説明

レバースイッチ

【課題】各種電子機器において、記録媒体の有無やメカニズムの動作検出等に用いられるレバースイッチに関し、移動体の検出位置のばらつきが小さく確実な検出が可能なレバースイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】ケース1の開口部1Bから外方に突出したレバー14の操作部14Bの先端部に、支点部である軸孔14A方向へ突出する当接部14Cを設けることによって、操作部14Bを押圧操作する移動体7の位置が上下方向にばらついたとしても、移動体7はレバー14の操作部14Bには常に当接部14Cで当接して、レバースイッチのスイッチ接点がON状態となる検出位置がほぼ一定となり、検出位置が安定し確実な検出が可能なものにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器において、記録媒体の有無やメカニズムの動作検出等に用いられるレバースイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオやパソコン等の各種電子機器の小型化や高機能化が進むなか、これらのディスク等の記録媒体の有無、或いはメカニズムの動作検出等に用いられる検出用のレバースイッチにおいても、小型薄型で動作検出の確実なものが求められている。
【0003】
このような従来のレバースイッチについて、図5〜図7を用いて説明する。
【0004】
図5は従来のレバースイッチの断面図、図6は同分解斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製で前面開口の略箱形のケースで、下内側壁には導電金属製の共通接点2が、これに隣接する右内側壁には同じく導電金属製の固定接点3が、インサート成形等によって各々植設固定されている。
【0005】
そして、4は絶縁樹脂製のレバーで、右端の支点部としての軸孔4Aがケース1右上方の支持軸1Aに回動可能に装着されると共に、左端には左外側が略円弧状で軸孔4A側がケース1上側面に対し略垂直または下方がやや広く傾斜した略三角状の操作部4Bが、ケース1の開口部1Bから上方へ突出している。
【0006】
また、5は弾性金属薄板製で略V字状の可動接点で、全体がやや撓んだ状態でケース1内に収納されると共に、中間の折曲部5Aの一方から延出した第1腕部5B左端に設けられた略コの字状の固定部5Cが、共通接点2とケース1の保持部1Cの間に圧入固定され、固定部5C下面の突部5Dが共通接点2に弾接している。
【0007】
さらに、可動接点5の折曲部5Aの他方から延出した第2腕部5Eの先端に形成された接点部5Fが、固定接点3上方のケース1右内側壁に弾接している。
【0008】
そして、レバー4下面の下方へ突出形成された押圧部4Cが、可動接点5の折曲部5A近傍を弾接すると共に、この可動接点5やレバー4を収納したケース1の前面を、金属薄板製のカバー6が覆って、レバースイッチが構成されている。
【0009】
なお、ケース1内に配設された共通接点2及び固定接点3と、これらとレバー4の動作に伴って電気的接離が行われる可動接点5によってスイッチ接点が形成されている。
【0010】
また、このように構成されたレバースイッチは、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)等に載置され、ケース1から外方へ突出した共通接点2や固定接点3の端子部が、所定の配線パターンにはんだ付けされ、機器の電子回路に電気的に接続される。
【0011】
以上の構成において、機器側のディスク等の記録媒体の挿抜、或いはツマミや扉等のメカニズムにおいて、例えば、ディスクが載置されたトレー(図示せず)が機器内に進入すると、図5(a)に示すように、トレーに形成された略矩形の移動体7が、右方の所定位置Sから左方へ、ケース1上側面と所定の基準間隔で平行に移動して、移動体7左端の作動面7Aが当接位置A1で操作部4B右上部に当接する。
【0012】
そして、移動体7が左方向へ移動しながら操作部4Bを押圧操作すると、レバー4が軸孔4Aを支点として反時計方向へ回動すると共に、レバー4下面の押圧部4Cが可動接点5の折曲部5A近傍を押圧しながら下方へ弾接摺動して、可動接点5全体がさらに撓んで、接点部5Fが下方へ弾接摺動する。
【0013】
さらに、図5(b)の断面図に示すように、移動体7が位置A2に移動すると、可動接点5の接点部5Fはケース1右内側壁から下方の固定接点3に弾接して、共通接点2と固定接点3間が電気的に接続されたON状態となる。
【0014】
そして、このように移動体7が検出位置A2でスイッチ接点がON状態になることによって、ディスクの機器への挿入が検出されて、その検出信号により機器は所定の動作を開始する。
【0015】
なお、図7(a)の断面図に示すように、例えば、レバースイッチの配線基板への実装位置のずれや、機器内のトレー装着位置のばらつきなどにより、移動体7が基準間隔より狭い下方に位置して、移動体7の作動面7A下端がケース1上側面近傍の操作部4Bに当接する場合がある。
【0016】
このとき、移動体7が操作部4Bの根元近傍に当接して押圧操作すると、図7(b)に示すように、レバー4が軸孔4Aを支点として操作部4Bの根元近傍との間の短い半径で回動するため、移動体7の移動に伴いスイッチ接点がON状態となる検出位置B2は、移動体7がケース1上側面から所定の基準間隔にあるときの検出位置A2に比べ短いものとなって、移動体7の挿入検出位置にばらつきが生じ易いものであった。
【0017】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−71504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来のレバースイッチにおいては、レバースイッチに対する移動体7の上下方向の位置のばらつきによって、操作部4Bの押圧操作される箇所が変化するため、レバースイッチによる移動体7の検出位置にばらつきが生じ易いという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、機器の移動体の上下方向のばらつきによっても、移動体の検出位置のばらつきが小さく、検出位置が安定し確実な検出が可能なレバースイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、ケースの開口部から外方に突出したレバーの操作部の先端部に、支点部方向へ突出する当接部を設けてレバースイッチを構成したものであり、操作部を押圧操作する移動体の位置が上下方向にばらついても、移動体と操作部は常に支点部方向に突出した当接部で当接し、操作部が押圧操作される箇所が一定のため、レバースイッチが例えばON状態となる検出位置のばらつきが小さく、検出位置が安定し確実な検出が可能なレバースイッチを得ることができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、検出位置のばらつきが小さく、検出位置が安定し確実な検出が可能なレバースイッチを実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態によるレバースイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同動作を示す断面図
【図4】同動作を示す断面図
【図5】従来のレバースイッチの断面図
【図6】同分解斜視図
【図7】同動作を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0025】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による断面図、図2は同じく分解斜視図であり、同図において、1は液晶ポリマーやポリフェニレンサルファイト(以下、PPSと記載する)等の絶縁樹脂製で前面開口の略箱形のケースで、下内側壁には導電金属製の共通接点2が、これに隣接する右内側壁には同じく導電金属製の固定接点3が、インサート成形等によって各々植設固定されている。
【0027】
そして、14は略L字状で液晶ポリマーやPPS等の絶縁樹脂製のレバーで、右端の支点部としての軸孔14Aがケース1右上方の支持軸1Aに回動可能に装着されると共に、左端部にはケース1の開口部1Bから外方へ突出した操作部14Bが設けられている。
【0028】
また、操作部14Bは左側が略円弧状で、右側の軸孔14A側の先端部には軸孔14A方向へ突出する小さな略円弧状の当接部14Cが形成されると共に、当接部14Cの下側には軸孔14A方向に対し逆方向に窪んだ窪部14Dが形成されている。
【0029】
さらに、5は弾性金属薄板製で略V字状の可動接点で、全体がやや撓んだ状態でケース1内に収納されると共に、中間の折曲部5Aの一方から延出した第1腕部5B左端に設けられた略コの字状の固定部5Cが、共通接点2とケース1の保持部1Cの間に圧入固定され、固定部5C下面の突部5Dが共通接点2に弾接している。
【0030】
さらに、可動接点5の折曲部5Aの他方から延出した第2腕部5Eの先端に形成された接点部5Fが、固定接点3上方のケース1右内側壁に弾接している。
【0031】
そして、レバー14下面の下方へ突出形成された押圧部14Eが、可動接点5の折曲部5A近傍を弾接すると共に、この可動接点5やレバー14を収納したケース1の前面を、金属薄板製のカバー6が覆って、レバースイッチが構成されている。
【0032】
なお、ケース1内に配設された共通接点2及び固定接点3と、これらとレバー14の動作に伴って電気的接離が行われる可動接点5とによってスイッチ接点が形成されている。
【0033】
また、このように構成されたレバースイッチは、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)等に載置され、ケース1から外方へ突出した共通接点2や固定接点3の端子部が、所定の配線パターンにはんだ付けされ、機器の電子回路に電気的に接続される。
【0034】
以上の構成において、機器側のディスク等の記録媒体の挿抜、或いはツマミや扉等のメカニズム等で、例えば、ディスクが載置されたトレー(図示せず)が機器内に進入すると、図1に示すように、トレーに形成された略矩形の移動体7が、操作部14Bから離れた右方の所定位置Sから左方へ、ケース1上側面と所定の基準間隔で平行に移動して、移動体7左端の作動面7Aが当接位置A1で操作部14Bの先端部の当接部14Cに当接する。
【0035】
そして、移動体7が左方向へ移動しながら操作部14Bの当接部14Cを押圧操作すると、レバー14が軸孔14Aを支点として反時計方向へ回動すると共に、レバー14下面の押圧部14Eが可動接点5の折曲部5A近傍を押圧しながら下方へ弾接摺動して、可動接点5全体がさらに撓んで、接点部5Fがケース1右内側壁から下方へ弾接摺動する。
【0036】
さらに、図3(a)の断面図に示すように、移動体7が位置A2に移動すると、可動接点5の接点部5Fが下方の固定接点3に弾接して、共通接点2と固定接点3間が電気的に接続されたON状態となる。
【0037】
そして、このように移動体7が検出位置A2でスイッチ接点がON状態になることによって、ディスクの機器への挿入が検出されて、その検出信号により機器は所定の動作を開始する。
【0038】
なお、右方から移動してきた移動体7の作動面7Aが当接部14Cに当接してから、少なくともスイッチ接点がON状態となるまでは、レバー14が回動しても当接部14Cのみが作動面7Aに常に当接するように、当接部14C下方の窪部14Dは形成されている。
【0039】
その後、続いて移動体7が左方へ移動すると、図3(b)に示すように、移動体7は操作部14Bを下方へ押下げて、その上端を通過すると共に、スイッチ接点のON状態が継続した状態で所定の位置で停止する。
【0040】
また、進入したトレー等が外方の右方向へ移動して、移動体7によるレバー14への押圧操作が解除されると、可動接点5の弾性復帰力によって、レバー14が上方向に付勢されて回動すると共に、接点部5Fも固定接点3上を上方へ弾接摺動し、ケース1右内側壁に弾接して、共通接点2と固定接点3間が電気的に切断された、図1のOFF状態に復帰するように構成されている。
【0041】
なお、このようなレバースイッチが装着される機器において、図4(a)の断面図に示すように、例えば、レバースイッチの配線基板への実装位置のずれや、機器内のトレー装着位置のばらつきなどにより、移動体7が下方にずれて、レバースイッチのケース1上側面に対し基準間隔より接近した位置で、右方から操作部14Bに当接して押圧操作する場合がある。
【0042】
このとき、移動体7の作動面7Aは移動体7の上下方向の位置に関係なく、操作部14Bの当接部14Cに当接しながら、レバー14を反時計方向へ回動させる。
【0043】
したがって、図4(b)に示すように、移動体7は当接位置A1で当接部14Cに当接してから可動接点5の接点部5Fが固定接点3に弾接してスイッチ接点がON状態となる検出位置C2は、上述したような移動体7が所定の基準間隔で配置された時の検出位置A2とほぼ同じものとなる。
【0044】
つまり、移動体7の上下方向の位置が多少ずれて配置されたとしても、移動体7は常に操作部14Bの当接部14Cに当接しこれを押圧操作するため、移動体7の左方向への移動に伴うレバースイッチによる検出位置はほぼ一定で安定したものとなる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、ケース1の開口部1Bから外方に突出したレバー14の操作部14Bの先端部に、支点部としての軸孔14A方向へ突出する当接部14Cを設けることによって、操作部14Bを押圧操作する移動体7の位置が上下方向にばらついたとしても、移動体7はレバー14の操作部14Bには常に当接部14Cで当接して、レバー14が押圧操作されて回動するため、レバースイッチのスイッチ接点がON状態となる検出位置がほぼ一定となり、検出位置が安定し確実な検出が可能なレバースイッチを実現することができる。
【0046】
なお、以上の説明では、レバー14を押圧操作すると所定の位置でON状態となり、レバー14への押圧操作を解除するとOFF状態となるレバースイッチとして説明したが、これとは逆に、レバー14が上方へ付勢された位置ではON状態で、レバー14を押圧操作すると所定の位置でOFF状態となるレバースイッチにおいても本発明の実施は可能である。
【0047】
また、レバースイッチをレバー14の支点部としての軸孔14Aがケース1の支持軸1Aに支持され、レバー14がケース1に回動可能に装着されたものとしたが、レバー14に支点部として支持軸を設けると共に、この支持軸がケース1に設けた軸孔に支持される構成のものとしても良い。
【0048】
さらに、以上の説明では、V字形の可動接点5によって固定接点3と弾接摺動するレバースイッチを例に挙げて説明したが、所定方向へのレバーの回動に伴って内部のスイッチ接点の電気的接離が行われるレバースイッチであれば本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によるレバースイッチは、検出位置が安定し確実な検出が可能なものが得られ、各種電子機器において、記録媒体の有無やメカニズムの動作検出等に有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 ケース
1A 支持軸
1B 開口部
1C 保持部
2 共通接点
3 固定接点
5 可動接点
5A 折曲部
5B 第1腕部
5C 固定部
5D 突部
5E 第2腕部
5F 接点部
6 カバー
7 移動体
14 レバー
14A 軸孔
14B 操作部
14C 当接部
14D 窪部
14E 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側壁に開口部を有する略箱型のケースと、このケースに一端部の支点部が回動可能に保持されると共に、他方の操作部が前記ケースの前記開口部から外方に突出したレバーと、前記ケース内に設けられ、前記操作部が押圧操作されて回動する前記レバーによって電気的接離が行われるスイッチ接点からなり、前記レバーの操作部の先端部に前記支点部方向へ突出する当接部を設けたレバースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−190576(P2012−190576A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51188(P2011−51188)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】