背圧室22の入口となる背圧ポート56が形成される。また、基部46において背圧室22に露出する部分は、背圧Qを受ける背圧面となっている。
【0020】
スプール弁41の軸部47には、軸部47に嵌合する外套部材49が設けられる。外套部材49は、弁収容室40の内周面40Cに摺接する円筒状の筒部50と、筒部50における一端40A側の端部において基部46に摺動自在に嵌合する嵌合部51とを有している。
【0021】
また、筒部50の内周面と軸部47の外周面との間には軸方向に延びるばね収容部52が形成されており、ばね収容部52には、外套部材49を一端40A側に付勢する第2リターンスプリング53が収容される。第2リターンスプリング53は、基部46と嵌合部51との間で圧縮された状態で配置されている。第2リターンスプリング53及びリターンスプリング42はコイルばねである。
ばね収容部52は、ばね収容部52の近傍の弁収容室40の壁部に形成された空気孔55を介して外部に連通しており、スプール弁41及び外套部材49が移動する際には、弁収容室40の空気が空気孔55から排出されるため、スプール弁41及び外套部材49がスムーズに作動する。
【0022】
軸部47の端部において、受圧室面41Aからわずかに基部46側に移動した位置の外周面には、外套部材49の外径よりも小径に形成されたリング状の係止部材54が係合されている。第2リターンスプリング53によって付勢される外套部材49は、嵌合部51の端面51Aが係止部材54に当接することで、一端40A側への移動を規制され、一端40Aと端面51Aとの間には隙間が設けられ、この隙間を介して外套部材49に軸方向の油圧が作用する。端面51Aにおいて係止部材54に当接しない外縁部51Bは、受圧室21に露出して入力ポート43からの油圧を受ける。外縁部51Bは面取りされている。
【0023】
入力ポート43には入力油路32(図1)が接続され、リリーフポート44には排出油路33(図1)が接続される。
リリーフポート44は、弁収容室40の壁部において入力ポート43よりも他端40B側に設けられた孔である。入力ポート43に供給される油圧によってスプール弁41及び外套部材49を軸方向に押すように作用する力が、リターンスプリング42の付勢力と背圧室22の油圧力とを合わせた力よりも大きい場合に、スプール弁41及び外套部材49が一体に他端40B側へ移動することで、リリーフポート44は、弁収容室40が外側に連通するように開口する。これにより、リリーフポート44と入力ポート43とが連通し、入力ポート43のオイルがリリーフポート44から排出され、入力油路32を介して入力ポート43に繋がるオイルギャラリ13の油圧が低下することになり、オイルポンプ11の負荷が低減される。
ここで、第2リターンスプリング53の付勢力は、リターンスプリング42の付勢力と所定の背圧室22の油圧力とを合わせた付勢力よりも大きくなるように設定されているため、通常時においては第2リターンスプリング53は変位せず、スプール弁41及び外套部材49は、入力ポート43の油圧に押されて一体に移動する。
【0024】
図1に示すように、リリーフバルブ30の背圧ポート56には、導出油路36が接続され、導出油路36によって背圧ポート56と遠心ガバナー71とが接続される。また、リリーフバルブ30の入力ポート43に接続される入力油路32は、途中で分岐された分岐油路37を有し、分岐油路37は導出油路36に接続される。分岐油路37にはオリフィス38が設けられ、分岐油路37を通るオイルの油圧はオリフィス38を通過することで減少する。
【0025】
導出油路36は、分岐油路37と導出油路36との分岐部39で分岐しており、背圧ポート56に接続される背圧側導出油路36Aと、遠心ガバナー71の入口に接続される可変機構側導出油路36Bとを有している。遠心ガバナー71の出口にはドレン油路57が接続され、ドレン油路57は遠心ガバナー71をオイルパン12に接続する。
入力油路32のオイルの一部は、分岐油路37及び導出油路36を通って分岐部39で分岐し、分岐部39を流れるオイルの一部は、背圧側導出油路36Aを通って背圧ポート56に流れ、残りのオイルは可変機構側導出油路36Bを通って遠心ガバナー71に流れる。
また、背圧ポート56及び遠心ガバナー71には、オリフィス38によって入力油路32の油圧よりも減圧されたオイルが供給される。
【0026】
油圧可変機構70は、リリーフバルブ30と、遠心ガバナー71と、分岐油路37と、遠心ガバナー71の一端に連結される導出油路36と、遠心ガバナー71の他端に連結されるドレン油路57とを備えている。
図3は、遠心ガバナー71を示す図であり、図3(a)は側面断面図、図3(b)は図3(a)におけるIII−III断面図である。
【0027】
遠心ガバナー71は、遠心ガバナー71の回転による遠心力に応じて、遠心ガバナー71からドレン油路57に排出されるオイルの流れをコントロールする機械式のガバナーである。
図3に示すように、遠心ガバナー71は、オイルポンプ11のロータ(不図示)と一体に回転するポンプ駆動軸72(回転軸)に設けられる。すなわち、ポンプ駆動軸72は、エンジン1の回転に同期して回転される回転軸である。
遠心ガバナー71は、ポンプ駆動軸72と、ポンプ駆動軸72内に形成され、可変機構側導出油路36B(図1)とドレン油路57(図1)とを連絡する軸内油路73(ドレン油路と連絡する油路)と、ポンプ駆動軸72の外周面72A(周面)に開口して軸内油路73をドレン油路57に連通させる開口孔74と、開口孔74を開閉するボール部材75と、ボール部材75の外周側に嵌装され、ボール部材75の離脱を抑えるウェイト部材76と、ウェイト部材76をポンプ駆動軸72に軸支する支持軸77(支点)とを備えている。
【0028】
軸内油路73は、可変機構側導出油路36Bが接続されるポンプ駆動軸72の一端から軸方向に延び、軸内油路73の終端部に連通する開口孔74によって径方向の外側に連通する。開口孔74は、外周面72Aに穿設され、軸内油路73に直交する孔部74Aと、外周面72Aから軸内油路73に向かうにつれて縮径する円錐状の座面部74Bとを有している。
ボール部材75は、座面部74Bに嵌合可能な直径を有し、座面部74Bに嵌合することで開口孔74を閉じ、座面部74Bから離脱することで開口孔74を開く。
【0029】
ポンプ駆動軸72において開口孔74よりもさらにポンプ駆動軸72の他端側には、ポンプ駆動軸72の軸線及び開口孔74の軸線に略直交するように軸支持孔80が穿設され、軸支持孔80には、支持軸77が挿通される。支持軸77は、ポンプ駆動軸72の中心を通り、ポンプ駆動軸72を径方向に貫通する。
【0030】
ウェイト部材76は、ポンプ駆動軸72よりも大径の筒状に形成された筒状部材であり、ポンプ駆動軸72の外周面72Aを囲うように設けられる筒部78と、筒部78の軸方向の端部において径方向に突出するように形成されたウェイト部79とを有している。
筒部78には、筒部78を径方向に貫通する軸孔82が設けられており、軸孔82は筒部78の中心を通るように筒部78の軸線に直交して配置される。ウェイト部材76は、支持軸77が軸孔82及びポンプ駆動軸72の軸支持孔80に挿通されることでポンプ駆動軸72に軸支される。
筒部78が外周面72Aよりも大径であるため、筒部78と外周面72Aとの間には、空間が形成されている。この空間が存在することで、ウェイト部材76は、外周面72Aに対して移動可能となり、支持軸77を中心にして揺動可能である。
【0031】
筒部78において、支持軸77を境にした周方向の略半分の部分は、ボール部材75及び開口孔74を外側から覆うボール支持部81となっており、ボール支持部81の内周面がボール部材75を押圧することで、ボール部材75は座面部74Bに押し付けられて開口孔74を閉じる。
ウェイト部79は、ボール支持部81の反対側の周方向の略半分の部分に形成されるとともに、軸方向において軸孔82とは反対側の端に位置し、ボール部材75よりも支持軸77から離れている。詳細には、ウェイト部79は、ポンプ駆動軸72の軸線を挟んでボール部材75と反対側に偏って配置されており、ウェイト部材76は、ウェイト部79が設けられた側が偏って重くなっている。
【0032】
また、ボール支持部81においてウェイト部79と対向する部分は、切欠き部83となっており、座面部74Bの一部は、切欠き部83を介して外側に露出している。開口孔74が開かれた場合には、開口孔74から排出されるオイルは、切欠き部83を通ってドレン油路57(図1)に流れる。
【0033】
遠心ガバナー71がエンジン1の回転に同期して回転すると、ウェイト部材76に作用する遠心力は、ウェイト部79に偏って作用する。この遠心力によってウェイト部材76には、支持軸77を中心にして矢印Xの方向に外側に揺動する力が発生し、これに伴って、ウェイト部79の反対側のボール支持部81はボール部材75を押圧力Fで開口孔74に押圧し、開口孔74を閉じる。遠心ガバナー71に作用する遠心力は、エンジン1の回転数の2乗に比例して増加するため、ボール支持部81の押圧力Fは、エンジン1の回転数が高くなるほど大きくなる。
軸内油路73の油圧が押圧力Fより大きくなると、ボール部材75が座面部74Bから離脱し、ウェイト部材76は矢印Xの逆方向に揺動し、開口孔74が開かれる。
【0034】
遠心ガバナー71の軸内油路73には、導出油路36からオイルが供給され、軸内油路73の油圧力と遠心力による遠心ガバナー71の押圧力Fとの釣り合いによって、開口孔74の開度は連続的に変化し、開口孔74からドレン油路57に排出されるオイルの量は変化する。本実施の形態では、押圧力Fがエンジン1の回転数の2乗に比例して大きくなるため、開口孔74が開かれる圧力であるガバナー側リリーフ圧は可変となり、エンジン1の回転数が高くなるほどガバナー側リリーフ圧は高くなる。
【0035】
遠心ガバナー71は導出油路36によってリリーフバルブ30の背圧室22に接続されているため、背圧室22の背圧Qは、遠心ガバナー71のガバナー側リリーフ圧に応じて可変となる。詳細には、開口孔74から排出されるオイルの量が多いほど、背圧室22の背圧Qが低くなり、開口孔74から排出されるオイルの量が少ないほど、背圧Qが高くなる。すなわち、本実施の形態では、背圧室22の背圧Qが遠心ガバナー71によってコントロールされることで、リリーフバルブ30のリリーフ油圧が可変になっており、エンジン回転数が高いほどリリーフ油圧が高くなる。
【0036】
図4は、エンジン1の回転数とリリーフバルブ構造14のリリーフ油圧との関係を示すグラフである。
エンジン1の負荷は、高回転であるほど大きくなるため、図4に示すように、エンジン1に必要とされる油圧P1は、エンジン回転数に応じて高くなる。
リリーフバルブ構造14においては、リリーフバルブ30のリリーフ油圧は、リターンスプリング42の付勢力と背圧室22の背圧Qとの合計で得られ、背圧室22の油圧はエンジン回転数に応じて増加するため、図4に示すように、リリーフバルブ30のリリーフ油圧P2は、エンジン回転数の増加に応じて高くなる。リリーフ油圧P2は、エンジン1の全回転域に亘って、必要とされる油圧P1よりも所定値以上の余裕が得られるよう遠心ガバナー71の特性とリターンスプリング42の付勢力が設定される。この所定値は、外乱等の影響があったとしても油圧P1を下回らないだけ大きくかつ、省エネ効果を十分に得られるように設定される。
また、リリーフ油圧P2は、エンジン回転数の全域に亘って、リターンスプリング42の付勢力と背圧Qとの合計の大きさとほぼ同一となるように設定される。このため、導出油路36の油量のわずかな変化によってリリーフ油圧P2をコントロールできる。
【0037】
オイルは低温であるほど粘度が高くなるため、図4に示すように、オイルポンプ11の吐出圧は、オイルの温度が中温(80℃)の状態である方が、高温(140℃)の状態よりも高くなっており、リリーフバルブ30を用いない場合、オイルポンプ11の吐出圧は中温時において、必要な油圧P1よりも大幅に大きくなる。リリーフバルブ30では、リリーフ油圧P2を、油圧が低くなる高温時の吐出圧に略重なるように高温時の吐出圧に合わせて設定している。このため、中温時には、エンジン回転数の略全域でリリーフバルブ30が作動し、オイルポンプ11のロスを効果的に低減できる。
スプリングのみでリリーフ油圧が設定される従来のリリーフバルブのリリーフ油圧P3は、エンジンの高回転時の高い吐出圧に合わせて一定値に設定されているため、オイルポンプ11のロスが大きくなっている。
【0038】
図2を参照し、リリーフバルブ30の受圧室21には、入力油路32を介してオイルギャラリ13から油圧が作用し、スプール弁41の基部46には、リターンスプリング42の付勢力及び背圧室22の背圧Qが作用し、受圧室面41Aは一端40Aに当接している。この状態では、リターンスプリング42の付勢力と背圧Qとを合わせた力が、受圧室面41Aに作用する油圧力よりも大きく、リリーフバルブ30は閉じられている。この状態から、エンジン1の回転数が変化した場合、遠心ガバナー71を備えた油圧可変機構70によって、図4に示す可変のリリーフ油圧P2が得られるように背圧室22の背圧Qが変更される。このように、機械式の遠心ガバナー71によって、リリーフバルブ30のリリーフ油圧P2を可変にできるため、リリーフ油圧を可変とするリリーフバルブ構造14を簡単な構造で実現できる。
【0039】
図5は、リリーフバルブ30がリリーフ油圧に達した状態の断面図である。
スプール弁41の受圧室面41Aに作用する油圧力が、リターンスプリング42の付勢力と背圧Qとを合わせた力よりも大きい場合、図5に示すように、リリーフバルブ30は他端40B側に移動し、入力ポート43がリリーフポート44に連通する。リリーフポート44の開度は、受圧室21の油圧に応じて連続的に変化し、図5の状態では、基部46が他端40Bに底付きする位置までリリーフポート44が開いている。
【0040】
エンジン1の回転数が高くなると、リターンスプリング42の付勢力と背圧Qとを合わせた力が受圧室21の油圧より常に大きくなりリリーフバルブ30はリリポートを塞ぐ状態に成るが、受圧室21の油圧がリターンスプリング42の付勢力と背圧Qとを合わせた力より小さくとも、第2リターンスプリング53の付勢力よりも外套部材49の外縁部51Bに作用する油圧が大きくなると、第2リターンスプリング53が圧縮され、外套部材49は他端40B側に移動し、リリーフポート44が開口する。すなわち、外套部材49及び第2リターンスプリング53は、エンジン1の回転数が高くなり、リターンスプリング42の付勢力と背圧Qとを合わせた力が受圧室21の油圧より常に大きくなり、かつ受圧室21の油圧が所定値以上になった場合にリリーフポート44を開口しリリーフ油圧P2が所定値を超えないように設定される。このため、リリーフ油圧P2が背圧Qによって2次曲線的に増加する構成であってもリリーフポート44を開くことができ、オイルポンプ11に過大な負荷がかかることを防止できる。
また、油圧可変機構70がフェールし、例えば遠心ガバナー71からオイルを排出できなくなったとしても、リリーフバルブ30からオイルを排出できるため、オイルポンプ11に過大な負荷がかかることを防止できる。
【0041】
また、図1に示すように、高圧用リリーフバルブ31は、入力油路32と並行して設けられる油路34に設けられ、円筒状のケース90と、ケース90に収容される円筒状のバルブ91と、バルブ91を軸方向に係止するストッパ部材92と、バルブ91をストッパ部材92に付勢するスプリング93と、バルブ91が摺動することで開閉される排出ポート94と、油路34に接続される入力ポート95とを備えた通常のリリーフバルブである。バルブ91は、スプリング93のみによって排出ポート94を閉じるように付勢されており、バルブ91には油圧による背圧は作用しない。
【0042】
高圧用リリーフバルブ31はリリーフバルブ30が可変開口機構85を有しない構造の場合用いられ、入力油圧が所定値より大きくなると、スプリング93が圧縮されてバルブ91が移動し、排出ポート94が開くことで、オイルが油路35を通ってオイルパン12に排出される。これにより、オイルポンプ11に過大な負荷がかかることを防止できる。
高圧用リリーフバルブ31はリリーフバルブ30に可変開口機構85等が設けられ、所定入力油圧になるとリリーフポートが開口する構造のものを採用した場合には設ける必要は無い。
【0043】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、リリーフバルブ30の弁収容室40の一端40A側の受圧室面41Aでオイルの圧力を受けるスプール弁41と、スプール弁41が摺動することにより開口するリリーフポート44と、弁収容室40の他端40Bに設けた背圧室22と、背圧室22に連通する導出油路36と、一端が導出油路36に連結されるとともに他端がドレン油路57に連結されてエンジン1の回転に同期して回転する遠心ガバナー71によって導出油路36からドレン油路57に流れる油量をコントロールする油圧可変機構70とが設けられ、背圧室22の油圧をコントロールする機構を、エンジン1の回転に同期して回転する遠心ガバナー71によって機械式で設けることができるため、リリーフポート44が開口するリリーフ油圧P2を機械式で可変とすることができ、リリーフ油圧P2を可変とするリリーフバルブ構造を簡単な構造で実現でき、コストも低減できる。
【0044】
また、入力ポート43に繋がる入力油路32を分岐して分岐油路37を設けるとともに、この分岐油路37に油圧を低下させるオリフィス38を設けて分岐油路37を導出油路36に連通させるため、入力油路32から分岐した分岐油路37から導出油路36に供給される油圧で背圧室22の背圧Qをコントロールでき、簡単な構造でリリーフ油圧P2をコントロールできる。また、背圧室22の油圧及びリターンスプリング42の付勢力でリリーフ油圧P2が設定されるため、リターンスプリング42の付勢力を小さくでき、小型のリターンスプリングを使用できる。
【0045】
また、スプール弁41のリリーフ油圧P2は、リターンスプリング42の付勢力とスプール弁41の背圧面に加わる油圧である背圧Qとの合計の大きさとほぼ同一であるため、導出油路36の油量のわずかな変化でリリーフ油圧P2をコントロールできる。
さらに、オイルポンプ11の下流側に、背圧Qをコントロールされるリリーフバルブ30と並行して、背圧Qをコントロールされない高圧用リリーフバルブ31を設けると、リリーフバルブ30に可変開口機構85等を設ける必要は無い。
【0046】
また、可変開口機構85は、スプール弁41の外周を摺動自在に設けられた外套部材49と、外套部材49を閉弁方向に押圧する第2リターンスプリング53とを設け、油圧が所定値以上に成った際、外套部材49を摺動してリリーフポート44を開口するため、簡単な構造で可変開口機構85を設けることができるとともに、オイルポンプ11に過大な負荷がかかることを防止できる。
また、油圧可変機構70は、ドレン油路57と連絡する油路が設けられエンジン1の回転に同期して回転するポンプ駆動軸72と、ドレン油路57と連通しポンプ駆動軸72の外周面72Aに開口する開口孔74と、開口孔74を開閉するボール部材75と、ボール部材75の外周に嵌装され、ボール部材75と反対側にウェイト部79が設けられ、支持軸77を中心に揺動してボール部材75の離脱を抑えるウェイト部材76とを有し、ポンプ駆動軸72の回転に伴って支持軸77を中心にウェイト部79が外側に移動することで、ウェイト部材76がボール部材75の離脱を抑える力が変化するため、簡単な構成でリリーフバルブ30のリリーフ油圧P2を可変とすることができる。
【0047】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記の実施の形態では、遠心ガバナー71は、オイルポンプ11のポンプ駆動軸72に設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遠心ガバナーは、エンジン1の回転に同期して回転する回転軸に設けられていれば良く、例えば、クランクシャフトと同期して回転する回転軸を設け、この回転軸に遠心ガバナーを設けても良い。また、本発明は自動二輪車だけでなく、三輪車両や四輪のバギー車両にも適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 エンジン
11 オイルポンプ
14 リリーフバルブ構造
22 背圧室
30 リリーフバルブ
31 高圧用リリーフバルブ(別のリリーフバルブ)
32 入力油路
36 導出油路
37 分岐油路
38 オリフィス
40 弁収容室
40A 一端
40B 他端
41 スプール弁
41A 受圧室面
42 リターンスプリング
43 入力ポート
44 リリーフポート
49 外套部材
53 第2リターンスプリング
57 ドレン油路
70 油圧可変機構
71 遠心ガバナー
72 ポンプ駆動軸(回転軸)
72A 外周面(周面)
73 軸内油路(ドレン油路と連絡する油路)
74 開口孔
75 ボール部材
76 ウェイト部材
77 支持軸(支点)
79 ウェイト部
85 可変開口機構
P2 リリーフ油圧
Q 背圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポンプ(11)から吐出されたオイルが入力ポート(43)から導入される弁収容室(40)と、前記弁収容室(40)に摺動自在に収容され、一端(40A)側に設けた受圧室面(41A)でオイルの圧力を受けるスプール弁(41)と、前記スプール弁(41)が摺動することにより開口するリリーフポート(44)と、前記スプール弁(41)を前記一端(40A)側に付勢するリターンスプリング(42)とを備えるリリーフバルブ(30)を備えるリリーフバルブ構造において、
前記弁収容室(40)の他端(40B)に設けた背圧室(22)と、前記背圧室(22)に連通する導出油路(36)と、
一端が前記導出油路(36)に連結されるとともに他端がドレン油路(57)に連結されてエンジン(1)の回転に同期して回転する遠心ガバナー(71)によって、前記導出油路(36)から前記ドレン油路(57)に流れる油量をコントロールする油圧可変機構(70)とを有することを特徴とするリリーフバルブ構造。
【請求項2】
前記入力ポート(43)に繋がる入力油路(32)を分岐して分岐油路(37)を設けるとともに、該分岐油路(37)にオリフィス(38)を設け、該分岐油路(37)を前記導出油路(36)に連通させたことを特徴とする請求項1記載のリリーフバルブ構造。
【請求項3】
前記スプール弁(41)のリリーフ油圧(P2)は、前記リターンスプリング(42)の付勢力と背圧面に加わる油圧との合計の大きさとほぼ同一としたことを特徴とする請求項1または2記載のリリーフバルブ構造。
【請求項4】
前記オイルポンプ(11)の下流側に、背圧(Q)をコントロールされる前記リリーフバルブ(30)と並行して、背圧をコントロールされない別のリリーフバルブ(31)を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリリーフバルブ構造。
【請求項5】
前記リリーフバルブ(30)は、油圧が所定値以上になった際に前記リリーフポート(44)を開口する可変開口機構(85)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリリーフバルブ構造。
【請求項6】
前記可変開口機構(85)は、前記スプール弁(41)の外周を摺動自在に設けられた外套部材(49)と、前記外套部材(49)を閉弁方向に押圧する第2リターンスプリング(53)とを設け、油圧が所定値以上に成った際、前記外套部材(49)を摺動して前記リリーフポート(44)を開口することを特徴とする請求項5記載のリリーフバルブ構造。
【請求項7】
前記油圧可変機構(70)は、軸に前記ドレン油路(57)と連絡する油路(73)が設けられエンジン(1)の回転に同期して回転する回転軸(72)と、前記ドレン油路(57)と連通し前記回転軸(72)の周面(72A)に開口する開口孔(74)と、該開口孔(74)を開閉するボール部材(75)と、該ボール部材(75)の外周に嵌装され、前記ボール部材(75)と反対側にウェイト部(79)が設けられ、支点(77)を中心に揺動して前記ボール部材(75)の離脱を抑えるウェイト部材(76)とを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のリリーフバルブ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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