リンゴの果肉からタルトの詰め物を製造する方法及び装置
【課題】リンゴの果肉からタルトの詰め物を製造する方法及び製造機械を提供する。
【解決手段】リンゴを帯状に切り分ける工程と、該帯をバラの蕾状に巻く工程とで構成される。本製造機械は、リンゴの帯1を切断及び巻く装置10と、帯1を誘導及び所定長さの切片に切り分ける誘導切断装置20と、搬入コンベア30と、帯の切片の巻き装置40と、ロールの長さを整える装置と、ロールを一方の端部からバラの蕾状に整える装置と、から成る。
【解決手段】リンゴを帯状に切り分ける工程と、該帯をバラの蕾状に巻く工程とで構成される。本製造機械は、リンゴの帯1を切断及び巻く装置10と、帯1を誘導及び所定長さの切片に切り分ける誘導切断装置20と、搬入コンベア30と、帯の切片の巻き装置40と、ロールの長さを整える装置と、ロールを一方の端部からバラの蕾状に整える装置と、から成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンゴの果肉を帯状に切断し、その後バラの蕾状に巻くことによりタルトの詰め物を機械的に製造する方法と、製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、リンゴの薄片により焼き菓子に詰め物をする方法及び設備であって、上記薄片を、互いに当接しないよう個々に平面台に載置する工程と、上記平面台上の各薄片の配置を視覚認識する工程と、ロボットにより各薄片を取り出す工程と、上記薄片を所定の配置でタルト台に自動的に載置する工程と、からなる方法及び設備が知られている。
【0003】
しかし、上記方法及び設備は、従来通りの手段により予め切り分けた後ベルトコンベアに載せられた果物、特にリンゴ、の薄片にしか利用できず、このような前処理を行うための方法については明記されていない。したがって、発明の目的が、極めて単純な形状の詰め物をタルト台に自動載置することに限定される。
【0004】
また、特許文献2に記載のように、前段階で、オートメーション工程の各手順において厳しい生産管理を行うことで、コールドチェーンを利用したタルト・タタンの製造の機械化と、それに伴う大型スーパーマーケットでの商品化を可能にする方法及び装置が知られている。
【0005】
しかし、現在、伝統菓子の製造のオートメーション化に利用されている方法及び装置は、それぞれの菓子専用のものであり、大量保管及び流通にコールドチェーンを利用することを除いて共通点はほとんどない。
【0006】
したがって、たとえ適合化が行われても、上記のいずれも、バラの蕾状の詰め物を機械的に製造するためには用い得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願第2897240号
【特許文献2】仏国特許出願第2912287号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記不都合の解消を目的とする。特許請求の範囲に記載の本発明によれば、リンゴの果肉を帯状に切断して巻いた後、見た目に美しいバラの蕾形状を調理後得るための形に整えることにより詰め物を機械的に製造する方法を定義し、また、製造する装置を提供するという課題が解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
帯状に切断し、巻き、バラの蕾状に形を整えることによりリンゴの果肉からタルトの詰め物を製造する半自動的製造方法は以下の工程からなる。(a)リンゴを接線方向に漸次切断し、果肉から所定の厚さの複数の帯を得る工程と、(b)該帯を所定の長さの切片に切り分ける工程と、(c)工程(b)で得られた該切片を巻き、所定の直径のロールを形成する工程と、(d)工程(c)で得られた該ロールを分割し、所定の長さのロール切片を得る工程と、(e)該ロール切片の内側の巻きを一方の端部に向かって押し出すことにより、該ロール切片をバラの蕾状に整える工程。
【0010】
好ましくは、工程(a)で得られる前記帯の厚みは約0.8mmであり、工程(b)で得られる前記切片の長さは約520mmであり、工程(c)で得られる前記ロールの直径は約22mmであり、工程(d)で得られる前記ロール切片の長さは約35mmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基本的な効果は、すでにいくつかの製品で実現されているように、コールドチェーンを利用し、大型スーパーマーケットを通じた市販又は外食産業への直接販売を目的として、焼くだけの状態にしたバラの花束状のタルトをこのように半自動的に大量生産できることである。予め冷凍した蕾状塊のみを、タルトやその他の焼き菓子の詰め物として、製菓業者に直接販売することも可能である。
【0012】
その他の特徴や効果は、以下の説明により明らかにされる。以下、添付された図面を参照し、本発明の方法を用いてリンゴの果肉からバラ蕾状塊を工業的に製造する機械に関して説明する。以下に説明される方法は例示に過ぎず、本発明はこれに制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】側方から見た機械の模式図である。
【図2】上方から見た機械の模式図である。
【図3】リンゴの帯を切断及び回転切削する基本装置を側方から見た斜視図である。
【図4】図3に示す基本装置を元にした、リンゴの帯を切断及び回転切削する自動装置を後方から見た斜視図である。
【図5】リンゴの帯の巻き装置を側方から見た斜視図である。
【図6】ロールの分割装置を側方から見た斜視図である。
【図7】ベルトコンベアからリンゴの帯を剥離する固定櫛状部を正面から見た斜視図である。
【図8】ロールの中心部を一方の端部に向かって押し出す押出装置を示す図である。
【図9】タルト台に載置するために捕捉部に収納されたバラ蕾状塊の集合体を側方から見た斜視図である。
【図10】調理後のバラ蕾状塊を示す図である。
【図11】バラ蕾状塊で詰め物をし、調理後、バラの花束状となったタルトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1と2を順に参照すると、上記方法に従って動作する機械は、主に、リンゴの帯1を回転切削する装置10と、帯を誘導及び所定長さに切り分ける誘導切断装置20と、搬入コンベア30と、巻き取り装置40と、分割装置60と、からなることが分かる。
【0015】
以上から分かる通り、回転切削する装置10から送出された帯1は、搬入コンベア30の入り口部分に向かって傾斜したモーター式コンベア21にガイドされ、搬入コンベア30は、検出器23が帯1を検出した後、搬入コンベア30の上流側に設けられた切断装置22がリンゴの帯1を分割することにより得られた、長さ約520mmの切片を搬送し、回転切削する装置10と誘導切断装置20との間で発生し得る帯の断裂は、傾斜コンベア21の上流側に設けられた光電管24が検出する。フォーク部25は、搬入コンベア30に移送される際に、リンゴの帯1の端部を傾斜コンベア21から剥離するためのものである。搬入コンベア30において、リンゴの帯1の存在と長さは、入り口から460mm(距離L)離れた位置に設けられたユニット32が制御する。その後、帯の切片は、ローラー35と組み合わせられた可動櫛状部34と連動された固定櫛状部33により端部が剥離された後、搬入コンベア30によって巻き取り装置40の巻き取り軸41に向かって搬送される。このようにして得られたロールは、巻き取り軸41をエアジャッキ42によって引き抜いた後、連結受け皿50によって分割装置60に移送される。
【0016】
本機械はさらに、帯の回転切削が完了した後のリンゴの芯と、水切り板27によって集められた、回転切削で発生した果汁を回収する回収容器26を備えている。
【0017】
図2から分かるように、巻き取り装置40は、巻き取り軸41がその軸を貫通する、ロール径を定めるための円筒ケース43で構成される。また、帯の対象部分の巻き取りが完了し、巻き取り軸41が引き抜かれた後、ジャッキ442によって駆動されるピストン441で構成される引き抜き装置44が、ロール2を連結受け皿50に移送する。連結受け皿50は、単純旋回により、ロール2を分割装置60に運ぶ。分割装置60において、ロール2は、受け皿の開口部から65mm(距離D)後退した位置に設けられたユニット61に対する長さを制御された後、所定のサイズに切断される。この切断は、ジャッキ(図示せず)により垂直方向に駆動される、図6に示すような超音波切断手段により行われる。
【0018】
好適な実施態様によれば、ロールは同じ長さの2つの部分に切断され、その後、巻き取り装置40からのロール引き抜きに用いられる44と同様の引き抜き装置のピストン62によって分割装置60から引き抜かれ、排出口63から排出され、ロールをバラの蕾状に整える設備に向けて誘導される。そこで、図8に示す押出部70が、ロールの巻きを、図9の3に示すように中心軸から周縁に向かって徐々に下がるよう一様に押し出す。
【0019】
続いて、図5及び7を参照すると、巻き取り装置40を示す図5では、引込位置にある引込式の軸41が、ガイド軸421、422に連動するジャッキ42で駆動されることがわかる。図7では、待機位置で、軸のスリット411が櫛状部33の爪331の上部によって形成される平面上に配置されるような位置において、ジャッキ42の本体部分423が櫛状部33の片側に衝止される。これにより、ローラー35と組み合わせられた可動櫛状部34と連動して、該スリット411にリンゴの帯の端部を引き込むのが容易になる。ローラー35と可動櫛状部34は、図1に示されるとおり、帯の移送を容易にするため上方へ引込可能に構成されている。
【0020】
次に、図3及び4は、リンゴを帯状に切り分けるために用いられる基本装置と、該基本装置の一連の装置を機械化及び半自動化することにより得られた自動切断及び回転切削する装置10と、をそれぞれ示す。回転切削する装置10は、切断と、2つの軸ユニットを用いた二交替制回転切削のために、エアジャッキ17で駆動及び制御される二段階式引き出しを支持する底板を備え、該底板は、2つの軸ユニットのうち一方を搬入コンベア30の上方へ移動させることにより、他方の軸ユニットがリンゴの自動切断及び回転切削を行っている間にも、該一方の軸ユニットにリンゴを装填可能にすることがわかる。軸ユニットの一方側には金属製の十字部材11が設けられ、該十字部材11は、ギヤードモーター141で駆動される、ベルトとノッチ付き滑車による伝動システム14を介して、リンゴを保持及び回転駆動する。軸ユニットの他方側には、平滑な心出し用円錐部材12が設けられる。リンゴはこのように水平に保持され、また、部材11と12との間にリンゴをセットした後で軸ユニットを締め付ける手段により、リンゴは確実に保持される。リンゴの帯を切断する装置は、リンゴの帯の回転切削を行うために往復運動により駆動される切断ブレード15を支持するブレード台13で構成される。ブレード15の上下運動は、ギヤードモーター141によって回転駆動される複数のギア181により実現されるラックアンドピニオン18を介してブレード台13がレール19を滑動することにより行われる。コンベア21及び30は、リンゴの帯が密着するのを防ぐ円形断面を持つ複数のベルトで構成される。
【0021】
このように、操作者が軸ユニットの部材11と12との間にリンゴをセットした後、ライト付き押しボタンを押下することにより、軸ユニットが閉じられたことを確認可能である。伝動システム14の駆動ギヤードモーター141の回転は、軸ユニットの回転、すなわちリンゴの回転と同様に行われ、往復運動により駆動される切断ブレード15は、ジャッキ16の作用によってリンゴに押し付けられる。これにより、徐々に拡幅するリンゴの帯1を回転切削することが可能である。利用不可能な皮部分を除去するために、リンゴを少なくとも一回転させる必要がある。直径約80mmのリンゴの果肉からは、厚さ約0.8mm、長さ約3600mmの薄い帯が得られる。
【0022】
切断ブレードは、その位置センサーにより規定される限界点に達すると、初期位置に戻る。すると、ギヤードモーターは停止し、一方の軸ユニットが開かれ、リンゴの芯が回収容器内に落下する。報知ランプが、操作者に切削サイクルの完了を知らせると、操作者は、他方の軸ユニットにすでにセットされているリンゴの切削サイクルを開始した後、リンゴを該一方の軸ユニットにセットすることができる。上述の通り、時間をロスすることなく、切削サイクルを次々に行うことができる。
【0023】
切削サイクルが行われている間、リンゴの帯は長さ約520mmの切片に切り分けられ、該切片は、搬入コンベア30によって次々と運ばれる。搬入コンベア30は、帯の端部が距離L(460mm)に達すると、切り分けを開始させ、巻き取り装置40に移送する。巻き取り装置40は、該切片を順に直径約22mmのロール2に成形し、ロール2は分割装置60によって二分割され、その後、図8に示すような円錐状の作用端部71を備える押出部70を用いて形を整えることによって、バラの蕾状塊3となる。
【0024】
このようにして得られたバラの蕾状塊3は、菓子に単独で用いて一口サイズのケーキとしたり、中央に1個、周囲に7個配置して小さな花束状としたり、図9に示す配置のように、中央に1個、1段目に6個、周縁段に12個配置して2〜3切れ分のタルトとしたりすることができる。これらはほんの一例に過ぎず、バラの蕾状塊は他の詰め物材料と組み合わせて使うことや、誕生日ケーキのロウソクの代わりに使うことも可能である。本機械1台の1時間当たりの生産能力は約1000個であり、作業員2名による一日7時間、年間220日の稼動とすると、本機械1台で年間約300万個の生産が可能であり、バラの蕾状塊を幅広く利用することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンゴの果肉を帯状に切断し、その後バラの蕾状に巻くことによりタルトの詰め物を機械的に製造する方法と、製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、リンゴの薄片により焼き菓子に詰め物をする方法及び設備であって、上記薄片を、互いに当接しないよう個々に平面台に載置する工程と、上記平面台上の各薄片の配置を視覚認識する工程と、ロボットにより各薄片を取り出す工程と、上記薄片を所定の配置でタルト台に自動的に載置する工程と、からなる方法及び設備が知られている。
【0003】
しかし、上記方法及び設備は、従来通りの手段により予め切り分けた後ベルトコンベアに載せられた果物、特にリンゴ、の薄片にしか利用できず、このような前処理を行うための方法については明記されていない。したがって、発明の目的が、極めて単純な形状の詰め物をタルト台に自動載置することに限定される。
【0004】
また、特許文献2に記載のように、前段階で、オートメーション工程の各手順において厳しい生産管理を行うことで、コールドチェーンを利用したタルト・タタンの製造の機械化と、それに伴う大型スーパーマーケットでの商品化を可能にする方法及び装置が知られている。
【0005】
しかし、現在、伝統菓子の製造のオートメーション化に利用されている方法及び装置は、それぞれの菓子専用のものであり、大量保管及び流通にコールドチェーンを利用することを除いて共通点はほとんどない。
【0006】
したがって、たとえ適合化が行われても、上記のいずれも、バラの蕾状の詰め物を機械的に製造するためには用い得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願第2897240号
【特許文献2】仏国特許出願第2912287号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記不都合の解消を目的とする。特許請求の範囲に記載の本発明によれば、リンゴの果肉を帯状に切断して巻いた後、見た目に美しいバラの蕾形状を調理後得るための形に整えることにより詰め物を機械的に製造する方法を定義し、また、製造する装置を提供するという課題が解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
帯状に切断し、巻き、バラの蕾状に形を整えることによりリンゴの果肉からタルトの詰め物を製造する半自動的製造方法は以下の工程からなる。(a)リンゴを接線方向に漸次切断し、果肉から所定の厚さの複数の帯を得る工程と、(b)該帯を所定の長さの切片に切り分ける工程と、(c)工程(b)で得られた該切片を巻き、所定の直径のロールを形成する工程と、(d)工程(c)で得られた該ロールを分割し、所定の長さのロール切片を得る工程と、(e)該ロール切片の内側の巻きを一方の端部に向かって押し出すことにより、該ロール切片をバラの蕾状に整える工程。
【0010】
好ましくは、工程(a)で得られる前記帯の厚みは約0.8mmであり、工程(b)で得られる前記切片の長さは約520mmであり、工程(c)で得られる前記ロールの直径は約22mmであり、工程(d)で得られる前記ロール切片の長さは約35mmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基本的な効果は、すでにいくつかの製品で実現されているように、コールドチェーンを利用し、大型スーパーマーケットを通じた市販又は外食産業への直接販売を目的として、焼くだけの状態にしたバラの花束状のタルトをこのように半自動的に大量生産できることである。予め冷凍した蕾状塊のみを、タルトやその他の焼き菓子の詰め物として、製菓業者に直接販売することも可能である。
【0012】
その他の特徴や効果は、以下の説明により明らかにされる。以下、添付された図面を参照し、本発明の方法を用いてリンゴの果肉からバラ蕾状塊を工業的に製造する機械に関して説明する。以下に説明される方法は例示に過ぎず、本発明はこれに制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】側方から見た機械の模式図である。
【図2】上方から見た機械の模式図である。
【図3】リンゴの帯を切断及び回転切削する基本装置を側方から見た斜視図である。
【図4】図3に示す基本装置を元にした、リンゴの帯を切断及び回転切削する自動装置を後方から見た斜視図である。
【図5】リンゴの帯の巻き装置を側方から見た斜視図である。
【図6】ロールの分割装置を側方から見た斜視図である。
【図7】ベルトコンベアからリンゴの帯を剥離する固定櫛状部を正面から見た斜視図である。
【図8】ロールの中心部を一方の端部に向かって押し出す押出装置を示す図である。
【図9】タルト台に載置するために捕捉部に収納されたバラ蕾状塊の集合体を側方から見た斜視図である。
【図10】調理後のバラ蕾状塊を示す図である。
【図11】バラ蕾状塊で詰め物をし、調理後、バラの花束状となったタルトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1と2を順に参照すると、上記方法に従って動作する機械は、主に、リンゴの帯1を回転切削する装置10と、帯を誘導及び所定長さに切り分ける誘導切断装置20と、搬入コンベア30と、巻き取り装置40と、分割装置60と、からなることが分かる。
【0015】
以上から分かる通り、回転切削する装置10から送出された帯1は、搬入コンベア30の入り口部分に向かって傾斜したモーター式コンベア21にガイドされ、搬入コンベア30は、検出器23が帯1を検出した後、搬入コンベア30の上流側に設けられた切断装置22がリンゴの帯1を分割することにより得られた、長さ約520mmの切片を搬送し、回転切削する装置10と誘導切断装置20との間で発生し得る帯の断裂は、傾斜コンベア21の上流側に設けられた光電管24が検出する。フォーク部25は、搬入コンベア30に移送される際に、リンゴの帯1の端部を傾斜コンベア21から剥離するためのものである。搬入コンベア30において、リンゴの帯1の存在と長さは、入り口から460mm(距離L)離れた位置に設けられたユニット32が制御する。その後、帯の切片は、ローラー35と組み合わせられた可動櫛状部34と連動された固定櫛状部33により端部が剥離された後、搬入コンベア30によって巻き取り装置40の巻き取り軸41に向かって搬送される。このようにして得られたロールは、巻き取り軸41をエアジャッキ42によって引き抜いた後、連結受け皿50によって分割装置60に移送される。
【0016】
本機械はさらに、帯の回転切削が完了した後のリンゴの芯と、水切り板27によって集められた、回転切削で発生した果汁を回収する回収容器26を備えている。
【0017】
図2から分かるように、巻き取り装置40は、巻き取り軸41がその軸を貫通する、ロール径を定めるための円筒ケース43で構成される。また、帯の対象部分の巻き取りが完了し、巻き取り軸41が引き抜かれた後、ジャッキ442によって駆動されるピストン441で構成される引き抜き装置44が、ロール2を連結受け皿50に移送する。連結受け皿50は、単純旋回により、ロール2を分割装置60に運ぶ。分割装置60において、ロール2は、受け皿の開口部から65mm(距離D)後退した位置に設けられたユニット61に対する長さを制御された後、所定のサイズに切断される。この切断は、ジャッキ(図示せず)により垂直方向に駆動される、図6に示すような超音波切断手段により行われる。
【0018】
好適な実施態様によれば、ロールは同じ長さの2つの部分に切断され、その後、巻き取り装置40からのロール引き抜きに用いられる44と同様の引き抜き装置のピストン62によって分割装置60から引き抜かれ、排出口63から排出され、ロールをバラの蕾状に整える設備に向けて誘導される。そこで、図8に示す押出部70が、ロールの巻きを、図9の3に示すように中心軸から周縁に向かって徐々に下がるよう一様に押し出す。
【0019】
続いて、図5及び7を参照すると、巻き取り装置40を示す図5では、引込位置にある引込式の軸41が、ガイド軸421、422に連動するジャッキ42で駆動されることがわかる。図7では、待機位置で、軸のスリット411が櫛状部33の爪331の上部によって形成される平面上に配置されるような位置において、ジャッキ42の本体部分423が櫛状部33の片側に衝止される。これにより、ローラー35と組み合わせられた可動櫛状部34と連動して、該スリット411にリンゴの帯の端部を引き込むのが容易になる。ローラー35と可動櫛状部34は、図1に示されるとおり、帯の移送を容易にするため上方へ引込可能に構成されている。
【0020】
次に、図3及び4は、リンゴを帯状に切り分けるために用いられる基本装置と、該基本装置の一連の装置を機械化及び半自動化することにより得られた自動切断及び回転切削する装置10と、をそれぞれ示す。回転切削する装置10は、切断と、2つの軸ユニットを用いた二交替制回転切削のために、エアジャッキ17で駆動及び制御される二段階式引き出しを支持する底板を備え、該底板は、2つの軸ユニットのうち一方を搬入コンベア30の上方へ移動させることにより、他方の軸ユニットがリンゴの自動切断及び回転切削を行っている間にも、該一方の軸ユニットにリンゴを装填可能にすることがわかる。軸ユニットの一方側には金属製の十字部材11が設けられ、該十字部材11は、ギヤードモーター141で駆動される、ベルトとノッチ付き滑車による伝動システム14を介して、リンゴを保持及び回転駆動する。軸ユニットの他方側には、平滑な心出し用円錐部材12が設けられる。リンゴはこのように水平に保持され、また、部材11と12との間にリンゴをセットした後で軸ユニットを締め付ける手段により、リンゴは確実に保持される。リンゴの帯を切断する装置は、リンゴの帯の回転切削を行うために往復運動により駆動される切断ブレード15を支持するブレード台13で構成される。ブレード15の上下運動は、ギヤードモーター141によって回転駆動される複数のギア181により実現されるラックアンドピニオン18を介してブレード台13がレール19を滑動することにより行われる。コンベア21及び30は、リンゴの帯が密着するのを防ぐ円形断面を持つ複数のベルトで構成される。
【0021】
このように、操作者が軸ユニットの部材11と12との間にリンゴをセットした後、ライト付き押しボタンを押下することにより、軸ユニットが閉じられたことを確認可能である。伝動システム14の駆動ギヤードモーター141の回転は、軸ユニットの回転、すなわちリンゴの回転と同様に行われ、往復運動により駆動される切断ブレード15は、ジャッキ16の作用によってリンゴに押し付けられる。これにより、徐々に拡幅するリンゴの帯1を回転切削することが可能である。利用不可能な皮部分を除去するために、リンゴを少なくとも一回転させる必要がある。直径約80mmのリンゴの果肉からは、厚さ約0.8mm、長さ約3600mmの薄い帯が得られる。
【0022】
切断ブレードは、その位置センサーにより規定される限界点に達すると、初期位置に戻る。すると、ギヤードモーターは停止し、一方の軸ユニットが開かれ、リンゴの芯が回収容器内に落下する。報知ランプが、操作者に切削サイクルの完了を知らせると、操作者は、他方の軸ユニットにすでにセットされているリンゴの切削サイクルを開始した後、リンゴを該一方の軸ユニットにセットすることができる。上述の通り、時間をロスすることなく、切削サイクルを次々に行うことができる。
【0023】
切削サイクルが行われている間、リンゴの帯は長さ約520mmの切片に切り分けられ、該切片は、搬入コンベア30によって次々と運ばれる。搬入コンベア30は、帯の端部が距離L(460mm)に達すると、切り分けを開始させ、巻き取り装置40に移送する。巻き取り装置40は、該切片を順に直径約22mmのロール2に成形し、ロール2は分割装置60によって二分割され、その後、図8に示すような円錐状の作用端部71を備える押出部70を用いて形を整えることによって、バラの蕾状塊3となる。
【0024】
このようにして得られたバラの蕾状塊3は、菓子に単独で用いて一口サイズのケーキとしたり、中央に1個、周囲に7個配置して小さな花束状としたり、図9に示す配置のように、中央に1個、1段目に6個、周縁段に12個配置して2〜3切れ分のタルトとしたりすることができる。これらはほんの一例に過ぎず、バラの蕾状塊は他の詰め物材料と組み合わせて使うことや、誕生日ケーキのロウソクの代わりに使うことも可能である。本機械1台の1時間当たりの生産能力は約1000個であり、作業員2名による一日7時間、年間220日の稼動とすると、本機械1台で年間約300万個の生産が可能であり、バラの蕾状塊を幅広く利用することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に切断し巻いたリンゴの果肉からタルトの詰め物を製造する方法であって、(a)リンゴを接線方向に漸次切断し、果肉から所定の厚さの複数の帯を得る工程と、(b)該帯を所定の長さの切片に切り分ける工程と、(c)工程(b)で得られた該切片を巻き、所定の直径のロールを形成する工程と、(d)工程(c)で得られた該ロールを分割し、所定の長さのロール切片を得る工程と、(e)該ロール切片をバラの蕾状に整える工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(a)で得られる前記帯の厚みが約0.8mmであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(b)で得られる前記切片の長さが約520mmであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(c)で得られる前記ロールの直径が約22mmであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(d)で得られる前記ロール切片の長さが約35mmであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記帯の内側の巻きを一方の端部から外側に向かって押出すことにより、前記ロール切片をバラの蕾状に整えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の方法により、複数の帯に切断し巻いたリンゴの果肉から菓子の詰め物を製造する機械であって、前記帯(1)を切断及び回転切削する装置(10)と、前記帯(1)を誘導及び所定長さの切片に切り分ける誘導切断装置(20)と、搬入コンベア(30)と、前記切片の巻き装置(40)と、前記ロール(2)の長さを整える装置と、前記ロール(2)を一方の端部からバラの蕾状に整える装置と、を備えることを特徴とする機械。
【請求項8】
請求項7に記載の機械であって、前記切断及び回転切削する装置は、少なくとも、帯状に切断されるリンゴを支持し、かつ、ギヤードモーター(141)によって回転駆動される軸ユニットと、往復駆動される切断ブレード(15)を支持し、かつ、ギヤードモーター(141)によって回転駆動される複数のギアにより実現されるラックアンドピニオンでリンゴの回転軸に漸次接近する褶動可能なブレード台(13)と、によって構成されることを特徴とする機械。
【請求項9】
請求項7に記載の機械であって、前記誘導切断装置(20)は、出口部分に前記帯(1)の切断装置(22)を備えるモーター式傾斜コンベア(21)と、帯の検出器(23)と、前記搬入コンベア(30)に移送する際に帯の端部を剥離するフォーク部(25)と、によって構成されることを特徴とする機械。
【請求項10】
請求項7に記載の機械であって、搬入コンベア(30)には、その入り口から所定の距離L離れた位置に、前記誘導切断装置(20)によって移送された帯の端部を検出し切断を実行させる検出ユニットと、前記巻き装置(40)へ移送する際に前記切片の端部を剥離する櫛状部と、が設けられることを特徴とする機械。
【請求項11】
請求項7に記載の機械であって、前記巻き装置(40)は、前記ロール(2)の径を定めるための円筒ケース(43)内で回転する、軸方向にスリットを有する引込式の巻き取り軸(41)で構成されることを特徴とする機械。
【請求項12】
請求項7に記載の機械であって、ロール(2)の長さを整える前記装置は、該ロール(2)を、巻き装置の前記円筒ケース(43)から、ロール(2)の前記分割装置(60)へ移送する連結受け皿(50)で構成され、前記分割装置(60)において、前記ロール(2)は、前記受け皿の開口部から所定の距離Dだけ後退した位置に設けられた検出ユニット(61)によって長さを制御された後、超音波切断手段により分割されることを特徴とする機械。
【請求項13】
請求項7に記載の機械であって、ロール(2)を一方の端部からバラの蕾状に整える前記装置は、ロールの中心の巻きと周縁の巻きとの間の望ましい垂直方向高さ差に対応する円錐状の作用端部(71)を有する押出部(70)で構成されることを特徴とする機械。
【請求項14】
請求項8に記載の機械であって、リンゴの帯(1)を切断及び回転切削する前記装置は、交互に作動する2台の軸ユニットを有することを特徴とする機械。
【請求項15】
請求項14に記載の機械であって、前記2台の軸ユニットを交互に作動させる手段は、ジャッキで駆動及び制御され、底板により支持される二段階式引き出しにより構成されることを特徴とする機械。
【請求項1】
帯状に切断し巻いたリンゴの果肉からタルトの詰め物を製造する方法であって、(a)リンゴを接線方向に漸次切断し、果肉から所定の厚さの複数の帯を得る工程と、(b)該帯を所定の長さの切片に切り分ける工程と、(c)工程(b)で得られた該切片を巻き、所定の直径のロールを形成する工程と、(d)工程(c)で得られた該ロールを分割し、所定の長さのロール切片を得る工程と、(e)該ロール切片をバラの蕾状に整える工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(a)で得られる前記帯の厚みが約0.8mmであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(b)で得られる前記切片の長さが約520mmであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(c)で得られる前記ロールの直径が約22mmであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記工程(d)で得られる前記ロール切片の長さが約35mmであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記帯の内側の巻きを一方の端部から外側に向かって押出すことにより、前記ロール切片をバラの蕾状に整えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の方法により、複数の帯に切断し巻いたリンゴの果肉から菓子の詰め物を製造する機械であって、前記帯(1)を切断及び回転切削する装置(10)と、前記帯(1)を誘導及び所定長さの切片に切り分ける誘導切断装置(20)と、搬入コンベア(30)と、前記切片の巻き装置(40)と、前記ロール(2)の長さを整える装置と、前記ロール(2)を一方の端部からバラの蕾状に整える装置と、を備えることを特徴とする機械。
【請求項8】
請求項7に記載の機械であって、前記切断及び回転切削する装置は、少なくとも、帯状に切断されるリンゴを支持し、かつ、ギヤードモーター(141)によって回転駆動される軸ユニットと、往復駆動される切断ブレード(15)を支持し、かつ、ギヤードモーター(141)によって回転駆動される複数のギアにより実現されるラックアンドピニオンでリンゴの回転軸に漸次接近する褶動可能なブレード台(13)と、によって構成されることを特徴とする機械。
【請求項9】
請求項7に記載の機械であって、前記誘導切断装置(20)は、出口部分に前記帯(1)の切断装置(22)を備えるモーター式傾斜コンベア(21)と、帯の検出器(23)と、前記搬入コンベア(30)に移送する際に帯の端部を剥離するフォーク部(25)と、によって構成されることを特徴とする機械。
【請求項10】
請求項7に記載の機械であって、搬入コンベア(30)には、その入り口から所定の距離L離れた位置に、前記誘導切断装置(20)によって移送された帯の端部を検出し切断を実行させる検出ユニットと、前記巻き装置(40)へ移送する際に前記切片の端部を剥離する櫛状部と、が設けられることを特徴とする機械。
【請求項11】
請求項7に記載の機械であって、前記巻き装置(40)は、前記ロール(2)の径を定めるための円筒ケース(43)内で回転する、軸方向にスリットを有する引込式の巻き取り軸(41)で構成されることを特徴とする機械。
【請求項12】
請求項7に記載の機械であって、ロール(2)の長さを整える前記装置は、該ロール(2)を、巻き装置の前記円筒ケース(43)から、ロール(2)の前記分割装置(60)へ移送する連結受け皿(50)で構成され、前記分割装置(60)において、前記ロール(2)は、前記受け皿の開口部から所定の距離Dだけ後退した位置に設けられた検出ユニット(61)によって長さを制御された後、超音波切断手段により分割されることを特徴とする機械。
【請求項13】
請求項7に記載の機械であって、ロール(2)を一方の端部からバラの蕾状に整える前記装置は、ロールの中心の巻きと周縁の巻きとの間の望ましい垂直方向高さ差に対応する円錐状の作用端部(71)を有する押出部(70)で構成されることを特徴とする機械。
【請求項14】
請求項8に記載の機械であって、リンゴの帯(1)を切断及び回転切削する前記装置は、交互に作動する2台の軸ユニットを有することを特徴とする機械。
【請求項15】
請求項14に記載の機械であって、前記2台の軸ユニットを交互に作動させる手段は、ジャッキで駆動及び制御され、底板により支持される二段階式引き出しにより構成されることを特徴とする機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【公開番号】特開2011−135871(P2011−135871A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293448(P2010−293448)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(511003121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(511003121)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]