リンカー
サイトカインレセプターに結合することのできる少なくとも2つのドメインを含む治療用のポリペプチドを開示し、当該ドメインはペプチドリンカーによって連結されており、当該リンカーは任意に堅固なアルファ螺旋領域を含んでいてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのサイトカインレセプターに結合することのできるドメインを含み、当該ドメインがペプチドリンカー分子によって連結されているポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインと呼ばれる成長因子のグループは、多くの様々な細胞性機能に関係している。これらは、非限定的に例示すると、免疫系の変調、エネルギー代謝の調節及び成長及び発達を含む。サイトカインは、標的細胞の細胞表面に表現されたレセプターを介して、それらの効果を仲介する。サイトカインレセプターは、3つの異なるサブグループに分けることができる。タイプ1(成長ホルモン(GH)ファミリー)レセプターは、それらの細胞外ドメインの末端部分における4つの保存されたシステイン残基、及びC末端部分における保存されたTrp−Ser−Xaa−Trp−Serモチーフによって特徴づけられる。繰り返されるCysモチーフは、タイプ2(インターフェロンファミリー)及びタイプIII(腫瘍壊死因子ファミリー)にも存在する。
【0003】
多くのサイトカインドメインが、それらの同族レセプターと、特定の部位を介して相互作用することが知られている。幾つかのサイトカインレセプターは、高親和性ドメイン結合部位及び低親和性結合部位の両方を有する。
【0004】
例えば、GHの単一分子が2つのレセプター分子(GHR)と関係することが知られている(Cuningham等、1991 ; de Vos等、1992; Sundstrom等、1996; Clackson等、1998)。これは、GH上の2つの独特なレセプター結合部位及び2つのレセプターの細胞外ドメイン上の共通する結合ポケットを介して起こる。GH分子上の部位1は、部位2より高い結合性を持ち、GH上の部位1への1つのレセプター結合の後に部位2への第2のレセプターのリクルートが連続するレセプターの二量体化が起こると考えられる。GHRの細胞外ドメインは、各々が約100アミノ酸である2つの連結したドメインとして存在する。三量体複合体GHR−GH−GHRの形成を伴うホルモン結合で起こるのは、これら2つのドメインにおける構造変化である。GHR−GH−GHR複合体の内在化の後にリサイクル段階が続き、それによりレセプター分子が再生されて、細胞内での更なる用途に供される。
【0005】
サイトカイン及び他のドメインは、結合時にしばしばレセプター−ドメイン複合体を形成する。複合体形成に関係するレセプターは、同種でも異種でもよい。例えば、エリスロポエチン及びGHは、三量体のレセプター−ホルモン−レセプター複合体を形成する。インターロイキン−4は、三量体のレセプター−ホルモン−異なるレセプターの複合体を形成する。腫瘍壊死因子は、細胞膜貫通腫瘍壊死因子レセプター;TNF−1/p55又はTNF−2/p75の同型三量体の形成を介してシグナル伝達する。他のサイトカイン、例えばレプチン及びGCSFは、四量体のレセプター−ホルモン−ホルモン−レセプター複合体を形成し、他のもの(例えば、インターロイキン6)は、2つの可溶性レセプター分子、2つの膜貫通レセプター分子及び2つのサイトカイン分子の六量体の複合体を形成すると思われる。何れの場合も、サイトカインをレセプター複合体に配置させる主要な高親和性結合部位、及び構造の変化又は他の分子のリクルートにおいて二次的な役割を果たすことによりシグナル伝達を開始させる付加的な結合部位が存在する。
【0006】
サイトカインのTNFスーパーファミリーは、リンパ系、乳房、神経系及び外胚葉組織の発生、組織化及び恒常性を調節する細胞生存、死亡及び分化のためのシグナル伝達を活性化する。TNFは、宿主保護において実証された役割を有し、そのような役割は、例えば、脾臓細胞分化、完全なIgG応答及びアイソタイプスイッチング、マクロファージの活性化、一酸化窒素及び活性酸素ラジカルの生成を含む。しかし、TNFは、過剰発現された場合には病原にも関与している。そのような関与の証拠は、次の病状において見いだされている:即ち、細菌性敗血症、移植片対宿主疾患、脳マラリア、関節リウマチ、円形脱毛症、喘息、癌、クローン病、糖尿病、肥満症、乾癬及び乾癬性関節炎、サルコイドーシス、強皮症及び毒性ショック症候群である。これらの病状は、抗−TNF薬の適用に関して確立された及び/又は可能性のある病状として認められている。
【0007】
サイトカインの過剰発現は、一連のヒト疾患、例えば、末端肥大症;巨人症;GH欠乏症;ターナー症候群;腎不全;骨粗鬆症;骨関節炎;真性糖尿病;癌;肥満;インシュリン抵抗性;高脂血症;高血圧症;貧血;自己免疫性及び感染性疾患;関節リウマチを含む炎症性疾患の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サイトカイン、例えばGH、プロラクチン又はTNFの作用を阻害する方法は、アンタゴニストの投与である。
【0009】
GHアンタゴニストの一例はペグヴィソマント(Pegvisomant)であり、それはポリエチレングリコール(PEG)に被覆された修飾されたGH分子である。ペグヴィソマントは、幾つかの有利な効果を有し、それは例えば、有効分子量の増大による糸球体濾過速度の低下を含み、それにより所望の効果を生ずるために必要な投与量が低減される[(Abuchowski等, J. Biol. Chem. 252, 3578-3581, (1977)参照]。しかしながら、PEG化(pegylation)の結果、修飾されたGH分子のGHRへの親和性が低下する。
【0010】
プロラクチンアンタゴニストに例はWO03/057729に開示されている(その全体、より詳細には前記プロラクチンアンタゴニストをコードするヌクレオチド及びタンパク質配列を、参考として取り入れるものとする)。プロラクチンアンタゴニストは、ヒトのプロラクチンアミノ酸配列に対する修飾を含み、それは位置129のグリシン残基のアルギニン残基での置換である。修飾されたプロラクチンタンパク質は、プロラクチンレセプター活性化の阻害剤として作用する。
【0011】
TNFを阻害するための多くの治療的戦略が、i)(例えば、阻害性サイトカイン、IL−10;サリドマイド、コルチコステロイド、シクロスポリンA;アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた)TNF合成の阻害;ii)TNFプロセシングの阻害(例えば、メタロプロテアーゼ(TACE)阻害剤);iii)(例えば、可溶性TNFレセプター又はTNFの抗体を用いて)TNFの中和ができることに基づいて開発されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
我々は、サイトカインレセプターの複数のリガンド結合ドメインを含むポリペプチド及びサイトカイン活性化に媒介されるレセプターの改変におけるそれらの使用を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一態様によると、サイトカインレセプターに結合することができる少なくとも2つのサイトカイン結合ドメインを含み、前記ドメインが不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結されたポリペプチドが提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、前記サイトカインレセプター(類)アンタゴニストとして作用する。あるいは、前記ポリペプチドはアゴニストとして作用する。好ましくは、ポリペプチドは、直列(タンデム:tandem)に配列したドメインを含む。好ましい実施態様では、ポリペプチドは、直列に配列した2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の結合ドメインを含む。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ポリペプチドは、直列に配列した10を超えるドメインを含む。
好ましくは、不撓性の螺旋領域は、モチーフA(EAAAK)XA又はその機能的変異体のコピーを少なくとも1つ含む。好ましくは、ペプチドリンカー分子は、モチーフEAAAKの2つのコピーを含み、ペプチドリンカー分子の長さは、少なくとも1つのアミノ酸の増加的付加によって延長可能である。
【0016】
「機能的変異体」とは、1又はそれ以上の置換、付加、欠失、によってアミノ酸配列が相違していてもよいが、実質的に螺旋又は非−螺旋構造を保持しているリンカー分子である。好ましい変異体は、保存的アミノ酸置換によって参照アミノ酸配列から変化したものである。そのような置換は、与えられたアミノ酸を、特徴の類似した他のアミノ酸で置換するものである。次の非限定的なアミノ酸のリストは保存的置換(類似)と考えられる:a)アラニン、セリン、及びスレオニン;b)グルタミン酸及びアスパラギン酸;c)アスパラギン及びグルタミン;d)アルギニン、リジン及びヒスチジン;e)イソロイシン、ロイシン、メチオニン及びバリン;及びf)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン。最も好ましいのは、可撓性又は不撓性螺旋リンカー領域を実質的に維持するアミノ酸置換である。
【0017】
本発明の更に好ましい実施態様では、リンカー分子は、少なくとも1つの可撓性の非螺旋領域を含む。
不撓性の螺旋領域を与えることにより、上記したように、ドメインの空間的な離間が維持されるが、可撓性の非螺旋領域を与えることにより、ドメインがサイトカインレセプター(類)の結合部位に配向することが可能になる。
【0018】
本発明の一実施態様では、可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ末端又はその近傍に位置しており、それにより、ペプチドリンカー分子のアミノ末端に位置する結合ドメインが、その同族のレセプターに関して配向することが可能となる。
本発明の更なる実施態様では、可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のカルボキシル末端又はその近傍に位置しており、それにより、ペプチドリンカー分子のカルボキシル末端に位置する結合ドメインが、その同族のレセプターに関して配向することが可能となる。
【0019】
本発明の更に別の実施態様では、可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ及びカルボキシル末端又はその近傍に位置しており、それにより、ペプチドリンカー分子のアミノ及びカルボキシル末端に各々位置する結合ドメインが、その同族のレセプターに関して配向することが可能となる。
好ましくは、可撓性の非螺旋領域は、結合ドメインの少なくとも1つに隣接して位置している。より好ましくは、可撓性の非螺旋領域は、結合ドメインと不撓性螺旋領域との間の連結部を形成する。
更により好ましくは、不撓性の螺旋領域は、モチーフA(EAAAK)XAのコピーを少なくとも1つ含む。不撓性の非螺旋領域の長さは、このモチーフA(EAAAK)XAの繰り返し数の増加によって延長可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施態様では、A(EAAAK)XAにおけるxは10コピー未満である。更により好ましくは、xは5コピー未満である。更により好ましくは、xは1、2、3、4又は5コピーから選択される。
本発明の好ましい実施態様では、堅固なアルファ螺旋リンカーと結合ドメインとの間に可撓性の結合は無く、前記結合ドメインは不撓性のアルファ螺旋リンカーによって直接連結される。
【0021】
本発明の好ましい実施態様では、前記結合ドメインは、不撓性アルファ螺旋からなる連結分子によって連結されている。
本発明の好ましい実施態様では、前記螺旋分子は、1つの結合ドメインのカルボキシル末端を第2の結合ドメインのアミノ末端と連結する。
【0022】
本発明のこの実施態様において、螺旋リンカーは、第1の第一のサイトカイン分子のC末端螺旋と第2のサイトカイン分子のN末端螺旋との間で連続しており、それにより2つのサイトカイン結合ドメインを実質的に固定された方向で堅固に連結している。例えば、このことは、第1のサイトカインドメインからの短いN末端及び螺旋後C末端領域、及び、第2のサイトカインからの短い螺旋前N末端領域の欠失を含む(即ち、第1のサイトカインからの残基182−190、及び第2のサイトカインからの残基1−5であり、これらは、第1のサイトカインにおけるC末端螺旋(例えば、図1Bにおける螺旋4)の後、及び第2のサイトカインのN末端螺旋(図1Bにおける螺旋1’)の前のランダムコイル構造の短い領域だからである)。
【0023】
異なる構造において、この固定された方向(並進及び回転の両方で)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の付加的アミノ酸の挿入、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸の欠失により変化させ、新規な特性、例えばアンタゴニスト特性を持つ分子を生成させることができる。余分なアミノ酸の付加は、2つのドメインの約1.5Åまでの相対的並進、及び螺旋軸周囲での2つのドメインの約+100°の回転を生じさせる。典型的には、リンカーは、2つのEAAAKユニットで始まり、A、AA、AAA、AAAA、EAAAA及びEAAAAK配列の付加によって伸長する。
【0024】
本発明の更に好ましい実施態様では、ポリペプチドの結合ドメインは互いに同一又は類似である。
本発明の更にまた好ましい実施態様では、ポリペプチドは、成長ホルモン;レプチン;エリスロポエチン;プロラクチン;インターロイキン(IL)IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12のサブユニットp35、IL−13、IL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様体神経栄養因子(CNTF);カージオトロフィン(cardiotrophin)(CT−1);白血球阻害因子(LIF);オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン、IFNα及びINFβ;腫瘍壊死因子(TNF)α及びTNFβ、及びRANKリガンドからなる群から選択されるサイトカインの結合ドメインを含む。
【0025】
本発明の更に好ましい実施態様では、ドメインの少なくとも1つが、成長ホルモン結合ドメインを含む。
本発明の更に好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、少なくとも2つの成長ホルモン、又は成長ホルモン変異体ポリペプチドの結合ドメインを含む。
【0026】
修飾したGH変異体は、米国特許第5,849,535号に開示されており、それを参考として取り入れるものとする。GHに対する修飾は、部位1及び部位2の結合部位である。部位1への修飾は、野生型GHに比較して高いGHRに対する親和性を持つGH分子を生成する。これらの修飾GH分子はアゴニストとして作用する。部位2の修飾も開示されており、それはGHアンタゴニストの生成をもたらす。部位1についてのGHの結合親和性を変化させる修飾の更なる例は、米国特許第5,854,026号;米国特許第6,004,931号;米国特許第6,022,711号;及び米国特許第6,136,563号に開示されており、それら各々を参考として取り入れるものとする。部位2の修飾も開示されており、特にGHにおけるアミノ酸残基G120が、アルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、又はグルタミン酸に修飾されると、アンタゴニスト特性を持つGH分子が生成される。
【0027】
我々の係属中の出願WO03/070765において、参考として取り入れるが、我々は、GHレセプター活性化に対してアンタゴニスト活性を持つGH変異体の融合を記載した。GH変異体を、成長ホルモンレセプターの細胞外ドメインに可撓性リンカーを介して融合した。このキメラポリペプチドは、遅いクリアランス及びアンタゴニスト活性を示した。類似のキメラポリペプチドであるが、不撓性又は部分的可撓性のリンカーのものの提供も、本明細書に開示する本発明の範囲内にある。
【0028】
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、少なくとも2つのプロラクチン、又はプロラクチン変異体の結合ドメインを含む。
本発明の好ましい実施態様では、前記プロラクチン変異体ポリペプチドはアミノ酸配列を含み、当該アミノ酸配列はヒトプロラクチンの位置129で修飾されている。
【0029】
本発明の好ましい実施態様では、前記修飾はアミノ酸置換である。好ましくは、前記置換は、グリシンアミノ酸残基をアルギニンアミノ酸残基で置き換えるものである。好ましくは、前記修飾は、少なくとも9、10、11、12、13又は14末端アミノ酸残基の欠失を更に含む。
これに代わる本発明の実施態様では、ポリペプチドの結合ドメインは互いに類似していない。
【0030】
本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む。
好ましくは、前記ポリペプチドは、成長ホルモン結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインからなる。
【0031】
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、修飾された成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む。
好ましくは、前記ポリペプチドは、修飾された成長ホルモン結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインからなる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、前記修飾された成長ホルモン結合ドメインは、グリシン120のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を含む。好ましくは、前記修飾は、グリシン120の、アルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、又はグルタミン酸から選択されるアミノ酸での置換である。
本発明の好ましい実施態様では、前記修飾は、グリシン120のアルギニンアミノ酸残基での置換である。
【0033】
本発明の更に好ましい実施態様では、前記修飾されたプロラクチン結合ドメインは、グリシン129の修飾を含む。好ましくは、前記修飾は、グリシン129のアルギニンアミノ酸残基での置換である。好ましくは、前記修飾は、9、10、11、12、13又は14アミノ末端アミノ酸残基の欠失を更に含む。
【0034】
本発明の更に好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、サイトカインレセプターのリガンド結合ドメインを更に含む。好ましくは、前記レセプターは成長ホルモンレセプターである。これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記レセプターはプロラクチンレセプターである。
本発明の好ましい実施態様では、前記リガンド結合ドメインは、不撓性の螺旋領域を含む又はそれからなるリンカーによって、前記サイトカイン結合ドメインに連結されてもよい。
【0035】
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。
本発明の好ましい実施態様では、前記核酸分子は、前記ポリペプチドの発現のために適合されたベクターである。
典型的には、その適合は、細胞/組織特異的発現を媒介する転写調節配列(プロモータ配列)の提供を含む。これらのプロモータは、細胞/組織特異的、誘導性又は構造性であってよい。
【0036】
プロモータは、この分野で認められた用語であり、明確にするために以下の特徴を含むが、これらは例示するためだけに与えるものである。エンハンサー要素はcis作用性核酸配列であり、遺伝子の転写開始部位の5’に多く見られる(エンハンサーは、遺伝子配列の3’にも見られ、又は隣接配列に位置することもある、従って位置独立的である)。エンハンサーは、エンハンサーが結合した遺伝子の転写速度を向上させるように機能する。エンハンサー活性は、エンハンサー要素に特異的に結合することが示されたtrans作用性転写因子(ポリペプチド)に依存する。転写因子(David S LatchmanによるEukaryotic Transcription Factors, Academic Press Ltd, San Diego参照)の結合性/活性は、環境的合図の数に依存し、それは、例えば、中間的代謝物(例えばグルコース)、環境的エフェクター(例えば熱)を含む。
【0037】
またプロモータ要素は、いわゆるTATAボックス及びRNAポリメラーゼ開始選択(RIS)配列を含み、それは転写開始の部位を選択するよう機能する。これらの配列は、ポリペプチドにも結合し、それは、中でも、RNAポリメラーゼによる転写開始選択を促進するように機能する。
適合は、選択可能なマーカー及び自律的複製配列の提供を含み、それらは共に真核ま原核細胞におけるベクターの維持を促進する。自律的に維持されるベクターは、エピソーマルベクターと呼ばれる。
【0038】
ベクターにコードされる遺伝子の発現を促進する適合は、転写停止/ポリアデニル化配列の提供を含む。これはまた、2又は多−シストロン発現カセットに配列されたベクターにコードされる遺伝子の発現を最大化するように機能する内部リボソームエントリー部位(IRES)の提供を含む。
【0039】
これらの適合は、当該分野で良く知られている。発現ベクター構築及び組換えDNA技術一般に関するかなりの数の文献が出版されている。Sambrook等, (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, Cold Spring Harbour, NY 及びそれらの参考文献;Marston, F (1987) DNA Cloning Techniques: A Practical Approach Vol III IRL Press, Oxford UK; DNA Cloning: F M Ausbel等, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照されたい。
【0040】
本発明のベクターが、遺伝子治療ベクターでありうることは当業者には明らかであろう。遺伝子治療ベクターは、典型的にはウイルスベクターである。多くのウイルスが、外来遺伝子の輸送のためのベクターとして共通して使用されている。共通して使用されるベクターは、組換え的に修飾されたエンベロープ又は非エンベロープDNA及びRNAウイルスを含み、好ましくはバキュロウイルス、パルボウイルス、ピコルノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、又はピコルナウイルスから選択される。キメラベクターも用いることができ、それらは親ベクターの各特性の有利な要素を活かしている(例えば、Feng, 等 (1997) Nature Biotechnology 15: 866-870参照)。それらのベクターは、野生型でも、組換えDNA技術により修飾され、複製不全、条件的複製又は複製コンピテントとされていてもよい。
【0041】
好ましいベクターは、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス及びレトロウイルスゲノムから誘導される。本発明の最も好まし実施形態では、ベクターは、ヒトアデノウイルスゲノムから誘導される。特に好ましいベクターは、ヒトアデノウイルスの血清型2又は5から誘導される。そのようなベクターの複製能力は、E1a及び/又はE1bコード化領域のおける修飾又は欠失によって(「複製不全」と考えられる点まで)弱めてよい。特別な発現特性を達成し、又は複製管理又は低免疫反応を許容するためのウイルスゲノムに対する他の修飾は好ましい。
【0042】
あるいは、ウイルスベクターは、条件的複製又は複製コンピテントであってよい。条件的複製ウイルスベクターは、不都合な広い範囲の感染を回避して特定の細胞型における選択的発現を達成するために使用される。条件的複製ベクターの例は、Pennisi,E. (1996) Science 274: 342-343; Russel, and S.J. (1994) Eur. J. of Cancer 30A(8): 1165-1171に記載されている。選択的複製ベクターの他の例は、ウイルスの複製に必要な遺伝子がプロモータの制御下にあり、そのプロモータが特定の細胞型又は細胞状態においてのみ活性であるため、そのような遺伝子の発現が無ければウイルスが複製されないベクターを含む。そのようなベクターの例は、1997年12月16日発行のHenderson等, 米国特許第5,698443号、1999年2月16日発行のHenderson等, 米国特許第5,871,726号に記載されており、それらの全教示を参考として本明細書に取り入れるものとする。
【0043】
さらに、ウイルスゲノムは、或る条件下でのみ複製又は発現を達成する誘導プロモータを含むように修飾してもよい。誘導プロモータの例は、化学文献(例えば、Yoshida及びHamada (1997) Biochem. Biophys. Res. Comm. 230: 426-430; Iida等 (1996) J. Virol. 70(9): 6054-6059; Hwang等 (1997) J. Virol 71(9): 7128-7131; Lee等 (1997) Mol. Cell Biol. 17(9): 5097-5105;及びDreher等 (1997) J. Biol. Chem. 272(46); 29364-29371)において知られている。
【0044】
また、ベクターは非−ウイルス性でもよく、当業者が容易に利用できる多くの商業的供給源から入手可能である。例えば、ベクターはエピソーマル又はインテグレーティングであるプラスミドであってもよい。
【0045】
本発明の更なる態様では、本発明の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた細胞が提供される。
本発明の好ましい実施態様では、前記細胞は真核細胞である。
好ましくは、前記真核細胞は、真菌細胞、例えば、Saccharomyces cervisiae, Pichia spp;粘菌(例えば、Dictyostelium spp);昆虫細胞(例えば、Spodoptera frugiperda);植物細胞、又は哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)からなる群から選択される。
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記細胞は原核細胞である。
【0046】
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチドを製造する方法が提供され、前記方法は、
i)本発明の細胞を、本発明のポリペプチドの製造を導く条件下で成長させる工程、及び、
ii)細胞、又は成長環境からポリペプチドを単離する工程を含む。
【0047】
本発明の好ましい方法では、前記ポリペプチドは、親和性タグとともに提供される。
親和性タグは、当該分野で知られており、マルトース結合タンパク質、グルタチオンSトランスフェラーゼ、カルモジュリン結合タンパク質、及びポリヒスチジントラックのタンパク質への加工を含み、それは次いでニッケル含有マトリクス上での親和性精製によって精製される。多くの場合、商業的に入手可能なベクター及び/又はキットは、対象とするタンパク質を適切な親和性タグに融合するために使用でき、それは次いで発現、それに続く親和性マトリクスでの抽出及び精製のために宿主細胞にトランスフェクトされる。
【0048】
我々の係属中の出願、WO03/034275において、その内容を参考として取り入れるが、我々は、ポリペプチドへのグリコシルホスファチジルイノシトールの付加を制御するシグナル配列を含むドメインをル要するポリペプチドのための新規な親和性タグを記載している。グリコシルホスファチジルイノシトールタグを含むポリペプチドは、優先的に脂質膜に挿入され、サイトカインレセプター活性化に対してアンタゴニスト的な効果を有する。従って、本明細書に開示される本発明は、結合したグリコシルホスファチジルイノシトール分子を持つポリペプチドを含む。
【0049】
本発明の更なる態様では、第2のサイトカイン結合ドメインに連結された第1のサイトカイン結合ドメインを含むポリペプチドが提供され、前記ポリペプチドはサイトカインレセプターの細胞外ドメインを更に含む。
本発明の好ましい実施態様では、前記第1及び第2の結合ドメインは、可撓性のリンカー分子で連結されている。
【0050】
これに代わる本発明の実施態様では、前記第1及び第2の結合ドメインは、不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている。
本発明の好ましい実施態様では、前記第1及び第2の結合ドメインは、不撓性の螺旋領域及び可撓性の非螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている。
【0051】
不撓性の螺旋領域及び不撓性螺旋領域と可撓性非螺旋領域の組み合わせを含むペプチドリンカーは上記で既に記載しており、既に特定したようにサイトカイン及びサイトカインレセプターである場合、本発明のこの実施態様に適用可能である。
本発明の好ましい実施態様では、サイトカインレセプターの細胞外ドメインが、リンカー分子を介して第1間第2のサイトカイン結合ドメインに連結される。好ましくは、前記リンカー分子は、不撓性の螺旋領域を含む。
【0052】
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記リンカー分子は可撓性である。
好ましくは、前記リンカー分子は、不撓性の螺旋領域及び可撓性の非螺旋領域を含む。
本発明の好ましい実施態様では、前記サイトカイン結合ドメインは、成長ホルモン、又はその成長ホルモン変異体であり、前記細胞外ドメインは、成長ホルモン細胞外ドメインである。好ましくは、前記ドメインはヒトである。
【0053】
本発明のポリペプチドは2つの機能を示す。第一に、サイトカイン又はその一部を含む第1及び第2のドメインは、好ましくは不撓性螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結されており、細胞表面サイトカインレセプターに結合することができ、これらのレセプターの結合をレセプター複合体で立体的に妨害するため、下流の細胞シグナル伝達を防止する。第二に、サイトカインレセプター又はその一部を含む第3のドメインを提供することは、可溶性レセプターとして機能することが可能であり、よって、それが細胞表面レセプターに結合する前に、任意のサイトカインを連結する。この第3のドメインは、好ましくは第1又は第2のドメインと、不撓性螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結される。これに代わる本発明の実施態様では、第3のドメインは、好ましくは第1又は第2のドメインと、可撓性の非螺旋領域を含むペプチドリンカーによって連結される。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、前記ペプチドリンカー分子は、タンパク質分解的解裂に感受性のアミノ酸配列を更に含む。
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチド又は核酸分子の医薬としての使用が提供される。
好ましくは、本発明のポリペプチド又は核酸分子を含む医薬組成物が提供される。好ましくは、前記医薬組成物は、キャリア、賦形剤、及び/又は希釈剤を含む。
【0055】
投与されるとき、本発明の治療用組成物は、製薬的に許容される製剤で投与される。「製薬的に許容される」という用語は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害しない非毒性の材料を意味する。そのような製剤は、通常、塩、緩衝剤、適合性キャリア、防腐剤及び任意の他の治療剤を含む。
【0056】
医薬において使用される場合、塩は製薬的に許容されなけらばならないが、非製薬的に許容される塩を、便宜的に製薬的に許容される塩の調製に使用してもよく、本発明の範囲から除外されるものではない。薬理学的及び製薬的に許容される塩は、限定されないが、以下の三から調製されるものを含む:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、等。また、製薬的に許容される塩は、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩などの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩として調製することもできる。
【0057】
医薬組成物は、適切な緩衝剤を含有してもよく、酢酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、及びリン酸塩を含む。
組成物は、所望される場合は、製薬的に許容されるキャリアと混合してもよい。「製薬的に許容されるキャリア」という用語は、本明細書において、ヒトへの投与に適した1又はそれ以上の適合性固体又は液体フィラー、希釈剤又はカプセル化物質を意味する。「キャリア」という用語は、適用性を向上させるために活性成分と混合される、有機又は無機の、天然又は合成の成分を示す。また医薬組成物の成分は、本発明の分子と、そして互いに、所望の医薬的有効性を実質的に損なう相互作用が無いような方法で混合することができる。
【0058】
医薬組成物は、単位投与形態で提供してもよく、製薬業で良く知られた任意の方法で調整してもよい。全ての方法は、活性成分を1又はそれ以上の補足成分からなるキャリアと混合する工程を含む。一般的に、組成物は均一かつ緊密に調製され、活性化合物が、液体キャリア、微細化された固体キャリア、又はその両方と混合され、次いで必要ならば製品に成形される。
また医薬組成物は、任意に、適切な防腐剤、例えば、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサールを含んでいてもよい。
【0059】
本発明の医薬組成物は、注入を含む任意の従来の経路によって投与しても、又は長時間徐々に注入してもよい。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、又は経皮であってよい。
経口投与に適した組成物は、各々が所定量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、トローチ剤などの別々の単位として提供してもよい。他の組成は、水性液体、シロップなどの非水性液体、エリキシル剤又はエマルジョンを含む。
【0060】
本発明の組成物は有効量で投与される。「有効量」とは、単独で、又は更なる投薬とともに、所望の応答を生ずる組成物の量である。癌などの特定の疾患を治療する場合、所望の応答とは疾患の進行を阻害することである。これは、疾患の進行を一時的に遅延させることのみを含み得るが、より好ましくは、疾患の進行を永久に停止させることを含む。これは、常套的な方法で監視することができる。
【0061】
そのような量は、当然のことながら、治療すべき特定の病状、病状の重篤さ、個々の患者のパラメータ、例えば、年齢、身体条件、大きさ及び重さ、治療の継続時間、併用療法(ある場合には)、特定の投与経路、及び健康実務者の知識及び技量の範囲内にある類似の要因に依存する。これらの要因は、当業者に良く知られており、日常的な実験を超えることなく対処できる。一般的には、各成分又はそれらの組み合わせの最大投与量、即ち、正常な医学的判断に従った最高の安全投与量を使用するのが好ましい。しかしながら、当業者は、患者が、医学的理由、生理学的理由、又は事実上他の任意の理由により、より低い投与量又は我慢できる投与量を主張しうることを理解するであろう。
【0062】
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチド又は核酸分子の、末端肥大症;巨人症;GH欠乏症;ターナー症候群;腎不全;骨粗鬆症;骨関節炎;真性糖尿病;癌(例えば、前立腺癌、子宮頚癌、乳癌、黒色腫、ヘパトーマ、腎臓癌、神経膠腫、膀胱癌、肺癌、神経癌、卵巣癌、睾丸癌、膵臓癌、消化管癌、リンパ腫);肥満;インシュリン抵抗性;高脂血症;高血圧症;貧血;自己免疫性及び感染性疾患;関節リウマチを含む炎症性疾患からなる群から選択される疾患治療のための医薬の製造のための使用が提供される。
【0063】
また本発明は、有効量のポリペプチド、核酸分子、医薬組成物又は医薬を患者に投与することを含むヒト又は動物患者を治療する方法も提供する。
【0064】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、「含む」という語及びその語の変形、例えば、「含んでいる」は、「含むが限定されない」ことを意味しており、他の部分、添加物、成分、整数又は工程を排除することを意図しない。
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、単数形は、前後関係で特に要求しなければ複数形も包含する。特に、制限のない記載が用いられている場合、本明細書は、前後関係で特に要求しなければ複数並びに単数を考慮していると解される。
本発明の特定の態様、実施態様又は実施例とともに記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分及び基は、矛盾がなければ、本明細書に記載された他の全ての態様、実施態様又は実施例に適用可能であると解される。
本発明の実施態様が、例示するためだけに、添付の図面を参照して記載される。
【0065】
材料及び方法
GHタンデムにおけるリンカーの修飾は、発現されたタンパク質のN末端から突出した30アミノ酸を除去するよう修正されたGH−(G4S)−GH分子(χ1C1)に対する遺伝子から開始され、また遺伝子は、修正されたpET21(+)ベクターにサブクローニングされてpET21:χ1C1bが生成された(図3)。
可撓性末端を持つ螺旋状リンカーを持つ構築物のために、リンカーは、相補的なオリゴヌクレオチドを互いに連結することにより構築され;これらのオリゴヌクレオチドは、所望のリンカーをコードし、NotI及びEcoRIで消化されたベクターpET:χ1C1bに結合する末端を有するように設計された。これらのリンカーの総括を図4に示す。
【0066】
GHドメイン間の堅固なリンカーのために、GHドメインは、それらのC末端(GH1)及びN末端(GH2)を切り取って、ドメインが螺旋の末端で終端するようにしなければならなかった。次いで、縮重コドン法を利用して、制限部位が設計され、それにより新たなリンカーが、2つのドメイン間に形成される螺旋を妨害することなく導入される(図5A)。プライマーは、これらの修飾をGHタンデムのGHドメインに実行するように設計された(図5B)。得られた構築物は、χ1C5と呼ばれる(図6)。相補的なオリゴヌクレオチドが、NotI及びNruIに隣接するリンカー領域を生成するために使用され、これらは次いで、NotI及びNruIで消化されたpET:χ1C5にライゲートされた。これらのリンカーの概略を図7に示す。
【0067】
構築物の発現は、第一にpET発現ベクターを発現株、E.coli BL21(DE3)CodonPlusRIPLにトランスフォームすることにより実施した。発現は多くの条件下で実施でき、それは異なるインキュベーション温度(例えば、室温、37℃)、異なる媒体(例えば、LB、2YT、5YT、等)、異なる誘導点(即ち、培地が誘導されるOD600)、培地を誘導するために使用される異なるIPTG(又は他のインデューサ)濃度、及び誘導後に細胞が収集される時間を含む。
【0068】
構築物のC末端にHis−タグを付加することができ、それは固定化金属イオンクロマトグラフィ(Ni2+又はCo2+カラム)を用いた精製を促進する。His−タグを持たない構築物は、種々の手段、例えばイオン交換クロマトグラフィ、疎水性カラム及びサイズ排除クロマトグラフィを用いて精製されうる。適切な純度のタンパク質を生成するためにこれらの精製技術の1又はそれ以上が必要な場合もある。
【0069】
χ1C5の構築
修飾したGHドメインは、PCR及び関連するプライマーを用いて生成された。GH1はDiGHNcoGF及びGH[AEA3]NotRを用いて修飾され、GH2はEcoI−(Nru)GH−F及びGHD*−HRを用いて修飾された。PCR反応は、1mlの 100pmol/ml フォワードプライマー、1mlの100pmol/ml リバースプライマー、1mlの pTrcHisGHstop(希釈)、1mlの10mMdNTPs、5mlの10x 増幅バッファー、1mlの50mM MgSO4、0.5mlのPfx ポリメラーゼ、39.5mlの無菌水からなる。PCRは、これらの反応混合物に対して、以下の温度プロフィールで実施した;95℃で5分間;15 x (95℃で45秒間、55℃で 45秒間、72℃で45秒間);72℃で5分間。PCR産物は、アガロースゲルを用いて確認し、所望のPCR産物を精製した。修飾したGH1を、pET21:χ1C1bに、NcoI及びNotI部位の間にライゲートして、pET21:χ1C4を得た。修飾したGH2は、pET21:χ1C4に、EcoRI及びHindIII部位の間にライゲートして、pET21:χ1C5を得た。このプロセスの概略を図8に示す。
【0070】
リンカー変性物
プライマーのリン酸化
リンカーを生成するために2又はそれ以上のプライマー二本鎖が必要な場合は、内部5’末端を含むプライマーを第一にリン酸化した。リン酸化すべき各プライマーのために以下の反応混合物を作成した:2mlの100pmol/ml オリゴヌクレオチド、2mlの10x キナーゼバッファー、2mlの10mM ATP、13mlの無菌水、1mlのT4 ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/ml)。これらを、37℃で30分間、次いで70℃で10分間インキュベートした。次いで、サンプルを、アニーリングバッファー (10mM TRIS、50mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5−8.0)を用いて1:10に希釈し、0.1pmol/mlの溶液を得た。これらは、次いで、以下のアニーリング反応に使用できた。
【0071】
プライマー二本鎖のアニーリング
プライマーを、アニーリングバッファー(10mM TRIS、50mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5−8.0)を用いて0.1pmol/mlに希釈した。10mlの相補的プライマーを新鮮なチューブ内で混合した。チューブを95℃で2分間インキュベートし、温度を40−60分間の時間で30℃まで低下させた。
1を超えるプライマー二本鎖が必要な場合は、等量のプライマー二本鎖を混合して、所望の隣家を形成するのに必要な全ての二本鎖を含有する溶液を得た。溶液は、次いで氷上に保存した。
【0072】
ライゲーション及びトランスフォーメーション
関連する制限酵素で消化したベクター(例えば、NotI及びEcoRIで消化したpET21:χ1C1b又はNotI及びNruIで消化したpET21:χ1C5)の約200ngを4mlのアニールしたプライマー、1mlのリガーゼバッファー、2mlのT4 DNAリガーゼととみインキュベートし、反応物を無菌水で10mlにした。これらを氷のビーカーで終夜インキュベートし、その間に解凍させた。5mlの終夜ライゲーションさせたものを、次いで、50mlの化学的コンピテントなE.coliSURE細胞に添加した。これを氷上で1時間インキュベートし、次いで、42℃で30秒間熱衝撃を与えた。細胞に450mlのLB媒体を添加し、次いでサンプルを37℃で30分間インキュベートした。次に、ミニーカルチャーを4000rpmで5分間遠心分離し、得られたペレットを50mlのLB媒体中に再懸濁させ、次いで、カルベニシリン(100mg/ml)、テトラサイクリン(10mg/ml)及びグルコース(0.3% w/v)を含むLBプレートにプレーティングした。これを37℃で終夜インキュベートした。
得られたコロニーをスクリーニングし、リンカーの変性が成功したことをチェックした。
【0073】
一般的方法の修正
pET21:χ1C5を消化するための制限酵素NotI及びNruIを用いた堅固なリンカーを持つ構築物の生成は、トランスフィーめーション後にネガティブコントロールプレート(ライゲーション反応にプライマー二本鎖が無い)上に多くのコロニーを生成させ、従って、ポジティブコントロールをスクリーニングするのが困難であった。これは、消化されたベクターの脱リン酸化を反映しており;15μlのNotI及びNruIで消化されたpET21:χ1C5を、2ml CIAP 10x buffer、1ml CIAP(コウシ腸アルカリホスファターゼ)(10U/ml)及び2ml無菌水と混合した。これを、37℃で1時間、次いで80℃で30分間インキュベートした。次いで、DNAを精製キット(例えば、Qiagen PCR Purification Kit)を用いて溶液から精製した。プライマー二本鎖を作成するために使用した全てのプライマーは、上記の方法を用いてリン酸化した。リン酸化したプライマー二本鎖は、次いで上記のように脱リン酸化されたベクターにライゲートした。
【0074】
χ1L1のクローニング及び発現
成長ホルモンGHの2つのドメインからなるχ1L1は、単一の細胞外成長ホルモンドメインに続き、これらのドメイン各々は、現在は(Gly4Ser4)リンカーで連結されている(図8)。χ1L1のヌクレオチド配列を図9に示し、アミノ酸配列を図10に示す。
χ1L1は、NheI及びXhoI部位に隣接するhGH遺伝子を、χ1E2(GHRa−GHGHRb)に連結することにより構築し、これはχ1K1を与えた。GHRドメインは、次いでχ1K1に、EcoRI及びHindIII部位の間で連結し、χ1L1を与えた。この手法の模式図を図11に示す。
【0075】
χ1L1遺伝子をシーケンスによってチェックし、正しいことが確認された。発現は、E.coliBL21(DE3)CodonPlusRIPL細胞内の修飾したpET21(+)ベクターを用いて実施した。1mMのIPTG(最終濃度)と0.5−0.6のOD600で4時間インキュベートした後にLB媒体中に発現されたタンパク質は、部分的に可溶性であり、GHに対してプローブされたウエスタンブロットにおいて多重のMwバンドが観察された(図12)。
χ1L1のC末端His−タグバージョンは、Co2+カラムを用いて精製した(図13)。タンパク質調製物中に混入した多くのタンパク質及び多重のバンドが得いす単ブロットにおいて未だ観察された。このタンパク質の調製物の予備的バイオアッセイは、それが有意なアゴニスト活性を持つことを示した(図14)。
【0076】
プロラクチンタンデム及びプロラクチン:成長ホルモンタンデムの構築
PRL及びGHタンデムは、標準的なPCR技術、次いで調製されたベクターのライゲーション及びトランスフォーメーションを用いて生成した。リンカーは、アニールしたオリゴヌクレオチド対を調製したベクターにライゲーション及びトランスフォーメーションすることにより変化させられる。PRL及びGHタンデムについての3つの例示的方法を以下に示す。
【0077】
方法1
PRL−(G4S)4−PRLの生成
1.PRLのNcoI及びNotI部位の間でのPCR(フォワードプライマー=atatccatgggcTTGCCCATCTGTCC;リバースプライマー=atatatatatatgggcggccgccGCAGTTGTTGTTGTGG)。
2.PCR産物のNcoI及びNotIでの消化。
3.複製ベクターのNcoI及びNotIでの消化→pET21(m)χ1C1b(即ち、GH−(G4S)4−GH)。
4.PCR産物のベクターへのライゲーション;pET21(m)PRL−(G4S)4−GHを与える。
5.PRLのEcoRI及びHindIIII部位間でのPCR(フォワードプライマー=atatgaattcTTGCCCATCTGTCC; リバースプライマー=atataagcttGCAGTTGTTGTTGTGG)。
6.PCR産物のEcoRI及びHindIIIでの消化。
7.複製ベクターのEcoRI及びHindIIIでの消化→pET21(m)PRL−(G4S)4−GH。
8.PCR酸靴のベクターへのライゲーション;pET21(m)PRL−(G4S)4−PRLを与える。
【0078】
方法2
PRL−A(EA3K)2A−GHの生成
1 PRLのNcoI及びNotI部位間でのPCR(フォワードプライマー=atatccatgggcTTGCCCATCTGTCC; リバースプライマー=atatatatatatgggcggccgccGCAGTTGTTGTTGTGG)。
2 PCR産物のNcoI及びNotIでの消化。
3 複製ベクターのNcoI及びNotIでの消化→pET21(m)T1aEAK2 (即ち、GH−A(EA3K)2A−GH)。
4 PCR産物のベクターへのライゲーション;PRL−A(EA3K)2A−GHを与える。
【0079】
方法3
PRL−A(EA3K)4A−PRLの生成
1. A(EA3K)4Aリンカーの生成のためのプライマーのアニール。
2. 複製ベクターのNotI及びEcoRIでの消化→pET21(m)PRL−(G4S)4−PRL(上記例1から)。
3.オリゴヌクレオチドダイマーのベクターへのライゲーション;PRL−A(EA3K)4A−PRLを与える。
上記の方法は、図24に例示してある。
【0080】
実施例1
半堅固タンデム
E.coli BL21(DE3)CodonPlus−RIPL細胞を、カルベニシリン、テトラサイクリン及びコラムフェニコール(choramphenicol)を添加した10mlのLB媒体中で成長させた。細胞は、37℃で振とうさせながら成長させた。培地を、0.4−0.7のOD600において1mMの最終濃度までのIPTGを用いて誘導した。細胞を、リゾチーム、デオキシコール酸m及び超音波処理を組み合わせて溶解させた。次いで可溶性画分を遠心分離で単離した。クマシー染色したPAGEゲルにより、タンデムの発現の明確なバンドが示された。
【0081】
可溶性画分をELISAにより決定し、40ng/ウェルのタンデムを12%PAGEゲル上に負荷した。タンパク質をPVDF膜に移し、ウサギ抗−GH Ab(一次)及び抗−ウサギ−HRP Ab(二次)を用いてウエスタンブロットした;図16d参照。半堅固リンカーを持つGHタンデムの生物活性を図16eに示す。
【0082】
実施例2
堅固タンデム
E.coli BL21(DE3)CodonPlus−RIPL細胞を、カルベニシリン、テトラサイクリン及びコラムフェニコール(choramphenicol)を添加した10mlのLB媒体中で成長させた。細胞は、37℃で振とうさせながら成長させた。培地を、0.4−0.7のOD600において1mMの最終濃度までのIPTGを用いて誘導した。培地を更に4時間成長させた後に収集した。
【0083】
細胞を、リゾチーム、デオキシコール酸及び超音波処理を組み合わせて溶解させた。次いで可溶性画分を遠心分離で単離した。クマシー染色したPAGEゲルにより、タンデムの発現の明確なバンドが示された。
可溶性画分をELISAにより決定し、40ng/ウェルのタンデムを12%PAGEゲル上に負荷した。タンパク質をPVDF膜に移し、ウサギ抗−GH Ab(一次)及び抗−ウサギ−HRP Ab(二次)を用いてウエスタンブロットした;図17d参照。堅固リンカーを持つGHタンデムの生物活性を図17eに示す。
【0084】
実施例3
タンデムの精製
構築物T1cEAK2+3His及びT1cEAK2+4Hisを、バイオアッセイにおける初期超最大活性(initial supra-maximal activities) に基づいて更に実験するためにショートリストに載せた。発現プラスミドを E.coli BL21(DE3)Codonplus RIPL細胞にトランスフォームし、ILバッチ培地中で発現を実施した。可溶性タンパク質画分に対して、Ni−キレート固定化金属イオンクロマトグラフィ(IMAC)及びイオン交換クロマトグラフィの組み合わせを用いて精製を実施した。IMACは最初の精製工程であり、pH勾配(pHからpH3)を用いて初期溶離がなされる;しかしながら、カラム洗浄において多くのタンパク質が失われたことがわかった。従って、我々は精製方法における戦略を変更し、イミダゾール溶離(0から50Mのイミダゾール)を用いることに戻り、>70%の純度を達成した。次いで、イオン交換カラム(Resource Q)を>90%の更なる精製に使用した。これを図18に例示する。
【0085】
ELISAに基づく定量化の結果:
T1cEAK2+3His(RQ13/4) = 215μg/ml;
T1cEAK2+3His(RQ14/4) = 177μg/ml
各々1mlを得たので、全収量は392μgである。これは、2リットルの培地から得た→1リットルあたりの収量 = 〜200μg。
T1cEAK2+3−Hisの活性は、より高いタンパク質濃度において、rhGHより高い折り畳みの誘導に到達した。同様の結果はタンデムをモルベースで試験した場合に得られた、図18B及び図18C参照。T1cEAK2+4Hisに対して同様の分析を行った。精製及び生物活性を図18D、18E及び18Fに示す。
【0086】
T1cEAK2+4His(RQ13/4)ELISAに基づく定量化の結果 = 550μg/ml。各々1mlを得たので、全収量は550μgである。これは、2リットルの培地から得た→1リットルあたりの収量 = 〜275μg。T1cEAK2+3−Hisの活性は、より高いタンパク質濃度において、rhGHより高い折り畳みの誘導に到達した。同様の結果はタンデムをモルベースで試験した場合に得られた。
【0087】
実施例4
χ1C3の濃度は、ブラッドフォード(Bradford)アッセイを用いて測定した。rhGH(1mg/mlにおいて)を平行して測定し、ブラッドフォードアッセイから得られたデータの正しさを確認した。次いでχ1C3を用いて、GHバイオアッセイのGH標準を直接置換し、タンデム標準曲線を得た。純粋及び不純なタンデムサンプル及びrhGHを、GH標準曲線及びタンデム標準曲線に対して測定し、次いでタンパク質濃度を各ELISAプレートから測定した。GHのELISAは、これらのELISAによる測定した場合のタンデムの実測値の約2倍を与えた。これを図19に例示する。
【0088】
実施例5
プロラクチン/GHタンデム
対応するアゴニスト的変異を持つ又は持たないプロラクチン及び/又はGHのタンデムは、タンデム遺伝子へのライゲーションを可能にするような遺伝子の何れかの末端への適切な制限部位に対するPCRを用いて合成できる。
【0089】
可撓性タンデム
タンデム遺伝子は、2つのタンパク質ドメインを(G4S)nに基づいて可撓性リンカーで連結することにより構築した;タンパク質ドメイン及びリンカーの各末端に独特の制限部位がある(図20)。
従って、タンデムにおける2つのタンパク質ドメインは、異なるドメインで連結することにより変化させることができる。例えば、プロラクチン(PRL)、プロラクチン1−14アミノ酸欠失G129R変異体(Δ1−14PRL.G129R)、成長ホルモン(GH)及び成長ホルモンG120Rアンタゴニスト変異体(GH.G120R)は、様々な方法でタンデム遺伝子に結合させることができる(図B)。図22及び23は、これらのドメインのヌクレオチド配列及びタンパク質配列を示している。
【0090】
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接する所望のタンパク質ドメインの遺伝子を精製するために標準PCRを使用することができる。PCR産物及び複製ベクターをこれらの制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲーション及びトランスフォームをすることにより、所望のタンパク質ドメインを持つタンデムが生成される。このプロセスは、タンパク質ドメイン又はリンカーの何れかに実施され(図24)、既に記載したオリゴクレオチドダイマーを用いて置換される。
【0091】
半堅固タンデム
タンデム遺伝子は、2つのタンパク質ドメインを配列A(EA3K)nAに基づいて螺旋リンカーで連結することにより構築した;タンパク質ドメイン及びリンカーの各末端に独特の制限部位がある(図20)。
従って、タンデムにおける2つのタンパク質ドメインは、異なるドメインで連結することにより変化させることができる。例えば、プロラクチン(PRL)、プロラクチン1−14アミノ酸欠失G129R変異体(Δ1−14PRL.G129R)、成長ホルモン(GH)及び成長ホルモンG120Rアンタゴニスト変異体(GH.G120R)は、様々な方法でタンデム遺伝子に結合させることができる(図21)。図22及び23は、これらのドメインのヌクレオチド配列及びタンパク質配列を示している。
【0092】
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接する所望のタンパク質ドメインの遺伝子を精製するために標準PCRを使用することができる。PCR産物及び複製ベクターをこれらの制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲーション及びトランスフォームをすることにより、所望のタンパク質ドメインを持つタンデムが生成される。このプロセスは、タンパク質ドメイン又はリンカーの何れかに実施され(図24)、既に記載したオリゴクレオチドダイマーを用いて置換される。
【0093】
堅固タンデム
タンデムの2つのドメインは、ドメインAのC末端α螺旋と末端BのN末端α螺旋を介して直接連結される必要がある。従って、タンパク質の遺伝子(図22及び23)はドメインA及びBにおいて切断され、これらの螺旋に螺旋リンカー[A[EA3K)nA]が直接結合されるようにしなければならない。
従って:
【0094】
タンデム遺伝子は、2つのタンパク質ドメインを配列A(EA3K)nAに基づいて螺旋リンカーで連結することにより構築した;タンパク質ドメイン及びリンカーの各末端に独特の制限部位がある(図20)。独特なNotI部位はリンカー領域のN末端に加工され、独特なNruI部位はGHのC末端に加工され(図5及び6);これにより、リンカー領域をGHタンデムに変化させることが可能になる。
NotIを含むN末端リンカー配列は、ドメインA位置においてPRL遺伝子に付加され、構築すべきテンプレートPRL−リンカーGHに基づく構築を可能にする(図25)。しかしながら、ドメインBがPRLである場合は、独特な制限部位は、リンカーとドメインBとの境界に導入されなければならない(図25)。
【0095】
従って、タンデムにおける2つのタンパク質ドメインは、異なる切断されたドメインで連結することにより変化させることができる。例えば、プロラクチン(PRL)、プロラクチン1−14アミノ酸欠失G129R変異体(Δ1−14PRL.G129R)、成長ホルモン(GH)及び成長ホルモンG120Rアンタゴニスト変異体(GH.G120R)は、様々な方法でタンデム遺伝子に結合させることができる(図21)。ドメインA又はドメインBにおけるそれらの位置に依存して、タンパク質ドメインは上記のように切断されなければならない。
【0096】
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接する所望のタンパク質ドメインの遺伝子を精製するために標準PCRを使用することができる。PCR産物及び複製ベクターをこれらの制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲーション及びトランスフォームをすることにより、所望のタンパク質ドメインを持つタンデムが生成される。このプロセスは、タンパク質ドメイン又はリンカーの何れかに実施され、可撓性及び半堅固リンカーに対して使用された方法論と同様である(図24)。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1Aでは、サイトカインドメイン(楕円形)が、アルファ螺旋(影付き長方形)によって連結されている。可撓性リンカー(曲がった矢印)が、第1のサイトカインドメインを螺旋に、螺旋を第2のサイトカインドメインに結合させている。図1Bでは、サイトカインドメインはアルファ螺旋によって連結されている。可撓性リンカーが、第1のサイトカインドメインを螺旋リンカーに、螺旋リンカーを第2のサイトカインドメインに結合させている。
【図2】螺旋リンカーは可撓性のコネクタを持たず、その代わりに、サイトカイン1のC末端螺旋(4)に連続し、それをサイトカイン2のN末端螺旋(1’)と繋いで、単一の長い螺旋4−リンカー螺旋−1’によって連結された堅固なタンデムを形成している。従って、2つのサイトカインドメインの相対的な方向は固定されている。しかしながら、リンカーにアミノ酸を付加する又はアミノ酸を除去することにより異なる構造とすることによって、ドメインが異なる配向をした一連の堅固なタンデムを生成することができる。
【図3】構築物χ1C1bのマップ及びヌクレオチド/アミノ酸配列を示す。
【図4】可撓性末端を持つ螺旋リンカーを有するタンデムを生成するために使用したリンカーデザイン及びプライマーを示す。
【図5】A)中断されない螺旋リンカーを作成するためのプライマー二本鎖のライゲーションを可能にするGHドメインとリンカーとの間の境界領域のデザインを示す。B)χ1C5を生成するためのχ1C1bの修飾に使用されたプライマーを示す。
【図6】構築物χ1C5のマップ及びリンカー領域の配列を示す。
【図7】リンカーデザイン及び堅固な螺旋リンカーを生成するために使用したプライマーの概要を示す。
【図8】χ1L1を構築するための方法を示す模式図である。
【図9】χ1L1のヌクレオチド配列を示す。GHドメインは灰色で示し、GHRドメインは太字で示し、リンカーは下線を施した。
【図10】χ1L1のアミノ酸配列を示す。GHドメインは灰色で示し、GHRドメインは太字で示し、リンカーは下線を施した。
【図11】χ1L1を構築するためのクローニング方法を示す模式図である。
【図12】χ1L1の発現を示す。
【図13】χ1L1−HISの一次精製を示す。χ1L1−HISはCo2+カラムを用いて精製された。
【図14】χ1L1がアゴニスト活性を示すことを示すグラフである。
【図15】堅固又は半堅固GH構築物に対して使用した命名法の概要を示す。
【図16−1】a)半堅固リンカー配列を含むGHタンデムの核酸配列である。b)半堅固リンカー配列を含むGHタンデムのアミノ酸配列である。
【図16−2】c)GHタンデムの構築に使用された半堅固リンカーの例を示す。d)半堅固リンカーを含むGHタンデムの細菌発現を例示する。e)半堅固リンカーを含むGHタンデムの生物活性を例示する。
【図17−1】a)堅固リンカー配列を含むGHタンデムの核酸配列である。b)堅固リンカー配列を含むGHタンデムのアミノ酸配列である。
【図17−2】c)GHタンデムの構築に使用された堅固リンカーの例を示す。
【図17−3】d)堅固リンカーを含むGHタンデムの細菌発現を例示する。e)堅固リンカーを含むGHタンデムの生物活性を例示する。
【図18−1】図18Aは、T1cEAK2+3Hisの精製及びクマシー染色及びウエスタンブロットによる分析を示す。
【図18−2】図18B及び18Cは、T1cEAK2+3Hisの生物活性を示す。
【図18−3】図18Dは、T1cEAK2+4Hisの精製及びクマシー染色及びウエスタンブロットによる分析を示す。
【図18−4】図18E及び18Fは、T1cEAK2+4Hisの生物活性を示す。
【図19】成長ホルモンタンデムの検出のためのELISAを例示する。
【図20】可撓性、半堅固及び堅固リンカーによって連結された成長ホルモンタンデムの模式図である。
【図21】プロラクチン(PRL)、成長ホルモン(GH)及びそれらのアンタゴニスト的変異体の可能な組み合わせを例示する。
【図22】プロラクチン及びそのアンタゴニスト的形態の一つ、1−14アミノ酸切断G129R変異体(下線)を例示する。
【図23】成長ホルモン及びそのアンタゴニスト的形態の一つ、G120R変異体(下線)を例示する。
【図24】プロラクチンタンデムの模式図である。
【図25】(A)加工された制限部位、NotI及びNruIを持つGH堅固タンデム構築物の模式図であり、リンカーが隣接するドメインの末端螺旋に直接結合することを可能にし、リンカーの変化を促進もしている。(B)加工された制限部位、NotI及びNruIを持つPRL−リンカー−GH堅固構築物の模式図であり、(A)と類似する機能を有し、NotI部位がリンカー領域にあるので、ドメインAの切断されたPRL遺伝子にちょうど付加される。(C)PRL堅固タンデムの模式図であり、独特な制限部位は、縮重したアミノ酸コードを用いて、リンカーとドメインBのPRLとの間の境界において加工され、タンデム遺伝子の合成及び修飾を容易にする必要がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのサイトカインレセプターに結合することのできるドメインを含み、当該ドメインがペプチドリンカー分子によって連結されているポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインと呼ばれる成長因子のグループは、多くの様々な細胞性機能に関係している。これらは、非限定的に例示すると、免疫系の変調、エネルギー代謝の調節及び成長及び発達を含む。サイトカインは、標的細胞の細胞表面に表現されたレセプターを介して、それらの効果を仲介する。サイトカインレセプターは、3つの異なるサブグループに分けることができる。タイプ1(成長ホルモン(GH)ファミリー)レセプターは、それらの細胞外ドメインの末端部分における4つの保存されたシステイン残基、及びC末端部分における保存されたTrp−Ser−Xaa−Trp−Serモチーフによって特徴づけられる。繰り返されるCysモチーフは、タイプ2(インターフェロンファミリー)及びタイプIII(腫瘍壊死因子ファミリー)にも存在する。
【0003】
多くのサイトカインドメインが、それらの同族レセプターと、特定の部位を介して相互作用することが知られている。幾つかのサイトカインレセプターは、高親和性ドメイン結合部位及び低親和性結合部位の両方を有する。
【0004】
例えば、GHの単一分子が2つのレセプター分子(GHR)と関係することが知られている(Cuningham等、1991 ; de Vos等、1992; Sundstrom等、1996; Clackson等、1998)。これは、GH上の2つの独特なレセプター結合部位及び2つのレセプターの細胞外ドメイン上の共通する結合ポケットを介して起こる。GH分子上の部位1は、部位2より高い結合性を持ち、GH上の部位1への1つのレセプター結合の後に部位2への第2のレセプターのリクルートが連続するレセプターの二量体化が起こると考えられる。GHRの細胞外ドメインは、各々が約100アミノ酸である2つの連結したドメインとして存在する。三量体複合体GHR−GH−GHRの形成を伴うホルモン結合で起こるのは、これら2つのドメインにおける構造変化である。GHR−GH−GHR複合体の内在化の後にリサイクル段階が続き、それによりレセプター分子が再生されて、細胞内での更なる用途に供される。
【0005】
サイトカイン及び他のドメインは、結合時にしばしばレセプター−ドメイン複合体を形成する。複合体形成に関係するレセプターは、同種でも異種でもよい。例えば、エリスロポエチン及びGHは、三量体のレセプター−ホルモン−レセプター複合体を形成する。インターロイキン−4は、三量体のレセプター−ホルモン−異なるレセプターの複合体を形成する。腫瘍壊死因子は、細胞膜貫通腫瘍壊死因子レセプター;TNF−1/p55又はTNF−2/p75の同型三量体の形成を介してシグナル伝達する。他のサイトカイン、例えばレプチン及びGCSFは、四量体のレセプター−ホルモン−ホルモン−レセプター複合体を形成し、他のもの(例えば、インターロイキン6)は、2つの可溶性レセプター分子、2つの膜貫通レセプター分子及び2つのサイトカイン分子の六量体の複合体を形成すると思われる。何れの場合も、サイトカインをレセプター複合体に配置させる主要な高親和性結合部位、及び構造の変化又は他の分子のリクルートにおいて二次的な役割を果たすことによりシグナル伝達を開始させる付加的な結合部位が存在する。
【0006】
サイトカインのTNFスーパーファミリーは、リンパ系、乳房、神経系及び外胚葉組織の発生、組織化及び恒常性を調節する細胞生存、死亡及び分化のためのシグナル伝達を活性化する。TNFは、宿主保護において実証された役割を有し、そのような役割は、例えば、脾臓細胞分化、完全なIgG応答及びアイソタイプスイッチング、マクロファージの活性化、一酸化窒素及び活性酸素ラジカルの生成を含む。しかし、TNFは、過剰発現された場合には病原にも関与している。そのような関与の証拠は、次の病状において見いだされている:即ち、細菌性敗血症、移植片対宿主疾患、脳マラリア、関節リウマチ、円形脱毛症、喘息、癌、クローン病、糖尿病、肥満症、乾癬及び乾癬性関節炎、サルコイドーシス、強皮症及び毒性ショック症候群である。これらの病状は、抗−TNF薬の適用に関して確立された及び/又は可能性のある病状として認められている。
【0007】
サイトカインの過剰発現は、一連のヒト疾患、例えば、末端肥大症;巨人症;GH欠乏症;ターナー症候群;腎不全;骨粗鬆症;骨関節炎;真性糖尿病;癌;肥満;インシュリン抵抗性;高脂血症;高血圧症;貧血;自己免疫性及び感染性疾患;関節リウマチを含む炎症性疾患の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サイトカイン、例えばGH、プロラクチン又はTNFの作用を阻害する方法は、アンタゴニストの投与である。
【0009】
GHアンタゴニストの一例はペグヴィソマント(Pegvisomant)であり、それはポリエチレングリコール(PEG)に被覆された修飾されたGH分子である。ペグヴィソマントは、幾つかの有利な効果を有し、それは例えば、有効分子量の増大による糸球体濾過速度の低下を含み、それにより所望の効果を生ずるために必要な投与量が低減される[(Abuchowski等, J. Biol. Chem. 252, 3578-3581, (1977)参照]。しかしながら、PEG化(pegylation)の結果、修飾されたGH分子のGHRへの親和性が低下する。
【0010】
プロラクチンアンタゴニストに例はWO03/057729に開示されている(その全体、より詳細には前記プロラクチンアンタゴニストをコードするヌクレオチド及びタンパク質配列を、参考として取り入れるものとする)。プロラクチンアンタゴニストは、ヒトのプロラクチンアミノ酸配列に対する修飾を含み、それは位置129のグリシン残基のアルギニン残基での置換である。修飾されたプロラクチンタンパク質は、プロラクチンレセプター活性化の阻害剤として作用する。
【0011】
TNFを阻害するための多くの治療的戦略が、i)(例えば、阻害性サイトカイン、IL−10;サリドマイド、コルチコステロイド、シクロスポリンA;アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた)TNF合成の阻害;ii)TNFプロセシングの阻害(例えば、メタロプロテアーゼ(TACE)阻害剤);iii)(例えば、可溶性TNFレセプター又はTNFの抗体を用いて)TNFの中和ができることに基づいて開発されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
我々は、サイトカインレセプターの複数のリガンド結合ドメインを含むポリペプチド及びサイトカイン活性化に媒介されるレセプターの改変におけるそれらの使用を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一態様によると、サイトカインレセプターに結合することができる少なくとも2つのサイトカイン結合ドメインを含み、前記ドメインが不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結されたポリペプチドが提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、前記サイトカインレセプター(類)アンタゴニストとして作用する。あるいは、前記ポリペプチドはアゴニストとして作用する。好ましくは、ポリペプチドは、直列(タンデム:tandem)に配列したドメインを含む。好ましい実施態様では、ポリペプチドは、直列に配列した2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の結合ドメインを含む。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様では、ポリペプチドは、直列に配列した10を超えるドメインを含む。
好ましくは、不撓性の螺旋領域は、モチーフA(EAAAK)XA又はその機能的変異体のコピーを少なくとも1つ含む。好ましくは、ペプチドリンカー分子は、モチーフEAAAKの2つのコピーを含み、ペプチドリンカー分子の長さは、少なくとも1つのアミノ酸の増加的付加によって延長可能である。
【0016】
「機能的変異体」とは、1又はそれ以上の置換、付加、欠失、によってアミノ酸配列が相違していてもよいが、実質的に螺旋又は非−螺旋構造を保持しているリンカー分子である。好ましい変異体は、保存的アミノ酸置換によって参照アミノ酸配列から変化したものである。そのような置換は、与えられたアミノ酸を、特徴の類似した他のアミノ酸で置換するものである。次の非限定的なアミノ酸のリストは保存的置換(類似)と考えられる:a)アラニン、セリン、及びスレオニン;b)グルタミン酸及びアスパラギン酸;c)アスパラギン及びグルタミン;d)アルギニン、リジン及びヒスチジン;e)イソロイシン、ロイシン、メチオニン及びバリン;及びf)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン。最も好ましいのは、可撓性又は不撓性螺旋リンカー領域を実質的に維持するアミノ酸置換である。
【0017】
本発明の更に好ましい実施態様では、リンカー分子は、少なくとも1つの可撓性の非螺旋領域を含む。
不撓性の螺旋領域を与えることにより、上記したように、ドメインの空間的な離間が維持されるが、可撓性の非螺旋領域を与えることにより、ドメインがサイトカインレセプター(類)の結合部位に配向することが可能になる。
【0018】
本発明の一実施態様では、可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ末端又はその近傍に位置しており、それにより、ペプチドリンカー分子のアミノ末端に位置する結合ドメインが、その同族のレセプターに関して配向することが可能となる。
本発明の更なる実施態様では、可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のカルボキシル末端又はその近傍に位置しており、それにより、ペプチドリンカー分子のカルボキシル末端に位置する結合ドメインが、その同族のレセプターに関して配向することが可能となる。
【0019】
本発明の更に別の実施態様では、可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ及びカルボキシル末端又はその近傍に位置しており、それにより、ペプチドリンカー分子のアミノ及びカルボキシル末端に各々位置する結合ドメインが、その同族のレセプターに関して配向することが可能となる。
好ましくは、可撓性の非螺旋領域は、結合ドメインの少なくとも1つに隣接して位置している。より好ましくは、可撓性の非螺旋領域は、結合ドメインと不撓性螺旋領域との間の連結部を形成する。
更により好ましくは、不撓性の螺旋領域は、モチーフA(EAAAK)XAのコピーを少なくとも1つ含む。不撓性の非螺旋領域の長さは、このモチーフA(EAAAK)XAの繰り返し数の増加によって延長可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施態様では、A(EAAAK)XAにおけるxは10コピー未満である。更により好ましくは、xは5コピー未満である。更により好ましくは、xは1、2、3、4又は5コピーから選択される。
本発明の好ましい実施態様では、堅固なアルファ螺旋リンカーと結合ドメインとの間に可撓性の結合は無く、前記結合ドメインは不撓性のアルファ螺旋リンカーによって直接連結される。
【0021】
本発明の好ましい実施態様では、前記結合ドメインは、不撓性アルファ螺旋からなる連結分子によって連結されている。
本発明の好ましい実施態様では、前記螺旋分子は、1つの結合ドメインのカルボキシル末端を第2の結合ドメインのアミノ末端と連結する。
【0022】
本発明のこの実施態様において、螺旋リンカーは、第1の第一のサイトカイン分子のC末端螺旋と第2のサイトカイン分子のN末端螺旋との間で連続しており、それにより2つのサイトカイン結合ドメインを実質的に固定された方向で堅固に連結している。例えば、このことは、第1のサイトカインドメインからの短いN末端及び螺旋後C末端領域、及び、第2のサイトカインからの短い螺旋前N末端領域の欠失を含む(即ち、第1のサイトカインからの残基182−190、及び第2のサイトカインからの残基1−5であり、これらは、第1のサイトカインにおけるC末端螺旋(例えば、図1Bにおける螺旋4)の後、及び第2のサイトカインのN末端螺旋(図1Bにおける螺旋1’)の前のランダムコイル構造の短い領域だからである)。
【0023】
異なる構造において、この固定された方向(並進及び回転の両方で)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の付加的アミノ酸の挿入、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸の欠失により変化させ、新規な特性、例えばアンタゴニスト特性を持つ分子を生成させることができる。余分なアミノ酸の付加は、2つのドメインの約1.5Åまでの相対的並進、及び螺旋軸周囲での2つのドメインの約+100°の回転を生じさせる。典型的には、リンカーは、2つのEAAAKユニットで始まり、A、AA、AAA、AAAA、EAAAA及びEAAAAK配列の付加によって伸長する。
【0024】
本発明の更に好ましい実施態様では、ポリペプチドの結合ドメインは互いに同一又は類似である。
本発明の更にまた好ましい実施態様では、ポリペプチドは、成長ホルモン;レプチン;エリスロポエチン;プロラクチン;インターロイキン(IL)IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12のサブユニットp35、IL−13、IL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様体神経栄養因子(CNTF);カージオトロフィン(cardiotrophin)(CT−1);白血球阻害因子(LIF);オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン、IFNα及びINFβ;腫瘍壊死因子(TNF)α及びTNFβ、及びRANKリガンドからなる群から選択されるサイトカインの結合ドメインを含む。
【0025】
本発明の更に好ましい実施態様では、ドメインの少なくとも1つが、成長ホルモン結合ドメインを含む。
本発明の更に好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、少なくとも2つの成長ホルモン、又は成長ホルモン変異体ポリペプチドの結合ドメインを含む。
【0026】
修飾したGH変異体は、米国特許第5,849,535号に開示されており、それを参考として取り入れるものとする。GHに対する修飾は、部位1及び部位2の結合部位である。部位1への修飾は、野生型GHに比較して高いGHRに対する親和性を持つGH分子を生成する。これらの修飾GH分子はアゴニストとして作用する。部位2の修飾も開示されており、それはGHアンタゴニストの生成をもたらす。部位1についてのGHの結合親和性を変化させる修飾の更なる例は、米国特許第5,854,026号;米国特許第6,004,931号;米国特許第6,022,711号;及び米国特許第6,136,563号に開示されており、それら各々を参考として取り入れるものとする。部位2の修飾も開示されており、特にGHにおけるアミノ酸残基G120が、アルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、又はグルタミン酸に修飾されると、アンタゴニスト特性を持つGH分子が生成される。
【0027】
我々の係属中の出願WO03/070765において、参考として取り入れるが、我々は、GHレセプター活性化に対してアンタゴニスト活性を持つGH変異体の融合を記載した。GH変異体を、成長ホルモンレセプターの細胞外ドメインに可撓性リンカーを介して融合した。このキメラポリペプチドは、遅いクリアランス及びアンタゴニスト活性を示した。類似のキメラポリペプチドであるが、不撓性又は部分的可撓性のリンカーのものの提供も、本明細書に開示する本発明の範囲内にある。
【0028】
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、少なくとも2つのプロラクチン、又はプロラクチン変異体の結合ドメインを含む。
本発明の好ましい実施態様では、前記プロラクチン変異体ポリペプチドはアミノ酸配列を含み、当該アミノ酸配列はヒトプロラクチンの位置129で修飾されている。
【0029】
本発明の好ましい実施態様では、前記修飾はアミノ酸置換である。好ましくは、前記置換は、グリシンアミノ酸残基をアルギニンアミノ酸残基で置き換えるものである。好ましくは、前記修飾は、少なくとも9、10、11、12、13又は14末端アミノ酸残基の欠失を更に含む。
これに代わる本発明の実施態様では、ポリペプチドの結合ドメインは互いに類似していない。
【0030】
本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む。
好ましくは、前記ポリペプチドは、成長ホルモン結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインからなる。
【0031】
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、修飾された成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む。
好ましくは、前記ポリペプチドは、修飾された成長ホルモン結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインからなる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、前記修飾された成長ホルモン結合ドメインは、グリシン120のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を含む。好ましくは、前記修飾は、グリシン120の、アルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、又はグルタミン酸から選択されるアミノ酸での置換である。
本発明の好ましい実施態様では、前記修飾は、グリシン120のアルギニンアミノ酸残基での置換である。
【0033】
本発明の更に好ましい実施態様では、前記修飾されたプロラクチン結合ドメインは、グリシン129の修飾を含む。好ましくは、前記修飾は、グリシン129のアルギニンアミノ酸残基での置換である。好ましくは、前記修飾は、9、10、11、12、13又は14アミノ末端アミノ酸残基の欠失を更に含む。
【0034】
本発明の更に好ましい実施態様では、前記ポリペプチドは、サイトカインレセプターのリガンド結合ドメインを更に含む。好ましくは、前記レセプターは成長ホルモンレセプターである。これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記レセプターはプロラクチンレセプターである。
本発明の好ましい実施態様では、前記リガンド結合ドメインは、不撓性の螺旋領域を含む又はそれからなるリンカーによって、前記サイトカイン結合ドメインに連結されてもよい。
【0035】
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。
本発明の好ましい実施態様では、前記核酸分子は、前記ポリペプチドの発現のために適合されたベクターである。
典型的には、その適合は、細胞/組織特異的発現を媒介する転写調節配列(プロモータ配列)の提供を含む。これらのプロモータは、細胞/組織特異的、誘導性又は構造性であってよい。
【0036】
プロモータは、この分野で認められた用語であり、明確にするために以下の特徴を含むが、これらは例示するためだけに与えるものである。エンハンサー要素はcis作用性核酸配列であり、遺伝子の転写開始部位の5’に多く見られる(エンハンサーは、遺伝子配列の3’にも見られ、又は隣接配列に位置することもある、従って位置独立的である)。エンハンサーは、エンハンサーが結合した遺伝子の転写速度を向上させるように機能する。エンハンサー活性は、エンハンサー要素に特異的に結合することが示されたtrans作用性転写因子(ポリペプチド)に依存する。転写因子(David S LatchmanによるEukaryotic Transcription Factors, Academic Press Ltd, San Diego参照)の結合性/活性は、環境的合図の数に依存し、それは、例えば、中間的代謝物(例えばグルコース)、環境的エフェクター(例えば熱)を含む。
【0037】
またプロモータ要素は、いわゆるTATAボックス及びRNAポリメラーゼ開始選択(RIS)配列を含み、それは転写開始の部位を選択するよう機能する。これらの配列は、ポリペプチドにも結合し、それは、中でも、RNAポリメラーゼによる転写開始選択を促進するように機能する。
適合は、選択可能なマーカー及び自律的複製配列の提供を含み、それらは共に真核ま原核細胞におけるベクターの維持を促進する。自律的に維持されるベクターは、エピソーマルベクターと呼ばれる。
【0038】
ベクターにコードされる遺伝子の発現を促進する適合は、転写停止/ポリアデニル化配列の提供を含む。これはまた、2又は多−シストロン発現カセットに配列されたベクターにコードされる遺伝子の発現を最大化するように機能する内部リボソームエントリー部位(IRES)の提供を含む。
【0039】
これらの適合は、当該分野で良く知られている。発現ベクター構築及び組換えDNA技術一般に関するかなりの数の文献が出版されている。Sambrook等, (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, Cold Spring Harbour, NY 及びそれらの参考文献;Marston, F (1987) DNA Cloning Techniques: A Practical Approach Vol III IRL Press, Oxford UK; DNA Cloning: F M Ausbel等, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照されたい。
【0040】
本発明のベクターが、遺伝子治療ベクターでありうることは当業者には明らかであろう。遺伝子治療ベクターは、典型的にはウイルスベクターである。多くのウイルスが、外来遺伝子の輸送のためのベクターとして共通して使用されている。共通して使用されるベクターは、組換え的に修飾されたエンベロープ又は非エンベロープDNA及びRNAウイルスを含み、好ましくはバキュロウイルス、パルボウイルス、ピコルノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、又はピコルナウイルスから選択される。キメラベクターも用いることができ、それらは親ベクターの各特性の有利な要素を活かしている(例えば、Feng, 等 (1997) Nature Biotechnology 15: 866-870参照)。それらのベクターは、野生型でも、組換えDNA技術により修飾され、複製不全、条件的複製又は複製コンピテントとされていてもよい。
【0041】
好ましいベクターは、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス及びレトロウイルスゲノムから誘導される。本発明の最も好まし実施形態では、ベクターは、ヒトアデノウイルスゲノムから誘導される。特に好ましいベクターは、ヒトアデノウイルスの血清型2又は5から誘導される。そのようなベクターの複製能力は、E1a及び/又はE1bコード化領域のおける修飾又は欠失によって(「複製不全」と考えられる点まで)弱めてよい。特別な発現特性を達成し、又は複製管理又は低免疫反応を許容するためのウイルスゲノムに対する他の修飾は好ましい。
【0042】
あるいは、ウイルスベクターは、条件的複製又は複製コンピテントであってよい。条件的複製ウイルスベクターは、不都合な広い範囲の感染を回避して特定の細胞型における選択的発現を達成するために使用される。条件的複製ベクターの例は、Pennisi,E. (1996) Science 274: 342-343; Russel, and S.J. (1994) Eur. J. of Cancer 30A(8): 1165-1171に記載されている。選択的複製ベクターの他の例は、ウイルスの複製に必要な遺伝子がプロモータの制御下にあり、そのプロモータが特定の細胞型又は細胞状態においてのみ活性であるため、そのような遺伝子の発現が無ければウイルスが複製されないベクターを含む。そのようなベクターの例は、1997年12月16日発行のHenderson等, 米国特許第5,698443号、1999年2月16日発行のHenderson等, 米国特許第5,871,726号に記載されており、それらの全教示を参考として本明細書に取り入れるものとする。
【0043】
さらに、ウイルスゲノムは、或る条件下でのみ複製又は発現を達成する誘導プロモータを含むように修飾してもよい。誘導プロモータの例は、化学文献(例えば、Yoshida及びHamada (1997) Biochem. Biophys. Res. Comm. 230: 426-430; Iida等 (1996) J. Virol. 70(9): 6054-6059; Hwang等 (1997) J. Virol 71(9): 7128-7131; Lee等 (1997) Mol. Cell Biol. 17(9): 5097-5105;及びDreher等 (1997) J. Biol. Chem. 272(46); 29364-29371)において知られている。
【0044】
また、ベクターは非−ウイルス性でもよく、当業者が容易に利用できる多くの商業的供給源から入手可能である。例えば、ベクターはエピソーマル又はインテグレーティングであるプラスミドであってもよい。
【0045】
本発明の更なる態様では、本発明の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた細胞が提供される。
本発明の好ましい実施態様では、前記細胞は真核細胞である。
好ましくは、前記真核細胞は、真菌細胞、例えば、Saccharomyces cervisiae, Pichia spp;粘菌(例えば、Dictyostelium spp);昆虫細胞(例えば、Spodoptera frugiperda);植物細胞、又は哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)からなる群から選択される。
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記細胞は原核細胞である。
【0046】
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチドを製造する方法が提供され、前記方法は、
i)本発明の細胞を、本発明のポリペプチドの製造を導く条件下で成長させる工程、及び、
ii)細胞、又は成長環境からポリペプチドを単離する工程を含む。
【0047】
本発明の好ましい方法では、前記ポリペプチドは、親和性タグとともに提供される。
親和性タグは、当該分野で知られており、マルトース結合タンパク質、グルタチオンSトランスフェラーゼ、カルモジュリン結合タンパク質、及びポリヒスチジントラックのタンパク質への加工を含み、それは次いでニッケル含有マトリクス上での親和性精製によって精製される。多くの場合、商業的に入手可能なベクター及び/又はキットは、対象とするタンパク質を適切な親和性タグに融合するために使用でき、それは次いで発現、それに続く親和性マトリクスでの抽出及び精製のために宿主細胞にトランスフェクトされる。
【0048】
我々の係属中の出願、WO03/034275において、その内容を参考として取り入れるが、我々は、ポリペプチドへのグリコシルホスファチジルイノシトールの付加を制御するシグナル配列を含むドメインをル要するポリペプチドのための新規な親和性タグを記載している。グリコシルホスファチジルイノシトールタグを含むポリペプチドは、優先的に脂質膜に挿入され、サイトカインレセプター活性化に対してアンタゴニスト的な効果を有する。従って、本明細書に開示される本発明は、結合したグリコシルホスファチジルイノシトール分子を持つポリペプチドを含む。
【0049】
本発明の更なる態様では、第2のサイトカイン結合ドメインに連結された第1のサイトカイン結合ドメインを含むポリペプチドが提供され、前記ポリペプチドはサイトカインレセプターの細胞外ドメインを更に含む。
本発明の好ましい実施態様では、前記第1及び第2の結合ドメインは、可撓性のリンカー分子で連結されている。
【0050】
これに代わる本発明の実施態様では、前記第1及び第2の結合ドメインは、不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている。
本発明の好ましい実施態様では、前記第1及び第2の結合ドメインは、不撓性の螺旋領域及び可撓性の非螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている。
【0051】
不撓性の螺旋領域及び不撓性螺旋領域と可撓性非螺旋領域の組み合わせを含むペプチドリンカーは上記で既に記載しており、既に特定したようにサイトカイン及びサイトカインレセプターである場合、本発明のこの実施態様に適用可能である。
本発明の好ましい実施態様では、サイトカインレセプターの細胞外ドメインが、リンカー分子を介して第1間第2のサイトカイン結合ドメインに連結される。好ましくは、前記リンカー分子は、不撓性の螺旋領域を含む。
【0052】
これに代わる本発明の好ましい実施態様では、前記リンカー分子は可撓性である。
好ましくは、前記リンカー分子は、不撓性の螺旋領域及び可撓性の非螺旋領域を含む。
本発明の好ましい実施態様では、前記サイトカイン結合ドメインは、成長ホルモン、又はその成長ホルモン変異体であり、前記細胞外ドメインは、成長ホルモン細胞外ドメインである。好ましくは、前記ドメインはヒトである。
【0053】
本発明のポリペプチドは2つの機能を示す。第一に、サイトカイン又はその一部を含む第1及び第2のドメインは、好ましくは不撓性螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結されており、細胞表面サイトカインレセプターに結合することができ、これらのレセプターの結合をレセプター複合体で立体的に妨害するため、下流の細胞シグナル伝達を防止する。第二に、サイトカインレセプター又はその一部を含む第3のドメインを提供することは、可溶性レセプターとして機能することが可能であり、よって、それが細胞表面レセプターに結合する前に、任意のサイトカインを連結する。この第3のドメインは、好ましくは第1又は第2のドメインと、不撓性螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結される。これに代わる本発明の実施態様では、第3のドメインは、好ましくは第1又は第2のドメインと、可撓性の非螺旋領域を含むペプチドリンカーによって連結される。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、前記ペプチドリンカー分子は、タンパク質分解的解裂に感受性のアミノ酸配列を更に含む。
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチド又は核酸分子の医薬としての使用が提供される。
好ましくは、本発明のポリペプチド又は核酸分子を含む医薬組成物が提供される。好ましくは、前記医薬組成物は、キャリア、賦形剤、及び/又は希釈剤を含む。
【0055】
投与されるとき、本発明の治療用組成物は、製薬的に許容される製剤で投与される。「製薬的に許容される」という用語は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害しない非毒性の材料を意味する。そのような製剤は、通常、塩、緩衝剤、適合性キャリア、防腐剤及び任意の他の治療剤を含む。
【0056】
医薬において使用される場合、塩は製薬的に許容されなけらばならないが、非製薬的に許容される塩を、便宜的に製薬的に許容される塩の調製に使用してもよく、本発明の範囲から除外されるものではない。薬理学的及び製薬的に許容される塩は、限定されないが、以下の三から調製されるものを含む:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、等。また、製薬的に許容される塩は、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩などの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩として調製することもできる。
【0057】
医薬組成物は、適切な緩衝剤を含有してもよく、酢酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、及びリン酸塩を含む。
組成物は、所望される場合は、製薬的に許容されるキャリアと混合してもよい。「製薬的に許容されるキャリア」という用語は、本明細書において、ヒトへの投与に適した1又はそれ以上の適合性固体又は液体フィラー、希釈剤又はカプセル化物質を意味する。「キャリア」という用語は、適用性を向上させるために活性成分と混合される、有機又は無機の、天然又は合成の成分を示す。また医薬組成物の成分は、本発明の分子と、そして互いに、所望の医薬的有効性を実質的に損なう相互作用が無いような方法で混合することができる。
【0058】
医薬組成物は、単位投与形態で提供してもよく、製薬業で良く知られた任意の方法で調整してもよい。全ての方法は、活性成分を1又はそれ以上の補足成分からなるキャリアと混合する工程を含む。一般的に、組成物は均一かつ緊密に調製され、活性化合物が、液体キャリア、微細化された固体キャリア、又はその両方と混合され、次いで必要ならば製品に成形される。
また医薬組成物は、任意に、適切な防腐剤、例えば、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサールを含んでいてもよい。
【0059】
本発明の医薬組成物は、注入を含む任意の従来の経路によって投与しても、又は長時間徐々に注入してもよい。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、又は経皮であってよい。
経口投与に適した組成物は、各々が所定量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、トローチ剤などの別々の単位として提供してもよい。他の組成は、水性液体、シロップなどの非水性液体、エリキシル剤又はエマルジョンを含む。
【0060】
本発明の組成物は有効量で投与される。「有効量」とは、単独で、又は更なる投薬とともに、所望の応答を生ずる組成物の量である。癌などの特定の疾患を治療する場合、所望の応答とは疾患の進行を阻害することである。これは、疾患の進行を一時的に遅延させることのみを含み得るが、より好ましくは、疾患の進行を永久に停止させることを含む。これは、常套的な方法で監視することができる。
【0061】
そのような量は、当然のことながら、治療すべき特定の病状、病状の重篤さ、個々の患者のパラメータ、例えば、年齢、身体条件、大きさ及び重さ、治療の継続時間、併用療法(ある場合には)、特定の投与経路、及び健康実務者の知識及び技量の範囲内にある類似の要因に依存する。これらの要因は、当業者に良く知られており、日常的な実験を超えることなく対処できる。一般的には、各成分又はそれらの組み合わせの最大投与量、即ち、正常な医学的判断に従った最高の安全投与量を使用するのが好ましい。しかしながら、当業者は、患者が、医学的理由、生理学的理由、又は事実上他の任意の理由により、より低い投与量又は我慢できる投与量を主張しうることを理解するであろう。
【0062】
本発明の更なる態様では、本発明のポリペプチド又は核酸分子の、末端肥大症;巨人症;GH欠乏症;ターナー症候群;腎不全;骨粗鬆症;骨関節炎;真性糖尿病;癌(例えば、前立腺癌、子宮頚癌、乳癌、黒色腫、ヘパトーマ、腎臓癌、神経膠腫、膀胱癌、肺癌、神経癌、卵巣癌、睾丸癌、膵臓癌、消化管癌、リンパ腫);肥満;インシュリン抵抗性;高脂血症;高血圧症;貧血;自己免疫性及び感染性疾患;関節リウマチを含む炎症性疾患からなる群から選択される疾患治療のための医薬の製造のための使用が提供される。
【0063】
また本発明は、有効量のポリペプチド、核酸分子、医薬組成物又は医薬を患者に投与することを含むヒト又は動物患者を治療する方法も提供する。
【0064】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、「含む」という語及びその語の変形、例えば、「含んでいる」は、「含むが限定されない」ことを意味しており、他の部分、添加物、成分、整数又は工程を排除することを意図しない。
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、単数形は、前後関係で特に要求しなければ複数形も包含する。特に、制限のない記載が用いられている場合、本明細書は、前後関係で特に要求しなければ複数並びに単数を考慮していると解される。
本発明の特定の態様、実施態様又は実施例とともに記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分及び基は、矛盾がなければ、本明細書に記載された他の全ての態様、実施態様又は実施例に適用可能であると解される。
本発明の実施態様が、例示するためだけに、添付の図面を参照して記載される。
【0065】
材料及び方法
GHタンデムにおけるリンカーの修飾は、発現されたタンパク質のN末端から突出した30アミノ酸を除去するよう修正されたGH−(G4S)−GH分子(χ1C1)に対する遺伝子から開始され、また遺伝子は、修正されたpET21(+)ベクターにサブクローニングされてpET21:χ1C1bが生成された(図3)。
可撓性末端を持つ螺旋状リンカーを持つ構築物のために、リンカーは、相補的なオリゴヌクレオチドを互いに連結することにより構築され;これらのオリゴヌクレオチドは、所望のリンカーをコードし、NotI及びEcoRIで消化されたベクターpET:χ1C1bに結合する末端を有するように設計された。これらのリンカーの総括を図4に示す。
【0066】
GHドメイン間の堅固なリンカーのために、GHドメインは、それらのC末端(GH1)及びN末端(GH2)を切り取って、ドメインが螺旋の末端で終端するようにしなければならなかった。次いで、縮重コドン法を利用して、制限部位が設計され、それにより新たなリンカーが、2つのドメイン間に形成される螺旋を妨害することなく導入される(図5A)。プライマーは、これらの修飾をGHタンデムのGHドメインに実行するように設計された(図5B)。得られた構築物は、χ1C5と呼ばれる(図6)。相補的なオリゴヌクレオチドが、NotI及びNruIに隣接するリンカー領域を生成するために使用され、これらは次いで、NotI及びNruIで消化されたpET:χ1C5にライゲートされた。これらのリンカーの概略を図7に示す。
【0067】
構築物の発現は、第一にpET発現ベクターを発現株、E.coli BL21(DE3)CodonPlusRIPLにトランスフォームすることにより実施した。発現は多くの条件下で実施でき、それは異なるインキュベーション温度(例えば、室温、37℃)、異なる媒体(例えば、LB、2YT、5YT、等)、異なる誘導点(即ち、培地が誘導されるOD600)、培地を誘導するために使用される異なるIPTG(又は他のインデューサ)濃度、及び誘導後に細胞が収集される時間を含む。
【0068】
構築物のC末端にHis−タグを付加することができ、それは固定化金属イオンクロマトグラフィ(Ni2+又はCo2+カラム)を用いた精製を促進する。His−タグを持たない構築物は、種々の手段、例えばイオン交換クロマトグラフィ、疎水性カラム及びサイズ排除クロマトグラフィを用いて精製されうる。適切な純度のタンパク質を生成するためにこれらの精製技術の1又はそれ以上が必要な場合もある。
【0069】
χ1C5の構築
修飾したGHドメインは、PCR及び関連するプライマーを用いて生成された。GH1はDiGHNcoGF及びGH[AEA3]NotRを用いて修飾され、GH2はEcoI−(Nru)GH−F及びGHD*−HRを用いて修飾された。PCR反応は、1mlの 100pmol/ml フォワードプライマー、1mlの100pmol/ml リバースプライマー、1mlの pTrcHisGHstop(希釈)、1mlの10mMdNTPs、5mlの10x 増幅バッファー、1mlの50mM MgSO4、0.5mlのPfx ポリメラーゼ、39.5mlの無菌水からなる。PCRは、これらの反応混合物に対して、以下の温度プロフィールで実施した;95℃で5分間;15 x (95℃で45秒間、55℃で 45秒間、72℃で45秒間);72℃で5分間。PCR産物は、アガロースゲルを用いて確認し、所望のPCR産物を精製した。修飾したGH1を、pET21:χ1C1bに、NcoI及びNotI部位の間にライゲートして、pET21:χ1C4を得た。修飾したGH2は、pET21:χ1C4に、EcoRI及びHindIII部位の間にライゲートして、pET21:χ1C5を得た。このプロセスの概略を図8に示す。
【0070】
リンカー変性物
プライマーのリン酸化
リンカーを生成するために2又はそれ以上のプライマー二本鎖が必要な場合は、内部5’末端を含むプライマーを第一にリン酸化した。リン酸化すべき各プライマーのために以下の反応混合物を作成した:2mlの100pmol/ml オリゴヌクレオチド、2mlの10x キナーゼバッファー、2mlの10mM ATP、13mlの無菌水、1mlのT4 ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/ml)。これらを、37℃で30分間、次いで70℃で10分間インキュベートした。次いで、サンプルを、アニーリングバッファー (10mM TRIS、50mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5−8.0)を用いて1:10に希釈し、0.1pmol/mlの溶液を得た。これらは、次いで、以下のアニーリング反応に使用できた。
【0071】
プライマー二本鎖のアニーリング
プライマーを、アニーリングバッファー(10mM TRIS、50mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5−8.0)を用いて0.1pmol/mlに希釈した。10mlの相補的プライマーを新鮮なチューブ内で混合した。チューブを95℃で2分間インキュベートし、温度を40−60分間の時間で30℃まで低下させた。
1を超えるプライマー二本鎖が必要な場合は、等量のプライマー二本鎖を混合して、所望の隣家を形成するのに必要な全ての二本鎖を含有する溶液を得た。溶液は、次いで氷上に保存した。
【0072】
ライゲーション及びトランスフォーメーション
関連する制限酵素で消化したベクター(例えば、NotI及びEcoRIで消化したpET21:χ1C1b又はNotI及びNruIで消化したpET21:χ1C5)の約200ngを4mlのアニールしたプライマー、1mlのリガーゼバッファー、2mlのT4 DNAリガーゼととみインキュベートし、反応物を無菌水で10mlにした。これらを氷のビーカーで終夜インキュベートし、その間に解凍させた。5mlの終夜ライゲーションさせたものを、次いで、50mlの化学的コンピテントなE.coliSURE細胞に添加した。これを氷上で1時間インキュベートし、次いで、42℃で30秒間熱衝撃を与えた。細胞に450mlのLB媒体を添加し、次いでサンプルを37℃で30分間インキュベートした。次に、ミニーカルチャーを4000rpmで5分間遠心分離し、得られたペレットを50mlのLB媒体中に再懸濁させ、次いで、カルベニシリン(100mg/ml)、テトラサイクリン(10mg/ml)及びグルコース(0.3% w/v)を含むLBプレートにプレーティングした。これを37℃で終夜インキュベートした。
得られたコロニーをスクリーニングし、リンカーの変性が成功したことをチェックした。
【0073】
一般的方法の修正
pET21:χ1C5を消化するための制限酵素NotI及びNruIを用いた堅固なリンカーを持つ構築物の生成は、トランスフィーめーション後にネガティブコントロールプレート(ライゲーション反応にプライマー二本鎖が無い)上に多くのコロニーを生成させ、従って、ポジティブコントロールをスクリーニングするのが困難であった。これは、消化されたベクターの脱リン酸化を反映しており;15μlのNotI及びNruIで消化されたpET21:χ1C5を、2ml CIAP 10x buffer、1ml CIAP(コウシ腸アルカリホスファターゼ)(10U/ml)及び2ml無菌水と混合した。これを、37℃で1時間、次いで80℃で30分間インキュベートした。次いで、DNAを精製キット(例えば、Qiagen PCR Purification Kit)を用いて溶液から精製した。プライマー二本鎖を作成するために使用した全てのプライマーは、上記の方法を用いてリン酸化した。リン酸化したプライマー二本鎖は、次いで上記のように脱リン酸化されたベクターにライゲートした。
【0074】
χ1L1のクローニング及び発現
成長ホルモンGHの2つのドメインからなるχ1L1は、単一の細胞外成長ホルモンドメインに続き、これらのドメイン各々は、現在は(Gly4Ser4)リンカーで連結されている(図8)。χ1L1のヌクレオチド配列を図9に示し、アミノ酸配列を図10に示す。
χ1L1は、NheI及びXhoI部位に隣接するhGH遺伝子を、χ1E2(GHRa−GHGHRb)に連結することにより構築し、これはχ1K1を与えた。GHRドメインは、次いでχ1K1に、EcoRI及びHindIII部位の間で連結し、χ1L1を与えた。この手法の模式図を図11に示す。
【0075】
χ1L1遺伝子をシーケンスによってチェックし、正しいことが確認された。発現は、E.coliBL21(DE3)CodonPlusRIPL細胞内の修飾したpET21(+)ベクターを用いて実施した。1mMのIPTG(最終濃度)と0.5−0.6のOD600で4時間インキュベートした後にLB媒体中に発現されたタンパク質は、部分的に可溶性であり、GHに対してプローブされたウエスタンブロットにおいて多重のMwバンドが観察された(図12)。
χ1L1のC末端His−タグバージョンは、Co2+カラムを用いて精製した(図13)。タンパク質調製物中に混入した多くのタンパク質及び多重のバンドが得いす単ブロットにおいて未だ観察された。このタンパク質の調製物の予備的バイオアッセイは、それが有意なアゴニスト活性を持つことを示した(図14)。
【0076】
プロラクチンタンデム及びプロラクチン:成長ホルモンタンデムの構築
PRL及びGHタンデムは、標準的なPCR技術、次いで調製されたベクターのライゲーション及びトランスフォーメーションを用いて生成した。リンカーは、アニールしたオリゴヌクレオチド対を調製したベクターにライゲーション及びトランスフォーメーションすることにより変化させられる。PRL及びGHタンデムについての3つの例示的方法を以下に示す。
【0077】
方法1
PRL−(G4S)4−PRLの生成
1.PRLのNcoI及びNotI部位の間でのPCR(フォワードプライマー=atatccatgggcTTGCCCATCTGTCC;リバースプライマー=atatatatatatgggcggccgccGCAGTTGTTGTTGTGG)。
2.PCR産物のNcoI及びNotIでの消化。
3.複製ベクターのNcoI及びNotIでの消化→pET21(m)χ1C1b(即ち、GH−(G4S)4−GH)。
4.PCR産物のベクターへのライゲーション;pET21(m)PRL−(G4S)4−GHを与える。
5.PRLのEcoRI及びHindIIII部位間でのPCR(フォワードプライマー=atatgaattcTTGCCCATCTGTCC; リバースプライマー=atataagcttGCAGTTGTTGTTGTGG)。
6.PCR産物のEcoRI及びHindIIIでの消化。
7.複製ベクターのEcoRI及びHindIIIでの消化→pET21(m)PRL−(G4S)4−GH。
8.PCR酸靴のベクターへのライゲーション;pET21(m)PRL−(G4S)4−PRLを与える。
【0078】
方法2
PRL−A(EA3K)2A−GHの生成
1 PRLのNcoI及びNotI部位間でのPCR(フォワードプライマー=atatccatgggcTTGCCCATCTGTCC; リバースプライマー=atatatatatatgggcggccgccGCAGTTGTTGTTGTGG)。
2 PCR産物のNcoI及びNotIでの消化。
3 複製ベクターのNcoI及びNotIでの消化→pET21(m)T1aEAK2 (即ち、GH−A(EA3K)2A−GH)。
4 PCR産物のベクターへのライゲーション;PRL−A(EA3K)2A−GHを与える。
【0079】
方法3
PRL−A(EA3K)4A−PRLの生成
1. A(EA3K)4Aリンカーの生成のためのプライマーのアニール。
2. 複製ベクターのNotI及びEcoRIでの消化→pET21(m)PRL−(G4S)4−PRL(上記例1から)。
3.オリゴヌクレオチドダイマーのベクターへのライゲーション;PRL−A(EA3K)4A−PRLを与える。
上記の方法は、図24に例示してある。
【0080】
実施例1
半堅固タンデム
E.coli BL21(DE3)CodonPlus−RIPL細胞を、カルベニシリン、テトラサイクリン及びコラムフェニコール(choramphenicol)を添加した10mlのLB媒体中で成長させた。細胞は、37℃で振とうさせながら成長させた。培地を、0.4−0.7のOD600において1mMの最終濃度までのIPTGを用いて誘導した。細胞を、リゾチーム、デオキシコール酸m及び超音波処理を組み合わせて溶解させた。次いで可溶性画分を遠心分離で単離した。クマシー染色したPAGEゲルにより、タンデムの発現の明確なバンドが示された。
【0081】
可溶性画分をELISAにより決定し、40ng/ウェルのタンデムを12%PAGEゲル上に負荷した。タンパク質をPVDF膜に移し、ウサギ抗−GH Ab(一次)及び抗−ウサギ−HRP Ab(二次)を用いてウエスタンブロットした;図16d参照。半堅固リンカーを持つGHタンデムの生物活性を図16eに示す。
【0082】
実施例2
堅固タンデム
E.coli BL21(DE3)CodonPlus−RIPL細胞を、カルベニシリン、テトラサイクリン及びコラムフェニコール(choramphenicol)を添加した10mlのLB媒体中で成長させた。細胞は、37℃で振とうさせながら成長させた。培地を、0.4−0.7のOD600において1mMの最終濃度までのIPTGを用いて誘導した。培地を更に4時間成長させた後に収集した。
【0083】
細胞を、リゾチーム、デオキシコール酸及び超音波処理を組み合わせて溶解させた。次いで可溶性画分を遠心分離で単離した。クマシー染色したPAGEゲルにより、タンデムの発現の明確なバンドが示された。
可溶性画分をELISAにより決定し、40ng/ウェルのタンデムを12%PAGEゲル上に負荷した。タンパク質をPVDF膜に移し、ウサギ抗−GH Ab(一次)及び抗−ウサギ−HRP Ab(二次)を用いてウエスタンブロットした;図17d参照。堅固リンカーを持つGHタンデムの生物活性を図17eに示す。
【0084】
実施例3
タンデムの精製
構築物T1cEAK2+3His及びT1cEAK2+4Hisを、バイオアッセイにおける初期超最大活性(initial supra-maximal activities) に基づいて更に実験するためにショートリストに載せた。発現プラスミドを E.coli BL21(DE3)Codonplus RIPL細胞にトランスフォームし、ILバッチ培地中で発現を実施した。可溶性タンパク質画分に対して、Ni−キレート固定化金属イオンクロマトグラフィ(IMAC)及びイオン交換クロマトグラフィの組み合わせを用いて精製を実施した。IMACは最初の精製工程であり、pH勾配(pHからpH3)を用いて初期溶離がなされる;しかしながら、カラム洗浄において多くのタンパク質が失われたことがわかった。従って、我々は精製方法における戦略を変更し、イミダゾール溶離(0から50Mのイミダゾール)を用いることに戻り、>70%の純度を達成した。次いで、イオン交換カラム(Resource Q)を>90%の更なる精製に使用した。これを図18に例示する。
【0085】
ELISAに基づく定量化の結果:
T1cEAK2+3His(RQ13/4) = 215μg/ml;
T1cEAK2+3His(RQ14/4) = 177μg/ml
各々1mlを得たので、全収量は392μgである。これは、2リットルの培地から得た→1リットルあたりの収量 = 〜200μg。
T1cEAK2+3−Hisの活性は、より高いタンパク質濃度において、rhGHより高い折り畳みの誘導に到達した。同様の結果はタンデムをモルベースで試験した場合に得られた、図18B及び図18C参照。T1cEAK2+4Hisに対して同様の分析を行った。精製及び生物活性を図18D、18E及び18Fに示す。
【0086】
T1cEAK2+4His(RQ13/4)ELISAに基づく定量化の結果 = 550μg/ml。各々1mlを得たので、全収量は550μgである。これは、2リットルの培地から得た→1リットルあたりの収量 = 〜275μg。T1cEAK2+3−Hisの活性は、より高いタンパク質濃度において、rhGHより高い折り畳みの誘導に到達した。同様の結果はタンデムをモルベースで試験した場合に得られた。
【0087】
実施例4
χ1C3の濃度は、ブラッドフォード(Bradford)アッセイを用いて測定した。rhGH(1mg/mlにおいて)を平行して測定し、ブラッドフォードアッセイから得られたデータの正しさを確認した。次いでχ1C3を用いて、GHバイオアッセイのGH標準を直接置換し、タンデム標準曲線を得た。純粋及び不純なタンデムサンプル及びrhGHを、GH標準曲線及びタンデム標準曲線に対して測定し、次いでタンパク質濃度を各ELISAプレートから測定した。GHのELISAは、これらのELISAによる測定した場合のタンデムの実測値の約2倍を与えた。これを図19に例示する。
【0088】
実施例5
プロラクチン/GHタンデム
対応するアゴニスト的変異を持つ又は持たないプロラクチン及び/又はGHのタンデムは、タンデム遺伝子へのライゲーションを可能にするような遺伝子の何れかの末端への適切な制限部位に対するPCRを用いて合成できる。
【0089】
可撓性タンデム
タンデム遺伝子は、2つのタンパク質ドメインを(G4S)nに基づいて可撓性リンカーで連結することにより構築した;タンパク質ドメイン及びリンカーの各末端に独特の制限部位がある(図20)。
従って、タンデムにおける2つのタンパク質ドメインは、異なるドメインで連結することにより変化させることができる。例えば、プロラクチン(PRL)、プロラクチン1−14アミノ酸欠失G129R変異体(Δ1−14PRL.G129R)、成長ホルモン(GH)及び成長ホルモンG120Rアンタゴニスト変異体(GH.G120R)は、様々な方法でタンデム遺伝子に結合させることができる(図B)。図22及び23は、これらのドメインのヌクレオチド配列及びタンパク質配列を示している。
【0090】
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接する所望のタンパク質ドメインの遺伝子を精製するために標準PCRを使用することができる。PCR産物及び複製ベクターをこれらの制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲーション及びトランスフォームをすることにより、所望のタンパク質ドメインを持つタンデムが生成される。このプロセスは、タンパク質ドメイン又はリンカーの何れかに実施され(図24)、既に記載したオリゴクレオチドダイマーを用いて置換される。
【0091】
半堅固タンデム
タンデム遺伝子は、2つのタンパク質ドメインを配列A(EA3K)nAに基づいて螺旋リンカーで連結することにより構築した;タンパク質ドメイン及びリンカーの各末端に独特の制限部位がある(図20)。
従って、タンデムにおける2つのタンパク質ドメインは、異なるドメインで連結することにより変化させることができる。例えば、プロラクチン(PRL)、プロラクチン1−14アミノ酸欠失G129R変異体(Δ1−14PRL.G129R)、成長ホルモン(GH)及び成長ホルモンG120Rアンタゴニスト変異体(GH.G120R)は、様々な方法でタンデム遺伝子に結合させることができる(図21)。図22及び23は、これらのドメインのヌクレオチド配列及びタンパク質配列を示している。
【0092】
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接する所望のタンパク質ドメインの遺伝子を精製するために標準PCRを使用することができる。PCR産物及び複製ベクターをこれらの制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲーション及びトランスフォームをすることにより、所望のタンパク質ドメインを持つタンデムが生成される。このプロセスは、タンパク質ドメイン又はリンカーの何れかに実施され(図24)、既に記載したオリゴクレオチドダイマーを用いて置換される。
【0093】
堅固タンデム
タンデムの2つのドメインは、ドメインAのC末端α螺旋と末端BのN末端α螺旋を介して直接連結される必要がある。従って、タンパク質の遺伝子(図22及び23)はドメインA及びBにおいて切断され、これらの螺旋に螺旋リンカー[A[EA3K)nA]が直接結合されるようにしなければならない。
従って:
【0094】
タンデム遺伝子は、2つのタンパク質ドメインを配列A(EA3K)nAに基づいて螺旋リンカーで連結することにより構築した;タンパク質ドメイン及びリンカーの各末端に独特の制限部位がある(図20)。独特なNotI部位はリンカー領域のN末端に加工され、独特なNruI部位はGHのC末端に加工され(図5及び6);これにより、リンカー領域をGHタンデムに変化させることが可能になる。
NotIを含むN末端リンカー配列は、ドメインA位置においてPRL遺伝子に付加され、構築すべきテンプレートPRL−リンカーGHに基づく構築を可能にする(図25)。しかしながら、ドメインBがPRLである場合は、独特な制限部位は、リンカーとドメインBとの境界に導入されなければならない(図25)。
【0095】
従って、タンデムにおける2つのタンパク質ドメインは、異なる切断されたドメインで連結することにより変化させることができる。例えば、プロラクチン(PRL)、プロラクチン1−14アミノ酸欠失G129R変異体(Δ1−14PRL.G129R)、成長ホルモン(GH)及び成長ホルモンG120Rアンタゴニスト変異体(GH.G120R)は、様々な方法でタンデム遺伝子に結合させることができる(図21)。ドメインA又はドメインBにおけるそれらの位置に依存して、タンパク質ドメインは上記のように切断されなければならない。
【0096】
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に隣接する所望のタンパク質ドメインの遺伝子を精製するために標準PCRを使用することができる。PCR産物及び複製ベクターをこれらの制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲーション及びトランスフォームをすることにより、所望のタンパク質ドメインを持つタンデムが生成される。このプロセスは、タンパク質ドメイン又はリンカーの何れかに実施され、可撓性及び半堅固リンカーに対して使用された方法論と同様である(図24)。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1Aでは、サイトカインドメイン(楕円形)が、アルファ螺旋(影付き長方形)によって連結されている。可撓性リンカー(曲がった矢印)が、第1のサイトカインドメインを螺旋に、螺旋を第2のサイトカインドメインに結合させている。図1Bでは、サイトカインドメインはアルファ螺旋によって連結されている。可撓性リンカーが、第1のサイトカインドメインを螺旋リンカーに、螺旋リンカーを第2のサイトカインドメインに結合させている。
【図2】螺旋リンカーは可撓性のコネクタを持たず、その代わりに、サイトカイン1のC末端螺旋(4)に連続し、それをサイトカイン2のN末端螺旋(1’)と繋いで、単一の長い螺旋4−リンカー螺旋−1’によって連結された堅固なタンデムを形成している。従って、2つのサイトカインドメインの相対的な方向は固定されている。しかしながら、リンカーにアミノ酸を付加する又はアミノ酸を除去することにより異なる構造とすることによって、ドメインが異なる配向をした一連の堅固なタンデムを生成することができる。
【図3】構築物χ1C1bのマップ及びヌクレオチド/アミノ酸配列を示す。
【図4】可撓性末端を持つ螺旋リンカーを有するタンデムを生成するために使用したリンカーデザイン及びプライマーを示す。
【図5】A)中断されない螺旋リンカーを作成するためのプライマー二本鎖のライゲーションを可能にするGHドメインとリンカーとの間の境界領域のデザインを示す。B)χ1C5を生成するためのχ1C1bの修飾に使用されたプライマーを示す。
【図6】構築物χ1C5のマップ及びリンカー領域の配列を示す。
【図7】リンカーデザイン及び堅固な螺旋リンカーを生成するために使用したプライマーの概要を示す。
【図8】χ1L1を構築するための方法を示す模式図である。
【図9】χ1L1のヌクレオチド配列を示す。GHドメインは灰色で示し、GHRドメインは太字で示し、リンカーは下線を施した。
【図10】χ1L1のアミノ酸配列を示す。GHドメインは灰色で示し、GHRドメインは太字で示し、リンカーは下線を施した。
【図11】χ1L1を構築するためのクローニング方法を示す模式図である。
【図12】χ1L1の発現を示す。
【図13】χ1L1−HISの一次精製を示す。χ1L1−HISはCo2+カラムを用いて精製された。
【図14】χ1L1がアゴニスト活性を示すことを示すグラフである。
【図15】堅固又は半堅固GH構築物に対して使用した命名法の概要を示す。
【図16−1】a)半堅固リンカー配列を含むGHタンデムの核酸配列である。b)半堅固リンカー配列を含むGHタンデムのアミノ酸配列である。
【図16−2】c)GHタンデムの構築に使用された半堅固リンカーの例を示す。d)半堅固リンカーを含むGHタンデムの細菌発現を例示する。e)半堅固リンカーを含むGHタンデムの生物活性を例示する。
【図17−1】a)堅固リンカー配列を含むGHタンデムの核酸配列である。b)堅固リンカー配列を含むGHタンデムのアミノ酸配列である。
【図17−2】c)GHタンデムの構築に使用された堅固リンカーの例を示す。
【図17−3】d)堅固リンカーを含むGHタンデムの細菌発現を例示する。e)堅固リンカーを含むGHタンデムの生物活性を例示する。
【図18−1】図18Aは、T1cEAK2+3Hisの精製及びクマシー染色及びウエスタンブロットによる分析を示す。
【図18−2】図18B及び18Cは、T1cEAK2+3Hisの生物活性を示す。
【図18−3】図18Dは、T1cEAK2+4Hisの精製及びクマシー染色及びウエスタンブロットによる分析を示す。
【図18−4】図18E及び18Fは、T1cEAK2+4Hisの生物活性を示す。
【図19】成長ホルモンタンデムの検出のためのELISAを例示する。
【図20】可撓性、半堅固及び堅固リンカーによって連結された成長ホルモンタンデムの模式図である。
【図21】プロラクチン(PRL)、成長ホルモン(GH)及びそれらのアンタゴニスト的変異体の可能な組み合わせを例示する。
【図22】プロラクチン及びそのアンタゴニスト的形態の一つ、1−14アミノ酸切断G129R変異体(下線)を例示する。
【図23】成長ホルモン及びそのアンタゴニスト的形態の一つ、G120R変異体(下線)を例示する。
【図24】プロラクチンタンデムの模式図である。
【図25】(A)加工された制限部位、NotI及びNruIを持つGH堅固タンデム構築物の模式図であり、リンカーが隣接するドメインの末端螺旋に直接結合することを可能にし、リンカーの変化を促進もしている。(B)加工された制限部位、NotI及びNruIを持つPRL−リンカー−GH堅固構築物の模式図であり、(A)と類似する機能を有し、NotI部位がリンカー領域にあるので、ドメインAの切断されたPRL遺伝子にちょうど付加される。(C)PRL堅固タンデムの模式図であり、独特な制限部位は、縮重したアミノ酸コードを用いて、リンカーとドメインBのPRLとの間の境界において加工され、タンデム遺伝子の合成及び修飾を容易にする必要がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトカインレセプターに結合することができる少なくとも2つのサイトカイン結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記ドメインが不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結されているポリペプチド。
【請求項2】
前記ドメインが、直列に配列した3、4、5、6、7、8、9、又は10の結合ドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、直列に配列した10を超えるドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記不撓性の螺旋領域が、A(EAAAK)XAなるモチーフ又はその機能的変異体の少なくとも1つのコピーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記リンカー分子が、少なくとも1つの可撓性の非螺旋領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ末端又はその近傍に位置している、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のカルボキシル末端又はその近傍に位置している、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ及びカルボキシル末端又はその近傍に位置している、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記可撓性の非螺旋領域が、結合ドメインの少なくとも1つに隣接して位置している、請求項5から8のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記ポリペプチドが、EAAAKなるモチーフのコピーを10未満含む、請求項4から9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記ポリペプチドが、EAAAKなるモチーフのコピーを5未満含む、請求項4から9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記結合ドメインが、不撓性の螺旋リンカーからなる連結分子によって連結されている、請求項2から11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記螺旋リンカーが、1つの結合ドメインのカルボキシル末端を第2の結合ドメインのアミノ末端と結合している、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記螺旋リンカーが、第1の結合ドメインのC末端螺旋と第2の結合ドメインのN末端螺旋との間で連続しており、それにより2つの結合ドメインを実質的に固定された方向で堅固に連結している、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドの結合ドメインが、互いに同一であるか又は類似している、請求項1から14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記ポリペプチドが、 成長ホルモン;レプチン;エリスロポエチン;プロラクチン;インターロイキン(IL)IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12のサブユニットp35、IL−13、IL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様体神経栄養因子(CNTF);カージオトロフィン(CT−1);白血球阻害因子(LIF);オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン、IFNα及びINFβ;腫瘍壊死因子(TNF)α及びTNFβ、及びRANKリガンドからなる群から選択されるサイトカインの結合ドメインを含む、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記ドメインの少なくとも1つが、成長ホルモン結合ドメイン、又は成長ホルモン変異体を含む、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記ポリペプチドが、少なくとも2つの成長ホルモンの結合ドメイン、又は成長ホルモン変異体ポリペプチドを含む、請求項16又は17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記ポリペプチドが、少なくとも2つのプロラクチンの結合ドメイン、又はプロラクチン変異体を含む、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記プロラクチン変異体ポリペプチドがアミノ酸配列を含み、当該アミノ酸配列が、プロラクチンの129位で修飾されている、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記修飾が、アミノ酸置換である、請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記置換が、グリシンアミノ酸残基をアルギニンアミノ酸残基で置き換えるものである、請求項21に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記ポリペプチドが、プロラクチンの9から14末端アミノ酸残基の欠失を更に含む、請求項19から22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記ポリペプチドの結合ドメインが、互いに類似していない、請求項1から14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記ポリペプチドが、成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項26】
前記ポリペプチドが、成長ホルモン結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインからなる、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリペプチドが、修飾された成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、修飾された成長ホルモン結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインからなる、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項29】
前記修飾された成長ホルモン結合ドメインが、グリシン120のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を含む、請求項27又は28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記修飾が、グリシン120のアルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、又はグルタミン酸から選択されるアミノ酸での置換である、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記修飾が、グリシン120のアルギニンアミノ酸残基での置換である、請求項30に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記修飾されたプロラクチンが、グリシン129の修飾を含む、請求項27から31のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記修飾が、グリシン129のアルギニンアミノ酸残基での置換である、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記ポリペプチドが、プロラクチンの9から14アミノ末端アミノ酸残基の欠失を更に含む、請求項28から32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記ポリペプチドが、サイトカインレセプターのリガンド結合ドメインを更に含む、請求項28から32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
前記レセプターが、成長ホルモンレセプターである、請求項35に記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記レセプターが、プロラクチンレセプターである、請求項35に記載のポリペプチド。
【請求項38】
請求項1から37のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項39】
前記核酸が、前記ポリペプチドの発現のために適合されたベクターである、請求項38に記載の核酸。
【請求項40】
請求項38又は39に記載の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた、単離された細胞。
【請求項41】
前記細胞が真核細胞である、請求項40に記載の単離された細胞。
【請求項42】
前記細胞が原核細胞である、請求項40に記載の単離された細胞。
【請求項43】
本発明のポリペプチドを製造する方法であって、前記方法が、
i)請求項40から42のいずれか一項に記載の細胞を、請求項1から37のいずれか一項に記載のポリペプチドの製造を導く条件下で成長させる工程、及び、
ii)細胞、又は成長環境からポリペプチドを単離する工程
を含む方法。
【請求項44】
第2のサイトカイン結合ドメインに連結された第1のサイトカイン結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記ポリペプチドがサイトカインレセプターの細胞外ドメインを更に含む、ポリペプチド。
【請求項45】
前記第1及び第2の結合ドメインが、可撓性のリンカー分子で連結されている、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項46】
前記第1及び第2の結合ドメインが、不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項47】
前記第1及び第2の結合ドメインが、不撓性の螺旋領域及び可撓性の非螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項48】
前記サイトカイン結合ドメインが、成長ホルモン、又はその成長ホルモン変異体であり、前記細胞外ドメインが、成長ホルモン細胞外ドメインである、請求項44から47に記載のポリペプチド。
【請求項49】
請求項44から48のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項50】
前記核酸が、前記ポリペプチドの発現のために適合されたベクターである、請求項49に記載の核酸。
【請求項51】
請求項49に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項52】
請求項1から39又は44から51のいずれか一項に記載のポリペプチド又は核酸分子の医薬としての使用。
【請求項53】
請求項1から39又は44から51のいずれか一項に記載のポリペプチド又は核酸分子を含む医薬組成物。
【請求項54】
請求項49又は51に記載の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた、単離された細胞。
【請求項55】
前記細胞が真核細胞である、請求項54に記載の単離された細胞。
【請求項56】
前記細胞が原核細胞である、請求項54に記載の単離された細胞。
【請求項1】
サイトカインレセプターに結合することができる少なくとも2つのサイトカイン結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記ドメインが不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子によって連結されているポリペプチド。
【請求項2】
前記ドメインが、直列に配列した3、4、5、6、7、8、9、又は10の結合ドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、直列に配列した10を超えるドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記不撓性の螺旋領域が、A(EAAAK)XAなるモチーフ又はその機能的変異体の少なくとも1つのコピーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記リンカー分子が、少なくとも1つの可撓性の非螺旋領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ末端又はその近傍に位置している、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のカルボキシル末端又はその近傍に位置している、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記可撓性の非螺旋領域が、ペプチドリンカー分子のアミノ及びカルボキシル末端又はその近傍に位置している、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記可撓性の非螺旋領域が、結合ドメインの少なくとも1つに隣接して位置している、請求項5から8のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記ポリペプチドが、EAAAKなるモチーフのコピーを10未満含む、請求項4から9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記ポリペプチドが、EAAAKなるモチーフのコピーを5未満含む、請求項4から9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記結合ドメインが、不撓性の螺旋リンカーからなる連結分子によって連結されている、請求項2から11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記螺旋リンカーが、1つの結合ドメインのカルボキシル末端を第2の結合ドメインのアミノ末端と結合している、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記螺旋リンカーが、第1の結合ドメインのC末端螺旋と第2の結合ドメインのN末端螺旋との間で連続しており、それにより2つの結合ドメインを実質的に固定された方向で堅固に連結している、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドの結合ドメインが、互いに同一であるか又は類似している、請求項1から14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記ポリペプチドが、 成長ホルモン;レプチン;エリスロポエチン;プロラクチン;インターロイキン(IL)IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12のサブユニットp35、IL−13、IL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様体神経栄養因子(CNTF);カージオトロフィン(CT−1);白血球阻害因子(LIF);オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン、IFNα及びINFβ;腫瘍壊死因子(TNF)α及びTNFβ、及びRANKリガンドからなる群から選択されるサイトカインの結合ドメインを含む、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記ドメインの少なくとも1つが、成長ホルモン結合ドメイン、又は成長ホルモン変異体を含む、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記ポリペプチドが、少なくとも2つの成長ホルモンの結合ドメイン、又は成長ホルモン変異体ポリペプチドを含む、請求項16又は17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記ポリペプチドが、少なくとも2つのプロラクチンの結合ドメイン、又はプロラクチン変異体を含む、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記プロラクチン変異体ポリペプチドがアミノ酸配列を含み、当該アミノ酸配列が、プロラクチンの129位で修飾されている、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記修飾が、アミノ酸置換である、請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記置換が、グリシンアミノ酸残基をアルギニンアミノ酸残基で置き換えるものである、請求項21に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記ポリペプチドが、プロラクチンの9から14末端アミノ酸残基の欠失を更に含む、請求項19から22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記ポリペプチドの結合ドメインが、互いに類似していない、請求項1から14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記ポリペプチドが、成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項26】
前記ポリペプチドが、成長ホルモン結合ドメイン及びプロラクチン結合ドメインからなる、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリペプチドが、修飾された成長ホルモン結合ドメインである第1の結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインである第2の結合ドメインを含む、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、修飾された成長ホルモン結合ドメイン及び修飾されたプロラクチン結合ドメインからなる、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項29】
前記修飾された成長ホルモン結合ドメインが、グリシン120のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を含む、請求項27又は28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記修飾が、グリシン120のアルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、又はグルタミン酸から選択されるアミノ酸での置換である、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記修飾が、グリシン120のアルギニンアミノ酸残基での置換である、請求項30に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記修飾されたプロラクチンが、グリシン129の修飾を含む、請求項27から31のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記修飾が、グリシン129のアルギニンアミノ酸残基での置換である、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記ポリペプチドが、プロラクチンの9から14アミノ末端アミノ酸残基の欠失を更に含む、請求項28から32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記ポリペプチドが、サイトカインレセプターのリガンド結合ドメインを更に含む、請求項28から32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
前記レセプターが、成長ホルモンレセプターである、請求項35に記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記レセプターが、プロラクチンレセプターである、請求項35に記載のポリペプチド。
【請求項38】
請求項1から37のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項39】
前記核酸が、前記ポリペプチドの発現のために適合されたベクターである、請求項38に記載の核酸。
【請求項40】
請求項38又は39に記載の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた、単離された細胞。
【請求項41】
前記細胞が真核細胞である、請求項40に記載の単離された細胞。
【請求項42】
前記細胞が原核細胞である、請求項40に記載の単離された細胞。
【請求項43】
本発明のポリペプチドを製造する方法であって、前記方法が、
i)請求項40から42のいずれか一項に記載の細胞を、請求項1から37のいずれか一項に記載のポリペプチドの製造を導く条件下で成長させる工程、及び、
ii)細胞、又は成長環境からポリペプチドを単離する工程
を含む方法。
【請求項44】
第2のサイトカイン結合ドメインに連結された第1のサイトカイン結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記ポリペプチドがサイトカインレセプターの細胞外ドメインを更に含む、ポリペプチド。
【請求項45】
前記第1及び第2の結合ドメインが、可撓性のリンカー分子で連結されている、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項46】
前記第1及び第2の結合ドメインが、不撓性の螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項47】
前記第1及び第2の結合ドメインが、不撓性の螺旋領域及び可撓性の非螺旋領域を含むペプチドリンカー分子で連結されている、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項48】
前記サイトカイン結合ドメインが、成長ホルモン、又はその成長ホルモン変異体であり、前記細胞外ドメインが、成長ホルモン細胞外ドメインである、請求項44から47に記載のポリペプチド。
【請求項49】
請求項44から48のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項50】
前記核酸が、前記ポリペプチドの発現のために適合されたベクターである、請求項49に記載の核酸。
【請求項51】
請求項49に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項52】
請求項1から39又は44から51のいずれか一項に記載のポリペプチド又は核酸分子の医薬としての使用。
【請求項53】
請求項1から39又は44から51のいずれか一項に記載のポリペプチド又は核酸分子を含む医薬組成物。
【請求項54】
請求項49又は51に記載の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた、単離された細胞。
【請求項55】
前記細胞が真核細胞である、請求項54に記載の単離された細胞。
【請求項56】
前記細胞が原核細胞である、請求項54に記載の単離された細胞。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16−1】
【図16−2】
【図17−1】
【図17−2】
【図17−3】
【図18−1】
【図18−2】
【図18−3】
【図18−4】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16−1】
【図16−2】
【図17−1】
【図17−2】
【図17−3】
【図18−1】
【図18−2】
【図18−3】
【図18−4】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2008−507292(P2008−507292A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523141(P2007−523141)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002826
【国際公開番号】WO2006/010891
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507029801)アステリオン・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002826
【国際公開番号】WO2006/010891
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507029801)アステリオン・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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