説明

リードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法

【課題】リードピンを効率的に矯正できるリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を提供すること。
【解決手段】リードピン矯正装置は、テーパー状の上面と、前記上面から連続する円筒状の側面とを有する第1部材と、前記第1部材の外径に対応した内径を有する円筒状の第2部材であって、リードピンを有する電子部品を内部に収納した状態で、前記第1部材に被せられる第2部材と、前記リードピンを有する電子部品を前記第2部材の内部に収納して前記リードピンを前記第1部材の上面に当接させた状態で、前記第2部材の頂部側から前記電子部品を前記第1部材に押圧する押圧部材とを含み、前記押圧部材で前記電子部品を前記第1部材に押圧した後に、前記第2部材を前記第1部材に押圧することで、前記電子部品のリードピンの形状を矯正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ装置におけるレーザダイオードのマルチビーム化に伴い、半導体レーザ装置は、リードピンを複数本有するようになっている。また、プリント基板への実装の高密度化が進んでいる。このため、プリント基板の狭い領域内に、リードピンを挿入するための複数のリード孔を設ける必要が生じている。
【0003】
リードピンは、プリント基板に設けられたリード孔に挿入して半田付けによって固着される。リード孔は、平面視で略同一円周上に配置される。
【0004】
しかしながら、隣接するリード孔同士のピッチ(距離)が狭く、複数のリード孔が形成する円の直径が小さいため、リードピンをプリント基板に半田付けした際に、半田ブリッジなどの不良の発生や、作業効率の低下による組立時間の増大が生じる場合がある。
【0005】
このような問題に対応するために、リードピンの形状を矯正してリードピン同士の間隔を広げる技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
リードピン同士の間隔を広げると、リードピンに対応してリード孔同士の間隔も広げられるため、半田ブリッジの発生や、作業効率の低下が抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、半導体レーザ装置を保持するレーザホルダー、及び、位置決め部材が合成樹脂である場合、半導体レーザ装置を鏡筒部に圧入する際に、リードピンの先端部で直線孔の壁部が削られる。このため、破片や粉塵等が発生し、破片や粉塵等により、半導体レーザの位置決め精度が低下し、光学特性の劣化や、他の光学部品の汚染等の問題が発生する場合がある。
【0008】
また、直線孔の壁部にリードピンが引っ掛かることにより、リードピンの折れ曲がりが発生し、手直しや廃棄等のための余計な作業や時間が発生し、コストアップに繋がる場合があった。
【0009】
また、特許文献2では、楔状開き部材でリードピンを広げる工程を行った後に、リードピンを曲げ開始位置に位置決めする工程を行い、さらに曲げ開始位置からリードピンの側方の曲げ終了位置に向けて、曲げ工具を移動させる工程を行っている。すなわち、特許文献2では、3つの工程によってリードピンを矯正しており、リードピンの矯正を1本ずつ行っている。
【0010】
このため、特許文献2では、製造コストが増大するという課題がある。
【0011】
また、特許文献2によるリードピンの矯正方法では、リードピンの形状を矯正する際に、リードピンの根元に過大な応力がかかるため、リードピンの破損が生じる場合があるという問題があった。
【0012】
以上のように、従来のリードピンの矯正方法では、リードピンの矯正を効率的に行えていないという課題があった。
【0013】
そこで、本発明は、リードピンを効率的に矯正できるリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施の形態の一観点のリードピン矯正装置は、テーパー状の上面と、前記上面から連続する円筒状の側面とを有する第1部材と、前記第1部材の外径に対応した内径を有する円筒状の第2部材であって、リードピンを有する電子部品を内部に収納した状態で、前記第1部材に被せられる第2部材と、前記リードピンを有する電子部品を前記第2部材の内部に収納して前記リードピンを前記第1部材の上面に当接させた状態で、前記第2部材の頂部側から前記電子部品を前記第1部材に押圧する押圧部材とを含み、前記押圧部材で前記電子部品を前記第1部材に押圧した後に、前記第2部材を前記第1部材に押圧することで、前記電子部品のリードピンの形状を矯正する。
【発明の効果】
【0015】
リードピンを効率的に矯正できるリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態のリードピン矯正装置を示す斜視分解図である。
【図2】実施の形態のリードピン矯正装置の断面構造を示す図である。
【図3】実施の形態のリードピン矯正装置の押圧部材によって半導体レーザ装置を保持される様子を示す図である。
【図4】実施の形態のリードピン矯正装置100による半導体レーザ装置50のリードピン53の形状を矯正する方法を段階的に示す図である。
【図5】リードピン53の形状の矯正が終了した後の半導体レーザ装置50を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を適用した実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、実施の形態のリードピン矯正装置を示す斜視分解図である。図2は、実施の形態のリードピン矯正装置の断面構造を示す図である。
【0019】
実施の形態のリードピン矯正装置100は、下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30を含む。なお、図2(A)〜(C)に示す断面は、それぞれ、下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30の中心軸を通る断面である。
【0020】
下側矯正部10は、第1部材の一例であり、ヘッド部11、中継部12、及び基部13を有する。ヘッド部11は、テーパー状の上面11Aと、上面11Aから連続する円筒状の側面11Bとを有する。ヘッド部11は、中心軸に対して軸対称な形状を有する。なお、上面11Aの形状は、円錐状と称すこともできる。
【0021】
ヘッド部11の上面11A及び側面11Bには、4本の溝部11Cが形成されている。4本の溝部11Cは、第1案内溝の一例であり、ヘッド部11の頂部11Dから平面視で90°間隔で放射状に拡がるように、配設されている。
【0022】
下側矯正部10は、半導体レーザ装置のリードピンを矯正する際に用いられ、ヘッド部11は、リードピンに当接して矯正を行う部分である。このため、ヘッド部11の上面11A、側面11B、及び溝部11Cの形状は、矯正後のリードピンの形状に対応している。
【0023】
実施の形態のリードピン矯正装置100が4本の溝部11Cを有するのは、4本のリードピンを有する半導体レーザ装置に合わせたものである。
【0024】
4本の溝部11Cによって形状が矯正された後のリードピンの先端は、同一円周状に位置する。この円の直径は、円周帯状の側面11Bの直径に一致する。ここでは、この円の直径のことをランドサークル径と称す。ランドサークル径は、矯正後のリードピン53の先端が位置する円の直径である。
【0025】
中継部12は、ヘッド部11と基部13との間を中継する部分であり、基部13に対してヘッド部11を保持している。中継部12は、円柱状の形状をしている。
【0026】
基部13は、円盤状の部材であり、中継部12を介して、ヘッド部11を保持している。基部13は、下側矯正部10の基台となる部分である。
【0027】
このような下側矯正部10は、例えば、ステンレス(SUS)でヘッド部11、中継部12、及び基部13を一体的に形成した後に、表面にシリコン系の樹脂をコーティングすることによって形成される。
【0028】
上側矯正部20は、第2部材の一例であり、内部がくり抜かれた円筒状の部材である。上側矯正部20は、円筒本体21とOリング22を有する。
【0029】
円筒本体21は、頂部に開口部21Aを有し、底部に開口部21Bを有する。開口部21Bの開口径は、内壁部21Cの内径と等しい。開口部21Aの開口径は、開口部21B及び内壁部21Cの内径よりも小さい。
【0030】
すなわち、円筒本体21は、カップ状の部材の底面に貫通孔を形成し、天地を逆にしたような形状を有する。カップ状の部材の底面に形成した貫通孔が開口部21Aに相当する。
【0031】
円筒本体21の内壁部21Cの内径は、下側矯正部10のヘッド部11の外径に対応している。これは、開口部21B側から内壁部21Cに沿って、ヘッド部11が挿入されることにより、半導体レーザ装置のリードピンの形状を矯正するためである。
【0032】
このため、円筒本体21の内壁部21Cの内径は、ヘッド部11の外径よりも若干大きく設定されている。例えば、ヘッド部11の外径が10mmである場合は、円筒本体21の内壁部21Cの内径は、10.5mmに設定される。
【0033】
円筒本体21の内壁部21Cには、4本の溝部21Dが形成されている。溝部21Dは、第2案内溝の一例であり、円筒本体21の中心軸と平行に形成されており、開口部21Bに接し、開口部21Bから所定の長さを有する。
【0034】
4本の溝部21Dは、平面視では、90°間隔で形成されている。これは、下側矯正部10のヘッド部11に形成される4本の溝部11Cに対応させたものである。
【0035】
上側矯正部20は、下側矯正部10に対して位置決めされている。このため、円筒本体21の内壁部21Cに沿って、ヘッド部11が円筒本体21の内部空間に挿入されると、ヘッド部11の溝部11Cのうち側面11Bに位置する部分と、溝部21Dとが対向する。半導体レーザ装置の4本のリードピンは、溝部11Cのうち側面11Bに位置する部分と、溝部21Dとの間に位置することになる。
【0036】
また、円筒本体21の開口部21Aには、2本の溝部21Eが形成されている。2本の溝部21Eは、例えば、平面視で180°間隔で形成されている。溝部21Eは、開口部21Aの上端から下端まで形成されている。溝部21Eは、押圧部材30の位置決めを行うために形成されている。
【0037】
このような上側矯正部20の円筒本体21は、例えば、ステンレス(SUS)でカップ状の部材を形成した後に、カップ状の部材の底部に貫通孔を形成し、さらに表面にシリコン系の樹脂をコーティングすることによって形成される。
【0038】
また、円筒本体21の下端には、Oリング22が取り付けられている。Oリング22は、弾性部材の一例であり、円筒本体21と等しい外径を有する。Oリング22の内径は、内壁部21Cの内径よりも溝部21Dの深さだけ大きくした値に設定されている。すなわち、平面視において、Oリング22は、4本の溝部21Dと重複しない。
【0039】
Oリング22は、例えば、ウレタンゴムで構成される。Oリング22は、円筒本体21の下端に接着される。
【0040】
押圧部材30は、保持部31とステー部32とを有する。保持部31は、底面側からくり抜かれて凹部31Aが形成されている。保持部31の凹部31Aの開口径及び深さは、半導体レーザ装置のレーザ部の大きさに対応している。
【0041】
ステー部32は、保持部31の上側に接続されており、上側矯正部20の開口部21Aに挿入される。このため、ステー部32は、上側矯正部20の開口部21Aに対応した外径を有する。
【0042】
また、ステー部32は、2本の凸部32Aを有する。凸部32Aは、ステー部32の下端から上端まで形成されており、平面視で180°間隔で形成されている。
【0043】
凸部32Aは、ステー部32が上側矯正部20の開口部21Aに挿入される際に、溝部21Eに当接することにより、押圧部材30を上側矯正部20に対して位置決めするために形成されている。
【0044】
このような押圧部材30は、例えば、ステンレス(SUS)で保持部31とステー部32を一体的に形成した後に、表面にシリコン系の樹脂をコーティングすることによって形成される。
【0045】
図3は、実施の形態のリードピン矯正装置の押圧部材によって半導体レーザ装置を保持される様子を示す図である。
【0046】
図3(A)に示すように、押圧部材30の下側に半導体レーザ装置50を位置させる。半導体レーザ装置50は、レーザ部51、ステム部52、及び4本のリードピン53を有する。
【0047】
レーザ部51は、2つの半導体レーザチップを内蔵し、出射孔51Aからレーザ光を出射する。半導体レーザチップは、ステム部52に実装されている。半導体レーザチップをカバーで封止した部分がレーザ部51である。
【0048】
ステム部52は、ヒートシンク等を有し、レーザ部51が実装される。ステム部52は、例えば、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
【0049】
リードピン53は、例えば、銅製であり、ステム部52を介して、2つの半導体レーザチップに接続されている。4本のリードピン53のうち、1本は電源用のリードピンであり、もう1本はグランド用のリードピンである。残り2本は、2つのレーザチップを駆動するための電圧入力用のリードピンである。
【0050】
押圧部材30は、例えば、半導体レーザ装置50のレーザ部51を凹部31A内で吸引することにより、半導体レーザ装置50を保持する。このため、押圧部材30は、半導体レーザ装置を吸引した状態で保持するための吸引管(図示せず)が凹部31Aの上部からステー部32の上部まで形成されている。
【0051】
なお、ここでは、半導体レーザ装置50を吸引することによって押圧部材30が半導体レーザ装置50を保持する形態について説明するが、半導体レーザ装置50を保持できるのであれば、そのための構成はここで説明するものに限定されず、周知の種々の手段を用いることができる。
【0052】
半導体レーザ装置50は、図3(B)に示すように押圧部材30によって保持される。
【0053】
実施の形態のリードピン矯正装置100では、例えば、下側矯正部10は、図示しない基台の上に設置されている。上側矯正部20は、下側から押圧部材30が貫通孔21Aに挿通された状態で、例えば、駆動装置によって昇降可能にされている。また、押圧部材30は、上側矯正部20とは独立的に、駆動装置によって昇降可能にされている。
【0054】
上側矯正部20は、下側矯正部10に対して位置決めされており、下側矯正部10に対して上側矯正部20が下方へ移動されると、ヘッド部11の溝部11Cのうち側面11Bに位置する部分と、溝部21Dとが対向する。このとき、円筒本体21の内壁部21Cは、ヘッド部11の側面11Bに対向した状態で下方へ移動される。
【0055】
次に、半導体レーザ装置50のリードピン53の形状を矯正する方法について説明する。
【0056】
図4は、実施の形態のリードピン矯正装置100による半導体レーザ装置50のリードピン53の形状を矯正する方法を段階的に示す図である。
【0057】
図4(A)〜(C)には、側面視で、4本のリードピン53のうち、手前側のリードピンと奥側のリードピンとが重なった状態を示す。このため、図4(A)〜(C)には、手前側と左右にある3本のリードピン53を示す。
【0058】
まず、押圧部材30に半導体レーザ装置50を保持させておく。
【0059】
次に、図4(A)に示すように、リードピン53が下側矯正部10のヘッド部11の上面11Aに当接する位置まで押圧部材30を下降させる。このとき、リードピン53の先端は、ヘッド部11の溝部11Cに当接している。また、このとき、上側矯正部20は、下側矯正部10の上に被せられている。
【0060】
そして、図4(B)に示すように押圧部材30をさらに下降させると、リードピン53は溝部11Cに押圧され、リードピン53の先端側がヘッド部11の上面11Aに沿って外側に放射状に開いて行く。
【0061】
このとき、リードピン53は、ヘッド部11の上面11Aの円錐形状(又はテーパー形状)に沿って折れ曲がり、折れ曲がった部分は、リードピン53の先端から徐々に根元側に移動することになる。
【0062】
そして、図4(B)のように、リードピン53の折れ曲がり部53Aが所望の位置まで到達したら、押圧部材30をその位置で固定し、図4(C)に示すように上側矯正部20を下側矯正部10の基部13の上面まで下降させる。
【0063】
これにより、リードピン53は、ヘッド部11の上面11Aと側面11Bとの境界で折れ曲がり、折れ曲がり部53Bが形成される。このとき、リードピン53の折れ曲がり部53Bよりも先端側は、ヘッド部11の溝部11Cのうち側面11Bにある部分と、上側矯正部20の溝部21Dとによって挟まれた状態で下方へ案内される。
【0064】
以上により、実施の形態のリードピン矯正装置100によるリードピン53の形状の矯正が終了する。
【0065】
なお、押圧部材30を上側矯正部20に対して押し込む位置、上側矯正部20の中心軸方向の長さ、溝部21Dの長さ等は、半導体レーザ装置50の各部の寸法等に応じて設定すればよい。
【0066】
また、押圧部材30を上側矯正部20に対して押し込む位置は、例えば、センサー等で検出すればよい。
【0067】
矯正が終了した後の半導体レーザ装置50は、図5に示す通りである。
【0068】
図5は、リードピン53の形状の矯正が終了した後の半導体レーザ装置50を示す図である。
【0069】
図5(A)に示すように、半導体レーザ装置50のリードピン53は、折れ曲がり部53A、53Bで折り曲げられている。
【0070】
これにより、形状が矯正された後の4本のリードピン53の先端は、矯正前よりも直径の大きい円周上に位置することになる。
【0071】
図5(B)は、プリント基板60に形成するリード孔61の配置を示す。リード孔61は、リードピン53を差し込むための貫通孔である。
【0072】
図5(B)に示すように、4つのリード孔61は、破線で示す円62上に位置している。破線で示す円62の直径は、ランドサークル径である。一点鎖線で示す円63は、矯正前のリードピン53の先端は、円63上にするため、実施の形態のリードピン矯正装置100により、リードピン53同士の間隔は、広げられたことが分かる。
【0073】
以上、実施の形態のリードピン矯正装置100によれば、半導体レーザ装置50のリードピン53を効率的に矯正することができる。
【0074】
従来の矯正方法では、破片や粉塵等の発生、位置決め精度が低下、光学特性の劣化、他の光学部品の汚染等、手直しや廃棄等のための余計な作業の発生、又は、リードピンの破損等の種々の問題が生じていた。
【0075】
これに対して、実施の形態のリードピン矯正装置100では、これらの問題が生じることはなく、半導体レーザ装置50のリードピン53を効率的に矯正することができる。
【0076】
また、構造の簡易な下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30を用いるだけで効率的にリードピン53を矯正できるので、リードピン矯正装置100の製造コストを低廉に押さえることができる。
【0077】
また、下側矯正部10と上側矯正部20の形状によってリードピン53の矯正後の形状が決まるので、形状の矯正を高精度に行うことができ、特に、リードピン53が複数ある場合には、均等化を図ることができる。この結果、高画質の書き込み画像が得られ、生産性が高い画像形成装置を提供できる。
【0078】
また、溝部11C、21Dでリードピン53を案内するので、矯正時に生じる振動・応力などで曲げ位置にズレが生じないように抑制することができる。
【0079】
また、ヘッド部11の外径と、円筒本体21の内径とによって矯正後のリードピン53の形状及び寸法を管理できるので、矯正後の手直し等の作業が不要であり、生産性が高い画像形成装置を提供することができる。特に、ヘッド部11の外径と、円筒本体21の内径とをランドサークル径に設定することにより、容易かつ高精度にリードピン53の形状を矯正することができる。
【0080】
また、上側矯正部20の下端にOリング22を有するので、上側矯正部20を下降させる際にリードピン53の破損(リードピン53が折れて分断されること)を抑制できる。
【0081】
また、下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30の表面に樹脂コーティングを行っているので、静電気による劣化や破壊などを防止できる。下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30は、樹脂コーティングによって絶縁性のある部材となっている。
【0082】
また、下側矯正部10と上側矯正部20により、複数のリードピン53を一度の処理で同時に折り曲げることができるため、短時間に所望する形状に矯正することができる。
【0083】
以上では、下側矯正部10、上側矯正部20として説明したが、下側矯正部10が上側に位置して、上側矯正部20が下側に位置してもよい。
【0084】
また、以上では、下側矯正部10を固定し、上側矯正部20を下降させることによってリードピン53の形状を矯正する形態について説明したが、上側矯正部20を固定して、下側矯正部10を上昇させてもよい。また、下側矯正部10及び上側矯正部20の双方を移動させてもよい。
【0085】
また、以上では、下側矯正部10及び上側矯正部20が、それぞれ、4本の溝部11C、21Dを有する形態について説明したが、溝部11C、21Dの数は少なくとも1本あればよく、何本であってもよい。
【0086】
また、リードピン53の形状を矯正できるのであれば、必ずしも溝部11C、及び/又は、溝部21Dは形成されていなくてもよい。
【0087】
また、下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30の表面に、樹脂コーティングを施す形態について説明したが、樹脂コーティングは必ずしも行わなくてもよい。また、下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30を絶縁性材料で形成してもよい。
【0088】
また、以上では、下側矯正部10のヘッド部11の上面が線形的なテーパー状である形態について説明したが、テーパー形状は、指数関数的に形状が変わるものや、放物線的に形状が変わるものであってもよい。下側矯正部10のヘッド部11の形状は、所望の矯正後のリードピン53の形状に合わせて設定すればよい。
【0089】
また、以上では、溝部21Eと凸部32Aによって上側矯正部20と押圧部材30の位置決めを行う形態について説明したが、上側矯正部20と押圧部材30の位置決めを行う手段はこれに限られるものではなく、他の種々の周知の手段を用いることができる。
【0090】
また、以上では、上側矯正部20及び押圧部材30を駆動装置が駆動する形態について説明したが、下側矯正部10、上側矯正部20、及び押圧部材30は、人間が駆動してもよい。
【0091】
また、以上では、半導体レーザ装置50のリードピン53の形状を矯正する形態について説明したが、リードピン53を有する電子装置であれば、半導体レーザ装置50以外の電子装置についても、実施の形態のリードピン矯正装置100を適用することができる。例えば、トランジスタ、又は三端子レギュレータ等の電子装置であってもよい。
【0092】
以上、本発明の例示的な実施の形態のリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
100 リードピン矯正装置
10 下側矯正部
11 ヘッド部
12 中継部
13 基部
11A 上面
11B 側面
11C 溝部
20 上側矯正部
21 円筒本体
22 Oリング
21A 開口部
21B 開口部
21C 内壁部
21D 溝部
21E 溝部
30 押圧部材
31 保持部
31A 凹部
32 ステー部
32A 凸部
50 半導体レーザ装置
51 レーザ部
52 ステム部
53 リードピン
53A、53B 折れ曲がり部
60 プリント基板
61 リード孔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開平9−181396号公報
【特許文献2】特開2003−154428号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパー状の上面と、前記上面から連続する円筒状の側面とを有する第1部材と、
前記第1部材の外径に対応した内径を有する円筒状の第2部材であって、リードピンを有する電子部品を内部に収納した状態で、前記第1部材に被せられる第2部材と、
前記リードピンを有する電子部品を前記第2部材の内部に収納して前記リードピンを前記第1部材の上面に当接させた状態で、前記第2部材の頂部側から前記電子部品を前記第1部材に押圧する押圧部材と
を含み、前記押圧部材で前記電子部品を前記第1部材に押圧した後に、前記第2部材を前記第1部材に押圧することで、前記電子部品のリードピンの形状を矯正する、リードピン矯正装置。
【請求項2】
前記第1部材の上面及び側面には、前記リードピンの位置に対応し、前記リードピンと同一数の第1案内溝が形成される、請求項1記載のリードピン矯正装置。
【請求項3】
前記第2部材の内壁部には、前記リードピンの位置に対応し、前記リードピンと同一数の第2案内溝が形成される、請求項1又は2記載のリードピン矯正装置。
【請求項4】
前記第1部材及び前記第2部材は、絶縁性のある部材である、請求項1乃至3のいずれか一項記載のリードピン矯正装置。
【請求項5】
前記第2部材は、前記第1部材に対して押圧される押圧方向の端部側に、弾性部材を有する、請求項1乃至4のいずれか一項記載のリードピン矯正装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、絶縁性のある部材である、請求項5記載のリードピン矯正装置。
【請求項7】
前記第1部材の上面及び側面は、前記第1部材の中心軸に対して、軸対称である、請求項1乃至6のいずれか一項記載のリードピン矯正装置。
【請求項8】
テーパー状の上面と前記上面から連続する円筒状の側面とを有する第1部材の外径に対応した内径を有する円筒状の第2部材の内部に、リードピンを有する電子部品を収納する工程と、
前記リードピンを前記第1部材の上面に当接させた状態で、前記第2部材を前記第1部材に被せる工程と、
前記第2部材の頂部側から前記電子部品を前記第1部材に押圧する工程と、
前記電子部品を前記第1部材に押圧した後に、前記第2部材を前記第1部材に押圧する工程と
を含む、リードピンの矯正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−39598(P2013−39598A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178345(P2011−178345)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】