説明

レバースイッチ装置

【課題】コストの低廉化を図ることができるレバースイッチ装置を提供する。
【解決手段】レバースイッチ装置1は、スイッチ基板10を有するベース2と、ベース2に回転可能に配置され、レバー操作によって回転する操作レバー4と、操作レバー4に回転可能に保持され、ノブ操作によってスイッチ7,8をスイッチ基板10上でスイッチ動作させる一対の操作ノブ5,6とを備え、一方の操作ノブ5は、そのノブ操作力を受けて進退する第1のスライダ13を連結してなり、他方の操作ノブ6は、そのノブ操作力を受けて第1のスライダ13の進退方向に直交する方向に、また第1のスライダ13の進退力を受けてその方向にそれぞれ進退する第2のスライダ14を連結してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリノブを保持する操作レバーを備えたレバースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のレバースイッチ装置には、ディマ・パッシングスイッチ及びターンシグナルスイッチをそれぞれのレバー操作によって切り換え可能な操作レバーを備えたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
操作レバーは、ロータリノブとしてのフォグランプスイッチ用の操作ノブ及びヘッドランプスイッチ用の操作ノブを有し、ブラケットに第1の支軸を介して回転可能に配置されている。ブラケットは、装置本体に第2の支軸を介して回転可能に配置されている。
【0004】
そして、操作レバーは、第1のレバー操作によって第1の支軸の回りに回転し、ディマ・パッシングスイッチをスイッチ動作させるように構成されている。また、操作レバーは、第2のレバー操作によって第2の支軸の回りにブラケットと共に回転し、ターンシグナルスイッチをスイッチ動作させるように構成されている。
【0005】
第1の操作ノブは、操作レバーに回転可能に保持されている。そして、第1の操作ノブは、そのノブ操作によって操作レバーの軸線回りに回転し、フォグランプスイッチをスイッチ動作させるように構成されている。
【0006】
フォグランプスイッチは、フォグランプスイッチ用の固定コンタクト及びフォグランプスイッチ用の可動コンタクトを有し、フォグランプスイッチ用のコンタクトホルダとフォグランプスイッチ用のスイッチ基板との間に配置されている。
【0007】
フォグランプスイッチ用の固定コンタクトは、フォグランプスイッチ用のスイッチ基板上に配置されている。フォグランプスイッチ用の可動コンタクトは、フォグランプスイッチ用のコンタクトホルダに弾性変形可能に保持されている。
【0008】
フォグランプスイッチ用のコンタクトホルダは、装置本体の一方側でフォグランプスイッチ用のスイッチ基板上に進退可能に配置されている。そして、フォグランプスイッチ用のコンタクトホルダは、第1の操作ノブの回転操作による移動によってフォグランプスイッチ用の固定コンタクトとフォグランプスイッチ用の可動コンタクトとを導通・非導通状態とするように構成されている。
【0009】
第2の操作ノブは、第1の操作ノブの回転軸線上に配置され、かつ操作レバーに回転可能に保持されている。そして、第2の操作ノブは、そのノブ操作によって操作レバーの軸線回りに回転し、ヘッドランプスイッチをスイッチ動作させるように構成されている。
【0010】
ヘッドランプスイッチは、ヘッドランプスイッチ用の固定コンダクト及びヘッドランプスイッチ用の可動コンタクトを有し、ヘッドランプスイッチ用のコンタクトホルダとヘッドランプスイッチ用のスイッチ基板との間に配置されている。
【0011】
ヘッドランプスイッチ用の固定コンタクトは、ヘッドランプスイッチ用のスイッチ基板上に配置されている。ヘッドランプスイッチ用の可動コンタクトは、ヘッドランプスイッチ用のコンタクトホルダに弾性変形可能に保持されている。
【0012】
ヘッドランプスイッチ用のコンタクトホルダは、装置本体の他方側でヘッドランプスイッチ用のスイッチ基板上に進退可能に配置されている。そして、ヘッドランプスイッチ用のコンタクトホルダは、第2の操作ノブの回転操作による移動によってヘッドランプスイッチ用の固定コンタクトとヘッドランプスイッチ用の可動コンタクトとを導通・非導通状態とするように構成されている。
【0013】
以上の構成により、第1の操作ノブを回転操作すると、フォグランプスイッチがスイッチオフ状態からスイッチオン状態に、またスイッチオン状態からスイッチオフ状態にそれぞれ切り換えられる。
【0014】
一方、第2の操作ノブを回転操作すると、ヘッドランプスイッチがスイッチオフ状態からスイッチオン状態に、またスイッチオン状態からスイッチオフ状態にそれぞれ切り換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−295337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に示す従来のレバースイッチ装置によると、フォグランプスイッチが装置本体の一方側に、またヘッドランプスイッチが装置本体の他方側にそれぞれ配置されているため、各スイッチを構成する接点部が装置本体の両側に必要になる。この結果、部品点数が嵩むばかりか、配線作業が複雑になり、コスト高になるという問題がある。
【0017】
従って、本発明の目的は、部品点数を削減することができるとともに、配線作業を簡単に行うことができ、もってコストの低廉化を図ることができるレバースイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(3)のレバースイッチ装置を提供する。
【0019】
(1)基板を有する装置本体と、前記装置本体に回転可能に配置され、レバー操作によって回転する操作レバーと、前記操作レバーに回転可能に保持され、ノブ操作によってスイッチを前記基板上でスイッチ動作させる一対の操作ノブとを備え、前記一対の操作ノブのうち一方の操作ノブは、そのノブ操作力を受けて進退する第1のスイッチエレメントを連結してなり、前記一対の操作ノブのうち他方の操作ノブは、そのノブ操作力を受けて前記第1のスイッチエレメントの進退方向に直交する方向に、また前記第1のスイッチエレメントの進退力を受けてその方向にそれぞれ進退する第2のスイッチエレメントを連結してなるレバースイッチ装置。
【0020】
(2)上記(1)に記載のレバースイッチ装置において、前記一方の操作ノブは、そのノブ操作力を受けてスイッチ動作力に変換するカム部材、及び前記スイッチ動作力を前記スイッチに伝達する伝達部材を有するノブ操作力伝達機構が前記第1のスイッチエレメントとの間に配置されている。
【0021】
(3)上記(1)又は(2)に記載のレバースイッチ装置において、前記一対の操作ノブは、前記スイッチを接触型スイッチ又は非接触型スイッチとしてスイッチ動作させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、部品点数を削減することができるとともに、配線作業を簡単に行うことができ、コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチ装置の全体を説明するために概略化して示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチ装置の要部を説明するために示す分解斜視図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチ装置の要部を説明するために示す断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るレバースイッチ装置のノブ操作力伝達機構を説明するために示す斜視図。
【図6】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置のスイッチ動作を説明するために示す断面図。(a)は一方のスイッチ動作を、また(b)は他方のスイッチ動作をそれぞれ示す。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るレバースイッチ装置の要部を説明するために示す平面図及びB−B断面図。(a)は平面図を、(b)はB−B断面図をそれぞれ示す。
【図8】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施の形態に係るレバースイッチ装置の要部を説明するために示す平面図及びC−C断面図。(a)は平面図を、(b)はC−C断面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施の形態]
〔レバースイッチ装置の全体構成〕
図1はレバースイッチ装置を示す。図1及び図2に示すように、符号1で示す自動車用のレバースイッチ装置は、装置本体としてのベース2と、このベース2に対して第1の操作面F内で軸線Oの回りに回転するブラケット3と、このブラケット3に対して第2の操作面F内で軸線Oの回りに回転する操作レバー4と、この操作レバー4に対して第3の操作面F内で軸線Oの回りに回転する一対の操作ノブ5,6と、これら一対の操作ノブ5,6のノブ操作によってスイッチ動作を行う一対のスイッチ7,8(図3及び図4に示す)と、これら一対のスイッチ7,8のうち一方のスイッチ7と一対の操作ノブ5,6のうち一方の操作ノブ5との間に介在するノブ操作力伝達機構9とから大略構成されている。
【0025】
(ベース2の構成)
ベース2は、スイッチ基板10を内蔵するとともに、スイッチ基板10のコンタクト搭載面側に開口する軸孔2aを有し、ステアリングホイール(図示せず)の右側(自動車用座席から見て右側:図1では右側)に配置され、全体が略角形状の箱体によって形成されている。ベース2には、軸線Oを中心軸線とする曲率をもち、かつブラケット3を案内する円弧状のガイド溝(図示せず)が設けられている。
【0026】
(ブラケット3の構成)
ブラケット3は、軸孔2aに嵌合する支軸3a、及び自動車の上下方向(図1では紙面に直交する方向)に開口する軸孔3b,3c(図2に軸孔3bのみ示す)を有し、スイッチ基板10のコンタクト搭載面側に配置され、かつベース2に支軸3a(軸線O)の回りに回転可能に保持されている。そして、ブラケット3は、操作レバー4のレバー操作によって第1の操作面F内で軸線Oの回り(矢印a,a方向)に回転するように構成されている。
【0027】
ブラケット3には、自動車の上下方向に延び、かつスイッチ基板10のコンタクト搭載面側に突出する凸部3dが設けられている。
【0028】
また、ブラケット3には、ベース2との間に節度付与機構(図示せず)が配置されている。これにより、ブラケット3の回転動作に節度が付与される。
【0029】
(操作レバー4の構成)
操作レバー4は、ベース2外に露出する中空のレバー操作部40、及び軸孔3bに嵌合する支軸41を有し、ベース2にブラケット3を介して第2の操作面F内で支軸41(軸線O)の回り(矢印b,b方向)に回転可能に保持されている。そして、操作レバー4は、そのレバー操作によって第2の操作面F内で矢印b,b方向に回転し、ディマ・パッシングスイッチ(図示せず)をスイッチオン状態又はスイッチオフ状態とするように構成されている。
【0030】
また、操作レバー4は、そのレバー操作によって第1の操作面F内で矢印a,a方向にブラケット3と共に回転し、ターンシグナルスイッチ(図示せず)をスイッチオン状態又はスイッチオフ状態とするように構成されている。
【0031】
レバー操作部40には、その内外に開口し、かつノブ回転操作方向に延びる貫通窓40a,40bが円周方向に等間隔をもって設けられている。一方の貫通窓40aはブラケット3の支軸3a側に、また他方の貫通窓40bはスイッチ基板10側にそれぞれ配置されている。
【0032】
(操作ノブ5,6の構成)
一方の操作ノブ5は、第3の操作面Fに直交するノブ回転軸11を有し、操作レバー4にノブ回転軸11(軸線O)の回り(矢印c,c方向)に回転可能に保持されている。そして、一方の操作ノブ5は、そのノブ操作によって第3の操作面F内で矢印c,c方向にノブ回転軸11と共に回転し、一対のスイッチ7,8のうち一方のスイッチ7をスイッチオン状態又はスイッチオフ状態とするように構成されている。
【0033】
ノブ回転軸11は、レバー操作部40の貫通窓40aを挿通する棒状のアーム部11a、及びノブ操作力伝達機構9を介して操作ノブ5のノブ操作力を第1のスライダ(第1のスイッチエレメント)13に付与する球状のノブ操作力付与部11bを有し、操作レバー4のレバー操作部40内に矢印c,c方向に回転可能に配置され、全体が軸線方向両側に開口する円筒部材によって形成されている。
【0034】
他方の操作ノブ6は、第3の操作面Fに直交するノブ回転軸12を有し、操作レバー4にノブ回転軸12(軸線O)の回り(矢印c,c方向)に回転可能に保持されている。そして、他方の操作ノブ6は、そのノブ操作によって第3の操作面F内で矢印c,c方向にノブ回転軸12と共に回転し、一対のスイッチ7,8のうち他方のスイッチ8をスイッチオン状態又はスイッチオフ状態とするように構成されている。
【0035】
ノブ回転軸12は、レバー操作部40の貫通窓40bを挿通する棒状のアーム部12a、及び他方の操作ノブ6のノブ操作力を第2のスライダ(第2のスイッチエレメント)14に付与する球状のノブ操作力付与部12bを有し、一方の操作ノブ5のノブ回転軸11内に回転可能に配置されている。
【0036】
(スイッチ7,8の構成)
図3及び図4はスイッチを示す。図3及び図4に示すように、一方のスイッチ7は、固定コンタクト7a及び可動コンタクト7bを有する一対の接触型スイッチとしての例えばウォッシャスイッチ,リヤワイパスイッチからなり、スイッチ基板10のコンタクト搭載面側に配置されている。そして、一方のスイッチ7は、操作ノブ5のノブ操作による第1のスライダ13の矢印d,d方向への進退によってスイッチ動作し、他方のスイッチ8のスイッチオン又はスイッチオフ状態においてスイッチオン又はスイッチオフ状態となるように構成されている。
【0037】
固定コンタクト7aは、一対の接点部からなり、スイッチ基板10のコンタクト搭載面上であって、互いに直交(十字状に交差)する2つの仮想線m,nのうち一方の仮想線m上に搭載されている。一対の接点部は、矢印d,d方向に並列し、かつ矢印e,e方向に延びる平面矩形状の導電性部材によって形成されている。可動コンタクト7bは、可動コンタクト部材Aの一部を構成し、第2のスライダ14(後述)に弾性変形可能に保持されている。これにより、固定コンタクト7aと可動コンタクト7bとの導通・非導通によって一方のスイッチ7がスイッチ動作する。
【0038】
可動コンタクト部材Aは、一方のスイッチ7の可動コンタクト7b及び他方の可動コンタクト8bと共に、スイッチ基板10上のアース用の固定コンタクト10aに常時接続するアース用の可動コンタクトaを一体化して弾性変形可能な導電性部材によって形成されている。
【0039】
第1のスライダ13は、ブラケット3の支軸3a(図1に示す)を中心軸とする曲率をもつ円弧状の凹溝130を有し、スイッチ基板10のコンタクト搭載面側に矢印d,d方向に進退可能に配置されている。そして、第1のスライダ13は、互いに対向する一対のガイド17,18によって案内され、ノブ操作力伝達機構9からスイッチ動作力を受けて矢印d,d方向に進退するように構成されている。凹溝130は、伝達部材16(後述)のスイッチ動作力伝達部162bを介して互いに対向する1対の壁部130a,130bを第1のスライダ13のブラケット3側に立設することにより形成されている。一対のガイド17,18は、第1のスライダ13の進退方向に延び、かつ第1のスライダ13を介して互いに並列してベース2内に配置されている。
【0040】
他方のスイッチ8は、固定コンタクト8a及び可動コンタクト8bを有する接触型スイッチとしての例えばフロントワイパスイッチからなり、一方のスイッチ7と同様にスイッチ基板10のコンタクト搭載面側に配置されている。そして、他方のスイッチ8は、操作ノブ6のノブ操作による第2のスライダ14の矢印e,e方向への進退によってスイッチ動作し、一方のスイッチ7のスイッチオン又はスイッチオフ状態においてスイッチオン又はスイッチオフ状態となるように構成されている。
【0041】
固定コンタクト8aは、一対の接点部からなり、スイッチ基板10のコンタクト搭載面上であって、仮想線m,nのうち他方の仮想線n上に搭載されている。一対の接点部は、矢印e,e方向に並列し、かつ矢印d,d方向に延びる平面矩形状の導電性部材によって形成されている。可動コンタクト8bは、可動コンタクト7b,aと共に可動コンタクト部材Aを構成し、第2のスライダ14に弾性変形可能に保持されている。これにより、固定コンタクト8aと可動コンタクト8bとの導通・非導通によって他方のスイッチ8がスイッチ動作する。
【0042】
第2のスライダ14は、ノブ回転軸12(図1に示す)のノブ操作力付与部12bを介して対向する一対のホルダ壁14a,14bを有し、スイッチ基板10と第1のスライダ13との間に介在して配置され、かつスイッチ基板10のコンタクト搭載面側に可動コンタクト部材Aを介して矢印d,d方向に、また矢印d,d方向に直交する方向(矢印e,e方向)にそれぞれ進退可能に保持されている。そして、第2のスライダ14は、第1のスライダ13から進退力を受けて矢印d,d方向に、またノブ回転軸12(図1に示す)のノブ操作力付与部12bからスイッチ動作力を受けて矢印e,e方向にそれぞれ進退するように構成されている。一対のホルダ壁14a,14bは、矢印e,e方向に互いに並列して第2のスライダ14の片側端面に配置されている。
【0043】
第2のスライダ14の幅方向(矢印e,e方向)寸法は、一対のガイド17,18間の寸法よりも小さい寸法に設定されている。
【0044】
第2のスライダ14には、第1のスライダ13を介して互いに対向し、かつ矢印e,e方向に延びる進退力受部14c,14dが設けられている。これにより、第2のスライダ14が進退力受部14c,14dを介して第1のスライダ13からその進退力を受けて矢印d,d方向に進退する。また、第2のスライダ14は、操作ノブ6のノブ操作力を受けて矢印e,e方向に進退する場合には第1のスライダ13によって矢印e,e方向に案内される。
【0045】
(ノブ操作力伝達機構9の構成)
図5はノブ操作力伝達機構を示す。図5に示すように、ノブ操作力伝達機構9は、カム部材15及び伝達部材16を有し、一方の操作ノブ5(図1に示す)に連結され、かつベース2(図1に示す)内に配置されている。
【0046】
カム部材15は、ブラケット3(図1に示す)に自動車の上下方向に進退可能に配置されている。カム部材15には、ブラケット3の凸部3d(図1に示す)に嵌合する凹部150が設けられている。そして、カム部材15は、一方の操作ノブ5のノブ操作力しての進退力をスイッチ動作力としての回転力に変換するように構成されている。
【0047】
凹部150は、自動車の上下方向に延び、カム部材15の片側(スイッチ基板10側と反対側)に配置されている。
【0048】
また、カム部材15には、操作ノブ5(図1に示す)のノブ操作力をノブ操作力付与部11b(図1に示す)から受けるノブ操作力受部151、及びノブ操作力受部151で受けたノブ操作力をスイッチ動作力に変換するためのカム溝152が設けられている。
【0049】
ノブ操作力受部151は、矢印e,e方向に沿って互いに並列し、かつノブ回転軸11(図1に示す)のノブ操作力付与部11bを介して対向する一対の受部片151a,151bからなり、カム部材15のスイッチ基板10側に配置されている。
【0050】
カム溝152は、自動車後部から自動車前部に向かって凹部150から漸次離間する開口面をもつ傾斜孔によって形成されている。そして、カム溝152は、スイッチ動作力を伝達部材16に付与するように構成されている。
【0051】
伝達部材16は、胴部160及び伝達部161,162を有し、ブラケット3(図1に示す)に第2の操作面F(図2に示す)内で矢印f,f方向に回転可能に配置されている。そして、伝達部材16は、スイッチ動作力を一方のスイッチ7に伝達するように構成されている。
【0052】
胴部160は、ブラケット3の軸孔(図示せず)に嵌合する支軸160aを有し、両伝達部161,162間に介在して配置されている。
【0053】
伝達部161は、胴部160のカム部材15側に突出する棒状のアーム部161a、及びカム溝152に嵌合する球状のスイッチ動作力受部161b(図1に示す)を有し、胴部160の一方側端部(図5では上方端部)に配置されている。
【0054】
伝達部162は、胴部160のスイッチ基板10側に突出する棒状のアーム部162a、及び第1のスライダ13の凹溝130に嵌合する球状のスイッチ動作力伝達部162bを有し、胴部160の他方側端部(図5では下方端部)に配置されている。
【0055】
〔レバースイッチ装置の動作〕
次に、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置の動作につき、図1,図4,図5及び図6(a),(b)を用いて説明する。図6(a)及び(b)はノブ操作力伝達機構の動作状態を示す。
【0056】
本実施の形態に示すレバースイッチ装置の動作は、「ディマ・パッシングスイッチ」,「ターンシグナルスイッチ」,「ウォッシャ・リヤワイパスイッチ」及び「フロントワイパスイッチ」の各動作であるが、このうち「ウォッシャ・リヤワイパ」及び「フロントワイパスイッチ」の各動作について説明する。
【0057】
「ウォッシャ・リヤワイパスイッチ」
図1に示すように、操作ノブ5を軸線Oの回り(矢印c,c方向)に回転操作すると、ノブ回転軸11がアーム部11a及びノブ操作力付与部11bと共に矢印c,c方向に回転する。
【0058】
この場合、操作ノブ5の矢印c,c方向への回転によってカム部材15のノブ操作力受部151(図2に示す)が操作ノブ5のノブ操作力(進退力)をノブ操作力付与部11bから矢印e,e方向(図5に示す)に受け、カム部材15が矢印e,e方向に進退する。これに伴い、伝達部材16における伝達部161のスイッチ動作力受部161bがカム部材15おけるカム溝152の溝壁からノブ操作力をスイッチ動作力(回転力)として受け、伝達部材16が図6(a)に示すように伝達部161,162のスイッチ動作力受部161b,スイッチ動作力伝達部162bと共に矢印f,f方向に回転する。
【0059】
このため、伝達部材16のスイッチ動作力伝達部162bから第1のスライダ13における凹溝130の溝壁にスイッチ動作力が伝達され、第1のスライダ13が第2のスライダ14と共に矢印d,d方向にスイッチ基板10のコンタクト搭載面上を進退する。この場合、第2のスライダ14は、進退力受部14c,14dを介して第1のスライダ13から矢印d,d方向の進退力を受けて進退動作が行われる。
【0060】
これにより、スイッチ基板10上の固定コンタクト7a(図4に示す)と可動コンタクト7b(図4に示す)とが非導通状態から接触によって導通状態になると、スイッチ7がスイッチオン状態となり、ウォッシャ・リヤワイパが駆動される。一方、固定コンタクト7aと可動コンタクト7bとが導通状態から互いに離間して非導通状態になると、スイッチ7がスイッチオフ状態となり、ウォッシャ・リヤワイパの駆動が停止される。
【0061】
「フロントワイパスイッチ」
図1に示すように、操作ノブ6を軸線Oの回り(矢印c,c方向)に回転操作すると、ノブ回転軸12がアーム部12a及びノブ操作力付与部12bと共に矢印c,c方向に回転する。
【0062】
この場合、操作ノブ6の矢印c,c方向への回転によって第2のスライダ14のホルダ壁14a,14bが図6(b)に示すように操作ノブ6のノブ操作力をノブ操作力付与部12bから矢印e,e方向に受け、第2のスライダ14が矢印e,e方向にスイッチ基板10のコンタクト搭載面上を進退する。
【0063】
これにより、スイッチ基板10上の固定コンタクト8aと可動コンタクト8bとが非導通状態から接触によって導通状態になると、スイッチ8がスイッチオン状態となり、フロントワイパが駆動される。一方、固定コンタクト8aと可動コンタクト8bとが導通状態から互いに離間して非導通状態になると、スイッチ8がスイッチオフ状態となり、フロントワイパの駆動が停止される。
【0064】
本実施の形態においては、スイッチ7,8が共にベース2の一方側に配置されているため、スイッチ7,8を構成する固定コンタクト7a,8aが共通のスイッチ基板10上に搭載することができる。
【0065】
また、本実施の形態においては、スイッチ7,8をベース2の一方側に配置するために、ノブ操作力伝達機構9の各構成要素(カム部材15,伝達部材16)の剛性が低下することがない。
【0066】
なお、ターンシグナルスイッチは操作レバー4を軸線Oの回り(矢印a,a方向)に、またディマ・パッシングスイッチは操作レバー4を軸線Oの回り(矢印b,b方向)にそれぞれ回転操作することによりスイッチ動作させることができる。
【0067】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0068】
(1)スイッチ7,8を構成する固定コンタクト7a,8a,10aを共通のスイッチ基板10上に搭載することができるとともに、可動コンタクト7b,8b,aを一体化して第2のスライダ14に保持することができる。これにより、部品点数を削減することができるとともに、配線作業を簡単に行うことができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0069】
(2)ノブ操作力伝達機構9の各構成要素の剛性が低下することがないため、ノブ操作力伝達機構9のロバスト性を維持することができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るレバースイッチ装置の要部につき、図7(a)及び(b)を用いて説明する。図7(a)及び(b)はスイッチを示す。図7(a)及び(b)において図3及び図4と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0071】
図7(a)及び(b)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るレバースイッチ装置のスイッチ21,22は、第1の実施の形態に示す接触型スイッチ(スイッチ7,8)ではなく、非接触型スイッチである点に特徴がある。スイッチ21はスイッチ7に、またスイッチ22はスイッチ8にそれぞれ対応する。
【0072】
スイッチ21は、一対の発光素子21a及び受光素子21bを有し、スイッチ実装部材23(後述)に実装されている。一方の発光素子21a及び受光素子21bは共通の第1の光軸s上に、また他方の発光素子21a及び受光素子21bは共通の第2の光軸t上にそれぞれ配置されている。そして、スイッチ21は、スイッチ22のスイッチオン又はスイッチオフ状態においてスイッチオン又はスイッチオフ状態になるように構成されている。
【0073】
スイッチ22は、一対の発光素子22a及び受光素子22bを有し、スイッチ実装部材23に実装されている。一方の発光素子22a及び受光素子22bは共通の第3の光軸u上に、また他方の発光素子22a及び受光素子22bは共通の第4の光軸(図示せず)上にそれぞれ配置されている。そして、スイッチ22は、スイッチ21のスイッチオン又はスイッチオフ状態においてスイッチオン又はスイッチオフ状態になるように構成されている。
【0074】
第2のスライダ14には、スイッチ21の発光素子21aの光を透過させる一対の光透過孔14e、及びスイッチ22の発光素子22aの光を透過させる一対の光透過孔14fが設けられている。
【0075】
ベース2(図1に示す)内には、スイッチ21,22を実装する基板としてのスイッチ実装部材23が収容されている。
【0076】
スイッチ実装部材23は、第2のスライダ14を介して互いに対向する一対の素子搭載部23a,23b、及びこれら一対の素子搭載部23a,23bを連結する連結部23cを有する断面コ字状の部材によって形成されている。一方の素子搭載部23aには、発光素子21aが矢印d,d方向に、また発光素子22aが矢印e,e方向にそれぞれ所定の間隔をもって搭載されている。他方の素子搭載部23bには、受光素子21bが矢印d,d方向に、また受光素子22bが矢印e,e方向にそれぞれ所定の間隔をもって搭載されている。
【0077】
このように構成されたスイッチ21のスイッチオン動作は、スイッチオフ状態(発光素子21aからの光が受光素子21bに到達せず、第2のスライダ14によって遮断されている状態)から第2のスライダ14が矢印d,d方向に進退し、発光素子21aからの光が光透過孔14fを透過して受光素子21bに到達することにより行われる。一方、スイッチオフ動作は、スイッチオン状態から第2のスライダ14が矢印d,d方向に進退して発光素子21aからの光を遮断することにより行われる。
【0078】
また、スイッチ22のスイッチオン動作は、スイッチオフ状態(発光素子22aからの光が受光素子22bに到達せず、第2のスライダ14によって遮断されている状態)から第2のスライダ14が矢印e,e方向に進退し、発光素子22aからの光が光透過孔14eを透過して受光素子22bに到達することにより行われる。一方、スイッチオフ動作は、スイッチオン状態から第2のスライダ14が矢印e,e方向に進退して発光素子22aからの光を遮断することにより行われる。
【0079】
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に示す効果(2)に加え、次に示す効果が得られる。
【0080】
(1)スイッチ実装部材23にスイッチ21,22を実装することができる。これにより、部品点数を削減することができるとともに、配線作業を簡単に行うことができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0081】
(2)機械的な接点がないため、接触型スイッチのようには接触不良の問題がないという利点がある。
【0082】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係るレバースイッチ装置の要部につき、図8(a)及び(b)を用いて説明する。図8(a)及び(b)はスイッチを示す。図8(a)及び(b)において図3及び図4と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図8(a)及び(b)に示すように、本発明の第3の実施の形態に係るレバースイッチ装置のスイッチ31,32は、第2の実施の形態に示すスイッチ21,22と同様、非接触型スイッチである点に特徴がある。スイッチ31はスイッチ21に、またスイッチ32はスイッチ22にそれぞれ対応する。
【0084】
スイッチ31は、一対の磁気センサ31a及びマグネット31bを有し、磁気センサ31aがスイッチ基板10に、またマグネット31bが第2のスライダ14にそれぞれ配置されている。そして、スイッチ31は、スイッチ32のスイッチオン又はスイッチオフ状態においてスイッチオン又はスイッチオフ状態となるように構成されている。
【0085】
スイッチ32は、一対の磁気センサ32a及びマグネット32bを有し、磁気センサ32aがスイッチ基板10に、またマグネット32bが第2のスライダ14にそれぞれ配置されている。そして、スイッチ32は、スイッチ31のスイッチオン又はスイッチオフ状態においてスイッチオン又はスイッチオフ状態となるように構成されている。
【0086】
磁気センサ32aとしては磁気抵抗効果素子(MRセンサ),ホール素子等が用いられる。
【0087】
このように構成されたスイッチ31のスイッチオン動作は、スイッチオフ状態から第2のスライダ14が矢印d,d方向に進退し、マグネット31bと磁気センサ31aとの間の距離に基づく磁場の第1の変化を磁気センサ31aが検出することにより行われる。一方、スイッチオフ動作は、スイッチオン状態から第2のスライダ14が矢印d,d方向に進退してマグネット31bと磁気センサ31aとの間の距離に基づく磁場の第2の変化を磁気センサ31aが検出することにより行われる。
【0088】
また、スイッチ32のスイッチオン動作は、スイッチオフ状態から第2のスライダ14が矢印e,e方向に進退し、マグネット32bと磁気センサ32aとの間の距離に基づく磁場の第3の変化を磁気センサ32aが検出することにより行われる。一方、スイッチオフ動作は、スイッチオン状態から第2のスライダ14が矢印e,e方向に進退してマグネット32bと磁気センサ32aとの間の距離に基づく磁場の第4の変化を磁気センサ32aが検出することにより行われる。
【0089】
[第3の実施の形態の効果]
以上説明した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態に示す効果(2)に加え、次に示す効果が得られる。
【0090】
(1)スイッチ基板10と第2のスライダ14との間にスイッチ31,32を配置することができる。これにより、部品点数を削減することができるとともに、配線作業を簡単に行うことができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0091】
(2)機械的な接点がないため、接触型スイッチのようには接触不良の問題がないという利点がある。
【0092】
以上、本発明のレバースイッチ装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0093】
(1)上記実施の形態では、スイッチがウォッシャ・リヤワイパスイッチ,フロントワイパスイッチである場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばレーンチェンジランプスイッチなど他のスイッチであっても勿論よい。
【0094】
(2)上記実施の形態では、自動車に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の車両にも上記実施の形態の場合と同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…レバースイッチ装置、2…ベース、2a…軸孔、3…ブラケット、3a…支軸、3b…軸孔、3d…凸部、4…操作レバー、40…レバー操作部、40a,40b…貫通窓、5,6…操作ノブ、7…スイッチ、7a…固定コンタクト、7b…可動コンタクト、8…スイッチ、8a…固定コンタクト、8b…可動コンタクト、9…ノブ操作力伝達機構、10…スイッチ基板、10a…固定コンタクト、11…ノブ回転軸、11a…アーム部、11b…ノブ操作力付与部、12…ノブ回転軸、12a…アーム部、12b…ノブ操作力付与部、13…第1のスライダ、130…凹溝、130a,130b…ガイド、14…第2のスライダ、14a,14b…ホルダ壁、14c,14d…進退力受部、14e…光透過孔、15…カム部材、150…凹部、151…ノブ操作力受部、151a,151b…受部片、152…カム溝、16…伝達部材、160…胴部、160a…支軸、161…伝達部、161a…アーム部、161b…スイッチ動作力受部、162…伝達部、162a…アーム部、162b…スイッチ動作力伝達部、21,22…スイッチ、21a,22a…発光素子、21b,22b…受光素子、23…スイッチ実装部材、23a,23b…素子搭載部、23c…連結部、31,32…スイッチ、31a,32a…磁気センサ、31b,32b…マグネット、A…可動コンタクト部材、a…可動コンタクト、F…第1の操作面、F…第2の操作面、F…第3の操作面、a,a,b,b,c,c,d,d,e,e,f,f…矢印、s,t,u…光軸、O,O,O…軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を有する装置本体と、
前記装置本体に回転可能に配置され、レバー操作によって回転する操作レバーと、
前記操作レバーに回転可能に保持され、ノブ操作によってスイッチを前記基板上でスイッチ動作させる一対の操作ノブとを備え、
前記一対の操作ノブのうち一方の操作ノブは、そのノブ操作力を受けて進退する第1のスイッチエレメントを連結してなり、
前記一対の操作ノブのうち他方の操作ノブは、そのノブ操作力を受けて前記第1のスイッチエレメントの進退方向に直交する方向に、また前記第1のスイッチエレメントの進退力を受けてその方向にそれぞれ進退する第2のスイッチエレメントを連結してなる
レバースイッチ装置。
【請求項2】
前記一方の操作ノブは、そのノブ操作力を受けてスイッチ動作力に変換するカム部材、及び前記スイッチ動作力を前記スイッチに伝達する伝達部材を有するノブ操作力伝達機構が前記第1のスイッチエレメントとの間に配置されている請求項1に記載のレバースイッチ装置。
【請求項3】
前記一対の操作ノブは、前記スイッチを接触型スイッチ又は非接触型スイッチとしてスイッチ動作させる請求項1又は2に記載のレバースイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−22852(P2012−22852A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158964(P2010−158964)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】