説明

レバー式コネクタ

【課題】コネクタハウジング相互の嵌合完了状態におけるガタつきの発生を防止することができ、しかも、嵌合用ピンとピン案内溝の嵌合精度の緩和により製造コストの低減を図ることができるレバー式コネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】嵌合操作レバー29の回動動作に伴い雄コネクタハウジング23に突設された嵌合用ピン27をピン案内溝30の終端側に引き込む嵌合操作レバー29を雌コネクタハウジング25に備えるレバー式コネクタ21において、ピン案内溝30の終端側には、コネクタハウジング23,25相互の嵌合が完了したときに、ピン案内溝30内の嵌合用ピン27に弾性変形状態で接触して、嵌合操作レバー29及び嵌合用ピン27の相対移動を規制するばね部61を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、多極コネクタのように高嵌合力が必要とされるコネクタの分野では、嵌合力を助勢するための嵌合操作レバーを備えたレバー式コネクタが利用されている。
【背景技術】
【0002】
図9及び図10は、下記特許文献1に開示されたレバー式コネクタ1を示したものである。
【0003】
このレバー式コネクタ1は、第1コネクタハウジング3と、第2コネクタハウジング5と、嵌合用ピン7と、嵌合操作レバー9と、を備えている。
【0004】
第1コネクタハウジング3は、図示はしていないが、複数の第1接続端子を収容している。第2コネクタハウジング5は、前記第1接続端子に嵌合接続する複数の第2接続端子を収容していて、第1コネクタハウジング3に嵌合接続される。
【0005】
嵌合用ピン7は、第1コネクタハウジング3の左右の外側面に突設されている。また、嵌合用ピン7は、図10に示すように、第1コネクタハウジング3の外側方に突出するピン本体7aと、このピン本体7aの先端に鍔状に形成された抜け止め用のフランジ部7bとを備えている。
【0006】
嵌合操作レバー9は、第2コネクタハウジング5の左右の外側面のレバー支持軸5aに回動可能に取り付けられる左右一対のレバー本体9aと、左右一対のレバー本体9aを連結する回動操作部9bとを備えている。そして、各レバー本体9aには、嵌合用ピン7が進入可能なピン案内溝10が形成されている。
【0007】
ピン案内溝10は、第1コネクタハウジング3と第2コネクタハウジング5の嵌合初期に前記嵌合用ピン7のピン本体7aが進入する溝始端開口部10aと、嵌合操作レバー9の矢印A方向への回動に伴い嵌合用ピン7を溝の終端側に引き込む引き込み誘導面10bとを備えている。
【0008】
嵌合操作レバー9は、嵌合操作レバー9の回動時に、小さな回動操作力で嵌合用ピン7の引き込みが可能な梃子として機能するように、各部の寸法が設定されている。
【0009】
以上のレバー式コネクタ1は、嵌合操作レバー9を回動操作することにより、前記嵌合用ピン7を溝始端開口部10aから前記ピン案内溝10の終端に向けて相対移動させて、前記両コネクタハウジング3,5を嵌合させる。
【0010】
このようなレバー式コネクタ1において、嵌合操作レバー9の回動操作により両コネクタハウジング3,5の嵌合接続が完了した状態において、両コネクタハウジング3,5間に相対移動を許容する隙間が残っていると、レバー式コネクタ1に接続されているケーブルに作用する張力や外部からの振動によって、両コネクタハウジング3,5間にガタつきが発生して、異音の発生や、接続端子の折衝不良等の不都合を招くおそれがある。
【0011】
そこで、上記レバー式コネクタ1の場合は、ガタつき防止対策として、図9に示すようにピン案内溝10の幅を入口から終端に向かうほど小さくなるように形成し、更に、図10に示すように、嵌合用ピン7のピン本体7aの外周に、根元から先端に行くほど直径が大きくなるテーパ面7cに形成している。レバー式コネクタ1では、このような対策により、両コネクタハウジング3,5相互の嵌合接続の完了時には、嵌合用ピン7のピン本体7aが緊密にピン案内溝10に嵌合した状態となって、両コネクタハウジング3,5間におけるガタつきの発生が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−193876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、特許文献1におけるガタつき防止機構では、例えば、嵌合用ピン7やピン案内溝10に高い嵌合精度が要求され、両コネクタハウジング3,5や嵌合操作レバー9を高い寸法精度で形成することが不可欠になる。そして、両コネクタハウジング3,5や嵌合操作レバー9を成形する成形金型の高精度化のために、製造コストが高額化するという問題が生じた。
【0014】
また、嵌合用ピン7とピン案内溝10との摺動摩擦が増加するため、嵌合操作レバー9の回動操作に大きな操作力が必要になるという問題も生じた。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、コネクタハウジング相互の嵌合完了状態におけるガタつきの発生を防止することができ、しかも、嵌合用ピンとピン案内溝の嵌合精度の緩和により製造コストの低減を図ることができ、また、操作力の低減によりコネクタハウジング相互の嵌合を容易することができるレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)第1接続端子を収容した第1コネクタハウジングと、前記第1接続端子に嵌合接続する第2接続端子を収容し前記第1コネクタハウジングに嵌合接続される第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングの外側面に突設された嵌合用ピンと、前記嵌合用ピンが進入可能なピン案内溝を有して前記第2コネクタハウジングの側面に回動可能に取り付けられる嵌合操作レバーと、を備え、
前記ピン案内溝は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングの嵌合初期に前記嵌合用ピンが進入する溝始端開口部と、前記嵌合操作レバーの回動に伴い前記嵌合用ピンを溝の終端側に引き込む引き込み誘導面とを備え、
前記嵌合操作レバーを回動操作することにより、前記嵌合用ピンを前記溝始端開口部から前記ピン案内溝の終端に向けて相対移動させて、前記両コネクタハウジングを嵌合させるレバー式コネクタにおいて、
前記ピン案内溝の終端側には、コネクタハウジング相互の嵌合が完了したときに、前記ピン案内溝内の前記嵌合用ピンに弾性変形状態で接触して、前記嵌合操作レバー及び嵌合用ピンの相対移動を規制するばね部を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ。
【0017】
(2)前記ばね部が、前記引き込み誘導面から溝幅を狭める方向に膨出した湾曲壁であることを特徴とする上記(1)に記載のレバー式コネクタ。
【0018】
上記(1)の構成によれば、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとの嵌合初期状態から、嵌合操作レバーを回動操作することで、コネクタハウジング相互を嵌合させる。その際、コネクタハウジング相互の嵌合が完了したときには、ばね部が、ピン案内溝の終端に位置する嵌合用ピンに弾性変形状態で接触して、嵌合操作レバー及び嵌合用ピンの相対移動を規制する。そのため、コネクタハウジング相互の嵌合完了状態におけるガタつきの発生を防止することができる。
【0019】
しかも、ピン案内溝の溝幅は、例えば、ばね部を装備した部位よりも溝始端開口部側の範囲では、嵌合用ピンが遊嵌する大きさで良いため、嵌合用ピンとピン案内溝の嵌合精度を緩和することができる。従って、両コネクタハウジングや嵌合操作レバーを成形する成形金型の加工精度の緩和により、製造コストの低減を図ることができる。更に、ピン案内溝に沿う嵌合用ピンの移動経路において、嵌合用ピンがばね部に接触する範囲以外では、嵌合用ピンがピン案内溝に遊嵌する状態で良いため、嵌合用ピンとピン案内溝との間の摺動摩擦を小さく抑えることができる。従って、操作力の低減によりコネクタハウジング相互の嵌合を容易することができる。
【0020】
上記(2)の構成によれば、ばね部は、引き込み誘導面を形成するピン案内溝の側壁を、溝の内側に凸の湾曲した板ばね状に形成するだけでよく、嵌合操作レバーの射出成形等で、簡単に、嵌合操作レバーに一体形成することができ、ばね部の装備によって嵌合操作レバーの製造が困難になることを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるレバー式コネクタによれば、嵌合操作レバーの回動操作によって、コネクタハウジング相互の嵌合が完了したときには、ばね部が、ピン案内溝の終端に位置する嵌合用ピンに弾性変形状態で接触して、嵌合操作レバー及び嵌合用ピンの相対移動を規制する。そのため、コネクタハウジング相互の嵌合完了状態におけるガタつきの発生を防止することができる。
【0022】
しかも、嵌合用ピンとピン案内溝の嵌合精度を緩和することができるため、両コネクタハウジングや嵌合操作レバーを成形する成形金型の加工精度の緩和により、製造コストの低減を図ることができる。更に、ピン案内溝に沿う嵌合用ピンの移動経路において、嵌合用ピンがばね部に接触する範囲以外では、嵌合用ピンがピン案内溝に遊嵌する状態で良いため、嵌合用ピンとピン案内溝との間の摺動摩擦を小さく抑えることができる。従って、操作力の低減によりコネクタハウジング相互の嵌合を容易することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した嵌合操作レバーが組み付けられた第2コネクタハウジングの側面図である。
【図3】コネクタハウジング相互の嵌合開始前における嵌合操作レバー上のピン案内溝と、嵌合用ピンとの位置関係を示す側面図である。
【図4】図3に示した嵌合操作レバーの拡大図である。
【図5】嵌合操作レバーの回動によって、コネクタハウジング相互を嵌合完了位置まで嵌合させた状態の側面図である。
【図6】図5のC部の拡大図である。
【図7】コネクタハウジング相互が嵌合完了状態となる回動域の終端まで回動させた嵌合操作レバーが、第2コネクタハウジングにロックされた状態のコネクタ縦断面図である。
【図8】図7のD部の拡大図である。
【図9】従来のレバー式コネクタのコネクタハウジング相互の側面図である。
【図10】図9に示したB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るレバー式コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1〜図8は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した嵌合操作レバーが組み付けられた第2コネクタハウジングの側面図、図3はコネクタハウジング相互の嵌合開始前における嵌合操作レバー上のピン案内溝と、嵌合用ピンとの位置関係を示す側面図、図4は図3に示した嵌合操作レバーの拡大図、図5は嵌合操作レバーの回動によってコネクタハウジング相互を嵌合完了位置まで嵌合させた状態の側面図、図6は図5のC部の拡大図である。また、図7はコネクタハウジング相互が嵌合完了状態となる回動域の終端まで回動させた嵌合操作レバーが、第2コネクタハウジングにロックされた状態のコネクタ縦断面図、図8は図7のD部の拡大図である。
【0026】
この一実施形態のレバー式コネクタ21は、第1コネクタハウジングである雄コネクタハウジング23と、前記第1コネクタハウジングに嵌合接続される第2コネクタハウジングである雌コネクタハウジング25と、嵌合用ピン27と、嵌合操作レバー29と、を備えている。
【0027】
雄コネクタハウジング23は、平坦な基台31上に、筒状のフード部である端子収容部32が垂直に立設されている。端子収容部32は、複数の第1接続端子(雄型の接続端子)を収容している。
【0028】
雌コネクタハウジング25は、前記第1接続端子に嵌合接続する第2接続端子(雌型の接続端子)を収容し、雄コネクタハウジング23に嵌合接続される。
【0029】
嵌合用ピン27は、単純な円柱状で、雄コネクタハウジング23の端子収容部32の左右の外側面に突設されている。
【0030】
嵌合操作レバー29は、雌コネクタハウジング25の左右の外側面のレバー支持軸26に回動可能に取り付けられる左右一対のレバー本体29aと、左右一対のレバー本体29a,29aを連結する回動操作部29bとを備えている。そして、各レバー本体29aには、嵌合用ピン27が進入可能なピン案内溝30が形成されている。
【0031】
雌コネクタハウジング25の左右の外側面のレバー支持軸26は、図1及び図2に示すように、円柱状の軸本体26aと、この軸本体26aの先端の径方向に対向する位置から径方向外方に延出した一対の抜け止め用突片26b,26bと、を備えている。
【0032】
レバー本体29aには、図3及び図4に示すように、雌コネクタハウジング25のレバー支持軸26に回動自在に嵌合する軸支孔32が設けられている。軸支孔32は、図6に示すように、円柱状の軸本体26aがガタつきなく回転自在に嵌合する円形の軸受穴32aと、抜け止め用突片26bが挿通可能なように軸支孔32の対向位置を径方向外方に向かって開口させた一対の突片挿通部32bとを備えている。
【0033】
本実施形態のレバー式コネクタ1は、図3に矢印Eで示すように、嵌合操作レバー29が取り付けられた雌コネクタハウジング25と雄コネクタハウジング23とを突き合わせて、互いの先端部が嵌合開始する状態が、嵌合初期状態となる。
【0034】
嵌合初期状態の時、雌コネクタハウジング25に組み付けられた嵌合操作レバー29は、図3に示すように、回動操作部29bが雌コネクタハウジング25の前端25a側に位置している。
【0035】
ピン案内溝30は、図4に示すように、溝始端開口部41と、溝の終端42と、引き込み誘導面43と、押し出し誘導面44とを備えている。
【0036】
溝始端開口部41は、ピン案内溝30の始端で、雌コネクタハウジング25の嵌合初期に前記嵌合用ピン27が進入するように、雄コネクタハウジング23側に向かって開口する。溝の終端42は、一対のコネクタハウジング23,25相互の嵌合が完了したときに、嵌合用ピン27が位置する領域で、行き止まりになっている。引き込み誘導面43は、嵌合操作レバー29を、図3に示した嵌合初期時の状態から図3及び図4における反時計方向(図4の矢印F方向)へ回動させたときに、嵌合操作レバー29の回動に伴い、嵌合用ピン27を溝の終端42側に引き込む。
【0037】
嵌合用ピン27が溝の終端42側に引き込まれることによって、嵌合用ピン27が溝始端開口部41からピン案内溝30の終端42に向けて相対移動し、一対のコネクタハウジング23,25相互の嵌合が深まる。嵌合操作レバー29の回動によって、一対のコネクタハウジング23,25の嵌合が完了すると、図5に示すように、嵌合操作レバー29の回動操作部29bは、雌コネクタハウジング25の後端側に移動している。
【0038】
嵌合操作レバー29の回動操作部29bが雌コネクタハウジング25の後端25b側に移動した嵌合完了状態では、図7及び図8に示すように、回動操作部29bに装備されたロック用段差51が、雌コネクタハウジング25の上面に延設されているロックアーム52の係止突起53に係合して、嵌合操作レバー29の戻り方向への回動が規制されるロック状態になる。
【0039】
ロックアーム52によるロック状態は、ロックアーム52を下方(図8の矢印H方向)に撓ませて、ロック用段差51と係止突起53との係合を解除することで、解除される。
【0040】
ロックアーム52によるロックが解除された状態で、図5の矢印G方向に嵌合操作レバー29を回動させると、押し出し誘導面44が嵌合用ピン27を雄コネクタハウジング23側に押して、嵌合操作レバー29の回動に伴い、一対のコネクタハウジング23,25の嵌合が徐々に浅くなる。嵌合操作レバー29の回動によって、回動操作部29bが、図2及び図3に示すように、雌コネクタハウジング25の前端25a側まで移動すると、嵌合用ピン27が溝始端開口部41まで戻されていて、一対のコネクタハウジング23,25が互いに離脱可能になる。
【0041】
本実施形態の場合、図4に示すように、ピン案内溝30の溝幅Wは、引き込み誘導面43と押し出し誘導面44との離間間隔で、溝の略全長に渡って、嵌合用ピン27の外径よりも大きく設定されている。
【0042】
但し、本実施形態の場合、図4に示すように、ピン案内溝30の終端42側には、ばね部61が備えられている。
【0043】
このばね部61は、コネクタハウジング23,25相互の嵌合が完了したときに、図6に示すように、ピン案内溝30内の嵌合用ピン27に弾性変形状態で接触して、嵌合操作レバー29及び嵌合用ピン27の相対移動を規制する。
【0044】
本実施形態の場合、ばね部61は、図6に示すように、引き込み誘導面43から溝幅を狭める方向(押し出し誘導面44に向かう方向)に膨出した湾曲壁である。
【0045】
以上に説明した一実施形態のレバー式コネクタ21では、雄コネクタハウジング23と雌コネクタハウジング25との嵌合初期状態から、嵌合操作レバー29を図4に示す矢印F方向に回動操作することで、コネクタハウジング23,25相互を嵌合させる。その際、コネクタハウジング23,25相互の嵌合が完了したときには、図5及び図6に示したように、ばね部61が、ピン案内溝30の終端に位置する嵌合用ピン27に弾性変形状態で接触して、嵌合操作レバー29及び嵌合用ピン27の相対移動を規制する。そのため、コネクタハウジング23,25相互の嵌合完了状態におけるガタつきの発生を防止することができる。
【0046】
しかも、ピン案内溝30の溝幅Wは、例えば、ばね部61を装備した部位よりも溝始端開口部41側の範囲では、嵌合用ピン27が遊嵌する大きさで良いため、嵌合用ピン27とピン案内溝30の嵌合精度を緩和することができる。従って、両コネクタハウジング23,25や嵌合操作レバー29を成形する成形金型の加工精度の緩和により、製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
更に、ピン案内溝30に沿う嵌合用ピン27の移動経路において、嵌合用ピン27がばね部61に接触する範囲以外では、嵌合用ピン27がピン案内溝30に遊嵌する状態で良いため、嵌合用ピン27とピン案内溝30との間の摺動摩擦を小さく抑えることができる。従って、操作力の低減によりコネクタハウジング23,25相互の嵌合を容易することができる。
【0048】
また、以上に説明した一実施形態のレバー式コネクタ21では、ばね部61は、図6に示したように、引き込み誘導面43を形成するピン案内溝30の側壁を、溝の内側に凸の湾曲した板ばね状に形成するだけでよく、嵌合操作レバー29の射出成形等で、簡単に、嵌合操作レバー29に一体形成することができ、ばね部61の装備によって嵌合操作レバー29の製造が困難になることを防止することができる。
【0049】
なお、本発明に係るレバー式コネクタにおいて、ばね部61を装備する位置は、上記実施形態に限らない。例えば、ばね部61は、押し出し誘導面44に装備しても良い。
【0050】
更に、本実施形態のレバー式コネクタにおいて、一対のコネクタハウジング23,25の嵌合完了状態で嵌合操作レバーをロックする構造等は、上記実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に設計変更可能である。
【0051】
本発明のレバー式コネクタは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。また、本発明のレバー式コネクタを構成する各部品の材質、形状、寸法等は、本発明の目的を達成できるものであれば、任意であり、前述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0052】
21 レバー式コネクタ
23 雄コネクタハウジング(第1コネクタハウジング)
25 雌コネクタハウジング(第2コネクタハウジング)
26 レバー支持軸
27 嵌合用ピン
29 嵌合操作レバー
29a レバー本体
29b 回動操作部
30 ピン案内溝
41 溝始端開口部
42 溝の終端
43 引き込み誘導面
44 押し出し誘導面
61 ばね部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続端子を収容した第1コネクタハウジングと、前記第1接続端子に嵌合接続する第2接続端子を収容し前記第1コネクタハウジングに嵌合接続される第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングの外側面に突設された嵌合用ピンと、前記嵌合用ピンが進入可能なピン案内溝を有して前記第2コネクタハウジングの側面に回動可能に取り付けられる嵌合操作レバーと、を備え、
前記ピン案内溝は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングの嵌合初期に前記嵌合用ピンが進入する溝始端開口部と、前記嵌合操作レバーの回動に伴い前記嵌合用ピンを溝の終端側に引き込む引き込み誘導面とを備え、
前記嵌合操作レバーを回動操作することにより、前記嵌合用ピンを前記溝始端開口部から前記ピン案内溝の終端に向けて相対移動させて、前記両コネクタハウジングを嵌合させるレバー式コネクタにおいて、
前記ピン案内溝の終端側には、コネクタハウジング相互の嵌合が完了したときに、前記ピン案内溝内の前記嵌合用ピンに弾性変形状態で接触して、前記嵌合操作レバー及び嵌合用ピンの相対移動を規制するばね部を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記ばね部が、前記引き込み誘導面から溝幅を狭める方向に膨出した湾曲壁であることを特徴とする請求項1に記載のレバー式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−18765(P2012−18765A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153786(P2010−153786)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】