レジストパターン形成方法
【課題】本発明は、現像欠陥を解消した電子デバイスを得るためのレジストパターン形成方法であって、簡便で低コスト、かつ高速スキャン可能な高撥水性を付与することが可能なプロセスを提供することを目的とする。
【解決手段】レジスト膜に液浸露光を施す工程と、液浸露光を施したレジスト膜を、アルカリ現像液に可溶化する工程と、アルカリ現像液に可溶化したレジスト膜をアルカリ浸漬により現像する工程と、現像したレジスト膜に対して純水リンス処理を行なう工程とをこの順で含み、アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なう(以下、オゾン処理ということがある)ことを特徴とするレジストパターン形成方法に関する。
【解決手段】レジスト膜に液浸露光を施す工程と、液浸露光を施したレジスト膜を、アルカリ現像液に可溶化する工程と、アルカリ現像液に可溶化したレジスト膜をアルカリ浸漬により現像する工程と、現像したレジスト膜に対して純水リンス処理を行なう工程とをこの順で含み、アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なう(以下、オゾン処理ということがある)ことを特徴とするレジストパターン形成方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液浸型露光では、レンズとウェハの微小隙間に水の表面張力を利用して水膜(メニスカス)を形成することにより、レンズと被照射面(ウェハ)の間を高屈折率化する方式で、通常のドライ露光よりも実効のレンズ開口数(NA)を水の屈折率1.44近傍まで上げることができ、リソグラフィの解像限界を微細化できる技術として工業的実用化が進んでいる。
【0003】
この液浸リソグラフィでは、レンズと被照射面(ウェハ)の最上層膜であるレジストとの間に液浸水が介在するため、通常のドライ露光用の化学増幅レジストを使用した場合、その中の光酸発生剤、塩基などの低分子内容物が液浸水に溶出し、ひいてはレンズなど露光機の汚染を引き起こす懸念がある。また、上記水膜(メニスカス)をウェハ上で移動する場合にレジストの撥水性が低いとメニスカス移動後にレジスト上にミクロな液滴が残り、局所的な長時間水分接触の影響などでパターン欠陥を誘発する。この為、レジスト上に現像液に溶解し、液浸水とレジストを直接接触させない為のレジスト上層保護膜(トップコート)を用いる技術が導入されている。また、レジスト液中に臨界表面エネルギーの小さい高分子(主としてフッ素含有ポリマー)を撥水剤として微量混入させ、塗膜形成時に撥水剤の表面偏析効果を利用して表面のみに撥水剤を集中させることで単一塗布膜として上記レジストとトップコート2層を自発形成するトップコートレスレジストが開発され市販が始まっている。
【0004】
液浸リソグラフィでは、図1に示すように感光性レジスト層上に液浸水を膜状のメニスカスとして形成し、そのメニスカスを通して光照射しながらウェハをスキャンさせて(図1中の矢印Aの方向)スキャニング露光を実施する。この際に、化学増幅レジスト内の光酸発生剤、塩基などの低分子化合物などの液浸水への溶出防止と高速且つスムーズで液滴を残さないメニスカス移動を可能とするため、レジスト層表面を溶出しにくい状態且つ撥水性にする技術が取り入れられている。
【0005】
この技術のひとつは、レジスト層を2回の塗布処理で形成する2層膜で構成し、通常のレジストの上にレジスト上層保護膜(トップコート)を塗布するトップコートプロセスである。このトップコートはアルカリ現像液に可溶で現像時に自動剥離され、且つ撥水性の高い膜とするために、アルカリ可溶部を含むフッ素含有ポリマーで構成される場合が多い。このトップコートプロセスでのプロセスフローを図2(a)に示す。しかしながら、このトップコートプロセスは、2回の塗布処理を伴うことからプロセス的に冗長であること、感光性レジストとトップコートの2つの薬液を使用することから材料コストが高くなること等の問題点があり、また、トップコートが現像可溶基を含むことと高撥水性を有することとがトレードオフの関係にある為に、より高速なスキャンによる高スループットな露光に対しては、撥水性が充分といえないことが多い。
【0006】
一方で、もうひとつの技術として、感光性レジスト液中に臨界表面エネルギーの小さい高分子(フッ素含有ポリマー)を撥水剤として微量混入させ、塗膜形成時に撥水剤の表面偏析効果を利用して表面のみに撥水剤を集中(偏析)させることで、1回の塗布処理で単一塗布膜として上記感光性レジストとトップコートの効果を有する偏析層とを自発形成するトップコートレスレジストが開発され市販されつつある。この材料でトップコートプロセスの冗長性、またそれによる装置コストの上昇(塗布カップ1回、ベークプレート1回)、材料コストの上昇は抑制できる。
【0007】
このトップコートレスレジスト材料を用いたプロセスフローを図2(b)に示す。トップコートレスレジスト材料に微量添加する撥水剤は、トップコート材料と同様に現像液可溶性を持つものを用いる場合、全くアリカリ溶解性のない撥水剤を極微量使用することも考えられる。また、撥水剤自体が化学増幅レジスト同様に露光により発生した酸の触媒作用で脱保護して露光部分のみ後の露光後熱処理(PEB:Post Exposure Bake)時にアルカリ現像液に可溶に変化するものを用いる場合もある。以上、撥水剤として主に3種の構成がありえる。
【0008】
トップコートレスレジスト材料に添加する撥水剤がアルカリ可溶な撥水剤の場合は、アルカリ現像時に撥水剤が溶解することにより、レジスト表面に付着した異物が同時に除去されるためレジストパターン欠陥は発生し難い。また撥水剤が除去された後はレジストそのものの撥水性しか有しないため、結果としてアルカリ現像前より親水化されるので、アルカリ浸漬後の純水リンス時に撥水性が高すぎて清浄に洗浄できず、図11(c)に示すような粒状の残渣10d欠陥(Blob)を残す可能性も低い。しかし、アルカリ現像性を付与させるため撥水剤の偏析特性が低い傾向があり、トップコートの問題点と同様に充分な撥水性が得られない場合が多い。
【0009】
撥水剤として全くアリカリ溶解性のない撥水剤を用いた場合は、現像時に撥水剤が不溶物として残り、図11(a)に示すような残渣10b欠陥を引き起こしたり、軽微な場合でも図11(b)に示すようなマイクロブリッジ10cを誘発したり、アルカリ浸漬後の純水リンス時に撥水性が高すぎて、粒状の残渣欠陥(Blob)を残す(図11(c))などのリスクがある。
【0010】
また、撥水剤自体が酸により脱保護して、露光部分のみ後の露光後熱処理(PEB)時にアルカリ現像液に可溶に変化するものを用いる場合でも、未露光部分では上記の全くアリカリ溶解性のない撥水剤を用いた場合の問題と同様に欠陥を発生することが考えられる。即ち、ポジレジストを用いたホール工程や、Cu配線の溝形成工程などのダークフィールドマスクを用いた工程では背景が未露光部となるので、これらの欠陥リスクが高いと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−180253号公報
【特許文献2】特開平4−217258号公報
【特許文献3】特開2000−89475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の液浸リソグラフィプロセスでは、化学増幅型レジストの性能を維持しつつ、液浸露光を実現するためにトップコートを用いたプロセスが広く用いられているが、装置、材料のコストが高くなるという問題と、高速スキャンに対する撥水性を得にくいという問題がある。一方、液浸リソグラフィプロセスの低コスト化とレジストパターン欠陥の抑制を狙ったトップコートレスレジストを用いたプロセスでは、アルカリ可溶な撥水剤の場合はトップコートプロセスと同様の問題(高速スキャンに対する撥水性)を生じ、アルカリ不溶または露光による極性変化型の撥水剤の場合は、現像不溶性に起因するパターン欠陥の問題がある。これらのパターン欠陥は、撥水添加剤がレジストパターン上に再付着したり、未露光部のレジスト表層が高撥水を維持していると液浸起因欠陥が増大したりする問題がある。また、これらの問題はレジスト表層が多く残るホールパターンを形成する場合にさらに顕著に見られる。
【0013】
特許文献1には、トップコートを用いたプロセスに於いて、液浸露光工程の後に、基板上の保護膜(トップコート)を選択的に溶解できる剥離液により保護膜を剥離することで、液浸起因欠陥を抑制している。
【0014】
しかしながら、上記の特許文献1の方法によれば、用いる保護膜の材料特性に応じて剥離液の内容物を都度変更する必要がある。さらには、剥離液による剥離工程を追加する必要があり、製品コストの増大および生産効率の低下を招く。また、トップコートレジストに用いた場合、撥水剤層とレジスト層の明確な境界面が存在しないため、充分に撥水剤を剥離除去することが困難であり、液浸起因欠陥を抑制することができない。
【0015】
特許文献2には、現像装置に変更を加えずにレジスト表面を改質し、レジストの親水性を高めるレジストパターン製作方法が開示されている。特許文献2のレジストパターン作製方法によれば、レジストに露光を行った後、加熱および紫外線照射により発生させたオゾンをレジストと反応させて、レジストに親水性を付与する。例えば、ノボラック樹脂からなるレジストのメチル基をオゾン処理によりアルデヒドに変換して、レジスト表面の親水性を向上させている。
【0016】
しかしながら、上記の特許文献2に記載の方法によれば、レジストにレチクルパターンを露光投影した後、紫外線照射を行うので、形成されたレジストパターン形状が、露光後の紫外線照射によって軟化または変形する場合がある。特にレジストパターンが100nm以下の微細配線およびホールサイズの場合、軟化や変形がより顕著になる。
【0017】
また、特許文献3には、光照射を行ってレジスト表面を改質し、レジストの親水性を高めるレジストパターンの作製方法が開示されている。特許文献3のレジストパターン作製方法によれば、レジストを塗布後、レチクルパターンの露光投影を行う前に、レジストに光照射を行って、レジストの親水性を上げ、レジストと現像液の親和性を高めて現像欠陥を低減させている。
【0018】
しかしながら、上記の特許文献3記載の方法によれば、露光投影処理前にレジスト表面の親水化処理を行なう。したがって、液浸リソグラフィでスキャニング露光時に必要なレジスト表面の撥水性が露光前に失われてしまい、トップコートレスレジストの本来の目的を発揮することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、トップコートレスレジストの現像工程の前に、レジスト膜に、紫外線照射を行なうことなくオゾン処理を施すことにより、レジスト膜表層をアルカリ現像液に可溶化させる方法である。
【0020】
具体的には、レジスト膜に液浸露光を施す工程と、液浸露光を施したレジスト膜を、アルカリ現像液に可溶化する工程と、アルカリ現像液に可溶化したレジスト膜をアルカリ浸漬により現像する工程と、現像したレジスト膜に対して純水リンス処理を行なう工程とをこの順で含み、アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なう(以下、オゾン処理ということがある)ことを特徴とするレジストパターン形成方法に関する。
【0021】
本発明は、上記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク(PEB)処理を同時に実施し、その後アルカリ浸漬により現像する工程と、純水リンス処理を行なう工程(これら2工程を併せて通常の現像処理ということがある)を施すレジストパターン形成方法に関する。
【0022】
また本発明は、上記アルカリ現像液に可溶化する工程は、オゾン処理を施した後にPEB処理を実施し、その後通常の現像処理を行なうレジストパターン形成方法に関する。
【0023】
また、上記アルカリ現像液に可溶化する工程として、PEB処理を実施した後にオゾン処理を施し、その後通常の現像処理を行なうレジストパターン形成方法に関する。
【0024】
さらに本発明は、上記いずれかのレジストパターン形成方法により製造した電子デバイスに関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、トップコートレスレジストを用いた簡便で低コスト、且つ高速スキャン可能な高撥水化が可能なプロセスを、露光後の現像処理を行なう前に、レジスト表面に紫外線照射を行なうことなくオゾン処理を実施することで、トップコートレスレジストの欠点である現像欠陥を解消することを目的とする。オゾン生成時に発生する紫外線等を直接レジスト面に照射されることを抑制することにより、レジストパターンの溶解、倒壊および変形等の問題を回避できる。
【0026】
また、オゾン処理によりレジスト表層をアルカリ現像液に可溶化させ、欠陥要因となる物質を溶解除去することができる。さらには、レジスト樹脂が本来有する親水性よりも低い親水性を付与することができる。これにより、高スループットで低欠陥な液浸リソグラフィプロセスを実現することができる。また、このレジストパターン形成方法はトップコートレスレジストプロセスのみならずトップコートを用いたプロセス、およびドライ露光プロセスにも用いることが出来、レジストパターン欠陥の低減効果を得ることができる。本願は、このレジストパターン形成方法を提供するものである。
【0027】
また、このレジストパターン形成方法は、用いる撥水剤の特性レジスト表層をアルカリ現像液に可溶化すると共にレジスト表面の親水化を図ることもできる。
【0028】
このアルカリ現像液の可溶化は、オゾン処理によりレジスト保護基を脱保護させることで達成されるものである。また、レジスト表面の親水化は、オゾン処理により、脱保護反応が実施されることに加え、レジスト組成物に水酸基やカルボキシル基等の極性基が付与されることによっても達成される。
【0029】
また、このレジストパターン方法はトップコートレスレジストプロセスのみならずトップコートを用いたプロセスにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液浸スキャニング露光の概観図である。
【図2】従来技術のプロセスフローを示す。(a)トップコート使用のプロセス、(b)トップコートレスレジストでのプロセスを説明する概略図である。
【図3】トップコートレスレジストでのプロセス説明図である。
【図4】実施の形態1および実施例1のプロセスフローである。
【図5】実施の形態1および実施例1のプロセスを説明する概略図である。
【図6】現像液可溶化処理チャンバの概略図である。
【図7】実施の形態2および実施例2のプロセスフローである。
【図8】実施の形態2および実施例2のプロセスを説明する概略図である。
【図9】実施の形態3および実施例3のプロセスフローである。
【図10】実施の形態3および実施例3のプロセスを説明する概略図である。
【図11】従来技術のレジストパターン形成方法において発生する欠陥イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
【0032】
<実施の形態1>
本実施の形態1においては、図4に示すプロセスフローでのレジストパターンの形成について説明する。図5に図4に示すプロセスフローに従ったレジストパターンの形成の概略図を示す。
【0033】
(被加工膜成形:ST11)
図4のST11は、図5(a)に対応し、基板7上に被加工膜8を形成する工程であり、被加工膜として、電子デバイスにおいて通常形成されるSiO2、Si3N4、TEOS((C2H5)4SiO4)を形成する工程である。このような被加工膜は従来公知の方法により形成される。
【0034】
(有機反射防止膜塗布および熱処理:ST12)
図4のST12は、図5(b)に対応し、上記被加工膜8上に有機反射防止膜となる材料を塗布する工程と、塗布後に熱処理により上記材料を硬化して、有機反射防止膜9を形成する工程である。有機反射防止膜となる材料としては塗布後に熱硬化して形成する公知のものを用いることができる。
【0035】
(感光性レジスト膜塗布および熱処理:ST13)
図4のST13は、図5(c)に対応し、上記有機反射防止膜9上に感光性レジスト膜となる感光性レジストを塗布する工程と、塗布後に熱処理により該材料を硬化させて、感光性レジスト膜10を形成する工程である。上記感光性レジストとしては、いわゆるトップコートレスレジストおよびトップコートレジストのいずれを用いてもよいが、トップコートレスレジストを用いた場合に本発明の効果が顕著である。
【0036】
上記トップコートレスレジストとしては、表面偏析剤成分と化学増幅型レジストとを含む公知の材料を用いることができる。このようなトップコートレスレジストが硬化されて形成される感光性レジスト膜10は、単一層の膜であり、その表面側に表面偏析剤が偏析し、感光性レジスト膜10表面から基板7方向深さが増大するにしたがって、表面偏析剤成分濃度は指数関数的に減少することが知られている(機能材料、シーエムシー出版、2003年5月号、Vol.23、No.5)。上記表面への偏析とは、表面偏析剤成分の化学増幅型レジストに対する含有率により変化するが、およそ最表面から5nm〜20nmまでの深さに偏析する。
【0037】
上記化学増幅型レジストとしては、特に限定されず、従来公知のものを目的に応じて選択して用いればよく、たとえば、アクリル酸やメタクリル酸ベースのレジストを例示することができる。化学増幅型レジストは、光反応でレジスト膜中に酸を発生させ、酸を触媒として露光後の加熱により、化学増幅型レジストの基材樹脂が反応してパターンを形成するもので、露光で発生した酸が少量であっても、熱拡散により連鎖的に反応が進行するため極めて高い感度が得られる。
【0038】
また、上記表面偏析剤としては、このようなトップコートレスレジストにおいて用いられる従来公知の臨界表面エネルギーの小さい高分子を用いることができる。具体的には、一般式;−(CH2−C(COOY0Rf)R)−で表される構成単位を有する含フッ素樹脂成分などのフッ素含有ポリマーを例示することができる。なお、上記一般式において、Rは水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子またはハロゲン化低級アルキル基であり、Y0はアルキレン基であり、Rfはフッ素化アルキル基である。このような表面偏析剤の化学増幅型レジストに対する含有率は、偏析させる深さに対応させて適宜調整すればよい。
【0039】
(液浸露光:ST14)
図4のST14は、図5(d)に対応し、所望のレジストパターンを有するマスク11を介して感光性レジスト膜10を露光する工程である。この露光は液浸露光により行なう。
【0040】
液浸露光(液浸リソグラフィ)の概要を図1に示す。液浸リソグラフィは、図1に示すように、ステージ6上に積載したウェハ1の最上面に形成された感光性レジスト膜2とレンズ3との微小隙間に液浸水5を膜状のメニスカス5aとして形成させ、そのメニスカス5aとマスク(図示せず)とを通して光照射しながらウェハ1をスキャンさせて(例えば、図1中矢印A)スキャニング露光を実施するリソグラフィ法である。ここで、メニスカス5aを形成する液浸水5は、レンズ3の周囲に設けられた流入口4aから流入し、吸入口4bから外部装置に吸入され、レンズ3と感光性レジスト膜2との隙間を満たす液浸液5が入れ替えられる構造となっている。
【0041】
(露光後熱処理:ST15)
図4のST15は、図5(e)に対応し、露光した感光性レジスト膜10に対して熱処理を行なう露光後熱処理(露光後ベーク処理、PEB処理ともいう)ことによって、感光性レジスト膜10の露光された部分から深さ方向において熱拡散により連鎖的に反応が進行して、所望のパターン10a部分が形成される。その際、感光性レジスト膜は全体の厚みがL1であり、その表層に表面偏析剤が偏在している。
【0042】
露光後熱処理は、少なくともウェハに形成された感光性レジスト膜10を80℃〜130℃の範囲で60〜120秒間加熱する工程をいう。
【0043】
(アルカリ現像液可溶化処理:ST16)
図4のST16は、図5(f)に対応し、露光後熱処理を行なった感光性レジスト膜10の表面に形成された、現像液に対する溶解性の無い、または溶解性に乏しい表面偏析剤で構成された層を現像液であるアルカリ現像液に可溶化するように処理する(アルカリ現像液可溶化処理または現像液可溶化処理ということがある)工程である。本発明は、このアルカリ現像液に可溶化する工程を、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なう(オゾン処理ということがある)ことを特徴とする。
【0044】
上記オゾン処理に用いるオゾンを発生させる際には、公知のオゾンガス発生装置を用いることができるが、このようなオゾンガス発生装置においては、オゾンの生成するために、紫外線等の光を用いることが知られている。本発明者らの検討により、このような紫外線等の光が、露光後や、PEB処理後の感光性レジスト膜10表面に直接照射されると、現像後に残存すべきレジストパターンが溶解したり、倒壊したり、また変形等の問題が発生することがわかった。
【0045】
上記のような紫外線等の光によるレジストパターンへの悪影響を防止するために、本発明は、オゾンガスを発生させる際に用いる紫外線を含む光が直接レジスト膜に照射されない機構を備える。このような機構は現像液可溶化処理に用いるチャンバに備えてもよいし、オゾンガス発生装置に備えてもよい。
【0046】
現像液可溶化処理に用いるチャンバの概略図を図6(a)および図6(b)に示す。現像液可溶化処理に用いるチャンバ63は、その内部にウェハ61を載置して加熱しうるホットプレートなどの加熱部材62と、排気口64と、導入口65とが設置される。オゾンガス発生装置に、オゾンガスを発生させる際に用いる紫外線等の光が直接レジスト膜に照射されない機構を備える場合は、図6(a)に示すように、オゾンガス発生装置(図示せず)からオゾンガスを、配管等を通じて排出できるようにして、現像可溶化処理に用いるチャンバの導入口65よりオゾンガスを導入して、ウェハ表面をオゾンガスに晒して現像液可溶化処理を行なうことができる。また、現像可溶化処理に用いるチャンバにオゾンガスを発生させる際に用いる紫外線等の光が直接レジスト膜に照射されない機構を備える場合は、図6(b)に示すように上記チャンバ内においてオゾンガスを発生させるオゾンガス発生装置67を備えた態様において有用である。このようなオゾンガス発生装置を供えたチャンバを用いて現像液可溶化処理を行なう方法としては、(1)処理に用いるオゾンはチャンバ内に配設したオゾン発生源で所望量の全てを発生させる、または(2)処理に用いるオゾンは、チャンバ内に配設したオゾン発生源で発生させるオゾンに加えて、チャンバ外部で発生させてチャンバ内部に導入したオゾンを併せて用いる、2通りがある。前者の(1)の場合、導入口65よりチャンバ内に導入された酸素を電極または光照射装置からなるオゾンガス発生装置67により例えばバリア放電等を用いてオゾン化し、ウェハ表面をオゾンガスに晒して現像液可溶化処理を行なうものである。後者の(2)の場合はより高精度にチャンバ内のオゾン濃度を調整する場合に用いられる、すなわち、導入口65よりチャンバ内に導入されたオゾンが、導入時やチャンバ内において失活するなどしてオゾン濃度が導入時に比べて変動(減少)した場合に、この変動分を補うためにチャンバ内でオゾンを追加的に発生させて、ウェハ表面をこの導入したオゾンとチャンバ内で発生させたオゾンとのオゾンガスに晒して現像液可溶化処理を行なうものである。これらの際、酸素ガスのオゾン化時に発生する紫外線等の光がレジスト表面に直接照射されないようにするため、たとえば遮蔽板66をオゾンガス発生装置67とウェハ61との間に設ける。遮蔽板66は、たとえば、オゾンガス発生装置67の両端に設けた支持体により支えられた形態や、オゾンガス発生装置67とは別個の図示しない他の支持体により所望の位置に保持した形態とすればよい。
【0047】
なお、本発明において現像液可溶化処理に用いるチャンバは図6(a)および図6(b)に記載の構造に限定されるものではなく、導入口や排気口の位置や数、オゾン発生装置を配置する位置や構造、チャンバ形状等は、上記現像液可溶化処理を実行できるものであればよい。また、ガス排気口64やガス導入口65は、ドライエア、不活性ガス、オゾンガス、または酸素ガスの排気または導入に用いられる。ドライエア、不活性ガスは、後述のようにオゾンガスおよび酸素ガスの導入と同時にチャンバ63に導入して、オゾンガス濃度を調節するために用いる。
【0048】
上記オゾン処理方法においては、オゾン濃度が重要である。オゾン濃度が低いと、現像液可溶化処理に長時間を要するため、デバイス製造効率の観点から好ましくない。一方、オゾン濃度が高ければ短時間で処理することが可能になるため好ましい。オゾン濃度の適正値としては好ましくは1.5〜20.5%であり、さらに好ましくは8.4〜20.5%である。本発明においてこのようなオゾン濃度は、処理領域の単位体積あたりの濃度で表わすものとし、上記の範囲であれば、処理領域内において濃度勾配があってもよい。
【0049】
上記オゾン処理において、オゾン処理時間はオゾン濃度が高ければその分短時間で処理できるが、生産性の観点から好ましくは1秒〜300秒、さらに好ましくは5秒〜60秒である。また、たとえば、オゾン濃度20.5%以上の高濃度オゾンガスを用いる場合は、さらに短時間で現像液可溶化処理が可能であるが、爆発の危険性があるためこれに対応する必要が生じる。
【0050】
なお、上記現像液可溶化処理で適用する処理時間、処理温度は、上述の範囲に限定されず、使用するトップコートレスレジストの種類によって、上記オゾン濃度による現像液可溶化との関係に基づいて最適な条件を選択すればよい。液浸露光起因欠陥が充分抑制されおり、エッチング等の後工程に支障を与えない範囲であれば、現像液可溶化処理の感光性レジスト膜表面からの深さに制限は無く、現像液可溶化処理後にアルカリ現像、さらに純水でリンス処理した後の感光性レジスト膜表層に撥水剤などの表面偏析剤が残留していてもよく、また完全に撥水剤などの表面偏析剤が除去される深さまで現像液可溶化処理を実施してもよい。ただし、現像液可溶化処理に要する時間が長くなりすぎるとアルカリ現像後に形成されるレジストパターンの形状やドライエッチング耐性に影響を与える。また、プロセス時間の延長はウェハのスループットの低下をも引き起こす場合がある。したがって、上述の理由により、現像液可溶化処理時間は好ましくは1秒〜300秒、さらに好ましくは5秒〜60秒以内である。
【0051】
また、用いるオゾンガス中にArや窒素等の不活性ガス、ドライエアを導入してもよく、また現像可溶化処理に対する表面偏析剤の反応性を高めるために、レジストパターンおよびパターン欠陥に悪影響を及ぼさない範囲でアンモニア、酢酸、水蒸気などの添加物を導入してもよい。
【0052】
また、オゾンガスを用いた現像液可溶化処理条件は、感光性レジスト膜を構成する材料組成により異なるが、本実施の形態1示す様に、露光後加熱処理(PEB)と現像液可溶化処理とを別々に実施するプロセスフローの場合、レジストパターン形状への影響を抑制するためには、現像液可溶化処理は好ましくは120℃以下で実施することが望ましい。オゾンガスを用いた現像液可溶化処理時に加熱することは、現像液可溶化の進行度合いを進める有効な手段であることから、所望のレジストパターンを得るためには、オゾン処理時の加熱とPEBの両者をコントロールすることが有効である。この場合でも、オゾン濃度が高い場合は短時間で現像液可溶化処理が行なえるため、レジストパターンに及ぼす影響を抑制することができる。
【0053】
(感光性レジスト現像・純水リンス処理:ST17)
図4のST17は、図5(g)に対応し、現像液可溶化処理を行なった感光性レジスト膜10を現像する工程と、引き続いて現像した感光性レジスト膜10を純水を用いてリンス処理する工程とを行なうものである。
【0054】
上記感光性レジスト膜10を現像する工程は、公知のアルカリ現像液を用いてウェハ全体または、ウェハ表面に形成した被膜部分をアルカリ現像液に浸漬することにより行なう。この現像する工程において、感光性レジスト膜10のパターン部分10aと、上記現像液可溶化処理が行なわれた表面偏析剤層部分とが除去される。ここで、一般的なトップコートレスレジストの表面偏析剤層は約5nm〜20nmであるが、本処理によって除去される表面偏析剤層は、液浸露光起因欠陥を大幅に抑制できるだけの除去量であればよい。その除去量は用いるレジストの特性によっても異なるが、除去量が少ないと充分な欠陥低減効果を得ることが出来ない。また、除去量が多いとエッチングを用いた被加工膜の加工時に感光性レジスト膜がマスクとしての機能を果たさなかったり、露光裕度が低下したり、レジストパターン形状に悪影響を及ぼしたりする。そのため、上記除去量の適正値としては、好ましくは3nm〜30nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。すなわち本現像する工程後に表面偏析剤層が残存していてもよいし、表面偏析剤層が完全に除去されてもよい。
【0055】
上記純水を用いてリンス処理をする工程は、ウェハを純水に浸漬したり、被膜に純水を流しかけることにより行なうなど公知の方法により行なえばよい。
【0056】
(有機反射防止膜、被加工膜エッチング:ST18)
図4のST18は、図5(h)に対応し、上記現像する工程と、純水リンス処理する工程とを行なった感光性レジスト膜10をマスクとして、有機反射防止膜9と被加工膜8とをエッチングする工程である。このようなエッチングする工程は、従来公知のドライエッチングにより行なうことができる。
【0057】
(感光性レジスト・有機反射防止膜除去:ST19)
図4のST19は、図5(i)に対応し、上記エッチングする工程後に、感光性レジスト膜10と有機反射防止膜9とを除去する工程である。このような感光性レジスト膜と有機反射防止膜とは、これらの膜を構成する樹脂が溶解する溶媒を含む溶液を用いて除去する。本発明は、上記工程によってレジストパターンを形成することができる。
【0058】
(その他の工程)
本発明のレジストパターン形成方法においては、各工程の間に適宜純水リンス工程を含んでもよい。
【0059】
(電子デバイスの製造方法)
また、上記工程に沿ってレジストパターンが形成された基板を用いて、電子デバイスを製造することができる。電子デバイスの製造の一例を示す。公知のコンタクト工程における層間膜としてTEOSシリコン酸化膜をCVD成膜し、さらに、このTEOSシリコン酸化膜を被加工膜として、上述の現像液可溶化処理工程を含む液浸リソグラフィによりコンタクトホールパターンのレジストマスクを形成する。その後、ドライエッチングで被加工膜であるTEOSシリコン酸化膜にホールを開口し、次いでレジストマスクを除去する。このホール内に薄膜バリアメタルを形成し、その上にタングステン膜をCVDで形成した後に、CMPによるエッチバックでタングステンをコンタクトホール内にプラグとして埋め込む。
【0060】
次に第一メタル配線形成工程としてシングルダマシン構造を形成するために、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、この低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を被加工膜として公知の方法によりリソグラフィ、エッチング、およびレジスト除去を行ない、溝(トレンチ)配線パターンを形成する。この溝(トレンチ)の中にバリアメタルを成膜して、Cuをメッキ処理で埋め込み、CMPでエッチバックして第一メタル配線を形成する。
【0061】
さらに、第二メタル配線形成工程としてデュアルダマシン方式とした構造を形成するために、ライナー膜、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、ホールと溝(トレンチ)のリソグラフィとエッチング、レジスト除去により第二メタル配線を形成する。この工程を積層で数回繰り返して、電子デバイスのウェハ形成プロセスを完了する。さらに、この後にパッシーベーション、ダイシング、ワイアボンディング、モールドなどの公知の後工程を経て電子デバイスを製造することができる。
【0062】
本発明のレジストパターン形成方法により形成されたレジストパターンを有する基板を用いて製造した電子デバイスは、高スループットで低欠陥な液浸リソグラフィが可能であるので、寿命および信頼性に優れた電子デバイスを提供することができる。これらの電子デバイスとしては、半導体デバイス、液晶表示素子、磁気ヘッド、マイクロレンズなどを例示することができる。
【0063】
<実施の形態2>
上記実施の形態1において、アルカリ現像液に可溶化する工程は、PEB処理後に行なったが、PEB処理とアルカリ現像液に可溶化する工程とを同時に実施しても本発明の効果は奏される。このような実施の形態2におけるプロセスフローを図7に示す。また、図8に図7に示すプロセスフローに従ったレジストパターンの形成の概略図を示す。
【0064】
図7のST21〜ST24の各工程は、図5のST11〜ST14の各工程に順に対応し、図7のST26〜ST28の各工程は、図5のST17〜ST19の各工程に順に対応するものであるためその説明は省略する。
【0065】
本実施の形態2においては、上述のようにPEB処理とアルカリ現像液可溶化処理とを同時に行なう(図7のST25)。基板7上に被加工膜8を形成して(図8(a))、さらに有機反射防止膜9を形成する(図8(b))。その後感光性レジスト膜10となる材料を塗布した後に熱処理して、感光性レジスト膜10を形成する(図8(c))。マスク11を介して感光性レジスト膜10に液浸露光を行なう(図8(d))。
【0066】
感光性レジスト膜の露光後熱処理と同時処理する(図8(e))場合、感光性レジスト膜に最適な加熱温度および時間にあわせて、現像液可溶化処理を実施する必要がある。一般的には、露光後の加熱処理は、90℃〜130℃の温度範囲で約60秒間加熱処理を行なうことにより実施することができる。この処理時間程度で同時に現像液可溶化処理を完結させるためには、オゾン濃度が高い必要があり、好ましくは3%〜20.5%、さらに好ましくは8%〜20.5%である。ここで、オゾン処理(現像可溶化処理)直後にウェハを載置したチャンバを開放すると、ウェハ搬送経路や装置内部、クリーンルーム内にオゾンが漏れ出す危険性がある。これを防ぐためにはオゾン処理後にドライエアやAr、窒素などの不活性ガスにてチャンバ内を置換することが有効である。また、レジストパターン形状への影響やウェハスループットへの影響を抑制する観点から、露光後加熱処理と現像液可溶化処理を同時に実施するプロセスフローの場合、現像液可溶化処理は上記他のガスへの置換時間を含めて好ましくは180秒以内、より好ましくは60秒以内で実施されるのが望ましい。
【0067】
このように露光後熱処理と現像可溶化処理とを同時に行なった感光性レジスト膜10に対して現像する工程と純水リンス処理する工程とを施し(図8(f))、有機反射防止膜9と被加工膜8とをエッチングした後(図8(g))、感光性レジスト膜10と有機反射防止膜9とを除去してレジストパターンが形成された基板7が得られる(図8(h))。得られた基板7は上記実施の形態1と同様に電子デバイスの製造に供される。
【0068】
<実施の形態3>
本発明において、上記現像液可溶化処理は、液浸露光後ベーク処理の直前に実施する態様としてもよい。このような実施の形態2におけるプロセスフローを図9に示す。また、図10に図9に示すプロセスフローに従ったレジストパターンの形成の概略図を示す。
【0069】
図9のST31〜ST34の各工程は、図5のST11〜ST14の各工程に順に対応し、図9のST36〜ST39の各工程は、図5のST15、ST17〜ST19の各工程に順に相当するものであるためその説明は省略する。
【0070】
本実施の形態3においては、基板7上に被加工膜8を形成して(図10(a))、さらに有機反射防止膜9を形成する(図10(b))。その後感光性レジスト膜10となる材料を塗布した後に熱処理して、感光性レジスト膜10を形成する(図10(c))。マスク11を介して感光性レジスト膜10に液浸露光を行なう(図10(d))。
【0071】
次いで、本実施の形態3においては現像可溶化処理を行なう(図10(e))。この場合、現像液可溶化処理で用いる処理時間、処理温度は、上記実施の形態1と同様に設定することができ、使用するトップコートレスレジストに最適な条件を選択すればよい。ただし、現像液可溶化処理に要する時間が長くなりすぎると露光から露光後熱処理までの時間が開きすぎる場合があり、このような場合にはアルカリ現像後に形成されるレジストパターンの形状に悪影響を与えることになる。また、プロセス時間の延長はウェハのスループットの低下をも引き起こす。したがって、本実施の形態3のように露光後ベーク処理の直前に現像液可溶化処理を行なう場合、現像液可溶化処理時間は好ましくは300秒以内であり、さらに好ましくは60秒以内である。
【0072】
このように現像可溶化処理を行なった感光性レジスト膜10に対して、露光後熱処理を施し(図10(f))、次いで、現像する工程と純水リンス処理する工程とを施し(図10(g))、有機反射防止膜9と被加工膜8とをエッチングした後(図10(h))、感光性レジスト膜10と有機反射防止膜9とを除去してレジストパターンが形成された基板7が得られる(図10(i))。得られた基板7は上記実施の形態1と同様に電子デバイスの製造に供される。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載(表を含む)においてRef.とは、オゾン処理を含まない以外は、各対応する実施例と同様の方法によりパターンを形成した比較例であることを示す。
【0074】
(実施例1)
上記実施の形態1に沿って、図4および図5に示すプロセスフローでレジストパターンを形成した。まず、被加工膜8が形成された基板7上に、有機反射防止膜9(膜厚45〜100nm)を塗布し、150〜230℃で60〜180秒間ベーク処理(熱処理)を行なった。その後、表1に示す特性の異なる撥水剤(表面偏析剤)を含む市販のトップコートレスレジスト(膜厚150nm)をそれぞれ表1に示す条件でスピン塗布し、ベーク処理を行ない、感光性レジスト膜10を形成した。この基板を液浸露光機で液浸露光処理を施し、表1に示す条件で露光後加熱処理を行った後、表2に示す条件でオゾン処理を行った。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%水溶液で現像処理行ない、次いで純水リンス処理を施して、パターン形成を完了した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
本実施例で用いたトップコートレスレジスト(図5(c)の感光性レジスト膜10)および、未露光部の現像液可溶化処理後(図5(f))の感光性レジスト膜10の膜厚を表3に示す。表3に示すとおり、オゾンを用いた現像液可溶化処理によって、現像液溶解性の無い、または溶解性に乏しい撥水剤(表面偏析剤)で構成された感光性レジスト膜表層が現像後に除去され、その分感光性レジスト膜の膜厚が減少しており、それにつれて欠陥数も減少していることが分かる。
【0078】
本実施例で用いたトップコートレスレジスト(図5(c))および、未露光部の現像液可溶化処理後(図5(f))の感光性レジスト膜最表面の純水に対する接触角を表4に示す。表4に示すとおり、現像液可溶化処理によって、アルカリ現像および純水リンス後のレジスト表面の撥水性は親水化が進んでいることがわかる。
【0079】
この場合、オゾン処理時間が長い方がより親水化され、またオゾン処理時の温度が高い方がより親水化されることが確認できた。
【0080】
さらに、Resist-Aの条件1を除き、現像液可溶化処理を実施してアルカリ現像および純水リンス処理した感光性レジスト膜最表面の接触角は、現像液可溶化処理を実施せずにアルカリ現像および純水リンス処理したレジスト表面(図5(g))よりも親水化されている。これは、現像液可溶化処理によりレジスト本来が有する接触角よりもさらに低くなるように親水性を付与できることを示している。本処理により、アルカリ現像液およびその後の純水リンス処理時に撥水性が高いために発生する、図11に示す種々の欠陥発生を抑制することができる。
【0081】
以上のように処理した基板を用いて、以下のように電子デバイスのウェハ形成プロセスを施した。
【0082】
コンタクト工程における層間膜としてTEOSシリコン酸化膜をCVD成膜した。さらに、このTEOSシリコン酸化膜を被加工膜として、上述の現像液可溶化処理工程を含む液浸リソグラフィによりコンタクトホールパターンのレジストマスクを形成した。その後、ドライエッチングで被加工膜であるTEOSシリコン酸化膜にホールを開口し、次いでレジストマスクを除去した。このホール内に薄膜バリアメタルを形成し、その上にタングステン膜をCVDで形成した後に、CMPによるエッチバックでタングステンをコンタクトホール内にプラグとして埋め込んだ。
【0083】
次に第一メタル配線形成工程としてシングルダマシン構造を形成するために、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、この低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を被加工膜として公知の方法によりリソグラフィ、エッチング、およびレジスト除去を行ない、溝(トレンチ)配線パターンを形成した。この溝(トレンチ)の中にバリアメタルを成膜して、Cuをメッキ処理で埋め込み、CMPでエッチバックして第一メタル配線を形成した。
【0084】
さらに、第二メタル配線形成工程としてデュアルダマシン方式とした構造を形成するために、ライナー膜、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、ホールと溝(トレンチ)のリソグラフィとエッチング、レジスト除去により第二メタル配線を形成した。この工程を積層で数回繰り返して、電子デバイスのウェハ形成プロセスを完了した。この後にパッシーベーション、ダイシング、ワイアボンディング、モールドなどの公知の後工程を経て電子デバイスを完成させた。
【0085】
【表3】
【0086】
表3において欠陥の欄は、Ref.における欠陥数を100として、この欠陥数の20%以上100%以下の欠陥数が存在する場合を「×」、10%以上20%未満の欠陥数が存在する場合を「△」、0.1%を超えて10%未満の欠陥数が存在する場合を「○」、0.1%以下の欠陥数の場合を「◎」として表記した。
【0087】
【表4】
【0088】
(実施例2)
上記実施の形態2に従い、図7および図8に示すプロセスフローでレジストパターンを形成した。まず、被加工膜8が形成された基板7上に、有機反射防止膜(膜厚45〜100nm)を塗布し、150〜230℃で60〜180秒間ベーク処理(熱処理)を行なう。その後、表1に示す特性の異なる撥水剤を有する市販のトップコートレスレジスト(膜厚150nm)をそれぞれ表1に示す条件でスピン塗布し、ベーク処理を行ない、レジスト膜を形成した。この基板を液浸露光機で露光処理を施し、表5に示す条件で現像液可溶化処理と露光後加熱処理を同時に行った。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%水溶液で現像および、その後純水リンス処理を行ない、パターン形成を完了した。
【0089】
【表5】
【0090】
本実施例で用いたトップコートレスレジスト(図8(c)の感光性レジスト膜10)および、未露光部の現像液可溶化処理後(図8(e))の感光性レジスト膜の膜厚を表6に示す。表6において欠陥の欄は表3の欠陥の欄と同様の基準による結果である。表6に示すとおり、オゾンを用いた現像液可溶化処理によって感光性レジスト膜表層が現像後に除去され、その分感光性レジスト膜の膜厚が減少していることが分かる。適切なオゾン濃度と処理時間を実施することにより、現像液溶解性の無い、または溶解性に乏しい撥水剤で構成された偏析層を含む感光性レジスト膜表層を除去し、液浸露光起因欠陥を大幅に低減することができる。また、オゾン生成時に発生する紫外線等を直接レジスト面に照射されることを抑制することにより、レジストパターンの溶解や、倒壊や、変形等の問題を回避できることがわかる。
【0091】
【表6】
【0092】
本実施例で得られたトップコートレスレジスト(図8(c))および、未露光部の現像液可溶化処理後(図8(e))の感光性レジスト膜最表面の純水に対する接触角を表7に示す。表7に示すとおり、現像液可溶化処理によって、感光性レジスト膜際表面の親水化が進んでいることがわかる。レジストの露光後加熱処理と同時処理する場合は、レジストに最適な加熱温度および時間にあわせて現像液可溶化処理を実施する必要があり、実施の形態2に述べたように、一般的には90〜130℃/60秒である。この処理時間程度で現像液可溶化処理を完結させるためには、オゾン濃度が高い必要があり、好ましくは3〜20.5%、さらに好ましくは8〜20.5%である。
【0093】
【表7】
【0094】
以上のように処理した基板を用いて、実施例1と同様の工程により電子デバイスのウェハ形成プロセスを施した。
【0095】
表8に、表1に記載のResist-Aで、条件10に示された現像液可溶化処理を用いて形成された100nmライン&スペース、100nm孤立スペース、100nm孤立ラインのパターニング結果を示す。表8中、「マイクロブリッジ」とは、パターン欠陥としてマイクロブリッジが発生したことを示し、「−」とは、パターン欠陥が発生しなかったことを示す。表8の結果からわかるように、現像液可溶化処理無しの場合、マイクロブリッジ欠陥が多数見られたが、現像液可溶化処理後には欠陥は見られなかった。これは、現像液可溶化処理によりレジスト表層が現像液に溶解して流去されたこと、また、レジスト表層の親水性が向上したことでレジストパターン欠陥が抑制されたためである。
【0096】
【表8】
【0097】
(実施例3)
上記実施の形態3に従い、図9および図10に示すプロセスフローでレジストパターンを形成した。まず、被加工膜8が形成された基板7上に、有機反射防止膜9(膜厚45〜100nm)を塗布し、150〜230℃で60〜180秒間ベーク処理(熱処理)を行なった。その後、表1に示す特性の異なる撥水剤(表面偏析剤)を有する市販のトップコートレスレジスト(膜厚150nm)をそれぞれ表1に示す条件でスピン塗布し、ベーク処理を行ない、レジスト膜を形成した。この基板を液浸露光機で露光処理を施し、オゾンを用いた現像液可溶化処理を行った。その後、表1に示す条件で露光後加熱処理を行なった。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%水溶液で現像および純水リンス処理を行ない、パターン形成を完了した。
【0098】
以上のように処理した基板を用いて、実施例1と同様に電子デバイスのウェハ形成プロセスを施した。
【0099】
上記処理により、アルカリ現像液およびその後の純水リンス処理時に撥水性が高いために発生する、図11に示す種々の欠陥発生を抑制することができた。
【0100】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0101】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のレジストパターン形成方法は、トップコートレスレジストを用いたウェハの場合に限られず、トップコートレジストを用いるウェハの形成においても適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 ウェハ、2 感光性レジスト層、3 レンズ、4 液浸液供給部、5 液浸液、6 ステージ、7 基板、8 被加工膜、9 有機反射防止膜、10 感光性レジスト膜、11 マスク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液浸型露光では、レンズとウェハの微小隙間に水の表面張力を利用して水膜(メニスカス)を形成することにより、レンズと被照射面(ウェハ)の間を高屈折率化する方式で、通常のドライ露光よりも実効のレンズ開口数(NA)を水の屈折率1.44近傍まで上げることができ、リソグラフィの解像限界を微細化できる技術として工業的実用化が進んでいる。
【0003】
この液浸リソグラフィでは、レンズと被照射面(ウェハ)の最上層膜であるレジストとの間に液浸水が介在するため、通常のドライ露光用の化学増幅レジストを使用した場合、その中の光酸発生剤、塩基などの低分子内容物が液浸水に溶出し、ひいてはレンズなど露光機の汚染を引き起こす懸念がある。また、上記水膜(メニスカス)をウェハ上で移動する場合にレジストの撥水性が低いとメニスカス移動後にレジスト上にミクロな液滴が残り、局所的な長時間水分接触の影響などでパターン欠陥を誘発する。この為、レジスト上に現像液に溶解し、液浸水とレジストを直接接触させない為のレジスト上層保護膜(トップコート)を用いる技術が導入されている。また、レジスト液中に臨界表面エネルギーの小さい高分子(主としてフッ素含有ポリマー)を撥水剤として微量混入させ、塗膜形成時に撥水剤の表面偏析効果を利用して表面のみに撥水剤を集中させることで単一塗布膜として上記レジストとトップコート2層を自発形成するトップコートレスレジストが開発され市販が始まっている。
【0004】
液浸リソグラフィでは、図1に示すように感光性レジスト層上に液浸水を膜状のメニスカスとして形成し、そのメニスカスを通して光照射しながらウェハをスキャンさせて(図1中の矢印Aの方向)スキャニング露光を実施する。この際に、化学増幅レジスト内の光酸発生剤、塩基などの低分子化合物などの液浸水への溶出防止と高速且つスムーズで液滴を残さないメニスカス移動を可能とするため、レジスト層表面を溶出しにくい状態且つ撥水性にする技術が取り入れられている。
【0005】
この技術のひとつは、レジスト層を2回の塗布処理で形成する2層膜で構成し、通常のレジストの上にレジスト上層保護膜(トップコート)を塗布するトップコートプロセスである。このトップコートはアルカリ現像液に可溶で現像時に自動剥離され、且つ撥水性の高い膜とするために、アルカリ可溶部を含むフッ素含有ポリマーで構成される場合が多い。このトップコートプロセスでのプロセスフローを図2(a)に示す。しかしながら、このトップコートプロセスは、2回の塗布処理を伴うことからプロセス的に冗長であること、感光性レジストとトップコートの2つの薬液を使用することから材料コストが高くなること等の問題点があり、また、トップコートが現像可溶基を含むことと高撥水性を有することとがトレードオフの関係にある為に、より高速なスキャンによる高スループットな露光に対しては、撥水性が充分といえないことが多い。
【0006】
一方で、もうひとつの技術として、感光性レジスト液中に臨界表面エネルギーの小さい高分子(フッ素含有ポリマー)を撥水剤として微量混入させ、塗膜形成時に撥水剤の表面偏析効果を利用して表面のみに撥水剤を集中(偏析)させることで、1回の塗布処理で単一塗布膜として上記感光性レジストとトップコートの効果を有する偏析層とを自発形成するトップコートレスレジストが開発され市販されつつある。この材料でトップコートプロセスの冗長性、またそれによる装置コストの上昇(塗布カップ1回、ベークプレート1回)、材料コストの上昇は抑制できる。
【0007】
このトップコートレスレジスト材料を用いたプロセスフローを図2(b)に示す。トップコートレスレジスト材料に微量添加する撥水剤は、トップコート材料と同様に現像液可溶性を持つものを用いる場合、全くアリカリ溶解性のない撥水剤を極微量使用することも考えられる。また、撥水剤自体が化学増幅レジスト同様に露光により発生した酸の触媒作用で脱保護して露光部分のみ後の露光後熱処理(PEB:Post Exposure Bake)時にアルカリ現像液に可溶に変化するものを用いる場合もある。以上、撥水剤として主に3種の構成がありえる。
【0008】
トップコートレスレジスト材料に添加する撥水剤がアルカリ可溶な撥水剤の場合は、アルカリ現像時に撥水剤が溶解することにより、レジスト表面に付着した異物が同時に除去されるためレジストパターン欠陥は発生し難い。また撥水剤が除去された後はレジストそのものの撥水性しか有しないため、結果としてアルカリ現像前より親水化されるので、アルカリ浸漬後の純水リンス時に撥水性が高すぎて清浄に洗浄できず、図11(c)に示すような粒状の残渣10d欠陥(Blob)を残す可能性も低い。しかし、アルカリ現像性を付与させるため撥水剤の偏析特性が低い傾向があり、トップコートの問題点と同様に充分な撥水性が得られない場合が多い。
【0009】
撥水剤として全くアリカリ溶解性のない撥水剤を用いた場合は、現像時に撥水剤が不溶物として残り、図11(a)に示すような残渣10b欠陥を引き起こしたり、軽微な場合でも図11(b)に示すようなマイクロブリッジ10cを誘発したり、アルカリ浸漬後の純水リンス時に撥水性が高すぎて、粒状の残渣欠陥(Blob)を残す(図11(c))などのリスクがある。
【0010】
また、撥水剤自体が酸により脱保護して、露光部分のみ後の露光後熱処理(PEB)時にアルカリ現像液に可溶に変化するものを用いる場合でも、未露光部分では上記の全くアリカリ溶解性のない撥水剤を用いた場合の問題と同様に欠陥を発生することが考えられる。即ち、ポジレジストを用いたホール工程や、Cu配線の溝形成工程などのダークフィールドマスクを用いた工程では背景が未露光部となるので、これらの欠陥リスクが高いと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−180253号公報
【特許文献2】特開平4−217258号公報
【特許文献3】特開2000−89475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の液浸リソグラフィプロセスでは、化学増幅型レジストの性能を維持しつつ、液浸露光を実現するためにトップコートを用いたプロセスが広く用いられているが、装置、材料のコストが高くなるという問題と、高速スキャンに対する撥水性を得にくいという問題がある。一方、液浸リソグラフィプロセスの低コスト化とレジストパターン欠陥の抑制を狙ったトップコートレスレジストを用いたプロセスでは、アルカリ可溶な撥水剤の場合はトップコートプロセスと同様の問題(高速スキャンに対する撥水性)を生じ、アルカリ不溶または露光による極性変化型の撥水剤の場合は、現像不溶性に起因するパターン欠陥の問題がある。これらのパターン欠陥は、撥水添加剤がレジストパターン上に再付着したり、未露光部のレジスト表層が高撥水を維持していると液浸起因欠陥が増大したりする問題がある。また、これらの問題はレジスト表層が多く残るホールパターンを形成する場合にさらに顕著に見られる。
【0013】
特許文献1には、トップコートを用いたプロセスに於いて、液浸露光工程の後に、基板上の保護膜(トップコート)を選択的に溶解できる剥離液により保護膜を剥離することで、液浸起因欠陥を抑制している。
【0014】
しかしながら、上記の特許文献1の方法によれば、用いる保護膜の材料特性に応じて剥離液の内容物を都度変更する必要がある。さらには、剥離液による剥離工程を追加する必要があり、製品コストの増大および生産効率の低下を招く。また、トップコートレジストに用いた場合、撥水剤層とレジスト層の明確な境界面が存在しないため、充分に撥水剤を剥離除去することが困難であり、液浸起因欠陥を抑制することができない。
【0015】
特許文献2には、現像装置に変更を加えずにレジスト表面を改質し、レジストの親水性を高めるレジストパターン製作方法が開示されている。特許文献2のレジストパターン作製方法によれば、レジストに露光を行った後、加熱および紫外線照射により発生させたオゾンをレジストと反応させて、レジストに親水性を付与する。例えば、ノボラック樹脂からなるレジストのメチル基をオゾン処理によりアルデヒドに変換して、レジスト表面の親水性を向上させている。
【0016】
しかしながら、上記の特許文献2に記載の方法によれば、レジストにレチクルパターンを露光投影した後、紫外線照射を行うので、形成されたレジストパターン形状が、露光後の紫外線照射によって軟化または変形する場合がある。特にレジストパターンが100nm以下の微細配線およびホールサイズの場合、軟化や変形がより顕著になる。
【0017】
また、特許文献3には、光照射を行ってレジスト表面を改質し、レジストの親水性を高めるレジストパターンの作製方法が開示されている。特許文献3のレジストパターン作製方法によれば、レジストを塗布後、レチクルパターンの露光投影を行う前に、レジストに光照射を行って、レジストの親水性を上げ、レジストと現像液の親和性を高めて現像欠陥を低減させている。
【0018】
しかしながら、上記の特許文献3記載の方法によれば、露光投影処理前にレジスト表面の親水化処理を行なう。したがって、液浸リソグラフィでスキャニング露光時に必要なレジスト表面の撥水性が露光前に失われてしまい、トップコートレスレジストの本来の目的を発揮することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、トップコートレスレジストの現像工程の前に、レジスト膜に、紫外線照射を行なうことなくオゾン処理を施すことにより、レジスト膜表層をアルカリ現像液に可溶化させる方法である。
【0020】
具体的には、レジスト膜に液浸露光を施す工程と、液浸露光を施したレジスト膜を、アルカリ現像液に可溶化する工程と、アルカリ現像液に可溶化したレジスト膜をアルカリ浸漬により現像する工程と、現像したレジスト膜に対して純水リンス処理を行なう工程とをこの順で含み、アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なう(以下、オゾン処理ということがある)ことを特徴とするレジストパターン形成方法に関する。
【0021】
本発明は、上記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク(PEB)処理を同時に実施し、その後アルカリ浸漬により現像する工程と、純水リンス処理を行なう工程(これら2工程を併せて通常の現像処理ということがある)を施すレジストパターン形成方法に関する。
【0022】
また本発明は、上記アルカリ現像液に可溶化する工程は、オゾン処理を施した後にPEB処理を実施し、その後通常の現像処理を行なうレジストパターン形成方法に関する。
【0023】
また、上記アルカリ現像液に可溶化する工程として、PEB処理を実施した後にオゾン処理を施し、その後通常の現像処理を行なうレジストパターン形成方法に関する。
【0024】
さらに本発明は、上記いずれかのレジストパターン形成方法により製造した電子デバイスに関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、トップコートレスレジストを用いた簡便で低コスト、且つ高速スキャン可能な高撥水化が可能なプロセスを、露光後の現像処理を行なう前に、レジスト表面に紫外線照射を行なうことなくオゾン処理を実施することで、トップコートレスレジストの欠点である現像欠陥を解消することを目的とする。オゾン生成時に発生する紫外線等を直接レジスト面に照射されることを抑制することにより、レジストパターンの溶解、倒壊および変形等の問題を回避できる。
【0026】
また、オゾン処理によりレジスト表層をアルカリ現像液に可溶化させ、欠陥要因となる物質を溶解除去することができる。さらには、レジスト樹脂が本来有する親水性よりも低い親水性を付与することができる。これにより、高スループットで低欠陥な液浸リソグラフィプロセスを実現することができる。また、このレジストパターン形成方法はトップコートレスレジストプロセスのみならずトップコートを用いたプロセス、およびドライ露光プロセスにも用いることが出来、レジストパターン欠陥の低減効果を得ることができる。本願は、このレジストパターン形成方法を提供するものである。
【0027】
また、このレジストパターン形成方法は、用いる撥水剤の特性レジスト表層をアルカリ現像液に可溶化すると共にレジスト表面の親水化を図ることもできる。
【0028】
このアルカリ現像液の可溶化は、オゾン処理によりレジスト保護基を脱保護させることで達成されるものである。また、レジスト表面の親水化は、オゾン処理により、脱保護反応が実施されることに加え、レジスト組成物に水酸基やカルボキシル基等の極性基が付与されることによっても達成される。
【0029】
また、このレジストパターン方法はトップコートレスレジストプロセスのみならずトップコートを用いたプロセスにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液浸スキャニング露光の概観図である。
【図2】従来技術のプロセスフローを示す。(a)トップコート使用のプロセス、(b)トップコートレスレジストでのプロセスを説明する概略図である。
【図3】トップコートレスレジストでのプロセス説明図である。
【図4】実施の形態1および実施例1のプロセスフローである。
【図5】実施の形態1および実施例1のプロセスを説明する概略図である。
【図6】現像液可溶化処理チャンバの概略図である。
【図7】実施の形態2および実施例2のプロセスフローである。
【図8】実施の形態2および実施例2のプロセスを説明する概略図である。
【図9】実施の形態3および実施例3のプロセスフローである。
【図10】実施の形態3および実施例3のプロセスを説明する概略図である。
【図11】従来技術のレジストパターン形成方法において発生する欠陥イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
【0032】
<実施の形態1>
本実施の形態1においては、図4に示すプロセスフローでのレジストパターンの形成について説明する。図5に図4に示すプロセスフローに従ったレジストパターンの形成の概略図を示す。
【0033】
(被加工膜成形:ST11)
図4のST11は、図5(a)に対応し、基板7上に被加工膜8を形成する工程であり、被加工膜として、電子デバイスにおいて通常形成されるSiO2、Si3N4、TEOS((C2H5)4SiO4)を形成する工程である。このような被加工膜は従来公知の方法により形成される。
【0034】
(有機反射防止膜塗布および熱処理:ST12)
図4のST12は、図5(b)に対応し、上記被加工膜8上に有機反射防止膜となる材料を塗布する工程と、塗布後に熱処理により上記材料を硬化して、有機反射防止膜9を形成する工程である。有機反射防止膜となる材料としては塗布後に熱硬化して形成する公知のものを用いることができる。
【0035】
(感光性レジスト膜塗布および熱処理:ST13)
図4のST13は、図5(c)に対応し、上記有機反射防止膜9上に感光性レジスト膜となる感光性レジストを塗布する工程と、塗布後に熱処理により該材料を硬化させて、感光性レジスト膜10を形成する工程である。上記感光性レジストとしては、いわゆるトップコートレスレジストおよびトップコートレジストのいずれを用いてもよいが、トップコートレスレジストを用いた場合に本発明の効果が顕著である。
【0036】
上記トップコートレスレジストとしては、表面偏析剤成分と化学増幅型レジストとを含む公知の材料を用いることができる。このようなトップコートレスレジストが硬化されて形成される感光性レジスト膜10は、単一層の膜であり、その表面側に表面偏析剤が偏析し、感光性レジスト膜10表面から基板7方向深さが増大するにしたがって、表面偏析剤成分濃度は指数関数的に減少することが知られている(機能材料、シーエムシー出版、2003年5月号、Vol.23、No.5)。上記表面への偏析とは、表面偏析剤成分の化学増幅型レジストに対する含有率により変化するが、およそ最表面から5nm〜20nmまでの深さに偏析する。
【0037】
上記化学増幅型レジストとしては、特に限定されず、従来公知のものを目的に応じて選択して用いればよく、たとえば、アクリル酸やメタクリル酸ベースのレジストを例示することができる。化学増幅型レジストは、光反応でレジスト膜中に酸を発生させ、酸を触媒として露光後の加熱により、化学増幅型レジストの基材樹脂が反応してパターンを形成するもので、露光で発生した酸が少量であっても、熱拡散により連鎖的に反応が進行するため極めて高い感度が得られる。
【0038】
また、上記表面偏析剤としては、このようなトップコートレスレジストにおいて用いられる従来公知の臨界表面エネルギーの小さい高分子を用いることができる。具体的には、一般式;−(CH2−C(COOY0Rf)R)−で表される構成単位を有する含フッ素樹脂成分などのフッ素含有ポリマーを例示することができる。なお、上記一般式において、Rは水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子またはハロゲン化低級アルキル基であり、Y0はアルキレン基であり、Rfはフッ素化アルキル基である。このような表面偏析剤の化学増幅型レジストに対する含有率は、偏析させる深さに対応させて適宜調整すればよい。
【0039】
(液浸露光:ST14)
図4のST14は、図5(d)に対応し、所望のレジストパターンを有するマスク11を介して感光性レジスト膜10を露光する工程である。この露光は液浸露光により行なう。
【0040】
液浸露光(液浸リソグラフィ)の概要を図1に示す。液浸リソグラフィは、図1に示すように、ステージ6上に積載したウェハ1の最上面に形成された感光性レジスト膜2とレンズ3との微小隙間に液浸水5を膜状のメニスカス5aとして形成させ、そのメニスカス5aとマスク(図示せず)とを通して光照射しながらウェハ1をスキャンさせて(例えば、図1中矢印A)スキャニング露光を実施するリソグラフィ法である。ここで、メニスカス5aを形成する液浸水5は、レンズ3の周囲に設けられた流入口4aから流入し、吸入口4bから外部装置に吸入され、レンズ3と感光性レジスト膜2との隙間を満たす液浸液5が入れ替えられる構造となっている。
【0041】
(露光後熱処理:ST15)
図4のST15は、図5(e)に対応し、露光した感光性レジスト膜10に対して熱処理を行なう露光後熱処理(露光後ベーク処理、PEB処理ともいう)ことによって、感光性レジスト膜10の露光された部分から深さ方向において熱拡散により連鎖的に反応が進行して、所望のパターン10a部分が形成される。その際、感光性レジスト膜は全体の厚みがL1であり、その表層に表面偏析剤が偏在している。
【0042】
露光後熱処理は、少なくともウェハに形成された感光性レジスト膜10を80℃〜130℃の範囲で60〜120秒間加熱する工程をいう。
【0043】
(アルカリ現像液可溶化処理:ST16)
図4のST16は、図5(f)に対応し、露光後熱処理を行なった感光性レジスト膜10の表面に形成された、現像液に対する溶解性の無い、または溶解性に乏しい表面偏析剤で構成された層を現像液であるアルカリ現像液に可溶化するように処理する(アルカリ現像液可溶化処理または現像液可溶化処理ということがある)工程である。本発明は、このアルカリ現像液に可溶化する工程を、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なう(オゾン処理ということがある)ことを特徴とする。
【0044】
上記オゾン処理に用いるオゾンを発生させる際には、公知のオゾンガス発生装置を用いることができるが、このようなオゾンガス発生装置においては、オゾンの生成するために、紫外線等の光を用いることが知られている。本発明者らの検討により、このような紫外線等の光が、露光後や、PEB処理後の感光性レジスト膜10表面に直接照射されると、現像後に残存すべきレジストパターンが溶解したり、倒壊したり、また変形等の問題が発生することがわかった。
【0045】
上記のような紫外線等の光によるレジストパターンへの悪影響を防止するために、本発明は、オゾンガスを発生させる際に用いる紫外線を含む光が直接レジスト膜に照射されない機構を備える。このような機構は現像液可溶化処理に用いるチャンバに備えてもよいし、オゾンガス発生装置に備えてもよい。
【0046】
現像液可溶化処理に用いるチャンバの概略図を図6(a)および図6(b)に示す。現像液可溶化処理に用いるチャンバ63は、その内部にウェハ61を載置して加熱しうるホットプレートなどの加熱部材62と、排気口64と、導入口65とが設置される。オゾンガス発生装置に、オゾンガスを発生させる際に用いる紫外線等の光が直接レジスト膜に照射されない機構を備える場合は、図6(a)に示すように、オゾンガス発生装置(図示せず)からオゾンガスを、配管等を通じて排出できるようにして、現像可溶化処理に用いるチャンバの導入口65よりオゾンガスを導入して、ウェハ表面をオゾンガスに晒して現像液可溶化処理を行なうことができる。また、現像可溶化処理に用いるチャンバにオゾンガスを発生させる際に用いる紫外線等の光が直接レジスト膜に照射されない機構を備える場合は、図6(b)に示すように上記チャンバ内においてオゾンガスを発生させるオゾンガス発生装置67を備えた態様において有用である。このようなオゾンガス発生装置を供えたチャンバを用いて現像液可溶化処理を行なう方法としては、(1)処理に用いるオゾンはチャンバ内に配設したオゾン発生源で所望量の全てを発生させる、または(2)処理に用いるオゾンは、チャンバ内に配設したオゾン発生源で発生させるオゾンに加えて、チャンバ外部で発生させてチャンバ内部に導入したオゾンを併せて用いる、2通りがある。前者の(1)の場合、導入口65よりチャンバ内に導入された酸素を電極または光照射装置からなるオゾンガス発生装置67により例えばバリア放電等を用いてオゾン化し、ウェハ表面をオゾンガスに晒して現像液可溶化処理を行なうものである。後者の(2)の場合はより高精度にチャンバ内のオゾン濃度を調整する場合に用いられる、すなわち、導入口65よりチャンバ内に導入されたオゾンが、導入時やチャンバ内において失活するなどしてオゾン濃度が導入時に比べて変動(減少)した場合に、この変動分を補うためにチャンバ内でオゾンを追加的に発生させて、ウェハ表面をこの導入したオゾンとチャンバ内で発生させたオゾンとのオゾンガスに晒して現像液可溶化処理を行なうものである。これらの際、酸素ガスのオゾン化時に発生する紫外線等の光がレジスト表面に直接照射されないようにするため、たとえば遮蔽板66をオゾンガス発生装置67とウェハ61との間に設ける。遮蔽板66は、たとえば、オゾンガス発生装置67の両端に設けた支持体により支えられた形態や、オゾンガス発生装置67とは別個の図示しない他の支持体により所望の位置に保持した形態とすればよい。
【0047】
なお、本発明において現像液可溶化処理に用いるチャンバは図6(a)および図6(b)に記載の構造に限定されるものではなく、導入口や排気口の位置や数、オゾン発生装置を配置する位置や構造、チャンバ形状等は、上記現像液可溶化処理を実行できるものであればよい。また、ガス排気口64やガス導入口65は、ドライエア、不活性ガス、オゾンガス、または酸素ガスの排気または導入に用いられる。ドライエア、不活性ガスは、後述のようにオゾンガスおよび酸素ガスの導入と同時にチャンバ63に導入して、オゾンガス濃度を調節するために用いる。
【0048】
上記オゾン処理方法においては、オゾン濃度が重要である。オゾン濃度が低いと、現像液可溶化処理に長時間を要するため、デバイス製造効率の観点から好ましくない。一方、オゾン濃度が高ければ短時間で処理することが可能になるため好ましい。オゾン濃度の適正値としては好ましくは1.5〜20.5%であり、さらに好ましくは8.4〜20.5%である。本発明においてこのようなオゾン濃度は、処理領域の単位体積あたりの濃度で表わすものとし、上記の範囲であれば、処理領域内において濃度勾配があってもよい。
【0049】
上記オゾン処理において、オゾン処理時間はオゾン濃度が高ければその分短時間で処理できるが、生産性の観点から好ましくは1秒〜300秒、さらに好ましくは5秒〜60秒である。また、たとえば、オゾン濃度20.5%以上の高濃度オゾンガスを用いる場合は、さらに短時間で現像液可溶化処理が可能であるが、爆発の危険性があるためこれに対応する必要が生じる。
【0050】
なお、上記現像液可溶化処理で適用する処理時間、処理温度は、上述の範囲に限定されず、使用するトップコートレスレジストの種類によって、上記オゾン濃度による現像液可溶化との関係に基づいて最適な条件を選択すればよい。液浸露光起因欠陥が充分抑制されおり、エッチング等の後工程に支障を与えない範囲であれば、現像液可溶化処理の感光性レジスト膜表面からの深さに制限は無く、現像液可溶化処理後にアルカリ現像、さらに純水でリンス処理した後の感光性レジスト膜表層に撥水剤などの表面偏析剤が残留していてもよく、また完全に撥水剤などの表面偏析剤が除去される深さまで現像液可溶化処理を実施してもよい。ただし、現像液可溶化処理に要する時間が長くなりすぎるとアルカリ現像後に形成されるレジストパターンの形状やドライエッチング耐性に影響を与える。また、プロセス時間の延長はウェハのスループットの低下をも引き起こす場合がある。したがって、上述の理由により、現像液可溶化処理時間は好ましくは1秒〜300秒、さらに好ましくは5秒〜60秒以内である。
【0051】
また、用いるオゾンガス中にArや窒素等の不活性ガス、ドライエアを導入してもよく、また現像可溶化処理に対する表面偏析剤の反応性を高めるために、レジストパターンおよびパターン欠陥に悪影響を及ぼさない範囲でアンモニア、酢酸、水蒸気などの添加物を導入してもよい。
【0052】
また、オゾンガスを用いた現像液可溶化処理条件は、感光性レジスト膜を構成する材料組成により異なるが、本実施の形態1示す様に、露光後加熱処理(PEB)と現像液可溶化処理とを別々に実施するプロセスフローの場合、レジストパターン形状への影響を抑制するためには、現像液可溶化処理は好ましくは120℃以下で実施することが望ましい。オゾンガスを用いた現像液可溶化処理時に加熱することは、現像液可溶化の進行度合いを進める有効な手段であることから、所望のレジストパターンを得るためには、オゾン処理時の加熱とPEBの両者をコントロールすることが有効である。この場合でも、オゾン濃度が高い場合は短時間で現像液可溶化処理が行なえるため、レジストパターンに及ぼす影響を抑制することができる。
【0053】
(感光性レジスト現像・純水リンス処理:ST17)
図4のST17は、図5(g)に対応し、現像液可溶化処理を行なった感光性レジスト膜10を現像する工程と、引き続いて現像した感光性レジスト膜10を純水を用いてリンス処理する工程とを行なうものである。
【0054】
上記感光性レジスト膜10を現像する工程は、公知のアルカリ現像液を用いてウェハ全体または、ウェハ表面に形成した被膜部分をアルカリ現像液に浸漬することにより行なう。この現像する工程において、感光性レジスト膜10のパターン部分10aと、上記現像液可溶化処理が行なわれた表面偏析剤層部分とが除去される。ここで、一般的なトップコートレスレジストの表面偏析剤層は約5nm〜20nmであるが、本処理によって除去される表面偏析剤層は、液浸露光起因欠陥を大幅に抑制できるだけの除去量であればよい。その除去量は用いるレジストの特性によっても異なるが、除去量が少ないと充分な欠陥低減効果を得ることが出来ない。また、除去量が多いとエッチングを用いた被加工膜の加工時に感光性レジスト膜がマスクとしての機能を果たさなかったり、露光裕度が低下したり、レジストパターン形状に悪影響を及ぼしたりする。そのため、上記除去量の適正値としては、好ましくは3nm〜30nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。すなわち本現像する工程後に表面偏析剤層が残存していてもよいし、表面偏析剤層が完全に除去されてもよい。
【0055】
上記純水を用いてリンス処理をする工程は、ウェハを純水に浸漬したり、被膜に純水を流しかけることにより行なうなど公知の方法により行なえばよい。
【0056】
(有機反射防止膜、被加工膜エッチング:ST18)
図4のST18は、図5(h)に対応し、上記現像する工程と、純水リンス処理する工程とを行なった感光性レジスト膜10をマスクとして、有機反射防止膜9と被加工膜8とをエッチングする工程である。このようなエッチングする工程は、従来公知のドライエッチングにより行なうことができる。
【0057】
(感光性レジスト・有機反射防止膜除去:ST19)
図4のST19は、図5(i)に対応し、上記エッチングする工程後に、感光性レジスト膜10と有機反射防止膜9とを除去する工程である。このような感光性レジスト膜と有機反射防止膜とは、これらの膜を構成する樹脂が溶解する溶媒を含む溶液を用いて除去する。本発明は、上記工程によってレジストパターンを形成することができる。
【0058】
(その他の工程)
本発明のレジストパターン形成方法においては、各工程の間に適宜純水リンス工程を含んでもよい。
【0059】
(電子デバイスの製造方法)
また、上記工程に沿ってレジストパターンが形成された基板を用いて、電子デバイスを製造することができる。電子デバイスの製造の一例を示す。公知のコンタクト工程における層間膜としてTEOSシリコン酸化膜をCVD成膜し、さらに、このTEOSシリコン酸化膜を被加工膜として、上述の現像液可溶化処理工程を含む液浸リソグラフィによりコンタクトホールパターンのレジストマスクを形成する。その後、ドライエッチングで被加工膜であるTEOSシリコン酸化膜にホールを開口し、次いでレジストマスクを除去する。このホール内に薄膜バリアメタルを形成し、その上にタングステン膜をCVDで形成した後に、CMPによるエッチバックでタングステンをコンタクトホール内にプラグとして埋め込む。
【0060】
次に第一メタル配線形成工程としてシングルダマシン構造を形成するために、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、この低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を被加工膜として公知の方法によりリソグラフィ、エッチング、およびレジスト除去を行ない、溝(トレンチ)配線パターンを形成する。この溝(トレンチ)の中にバリアメタルを成膜して、Cuをメッキ処理で埋め込み、CMPでエッチバックして第一メタル配線を形成する。
【0061】
さらに、第二メタル配線形成工程としてデュアルダマシン方式とした構造を形成するために、ライナー膜、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、ホールと溝(トレンチ)のリソグラフィとエッチング、レジスト除去により第二メタル配線を形成する。この工程を積層で数回繰り返して、電子デバイスのウェハ形成プロセスを完了する。さらに、この後にパッシーベーション、ダイシング、ワイアボンディング、モールドなどの公知の後工程を経て電子デバイスを製造することができる。
【0062】
本発明のレジストパターン形成方法により形成されたレジストパターンを有する基板を用いて製造した電子デバイスは、高スループットで低欠陥な液浸リソグラフィが可能であるので、寿命および信頼性に優れた電子デバイスを提供することができる。これらの電子デバイスとしては、半導体デバイス、液晶表示素子、磁気ヘッド、マイクロレンズなどを例示することができる。
【0063】
<実施の形態2>
上記実施の形態1において、アルカリ現像液に可溶化する工程は、PEB処理後に行なったが、PEB処理とアルカリ現像液に可溶化する工程とを同時に実施しても本発明の効果は奏される。このような実施の形態2におけるプロセスフローを図7に示す。また、図8に図7に示すプロセスフローに従ったレジストパターンの形成の概略図を示す。
【0064】
図7のST21〜ST24の各工程は、図5のST11〜ST14の各工程に順に対応し、図7のST26〜ST28の各工程は、図5のST17〜ST19の各工程に順に対応するものであるためその説明は省略する。
【0065】
本実施の形態2においては、上述のようにPEB処理とアルカリ現像液可溶化処理とを同時に行なう(図7のST25)。基板7上に被加工膜8を形成して(図8(a))、さらに有機反射防止膜9を形成する(図8(b))。その後感光性レジスト膜10となる材料を塗布した後に熱処理して、感光性レジスト膜10を形成する(図8(c))。マスク11を介して感光性レジスト膜10に液浸露光を行なう(図8(d))。
【0066】
感光性レジスト膜の露光後熱処理と同時処理する(図8(e))場合、感光性レジスト膜に最適な加熱温度および時間にあわせて、現像液可溶化処理を実施する必要がある。一般的には、露光後の加熱処理は、90℃〜130℃の温度範囲で約60秒間加熱処理を行なうことにより実施することができる。この処理時間程度で同時に現像液可溶化処理を完結させるためには、オゾン濃度が高い必要があり、好ましくは3%〜20.5%、さらに好ましくは8%〜20.5%である。ここで、オゾン処理(現像可溶化処理)直後にウェハを載置したチャンバを開放すると、ウェハ搬送経路や装置内部、クリーンルーム内にオゾンが漏れ出す危険性がある。これを防ぐためにはオゾン処理後にドライエアやAr、窒素などの不活性ガスにてチャンバ内を置換することが有効である。また、レジストパターン形状への影響やウェハスループットへの影響を抑制する観点から、露光後加熱処理と現像液可溶化処理を同時に実施するプロセスフローの場合、現像液可溶化処理は上記他のガスへの置換時間を含めて好ましくは180秒以内、より好ましくは60秒以内で実施されるのが望ましい。
【0067】
このように露光後熱処理と現像可溶化処理とを同時に行なった感光性レジスト膜10に対して現像する工程と純水リンス処理する工程とを施し(図8(f))、有機反射防止膜9と被加工膜8とをエッチングした後(図8(g))、感光性レジスト膜10と有機反射防止膜9とを除去してレジストパターンが形成された基板7が得られる(図8(h))。得られた基板7は上記実施の形態1と同様に電子デバイスの製造に供される。
【0068】
<実施の形態3>
本発明において、上記現像液可溶化処理は、液浸露光後ベーク処理の直前に実施する態様としてもよい。このような実施の形態2におけるプロセスフローを図9に示す。また、図10に図9に示すプロセスフローに従ったレジストパターンの形成の概略図を示す。
【0069】
図9のST31〜ST34の各工程は、図5のST11〜ST14の各工程に順に対応し、図9のST36〜ST39の各工程は、図5のST15、ST17〜ST19の各工程に順に相当するものであるためその説明は省略する。
【0070】
本実施の形態3においては、基板7上に被加工膜8を形成して(図10(a))、さらに有機反射防止膜9を形成する(図10(b))。その後感光性レジスト膜10となる材料を塗布した後に熱処理して、感光性レジスト膜10を形成する(図10(c))。マスク11を介して感光性レジスト膜10に液浸露光を行なう(図10(d))。
【0071】
次いで、本実施の形態3においては現像可溶化処理を行なう(図10(e))。この場合、現像液可溶化処理で用いる処理時間、処理温度は、上記実施の形態1と同様に設定することができ、使用するトップコートレスレジストに最適な条件を選択すればよい。ただし、現像液可溶化処理に要する時間が長くなりすぎると露光から露光後熱処理までの時間が開きすぎる場合があり、このような場合にはアルカリ現像後に形成されるレジストパターンの形状に悪影響を与えることになる。また、プロセス時間の延長はウェハのスループットの低下をも引き起こす。したがって、本実施の形態3のように露光後ベーク処理の直前に現像液可溶化処理を行なう場合、現像液可溶化処理時間は好ましくは300秒以内であり、さらに好ましくは60秒以内である。
【0072】
このように現像可溶化処理を行なった感光性レジスト膜10に対して、露光後熱処理を施し(図10(f))、次いで、現像する工程と純水リンス処理する工程とを施し(図10(g))、有機反射防止膜9と被加工膜8とをエッチングした後(図10(h))、感光性レジスト膜10と有機反射防止膜9とを除去してレジストパターンが形成された基板7が得られる(図10(i))。得られた基板7は上記実施の形態1と同様に電子デバイスの製造に供される。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載(表を含む)においてRef.とは、オゾン処理を含まない以外は、各対応する実施例と同様の方法によりパターンを形成した比較例であることを示す。
【0074】
(実施例1)
上記実施の形態1に沿って、図4および図5に示すプロセスフローでレジストパターンを形成した。まず、被加工膜8が形成された基板7上に、有機反射防止膜9(膜厚45〜100nm)を塗布し、150〜230℃で60〜180秒間ベーク処理(熱処理)を行なった。その後、表1に示す特性の異なる撥水剤(表面偏析剤)を含む市販のトップコートレスレジスト(膜厚150nm)をそれぞれ表1に示す条件でスピン塗布し、ベーク処理を行ない、感光性レジスト膜10を形成した。この基板を液浸露光機で液浸露光処理を施し、表1に示す条件で露光後加熱処理を行った後、表2に示す条件でオゾン処理を行った。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%水溶液で現像処理行ない、次いで純水リンス処理を施して、パターン形成を完了した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
本実施例で用いたトップコートレスレジスト(図5(c)の感光性レジスト膜10)および、未露光部の現像液可溶化処理後(図5(f))の感光性レジスト膜10の膜厚を表3に示す。表3に示すとおり、オゾンを用いた現像液可溶化処理によって、現像液溶解性の無い、または溶解性に乏しい撥水剤(表面偏析剤)で構成された感光性レジスト膜表層が現像後に除去され、その分感光性レジスト膜の膜厚が減少しており、それにつれて欠陥数も減少していることが分かる。
【0078】
本実施例で用いたトップコートレスレジスト(図5(c))および、未露光部の現像液可溶化処理後(図5(f))の感光性レジスト膜最表面の純水に対する接触角を表4に示す。表4に示すとおり、現像液可溶化処理によって、アルカリ現像および純水リンス後のレジスト表面の撥水性は親水化が進んでいることがわかる。
【0079】
この場合、オゾン処理時間が長い方がより親水化され、またオゾン処理時の温度が高い方がより親水化されることが確認できた。
【0080】
さらに、Resist-Aの条件1を除き、現像液可溶化処理を実施してアルカリ現像および純水リンス処理した感光性レジスト膜最表面の接触角は、現像液可溶化処理を実施せずにアルカリ現像および純水リンス処理したレジスト表面(図5(g))よりも親水化されている。これは、現像液可溶化処理によりレジスト本来が有する接触角よりもさらに低くなるように親水性を付与できることを示している。本処理により、アルカリ現像液およびその後の純水リンス処理時に撥水性が高いために発生する、図11に示す種々の欠陥発生を抑制することができる。
【0081】
以上のように処理した基板を用いて、以下のように電子デバイスのウェハ形成プロセスを施した。
【0082】
コンタクト工程における層間膜としてTEOSシリコン酸化膜をCVD成膜した。さらに、このTEOSシリコン酸化膜を被加工膜として、上述の現像液可溶化処理工程を含む液浸リソグラフィによりコンタクトホールパターンのレジストマスクを形成した。その後、ドライエッチングで被加工膜であるTEOSシリコン酸化膜にホールを開口し、次いでレジストマスクを除去した。このホール内に薄膜バリアメタルを形成し、その上にタングステン膜をCVDで形成した後に、CMPによるエッチバックでタングステンをコンタクトホール内にプラグとして埋め込んだ。
【0083】
次に第一メタル配線形成工程としてシングルダマシン構造を形成するために、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、この低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を被加工膜として公知の方法によりリソグラフィ、エッチング、およびレジスト除去を行ない、溝(トレンチ)配線パターンを形成した。この溝(トレンチ)の中にバリアメタルを成膜して、Cuをメッキ処理で埋め込み、CMPでエッチバックして第一メタル配線を形成した。
【0084】
さらに、第二メタル配線形成工程としてデュアルダマシン方式とした構造を形成するために、ライナー膜、低誘電率層間絶縁膜(Low‐K膜)を成膜して、ホールと溝(トレンチ)のリソグラフィとエッチング、レジスト除去により第二メタル配線を形成した。この工程を積層で数回繰り返して、電子デバイスのウェハ形成プロセスを完了した。この後にパッシーベーション、ダイシング、ワイアボンディング、モールドなどの公知の後工程を経て電子デバイスを完成させた。
【0085】
【表3】
【0086】
表3において欠陥の欄は、Ref.における欠陥数を100として、この欠陥数の20%以上100%以下の欠陥数が存在する場合を「×」、10%以上20%未満の欠陥数が存在する場合を「△」、0.1%を超えて10%未満の欠陥数が存在する場合を「○」、0.1%以下の欠陥数の場合を「◎」として表記した。
【0087】
【表4】
【0088】
(実施例2)
上記実施の形態2に従い、図7および図8に示すプロセスフローでレジストパターンを形成した。まず、被加工膜8が形成された基板7上に、有機反射防止膜(膜厚45〜100nm)を塗布し、150〜230℃で60〜180秒間ベーク処理(熱処理)を行なう。その後、表1に示す特性の異なる撥水剤を有する市販のトップコートレスレジスト(膜厚150nm)をそれぞれ表1に示す条件でスピン塗布し、ベーク処理を行ない、レジスト膜を形成した。この基板を液浸露光機で露光処理を施し、表5に示す条件で現像液可溶化処理と露光後加熱処理を同時に行った。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%水溶液で現像および、その後純水リンス処理を行ない、パターン形成を完了した。
【0089】
【表5】
【0090】
本実施例で用いたトップコートレスレジスト(図8(c)の感光性レジスト膜10)および、未露光部の現像液可溶化処理後(図8(e))の感光性レジスト膜の膜厚を表6に示す。表6において欠陥の欄は表3の欠陥の欄と同様の基準による結果である。表6に示すとおり、オゾンを用いた現像液可溶化処理によって感光性レジスト膜表層が現像後に除去され、その分感光性レジスト膜の膜厚が減少していることが分かる。適切なオゾン濃度と処理時間を実施することにより、現像液溶解性の無い、または溶解性に乏しい撥水剤で構成された偏析層を含む感光性レジスト膜表層を除去し、液浸露光起因欠陥を大幅に低減することができる。また、オゾン生成時に発生する紫外線等を直接レジスト面に照射されることを抑制することにより、レジストパターンの溶解や、倒壊や、変形等の問題を回避できることがわかる。
【0091】
【表6】
【0092】
本実施例で得られたトップコートレスレジスト(図8(c))および、未露光部の現像液可溶化処理後(図8(e))の感光性レジスト膜最表面の純水に対する接触角を表7に示す。表7に示すとおり、現像液可溶化処理によって、感光性レジスト膜際表面の親水化が進んでいることがわかる。レジストの露光後加熱処理と同時処理する場合は、レジストに最適な加熱温度および時間にあわせて現像液可溶化処理を実施する必要があり、実施の形態2に述べたように、一般的には90〜130℃/60秒である。この処理時間程度で現像液可溶化処理を完結させるためには、オゾン濃度が高い必要があり、好ましくは3〜20.5%、さらに好ましくは8〜20.5%である。
【0093】
【表7】
【0094】
以上のように処理した基板を用いて、実施例1と同様の工程により電子デバイスのウェハ形成プロセスを施した。
【0095】
表8に、表1に記載のResist-Aで、条件10に示された現像液可溶化処理を用いて形成された100nmライン&スペース、100nm孤立スペース、100nm孤立ラインのパターニング結果を示す。表8中、「マイクロブリッジ」とは、パターン欠陥としてマイクロブリッジが発生したことを示し、「−」とは、パターン欠陥が発生しなかったことを示す。表8の結果からわかるように、現像液可溶化処理無しの場合、マイクロブリッジ欠陥が多数見られたが、現像液可溶化処理後には欠陥は見られなかった。これは、現像液可溶化処理によりレジスト表層が現像液に溶解して流去されたこと、また、レジスト表層の親水性が向上したことでレジストパターン欠陥が抑制されたためである。
【0096】
【表8】
【0097】
(実施例3)
上記実施の形態3に従い、図9および図10に示すプロセスフローでレジストパターンを形成した。まず、被加工膜8が形成された基板7上に、有機反射防止膜9(膜厚45〜100nm)を塗布し、150〜230℃で60〜180秒間ベーク処理(熱処理)を行なった。その後、表1に示す特性の異なる撥水剤(表面偏析剤)を有する市販のトップコートレスレジスト(膜厚150nm)をそれぞれ表1に示す条件でスピン塗布し、ベーク処理を行ない、レジスト膜を形成した。この基板を液浸露光機で露光処理を施し、オゾンを用いた現像液可溶化処理を行った。その後、表1に示す条件で露光後加熱処理を行なった。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38%水溶液で現像および純水リンス処理を行ない、パターン形成を完了した。
【0098】
以上のように処理した基板を用いて、実施例1と同様に電子デバイスのウェハ形成プロセスを施した。
【0099】
上記処理により、アルカリ現像液およびその後の純水リンス処理時に撥水性が高いために発生する、図11に示す種々の欠陥発生を抑制することができた。
【0100】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0101】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のレジストパターン形成方法は、トップコートレスレジストを用いたウェハの場合に限られず、トップコートレジストを用いるウェハの形成においても適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 ウェハ、2 感光性レジスト層、3 レンズ、4 液浸液供給部、5 液浸液、6 ステージ、7 基板、8 被加工膜、9 有機反射防止膜、10 感光性レジスト膜、11 マスク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト膜に液浸露光を施す工程と、
液浸露光を施したレジスト膜を、アルカリ現像液に可溶化する工程と、
アルカリ現像液に可溶化したレジスト膜をアルカリ浸漬により現像する工程と、
現像したレジスト膜に対して純水リンス処理を行なう工程とをこの順で含み、
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なうことを特徴とする、レジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク処理を同時に実施し、
その後前記アルカリ浸漬により現像する工程と、前記純水リンス処理を行なう工程を施す、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク処理を実施した後に行ない、
その後前記アルカリ浸漬により現像する工程と、前記純水リンス処理を行なう工程を施す、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク処理の直前に実施し、
その後前記アルカリ浸漬により現像する工程と、前記純水リンス処理を行なう工程を施す、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、オゾンガス発生装置と、
内部にウェハを載置して加熱しうる加熱部材と、ガス排気口と、ガス導入口とが設置されたアルカリ現像液可溶化処理装置とを用いて施され、
前記オゾンガス発生装置またはアルカリ現像液可溶化処理装置は、オゾンガスを発生させる際に用いる紫外線を含む光が直接レジスト膜に照射されない機構を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のレジストパターン形成方法により製造した電子デバイス。
【請求項1】
レジスト膜に液浸露光を施す工程と、
液浸露光を施したレジスト膜を、アルカリ現像液に可溶化する工程と、
アルカリ現像液に可溶化したレジスト膜をアルカリ浸漬により現像する工程と、
現像したレジスト膜に対して純水リンス処理を行なう工程とをこの順で含み、
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光を施したレジスト膜を紫外線照射することなくオゾンガスに晒して行なうことを特徴とする、レジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク処理を同時に実施し、
その後前記アルカリ浸漬により現像する工程と、前記純水リンス処理を行なう工程を施す、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク処理を実施した後に行ない、
その後前記アルカリ浸漬により現像する工程と、前記純水リンス処理を行なう工程を施す、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、液浸露光後ベーク処理の直前に実施し、
その後前記アルカリ浸漬により現像する工程と、前記純水リンス処理を行なう工程を施す、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記アルカリ現像液に可溶化する工程は、オゾンガス発生装置と、
内部にウェハを載置して加熱しうる加熱部材と、ガス排気口と、ガス導入口とが設置されたアルカリ現像液可溶化処理装置とを用いて施され、
前記オゾンガス発生装置またはアルカリ現像液可溶化処理装置は、オゾンガスを発生させる際に用いる紫外線を含む光が直接レジスト膜に照射されない機構を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のレジストパターン形成方法により製造した電子デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−211153(P2010−211153A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59981(P2009−59981)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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